関数ドミノ
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
めずらしく★5つ。
イキウメは「散歩する侵略者」の再演から見ているのですが、あれを超える作品はなかなか見れるものではないと思ってました。
その後のイキウメの作品も見ているけど、短編集が素晴らしかったけど「散歩する侵略者」の衝撃はさすがになかったです。
でも、この作品で扱っている概念の面白さと、それをストーリーとしてうまく構成した手腕にゾクゾクしました。
自分は★5つはあまり付けないようにしているのですが、この舞台は久々に5つ付けます!
まだ改善できる点はあると思うけど、この作品で描いている人間の欲望と無力さ、そして最後のどんでん返しが素晴らしかったです。
ストーリーで勝負する作品なら、こういった人間の根源を丁寧に独自の解釈とアイデアで描いた作品が大好きです。
演出はとてもオーソドックスで技巧に走っていない分、演劇を見た事がない人にでも安心して勧められる作品だと思います。
惜しいのは、これだけオーソドックスにまとめられると、別に演劇でなくても、むしろ映画にした方が面白い作品に出来あがってしまったかもしれない、というところでしょうか。
観劇予定の方はネタバレは決して見ないでください。
ネタバレBOX
ある事故で男性が轢かれた。
と思ったが男性は無傷で跳ね飛ばされたのは車の方だった。
その事故を目撃した男(マカベ)は、轢かれそうになった男性の友人(モリオ)が道路脇で「やめろ!」と叫んだ瞬間に車が撥ね飛ばされたのを目にしており、マカベはモリオが「ドミノ」であると確信する。
「ドミノ」とはどんな望みでも、心に思う事で実現出来てしまうという、正に神のような存在。
それは期間限定で、本人も「ドミノ」である事は気づかない場合が多い。
もしそれに気づいた場合は、かつてヒトラーがそうしたようにその力を使って世界を支配する事も考えるかもしれない。
神なのか悪魔なのか、それはその「ドミノ」が何を思うかによって変わってしまうし、周りのひとの捉え方によっても変わってしまう。
「ドミノ」であるモリオに好きだった片思いの女性を取られたと思うモリオの友人は彼を「悪魔」と呼ぶ。
モリオによってHIVウィルスを消滅させる事が出来た男性トロは、彼は「神」だと言う。
しかし、「ドミノ」は自分がドミノである事は気づいていない。
実はモリオが「ドミノ」であり、彼によって奇跡が起こされているというのもマカベの心の中で思っていた奇跡であり、マカベが真の「ドミノ」だった。
彼はその事に気づいていなかっただけで、ネガティブな思考は全てネガティブに実現されてしまう、というのも「ドミノ」の力によるもの。
世の中には何をやっても上手くいってしまうひとがいる。
そんな人の陰には何をやっても上手くいかないひと達がいる。
「自分がうまくいかないのは奴のせいだ」と思ってしまう。
「ドミノ」という概念はとても深い。
そして恐ろしい。
SFではあるけど、これは人間誰もが心に抱いている考えを概念がしたもの。
その描き方のうまさとドンデン返しの巧みさには舌を巻きました。
役者さんも、まだ公演が始まって間もないけど、しっかり役を自分のものにしていました。
twinkle twinkle little Letter
劇団ドラマチッカーズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2009/05/03 (日) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★
観てきました!
ちょっとしつこいなあと感じるところがありつつも・・・
笑いの場面のテンポが良かったです。
主人公がイメージばっちりでした。
でもカワセミが「帰れないかも」という大事なきっかけが・・・その状況でどうして出てくるのかがわからない。
PerformenⅣ~Inferno~
電動夏子安置システム
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/12 (火)公演終了
満足度★★★★
楽しい!面白い!
電動夏子安置システムは毎回面白い試みをしてくれて、それをしっかり笑いに仕上げているあたりが好きです。
今回は「Performen」の4作目らしいですが、自分はこのシリーズ初見。
でも、そんな事は関係なく楽しませてくれます。
役者さんは20名以上参加されていて、そういう場合大きく扱われる方とアンサンブル的な扱いの方に分かれるかと思いきや、皆さん個性豊かで印象的でした。
「カレ」という男の子を演じていた片桐はずきさんのボーイッシュな魅力と身の軽さを生かした躍動感ある演技が良いです。
劇団員では安定感のある道井さん、なしおさん、演出も兼ねる高松さん、小原さん、「チョナンカン」ネタで笑わせてくれた澤村さん等など安心して見れました。
特に渡辺美弥子さんが、端正な顔立ちながら表情豊かで、軽快に動き回って印象的でした。
当日パンフが中6ページでカラー刷りという豪華さで、役者さんひとりひとりも詳しく書いてあるし、今回の作品についてもちゃんと解説されていて、好印象です。
舞台美術も、シンプルながら趣きのある舞台で、衣装も揃られていて、オープニングやクライマックスの全員で揃った動きをする時の見栄えがとても良かったです。
ネタバレBOX
「人間は点と線で描ける」という芸術家と「人間を描く時に輪郭線を描くのはおかしい」という芸術家の議論から幕が開く。
人間を点と線で描けるというのは人間の仕組み、人間の設計図を描く事であり、それは神の領域だとか何とか・・・。
この辺りは概念的な議論で、ちょっと聞いてるだけだと良くわからなくなってしまう。
人間は毎日同じ事、同じ動作を繰り返していて、そんな世界の姿を探りに行く「カレ」がリネアという、芸術家の弟子と共に牢獄を探ってゆくというのが全体のストーリー。
で、「カレ」が訪れる牢獄がそれぞれ伝夏お得意のロジカルコントで描かれているのでした。
【配線】
舞台上手と下手で別々の話が同時進行するのだけど、片方の登場人物の動作がもう片方の話の登場人物の動作に移ってしまうというルール。
下手では銀行強盗に対する刑事。
上手では旦那の両親が訪れて対応する妻。
なしおさんの銀行員が面白い!
【吹替】
覗きが趣味の男が、覗いているシーンに勝手にセリフを当ててしまう事で、実際に演じられている家庭の様子とセリフのギャップを笑う話。
覗きがどんどん増えて、吹替え勝負になってしまう強引さが面白い。
【範囲】
あるマンションで隣り合って暮らす男女。ふたりはお互いのいる、ある一定の範囲しか離れる事ができなくて、目に見えない紐のようなもので結ばれて自由に行動する事ができない。
女性が見合いをする事になって、男性はその見合い会場のレストランでウェイターをやっているが、半径5mくらいしか離れる事が出来ないためお互いに落ち着かない。
特にウェイターは客が入ってきても客の前まで行く事が出来ず、5mくらい離れてメニューを見せたりとか、じょんさんのドタバタぶりが楽しい!
客がこっそり北の国からの五郎さんを演じてたのも楽しかったです。
【伝言】
携帯が電波の異常で使えなくなってしまったので、代わりに伝言屋(?)が伝言リレーでメールの内容を伝えてゆく。
出会い系で出合ったふたりのメール交換だが、実は女性と思ってメールをしていた相手は男で、騙していた。
そんな複雑なふたりのメールのやり取りを更に複雑にしてくれる伝言屋たち。
金で買収されるし、勝手に内容を変えるし、耳が悪くて正しく伝えられないし。
このコントが相当面白かったです。
【空白】
ある事件の起こる前と、起こった後。
その間の空白の時を埋めるために、辻褄合わせに右往左往して何とか無理やり空白を埋めてゆく。
もうここまで来ると理屈とかはどうでも良くなってきます。
渡辺さんが面白かったです。
【条件】
電車に乗って座りたい男性。
空いてる席に座ると必ず邪魔が入るので座れなくなって席を立って次の車両へと移ってゆく。
すると次の車両も全く同じ人たちが座っていて、同じ出来事が同じ順番に起こってゆく。
ルールを理解した男性はそれを見て「このタイミングでここへ座れば良い」と試してゆくけど、何回繰り返してもうまくいかない・・・。
道井さんが舞台の裏(最後の方は舞台の見えるところ)を走って何度も行ったり来たりで大忙しの大活躍でした。
全体としてはコントの連作なのだけど、それを包み込む「人間とは」という大きな命題。
それらがうまくかみ合って機能していたかは疑問なのですが、ひとつひとつのクオリティーが高くて楽しめました。
私たちの誠実さにはいつも, 何かしらの嘘が混じっている
village80%
西鉄ホール(福岡県)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/02 (土)公演終了
満足度★★★
難しい
最初から複雑な場面が長く続いたので、その場で理解しきれなかったです。
空間はいいけれど、時が超えるのはなかなか見えずらかったり。
舞台や道具は綺麗だなぁと思ったところが何回もありました。
伝えたいことには共感します。
ネタバレBOX
舞台や道具というのは具体的には天井から糸を張ったのや瓶など。
伝えたいことというのは主に“不在”が語られることで“不在”がかたどられるということについての感想です。
針
メタリック農家
駅前劇場(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
王女の恋物語
王女の恋物語。
王女役の内田さんが綺麗がドレス姿も素適でした♪
チェリーボーイ・ゴッドガール
ゴジゲン
OFF OFFシアター(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
アフタートークイベント
アフタートークイベントがとにかく可笑しくて、とてもここには書けないけど、あるある的な感じのする濃密な時間でした。
針
メタリック農家
駅前劇場(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★
少女マンガとして
ラブリーで切ないお話でした。ビジュアル的に美しくって、それだけでもわくわくします。
ネタバレBOX
おとぎ話でマンガチックなのに、変なところでちょこちょこ現実味を帯びてしまうのでちょっとバランスをとるのに戸惑いました。王女とか魔女とかドレスとか不治の病とか、メルヘン要素をちりばめながら俳優さんの名前と役名が一緒だったり、在日とかお金儲けとかの生々しい現実だったりが混ざってくるところ。
物語としてのリアリティと生活につながってしまう現実感とは別だっていうことを踏まえて、完全に夢の世界だったらよかったのかな。
王女と仕立て屋、兄と妹、感情の生々しさと想いの純粋さはきゅいんとなりました。
PerformenⅣ~Inferno~
電動夏子安置システム
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/12 (火)公演終了
満足度★★★
ゲーム感覚
まずはリネア編を。inferno最深部を目指して物語は進んでいくけど、私は個々の場面場面が楽しく感じました。全体のストーリーはやや弱く思える。電動夏子ならではのルールと笑いは磐石。
ネタバレBOX
最深部に向かう途中の段階で、それぞれルールがあり、それに則って演じられます。全体を通してのルールではないので、わりと気楽に楽しめる感じ。演じてる俳優に対して吹き替えしたりとか、メールの代わりに伝言ゲームをしたり。
各場面をクリアしていってレベルアップしていくゲームのようでおもしろかった。けどその分それぞれが独立しているように思いました。それならそれで、もう少し場面クリア、的なすっきり感、っていうかオチがすとんと来るともっと楽しいかな。
通信ボちょーだい女
バナナ学園純情乙女組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/05/09 (土) ~ 2009/05/12 (火)公演終了
満足度★★
おはぎライブヲタならば。
直前になっての公演内容変更。前回に引き続き、脚本の仕上がりの遅さを理由にライブ中心の構成。90分のうち60分はライブです。
ネタバレBOX
脚本できないっていうのがネタなのか本当なのか、どっちでもいいけど前日当日に届いたことを理由に公演内容を変更するのはどうなんでしょうね。今までのことを踏まえたらそんなこと予測範囲内だろうに。ちゃんと公演するならば、おはぎライブの稽古ばかりじゃなく、再演でも何でも打てるように準備するのが筋じゃないかと。
とはいっても、おはぎライブも楽しいですけどね。かわゆいし。でもそれ以上に私は公演が好きなので、観られないのは残念です。
おはぎライブは日によって内容や飛び入りゲストが変わるみたいなので、行かれる方はよく調べてからがいいかも。
新橋フロリダ
昭和芸能舎
SPACE107(東京都)
2009/04/21 (火) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★
得意の人情系ストーリー
経営に苦しむキャバレーを描いた、羽原主宰お得意の人情系ストーリー、これまたお得意(?)のショー場面も今回がさよなら公演(といっても解散するのでなく次回から「昭和芸能舎」に改名するということなんだが)だけに、冒頭(練習シーン)とラストに配して、従来比2倍、みたいな?(笑)
舞台が昭和45年なだけに客入れ時のBGMから劇中使用曲、当時の出来事などリアルタイムで知っていた身として「昭和か、何もかも懐かしい…」であり、使用曲がイントロドン状態な上に歌手名まで覚えていたってくらいで(爆)
あと、カーテンコール後の「次回公演予告」は、前年の『ラフカット2008』を観ていた身としてニヤリ。
県人会寮桜荘物語
空間製作社
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2009/04/23 (木) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★
どことなく昭和の薫り
タイトル通り県人会が運営している「寮的なもの」に住む人々の1年間を描いたもので、設定は20世紀末ながら、どことなく昭和の薫りが漂う…(笑)
雑居系も短編連作も好きで、芝居を観るようになったキッカケの1つに劇団四季のミュージカルがある身として「お子様ランチ状態」と言おうか、好みの三点盛りで、大ロマンスでもファンタジーでも、歴史上の人物の生涯でもない、ごく身近な題材でもミュージカルにできますよ、的なところが斬新。
欲を言えばもう少しダンスナンバーも欲しかったが、舞台中央に廊下部分が突き出している装置ではいたしかたあるまい。
その意味で、題材がストレートプレイっぽいだけに、装置もそっち寄りだったのか、とある意味納得。
BARAGA-鬼ki
演劇集団Z団
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★
ダイナミックな演出はまさに「娯楽時代劇」
鬼の文字が使われているので伝奇系かと思いきや、土方歳三を主人公に据えた幕末モノ。その意味では一昨年の高杉晋作を描いた第6回公演『ハナレウシ』と同系列。
本作を含む8回の公演(番外公演が1回ある)の中で一番舞台が広いであろうこの会場だけに殺陣を筆頭としたダイナミックな演出はまさに「娯楽時代劇」。オープニングのクレジットや音楽の多用はちょっと映画っぽくさえもあるか?
娯楽という点では女スリと少年のコンビが「志なら持っているぜぃ!」と入隊を志願して、スリは情報収集役に、少年は近藤勇の養子に、なんてエピソードなども絡ませてあるのがミソ。
そんな彩りもあったので、第一幕75分、休憩15分、第二幕95分と、休憩込みで3時間を超える大作もさほど長くは感じず。
ただ、土方の五稜郭での戦いまで描くので終盤でちょっとモタついた感はアリ。
リビング(公演終了!!)
カスガイ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★★
むしろさわやかな印象に仕上がっている
イタい(重いとはちょっと違う?)テーマでありながら全体的にはイタくも重くもならない、どころかむしろさわやかな印象に仕上がっているのが心地好い。ほどよくまぶされたユーモラスな部分もさることながら通奏低音のように姉を心配する弟の気持ちが貫かれているからか?
また、プロフィール写真以外情報がなかったため、その印象から創られたというキャラを演じた渡邊安理、キャラメルでは決して見ることができないであろう役どころで、貴重なモノを観ることができて満足。
テンリロ☆インディアン
劇団6番シード
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★
中2日でGIRLS
BOYSバージョンと一部の役の設定が違い、脚本も異なるということだけ知って臨んだら、骨格は同じながら肉付けがだいぶ異なっており、犯人が現場から消失するトリックはこちらの方が手が込んでいる代わりに「空耳」部分の語呂合わせがちょっと苦しいような…
とはいえ、腹話術師ではなくフォークシンガーがいることもあって歌うシーンがあったりもするし、総合的に言えばこちらの方がわずかに見せ場が多い感じか?
なんでも初演時は人間ピラミッドがBOYSのみだったそうで、今回はそれもGIRLSに採り入れたのでバランスが崩れたのかしら?(笑)
で、先に観たことによる刷り込みもあってか基本編のBOYS、応用編のGIRLSのような印象を受けていたら、後から「BOYSを元にGIRLSを書いた」というハナシも耳にして「あ、なるほど」と。
ネタバレBOX
また、先に「肉付けがだいぶ異なる」と書いたけれど、実は真犯人まで違うので、BOYS版の真犯人と対応する役の人物を注視していたらコロリと騙される。(ヤラレタぁ…)
テンリロ☆インディアン
劇団6番シード
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★
まずはBOYS
ある事件の容疑者としてアメリカで拘置所に拘留された9人の日本人が真相を推理するという『12人の怒れる男』的作品。鍵となる「空耳」的な部分には『12人の優しい日本人』を、そして一件落着後に意外な真犯人の独り言で一気に真相を明かす「大逆転」ぶりに映画『ユージュアル・サスペクツ』を連想。
リビング(公演終了!!)
カスガイ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★
男性が女性を描くのは難しい。
役者の質が高く、飽きずに見られた1時間50分。
設定や雰囲気つくり◎、美術照明◎、セリフにセンスを感じる脚本。
客観的に「お芝居」として様々な角度から見た時には満足です。
しかしテーマがテーマだけに、私には合わない、というか、不快感が強くありました。
極めて私的な感想・感情でしかありませんがネタバレに記しておきます。
ネタバレBOX
これは男の人にしか書けないものだ、と感じました。
まず、弟の救済を意図して描かれる切り口の妙という良い意味で。
そして、女性の性と身体に対する考え方がやはり男性のものしかないという悪い意味で。
先にレビューを書かれた方で「母性が無い」という方がいらっしゃいましたが、私もそれが引っ掛かります。
偏食や飲酒で胎児を顧みない水越さんのことはいいとして。
どうして姉に、レイプの他に妊娠中絶という設定を入れたのでしょう。
女性ってものすごく子宮の影響をうけてるものなんですよ。
だから、妊娠が性行為の延長としてのみ描かれるようなのはちょっと受け入れがたかった。
確実にレイプによる妊娠であればまだわかる。
でも弟の子供である可能性もあったというのだから・・・
望まない性行為による弟の心の傷を強調しすぎて姉の描写にリアリティがなくなっている。
姉弟の関係だけでなく父娘の関係も絡んで複雑化して仕方ないのかもしれないけど、
姉の「流れちゃえばいい」とか弟の「産まなくて正解」というような発言(そしてそれを流す姉)は、やはり出てくるものではないと思う。
私が見た時のアフタートークで、トワさんの「お金でレイプがプレイに」という考え方から、「自分の中の性に対する正義」(という言葉ではなかったかもですが)ということについて話が及びました。
これはすごくよく理解できます。
私も自分の経験から成る性の正義があり、それに基づいたうえでこの作品に不快さを感じたのです。
だから面白かったという人の意見もわかる。
そして内容については見る人によって受け止め方や感じ方違うのは仕方ない、ラストは救われたと思う人救われなかったと思う人の両方がいるのも仕方ない。
でも。
もう一歩、女性に歩み寄るか、そうでなければあくまで男性側に立つかして欲しかった。
姉を救いたかった玉置さん、弟を救いたかった登米さんのちょうど中間の曖昧な部分で止まってしまっていたように思えたのでした。
観てから結構経つのに感想がまとまらず。
なんだか変な文章ですみません。。。
※話はずれますが、性の正義の話はわかるんですけど、それによってトワさんが救われているとは思えないです。
「お金をもらえばいい」と思わないと救われないけれど、それはそう思えば救われるということとイコールではないですよ。
傷はやっぱりどこまでたっても傷でしかない。
チェリーボーイ・ゴッドガール
ゴジゲン
OFF OFFシアター(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
隊長がいい塩梅。
そのまんま楽しいネタ。女性客は半数近く。
松居さんは今後「で、もう卒業したの?」っていろんな人から言われちゃうんだろうな(笑)
ネタバレBOX
起伏はそれほどなく淡々と卒業へ向けて頑張るのを見るのは面白いです。
カール・ルイスがそこで登場するとは夢にも思わず(笑)
気になった点。
ラスト10分くらい前に強姦を連想してしまうシーンがありましたね。
無理やり押し倒して首を押えて手足を押えてあーしてこーしてっていう場面。そこまで楽しかっただけに勿体なかった。
人には言えない傷を隠して社会生活送ってる人も沢山いますので、このシーンがそれまでの愉快さを薄めてしまった印象。役者自身は賑やかなシーンなので気づかなかったかもしれないけど、客席が一瞬にして固まった。女性に囲まれて座っていたせいもあるかな。
童貞である真実がどこかに出るのか興味深く観ていたら、そこに出たんだと思うんです。きっと抱いたことがあれば、ああ、こんなにフニャフニャして脆いんだな女の体って、と、強引な発想を芝居にはしなかった気も・・・・まあ、本作品はその熱、があそこまで役者を盛り上げたんだと。毎日様子見ながら少しずつ変えてるのかな、今日は予定より10分長かったです。
童貞ネタで突っ切るのは勇気が要ったと思いますが、内容理解してお客さんは行くので怯えずやって大丈夫ですよ。
せっかくだから卒業させてくれる人募集!ってアンケート用紙に載せてしまっても(笑)
免疫ができたし今だから言える、「アチャコ」にありがとう。
黒田育世演出作品 『矢印と鎖』
BATIK(黒田育世)
イムズホール(福岡県)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/09 (土)公演終了
満足度★★★
楽しめた
でもやはり私は同じ菊沢さんなら演劇が見たい。
黒田さんの凄さもちょっぴり分かったような気はするけど、
ムーブだけで理解するには私の脳みそでは足りない。
ばってん
劇団てあとろ50’
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
宇宙開発プロジェクト
を軸にそこに関わる人間関係を描いた作品。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
冒頭、舞台は卒業式のシーンから。
バルタはひょんな事から宇宙開発プロジェクトの一員となって、かねてからの夢だった宇宙船のパイロットになる。一方で同じ夢を持っていたガラコは友人たちと一緒に政府の宇宙開発プロジェクト反対デモに加わっていたが、デモ中に仲間のバニラが撃たれて負傷してしまう。このことがきっかけになって、デモ隊は自然消滅してしまうが、リーダーはガラコに宇宙船に爆弾を仕掛けて爆発させるように指示を出す。
臆病で自分の意思を明確に主張する勇気がないガラコは、言いなりに爆弾のスイッチを押そうとするがいざという時に出来ない。この事が公になり非国民として殺人未遂で裁判を行うことになるが、ここでもガラコは従来の優柔不断な性格を露呈してしまう。集団の中でも足並みを揃え、決して外れることなく、主張せず、孤独になる事が恐怖だったガラコは、自分はなんてちっぽけで無力なんだろうと、段々不安になってくる。
宇宙は私たちに絶対性の不可能を植え付ける。と憂いでしまうが、そもそも、あらゆる不安や無力さや嘆きは自分自身から起こることが多い。
テーマは宇宙だが現代の若者が抱えてる不安や弱さ、青さを表現した物語。
芝居は全体的に荒削りな感はしたものの、そこそこ笑いのネタも仕込まれており、楽しめる。馬場サイケ役の金澤美沙子のカツゼツが悪い。今後の為にも直した方がいいかも。
舞台の上段、右、左で同時進行劇が上演されていたが、その展開の仕方の間が悪い。役者の演技力に差があるのも気になる。
次回に期待したい。
関数ドミノ
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
200905081900
200905081900@赤坂RED/THEATER