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ザッピングマリア

ザッピングマリア

さるしげろっく

萬劇場(東京都)

2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

あやふやな心理の追求
ザッピングの意味は説明に載ってるから省くとして、主役ウベマリヤは平凡なOLだったが、ある日失踪した。


以下、ネタばれBOXに。。

ネタバレBOX

マリヤが失踪した事により、残されたマリヤの周りの人達は心配して捜索願を提出する。
そんな周りの心配をよそにマリヤは自分の夢を叶えるというひと時の夢のために、叶え屋に頼んで他の時代の他の国へ、ザッピングする。。


そのザッピングワールドでは、マリヤは自分の思い通りの世界が構築され、自分の夢が叶うのだ。

マリヤは聖女マリアとして手厚く扱われギルダ王国の王子の妃となる。

しかし、反乱軍によってあっさりと連れ去られ、事情を聞くうちに同調し反乱軍のジャンヌ・ダルクとなる。。

しかし・・・殺されそうな危ないシーンになっても今までは「チェンジ」と言えば現実の世界に戻れたはずなのに、戻れない。。

夢と現実の垣根を低くしてザッピングしながら楽しんでたはずなのに、戻れない。

叶え屋の新人によって創作され戻れなくなってしまったのだ。


ザッピングワールドではポイズンアップル(毒りんご)をかじると夢が叶うという死神の誘惑を信じ、それぞれの人間が欲を出しはじめる。

やがて、欲の塊がそれぞれの思惑によって、負の意識と化しワールドはめちゃめちゃになってしまう。

何かを叶える為にはその代償が必要なのだ。


一方、現実の世界ではマリヤを救うべき、マリヤの友人や妹、叶え屋が動き出す。
ザッピングワールドに入り込みマリヤを救う。

マリヤはその事によって、今までの自分を思い出し後悔する。。
それは今まで、自分の判断によって大切な物事を選択せず逃げてきた事。
夢や願いは手のひらにあるのではなく空にあると決め付けていた事。
自分の周りの人達はマリヤの言葉に忠実で、世界も言葉に忠実だったのに、マリヤ自身が自分に忠実でなかった事。
親友に対しても性格が悪いと決め付けて真意を見てなかった事。


マリヤは夢から覚めて現実の世界に戻れるが、叶え屋の夢の代償は、お金でばなかったのだった。

その代償とは、物や価値で支払ってもらうというもの。

「マリヤ、あなたの全ての交友関係をいただきましょう。それが今回の代償です。」





ニンゲンの心理をついたダークファンタジーです。
しかしながら、決して暗くない。
コメディも加味され、笑える部分も。
ただ、今夜の観客は疲れてるのか笑う箇所で笑わない!(^^;)
こうゆう時、役者はやりにくいだろねー。。

賢茂がりんごを絞るシーン。
何を仕込んでいたのだろうか?
やけにリアルで何かしたたり落ちてた。。

笹木明子、素晴らしいです。
いつもインパクトありまくりです。

マルコを演じた大熊は適役でしたね。。
ああ、国王ってあんな感じ!と。(^0^)


30代女性のあやふやな心理状態を上手く追求していました。


ダブルキャスト

ダブルキャスト

劇団BLUESTAXI

ザ・ポケット(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いマシタ
もごもご喋る、佐古井隆之さんが可愛かったデス。
釘づけ!
お客さんの笑いまでもが大胆で個性的でした。
面白かった~!!

Root Beers ~ルートビアーズ

Root Beers ~ルートビアーズ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/25 (水)公演終了

満足度★★★

女性が書くピカレスクロマン
本もしっかりしているし
役者さんもそれぞれキャラ立っているので
観やすい 分かりやすい

ただ、KAKUTA的には“漢”なのかもしれないが
最近 男性の作家の作品を観ることが多かったので
期待していたほどの男臭さは感じられず

全体的に分かりやすいキャラクターとして
記号化された演技体で芝居が創られていたが
緻密な演技で光る役者陣も多いのでもったいない

I do I want

I do I want

空間ゼリー

サンモールスタジオ(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

観るべし!
 余分なものを削ぎ落した、必要かつ十分な1時間20分。笑いもありながら、切なさも怖さも含んだ素敵な舞台だった。

I do I want

I do I want

空間ゼリー

サンモールスタジオ(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

美少女揃いすぎだけど。
こんな人間関係、女の子なら誰でも経験ありそうな、でも実際にはそんなにはなさそうな。その加減が絶妙。パワーバランスも絶妙。自分に求められている立場の把握もすごい。誰しもが日常、意識無意識関わらずやっていることをこうまで露呈されるってスカッとする部分もあるけど、恥ずかしくて眼を覆いたくなる部分も。

ネタバレBOX

男子陣のぼーっとしながら巻き込まれない程度の逃げと、でも自分の希望路線の守り方がまたうまい。バカにされながらも彼女をちゃんと作っていてうまくやる先輩や、戦ってでも立場を守るブロガー、先輩に思わせぶりしながら彼女もちの男、単なる漫画好き。

女の世界では、みかさちゃんのような優等生ぶりは鼻につくけど、最後の体を張った告白にちょっとどきどき。タカコのキャラはごますられて近寄られて、いいように利用されるだけで本当には友達にはなりにくいんだろうな。エリみたいなちょっと自由な一匹狼的な立場が一番楽かしら。。。なんてそれぞれのキャラについ思いを馳せてしまう。そこが力なんでしょうね。
あゆみ

あゆみ

toi

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/24 (火)公演終了

満足度★★★

歩く歩く!
シンプルな舞台装置に逆にワクワク。客席正面に白いスクリーンのような布の壁だけ。
そして、始まった舞台はこちらが考えもつかないようなものでした。
確かに大きな出来事もなく、淡々と進むけど、それこそがこの舞台の意図するところと気づいてくるわけで。
アフタートークで作・演出さんが「演出より戯曲に力を入れている」というのが意外だった。少なくともこの舞台は演出の勝利だと思う。

ネタバレBOX

ひとりの人間を複数のひとで入れ替わり立ち替わり演じるけど、これがうるさくない。むしろそれが、文字通りひとつの流れを作り出すことに成功してた。オープニングを見たとき、ハッと「チェルフィッチュ!」と思ってしまったけど、アフタートークでチェルフィッチュの名前が出てきて納得したのでした。
Root Beers ~ルートビアーズ

Root Beers ~ルートビアーズ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/25 (水)公演終了

満足度★★★★

漢祭り
アラが無い。随所にある遊び心が素敵でした。面白かったです。

あゆみ

あゆみ

toi

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

素朴で斬新でじわっとくる
「人生を歩む」、という格言にもならないようなありふれた言い回しが舞台化されている。

われわれが歩んでいること、歩んできたことを、そして歩んでいくことを思い起こさせてくれる舞台、そしてそれがどういう意味を持ちうるのか気づかせてくれる、素敵な舞台だった。

ネタバレBOX

白いスクリーンの背景のみの美術。そのスクリーンに映像が映し出されるわけでもない。
はだしの、黒い服を着た、10人の女優たちが、このスクリーンの前を右から左へ、左から右へと、ひたすら横切っていく。
そこで再現されるのはきわめてありふれた日常的な場面に過ぎないのだけれど。。

演劇的に成立しなように見える素材が、見事に演劇的に立ち上がってくるさまは感動的である。そしてこの斬新な手法で提示される陳腐な日常スケッチもたまらなく切なく感動的だった。
「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

ロングランor追加公演or再演希望。
まー、これは繰り返してみたい。さすがな仕上がりです。ストーリー的な深み、構成のおもしろさ、俳優の巧みさ、どれをとっても。笑ったり泣いたりだけど、なんとなくその感情の動きをおおっぴらに見せちゃうのが恥ずかしいような、いけないことのような、空気をもつ作品でした。笑っても泣いても嘘になっちゃうような。事実に基づいてるっていう分素直に受け入れないようにしなくちゃいけなかったかな。

ネタバレBOX

同じ時を繰り返し見せることで違う側面を表す。それがまったく複雑さを持たず、誰でも同じように楽しめるようになっているのに感情としてはきめ細かいのがすごい。兄たろうの気持ちの吐露が、一回目では全くの悪者なのに、二回目ですぅっと受け入れられるのが不思議。
夜明け前後

夜明け前後

中野成樹+フランケンズ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/16 (月)公演終了

満足度★★★

シンプルにこざっぱりと
そこそこ、な感じでした。初めてだったから期待値も大きかったから。あっさりしすぎてて。原作を知らなかったのも原因かな。おもしろいのにハードルあげすぎた。

ネタバレBOX

前半は本当にシンプルに雰囲気でみせてくれます。その分眠くなっちゃった。後半の乞局・下西さんの作部分はねっとり感も醸し出されてておもしろかったんですけど。夫婦のすれ違い方ってどこでもこんな感じなんですね。村上さんのダメ男がなんだかセクシーで、そんな男に惚れられている妻に嫉妬を覚えるほどでした。
俺を縛れ!

俺を縛れ!

柿喰う客

インディペンデントシアターOji(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了

満足度★★★★

勘違いしてた
柿喰う客って様式美(美?)を地で行くタイプの集団だったのね。
そんなわけで花組芝居からの客演2人はグッとはまり、
むしろ花組からは3〜4人出てたのかと錯覚し、
逆にナチュラル演技になれてる客演の方が若干うわついてた印象。

ネタバレBOX

様式って疲れるんだよね。しかも彼らのやり方はかなり疲れる部類。そのせいで喋ってない人が舞台上にも関わらず休んでいるように見えるのは、アリなのかナシなのか、悩みどころ。
Root Beers ~ルートビアーズ

Root Beers ~ルートビアーズ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/25 (水)公演終了

満足度★★★★

センスがいい (^-^)
とにかく色んなところ(音楽・照明・芝居・構成 etc...)で
“センスがいい”と感じさせてくれるお芝居でした (^-^)

ネタバレBOX

とにかくオープニングが格好いい!

でも途中、いまいち“CHILL”のキャラクターというかポジションが分からなくて、
少し中だるみっぽく感じるところはありましたが(私はですが)、

※記憶を思い出すのも、もう少し早ければどうなったんだろう・・・?と
 観劇後に少し思いました・・・ (^^;)


でもKAKUTAは
色んな意味で“群を抜いてる”と感じさせる芝居でした。

このままガンガンいってほしいですね。
ガンガン!
ゴショク

ゴショク

マォーティーズインディアン

OFF OFFシアター(東京都)

2008/06/11 (水) ~ 2008/06/17 (火)公演終了

満足度★★★

筋書きにちょっと無理があったかな・・・
見知らぬ男女二人は多分あの世の人か、化身なんだろうけどちょっとキャラがしっくりこなかったね。その上、突然広島カラーを出してくるなんて、脈絡に無理あり。でも好みの内容だったので、まあまあオーケーです。

ネタバレBOX

じいは何故じいなのか?お嬢に足はあるのか?そうめん食べたり、スイカぱくつくのってどうだろう・・・
「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

直球の
ハイバイだから、ちゃかすんだけど、それでもどうにも直球!の家族の話。面白かった。久しぶりにストーリーというか、内容に集中して見れた気がして満足。

ネタバレBOX

あと一歩、という点は、もうまさに、タイトルになってる「手」をもつお婆ちゃん。俳優さんはとても好きなんだけど、描ききれずというか描かずというか。
とても惜しい。
雨の逃亡者

雨の逃亡者

ユニット391

東演パラータ(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★

学芸会を観て来ました。
脚本:横沢丈二、演出:長嶺高文 なんつーて書いてあったから、どんなに素晴らしい舞台かと思いきや・・・とんだ猫ダマシでした。。


以下はネタばれBOXに。。

ネタバレBOX

ヨーロッパのどこか。ってあったけれど、影絵を見せるあたり、ロシアかチェコなんだろうか・・?

エレキの森を舞台に、森の奥に住む伯爵とその妻は娘をいけにえに出さなかったことから、呪われる運命に。。


あまりにも主役のナターシャの歌が下手です。
セリフも勉強不足なのか・・・お腹から声を出してないです。
聞き取りにくい。
学芸会のレベルです。
素人なんでしょか?

何故、この子が主役に?(・・!)
すんごいびっくりです。。

エレキの森の原子達はみな、自分の役どころを抑えてるのに、ペドロフの歌も素人ばりばりです。。


そんなだから・・・物語の波に乗れないです。
下手すぎて・・。

いあいあ、久しぶりにこんなど素人の芝居をみました。
ある意味、感動!です。


セリフの合間に導入音楽もないから、間が空きすぎてしらけます。
妖精の何人かは以前の観劇で観たことがあり、懐かしく感じました。


光ってたのが、肖像画の老婆を演じた松村真知子。
セリフの間合いといい、歌といい完璧です。
顔の見せ方、うなり方、どれをとっても卒がない。
素晴らしいです。。

しかしながら、主軸の二人がこれじゃあ、松村が可愛そうです。



劇場は下北沢駅から結構歩きます。

わざわざ行ってまで見る価値のない芝居です。



セットにせよ、本にせよ、早稲田の芝居の方がレベルが高いです。
こう書くと早稲田をばかにしてるようですが、違います。

あくまで、学生の代表として持ち出しました。



要は今回の芝居は学芸会レベルです。。



I do I want

I do I want

空間ゼリー

サンモールスタジオ(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

円環が螺旋に変わって行く
とある大学のサークルの物語。恐ろしいほどの緊張感、緊迫感に包まれてしまう80分でした。

ネタバレBOX

いかにもな文芸サークルを舞台に起こる学園祭のある一日の物語。
劇中さんざん語られる現代オタクの行動はぞくぞくするほどのリアリティ。ラストに向かって高まる緊張感は秀逸
「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

演劇集団キャラメルボックス

シアターアプル(東京都)

2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了

満足度★★

ブログライター枠で無料で観劇
ネタバレなので、ネタバレBOXに書きます。

ネタバレBOX

水平線の歩き方
ブログライター枠で無料で見たので、20列目、10番という、シアターアプルではほぼ最後尾という、あまり良いとはいえない条件での観劇。

物語は、一人で生きてきたつもりだった青年が、一人で生きていなかったことに気がつくという話で、テーマ自体はそれほど新しいものではない。ポイントはそれをどうやって見せるか、なのだが、この芝居はマザコン青年のドラマとして仕上げているところがちょっとした工夫。そのことはさておき、特に物語の前半、あまりにも説明的なのが気になる。また、母親と主人公の置かれている状況に関するねたばれが早すぎるのはどうかと思う。これはこの劇団の良いところでもあり、悪いところでもあるのだが、観客に対して親切すぎる。謎解きは大体クライマックスと相場が決まっているもの。ラストは、アサミにあたっているスポットが徐々に暗くなると同時に、安部、豊川といった主要登場人物の声がかかり、スポットがあたり、そして照明を一気に明るくして終わり、とか、そういった、照明を使った工夫があったらどうだったのかと思う。この劇団の芝居ではいつも思うのだけれど、照明、下手ではないのだけれど、もっともっと効果的に使えると思う。これは技術的な問題ではなく、演出の問題なのだが。演出サイドに「照明をとことん効果的に使ってやろう」という貪欲さがないのかもしれない。

膝に故障を抱えたラガーマンの話なのだが、杖のつき方などは上手に表現していたと思う。実際に一年以上びっこで、松葉杖との付き合いが長い僕が見ても違和感はなかった。ときどき左脚が悪いのに松葉杖を左側につくというとんでもない演出にぶち当たったりするのだけれど、この芝居はそんなことはなかった。一方、故障の大きさと競技への影響に関する考察についてはイマイチと言えるかもしれない。再起不能の大怪我が初めての靭帯断裂、という設定はかなり違和感がある。靭帯断裂というのは僕もやっているが、決して選手生命が途絶えるような怪我ではない。スキーで見ても、一流どころの選手はほとんど靭帯断裂を経験している。また、サッカーでも珍しくない。ラグビーはサッカーやスキーに比べたら接触の機会は確かに多いが、選手生命が終了というのは大げさだ。

役者では、岡田♂が結構良かったと思う。今までの彼の演技の中では一番印象が良い。もともとひいきの前田さんは今まで通りの存在感なのだが、怪演というほどのはちきれ方がなく、やや型にはまってしまっている印象。今回の役柄なら、もうちょっと外れる演出があったらどうだったのか。

芝居初心者には結構お勧めできるが、芝居を見慣れている人にとってはやや物足りなさがあると思う。しかし、これは劇団のキャラクターでもある。結果的に飽きが早い、ということにつながるのだが(笑)。

前から7、8列目程度なら4000円払う価値があるが、それより後ろだと、ちょっと厳しい。

と、ここまでは普通のレビュー。しかし、この芝居の評価はここで終わりません。かなり厳しい評価が続きますので、読みたくない人はさようなら。ねたばれを含みますので、ねたばれが嫌な人もサヨウナラ。

この芝居、個人的に許せない点がある。それは主人公に飲酒運転をさせたこと。結果として主人公は事故を起こし、そして死線をさまようことになる。つまり罰を受けたわけだが、ではその事故が必然だったのかといえばそんなことはない。他にもこのラストにつなげる方法はあったはず。ラグビーができなくなって、やけを起こして、飲酒運転をして、自爆事故を起こして重体、って、なんじゃそりゃ、って感じ。そして、さらに筋悪なことに、飲酒運転をして事故を起こした主人公を許すという主旨の発言までもが含まれる。制作者サイドとしては決して飲酒運転を肯定するというスタンスではないと思うけれど、そういう形で誤解される可能性は否定できず、それなら最初からこんな本は書くべきではない。

僕は自分のブログで散々書いているけれど、飲酒運転というのは情状酌量のない罪だと思っている。それは事故につながろうが、つながらなかろうが、である。それが招くかもしれない悲劇と、飲酒運転の必然性をはかりにかければ、飲んでから乗るだけで重罪だと思っている。今回の芝居のラストの展開は、そうした僕の価値観から言って完全にアウツ。そして、そのことに劇団の誰もが疑問を持たなかったことに驚きを禁じえない。必要がないのに自殺について詳細に報道してかえって自殺の増加を招くことがあるのと同様、飲酒したあとに自動車を運転することがストーリー上重要な役割を果たすわけではないのに、酒を飲んで車を運転するという可能性を提示したというのはいかがなものか。そういえば、今日の前説では芝居の録音を禁止する一方で、「当劇団の上川はラジカセで録音したことがあります」と述べていた。これを聞いた客は「あぁ、やっても良いんだ」と思うかも知れず、「上川がやったことがある」というのは完全に余計な情報である。この劇団の関係者は犯罪を誘発することに対する感受性が低いのかもしれない。

ということで、この芝居の評価は☆ゼロ。たとえそれに至るまでがどんなにすばらしくても、そして役者の演技が良かったとしても、観る価値はないと思う。

今からでも遅くないから、主人公をあくまでも肯定する(部分的であったとしても)のであれば、ラストに至る経緯は書き換えるべきだと思う。酔っ払ってホームから落ちたでも、酔っ払って車道を歩いていて轢かれたでも、真冬の雪の中で酔っ払って凍死しかけているでも、他にやりようはいくらでもあるのだ。




ハックルベリーにさよならを
「水平線の歩き方」同様、ブログライター枠でただで観劇。観たのは20列、17番で、かなり後ろの方だけれど、中央というポジション。

一人になりたがっている子供がちょびっと成長するという話。この芝居、ストーリー上の難点として、「水平線の歩き方」同様、ねたばれが早すぎるというのがある。最初から大内と實川さんの関係がギクシャクしていて、その謎がはっきりしないところがこの芝居の肝である。ところが、そのねたばれが早い。その謎解きをラストに持ってきたらもっとずっと良かったと思う。

演出上の細かいところを言うと、何がボートになるのか、というところで工夫があるのだが、そもそもその小道具自体いらない気もする。そうした小道具を使わないと、結果として観客の想像力に依存することになるわけだが、そういう部分でこの劇団は観る側の能力を信頼していないところがある。ストーリー面でもそうだけれど、もうちょっと観る側に自由度を持たせたらどうなんだろうな、と思う。

實川さんの「男の子」の演技はいつも上手。できれば野獣降臨のブリアンの役などをやらせてみたい。少年役の名俳優は結構多いのだけれど、今の彼女は結構色々できそうな、おいしい時期にいると思う。ぜひ一度、野田秀樹演出の舞台に立ってもらいたい。また、坂口さんはいつもどおり安定した演技だけれど、いつも似たようなキャラ。もうちょっと新しいキャラを与えられないものか。大内さんは今回は存在感が今ひとつだった。彼は最近キャラメル以外で2回観ているのだが、客演のほうが生き生きしていた印象がある。井上さんの怪演っぷりが昔の伊東由美子さんみたいで面白かった。今後の活躍が楽しみ。

時間的には水平線よりもずいぶん時間が早く感じた。役者の面で言えば、この面子はかなり良い面子なので、ハーフではもったいない気もする。

本当に細かいところでひとつ気になったのは、逃げる→捕まえる、となるべき演技が、逃げると捕まえるが同時になってしまっていて、やや不自然だったこと。

ところで、今から10年前って、携帯電話はそんなにポピュラーなグッズだったかなぁ。まだポケベルとか、PHSとか、そういう時代だった気もする。

こちらも芝居初心者には結構お勧めできる。「水平線の歩き方」よりは若干工夫がある。前から10列目ぐらいなら4000円払う価値があると思う。

ところで、キャラメルボックスがこの手のハーフタイムシアターが赤字だと表明している。もちろんその内容は嘘ではないと思うのだけれど、見る側からすれば、この1時間の芝居に対して4000円というのはやはり割高感が伴う。普段の半分の分量なのに4000円かぁ、というのが正直なところ。劇場は2時間一本でも1時間二本でも基本的に賃料は一緒のはず(多少の変動はあるかもしれないけれど)。役者の日当も、8人を二本立てでも、16人で一本でも、基本的に変わらないはず。となると、パンフレットをつくったり、舞台装置にお金をかけたり、というところが二倍になるのが痛いのだろう。たしかに2時間一本よりは1時間二本の方が絶対にお金がかかる。しかし、その点で言えば2時間一本なら6500円のところ、1時間2本なら合計8000円なわけで、そのあたりの差額は吸収できていても良いのに、と思うのである。このあたりを考えると、ハーフタイムシアターに関しては通常公演よりも動員が難しいということなのかも知れない。しかし、ちょっとこの芝居に4000円より高額を払うのは難しいよなぁ、というのが正直なところ。僕はこの劇団のハーフタイムシアターが結構好きなんだけれど、赤字じゃぁなぁ。なかなか「もっとやってくれ」とも言えない。

それからもう一つ思うのは、もうちょっと座席ごとの金額設定を細かく分けたらどうなのか、ということ。最前列と20列目が同じ値段と言うのはいかにも解せない。最前列なら15000円、5列目なら10000円、10列目なら5000円、15列目以降なら2000円といった具合に、場所によって細かく価格設定をしたらどうなんだろう。キャラメルボックスの芝居は座席の位置によってかなり受ける印象が異なる。制作サイドはそういう指摘に対して大抵の場合、「後ろから観ると、芝居の全体像が観えて、それはそれで面白いんですよ」ということを言うのだが、それは方便。役者の能力にもよるが、やはり芝居は前で観るに越したことはない。汗が見える、涙が見える、つばが見える位置で見る迫力は、20列で見るそれとは全く異なる。そして、後ろに行けば後ろに行くほど、それは演劇から映画の領域に近くなる。今日は20列目でタダで観たわけだが、僕はこの場所での観劇には2000円でも払うことはない。「じゃぁ、ファンクラブに入るなり、頑張って発売初日にチケットを取れば良いじゃないか」という指摘がありそう。ごもっとも。しかし、それではファン層の拡大にはつながらない。コアなファンの、コアなファンによる、コアなファンのためのキャラメルボックスになるだろう。実際、劇団を取り巻く雰囲気はそういうものになってきている気がする。そして、そのせいもあって、僕なども観にいく機会がだんだん減ってきているのである。既存のファンも大事だが、新しいファンを獲得することも考えてみたらどうなんだろう。それがなかなか難しいことだということは百も承知なのだけれど。
俺を縛れ!

俺を縛れ!

柿喰う客

インディペンデントシアターOji(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了

満足度★★★★

縛られて…
まだ初日が終わったばかりなので、ここでは面白かったことだけ書き残し、殺陣が凄かった事も書き残し、、ネタバレBOXへ続く。。

ネタバレBOX

演出家が役者を縛る!キャラクターで縛る!ちょっとした気まぐれで、命令ひとつで、努力も役作りも虚しくあっさりキャラ変更。そして役者は従うのみ。物語なんてどうせ嘘。気分次第。唄いたくなったらフルコーラスで唄うのさ。(またかよっ) ・・ええぃ!もうここまで面白おかしくなったら、縛りなんてブッ飛ばせ!歴史なんか好き勝手に変えちまえ!駄目でもともとだ!最悪、夢オチでも許す!
俺を縛れ!

俺を縛れ!

柿喰う客

インディペンデントシアターOji(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了

満足度★★★

とにかく・・
エネルギーはすごい!・・・。

あと、あれだけスピーディーなセリフをこなす役者さんも・・。

ネタバレBOX

初日でしたのでどうかと思ったのですが、膨大な量のセリフを役者の皆さん、スピーディーに、ほんと、よくこなされているのにビックリ・・。

強いて言えば、主宰が一番咬んでたかも・・。
いや~、とにかくエネルギッシュなのには圧倒されます・・。

今回3回目の観劇ですが・・・。
こういう作風なんでしょうね・・・、本来・・。

何となくそうかな、と納得しました・・。

「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

深化する悲喜劇。
キャラクタが相変わらず秀逸とか、アンチ成長物語でどこにも行かないとか、
悪人は誰一人いなかったとか、痴呆老婆のアサッテぶりが素敵とか。
いやはや、私演劇といって片付けてしまってよいものなのだろうか。

悲喜劇的状況は深みを増し、ポジもネガも同じ状況下でじゃぶじゃぶしている。
そのじゃぶじゃぶの状況に、泣くのは何か善人ぶってる気がするし、
笑うと何か性格悪い奴みたいに感じちゃうし、妙な雰囲気ではあった。

こんな爆弾を放っておいて次作はどうするの、岩井さん。と、余計な心配。

ネタバレBOX

アフタートークでの解説によりかなり現実度が高まった感じ。
本当に私演劇なのだな、というのを実感すると同時に、どこか信じがたい。

6~7割が事実という非常にドメスティックな作品であると同時に、
共感を得られるキャラクタはいるのは強みであるな、と強く感じる。

物語が2周する効果がぐぐっと出ている。
味方したい人物が2周目で変わっちゃうのは、さすが計算高い岩井作品。
でも、そっか、事実なんだなぁ(しみじみ)。

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