リビング(公演終了!!) 公演情報 カスガイ「リビング(公演終了!!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    男性が女性を描くのは難しい。
    役者の質が高く、飽きずに見られた1時間50分。
    設定や雰囲気つくり◎、美術照明◎、セリフにセンスを感じる脚本。
    客観的に「お芝居」として様々な角度から見た時には満足です。
    しかしテーマがテーマだけに、私には合わない、というか、不快感が強くありました。
    極めて私的な感想・感情でしかありませんがネタバレに記しておきます。

    ネタバレBOX

    これは男の人にしか書けないものだ、と感じました。
    まず、弟の救済を意図して描かれる切り口の妙という良い意味で。
    そして、女性の性と身体に対する考え方がやはり男性のものしかないという悪い意味で。


    先にレビューを書かれた方で「母性が無い」という方がいらっしゃいましたが、私もそれが引っ掛かります。
    偏食や飲酒で胎児を顧みない水越さんのことはいいとして。
    どうして姉に、レイプの他に妊娠中絶という設定を入れたのでしょう。
    女性ってものすごく子宮の影響をうけてるものなんですよ。
    だから、妊娠が性行為の延長としてのみ描かれるようなのはちょっと受け入れがたかった。
    確実にレイプによる妊娠であればまだわかる。
    でも弟の子供である可能性もあったというのだから・・・
    望まない性行為による弟の心の傷を強調しすぎて姉の描写にリアリティがなくなっている。
    姉弟の関係だけでなく父娘の関係も絡んで複雑化して仕方ないのかもしれないけど、
    姉の「流れちゃえばいい」とか弟の「産まなくて正解」というような発言(そしてそれを流す姉)は、やはり出てくるものではないと思う。




    私が見た時のアフタートークで、トワさんの「お金でレイプがプレイに」という考え方から、「自分の中の性に対する正義」(という言葉ではなかったかもですが)ということについて話が及びました。
    これはすごくよく理解できます。
    私も自分の経験から成る性の正義があり、それに基づいたうえでこの作品に不快さを感じたのです。



    だから面白かったという人の意見もわかる。
    そして内容については見る人によって受け止め方や感じ方違うのは仕方ない、ラストは救われたと思う人救われなかったと思う人の両方がいるのも仕方ない。


    でも。
    もう一歩、女性に歩み寄るか、そうでなければあくまで男性側に立つかして欲しかった。
    姉を救いたかった玉置さん、弟を救いたかった登米さんのちょうど中間の曖昧な部分で止まってしまっていたように思えたのでした。



    観てから結構経つのに感想がまとまらず。
    なんだか変な文章ですみません。。。



    ※話はずれますが、性の正義の話はわかるんですけど、それによってトワさんが救われているとは思えないです。
    「お金をもらえばいい」と思わないと救われないけれど、それはそう思えば救われるということとイコールではないですよ。
    傷はやっぱりどこまでたっても傷でしかない。


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    2009/05/09 20:41

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