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「かつて生命があったという惑星に向かって僕らは、」

「かつて生命があったという惑星に向かって僕らは、」

乙戯社

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2022/09/18 (日) ~ 2022/09/23 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 板上は、宇宙船の内部を模し深海に設置された訓練艇内部。天井から星とその放射を表したような形状の明かりが天井から左右に1つずつ下がりその間の空間には惑星を模したと思われる球体が適度な空間を開けて20近く吊り下げられている他、パラボラアンテナを逆さにしたような形状を示す骨組みの物体が椀を斜めに伏せたように在る。床にはコクピットや居住空間で用いる椅子やスツール等を並べ、それらの位置関係で使用目的を暗示し、機能を示唆するちょっとオシャレな発想の舞台美術だ。(追記9.27)

ネタバレBOX


 物語内容は火星が地球に最も近づくタイミングを狙って発射される宇宙船に乗るメンバー選考最終審査の為に閉鎖空間での行動、精神状態等がメンバーたるに相応しいか否かの審査過程を描くことにあるので、オープニングでは出演者全員が昏い板上を直径20㎝程の光る玉を掌に載せて周回したり軌道を巡るような動きをして幻想的ないイメージを盛り上げる。極めてファンタジックで美しい場面で幕を開ける。因みに選考されたメンバーは火星到着後、生涯火星で暮らすことになる。このプロジェクトはマーズワンプロジェクト2023と名付けられ、2018年に参加メンバーを募った時点で応募者20万という人気プロジェクトである。現在残っているのは、6名。プラス1.(このプラス1については若干説明が必要である。選考に残っているオオカドの親友、ホシノなのだが彼はオオカドと共に大好きな星を見に海辺へ出掛けた際波に攫われ共に溺れた。オオカドは助かったもののホシノは脳死状態で劇中に参加しているのは、ホシノの幽体のようなものである。)
 物語の大筋は、この2人の関係が「銀河鉄道の夜」に準えられ乍ら展開しつつ、同時に閉鎖空間で長時間暮らすことになった6人が閉塞感から徐々に精神の安定を欠いたり疑心暗鬼に陥ったりして己の本性をぶつけ合う様を描いており、精神分析的側面も描かれてゆくので可成り面白い。
 具体的に各々が個々の本性を曝け出す切っ掛けとなったのは、霊能力が高いのかジュリが、「人影を見た」と言い始めたことだった。或はホシノを幻視した可能性もあろうが、常識的には可成り深度の深い海に設置された訓練艇にメンバー以外の人間が入り込めるハズは無く隠れる場所も無いのだが、一時的停電が起きたり何等かの異変の兆候かも知れぬと思える事象も起こるので2人づつ3グループに分かれて艇内を調べることになった。ジュリとオオカドはコクピットをタワラとタマコ、ハナエとミワは各々サイドエリアを。一時停電になった折には懐中電灯を用いる心細さもあり、疑心暗鬼は恐怖も生んで各々は己が裸形をも曝け出すこととなった。各々が発症した症状は様々であるがセックス依存症で女だからバイアグラでも使わなければ男を襲えないと考えているジュリはそれを持参しなかったことを悔やむものの「この所ずっと眠れない」とオオカドに告白する所から始める、然し埒が明かない…痺れを切らしEDなのか! 詰め寄るもオオカドは別の悩み(ホシノを脳死状態にした事故の一件で自分だけ無事に生き延びている苦悩)でその気になれない。(このホシノとの件は、更に後でホシノとのシーンにもろに「銀河鉄道の夜」が被さる形で詳述される。ハナエは、このプロジェクトに関わる研究者でもある(この6人選考の過程でも関与したことを認めており、多くのメンバーから最終選考でもスパイの役割を担い皆の行動・心理状態等のチェックを被試験者のフリをして監視しているのではないかと疑われている)が、本気で宇宙に関わることになった切っ掛けは星の大好きだった幼い息子を亡くし、亡くなった我が子の為に宇宙の何処かに壮大なモニュメントを建設する為であった。一方、今回相方として艇内調査に当たっているハナエは寝たきりになって永かった夫の生命維装置を外し殺したことに纏わる諸々の事情が応募の理由であった。タマコには現実に生きている世界に夢を持てないが、異なる惑星・火星に渡って未来を創造したい、という儚い望みに賭けたい。謂わば夢を夢見るような儚い念があった。だが、彼女の書いていたブログのファンが居た。それがタワラであり、彼には彼女の念は、行けば火星で死ぬより他無い無某な計画に思え何とか火星へ向かうことを諦めさせようとここ迄追ってきたのであった。
 以上の事情にジョバンニとカムパネルラの友情と別れが重なるシーンが被さってくるので極めて詩的で哀歓に満ちた物語になっているのである。

下山 ~親鸞の覚悟~

下山 ~親鸞の覚悟~

文化芸術教育支援センター

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2022/08/17 (水) ~ 2022/08/21 (日)公演終了

実演鑑賞

子役の女の子がすっごい可愛いの。
子役時代のともさかりえを彷彿させるような。というか、ともさかよりもスター性ありそうな。
何かきっかけあれば売れるね、あの子は。

らくご芝居~「丹青の花入れと水屋の富」より~

らくご芝居~「丹青の花入れと水屋の富」より~

ThreeQuarter

JOY JOY THEATRE(東京都)

2022/06/18 (土) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

勤め人やりながら、演劇をやり続けるの予想以上に大変なんだろうなあ。なんて思いながら見ました。
立場が悪くなったり、肩身の狭い思いをしたりとか。

真っ赤なブルー

真っ赤なブルー

U-33project

インディペンデントシアターOji(東京都)

2022/09/15 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

日曜日のソワレが好きで、よく行ったものです。
最近日曜のソワレって無くなりましたねえ。
すっごい久しぶりの日曜ソワレ。それも良かった。

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「アクションがめちゃすごくて最高〜!」と「アクションがいっぱいあって最高〜!」と「アクション演出が派手で最高〜!」とが掛け合わさってめちゃくちゃ最高のアクション舞台です!!ってニコニコしてるとストーリーに脇腹を刺されて致命傷を負うヤバい舞台でした 最高!

チェコ・アルファ劇場『快傑ゾロ』

チェコ・アルファ劇場『快傑ゾロ』

プーク人形劇場

プーク人形劇場(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/23 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4年前の来日公演『三銃士』をここで観て以来、待ち遠しかった劇場公演。立ち見だった先日の新宿ストリートシアターでの上演も楽しかったが、今日はステージ近くの席で、人形の操演の細やかさなども含めて堪能させてもらった。

SHINE SHOW!

SHINE SHOW!

アガリスクエンターテイメント

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全く予定になく、当日お呼ばれしたので初日に行きました。
前半は、ステージも客席も手探りだったけど、始まってみればどんどん盛り上がり、
最後は感動の作品でした。
前知識なく観に行ったけど、満足でした。

Show me Shoot me

Show me Shoot me

やみ・あがりシアター

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

チラシはとても良い
あの感じを舞台で見たかったかな

パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

演劇企画イロトリドリノハナ

テアトルBONBON(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇中前作同様ピアノが登場するが・・・かなりの腕前♪
オープニングでダンスシーンがあるが、マーガレットは何故かバレーの足捌き(笑)♪
この時代の物を揃えるのは無理だと思うが、なるべく無いような物は登場させない様に♪

裸足で散歩

裸足で散歩

シーエイティプロデュース

自由劇場(東京都)

2022/09/17 (土) ~ 2022/09/29 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

生真面目な弁護士の夫ポール(加藤和樹)と、細かいことは気にしない明るい妻コリー(高田夏帆)の新婚家庭。コリーが決めた、階段でのぼる最上階5階の新居に引っ越してきた。まだ家具は届かず、天窓のガラスは破れて、すこぶる居心地悪い。務めて陽気にふるまうコリーに振り回されて、ポールは少々疲れ気味。コリーの母バンクス夫人(戸田恵子)が、新居をのぞきにやってくる。コリーの不安は杞憂におわり、母も新居を気に入った。さらに上の屋根裏部屋に住む、ちょっとおかしなヴェラスコ(松尾貴史)があらわれる。コリーは母とヴェラスコの二人をお見合いさせようと、金曜(翌日?)のホームパーティーに呼ぶ。
全3幕で、2回休憩(15分と10分)。休憩込み2時間45分

初舞台という高田夏帆の、かわいくて天真爛漫だけどちょっと度がすぎる過剰な若さがよかった。舞台を明るくする。なれないアルメニア料理店から帰って、加藤和樹と戸田恵子が倒れこむ滑稽さも最高。このなかでは松尾貴史が普通の人に見えるからおかしい。

ネタバレBOX

一幕のがらんとした部屋が、2幕では家具も、壁のデコレーションもしっかりできた、新婚家庭にうまれかわる。そんな幸せな部屋で、みんなが引き揚げた後、コリーがポールに「あなたはまじめすぎる。もう一緒にいられない」と突然怒り出し、夫婦げんかに。最初ははやく打ち切ろうとなだめていたポールが、途中から「いやまだ寝るな。話がある」と主客逆転。そのまま離婚話がまとまってしまう!!

コリーの怒るきっかけが、遅くなったので母をヴェラスコ氏が家まで送るのをポールが過剰に心配した点で、ちょっと無理がある。内に秘めていたものが爆発するという感じがなく、唐突だった。

このまま離婚かどうなるか?と3幕が始まると。電話工事人(本間ひとし)が、ポールが壊した電話を直しにやってくる。アツアツ新婚と思っていると、二人は朝食も一緒に食べない冷戦状態で、その場にいる居心地の悪さが、おかしみ満点だった。

行方不明と心配した母が、上のヴェラスコ氏の部屋に泊まっていたとわかり、コリーは自分の態度を反省。公演で「裸足で散歩」していたポールが、「出ていくのは僕じゃなくて、コリーだろう。家賃払ってるのは俺だ」と帰ってきたところで、こりーが謝り仲直りしてめでたしめでたし。
血の婚礼

血の婚礼

ホリプロ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/09/15 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

スペインといえば「血の婚礼」を連想するほど、知られた戯曲で、今までも、ぶどうの会から始まって、何度も見た覚えがあるが、いずれもタイトルにあるように、結婚と殺人が同時に起きる荒々しい人間の根源的な生と死をエキゾチックな南欧の地方風景の中で描く舞台だった。今回は杉原邦生演出。よきにつけ、悪しきにつけ、今までに見たことのない「血の婚礼」だった。
杉原演出は、今までも、唐や太田省吾、さらには、グリークスや木ノ下歌舞伎と、さまざまな作品で見てきた。古典から現代劇まで、自らの戯曲解釈と、今見るという現代演劇の立場が考えてあって、成否はあるがどれも演出家の存在を明確にする舞台であった。今回はロルカ。
ロビーに出ていた演出者の弁によると、今回は作品に描かれた人物たちの「思い」の葛藤を中心に置いた由。
舞台は白い壁にあみだくじのように筋交いの柱が埋め込まれているスペインの農家の一室、この四角い部屋が斜めに置かれていて、四角い部屋の端が三角形に組まれている。そこに二つの出入り口。窓があって、そこから外の広場がうかがえる。
原作一、二幕がここで演じられる。壁に当てられる照明の色で若干の変化はあるが、ここで、結婚する男女の家族的背景が説明される。専ら立ったままの台詞による説明で、若い演者たちの台詞力もあって、舞台の熱量が上がっていかない。折角結婚式から花嫁と情夫の逃亡、と言う盛り上がるべき一幕の幕切れもさして華やかでもなければ、サスペンスがあるわけでもない。演出者のいう「思い」も生煮えである。
二幕は、荒涼とした原野。ここで神々の出現も演じられ、そのあとは、ほとんどコクーンの裸舞台をいっぱいに使った派手な振付の花婿と情夫の殺陣。
全体としていつもながら様式的な統一は、決まっているのだが、だからと言って、新しいロルカの発見があったわけでもない。不満はやはり、このドラマは、思いというならセリフや殺陣の動きでなく、人間の肉体のリアルな演技で表現しないと時代を超えられないのではないか、という疑問である。
その点では、今回の若い俳優たち、花婿の木村逹成 情夫の須賀健太 花嫁の早見あかり、いずれもあまりにも現代そのままで、結婚式も六本木の結婚パーティもどき(それは今までの杉原演出にもよくあったことだが)今回はそれが、ロルカの世界とうまく重なっていかない。ベテランの安蘭けいもスペインの母性には及ばない。
音楽は今まではギター音楽やフラメンコが定番だったが、なんだか中世宗教音楽のようで、それはそれでよかったが、舞台との兼ね合いで言うと、時々ドカンと大きな音を挟む音響効果と同じく舞台になじんでいたとは思えなかった。
今まで基本、リアリズム演劇でふり幅いっぱいにやってきた「血の婚礼」を新しいスタイルでやろうという壮図はいつもながらの杉原演出らしく、小劇場も商業劇場も高いレベルで演出できる若手演出家として今後も大いに期待するが、今回は行き届かなかった。
入りは平土間が八分、二三階は苦しい。

かもめ

かもめ

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/09/20 (火) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/21 (水) 19:00

130分。休憩なし。

『田瓶奇譚集』

『田瓶奇譚集』

劇団肋骨蜜柑同好会

駅前劇場(東京都)

2022/09/16 (金) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/21 (水) 15:00

怪チーム。110分。休憩なし。

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

NICE STALKER

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

なかなかこういうものの評価は難しい
今回も東京ドム子が舞台回しで、「ワークインプログレス」という仕掛けでストーリーを分かりやすく解説しながら短い「舞台」をつなげていく
17世紀前半の戯曲の柔らかい新訳(イトウシンタロウ、旧訳は小田島雄志)と相まってストーリーは良く分かるが、コメディの部分も多く、元々の戯曲の雰囲気は失われる
まあ今後の「全編上演」に期待しよう
ソランゾの下僕で最後に残るヴァスケスを演じた玉一祐樹美が良かった
ジョバンニのみずきは役柄のせいもあるがやたらと力んでから回り
イグロヒデアキや森耕作は相変わらず独特の雰囲気を出していた
東京ドム子は相変わらず艶っぽかった

かもめ

かもめ

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2022/09/20 (火) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

「私はカモメ。」ってこの劇の台詞だったんだあ。
知らなかったあ。

パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

演劇企画イロトリドリノハナ

テアトルBONBON(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初日を拝見。戦争によって何かを変えられてしまう、価値観も各々の家庭の事情も異なる5人の女性たち。重いテーマを時にユーモラスに描いていく舞台だが、初日のせいか、第一幕は何だか硬いなあとハラハラ。休憩10分を挟んで約130分。

ネタバレBOX

当時の曲が劇中で使われるというので、5曲ぐらい予想して観に行ったが、当たったのはその内3曲。舞台ではもっと使われていて、パンフレットの解説ページに掲載された曲以外にも何曲か。
三年前のリフレイン

三年前のリフレイン

劇団東京座

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/09/16 (金) ~ 2022/09/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/17 (土) 18:10

 『三年前のリフレイン』という劇のチラシをCoRichで見た際、まず、そのチラシのデザインが変わっていて惹かれた。
 また、内容もかなりぶっ飛んでいて、面白そうだったので、実際に観に行ったら、期待していた以上に、良い意味で裏切ってきて、気付くと作品世界に没入していた。

 俳優と同じ名前にしてある主役の役名に妙なリアリティや、親近感を感じた。
 また、全てに自信のない弱小ボクサー馬場清人が、とある試合をきっかけに、光の速さで動く超能力を手に入れたことによって、次々に試合に勝ち続け、スポンサーも付き、プロボクサーどころか、世界チャンピオンも夢じゃなくなっていくという展開に目が釘付けになった。
 しかし、光の速さで動ける超能力を他にも、いくらでも使い道はありそうなものなのに、あくまでボクシング試合の時にだけ基本的には使うという主人公馬場の姿勢が面白かった。
 また、彼の能力を利用しようと魔の手が近づき、時空を超えて人々の思惑が交差していき、実は新しくトレーナーとして入ってきて、何かと馬場を気にかけるふうな女の子西内由加が段々とサイコパスな本性が時々現れ、その西内が実は○○○○だったりと、謎が謎を呼び、劇の後半になるに従って、シリアスで、緊迫し、どんどん過酷で、味方だと思っていた人や、信頼していた人物が本性を顕にし、今までライバルだった人物が馬場を庇って殺されたりと、衝撃的で、予想もつかない展開に次々となっていく様に、いつの間にか魅入られていた。
 
 タイムマシンとして登場する道具が時計型な上、年代や日付などを正確に紙に書いて時計の上に穴が空いているところに入れなければいけない上、さらに充電式というところが、どこか現実味がありつつ、ハイテクとは程遠い、いちいち面倒くさいシステムになっているのが、何だか面白く、共感出来た。

 西内由加役の声優の植田ひかるさんが、本業は声優なはずなのに、そういうのをあまり感じさせないサイコパスな時とそうでないときの使い分けも含め、声はアニメ声だったものの、その熱量が演劇の俳優顔負けだと感じた。

君と約束した桜色の中で

君と約束した桜色の中で

劇団えのぐ

萬劇場(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

劇団えのぐは4年前の『紅姫物語』以来。何となく好印象。少女漫画なのだが、門戸が広い感じ。
昔々人間と鬼とが共存している領地の話。鬼をインディアン(ネイティヴ・アメリカン)や黒人のように視覚的にハッキリと区別が出来る別人種と捉えると理解し易い。
そこでは人間と鬼との種族を超えた信頼関係や恋愛がある。けれど他の領地の人民からは理解されず異質な連中ということで偏見の目を向けられている。穀物の不作で領地に飢饉が迫っていく。

鬼はバッファローマンのような角と、頬にそれぞれの幾何学模様のペイントがクール。
驚くのは殺陣が本格的で、ツイ・ハークばり。富野由悠季風味のチャンバラしながらの理論闘争なんかも欲しかった。男の子役の環幸乃さんがまさに適役。純真無垢な役は嵌まる。

絶望的な現実を前にし、恋人達はせめて来世での約束を交わすだろう。そんな約束がいつか果たされる日が訪れるのだろうか?

ネタバレBOX

勿体無いのは構成。実録ドキュメント風味で語るべき作品。全員登場人物が良い奴なのも欠点。もっと残酷で醜いからこそ、恋人達の約束が尊く浮かび上がる。鬼をファンタジーではなく、比喩として描いた方がよかった。(分かる人には分かるように)。
新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

NICE STALKER

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/21 (水)

価格3,000円

21日19時半開演の初日舞台を拝見。

現代でこそ世間の許容範囲であるものの、発表当時の社会では禁忌のテーマだった"近親相姦"を扱った尖ったホンを、柔らか翻訳・柔らか演出・柔らか演技で、駆け足で追っていった115分。
若いヒト達の工夫の数々に、大層、楽しませてもらった。

なお、登場人物の人物相関図、観劇時の参考資料として、大変、役に立ったことを追記しておく。

ネタバレBOX

【配役】
ジョバンニ…みずきさん
アナベラ(ジョバンニの妹)…チカナガチサトさん
神父(ジョバンニの師)…東京ドム子さん
プターナ(アナベラの乳母)…東京ドム子さん
フローリオ(ジョバンニの父)…イグロヒデアキさん
枢機卿…森耕作さん
ベルゲット(ドナードの甥?馬鹿。アナベラへの求婚者の一人)…森耕作さん
ドナード(ベルゲットの叔父?お金持ち)…玉一祐樹美(たまいち・ゆきみ)さん
ポッジョ(ベルゲットの下僕)…イグロヒデアキさん
ソランゾ(イケメン貴族。アナベラへの求婚者の一人)…大森翔吾さん
ヴァスケス(亡父の代から仕えているソランゾの下僕。本編唯一のスペイン人)…玉一祐樹美さん
ヒポリタ(ソランゾの元カノ。婚約を機に捨てられた)…イグロヒデアキさん!!!
ストーリーテラー…東京ドム子さん
夜の女たち【9月3日~8日公演中止】

夜の女たち【9月3日~8日公演中止】

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2022/09/03 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

原作映画は70分、この舞台は休憩込み2時間45分。映画のストーリーを忠実に辿りながら要所要所に歌を折り込み、群唱ともいうべきフィナーレを4回入れた分、膨らんだ。リプライズするフィナーレの「夜の女たち」のコーラス場面が良かった。

ネタバレBOX

進駐軍のための特殊慰安所が性病蔓延を理由に一ヶ月で閉鎖になり、集められた1304人の女たちは夜の街頭に放り出された。院長役の北村有起哉がそのことを語り、「女性の権利を配線後に初めて、アメリカ軍の占領下で教えられた。自分を呪いますよ。全部私のせいなんだ」と語る。映画にはないシーンで、現代版ならではの反省がみえる。

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