PerformenⅣ~Inferno~ 公演情報 電動夏子安置システム「PerformenⅣ~Inferno~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    楽しい!面白い!
    電動夏子安置システムは毎回面白い試みをしてくれて、それをしっかり笑いに仕上げているあたりが好きです。

    今回は「Performen」の4作目らしいですが、自分はこのシリーズ初見。
    でも、そんな事は関係なく楽しませてくれます。

    役者さんは20名以上参加されていて、そういう場合大きく扱われる方とアンサンブル的な扱いの方に分かれるかと思いきや、皆さん個性豊かで印象的でした。
    「カレ」という男の子を演じていた片桐はずきさんのボーイッシュな魅力と身の軽さを生かした躍動感ある演技が良いです。
    劇団員では安定感のある道井さん、なしおさん、演出も兼ねる高松さん、小原さん、「チョナンカン」ネタで笑わせてくれた澤村さん等など安心して見れました。
    特に渡辺美弥子さんが、端正な顔立ちながら表情豊かで、軽快に動き回って印象的でした。

    当日パンフが中6ページでカラー刷りという豪華さで、役者さんひとりひとりも詳しく書いてあるし、今回の作品についてもちゃんと解説されていて、好印象です。

    舞台美術も、シンプルながら趣きのある舞台で、衣装も揃られていて、オープニングやクライマックスの全員で揃った動きをする時の見栄えがとても良かったです。

    ネタバレBOX

    「人間は点と線で描ける」という芸術家と「人間を描く時に輪郭線を描くのはおかしい」という芸術家の議論から幕が開く。

    人間を点と線で描けるというのは人間の仕組み、人間の設計図を描く事であり、それは神の領域だとか何とか・・・。
    この辺りは概念的な議論で、ちょっと聞いてるだけだと良くわからなくなってしまう。

    人間は毎日同じ事、同じ動作を繰り返していて、そんな世界の姿を探りに行く「カレ」がリネアという、芸術家の弟子と共に牢獄を探ってゆくというのが全体のストーリー。

    で、「カレ」が訪れる牢獄がそれぞれ伝夏お得意のロジカルコントで描かれているのでした。

    【配線】
    舞台上手と下手で別々の話が同時進行するのだけど、片方の登場人物の動作がもう片方の話の登場人物の動作に移ってしまうというルール。
    下手では銀行強盗に対する刑事。
    上手では旦那の両親が訪れて対応する妻。
    なしおさんの銀行員が面白い!

    【吹替】
    覗きが趣味の男が、覗いているシーンに勝手にセリフを当ててしまう事で、実際に演じられている家庭の様子とセリフのギャップを笑う話。
    覗きがどんどん増えて、吹替え勝負になってしまう強引さが面白い。

    【範囲】
    あるマンションで隣り合って暮らす男女。ふたりはお互いのいる、ある一定の範囲しか離れる事ができなくて、目に見えない紐のようなもので結ばれて自由に行動する事ができない。
    女性が見合いをする事になって、男性はその見合い会場のレストランでウェイターをやっているが、半径5mくらいしか離れる事が出来ないためお互いに落ち着かない。
    特にウェイターは客が入ってきても客の前まで行く事が出来ず、5mくらい離れてメニューを見せたりとか、じょんさんのドタバタぶりが楽しい!
    客がこっそり北の国からの五郎さんを演じてたのも楽しかったです。

    【伝言】
    携帯が電波の異常で使えなくなってしまったので、代わりに伝言屋(?)が伝言リレーでメールの内容を伝えてゆく。
    出会い系で出合ったふたりのメール交換だが、実は女性と思ってメールをしていた相手は男で、騙していた。
    そんな複雑なふたりのメールのやり取りを更に複雑にしてくれる伝言屋たち。
    金で買収されるし、勝手に内容を変えるし、耳が悪くて正しく伝えられないし。
    このコントが相当面白かったです。

    【空白】
    ある事件の起こる前と、起こった後。
    その間の空白の時を埋めるために、辻褄合わせに右往左往して何とか無理やり空白を埋めてゆく。
    もうここまで来ると理屈とかはどうでも良くなってきます。
    渡辺さんが面白かったです。

    【条件】
    電車に乗って座りたい男性。
    空いてる席に座ると必ず邪魔が入るので座れなくなって席を立って次の車両へと移ってゆく。
    すると次の車両も全く同じ人たちが座っていて、同じ出来事が同じ順番に起こってゆく。
    ルールを理解した男性はそれを見て「このタイミングでここへ座れば良い」と試してゆくけど、何回繰り返してもうまくいかない・・・。
    道井さんが舞台の裏(最後の方は舞台の見えるところ)を走って何度も行ったり来たりで大忙しの大活躍でした。


    全体としてはコントの連作なのだけど、それを包み込む「人間とは」という大きな命題。
    それらがうまくかみ合って機能していたかは疑問なのですが、ひとつひとつのクオリティーが高くて楽しめました。

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    2009/05/10 01:40

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