
ハコノホテル奇譚
劇団オグオブ
萬劇場(東京都)
2010/02/06 (土) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
匣の中には喪黒福造?(笑)
東京湾に浮かぶ小さな島に建つホテルでの限られた客に対するサービスである少し開けると見たい夢を見ることができるが覗きこんではいけないという「逆パンドラ」のような匣をめぐる物語。
たとえば「新青年」に連載されていたような幻想文学(現代で言えば恩田陸や梶尾真治か?)風と言おうか、独特のシュールさがあり、そう言えば「カフカ的変身」(笑)もあったっけ。
さらに、変身ということではからくり人形に変身してしまった女性を、動きとS.E.でいかにもそれらしく見せる(カプセル兵団の『ゴースト シード』に近い表現)とか、「ここではないどこか、今ではないいつか」まんまな和洋折衷の衣裳とか、見せ方もなかなか。
そんな中に「なりたい自分とそれになってしまった自分」や「空と海が溶け合う水平線の青を表現したいと思い続けながら色彩感覚を無くし全てが灰色にしか見えなくなってしまった女性の哀しみ」など奥深いモノを織り込み、さらにストーリーテラー役も実は匣によって作り出されたものだったという「シックス・センス的逆転」まであって◎。
で、フト、匣の中には喪黒福造がいて、覗き込むと「ドーン!」をやられるのではないか?などども思う(笑)
いやしかし「ココロのスキマ」なんて用語も出てきたし、「自分の願望をほど良く満たすのはイイが度を越すとエラいことになる」というテーマは共通だし、あながち見当外れではないかも。(爆)

わたる世間にゃ人ばっかり!?
KUSARE芸道R
アイピット目白(東京都)
2010/02/04 (木) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
「鬼」を使った成句の使い方が巧い
人間の真似をして豆まきをしたことから父親とケンカした鬼の青年が隠れ住んでいた洞窟から人間界に降りてきて…な物語。
「鬼は~外ぉ!」と追われる鬼の側を描くことでマイノリティの立場をえぐった社会派…なんてワケはなく、例によってひたすらバカバカしく、肩の力を抜いて難しいことなど考えずただ「あは、あは、あはは」と笑っていれば良いというお気楽なおハナシ。
が、「鬼」を使った成句をもじりも含めてふんだんにしかしさり気なく使っているのが上手い。たとえば「立派な鬼嫁になる」って、イイ意味なんだか悪い意味なんだか…(笑)
また、あんな人やこんな人の顔合わせも○。
ただ、長編ということもあり、得意の(?)影絵がなかったのはちょっとだけ残念。

LoveLoveLove13
劇団扉座
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
中では「我が町」が特に気に入る
「ロミジュリ」の有名シーンをタテ軸に、様々な「Love」(必ずしも恋愛ではない)を描く短篇を織り込んだシリーズの13回目。
WSSの「Tonight」からロミジュリのティボルト殺害のシーンにつなぐのは毎度のお約束らしく、しかしイイトコ取りと言おうか見事だし、他の短篇もなかなかにイイ出来。
中では「我が町」が特に気に入る。すみだパークスタジオで稽古する研修生たちの日常を描いたもので広義のバックステージものと言おうか一種の青春群像劇と言おうか、いずれにしてもσ(^-^) の好きな題材である上に、実際の建物などをミカン箱くらいのミニチュアサイズで表現した段ボール製の装置(←阿佐南とはまた違った感じ)が見事。「錦糸公園」のネームの入った石の入り口なぞかなりリアルだし、総武線が停車している駅は途中でちゃんと電車が発車するし…(笑)
他に「はだかの王様」っぽい「北川景子」や意外なオチの…(ありゃ、当日パンフにはさまっていたタイトルリストが見つからない)…結婚式場での出来事も好き。

THE 39 STEPS
東宝
シアタークリエ(東京都)
2010/02/06 (土) ~ 2010/03/04 (木)公演終了
満足度★★★★★
商業演劇のコメディはこうでなくちゃ
と、思える、普通にユッタリと腰掛けて、楽しく笑える痛快エンタメ演劇でした。
とにかく、4人のキャストの、体を張った好演ぶりがお見事!!
中でも、浅野さんとねずみさんのコンビは、往年のハリウッドの喜劇俳優のよう。二人の早替わりやオーバーアクションに、何度もクスクス笑い、面倒なことを何も考えない、居心地良い観劇タイムを堪能しました。
ねずみさんもだけれど、浅野さんの八面六臂の芸達者ぶりは、本当に特筆もの。これを観られただけでも、行った甲斐がありましたが、その上、開演前のクイズに答えて、原作映画のDVDとマグカップとイギリスのポテトチップまで、頂いてしまって、ほんのちょっと、クリエ好きに変容してしまいました。
四季退団後の石丸さんのステージ中、私としては、この役が一番好きでしたし、高岡さんも、同性ながら、大変魅力的で、あるシーンでは、かなりドキドキ物でした。
お時間と懐に余裕のある方になら、是非おススメの公演です。

銀幕心中
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
「カツドウ屋」の世界・心意気
ベテラン映画監督が急死しての通夜にプロデューサー、脚本家、カメラマン、常連の俳優が集まり、僅かに撮り残した最新作の今後についても検討し…な物語。
こことの出会いであった『ウェルズ』と同じ作家の作品ながら、監督の死因が死因だけにブラックな笑いも少なからずあり、オモムキはかなり異なる。(チラシにも「抱腹絶倒」なんてコトバがあったし)
が、中盤で監督の霊が登場してから終盤にかけての劇中劇(厳密には「劇中映画」?)と劇中現実が微妙にカブるあたりで伝わってくる根底に流れる「ナニカ」に共通するモノがあるようなないような…(爆)
また、「カツドウ屋」の世界・心意気を描きながらも、極めて演劇的な表現方法をとっており、終盤の構図の美しいことといったら。下手に立つ霊とほぼ中央で進行する映画のクライマックスにふりかかる花びらの図は一幅の画の如し。(見返り気味の霊に既視感があるのは何だろう?)

ふすまとぐち
劇団野の上
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/02/19 (金) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
劇団自体が宗教団体のさま
会場に入ると見なれない観客がわんさか!この時点でいつもと違う雰囲気にのまれる。要は会場に津軽の皆様が応援に来てる。まるで教祖さまが演じてるようなさま。
しかも公演中でもジーー、キュル、ジーー、キュル・・・となんやら夏でもないのに蝉の、今にも死にそうな鳴き声。ワタクシ、思わずキョロキョロした。
そしたらさ、そしたらよ?!(・・!)
一眼レフカメラみたいなメッポウ大げさなカメラでパシャパシャ!!と舞台を撮ってるじゃん。「はんずめて東京さきたから東京タワーでも撮ってけえるべ。」みたいなノリで・・。
いあいあ、ワタクシ、修学旅行にでも来ちゃったか?って思ったよ!(苦笑!)
以下はネタばれBOXにて。。

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】
DULL-COLORED POP
タイニイアリス(東京都)
2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了
満足度★★★★
三題噺どころか十題噺に幸福論(不幸論?)まで
出演者が自分の役どころを指定してそのキャラクターを使ってストーリーを紡ぐという企画、出来上がったのは高尾山で首を吊ろうとしていた女性のもとに宇宙人たちが現れ、彼らの「分倍河原星」(笑)には「不幸」の概念がないので研究に協力して欲しいと「しあわせインプラント」を施した彼女の観察を始めるが…という物語。
三題噺どころか十題噺、いささか強引な部分もありつつちゃんと1本のハナシになっているどころか幸福論あるいは不幸論まで語ってのけるというのが見事。
また、過去に観たダルカラ作品2本はどちらもシリアス系だったので、こんな面もあったのか、な発見もアリ。
過去の2本からは劇中で「ラムのラブソング」を歌って踊るなんて想像もできないもんね(笑)
さらに、一部意外と思われる顔合わせも妙にハマったキャラ(中では宇宙人とアル中のニートが好み)のためもあってかシックリと馴染んでいて、事前に耳にした批判的な声にかすめた不安は杞憂に終わり結果は満足。

BOOKEND
INUTOKUSHI
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了
満足度★★★★★
衝撃
普段演劇を見ることはほとんどなく、こうした小劇団の公演は初めて観たのですが、ほんとに衝撃でした。舞台でできるほとんどハイエンドを見せられた気がします。また他の公演もぜひ観てみたいです!

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)
MU
OFF OFFシアター(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
そして仕上げのBバージョン
まずは「ゴージャス…」。初めて通る時は遠く感じた道が、2度目には近く感じて、3度目は周りの景色を見る余裕もできた…な感じ。
しかも「女優系」かつ「オイしい物は最後に食べる」タイプの身にとって、この順は願ったり叶ったりだし。(爆)
ただ、短期間に3度も集中して観たせいで今後チャイコの「1812年」を聴く時にいくつかの場面が目に浮かんでしまうという “後遺症” が出そう。いや、実はこの2日後に試しに聴いたら案の定「ナルシスト~だ~よ~~~」という歌詞まで脳内で再生されてしまって…(笑)
また、「めんどくさい…」の(C)で元教師役だった川添美和が、こちらでも元教師という設定(←(B)のみ)なので、勝手にアタマの中でリンクさせたりもして…。いや、どちらかと言えばパラレルワールドか。(笑)
一方、「めんどくさい…」については(A)が直球、(C)が変化球、(B)はビーンボール?(爆)
あるいは(A)がブレンド、(C)がカフェオレで、(B)はコーヒースカッシュ?(笑)
喩えずに言えば、基本形→応用編→パロディ編ってところか。

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)
MU
OFF OFFシアター(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
続いてCバージョン
「ゴージャス…」は男ばかりの(A)では特殊性(笑)を感じたのが、男女混成となりバランスが良くなった感じ。が、マイルドになったと言い換えることもでき、考えようによっては毒が薄くなったかも?(爆)
「めんどくさい…」は、情夫を高校生に設定したのが(A)よりもさらに「病める現代」っぽくて愉快なのだが、芝居に関する部分が「それって演劇部のこと?」になってしまうのがやや苦しい。(笑)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)
MU
OFF OFFシアター(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
まずは初日のAバージョン
ビルの5階、ひょんなことから4人のナルシスト達(というより自己顕示欲のカタマリのような面々)に軟禁された1人の男…なストーリー、状況設定的にも非常に小劇場的。
また、男が軟禁されることになった理由にしても、ナルシストたちの主張にしてもどこかズレていて、大笑いではないけれど「クックック」とか「ニヤリ」とかの笑いが満載。
それにしてもナルちゃんって目茶苦茶ポジティブ。あんな状況でさえチャンスと思ってしまうとは…(笑)
「めんどくさい…」は大金を手にして情夫を買っている女性のおハナシ。
舞台役者が枕営業をしていたのに次第に主客逆転でデリボーイがメインになったなんて設定が可笑しく、でももしかするとあるかも?などと思ったり…(笑)
また、一般的には「逃げた」とすることの多い「青い鳥」を「死んだ」とするのが象徴的。それも「生きているだけでそのストレスから発狂して死んでしまう」なんてシニカル。

北枕動物園へようこそ
K.B.S.Project
高田馬場ラビネスト(東京都)
2010/01/30 (土) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
初演と比べ落差がより大きくシリアスさを強調
08年10月の初演と比べて前半は下ネタも含めてさらにノーテンキ(笑)になった感じ? だもんで動物たちを殺さなくてはならなくなる後半との落差がより大きくなり、それだけシリアスさが強調された感じか。
また、動物を殺すために薬物を塗布した餌を人間が飢えから食べてしまうシーンは(結果的に命をとりとめるとはいえ)コワいし哀しい。
さらに、初演時にも思ったが、エピローグの落とし方が他に類を見ないほど予想外で「そう来ましたかぁ」みたいな?

異説 卒塔婆丸綺談
しゅうくりー夢
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2010/01/28 (木) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
140分の長さを感じさせないのはさすが
卒塔婆丸に乗った海賊たちが襲った商船には政略結婚を嫌がり嫁ぎ先に向かう道中で侍女と共に姿をくらませた水戸の藩主の娘(=姫)も隠れており、そのことが海賊たちに予測できない事態をもたらし…というアクション時代劇で、幕末秘話であったりもするという娯楽作。
姫を探す側にもこの騒動を利用して成りあがろうとする者がいたり海賊たちが根城としている島には土佐弁の男が漂着したりで様々な思惑が交錯し、どんでん返しを経て秘話が秘話のままに終わった所以まで語る波乱万丈のストーリー、時に殺陣も交えて140分の長さを感じさせないのはさすが。
ただ、冒頭で主人公側たる海賊たちが商船のクルーを斬っているのがちょっと気にかかる。抜け荷だったような気もするが、斬られて当然という悪人でもあるまいに。『ハムナプトラ』でも似たようなことがあったが、これってどうよ?
一方、姫と侍女のキャラクターが良く、それゆえ「実は…」の前後とも納得できるのが巧い。
また、慶応3年11月15日の「事件」を外側から描いたというか、「京都の近江屋でアイツをヤってきた」なんて台詞をサラリと入れるのにニヤリ。
しかし当日パンフの配役欄に「才谷梅太郎」の名前があるのはある意味ネタバレ。「漂着した男」程度にしておけば、オープニングで紋を見た時あるいは劇中で名乗った時に「お~~~っっ!!!」となるのに…

煩悩カケル
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
鉾久さん、高桑さん
高桑晶子さんと鉾久奈緒美さんのデュオシーンがよかった。
ストレートに伸びる指先、足先、直角に曲がる腰つき、
スレンダーなお二人の力強い踊りに胸がすっきりした気分になった。
明日からも仕事頑張ろうっと!

2001年壺中の旅
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
向 雲太郎&村松卓矢 すごい★
やっぱ名作だと思う。
向 雲太郎さん、村松卓矢さん、登場しただけで面白さが
にじみ出てます。
登場から退場まで一瞬のまばたきももったいないくらいの
見事な立ち振る舞い!
This is 大駱駝艦!
間違いなく★は五つ以上ですよ!

煩悩カケル
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
我妻舞踏
我妻さんの煩悩のカケラを凝縮したような混沌、カラフルな作品。
男三人の群舞は我妻さんの夢か。
女性たちが生き生きとしていて観覧後の爽快さはたまらない!

踊るワン‐パラグラフ2010
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2010/02/18 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★
京都からごくろうさま
カールスモーキー石井しか残ってないけど、観て損したとは思いませんでしたよ。
うーん、できればスズナリでは出会いたくなかったかな。
違う劇場のほうが合うんじゃないかな。
好みによるんでしょうね。生理的に受け付けない雰囲気が多少あった。
京都公演を終えての東京進出という情報を読んで、もっと完成度の高いものかと思った。
でも損したとは思わなかったしね。終演後の挨拶が感じよかった。
舞台美術も理にかなっててよかった。遠くから運ぶにもよさそうだしね。

2001年壺中の旅
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
やっと観れた!
「この作品は名作だ!」
「絶対観た方がいいよ!」
舞台観劇仲間に言われ続けてきたけど
やっと観れるチャンスがありました。
ポップでキッチュでエンターテイメント舞踏。
喜劇っていうけど喜舞踏じゃないか?軽妙洒脱な向 雲太郎!
喜舞踏アルチザン、ここに参上!

煩悩カケル
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
煩悩
煩悩って何だろうっていろいろ考えさせられる作品でした。
最初のシーンで最後の晩餐みたいなところがあって
むしゃむしゃダンサーさんたちが食事してて圧倒されてしまった。
人が食事するところで圧倒されるなんてそのことに驚いた。

煩悩カケル
大駱駝艦
大駱駝艦・壺中天(東京都)
2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
我妻恵美子さん素晴らしい
冒頭の我妻さんの登場にまず目を奪われます。
指が何かを示すだけで感動するなんて・・・
言葉の稚拙さを実感せずにはいられません。