各団体の採点
勢いのある舞台でした。脚本も誰しもに分かりやすく、あらゆるジャンルの人が楽しめる構成だったと思います。ただ、初日だからでしょうか
何人かの役者の方がたの視線が泳いでしまっているのが残念!でした。題材が日常とかけ離れたものなので、常に視線は決まっていていただけるともっと世界に入り込めたのに。でも、次も見に行かせていただきます。
西遊記の時代の中国で、妖怪や人間がある桃の実をめぐって争うお話でした。走って踊って、存分に照明を使って見せるエンターテインメント・アクション演劇。シアターモリエールという小さな空間で出来ることを全てやりきろうという意気込みが感じられ、好感が持てました。
オープニングの人物紹介映像や、戦闘シーンをダンスで処理するのはよくある演出ですが、きちんと魅せられる完成度だったのは素晴らしいと思います。特に衣裳とヘアメイクにがんばりが感じられました。
役者さんが型どおりの演技で押し切るので、人物の存在感が平板でした。たとえばセリフにボケがいっぱい入ってて、ギャグのためだけのシーンもあるのですが笑えないのです。役者さんは観客とも相手役とも呼吸を合わすことなく、決まりどおりにしゃべって流してしまっているように見受けられました。
チラシやホームページの完成度ももちろんですが、「こりっち審査期間ぎりぎり最後の公演にも拘らず、最初の応募」という制作面の強さは素晴らしいと思います。そこから予想はしていましたが、ここまできっちりと自分たちのエンターテイメントをやっているのには驚きました。
クライマックスの展開が好きではないのですが、それでも最後の落としどころは綺麗だと思いました。
後半、一周回って面白くなるほど、段取り芝居な要素が強いので余裕だったり、遊びを魅せれるようになると、もっと笑えたり、世界に入って行けたりすると思います。前半は舞台を冷静に「見ている」状態でした。
スピーディに展開していくストーリーや音響、照明の使い方など、これぞエンタメ系演劇という感じだったように思います。
ギャグがなかなか笑えなくて最初は居心地悪かったのですが、登場人物一人ひとりに個性があり、感動もあってなかなか楽しめました。
舞台芸術を通して人々を楽しませながら何らかのテーマを伝えるという基本的な部分が、誰にでも分かりやすく伝わる感じで良かったです。