演出の力
夫を戦争で亡くしてただ嘆くばかりの日々を暮らす未亡人の元へ、夫の同僚だったという男が尋ねてくる。彼は夫に貸した金を返してほしい、明日までに銀行へ利子を払わなくてはならないと言う。しかし未亡人は、今は手元に金がないから明後日まで待てと応える。承知できない男はそのまま居座ろうとするが‥‥。
約40分の短編で、基本的に喜劇だ。ルドルフは普通の舞台セットで最初から割と喜劇的な雰囲気を出す演出だったのに対し、このしたやみは極めてシンプルだが何か象徴的な舞台セットで、演出も喜劇的要素は控え目だった。
どちらが優れているか決めるようなものではないので両方それなりの楽しみ方が出来たが、何より演出次第で同じ戯曲がこれほど違うものになることを見せつけられたのが心地よかった。同様な試みは昨年2月にも「人は死んだら木になるの」でも実施されて、その時もこのしたやみは参加している。今後もこういうスタイルの上演は観てみたい。