ハイバイ
採点【ハイバイ】

飄々とした、流れの中に、キッチュでいてリアルな世界を見せていただきました。しがちゃんの存在感だけでなく、すべての役者がこの舞台で
「生きて」いました。どこまでが舞台で、どこまでが客席なのか。
あー面白かった。

 大学生だけど体はおじさんの志賀くん(志賀廣太郎)を主人公に、誰もが経験したであろう青春の甘酸っぱさ、こっ恥ずかしさを、正視していられないほどせつなく、リアルに暴いてくれます。爆笑、失笑に悲しみの涙が混じってしまう、めちゃくちゃ刺激的な体験でした。エッチなシーンはちょい大人向けですが(笑)、多くの方に見ていただきたい作品です。


 ハイバイお馴染みの演劇のお稽古シーンや劇中劇の構造も見事でした。演劇という嘘の中のそのまた嘘の中・・・という入れ子構造になった舞台を眺めながら、自分自身の「嘘」も改めて見つめ直すことができました。役者さんは狙いを定めた自然な演技をされており、その技量としたたかさに唸ります。


 にやにやとうすら笑いや親しみを込めた表情を浮かべて、なるべく人間関係に波風を立てないようコミュニケーションをしていても、突然むき出しの本音が体全体から出てきて、誰かに鋭く刺さってしまう瞬間があります。たとえば一見静かそうな対話がそんな風にうねって、燃えて、ものすごい緊張感に支配される瞬間が、この「おねがい放課後」にはいっぱいありました。
 いったい本音って出すべきなのか、出すべきじゃないなら嘘をつけばいいのか、そもそも会話って何を伝えて何を伝えていないのか・・・。私たちの「嘘」と「本当」について、いっぱい考えました。私の結論は、嘘も本当も全部本当ってことで、感じたままでいいのかな、と。それしかないかな、と。


 売切れステージ続出中ですのでご予約はお早めに。初日は当日券が出そうな感じでした。追加公演決定⇒6月1日(金)15時~の回

観客の思春期を引きずり出すトラウマ芝居は、気まずくて甘くてせつない一本でした。思いっきり笑えて思いっきり泣けて、そして思いっきり痛かったです。
新しく書かれたシーンが、観てる間自分の中で消化しきれなかったりもしたのですが、プレビュー以上に台詞がぎゅーっと突き刺さってきました。

本物の大人たちすら「しわ」のように自分たちの演劇に取り込んでしまうパワーや、「プレビュー」や「アフタートーク」など公演自体も計算高く遊んでしまうクレバーさを、にやにやしながら見せない感じが素敵だなぁと思ったり。

登場人物の感情がすごく伝わってくるのに、本心でどう思っているのかまでは分からず、すごく考えさせられる要素の多い作品でした。
ラブシーンはある意味エロチックであり、幸せな感じがすごく伝わってきて良かったです。
とにかく志賀ちゃんさんの声はむっちゃカッコ良かった。
次回の公演を見てみたくなりました。

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