怒りを込めてふりかえれ
ピーチャム・カンパニー
シアターPOO(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
満足度★★★
キャラクターの立ち上がりが薄い
イギリスの劇作家ジョン・オズボーンの戯曲。確か・・・映画にもなったんじゃないだろうか・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
男女の三角関係を綴った物語。
主人公のジミー・ポーターは三流大学を出て田舎(いなか)町で屋台の菓子屋をやりながら、現在の自分の状況を憂いでいた。労働階級のジミーと親の反対を押し切って結婚した上流階級出身のアリソン。育ちの違う夫婦の夫側というものは、それでなくとも劣等感を抱くものだ。
「かつてのイギリスは良かった・・。」などと過去の栄光を羨望しまた非難し、拠るべき、また倒すべき大義のない現代を呪いながらも、その行き場のないはけ口の為にアリソンを言葉で罵り憎み、時に愛す。そして同時に自分をも愛しまた憎み、さまざまな矛盾に苦悩する。ジミーの饒舌もアリソンに対する冒涜も、当時の鬱積した社会的感情を自分の中で消化できなかった故であった。
そんな危うい夫婦と同居していたクリフはジミーも愛し、その妻のアリソンにも深い愛情を示し、夫婦にとってクッションの役割を果たしていたが、アリソンの友人・ヘレナの登場で事態は一変する。ジミーの暴言に悩んでいたアリソンは実家に帰ってしまい、その留守中にヘレナはジミーと関係を持ってしまう。ヘレナにとってジミーはまったく新しい戦後世代のタイプとして型破りで新鮮な魅力をもっていたのである。そしてクリフも「自分の居場所がない」といって出て行ってしまう。
少ししてジミーの元に戻ってきたアリソンは夫婦として元の鞘に収まり、今度はヘレナが出て行くのだが、この3人の三角関係の心の機微の表現の仕方が甘いと感じた。この大作の何処に焦点を当てるかが一番の見せ場なのだけれど三角関係の織り交ぜが足りないような気がする。「私はほんのちょっと心の安らぎが欲しいの。」というアリソンと「俺はこんなに苦しんでいるのに・・。」と言うジミーのバトルにも希薄さを感じて、どうにも落ち着かない。キャストのセリフがまっすぐ耳に流れるように入って来ないのだ。だけれど、物語は良く解る。
「みんな生きてるだけで苦しくて仕方がないから・・。」というセリフは当時のジミーとアリソンの関係をも物語る。
薔薇とサムライ
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2010/03/16 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
感激
劇場に入った時点で熱気が押し寄せてきた。もうわくわくどきどきである。前作は映画館の劇シネで観てそれでも十分感動したが、今回は生である。期待がいやが上にも高まる。天海祐希さんはかっこよく、古田新太さんも相変わらずすばらしい。藤木孝さんもいい味を出していた。終了後も熱気冷めやらず。
大満足であった。次回もぜひ見に行きたい。
蛇足であるが、観客は女性が7割から8割、男性が2.3割か。これも天海祐希さんのなせる技か
【第7回杉並演劇祭参加作品】春、さようならは言わない
江古田のガールズ
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/03/05 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了
満足度★★★
シャンソンやるべ。
ドラッグクイーンがもの想いに耽っている風のフライヤーが気に入り、CDをジャケ買いする感覚でふらり観劇。
これはきっとハイテンションなオカマがたくさん出て来て歌ったり踊ったりするアブノーマルな作品に違いない。
そんな期待を胸いっぱいに膨らませていたが、全然違った。シャンソンやりたい純朴な高校生たちのお話で思いがけずイイものを見てしまった後ろめたささえ感じた。そしてバンドの生演奏は最高だった。
ネタバレBOX
通っている高校にシャンソン部がないことを疑問に感じていたタチバナは、3人いれば部として成立することを知り、部員確保に奔走する。
張り紙を見て来た西村に音楽は好きだけど、軽音部はコワイから嫌だという理由で入部希望のオカマの稲川、顧問に小日向先生を招き入れ、更にピアノが上手な関西弁の遠藤さんとスレンダーな桐嶋さんも加わって、シャンソン部は無事発足。
タチバナらは小日向顧問のお友達のフランス人、ドゥドゥー・徹・コマンタレブーにシャンソンのイロハを教わり校内のビッグイベント、学園祭に向けて練習にはげむなか、恋だってする…。
文化祭が終わると予定調和に時は過ぎ卒業間近、タチバナと西村が想いを寄せる桐嶋さんがフランスへ留学することを知り意気消沈するも、桐嶋さんの門出を祝う。そして一年後の春。桐嶋さんの訃報を知った元シャンソン部員たちはさようならさえもう言えない…。
似非ミュージカルと公演を打つだけあって、わたしは人生の大根役者〰♪なんて胸のうちを吐露するオリジナルソングをシャンソン風にうたいあげ、スタンバっている13人のミュージシャンが舞台を盛り上げる。
ただし、似非ミュージカルなので、シャンソン部員たちは一曲歌い終わるとそれぞれ何事もなかったかのように会話に戻るのが演劇的で愉快なのだが、ご本人さまたちはなんだかあんまり楽しそうじゃない…。苦笑
全体的に表情が薄いというか、セリフとセリフの間に微妙な間があり、キャッチーなコミカルさがあまりない。
普通ってことばがしっくりくるような、クラスのなかでもあまり目立たない、地味でピュアな生徒らを意図的に描いているため、卒業式にタチバナが「お前らちょっと変わってるけどな。」というようなセリフには少々違和感を感じてしまった。普通っぽいけどちょっと変わってる要素の共通項、シャンソンが好き、を違う角度からも掘り下げたらもっとよかったかも。たとえば、シャンソン愛が足りない部員にシャンソンの歴史や蘊蓄を叩きこむ、シャンソン蘊蓄大会をする、等々。
あと、どうしてシャンソンじゃなくちゃダメなのか。動機がちょっとあっさりしていた印象。
稲川が軽音部が怖いからシャンソン部に来たって設定は、もう少し話が膨らんでもいい気がした。(高校生くらいだとオカマをヒヤカす輩などはいないものかなという素朴な疑問。)
シャンソンの曲になぞらえて物語を構成してもいいようにおもった。
花園だん子というシャンソンディーヴァが素晴らしい歌唱力で歌いあげるところや、桐嶋さんの親御さんがやってくる場面などは非常に楽しく、前のめりになりつつ観劇した。花園だん子を演じた三軒茶屋ミワのシャンソンショーは機会があったら是非見てみたいとおもう。
生まれてはみたものの
きたまり/ KIKIKIKIKIKI
AI・HALL(兵庫県)
2010/03/20 (土) ~ 2010/03/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
格好良かった。
KIKIKIKIKIKIは初体験。
こんなに面白いものだったとは…。
そもそもダンス公演をみるのが初めてだったが、
これが初めてで良かったと思う。
演劇だった。 あ、これは褒め言葉にならないんかな。
褒め言葉のつもりだけど。
シューマンに関すること
劇団東京イボンヌ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/03/09 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了
満足度★★★
シューマンに関することに関すること
「君は机たたきについて何も知らない。机はなぁんでも知っているんだよぉ」
東京イボンヌ『シューマンに関すること』より
________
人間何にキレるって、楽しみにしてた芝居観に行ったら、隣の席の人間が音憚らずに始終盛大に鼻水すすってるのにキレますよ。
花粉症の時期だから仕方ないのかもしれないけど、1時間30分、知らない女の洟すする音を間近で聴き続けるのが気持ちいいかと言ったら、他は知らないけど私はお世辞にもイヤですよ。
「ここで私がブチ切れて暴れだしたら、たぶん役者さん達もどうしていいかわからなくて困るだろうな」
とか思いながら90分、なるべく隣の人から顔を離すように、腰を曲げて拝見いたしました。
みなさまも鼻水女(男にも)にはお気をつけて。
ライブハウスとかだったら離れちゃえばいいんだけど、芝居はそうはいかない。
_________
以下は東京イボンヌ様が公演した、『シューマンに関すること』のレビューです。
東京イボンヌは、「前の席で観たほうが面白い舞台を作る劇団」です。
普段、私は舞台を観に行くと、舞台から近すぎず遠すぎずの席に座ることにしています。
あまり遠すぎると観客の頭ばかりが見えて舞台の世界に入り込むことができないし、
かといってあまり近すぎると、役者さんの舞台用の発声や表情が自然体でなく、
胡散臭いのが諸見えで、それはそれで集中できないからなのです。
が、イボンヌさんの舞台はできる限り前に座って拝見します。
なんでか。
東京イボンヌの演技はなんか自然体っぽくて近くで観ても平気だからなんでしょうね。
誰一人としていわゆる舞台らしい演技、をしていないのが、この劇団の特徴だと思います。
『シューマンに関すること』
作曲者ロベルト・シューマンに憧れ続け、ついには自身をシューマンの生まれ変わりだと思い込んだ日本の音楽家の物語。と、ありていに言ってしまえばそういう話。
舞台を見終わってから、シューマンの生涯に興味を持ちました。舞台で知ったシューマンに関することがあまりにも面白かったので。
で、作曲家ロベルト・シューマンのことをネットで調べれば調べるほど、舞台の中で話されなかった興味深い濃いエピソードが数多く残されている事に気付きました。
それこそ、一つ一つのエピソードがそのまま独立して、各々1つずつ舞台で作れそうなほどに。
そんな中で必要なシューマンのエピソードをピック・アップし、かつ(誤解を恐れずに言えば)不必要なエピソードをあえて削除し、厳選されたシューマンネタで勝負するイボンヌさんに脱帽。もっと組み込みたい部分もあったのではないかと思うのですが、あんまりシューマンのエピソードを詰め込みすぎて、ただの逸話の集大成みたいな舞台になったらそれは、東京イボンヌの演劇ではなくなってしまう。
ネタバレBOX
あと印象に残ったことと言えば、終わり方が変わったような気がします。
私が東京イボンヌさんの舞台で知っているのは、今回のものと『ブレス』と『喫茶シャコンヌ』 なのですが、
『ブレス』の終わりは、
「ここに来るのは初めて?」
「当り前だろう」
(暗転)
『喫茶シャコンヌ』の終わりは、
「旅行にでも行かないか?」
「・・・ああ、(皮肉気味に)新婚旅行」
「……そうだな」
(暗転)
・・・と、観る者側から見たら、
「ああ、この舞台が終わっても彼らの会話は続くんだろうな。しかもその会話の流れも大体わかる。この二人は、こう、こう、こうなって、きっとああなるんだろうな」
と、続きを思わせるような、舞台が終わった後の、登場人物の人生の一手、二手先まで想像できるような終わり方をさせていたのが、今回の舞台は、続きが見えないというか、あのシューマンかぶれは死ぬのか、それとも生きるのか、それさえ見えない終わり方。
しかも一人の精神病患者が、病院内で丸腰で手を振るだけで大きなオケが流れるという、日常生活ではできない、舞台でしかできない演出でのラスト。
それが良い、悪いではないのです。
実際そういう演出をやって舞台の仕切りをうまくしている人は、プロアマ問わず腐るほどいるわけだから。
ただ、今までの舞台でやっていた、生活臭を愛する感じであった履歴から見て、今作品のラストはイボンヌさんの舞台の演出にしては珍しいなあと思いました。
まず最初にあの終わり方を決めたのか。それとも、舞台を作ってゆくうちにあの終わり方にすることに決めたのか。イボンヌさんにとっては些細なことなのかもしれない。でも、私的にすごく気になります。
最後に。
銀座喇叭さんは三上博史の生まれ変わりだと思う。どえらいかっこいい。
三上さんはバリバリ生きてるわけですが。
ソリティアが無くなったらこの世は終わり
山田ジャパン
サンモールスタジオ(東京都)
2010/03/17 (水) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
★はつけない
はまち :『もったいなかったかも』
これ、響いた。この芝居で最強のセリフ。
評価(★)はつけない。
薔薇とサムライ
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2010/03/16 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
極めつけのサービス精神に溢れる舞台
いつも思うことながら、お客さんを楽しませることにかけては、新感線の右に出るモノはいないんじゃないかな。
本当に、サービス精神が卓越している!!
カーテンコールでの、客席の喜び様を見るだけでも、幸せな気持ちになれました。
宝塚現役時代の天海さんを生で観たことはありませんが、当時のファンが観たら、泣いて喜びそうな衣装やシーンや振付がふんだんにあり、もうそれだけでも、胸ワクワクします。
客演陣皆、適材適所の好配役で、文句なく楽しめました。
浦井さんも、「ダンスオウ゛ウ゛ァンパイア」以来のはまり役で、何とも愛すべきキャラの王子を好演していて、ファンとして嬉しい限りでした。
山本太郎さんが、カーテンコールまで、そうと気付かず、歌もお上手だし、役者さんとして、見直しました。
新感線は、たとえどんなベテラン俳優や人気タレントを連れて来ても、皆が一丸となって、舞台を楽しく創り上げる業が、群を抜いています。
料金の高さを感じさせない、数少ない劇団だと、観る度思います。
客演も劇団員も、共に最高のステージでした。
ネタバレBOX
神田沙也加さんに、お母さんの聖子さん風の歌を歌わせたり、天海さんに、オスカルやジャンヌ・ダルクを連想させるようなコスチュームを着せたり、浦井君は殺陣をしながら熱唱したりと、とにかくファンサービス満載の舞台。
高田聖子さんの、驚きの死に様や、じゅんさんの名エンタティナーぶりにもただもう感服するばかり。
天海さん、素敵だし、古田さん、活舌良かったし、森奈さんの潔い演技も大ウケで、ホントに何もかも楽しい舞台でした。
帰宅して、もう大分経つのに、まだ楽しさの余韻に浸っています。
ブロウクン・コンソート
パラドックス定数
SPACE EDGE(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
犯罪ドラマは熱さよりもクールさを旨とすべし
SPACE EDGEという場所は、もともと工場かなにかだったのだろうか。五反田のアトリエヘリコプターの雰囲気にちょっと似ている。これまでに2度ほど、パラドックス定数の芝居で来たことがあるが、今回はこれまでの上演場所だった奥へは入らずに、以前は受付があった手前のスペースに客席を設けている。
話の内容も、今回は歴史的、社会的な事件を背景にして男たちのドラマが展開するという得意のパターンではなく、拳銃の密造工場に出入りするヤクザ、刑事、工員、殺し屋のやりとりを描いている。
私が見始めた当初、パラドックス定数の芝居の登場人物はもっぱら黒いスーツの男たちだった。その辺のこだわりから、クェンティン・タランティーノ監督の映画「レザボア・ドッグス」を連想したこともある。そして今回は拳銃が絡んだ悪いやつらの物語だということで、いよいよ「レザボア・ドッグス」みたいなギャング物が見られるのではないかと期待したのだが、残念ながら本編はクールな犯罪アクションからは程遠い内容だった。別に作り手のせいではなく、勝手にそういうものを期待した私が悪いんだけど・・・
それに、人物や状況の設定がちょっと現実離れしすぎている気がした。青山学院大学に通う学生の殺し屋というのもちょっとぶっ飛びすぎているし、日本にも悪徳警官はいるかもしれないが、拳銃の密売を賄賂をもらって黙認するというのはちょっと考えにくい。仮にいたとしても相棒の刑事までがそれをとがめないというのはありえない気がする。劇中では銃声も何度か響き渡るが、それに対しても登場人物たちはみんな警戒心が薄い。警察に通報される危険があるということに無頓着すぎる。拳銃の密造をする工員にしても、たとえ家族だからといって知恵遅れの兄を犯罪行為に引き込むのはリスクが大きいとは考えないのだろうか。犯罪に手を染める者は犯罪が露見する危険性に対して、もっともっと過敏で用心深くなければ、見ているほうも面白くない。
まなざし
掘出者
タイニイアリス(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/03/23 (火)公演終了
満足度★★★★
「ニセモノ」というルール
コンビニ勤務の木村慎司が主役。登場人物は木村の他に8人。
白い箱のような部屋での芝居。家族ごっこのような風景。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
木村の前を今までに何人もの母親や父親や兄弟が通り過ぎて行った。5番目のおふくろには虐待された。「好きだよ。好きだよ。」と連呼しながら木村の顔を膨らましていった。そうして、今度は知子という血のつながった実の姉が現れる。
しかし、木村は知子のマグマのような強い愛情と半ば強引に「一緒に暮らそう」という知子の存在にヒク。木村は5番目の母親以来、「愛情」と言われると恐い。だから、血が繋がっていない現在の父親との暮らしに満足していた。この父親・永吉は木村よりも年下だ。しかし木村はそんな事はどうだっていい。父親としての役割を演じてくれさえすれば、それでいいのだ。家族という概念を木村は持ち合わせて居なかったし、そもそもこの物語を構築しているシステムが「ニセモノ」というルールの上に成り立っているからだ。
そして、女の顔を見分けられない父親。永吉は女だったら誰でもいいと思っている。キラキラと輝いてるロマンチックラブをエンジョイしたいだけとのたまう。
一方で姉は行きずりの複数のオヤジと寝た。臭かった。期待はずれだった。そんな姉・知子は、彼女の母親の19番目の男が嫌いだという。パンチパーマをしたその男とセックスをした知子は母親に殺されそうになったという。
また別のキャラクターの女は中二の時に男に声をかけられてついて行ったら「むかつく」といってボコられたという。顔が紫になったけれど、ドキドキした。もっとドキドキしたくて「もっと殴って下さい。」と懇願する自分が居た。自分のスタンスが解らない。苛められていないと落ち着かない、という不のオーラを持つ女。
一方で「誰かの役に立ちたい。」と言ってタンスになる井上有希。彼女は「温めておきました。」といって、どらえもんのようにポケットから靴下を出す。まるで殿が穿く草鞋を懐に入れて温めていたサルのように・・。
そして有希のストーカーをする耕平。「10年後に会う約束をしましたよね?あの時と変わらぬ同じ気持ちを持ってきました。」と吐く。
それぞれのキャラクターがどこか歪みや闇を持って形成されている。そしてその形成さもいびつで滑稽だった。家族という一つの枠の中に出たり入ったりする人物像そのものが不のエネルギーを放出していて醜いのだ。カタツムリの中身を覗いてしまったような、生々しい不快感が唐突に込み上げるような芝居だった。
登場人物の全てが、かつて受けた傷を癒すことなく、膿んだまま放置されて、今だにジクジクと活動しているようなさまだ。だから・・・自分に関わる他者とはそれなりの距離を置いて薄っぺらい関係の方が有難い。と言ってるようなものだった。少しでも現実味を帯びてくると、「それは『ニセモノ』というルールから外れる!」といって、舞台監督が飛んでくるのだ。ルールを破った者には「退場」させられる。だから彼らは『ニセモノ』というルールに則って、ずっと自分の役割を演じ続けなければならない。なるべく薄っぺらい感情で。
好みがひじょうに割れる作品だと思う。しかし、誰でもがひっそりと隠し持ってる闇や歪さを表現した舞台だったなら、人間に対して過剰な期待を捨てた分だけ「木村の模倣家族」は本物かもしれない。
イデソロリサイタル
青山円形劇場
青山円形劇場(東京都)
2010/03/18 (木) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
コスプレ・ダンスショー
井手茂太のソロダンス。約1時間ほど。ちょっと変わったステージのかたち。普段は客席になっている部分の半分がステージで、残りの半分はふつうに客席。そして中央の円形舞台も客席になっている。
だからステージは弧を描いていて、背後の壁には普段は観客が出入りする両開きのドアが4つも5つも並んでいる。それを盛んに利用して、神出鬼没のコスプレショーを展開した。
最初は映像でもみたことがあるスーツを着たサラリーマン。次は歌舞伎で見かける白い獅子の毛皮を頭にかぶり、ふさふさの長い尻尾をぐるぐると回してみせる。次はキャリーバッグを引きずりながら仕事に向かう飛行機パイロット。並べた椅子は機内の客席に見立ててある。あぶない操縦で事故った模様。今度は長いテーブルの前で会社側の謝罪会見。ジャンパーの色を変えれば被害者の代表にもなる。壁に立てかけたモップは仕事を終えてテレビを眺める清掃員か。そのほか着物姿の演歌歌手、ぬいぐるみを抱えたラグビー選手、マントとマスクのレスラーめいた怪人などにも扮装した。
踊りそのものは少なめで、ちょっと物足りない気もしたけれど、本格的な踊りはイデビアン・クルーのほうで、と割り切って、半ばコントのようなダンスショーを気軽に楽しんだ。
公演中に舞台から落ちたという情報も耳にしたが、楽日のこの日は元気そうに動いていた。
まなざし
掘出者
タイニイアリス(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/03/23 (火)公演終了
満足度★★★
社会の病理?
シュールな世界ながら、登場人物は現代のちょっとおかしな人達ばかり。社会の病理?を描きたかったのでしょうか。ブルーになる芝居でしたが、セリフはすっごく面白かったです。
私と私のリチウム電池式モンキー
演劇集団ナトリウムサナトリウム
GALLERY ARATA(宮城県)
2010/03/13 (土) ~ 2010/03/21 (日)公演終了
満足度★★★
不思議な空間
前半は「これはどう観たらよいのだろう?」と観方がわからず、のめり込むことができませんでした。
が、後半は楽しみ方が段々とわかってきたので集中して観ることができました。
そして観終えた時にはなんだか幸せな気持ちになっていたわけで。
不思議な芝居だったなー。
違う作品も観てみたいです。
会場のギャラリーARATAも不思議な空間でした。
しかし外からの音がだだ聞こえなのはちょっと痛いですが…(汗)。
まなざし
掘出者
タイニイアリス(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/03/23 (火)公演終了
満足度★★★
不思議な感覚
社会の成り立ちについて、不思議な感覚にとらわれました。
ネタバレBOX
出てくる人々には顔が無く、白いお面を被っているような感じでした。
誰でもいい、与えられた役割をこなせばいい…。人でもタンスでも…。
ただ殺人だけは許さないという風に作者は考えているらしく、そうした社会規範を作者はシステムと名付け、舞台監督にやらせているところが興味深いところでした。
~花よりおはぎライブ~【劇場版:バナナ学園の暴走】 (ご来場まことにありがとうございました!!!)
バナナ学園純情乙女組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/03/22 (月) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
まだまだいける、次に期待。
もっともっと完成度があがる。台詞がきこえなかろうが、歌声がきこえなかろうが、踊りがずさんだろうが、それでも迫ってくるものがある。その迫り方にもっともっと意識を注いでほしい。
まさかゲネで壁に穴あけたから身体が萎縮したなんてことないよね?
前園あかりさんがますます好きになった。機会があったら自分の作品に呼びたいと舞台をみるたびに、思いが募っていく。そしてここが彼女のホームグランドなんだと体感できる強さがあった。
さいごは、からだばくはつ
創像工房 in front of.
慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)
2010/03/18 (木) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
おつかれさまー
ばくはつしなかったんですねー
それもまたよし
旅の道連れ 博多編
Monochrome Circus
福岡市立少年科学文化会館ホール(福岡県)
2010/01/23 (土) ~ 2010/01/24 (日)公演終了
五感で感じる舞台
1人の男性が、人生という名の旅にでて、旅先での出会いをつづった物語。
ネタバレBOX
舞台上舞台の、密接な空間の中に、いきなり大型のバイクが走りこんでくる大胆さにびっくり(@@;)タイヤのゴムのニオイ、焼けたオイルのニオイ、、、まさにダンス版ロードムービーの幕開けです。
目の前で、繰り広げられる坂本公成さんと「道連れ」のエピソードの数々。どの出会いも宝物ですよね。
「舞台上舞台」の最後のどんでん返しには、ただ感動。「ありがとう」と言われて、ちょっと照れつつも、自分が舞台の世界の登場人物になったような感覚になって、幸せな気持ちになりました。
こちらこそ、みなさんに「ありがとう」です。
『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
劇場MOMO(東京都)
2010/03/16 (火) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
個人的には好みではない
なんとなく、演劇よりお笑いに近い質の笑いかなあと。
キャラや奇抜な動作寄りの笑いは個人的にあまり笑いを誘われないので、コメディとしては好みではなかった。
それでも各キャラのあまりにもあまりにもな熱量は後半ジワジワ効いてきたし、振りまいた無数のどうでもいいような伏線をきっちり泳がせ回収していく脚本は、公式を使って解く数学の問いのような気持ちよさがあってしっかり楽しい。
リズムよく、ちゃんとコメディしてるなという印象。
旅の道連れ 番外編
PAI福岡
パピオビールーム・大練習室(福岡県)
2010/03/20 (土) ~ 2010/03/21 (日)公演終了
前原の栗饅頭が食べたくなった
よかった!この内容で800円はお得(●≧∪≦●)
ネタバレBOX
セットは、シンプルに舞台奥にピアノと照明と「旅の道連れ 博多編」でもおなじみのバーカウンター。
デュオのダンス作品が展開され、深水さんの、ピアノの伴奏と生歌。
「博多編」の作品を、アレンジしたものもあれば、番外編オリジナルの作品もあり。
全体を通して、博多編とはイメージが変わって、個々のアーティスト、デュオの個性が活かされた印象。
いい感じで、リメイクと言うか、再生というか。新しいものに変えていく構成力とか演出力とか、すごく新鮮!!
どの作品もおもしろかったのだけど、
特に「前原の栗饅頭」の歌と、百田さん・高野さんが、とにかくかわいかった。NHKみんなの歌にでてきそう♪
さいごは、からだばくはつ
創像工房 in front of.
慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)
2010/03/18 (木) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
満足度★★
もうちょっと
意外と本がしっかりしていて驚きました。
ただ、演出がもうちょっと。
もう一歩、あと少し細かい演出ができたらもっと引き込める舞台ができたと思うので、ちょっとおしい感じがして残念です。
ネタバレBOX
フライヤーに書かれていた面白そうな設定が生かし切れていない感じがしたのが、もうちょっとと感じた原因なのかもしれません。
なんで舞台が『信州・長野』なのか、青函トンネル封鎖なんておもしろいアイデアなのに、ほとんど触れられてなかったな、とかとても細かくて小さな事なのかもしれませんが、気になりました。
後は、間の取り方が冗長な感じを受けました。
間を取るのは演出としてはとてもいいのかもしれませんが、ここぞと言う時だけに使える手段だと思います。
長すぎる間を何度も多様するのは、観客の集中力が持ちません。
ゾンビが一回しか出てこなかったのは、個人的には残念。
いっその事、大量に出演させるか、音や影だけでまったく姿を出さなかった方がよかったのでは?とも思いました。
スタッフや観客が上演中に出入りしたり、PA席のスタッフが上演中に動き回り過ぎです。
ガサゴソとうるさいのと、背中を蹴られたのには驚きました。
とは言え、とても面白かったです。
色々と書いてしまいましたが、みなさん次回も頑張って下さい!
遠ざかるネバーランド
空想組曲
ザ・ポケット(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
逆説的ネバーランド
ピーター・パンの物語をどう描くのだろうという興味で観に行った。想像していたのとは違っていたが、なかなか面白い芝居だった。
全体に観客満足度が高いようで、みなさんのレビューに言い尽くされている感じで、楽しく読ませていただいたせいか、自身は書きあぐねてしまった。
ほさかようは、深層心理的な世界を描くことが好きらしく、巧みである。私が若手の劇作家の力量をはかる基準のひとつとして、もし、これをメジャーな俳優の配役で、中央の劇場で上演したとしたらどうだろう、お金をとれるだろうかというのがある。その点で、ほさかようは期待できるひとりだと思う。作家としての個性はまったく違うが、20代のころの坂手洋二に将来性を感じたときと似た感覚を持った。
ネタバレBOX
「一緒に空を飛ぼうよ!」とピーター・パンは子供たちを誘う。ひところ盛んに言われた「ピーター・パン症候群」は大人になりたくないというモラトリアム現象だが、この劇のピーター・パンの「飛ぶ」も現実逃避ではあるが、大人にならないことというよりもっと深刻な、文字通り、死のダイブを意味しているらしい。終盤登場人物がそれぞれ「いずみ」を名乗って、ネバーランドは実は主人公の少女の心の中の世界であることがわかる。ともあれ、役者がみな適役で、ピーターの中村崇、小玉久仁子のタイガー・リリーなど、いかにも見た目それらしい雰囲気が出ている。小玉久仁子は「時間のムダ!ムダ!」と前回のホチキス公演の役のアテ書きの様な台詞も出てくる(笑)。作・演出家の中には脚本至上主義で「役のアテ書きは邪道」と言い切り、さほど俳優に関心を持たない人もいるが、ほさかようは日ごろからいろんな芝居での俳優さんをよく観ているのでは、と思った。これは人によって好き好きだと思うが、私は俳優の個性に関心を持つ作・演出家のほうが芝居も面白くなると思っている。
トゥートルズの二瓶拓也が「夕ご飯のハンバーグが冷めないうちに食べなさいと言ってくれることが本当のやさしさ」と訴えるところは胸が詰まった。彼は、本当に童話から抜け出したようにあどけない(笑)。台詞を言うとき、いちいちマイクを使って囁くフック船長(中田顕史郎)がおかしい(笑)。ルフィオの石黒圭一郎(ゲキバカ)など、最初のほうに倒されてしまうので、出番が少なく、もったいない気もした。少年(斎藤陽介)が最初、出てきたときはただのひねくれものかと思ったが(笑)、終盤に向けて徐々に正体をみせていく描き方も巧い。ビスカ役の横田有加は、まことに人魚らしく美しい。海賊フォガーテの尾崎宇内はアングラ芝居のときとまったく違う印象で面白いなーと思って観ていた。私がアングラ芝居で観ている俳優はなぜか、近頃、違う役どころで良さを発揮しているような気がする。若いうちからいつも同じような役どころを演じてイメージが固まってしまうよりも、機会があれば、いろんな劇団に客演していろんな役に挑戦して引き出しを増やしてほしいと思っている。実力のある俳優に対してはなおさらそう思う。
ウェンディの清水那保はCoRichでも人気があり、前から観てみたいと思っていた女優だが、台詞を言うときに首が常に前に出る姿勢の悪さが気になった。時折こういう女優を見かけるが、癖なら早く直したほうがよいと思う。母親(武藤晃子)が冒頭、絵本を読み聞かせることや、妖精のティンカーベル(これも武藤晃子)がやけにオバさんくさい理由も、だんだんわかっていく。だが、ティンカーベルは、ネタバレせずに妖精の間はもう少し妖精らしく振舞ってもよかった気もする(笑)。
主役の西内裕美の降板で脚本を一部書き直さねばならなかったようだが、それでもこれだけに仕上げたのは見事。機会があれば、本来のストーリーで再演してほしい。ズバリ書割そのもののようなセットがラストに大道具転換されるのもよく考えられていると思った。ラストで学園物になっていたのが、ちょっとガッカリしたが、これは私の個人的な好みの問題なのであしからず(笑)。
私が子供のころ、民放TVで「ディズニー・ワールド」とかいう番組があり、あるとき、ディズニー・アニメにより「人間の感情と理性」を説明的に描いた作品が放送されたことがある。「感情のカンちゃん」と「理性のりーちゃん」という子供の姿をした2つのキャラクターが人間の頭の中に棲んでおり、頭の中の自動車のハンドルをめぐってしじゅう主導権争いをしている。男性には男の子、女性には女の子の姿をしたカンちゃんとリーちゃんが棲んでいるという、子供にもわかりやすい設定に大いに感心したものだ。今回の公演を観て、そのアニメのことを思い出した。どこか共通点を感じる。
ろばの葉文庫でセット券を購入し、カラーコピーを使った美しいチケットだったが、今回受付で回収されてしまい、手元に残らなかったのが残念。予約リストにチェックを入れるだけではダメなのか。釈然としない。