ふすまとぐち 公演情報 劇団野の上「ふすまとぐち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    劇団自体が宗教団体のさま
    会場に入ると見なれない観客がわんさか!この時点でいつもと違う雰囲気にのまれる。要は会場に津軽の皆様が応援に来てる。まるで教祖さまが演じてるようなさま。
    しかも公演中でもジーー、キュル、ジーー、キュル・・・となんやら夏でもないのに蝉の、今にも死にそうな鳴き声。ワタクシ、思わずキョロキョロした。

    そしたらさ、そしたらよ?!(・・!)

    一眼レフカメラみたいなメッポウ大げさなカメラでパシャパシャ!!と舞台を撮ってるじゃん。「はんずめて東京さきたから東京タワーでも撮ってけえるべ。」みたいなノリで・・。
    いあいあ、ワタクシ、修学旅行にでも来ちゃったか?って思ったよ!(苦笑!)

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    んなわけで、津軽弁丸出しのキヨさんがしゃべりまくってるシーンから始まる。よく解らないけれど、なんとなく解る。しかもこの津軽弁がなかなかいい。
    方言ってホント、いいよね?「渡辺源四郎商店」の公演の時も感じた心地よさをここでも味わう。

    だけれど辺源の芝居の空気感とは真逆の雰囲気がある。姑キヨの強烈な嫁いびりにより桜子は押入れの中に閉じこもったまま出てこない。この物語は「家族」を題材に太古の昔から延々と続き、そしてこれからも変わることなく続くであろう嫁姑の問題とその板挟みになって苦しむ長男らを真正面から取り組んだ作品。

    キヨはスーパーバイザーの金本君(営業)の口車に乗ってトルマリン羽根布団を購入したり、はたまた、「早起きの会」という怪しげな宗教の人たちと付き合っている。これらは何となく田舎の高齢者がひっかかるような情景だ。そんな姑の様子を押し入れの中で聞き耳をたてる桜子。嫁・姑・小姑の関係性が面白い。

    そして一見おとなしくふがいなさそうに見える長男の姿も描かれるが、これも一般的だと感じた。嫁と姑の間に立つ場合は母親の側については事態がいっそうこじれるだけだという知恵は誰にでもあるだろうけれど、それでも大抵の男性はこういった場面ではこんな風に第三者の立場に逃げて遠目で見ている感じなのだろうと思う。(苦笑)

    それぞれの人間の業がぶつかり合い、理想と違うその現実が轟音を立ててその姿を変えていくような芝居は見ていて滑稽であるとともに、恐怖でもある。嫌味をいう母親や引きこもって出てこない嫁も現実とは思えなく信じられないトモノリ(長男)は、いったんどこかに退き、万事が落ち着いてから出直したい気分になってしまったのだと思う。だからそんな現実逃避に身を置くべくトモノリは自分だけ引っ越すと言い出す。「どうして俺がこんなおもいをしなければならないのか・・。」と疑問を覚えるように。

    口だけ達者な姑、籠って外部の全てを遮断し話し合おうともしない嫁、現実逃避の感覚を引きずりながら説得する努力をしない長男、甘えてる小姑。

    これらの人間関係を絶妙にダーク色濃く演出した物語だった。そして姑が倒れ入院すると家族の関係は大幅に逆転する。こうやって家族は疲労感をも覚えながら脈々と次の時代に受け継がれていくようだ。物語は笑いも滲ませながらなるべく悲惨にならないように構成されており、感覚はコメディの部類に入ると思う。ワタクシ達他人は面白可笑しく見たけれど、男性の観客は少し視点が違うのだろうか・・?

    次回は8月とのことだから、また観に行きたいと思う。

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    2010/02/23 17:21

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