最新の観てきた!クチコミ一覧

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おうもの

おうもの

アメウズメ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

世にも美しく恐ろしい寓話
どこだかよくわからないその陰鬱で閉鎖的な村社会にはそこだけにしか流通していない独特の声のトーンや、這いつくばってでも逃げ出したくなるどろっとした不気味な重苦しい空気感、血の匂いが渦巻くような気配がある。
理性が音を立てて崩れ去るその一歩手前、いつ何時誰が死んでもおかしくない綱渡りの危うい世界で疑心暗鬼になりながらも生きることを選択しつづける人間の執念を見た。

ネタバレBOX

※ラストシーンに関する記述があります。未見の方はご留意ください。


秋の終わり。鈴虫が鳴き、弱々しい光が差し込み、木枯らしが吹きすさぶ、どこかの村。
藁に覆われた簡素な居間に赤子を孕んだ女(三保野)が子守唄をうたっている。
夫妻(振根、三保野)は閉鎖的なこの村を出て暮らすことを切望していて、そのためには金が要る。たくさんの金が。しかし今日は鼠の皮しか獲れなかった。これではいくらの金にもならない。

ある日、振根の弟・東世が犬を拾ってきた。
どこかで死んでいたらしい。米を持ってくるとあれほど三保野と約束したというのに。

その頃、満知は東世にある疑いを持っていた。
それは行方不明になった自分の息子を殺したのは東世ではないか?ということ。
なぜって、一昨日死んだ村のばあさんの犬を東世が殺しているところを見たと噂で聞いたのだ。

疑惑を胸に夫妻の家へあがりこみ、犬はどこにいるのか問う満知に振根は気持ち悪くて捨てたと答える。そこに東世が現れて憎悪が沸点に達した満知は鋭利なナイフで東世の目玉をぶっ刺す。

断末魔の叫び声をあげる東世などお構いなしに満知は夫妻の家を乗っ取ることを宣言。更に夫妻の有り金すべてをふんだくる。

この村で生きるためにはこれ位の代償は仕方がない。それがルールで大人の責任なんだろうか。ふたりの兄である東升はお願いだ、わかってくれと振根に懇願する。

家も金も失って希望を遮断された夫妻の気持ちを繋ぎとめるものはいよいよ絶望しかなくなった。盲目になることで罪をペイした東世は何事もなかったかのように大好きな三保野のために米を持ってくるよ、と無邪気に出かけ、物質的に満たされても子どもを亡くした喪失感を拭い去れない満知はもうなんだっていいよ。と自暴自棄に陥り、そんな満知を気が狂いそうになりながらも支えていく東升がこれから背負っていく十字架は重く苦しい。

そんなラストを象徴する”おうもの”とは血縁関係を考慮した運命論や原罪を守ること、罰を克服する機会を奪われないために追いかけることで、ゆるやかにすべり落ちる疑惑が解決されなくとも信じる心を失えないのはきっと、良心の呵責のせい。問題は霧につつまれて、そのまま遠い空に消えていくような、刹那。
「光がないんだ 風がないんだ 靄があるんだ さんにんいるだけなんだ」
ひとりごとのようにそうつぶやく三保野が儚く美しい。
かげぜん

かげぜん

dash

あうるすぽっと(東京都)

2010/02/17 (水) ~ 2010/02/25 (木)公演終了

満足度★★★★

詐欺師に感情移入!
典型的な詐欺師の行動パターンなのに詐欺師に感情移入してしまいます。

ネタバレBOX

いい人振って老婆に親切にするのは、正に詐欺的訪問販売員がお年寄りを騙す方法です。

ストックフォルム症候群のせいか、あるいは、隣人を空襲から救い、逃走して金を手にすることもできたのに成りすましのまま戦争に行くという状況のためでしょうか、老婆たちだけでなく私も次第に詐欺師に感情移入していきました。

赤の他人同士が一つ屋根の下で暮らすうちに、やくざな若者が真人間になって家族関係が築かれていくというのは、まるで古今亭今輔の落語のようでした。

最後に、かげぜんという言葉が出てきて、はっとして感動しました。

ただ、盗人が特高の拷問に耐えてまでそれほど親しくない盗人仲間を売らないなんてことが本当に有るのかは疑問でした。
プリン

プリン

かやくごはん

「劇」小劇場(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/17 (水)公演終了

満足度★★★

地域興し的演劇!
下北沢のケーキ屋さんを巻き込んだアイデアは良かったのではないでしょうか!

八百屋のお姉さんの方、うん、きょろきょろって、頭と目の動かし方が可愛かったです!!

ネタバレBOX

ジャック・バウアーならぬジャック馬場、死にそうになってもしぶとく生き抜くというタイプかと思いきや、単なるスパイで簡単に捕まってしまって、大げさなわりには何だろかって感じ。

最後のどんでん返し、もし大統領が死んだら、パティシエは逮捕されたり、国際問題になったりと、本当はとんでもなく恐ろしい含みを持っているはずなのに、なぜかそれが感じられませんでした。

確かに停電があったり、伏線があったのは認めますが、最後の一言だけではインパクトがありません。

私がパティシエの気持ちになってハッピーエンドを願っていたからなのか、すぐお菓子の販売を始めたからか、恐ろしい現実を考える時間がありませんでした。

LIVE雅咆2008~桜春の陣

LIVE雅咆2008~桜春の陣

the CRAZY ANGEL COMPANY

シアターアプル(東京都)

2008/03/07 (金) ~ 2008/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごい!!
一言で言うと衝撃でした。
ひとりひとりがいろんなパワーを持っていて、見入ってしまうステージ!!こんな団体他にはない!!
曲もカッコイイし元気をもらえます☆

『世界の終わり』を囲む短編

『世界の終わり』を囲む短編

Minami Produce

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

Bを拝見
チケプレで拝見しました。
期待していたよりもずっとよかったです。
でも、後一押しな感じもします。

ネタバレBOX

前半は?マークのまま進行してました。
しかし、内容はキャッチーなのでおいていかれることはありませんでした。
レビューを別の方も書いていましたが、#5の地獄変の話が・・・
悪くはない(というより面白いのですが)何しろ原作が素晴らしすぎるので・・・

このあたりは原作をカバー?(サンプリング?)する難しさですね。

しかし、#6の女の子の話はとても良かった。
元気をもらえました。#6が一番作者の色づけが強いように思いました。
桜ノ森ノ満開ノ下

桜ノ森ノ満開ノ下

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2007/11/11 (日) ~ 2007/11/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

「桜ノ森ノ満開ノ下」を見ました。
モーメンツの作品を初めて観たのが、この作品でした。
“鑑賞”のつもりでいたのですが見終わった時には熱さや痛みのような“感触”が残る不思議な感覚でした。

シアター・モーメンツの作品は“見るだけでなく触れる”

老若男女を問わず、同じ瞬間に同じ気持ちになれる。ちょっと他にない感じ。
オススメです。

KANNAZUKI 2010

KANNAZUKI 2010

リンムーメン!!プロデュース

テアトルBONBON(東京都)

2010/02/09 (火) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

はっとしました!!
社長の弟さんや男性従業員の演技は素晴らしかったと思います。

女優陣はちょっと自然さが不足していたように思いました。

途中ではっとしてから、急に奥深いものになりました。

ネタバレBOX

所謂幽霊物の一つです。ただし、生きている人です。別の場所にいる人がそこに居るように存在して会話をするという方法でした。

この場合は二人で会話をしているうちは私たちには分かりません。

第三者が存在して初めて異様さに気づきます。

この種明かしを受けて、はっとしました。素晴らしかったです!

そうだよなあ、鈴が鳴ったときの対応が何か変だったよなとか急に分かり始め、作品の奥深さが感じられました。

ところで、社長の弟さん、スピードワゴンに似ていましたね!!
NECK※板尾創路が体調不良により降板。代役は河原雅彦。

NECK※板尾創路が体調不良により降板。代役は河原雅彦。

ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2010/02/12 (金) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

満足度★★★★★

やっぱり河原雅彦!!!!
個人的に最強の演出家だと思っている河原雅彦さんの演出によって、
客席を驚かせる演出の連続で、
舞台がバッサバッサと顔を変えて転換されていく様が痛快でした。

しかも首が舞台から覗く芝居という新しいスタイルに
演劇の限界を底上げされた感じがして、感服でした。

しかも役者陣がすばらしく、もう一度見に行きたいほどの作品。
板尾さんの出演も見たかったが満足でした。

ビリビリHAPPY

ビリビリHAPPY

突劇金魚

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

満足度★★★★

サリngROCK
演劇雑誌にサリngROCKと渡辺えりの対談が載っていて、興味をひかれて観に行った。感動したりはしなかったけれど、面白い部分もあり、観てよかったと思う。頭を使って観るような演劇じゃない。アフタートークで柴幸男が言っていたように、サリngの夢を観ているような感じがある。自分の中の無意識に耳を澄まし、それを役者を使って演劇という手段で表現している。僕も、サリngの中の無意識に何らかの共感を抱けたから、最後までそれなりに退屈せずに観れたのだと思う。

ネタバレBOX

ただ、アフタートークの中で柴幸男が語っていたように、サリngの演出方法や歌の扱い方などについて、まだまだ改良の余地はあると思う。柴はもっとぐちゃぐちゃになっているのが観たいと言っていたけれど、確かに僕も似たようなことを感じた。変な動物や変な伯爵など、面白い要素はたくさんあるのだけど、それがきれいにまとまりすぎていてインパクトを持ってこちらに届いてこないのだ。けれどそのぐちゃぐちゃになりきれないところがサリngの資質のような気もする。かわいらしくまとめてしまうというか。それはそれで魅力な部分だと思うので、捨てる必要はない。戯曲賞をとったという作品は、どんな感じだったのだろう。もうちょっとストーリーらしいストーリーがあったのだろうか。それも観てみたくなった。東京に進出する予定は今のところないそうだが、また観れる機会があるのなら、観たいと思った。
おうもの

おうもの

アメウズメ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

子守唄の威力
劇中に出てきた子守唄でどぎつさが増してました。
神経が研ぎ澄まされる芝居でしたね。

これからもがんばってくださいね。
楽しみにしています。

CLOSER

CLOSER

avex live creative

サンシャイン劇場(東京都)

2010/02/19 (金) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度

もったいない。
良い内容の芝居なはずなのに、全く生かされていない。本当に残念。

ネタバレBOX

多分、殆どがEXILEファンのおばさん達で埋め尽くされていて、何だか本当にがっかりな芝居でした。
二月大歌舞伎

二月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2010/02/01 (月) ~ 2010/02/25 (木)公演終了

満足度★★★★★

仁左衛門さんの芸は別格だね
終演後のアラフォー世代の女性客の言葉です。
私も、全く同感!孝夫さん時代から、もう40年来のファンですが、こんなに拝見する度、芸が磨かれている歌舞伎役者さんは、私の知る限り、他にはいません。
18代目勘三郎さんは、初舞台から拝見していますが、最近、ほんのちょっとですが、芸が荒れていないかと心配しています。
お二人とも、すっとファンでいる身として、今日の観劇は、ちょっと複雑な思いが交錯しました。

爪王…素晴らしかったらしいです。友人が、一番良かったと言っていて、楽しみにしていたのに、遅刻し、着いた時には、割れんばかりの拍手が聞こえていました。お隣の席の方も、「最初のは良かったね」と話していましたし。ただもう、残念。
俊寛…ダントツ、勘太郎君の成経が素晴らしく、彼の役者さんとしての進化に目を見張りました。七之助君の千鳥は、まだ型だけの芝居で、心根が伝わらず、残念でした。勘三郎さんの俊寛は、意志の強さは出ていましたが、人間の弱さを表出する部分が欠けていたように感じました。俊寛の悲哀があまり伝わって来ませんでした。ただ、「来世で」の台詞は先代への個人的な思いが感じられて、ちょっとほろっと来ましたが。最後は、得心して笑みを漏らす方の型で、私はこの方が好みでした。
口上…文字通り、久しぶりに、本当の「役者」が揃った口上で、先代勘三郎さんへの思いが口先だけでないことが伝わり、気持ちの良い、ご挨拶でした。
ぢいさんばあさん…何度観ても、3幕目では、泣いてしまいます。ハートフル歌舞伎の1級品演目。仁左衛門、玉三郎の当代随一のコンビの名演はもちろんのこと、甥夫妻の橋之助、孝太郎等、脇の好配役も手伝って、本当に心温まる素敵な舞台でした。37年というキーワードが出て来ますが、まさに、私がこの演目を最初に観たのは、40年近く前なのでは。あの時は、1幕の実年齢に近かったお二人が、今回は3幕のぢいさんばあさんの年齢に近づいて、終幕の老夫婦の愛情溢れる場面がより繊細に演じられて、お二人の円熟の演技に、何度も涙を拭いました。お二人とも、可愛くて、本当に素敵な老夫婦ぶりでした。

時代×時代劇 TWO DASH

時代×時代劇 TWO DASH

IQ5000

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/02/17 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

レベルは高いと思うのだけれど
前説!面白かったです。
お話の内容は心温まる感じでした。
が、芝居としては引き込まれ感が少なかったです。
前半は前説とかぶり、すこし眠い感じでした。
芝居の構成や小道具使いの技量などはすばらしいな!と思うのですが,
小劇場としてのエネルギーは、うまいとかやるなあとかとはまた別な気がします。

ネタバレBOX

俳優さんはうまいような・・・でもうまさが自然じゃないような,
魅力って難しいですね。もっとシンプルな内容にして見せてくれたらよかったような気がします。
飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

松竹

新橋演舞場(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

いろいろ感想はあると思います・・・
飛龍伝ということで,黒木メイサということで、2回見に行きました。
初日は,かみかみ王子もいたので、私もすごく緊張して肩に力が入りました。が!2回目は中日すぎで,安心してみていられました。
正直何回もこの芝居を見ているので,つかさんの芝居が好きという前提で観ているので、他にもそういう人は大丈夫だと思うのですが,いきなり見た人は訳が分からないかも知れません。それは,俳優の方達の台詞まわしの力量のせいなんて言ったらだめでしょうか?私はそんな中で,カラテカの方が,見事に芝居にとけ込んでいるのがとても嬉しかったです。

ネタバレBOX

山崎一平役の方は,台詞は入っているのですが,気持ちは入っているのですが,やはり芝居の未熟さが,今ひとつ泣けませんでした・・・残念。そう残念でしたけど、でもやはり楽しかった!
ビリビリHAPPY

ビリビリHAPPY

突劇金魚

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

衣裳、可愛すぎ♪
とくに、不思議生物たちのが。あと、スミ子(七味まゆ味)とアラタ(片岡百萬両)のシーン、舞台美術と照明でまるで糸杉の森のような美しさ。ちょっとゴッホ☆

ビリビリHAPPY

ビリビリHAPPY

突劇金魚

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

満足度★★

ごめんなさい
まったくノレませんでした。
面白そうな雰囲気はあるんだけど、イマイチ面白くならず、音楽以外はまったく引っかかるところがなかった。

勝手な憶測だけど、関西の劇団だからもっと笑えるところがあるんじゃないかと思っていた・・・それはどうやら違っていた。

ネタバレBOX

関西弁の中、1人だけ標準語の七味まゆ味さんの前へ出ようとする力と、劇団全体のもっちゃりした感じが、いい感じで化学反応を起こすのかと思っていたら、そんなことはなく、すれ違いのまま進行していく感じ。

七味まゆ味さんはとても良かったのだけど、普通に関西弁の主人公ならば、この空気感にマッチしたように思えた。

主人公のスミ子は墨でクロで、妹はシロ美と、女性の登場人物にはそれぞれ色の名称が配してあるのだが、それに意味(スミ子しシロ美以外に)を重ねていたのかどうかもわからないまま。

私が劇団のリズムとまったく合わなかったようだ。
なんでこここのテンポ? なんて思うこと多くて、もっと笑えるようにできるんじゃないかなぁと思ったり。

関西弁の伯爵とか、ヘンな動物とか、いろいろ面白そうなフリやシカケがあるのだけど、どうもそれが面白さに結びついていかないもどかしさがあった。
ストーリーもなんか・・うーん、だったし。

まったく面白くないというならば、それはそれで怒りの対象になるのだけど、なんとなくゆるく面白い雰囲気があったので、もやもやした気分だけ残った。

いや、正確に言うと、音楽が良かったので、とりあえず、CDRだけ購入した。
もけもけというバンド。
これが今回の収穫だった。

それとサリngROCKさんは印象に残った。
東京パリ帝国合同公演

東京パリ帝国合同公演

ロスリスバーガー

RAFT(東京都)

2010/02/12 (金) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★

また別の味わいアリ
今回は東京パリ帝国(未見)との合同公演ということで、作・演出と出演をたすきがけで、という企画。そのうちのロスリスバーガー側が出演する方のみ観劇。
互いにコードネームで呼び合う黒服の男女3人を中心としたナンセンス系コメディ…というよりはむしろ長篇(約40分)コント?なオモムキは過去2回観たロスリスバーガー作品とはやはり異なるが、また別の味わいアリ。

そして彼女はいなくなった

そして彼女はいなくなった

劇団競泳水着

サンモールスタジオ(東京都)

2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★

ここまでテイストが異なるとは
CMなどに出始めた新進(なのか?)女優の失踪をめぐる物語、「ミステリー風味」というのは事前に告知されていたとはいえ、ここまでテイストが異なるとは。なんたって、当日パンフに「今回が初めての方は是非次回以降も」みたいなことが書いてあるくらいで…(笑)
で、基本的には2人の人物の会話シーンの積み重ねというスタイルとサスペンスフルな内容の相乗効果によって、緊張感の高いことといったら!
まずはいろんな組み合わせによる登場人物たちの会話をバラまいて様々な可能性を示し、それによって「木の葉を隠すのは森の中」的な状況を作っておいて、次第にその中から失踪とは関係のないものを消去して真相に辿り着くのが、最初はどうやってもほぐれそうにないように思えた糸の絡まりを、ほぐし易いところから順に根気良くほぐしていったらようやく解けた、的な感覚。
また、実は序盤でキモとなる部分の表面を見せておいて、最終幕でそれの「完全版」を改めて見せるという構造もスゴいっちゅうか面白いっちゅうか。
そんなシカケで語るのが「悲劇の起こり方」といおうか、ちょっとした「ボタンの掛け違い」や勘違いがたまたま重なってしまって大事に至る、なストーリー、どれか1つでも要素が欠けていればあそこまでは行かなかったのではないかという「不幸な偶然」の重なりが巧い。
「第四幕」のタイトルにもなっている「トライアングル」もある意味変形のもので、これも活きているんだなぁ。
(リピートした17日の分はネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

2度目は結末を知っているだけに序盤での幸恵と知世の会話から「おーっっ!!!」状態。
人を刺した後だというのにシレッと「どうしたんだろうねぇ、連絡があったら教えてね」などという幸恵の強かさがコワいし、同時に観客はあの会話から「幸恵はシロで怪しいのは知世」という先入観を植え付けられるワケで、そのミスリードぶりにも感心。
さらに、その幸恵の印象が強いだけに4幕で探偵が訪れた時の店長の取り乱しぶりが対照的で「ああいうコトになった場合の男性と女性の肝の据わり方の違い」に大いに納得。(爆)
で、結末を知っていながらも、終盤で「コイツが殺しても成立するな」な人物が複数いるのも面白い。
この日のアフタートーク(※)で「いくつかの結末を考えていた」という話も出たが、その名残りか?
※ テーマが「初めての競泳水着」で出席者は上野主宰と今回初参戦となる岡田あがさ、松崎みゆきのお二方
また、オファーの段階では「涼子が山荘に隠れ住むハナシ」と告げられたとか…(笑)
終盤と言えば、第4幕で明らかにされる「トライアングル」はむしろ「トライアングラー・ピラミッド(三角錐)」に近い。
しかし考えてみると、主な作中人物の行動の原点になっているモノはいつもの作品と変わらないワケで、今回はそれがすべて裏になった「黒上野」(爆)満載といったところ?(笑)
あと、それまで見せていた複数の場面や台詞を終盤で組み合わせて再度見せ真相を浮き上がらせるのは、部品だけ見たら何ができるのかわからなかったのに組み上がったら非常にリアルだったプラモデル、みたいな?(笑)
ビリビリHAPPY

ビリビリHAPPY

突劇金魚

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

満足度★★★★

初見
面白いところあり、わからないところありで楽しめました。アフタートークの柴くん面白し。サリngROCKさんがかわいい。勿論七味さんもいい。

『世界の終わり』を囲む短編

『世界の終わり』を囲む短編

Minami Produce

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

Bコースを観た!
芥川龍之介の作品を題材にした物語はここのところ、良く観ている。だから予習としてはバッチリだ。
「羅生門」にしても、「鼻」にしても「竜」にしても「地獄変」のあのおどろおどろしさは敵うものではない。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

そんなだから、「地獄変」の中の良秀が燃え上がる牛車の中で焼け死ぬ実娘の姿を書き加えるまでの経緯をいったいどんな風に演出するのかが楽しみだった。

まさか「ギャラリーLE DECO 」を火事にするわけないしなぁ・・。なんてほくそえんでた訳よね。

わが娘の苦しみ身もだえしつつ、焼け焦がれていく姿を陶酔しつつ事の成り行きを見守る父である良秀の恐ろしさ、絵師良秀の執念を、ここでは夫婦に置き換えていた。その場面はちょっとインパクトに欠けたかな?とも思う。血肉を分けたわが子が焼かれるシーンと、妻が夫を殺した瞬間の風景とは受ける感情の重みが違うと思うのだ。

絵を献上した数日後、良秀は部屋で縊死するが、ここでは失踪して行方が解らないと閉じている。だから全体的にどの短編も芥川の香りは楽しめたがその真髄には届いていない気がする。それでもスリルはそれなりに味わえた。


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