最新の観てきた!クチコミ一覧

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床下のほら吹き男

床下のほら吹き男

MONO

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2009/03/07 (土) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

笑いました
土田節炸裂。本当に面白かった。床下のほら吹き男=水沼さんがカッコよかった。

ベルゼブブ兄弟

ベルゼブブ兄弟

劇団鹿殺し

スミックスホールESTA(福岡県)

2009/03/07 (土) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

泣けました
やっぱり“鹿殺し”なお芝居でした。大音量の音楽で歌ったり、派手な照明だったり、へ~と思う場面多数。でも、物語はなんとも泥臭く、青臭く、荒削りで、これまたへ~という感じでした。

夏の夜の夢

夏の夜の夢

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 野外劇場「有度」(静岡県)

2007/06/02 (土) ~ 2007/06/02 (土)公演終了

満足度★★★★★

価値観変わってしまいました・・・
観終わった後、しばらく呆然として静岡の街を歩き回ってしまいました。それまで演劇を創る側からずっと関わってきて、ちょうど自分自身の中で達成感を持ってしまったというか、いきづまりを抱えていた時期ということもあったけど・・・。演劇に何が出きるか、演劇は観る人の人生にどれだけ関与できるかといった点について、ことごとく自分の認識を上書きしてしまった作品です。これを機に海外の演劇作品に興味を持つようになりました。

風街

風街

北九州芸術劇場

あうるすぽっと(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

堪能しました
 桟敷童子的な叙情性を堪能しました。でも、桟敷童子でよく見る滅んでゆく者の寂しさではなく、青空はやがて戻ってくるという希望があるラストで、後味はちょっと異なりますね。
 少年役の二人がすばらしい(お二人とも女子大生さんなのね、びっくり)。

アンティゴネ

アンティゴネ

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2008/06/14 (土) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

度肝抜かれた~
凄すぎて声も出なかった。復讐のギリシャ悲劇を、理屈じゃなく、その身体で受け止めて芝居を創ってました。ちょっと、日本人のギリシャ悲劇とはスケールの桁が違うかな・・・。

MY NAME IS I LOVE YOU

MY NAME IS I LOVE YOU

快快

5TANDA SONIC(東京都)

2009/03/07 (土) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

見ました!
 海外上演のための英語版...ではなくて、学校で英語を勉強した日本人向けなのですね。結構笑ったなあ。英語と日本語で意味がずれてくるくだりは面白い。
 同時通訳風の場面では、両言語とも聞き取りづらくなっちゃうのは要改善っぽい。
 
 ボーナストラックの小作品が秀逸。後半の展開の奇抜さとテンポのよさ、サゲの見事さ。完成度高いなあ。

 蛇足ですが、のんびりしてたらカレーが売り切れました(泣)

12人のそりゃ恐ろしい日本人

12人のそりゃ恐ろしい日本人

劇団チャリT企画

OFF OFFシアター(東京都)

2009/03/03 (火) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★

★★☆☆☆と★★★★☆の間。
★★☆☆☆と★★★★☆の間。
当日パンフによると主宰さん、当初の企画は頓挫したそうで、法廷はでてこず、選ばれた人のうち一人をフォーカスしその生活感を中心に(+裁判員制度の合議)描いてます。

わりとしょっぱなで、陪審員は米国の制度であり、日本が導入するのは裁判員制度で、裁判官3人+裁判員6人、計9人により、有罪無罪の判断、量刑の裁定まで行うのだと、無知な市民向けに説明の台詞が入るところで感心w
てっきり陪審員制度だと勘違いしてました(汗)

枝葉ではコミカルな台詞も多く半分コメディの様子だが、社会問題のシーンまで盛り込まれていて。げふっ。

終盤の15分くらいのどうでもいいドタバタは、蛇足みたいなもんで、流石にもういらないよな~。と。げふっ。

ちなみに、「そりゃ恐ろしい」は、とってつけただけのようざんした。

Dial A Ghost

Dial A Ghost

劇団うりんこ

まつもと市民芸術館 小ホール(長野県)

2009/03/14 (土) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★

人間一人では生きていけないのねぇ
北とぴあ、つつじホールにて
山崎清介さんはポンキッキのお兄さんの時代からずぅーっとみています。
まだグローブ座がパナソニック時代だったころ、ワークショップでお世話になったことも…。
後半はテンポもあり楽しかったです。子供の笑い声とかも会場に響いて、やっぱり舞台は良いなぁって改めて感じました。

恋人としては無理(JAPAN TOUR)

恋人としては無理(JAPAN TOUR)

柿喰う客

STスポット(神奈川県)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/09 (月)公演終了

満足度

みた。
一度観てみたかったので期待してましたが・・・
フツウのまま終わって特になにも感じず。期待しすぎた。
それよりも地方公演だから?って客の扱いがひどい。
ひたすら不快でした。
アフタートーク中野さんいないし。

春琴

春琴

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

観入っちゃいました!
いかに観客を物語に引き込むかという点で、とても練られた舞台だと思いました。

誰も寝てはならぬ 

誰も寝てはならぬ 

国道五十八号戦線

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

満足です!
のっけから引きずり込まれました。人物設定が分かりやすく,後の展開が見えないところから,最後まで途切れることなく,見入っていました。最後に役者さんたちには思いっきり拍手したかったなぁ。久々の☆5つ。絶賛します。

パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

ミニミニディズニー!
とっても楽しい!観に行って良かった!
最後まで他を観るか迷いに迷ったけれど、結果、こんな楽しい舞台は無かった!

いあいあ、社会人は負けてはいられませぬ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

早稲田の舞台は個人的に本当に一目おいてるワタクシ。
この大学ほど、芸術に関して優遇されてる大学はないよね。
あちこちに舞台を発表する機会がある小屋が点在してるのも、それを後押しする起因だよね。恵まれてる。

で、路上や海外などでパントマイムは観た事があるけれど、こんな風に笑って楽しませてくれた舞台はなかった!

個人的には「コンプレックスと風船」はリアルすぎて苦笑したし、「笑いの人形の館」はホラー丸出しで、最初ニコニコしていた人形たちが、観客を自分たちの世界に取り込む時のあな恐ろしい顔ったらなかった!
「ボウリング」のコミカルさには大笑いしたし、「しかけ時計」の人形の動きには、もう、感動!
「GAME」では、ついついイエスと返事したばっかりにステージ1に戻るというコメディもお見事!
「ガミガミ大佐の誕生日」では大佐のキャラの作り方が本当に絶妙で、可笑しかった!

いあいあ大絶賛!です。

これを観ると負けてはいられぬ。なんて妙にやる気が出てきてしまう、そんな舞台。

会場では、観客が就活にはもう遅い。なんて言葉が飛び交い、なんだか懐かしい空間を過ごした。素晴らしいです。
もっと早く観てやれば良かった。と悔やむ。
もっと宣伝してやれば良かった、と・・。

パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめました
パントマイム公演を観るのは初めてでしたが、
堪能できました。
最初は、これがパントマイム? ダンスパフォーマンスでは? という
感じでしたが、自分の考えている「パントマイム」という枠を外して
楽しむことに切り替えたら、途端に面白く観ることができました。
自身の固定観念や誤解が、勝手にパントマイムという領域を狭めていた
ようです。演劇の本質を少し考えさせられました。

ラストナンバー2009

ラストナンバー2009

ナルペクト

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかった~
若尾桂子ちゃん目当てで観劇。楽しかった~。

前説は「TOKYO無鉄砲」の三人組。初めて見ました。ギャグはすべりまくっていましたが、なんかアットホームな感じで好感が持てました。

前説で「岸田健作さんへの『無茶ぶり』のコーナーがあるのでそこも気にしながら見て下さい」という説明がありました。このコーナー、こう言っては何ですが、今回の舞台の中で一番大笑いしました。あまりの無茶ぶりに岸田健作さんが芝居を忘れて「ナルさん」とか呼んじゃうし(笑) 毎回、振るネタが違うようなので、何度見に行っても新鮮な部分だと思います。

笑いがすべるシーンもありますが、随所にちりばめられた笑いで楽しませてくれました。

ピアノの生演奏でのBGMも雰囲気がとてもよく、いい感じです。

タイトルの「ラストナンバー」が一体どういうものなのか、それがこの芝居のキーになるのですが、最後はちょっとほろっとさせてくれます。

菊地健一さんの演技がとても自然な感じでハマってました。

2時間越えの舞台が長く感じないほど面白いお芝居でした。でもね、若尾桂子ちゃんの出番が少なかったので、ちょっと残念。若尾桂子をもっと出せ!というのが本音です(笑)

これで観劇料3000円というのはちょうど良い価格設定だと思います。

ネタバレBOX

「謎の死をとげたロックミュージシャンの真相に迫るためひとりの男が立ち上がった。その結末とは…?」とあるように、「フレディ・小早川」(NARU)という一人の男の死について謎を追うストーリー。謎を解くために立ち上がった男は三流雑誌の記者、伊藤(影山憲男)。伊藤がフレディ・小早川の死の謎を追うきっかけを作った編集者・小松みゆき役に若尾桂子ちゃん。

伊藤がインタビューなどで話を聞くたびに過去の回想シーンに場面転換という手法で話が進みます。

これが「ロック」なのか?という疑問はあるものの、フレディが持っていた心意気は「ロック」だったんでしょうね。最後に富士山へ登って「ラストナンバー」を歌うシーンでは、ちょっとほろっときました。謎を解明してやっとたどり着く「しおり」を演じる伊藤愛さんがとても可憐で、もうちょっと彼女のお芝居を観たかった気もします。

岸田健作さんの歌もあり、おおっ、なかなかうまいじゃん、と思って見ていました。

無茶ぶりコーナーでは、「田舎のおかあさんみたいに叱る」とか、「デコトラで来る」とか、もう勘弁して~状態の岸田健作さんが笑えました。正直、一番大笑いしたのがこのコーナーです。芝居というより、完全にお笑いコントでした。

丹羽紋子さん演じるストーカーは、もっともっと病的な感じでも良かったかなと思います。最後は結局人間的になってましたから、最後の最後までストーカーらしく終わらせた方がむしろ気持ちが良かったかも。ストーカーだということを前提にして考えると、喫茶店での登場シーンでは、もう少し視線の動きなどを菊地さんの方にちらちら向ける、なんて演出があってもいいのかなと思いました。

若尾桂子ちゃんは編集者の小松みゆき役でしたが、全くギャグに絡むこともなかったので、今ひとつ不満。伊藤と一緒になって謎を解き明かすという感じで絡んできても良かったんじゃないかなと思いました。
12人のそりゃ恐ろしい日本人

12人のそりゃ恐ろしい日本人

劇団チャリT企画

OFF OFFシアター(東京都)

2009/03/03 (火) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

おもしろくなかった。
前回に引き続き、
ザンヨウコさんが好演。
内山奈々さんがよいです。

居候の男が漫画を読んで笑っている、というシーンからはじまるのですが、
笑う演技って難しいんだなと思った。

前半はとても楽しみました。
後半のストーリーはぶん投げたなぁと思いました。。

人によってはそれがよいと言う方もいるのかもしれませんが
自分の趣味としてはネズミ狩りがよかっただけに残念。

チャリTの持つ
まじめな部分とナンセンスな部分がもっとうまく融合したら
もっと劇団としてよくなるのかもしれないと思いました。

でもまた観にいきます。

風街

風街

北九州芸術劇場

あうるすぽっと(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

優しい物語。
東氏の直近の作品「黄金の猿」とは正反対の作風でした。(書いている先が違うのもあるのでしょうが)
しかし相変わらずの生きる節、涙が出るほどの青い空。
とっても素敵なお話でした。

ネタバレBOX

学役の烏山さんの、悲しいまでの純粋さが素晴らしかったです。

しかし感情が爆発して走りまわるところは、もうちょっと大きな声を出していただきたかった。
ちょっと小さい声でしたので、アレ?となってしまいました;
『すべての風景の中にあなたがいます』『光の帝国』

『すべての風景の中にあなたがいます』『光の帝国』

演劇集団キャラメルボックス

新宿FACE(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

キャラメルボックスらしいお勧めの二本
『光の帝国』感想
■脚本・演出
成井豊
真柴あずき

■CAST
春田光紀: 畑中智行
春田記実子: 岡内美喜子
猪狩悠介: 大内厚雄
猪狩義正: 阿部丈二
春田里子: 坂口理恵
春田貴世誌: 小多田直樹
寺崎美千代: 小林千恵
猪狩康介: 鍜治本大樹
今枝日菜子: 井上麻美子

全体的にゆるやかな雰囲気のなかで話が流れて行きました。原作を読んでいない方も十分に楽しめる内容だったと思いますが、原作を先に読んでいた方がより楽しめるものになっていたように思います。

回想という手法を使うことは予想できましたが、想像していたものとは違っていました。この構成によって、主題が原作とは微妙に違う内容になってます。もう少し原作のテイストを残してもよかったのではないかと感じました。

「しまう」とは何か、「響く」とはどういうことなのか、原作を読んでいない人には少し説明が足りないのではないかと思いました。雰囲気でなんとなくわかるとは思うのですが、単に「記憶する」ということとはどうちがうのかという部分の説明に時間を割いてもよかったと思います。

「遠目」「遠耳」などが会話の中に出てきますが、これもさらっと使われていて、原作を読んでいない人にはうまく伝わっていない気がします。

逆に原作を読んでこの芝居を見ると、短編「おおきな引き出し」以外の部分からのエピソードが使われていて、ああ、これはあそこの話だなと楽しむことが出来ました。

笑いが比較的少なかったかなというのが実感。もともと少し切ない話なので、あまり笑いとは馴染まなかったのかもしれません。

記実子と光紀の姉弟の両親にまつわるエピソードをみて、「七瀬ふたたび」を思い出しました。そこだけ七瀬の世界に飛び込んだよう。そういえば、脚本の真柴あずきさんは昨年NHKで放映された「七瀬ふたたび」の脚本もやっていらしたんですよね。そんな影響もあったのかもしれません。

春田家の家族はとてもいい雰囲気でした。両親を演じる小多田直樹さん、坂口理恵さんが長年連れ添った夫婦の仲をうまく表現し、そこに記実子役の岡内美喜子さん、光紀役の畑中智行さんが入り込んで、仲の良い家族ができあがっています。うちもこんな家族になりたい。

一時間は短いです。もっと「常野」の話をキャラメルボックスでやって欲しい。もっと「常野」を舞台で見ていたい。そんな余韻が残りました。短編もいいですが、次は『蒲公英草紙』をフルタイムでやってもらえないでしょうか。

ハーフタイムシアター2009のもう一つの公演『すべての風景の中にあなたがいます』の原作者「梶尾」(梶尾真治)の名前がこの芝居の中に登場します。これから見る方はどこに登場するのか見つけてみるのも楽しいでしょう。

忙しい方にも気軽に観に行けるハーフタイムシアター。
『光の帝国』はお勧めの一本です。



『すべての風景の中にあなたがいます』感想
■脚本・演出
成井豊
真柴あずき

■CAST
瀧水浩一: 岡田達也
藤枝沙穂流: 温井摩耶
加塩伸二: 細見大輔
藤枝沙知夫: 佐東広之
藤枝詩波流: 岡田さつき
今村芽里: 久保田晶子
長者原元: 多田直人
天草志路美: 稲野杏那

キャラメルボックスと梶尾作品は定評があり、その期待に応えてくれました。純粋な二人の愛をキャラメルボックスらしさで表現しています。

加塩伸二というキャラクターを前面に出すことで、物語が面白おかしく展開しています。原作者の梶尾真治さんの分身で、難解なタイムトラベルやそのパラドックスについて優しい言葉で解説するという役割を担っています。

加塩を演じる細見大輔さんがカミカミ王子になってました(笑) カミカミ王子はファンの間では有名だそうで、それがまた楽しめる細見さんの魅力だったりするようです。舞台の前面で行われている芝居の後ろでいろんなことをしている加塩伸二こと細見大輔さんにも注目です。なんでここでそんなことを?みたいなことをやってくれてました(爆

タイムマシンの説明で「光よりも速く移動する必要がある」という説明があったのですが、これはタキオン粒子のことを指していたのでしょうか。ブラックホールを光速で移動させるなどの理論的なタイムトラベルの可能性とか、なんとなくツッコミを入れたくなりました。

白鳥山や山芍薬のシーンで、もう少し光などの効果を使ってもよかったかなと思います。さらっと流されている感じがして物足りませんでした。物足りないといえば、コーヒー。え~、それはないだろうという展開。山好きだったらシェラカップを使って淹れてほしかったと思いました。

稲野杏那さんの初舞台。可愛らしい役者さんですね。とても生き生きと演技していたようです。歳を経た役柄にも挑戦しているのですが、こちらはまだちょっと歳の重みが感じられないというか、若さが出てしまっているように感じました。それでも躍動感溢れる演技で、今後が期待できます。

タイトルの「すべての風景の中にあなたがいます」という滝水の想いがちょっと伝わりづらかったのではないでしょうか。稲野杏那さん演じる天草志路美の台詞回しで、さらっと流れてしまっているような気がしました。ここはもっと重点を置くポイントだったと思います。

ストーリーの顛末はおそらく途中で想像がつくでしょう。梶尾真治はハッピーエンドを得意とする作家ですので、そういう意味でも結末が想像できると思います。しかしそれがわかっていてさえ、どんな風に見せてくれるのかという期待が湧き、舞台はそれを裏切らずに見せてくれました。

白鳥山つながりということで、次は『インナーネットの香保里』をフルタイムで舞台化してほしいです。

ハーフタイムシアター2009のもう一つの公演『光の帝国』の原作者「恩田」(恩田陸)の名前がこの芝居の中に登場します。どこに登場するのか見つけてみるのも楽しいでしょう。

時を越えたラブロマンス。成井豊さんが直球勝負で挑んだというこの作品。
お勧めです。

ネタバレBOX

『光の帝国』感想
原作の「大きな引き出し」では、それまで「しまう」(物事を記憶する)ことしかできなかった主人公の少年光紀が、死に直面した老人の生涯に触れて初めて「響く」(記憶した事柄の意味を感じ取る)ことによって大人への一歩を踏み出す、というストーリーでした。これがキャラメルボックスの舞台では、光紀の成長よりもむしろ猪狩悠介の心の葛藤がテーマとなり、原作とはかなり異なる視点で描かれていました。


舞台は春田記実子とその弟、春田光紀が映画監督の猪狩悠介の家を訪ねるところから始まります。猪狩悠介は不思議な力を持つ「常野」の人々を映画にしようとしていて、記実子はそれを阻止したいと考えています。悠介が「常野」を映画で公表しようと思いついたのは15年前のある出来事がきっかけでした。

原作「大きな引き出し」のエピソードが15年前の出来事としてここで展開されます。その中でさらに原作の短編「光の帝国」の挿話が語られています。

そして、現在に戻り、猪狩悠介に「常野」の映画化を止めさせようとする姉弟。二人の両親は、その力を利用しようとする何物かに追われて車で逃走中に事故にあって亡くなった事を、光紀が力を使って悠介に伝えます。それによって、悠介は「常野」のことを公開することで、平和に暮らしている「常野」の人々を危険にさらすことになることを知るのです。二人が去った後、悠介は書き上げた脚本を破り捨てるのでした。


「大きな引き出し」のエピソードを回想にし、その外側に「常野」を世間に知らしめることによって「常野」の人々の安寧を破壊することになるという現在の問題を加える、という構成になっています。二つのテーマが同時進行することにより、物語の中心が散逸になった感がありました。

冒頭にスクリーンで映される「僕らは光の子供だ」という文字。そして終盤でも光紀によって改めて「僕らは光の子供だ」という台詞が語られます。これが本来のテーマだと思うのですが、「常野」の映画を作るという猪狩祐介の葛藤のシーンにかき消され、薄れてしまっていました。「僕は忘れないんです」という台詞を光紀に二度吐かせることで、また、「光の子」ということを強調することで、光紀が主人公だということはわかるのですが、全体を通してみたとき、猪狩悠介が主人公であるようにも思え、どこが主題なのかぼやけてしまっているように感じます。

原作では老人の名前すら出てきません。老人の職業に関する記述もなく、生涯は十数行という短い記述しかありませんでした。これをどう舞台化するのかというのがポイントだったと思います。ベッドに伏す老人の周りに入れ替わり立ち替わり人が現れて老人に語りかけます。それによって、老人の生涯を表すと共に、息子である悠介との確執がうまく表現されていると思いました。

「平家物語」を暗誦するシーンがいくつか出てきます。結構な長台詞を一気に口にしているのを見て、拍手を送りたくなりました。役者も「しまって」「響かせて」いるんですね。

原作にある「虫干し」には全く触れられていませんでした。「常野」の能力の話がメインではなかったので、一時間に話をまとめる上では必要なかったのだと思います。

一時間は短いです。もっと「常野」の話をキャラメルボックスでやって欲しい。もっと「常野」を舞台で見ていたい。そんな余韻が残りました。短編もいいですが、次は『蒲公英草紙』をフルタイムでやってもらえないでしょうか。

ハーフタイムシアター2009のもう一つの公演『すべての風景の中にあなたがいます』の原作者「梶尾」(梶尾真治)の名前がこの芝居の中に登場します。これから見る方はどこに登場するのか見つけてみるのも楽しいでしょう。

忙しい方にも気軽に観に行けるハーフタイムシアター。
『光の帝国』はお勧めの一本です。



『すべての風景の中にあなたがいます』感想
梶尾真治さんの中篇『未来(あした)のおもいで』の雰囲気を損なわずに、回想という手法をうまく使って舞台化しています。小説をそのまま舞台化したのでは手紙のやり取りに終始してしまいそうなところを、作家加塩伸二を介在させることで面白おかしく展開することに成功しています。


12時を知らせる時計の鐘の音。話はSF作家加塩伸二の部屋に滝水浩一がやってくるところから始まります。今を遡ること8ヶ月前。4月に熊本県の県境にある白鳥山に滝水が登ったときの出来事が語られます。

霧を抜けて、例年は5月に咲くはずのヤマシャクヤクの花が一面に咲いているのを滝水は見つけます。晴れていた天気は一転、激しい雷雨に。そこで一人の美しい女性に会います。一緒に洞穴で雨宿りをするのですが、そこで滝水のコーヒーをおいしいおいしいと飲むその女性に滝水はひとめぼれするのです。彼女には自分の住所の書いてあるザックカバーを渡し、滝水は彼女が去った後に彼女の手帳を見つけます。

手帳を返そうとそこに書かれた住所を訪れてみるが、そこにいたのは同じ藤枝でも名前の違う夫婦だけ。沙穂流はまだ生まれておらず、彼女は2033年に生きている事を知ることになります。

滝水と沙穂流のやりとりは白鳥山の洞穴に現れる手紙だけ。やがて、滝水は沙穂流を書いた絵で大賞をとり、沙穂流は未来でそれを知ります。二人は決して出会うことなく手紙のやり取りだけで愛をはぐくみます。

そして、沙穂流は滝水が2006年12月30日に白鳥山で遭難して消息を絶った事を知り、その事実を手紙に託します。それを知った滝水は加塩の元を訪ねたのです。

時計の鐘が夜の12時を打ち、12月30日に日が変わります。滝水はどうするのか。止める加塩を残し、滝水は白鳥山に向かいました。

そして。沙穂流が白鳥山を訪れると、一転にわかにかき曇り、雪と霧が出てきます。そしてその向こうからコーヒーをザックに詰めた瀧水浩一が現れるのでした。


2033年には手に入らなくなっている「コーヒー」が重要なアイテムなのですが、加塩伸二の部屋で「加塩特製インスタントコーヒー」が出てきたときにはちょっとがっかり。うそでもいいからレギュラーコーヒーにして欲しかったところ。滝水と沙穂流が出会ったところのコーヒーも、ポットからコーヒーを注いでいるのも残念。形ばかりでもストーブとコッヘル、シェラカップを出してほしかった。

最後のシーンでもバッグが小さい。原作に書かれているように大きなリュックを背負って滝水には登場してほしかったと思います。リュックの大きさが沙穂流への想いの大きさでもあったはずなのですから。

「夢を夢で終わらせなかった奴だけが歴史を変えてきた」という滝水の台詞。心に染み入ります。夢を夢だとあきらめていては、何も変えられないし何も得られないのです。滝水の想いの強さこそが歴史を変える力になるのです。

劇中でジャック・フィニィの『ゲイルズ・バーグの春を愛す』や『ふりだしに戻る』とリチャード・マシスンの『ある日どこかで』の話が登場します。『ゲイルズバーグの春を愛す』に所収の短編「愛の手紙」は主人公が手に入れた古い机の引き出しを通して、過去の女性と手紙のやり取りをする話。『ある日どこかで』は身に付けるものをすべて古いものにし、自分が行きたい年代にいるのだと強く念じることで過去にタイムトラベル話。『ふりだしに戻る』も思いによって過去にタイムトラベルできるとする話です。タイムマシンを使わずに時間流を移動する方法としてこうした「想い」によるタイムトラベルの例を加塩伸二が説明しています。

原作ではちょい役として登場する原作者の分身加塩伸二がこの劇では最初から重要な役どころを与えられています。加塩がひょうきんな役になっているので、舞台全体がとても明るいものになっていました。

「左手はそえるだけ」というギャグがありました。「ケロロ軍曹」が元ネタ(ドロロ兵長の得意技)だと思っていたら、「スラムダンク」が元ネタでした。客席は爆笑でしたが、元ネタをわかって笑っている人がどれだけいたのか、ちょっと聞いてみたいところです。

時を越えたラブロマンス。成井豊さんが直球勝負で挑んだというこの作品。お勧めです。
蒼の残光

蒼の残光

ACファクトリー

シアターサンモール(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

アクションすげーっ!
初めて AC ファクトリーの舞台を観劇しました。
とにかくアクションがすごかった。それに光の使い方がとても印象的でした。

詳細な感想は下のリンク先をご覧ください(ネタバレあり)。

アクションすげーっ!:「蒼の残光 ~BLUE AFTERGLOW~」(ACファクトリー)
http://ncc-1701.air-nifty.com/vsa/2008/12/blue-afterglow-.html

冷静になってみると
http://ncc-1701.air-nifty.com/vsa/2008/12/post-24aa.html

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

演劇集団キャラメルボックス

シアターアプル(東京都)

2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了

満足度★★★

ファンタジーです(『ハックルベリーにさよならを』)
娘と二人で表題のキャラメルボックスの芝居を観て来ました。

何回も繰り返し公演されている演題らしいですが、観るのはこれが初めて。

ファンタジーっぽいストーリーでした。少年の大人への成長がテーマ。

ツッコミどころはありますが、なかなか楽しめました。

ケンジを演じる實川貴美子さんが少年にしか見えなくて、スゴイと思いました。

娘は大声出して笑ってましたし、舞台にあったアレがあんなことに使われて驚いていました。

きみがいた時間 ぼくのいく時間

きみがいた時間 ぼくのいく時間

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2008/02/28 (木) ~ 2008/04/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

初めての観劇
演劇集団キャラメルボックスの舞台芝居の公演『きみがいた時間 ぼくのいく時間』 を観てきました。友人と、我が小6の娘とともに。

私も娘も原作の同名小説を二回ずつ読んでいるので、ストーリーはすっかり頭に入っていました。それを舞台でどう見せてくれるのか。これが今回のポイントでした。

物心ついてから芝居を観るのはこれが初めて。舞台の芝居をどうやって観ればいいやら、さっぱりわからないまま公演が始まりました。

正直、芝居慣れしていないので、最初はお芝居お芝居した台詞回しと演技に、ふっと引いてしまう自分がいましたが、話に引きこまれていき、最後には何の違和感もなく見入っていました。

あそこはどうするんだろう、と思っていた箇所が二箇所あったのですが、さすがにそこは脚本家がうまくするりと交わしてくれました。そうか、そういう風になっていたのか。なーるほど。インド人もびっくり。

原作とはこういうところが違ったねぇと娘と二人で話しながら帰ってきましたが、芝居のストーリーもしっかりと構成されていて見所満点でした。

笑いあり涙あり、感動の物語、あっと驚くタメゴロウです。ああ、書きたいけど書けない...

途中でキャラメルボックス始まって以来という「休憩」が入ります。

主役秋沢里志を演じる上川隆也もさることながら梨田紘未を演じる西山繭子(http://www.flamme.co.jp/MayukoNishiyama/flm_profmn.html)がよかった。
この女優はどこかで見たことがあると思ったら、ギャルサーとか探偵学園Qに出ていたんですね。

オレが覚えているくらいだからなんか特撮に出ていたのではないかと思いましたが、ケータイ刑事銭形泪は見てなかったし...いずれにしても、スタイル抜群の素敵な女優さんでした。写真より実物の方がずっときれい。まぁ、女優さんて、えてしてそういうもんですが。

ストーリーを見るばかりでなく、そういうところもかなり気になりました。

舞台にはカーテンコールなんてものがあるのも全然知りませんでした。

娘もかなり感動して興奮気味。楽しかったと顔を紅潮させていました。

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