作・演出家のこだわりが良く見れた劇でした。キャストの方の苦労されたと思います。私的には非常に面白かったと思っております。なぜ、私的と言ったかですが、見る人によって評価が分かれると感じたからです。ヒューマニティーをよく表現できた芝居だと思います。
最後のドタバタが長すぎたのが残念。。。。今までの緊迫感がすべて無くなってしまった感じがしました。あの終わり方でしたら、もうちょっと短くてよかったかなと感じました。 私自身も主役の方と同じようなことで考えたことがあります。それが重なって非常に良いと感じたのかも知れません。私も、「私自身誰なんだろう?」「明日は誰かと変わっているのかな?」みたいなことを考えていました。これを舞台で見たのは初めてですし、裏の世界を舞台でなく、観客に考えさせたところが良かったと感じております。
日常を描いているのに、なぜかSFの世界を眺めているような感覚が気持ちよかったです。主観と客観のはざまで揺れ動く主人公の様子がキッチュに描かれていたと思います。特別に「何が」というわけではないが全体的なatomosにニットさんの個性を感じました!
個人的には日常をもっとセンシティブに描いてくれていたら、(具体的には、舞台・小道具・衣装」もっと好きって思いました。 あれですね、どうしても小道具とか、何度も出てくるキーワードに 落ちてきなものを期待してしまいますね。例えば、「ボタン」など。
母の失踪と十数年ぶりの帰郷という設定で、記憶の曖昧さから自己存在の危うさへとつながっていく物語でした。幕開けから団地のリビングでの静かめな会話劇が続きますが、終盤にダイナミックな質的転換があり、ごまのはえさんの独特の劇世界を体感できたように思いました。とても面白かったです。でも、役者さんの演技のわざとらしさ、空間の詰めの甘さなど、作品全体の完成度の面で少々もったいない感じの仕上がりだったように思います。
主人公・美智子の記憶を自分の記憶のように話す人が現れたり、美智子は小学校6年生の時から母親と二人暮しなのに、父親のことを全く覚えていなかったり、美智子と彼女を取り巻く人々が曖昧な記憶を軸に空回りしていきます。 部屋の窓にへばりつくように鎮座する大仏様は、「あなたが嘘をつくことも、記憶に蓋をすることも、そこに居ることも(居ないことも)、すべて見ていますよ」という意味だったのかなと思います。 美智子の右目の眼球が歪んでいることは、見えているようで実は見えていない(見ていない)状態を表し、カーテンを片方だけを閉じて大仏様の顔の右半分が隠れるようにしたのは、心憎い演出でした。 失踪した母親からの電話を待つことで、美智子は失っていた自分を取り戻していきます。突然“知らない人”がいっぱい登場してコントのような展開になり、美智子がマイクを持ってソロで歌うとこまでイっちゃうとは・・・全く予想がつきませんでした(笑)。ド派手で奇想天外な展開は素晴らしいと思いますが、そのドタバタがただのドタバタで終わらずに、知的興奮にまで達してくれたらなお良かったと思います。 「知らない人と付き合っていかないと現代社会では生きていけない」というセリフ(正確ではありません)がギャグのように語られたことに、すごく好感が持てました。 美智子とご本人様(朗読者)がすれ違っていくラストの演出が良かったです。対象物が白黒に見える黄色い照明が、美智子および部屋全体を包んだのは効果的でした。私は美智子が堕胎した子供が最後の最後に出てきたのかなと想像しました(実際はそんな意味はなかったそうです)。マイクで美智子の気持ちを朗読されていた朝平陽子さんの声が良かったです。 美術については、ふすまやドアがおおげさに斜めになっていたり、窓の外に至近距離で巨大な大仏の顔があったり、不思議な仕込みがあるのはとても面白かったです。でももっと細かいところまでこだわって丁寧に作って欲しかったですね。例えば、小さな部屋にダイニングテーブルとイスのセットが2組も並んでいるのはおかしいと思いました。
「演劇でしかできないこと」をやっているという点は素直に良いと思いました。わからなさを楽しむ、観客それぞれに委ねる、という部分もどちらかというと好みです。ただ、それを成立させるための前半部分の芝居が、アイディアに追いついてないという印象を受けました。 個人的にはやりたいことと、芝居が一致してるように感じられた終盤部分が好みです。 ポストパフォーマンストークでの話や、他の方のクチコミを読むと、いくつかのタイプの芝居をやってるようですので、また観てみたいと思います。
前半をあそこまで緊張感や物語で引っぱらず、素直に違和感に徹しても面白かったかなという気はします。 テーマの「記憶」の扱いは面白かったのですが、「存在」に関してがすっと入ってきませんでした。 一つは、ポストパフォーマンストークで出ていた「団地育ちの感覚」という部分が自分に少なく、この作品中での「他者との距離」を共感しにくかったからかもしれません。ただ、空間や人物がもっと舞台上に存在すれば感じられたのかもしれませんし、逆に思いっきりズラせば気にせず面白がれたのかなという気もします。
真実はどうなっているのか、 いろいろ考えさせられる展開は楽しくもあり 掴みどころがない感じでもあり不思議な感じでした。 ギャグはむちゃくちゃしつこくて好きでした。
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