呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】
北京蝶々
OFF・OFFシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
フライヤーのイメージとは違い・・
劇団初見。フライヤーから想像していたよりも、ずっとウェルメイドな感じでありました。
ネタバレBOX
奥さん役の人の抑制した演技が好感があった。
元お水、でも今はしっかりもの、というキャラクターもすごく自然にマッチしていた。
いつもホラーではないそうなので、他の作品はどんななのか興味を持った。
わが星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
清々しい衝撃
作者の体には血液と一緒に音楽が流れているのだろう。
初めて野田秀樹の作品を知ったときの衝撃に近いものがあった。
そして、すごく健康的な演劇。他に類を見ない清々しさ。
同世代の演出家は、特に見逃さない方がいいと思う。
ネタバレBOX
個人的には、ミュージック、またはミュージカルとして見た。
すごいカッコいいミュージックビデオを見ているような感覚があったので。
悲しみはメロディにのり、喜びはビートやリズムに乗るものだ、と蜷川幸雄が昔いっていたけど、柴君のはまさにリズム。
終幕、切なげなシーンはあるけど、自分としては終始、生への肯定の清々しさを浴びているようで、涙ではなく喜びに満たされたまま終わった。
照明が音と競演して空間を際立たせている。
『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
DULL-COLORED POP
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★
誤訳しかし正解
演出さんの言葉を借りるとしたら、自分の感想もそうなのかもしれません。
ネタバレBOX
二人の言葉の掛け合い。これはサラへの問い掛けであり、挑戦であったのかなと。
一つ一つの抽象的なメッセージからも伝わってくるものがありました。
個人的に風船が好きでした。
楽しかったです!
そして同い年なのが悔しいです(笑)!
午後から雨になるでしょう(全公演終了・ご来場ありがとうございました!)
午後から雨になるでしょう
ウッディシアター中目黒(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★
雨はまだ、降らない。
この4編のオムニバスは観る側のセンスが求められるお芝居です。
積極的に参加しようとする心意気がないと、サインを逃してしまうこともあるでしょう。
しかし昨日と同じ雲の形をつくらない空ははまるで人間のうつろいやすい心を映し出す鏡のようですね。
ネタバレBOX
1話:悪意の研究
ひとりの女子高生がビルの屋上から花瓶を落としている。
その行為を止めさせようとする住人の女A(仮)。
屋上の様子が気になってしゃしゃり出てくる隣の住人の女B(仮)。
Aは、通行人の頭に花瓶が当たったら大変だから、やめなさい、と諭す。
Bは、そんなこと言ってもムダと言う。なぜって、通行人に花瓶が当たる確率と当たらない確率は50/50で変わることはないのだから、という持論を展開し、こんなわかりやすいことはやらないで、もっとズルくなりなさい、と諭す。
結果、女子高生は花瓶をビルの屋上から落とす行為をやめる。
後日、刑事が現れる。このビルのオーナーがメッタ刺しで殺されたのだと言う。
事情聴取をされるAとB。
なぜって犯人は、彼女だから。(たぶん)
犯罪の起きる可能性(確率)と降水確率を掛ける斬新さ!
まちがった考えを正そうとする時にひとはよく、”モラル”という言葉で片付けようとするけれど言葉の意味は理解できても、それ以上の領域に人が踏み込む危険性を阻止するのは否めない恐怖についての掛け合いが非常に面白かったです。
2話:Fool on The Roof
屋上にぶつぶつひとりごとを言っている貧しい身なりの浮浪者。
彼は恐らくかつて兵士で、デッキブラシを銃に見立て空に向かって攻撃している。
そこに現れるアルバイトの男。
このビルがもうすぐ取り壊されるので浮浪者を退去させるミッション遂行のために来た。
浮浪者はマイワールドに入ってるので、なかなか聞く耳を持ってくれない。
そんな折、不思議な女が現れる。
たぶん、彼女は水の女神でこの世界を滅ぼしに来た。(そしてこのビルはバベルの塔)
浮浪者は天に召され、アルバイト君は浮浪者になる。
時空を超えた、スペクタクル。
3話:オドル
は、非常にイメージ的な作品です。
アマガエルや先生、と呼ばれてるひとが出てきます。
よく雨蛙が鳴くと雨が降る。とかいう言い伝えがありますが
先生と呼ばれるひとは天候をどうするのか決めていて、アマガエルはそれに従う・・・。
リボンを使った踊りと幻想的な照明が印象的な不思議なお話です。
4話:彼らは雨を連れてやってくる
盲目のおばあちゃんは、ビル清掃員のひとりを故人だと信じ、さまざまなメッセージを送ります。
ビル清掃員は同僚にはやし立てながらもおばあちゃんの気持ちを踏みにじらずにやさしくくみ取って”生きること”を約束します。ちょっとホロっとくるようなお話でした。
呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】
北京蝶々
OFF・OFFシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
どっちを
先に観ても楽しめるのではないでしょうか。
私たち死んだものが目覚めたら
shelf
アトリエ春風舎(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
生と死の曖昧な境界線で
言葉を記号として認識させるミニマルな情景描写と張りつめた沈黙によって紡がれていく信頼は言葉を追い越して感情をやわらかに愛撫する。
ネタバレBOX
ルーベックは彫刻家で確固たる名声は彼を苦しめたが、名声は彼を生かしもした。
中身がカラッポの他人によく似せた彫刻(フェイク)を作る、自分はニセモノなんだとあざ笑い、絶望しながら自分の存在をなくすことでやり過ごす空虚な日々を送る彼にとって、若い妻マイアは不要な存在で突然現れた、彼に名声を与える彫刻のモデルとなった女、イレーネこそが本当の人生を生きるためのたったひとつの希望だった。だが、出会って間もなく彼女は残酷な言葉をルーべックに叩きつける。
魂をあなたに差し出したから私はもう生きられなくなったのよ。
あなたは私のすべてを世界の人々に曝した・・・。
ルーべックは自分のなかに横たわる大きな虚無感を、イレーネはすべてを捧げた見返りを期待しているそれは奪い合い、与えあうものがなくなった瞬間に消滅する関係性でしかなく、劇的な再会という運命のいたずらに翻弄され、死神に導かれ、霧がかる深い森の頂きへと足を進めていき・・・。
そして彼は気が付く。
自分の命を放り投げればイレーネは救われ、報われるのではないか?
ルーべックにとって死は、破滅や憧れではなくてイレーネの願いを叶えるための手段であった。もしかしたらそれをひとは、愛と呼ぶのかもしれないが、最後のあのすべてから解き放たれた、けれど不安そうなルーべックの顔はほんとうにこれでよかったのだろうか。と彼自身、永遠に問い続ける命題からは逃れられないように思えた。
イプセンの死から100年以上経っても尚、何のために生きるのか?
という問題の、明確な答えは出ていない。
欲望に正直に生きることもいいだろう。
人間に対する、根源的な憎悪を抱き、疑い深く生きるのも、いいだろう。
・・・ひょっとすると自己犠牲のみでしか人は、生きることへの不安を拭うことはできないのかもしれない。なんて、漠然とした想いを胸に抱えながら今晩は眠りにつこう。
10月歌舞伎公演 「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)」
国立劇場
国立劇場 大劇場(東京都)
2009/10/04 (日) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★
乱歩と歌舞伎って相性がよいのだなあ
前作は原作をもとにしていましたが、本作はオリジナルストーリーとのこと。そのためか歌舞伎度が前作よりアップ。そして乱歩の倒錯した世界が、うまく歌舞伎に溶け込んでいました。
中村梅丸、美しい人形の役ですが、ホントに美少女でした。
梅玉は天下を狙う陰陽師で、人形しか愛せないという、いかにも乱歩ワールドな役がハマってました。
歌舞伎にはめずらしいカーテンコールあり。
わが星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
全く新しいスタイルの演劇誕生!
久しぶりに鳥肌が立った。
新しいスタイルの演劇の誕生である。脚本・演出・役者・スタッフ・制作、その全てが斬新で、挑戦的で、刺激的で、感動的だった。終わった後しばらく立ち上がれなかった。柴幸男の才能の集大成のような作品である。
ネタバレBOX
物語は星の誕生から死までを団地の中の家族の物語になぞらえたもの。時の刻みのリズムの中で、動きも台詞も音楽のようにリズムに乗り、全てが計算された作りである。
円形のステージに観客席から役者が台詞を発したり、星に見立てたステージの周りを全員で歩いたり、五感に訴えかける作りである。
最初はユニクロックかと思った。しかし、舞台上の様式に込められているものは奥深い。星の一生と人間の一生を対比し、壮大な物語を感動的な作品にしている。
個人的にはちいちゃんと月ちゃんのくだりがとても面白かった。
インテリジェンス・シャドー
IQ5000
笹塚ファクトリー(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
やっぱすごいな
華がある、とでもいうのか。
公演自体はおもしろくても次回作を見たい!って思える劇団と、
そうでもない劇団ってのがある。
この劇団は明らかに前者。やっぱ芝居に個性があるか、
役者が魅力的に見えるか、あたりが自分の基準なんだろうと思う。
約2時間、中だるみなく最後まで続く独特のテンション。
カーチェイスも戦闘機のドッグファイトもすべて小道具なし
でやってるのに、やけに迫力があります。
相変わらず、一人何役もこなし、時には椅子とかテレビにもなります。
月曜までやってるみたいなのでぜひ!
※
B列の端っこで見たけど、前にやけに姿勢のいい女性の方がすわってて
見づらかった。
→最前列はもう少し低い椅子にできませんか?
舞台を広く、時には通路も使うのはいいけど、首が痛い。
→前側端の席は椅子を斜めに置いてほしい。
レ・ミゼラ ブルーシート
仏団観音びらき
タイニイアリス(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★★
すっきりしたこてこて感を超えてやってくるテイスト
苦味を隠し味にすっきりしたこてこて感のあるお芝居でした。
関西っぽい魅力をしっかり残しながら
こころをすっとさらっていくものがあって・・・。
高い水準で歌える役者や踊れる役者、
演じることができる役者の力・・・。
水面下の作りこみをがっつり感じる。
しっかりと後に残るものがある作品でした。
ネタバレBOX
タイトルのとおり、
ブルーシートの家に住む路上生活者たちと
青空カラオケのお店(?)のひと冬の話でした。
そこに飛田新地のおはこびさんや
えせ慈善団体、警察や市役所もからんで・・。
フェラガモの鞄を持つような商社のサラリーマンが
路上生活者になっていく姿に
ぞくっとくるようなリアリティがあって・・・。
緻密に描く心情と
ミュージカル仕立てなども駆使した
秀逸な戯画化、
下世話なシーンと人の心情をすっと浮かびあがらせる
密度のバランスが絶妙なのです。
路上生活者や底辺の女性たちの
群像劇ともいえるのですが
そのばらばらさとまとまりの質感が
すごくうまい。
難しいことは分からない的な割り切りに
圧倒的な説得力があって・・・。
結末も陰惨なだけではない
沁み入るような透明感があって・・・。
それは、
笑いやえげつなさで描かれるものの
重さを観客に静かに伝える力になって・・・。
役者たちのお芝居が持つ線の太さから
きめこまかな肌合いのペーソスが生まれるのも不思議。
劇団が持つパワーの多様性に改めて
瞠目したことでした。
私たち死んだものが目覚めたら
shelf
アトリエ春風舎(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
語りの戯曲
前作であるイプセン作「Little Eyolf―ちいさなエイヨルフ―」は昨年、名古屋市民芸術祭の審査員特別賞を受賞し、主演の川渕優子は利賀演劇人コンクールで最優秀演劇人賞を射止めた経緯を知り、今回の舞台はワタクシにとって、ひじょうに興味深いものとなった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
今回の芝居はきっと劇評が割れる!そんな予感を残した舞台だった。
この戯曲を芝居にするということ・・、それはひじょうに難しいことであり、チャレンジだったはずだ。舞台の殆どが「語り」のみ。解説と語りから舞台全体のエネルギーを発散させるような演技手法だった。この手の手法が苦手という観客には受け入れられないだろうし、ストレートプレイの醍醐味と受け取れた観客には魅了されたはずだ。
ルーベックは自分よりもずっと年下の女マイアと結婚しても尚、今でもイレーヌを愛していた。彼にとってイレーヌは高貴な清純な存在であり特別だった。
イレーヌを想像の源として崇拝していたからこそ彼は俗世界のように彼女を現実の女としてみられなかったのかもしれない。自分の魂が汚れてしまう、という理由で。
一方でイレーヌは裸の体をさらし続けているのにも関わらず自分の体に触れようともしないルーべックに希望を失い落胆してしまう。そして彼の元を去ってしまうが、ある日、偶然にも彼らと会ってしまう。
マイアのルーべックに対する心の襞。忘れようとしても尚、忘れられないルーべックのイレーヌに対する想い。ルーべックに仕える為に全てを捨ててしまったイレーヌのルーべックに対する感情。これらを見事に表現した舞台だったと思う。役者の技量もさることながら、マイアの赤とイレーヌの白という対照的なドレスのカラー演出も良かった。
一見して、清純そうな白・イレーヌには内に秘めた凛とした強さがあり、何者にもぶれない一貫した強さがあった。対照的に赤には、情熱的でエネルギッシュな感覚があったが、ここでのマイアは情熱的だけれどモロくもありそれなりの弱さもあって女性として魅力的だった。そんな情景を織り交ぜながらも、舞台はウルフハイム(山田宏平)とマイアの語りの部分でも魅せる。山田宏平がいい。ひじょうにいい!
イプセンがこの作品に「エピローグ(終幕)」という副題を書いたのは、『人形の家』から始まった一連の戯曲が、『私たち死んだものが目覚めたら』で終幕としての役割を果たしているから物語は一貫しているらしいが、この一貫という部分が解らない。
イレーヌのセリフ、「そういえば、私たち一度も生きた事がなかったのに気が付いたわ。」が印象的!
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
話が
積まれて繋がる。観ていて気持ちが良いです。
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】
北京蝶々
OFF・OFFシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
2本立ての醍醐味
ビフォーサイドとはガラッと違った、こちらはドラマのようなサスペンス。
確かに1本でも楽しめる作りになっていましたが、せっかくの2本立て。
両方観た人が1番おいしいのは当然でしょ!(両サイド券買ってんだから!!)と、ビフォーとリンクする部分にニヤニヤしながら観ました。
どんどん緊張感の高まる中、この劇団では珍しくちょっと大味(?)な展開もあり、それもまた意外で楽しかったです。
両サイド通して観て、「呪い」とはなんなのか、バブルと繋がって見えてくるところにゾクッとしました。
きちんとしたテーマを持った、見応えのある作品です。
わが星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
フレッシュ!
全方位円形舞台で4つ打ちのリズムに乗り役者たちが躍動する舞台。新鮮でした
カムパネルラ
Oi-SCALE
SAI STUDIO komone(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★
贅沢な演劇空間
「死んでしまった人間/カムパネルラ」を観ました。劇場に入って,まず演劇空間に驚き,そして期待。いいなぁ,客席よりも広いぞ,どんな芝居になるんだろう。芝居内容は,途中までは状況が見えなかったけれど,状況が見えてきてからは納得。観劇後に振り返ってますます納得。これは「残された人間/ジョバンニ」も観るしかないな。さて,いつ行こうか。
ヒマラヤと嘘
ハイバネカナタ
調布市せんがわ劇場(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
シンプルに面白かった
前説で上演時間が約2時間と聞いたときには、ちょっと身構えたけど、まったくそんな長さを感じさせなかった。
集中して、楽しく観劇。腰は少々痛くなったものの。
物語が面白く、話の繋げ方や進行方法にもストレスを感じない。
各キャラもデフォルメはあるものの、嫌味ではなく、それぞれがしっかりと立っていて、わかりやすい。
セットの上下左右の使い方は、模範的とも言えるようなもので、無駄がなかった。
つまり、演出も手際もよかったのだと思う。
ネタバレBOX
長女の死から、お互いにウソを言うことで、相手を安心させることしかできなくなってしまった母娘。
しかも、互いにウソをついているであろうことは薄々感じているのに、なかなかウソであることを告白できないでいる。その告白は、ほんの紙1枚の薄い先にあるのに、それを破ることが互いにできないのだ。まるで自分のウソに溺れてしまいそうになっているのに。
母ソウは、あまり流行らない食堂を切り盛りしている。母とヒマラヤ(!)を一緒に登山した男アゲオも食堂を手伝っている。
そのアゲオはソウと一緒にヒマラヤに行った体験から、映画を撮っているとウソをつき、ソウを新興宗教の教祖に祭り上げている。
娘アイは、大学の登山部に入り、母が何かを感じたらしい、ヒマラヤに自分も登りたいと密かに思っている。しかし、その登山部は、母が教祖となっている宗教の資金集め団体だった。
母ソウは自分が教祖になっていることも、娘のアイが怪しい登山部に入っていることも知らない。もちろん、アイも自分が母が教祖の宗教に取り込まれていることは気がついていない。
アゲオも、自分が仕掛けた宗教に関連した登山部にアイが入っていることは知らない。
母と娘のウソの上に成り立つ危ういバランスは、そろそろ限界かもしれないと互いに思っている。
宗教騒ぎとそれをかぎ回る刑事たち、そして、なぜか幽霊が見えちゃう(そのことは実に軽〜く出てくる)登山部の部員エガワが、絡まりあって、いろんなところにある、危ういバランスが崩れてきだし、ホンネや欲望が姿を見せ始める。
ソウがウソをついていることをアイに告白しょうと思うことで、宗教も終わりだとアゲオは悟る。
そして、(予定調和かもしれないけど)母と娘を取り巻く物語のエンディングを迎えるのだ。
母と娘がついていたウソは、「冷やし中華の作り方を知らないけど、メニューに入れてしまった」「彼氏が出来ているのに教えなかった」「死んだと言っていた父親は実は女を作って家を出ていた」「黙ってバイトをしていた」と、実に他人からすればどうでもいいことなのだ。
しかし、この親子にとっては、母に、娘に、ウソをついている、という状態が問題であるのだ。そんな、真っ当で真面目な家族の話が一番の軸になっているということは、ササクレ立っている私の心(笑)に沁みて、気持ちよかったのかもしれない。つまり、どことなくソフトな雰囲気(宗教がらみなのに変なダーク感もないし)が全体的にあったのが、心地よかったのだと思う。
ラストにある「季節外れの初雪が降るときに和解する」という予言があったのだが、てっきり、「お互いのホンネを書いた紙(1枚1枚に書かれており、輪ゴムで止めてある)」がフリだと思ったので、それが都合良く(笑)地震で降ってきたときが、それかと思っていたら、本当に初雪が降ったのだ。これは紙が降っただけで、季節外れの初雪としたほうが、よかったのではないかと思った。
細かい台詞で面白いことを言っているのだが、ことさらそれをクローズアップして「ここ笑ってください」という雰囲気がないのも好感が持てる。ただ、もう少し笑えてもよかったような気もするが(変なくすぐりみたいなものにはクスリ、ククスリとはしたけど)。
セットはシンプルながら、舞台をうまく使っており、無駄がなかった。ネットカフェから食堂に、ヒマラヤまでになるんだから。
狂言回し的なアゲオ位置づけの、宗教を仕掛けるのキャラクターは、ちょっと大げさで鬱陶しい(テンションが高い)のだけれども、この勢いがあるから物語が展開していくのだなと思えたし、自分のやっていることへの高揚感だと思えば、それほど違和感を感じなかった。また、娘のアイと母のソウキャラクターもなかなかいい。一番真っ当なキャラクターで真っ直ぐさが現れており、この物語の内容にふさわしかったと思う。一番素っ頓狂なエガワも、いい味を出していた。特にこの4人は印象に残った。
それにつけても、母娘のウソは白日のもとに現れたのだが、アゲオのホンネはどこにあるのかがわからないままだったのは、少し残念。彼の心の中も見えるようになっていれば、かなり素晴らしいものになっていたように思えるのだ。
人形の家
劇団ING進行形
pit北/区域(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★★
奇跡の先
イプセンは時々妙なキーワードを投げかける。
今回『人形の家』では、奇跡。
ほとばしる人間パワーで、人形の家に挑んだ!
あとはネタバレにて。
ネタバレBOX
奇跡なんてのを信じているうちが幸せで、奇跡なんて未来は一瞬で絶望になり得る、とINGは突き出しているように感じられた。
未来より、今をしっかり生きるようとふと劇場を後にして思った。
まだまだ荒削りだが、さらに良くなる気配を感じている。
はじめとラストのコントラストでがうまく出て、INGらしい人形の家であった。
人形の家
劇団ING進行形
pit北/区域(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★★
観てきました
前回と全然違う印象を受けました。
これはこれで素敵な話でした、面白かったです。
ダンスとかもっとあったらなって思いました。
て
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/09/25 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
一粒で二度おいしい
何がすごいって、序盤ただの小気味よいファミリードラマのような流れの中で歌われるカラオケで、なぜか泣けること。背景も人物像もその時点では泣けるものではないはずなのに、なぜか泣ける。で、多視点というあっと驚く演劇手法を用いて重層な背景が判明した後、再度歌われるカラオケで今度は事情がわかって泣けてきて。言葉ではない、何か醸し出すオーラで観客を泣かすなんて、演劇としてものすごく素敵。その後、言葉と物語で背景を描いた結果、さらに泣かすというのも見事。家族というミニマムな集団の中で、人と人との断絶を暖かな目で、しかし一切目をそらさずに見つめきった上で、演劇的にも極めて完成度の高い表現に仕上がっている。何度観ても飽きない、シビレル作品。