そして彼女はいなくなった 公演情報 劇団競泳水着「そして彼女はいなくなった」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ここまでテイストが異なるとは
    CMなどに出始めた新進(なのか?)女優の失踪をめぐる物語、「ミステリー風味」というのは事前に告知されていたとはいえ、ここまでテイストが異なるとは。なんたって、当日パンフに「今回が初めての方は是非次回以降も」みたいなことが書いてあるくらいで…(笑)
    で、基本的には2人の人物の会話シーンの積み重ねというスタイルとサスペンスフルな内容の相乗効果によって、緊張感の高いことといったら!
    まずはいろんな組み合わせによる登場人物たちの会話をバラまいて様々な可能性を示し、それによって「木の葉を隠すのは森の中」的な状況を作っておいて、次第にその中から失踪とは関係のないものを消去して真相に辿り着くのが、最初はどうやってもほぐれそうにないように思えた糸の絡まりを、ほぐし易いところから順に根気良くほぐしていったらようやく解けた、的な感覚。
    また、実は序盤でキモとなる部分の表面を見せておいて、最終幕でそれの「完全版」を改めて見せるという構造もスゴいっちゅうか面白いっちゅうか。
    そんなシカケで語るのが「悲劇の起こり方」といおうか、ちょっとした「ボタンの掛け違い」や勘違いがたまたま重なってしまって大事に至る、なストーリー、どれか1つでも要素が欠けていればあそこまでは行かなかったのではないかという「不幸な偶然」の重なりが巧い。
    「第四幕」のタイトルにもなっている「トライアングル」もある意味変形のもので、これも活きているんだなぁ。
    (リピートした17日の分はネタバレBOXへ)

    ネタバレBOX

    2度目は結末を知っているだけに序盤での幸恵と知世の会話から「おーっっ!!!」状態。
    人を刺した後だというのにシレッと「どうしたんだろうねぇ、連絡があったら教えてね」などという幸恵の強かさがコワいし、同時に観客はあの会話から「幸恵はシロで怪しいのは知世」という先入観を植え付けられるワケで、そのミスリードぶりにも感心。
    さらに、その幸恵の印象が強いだけに4幕で探偵が訪れた時の店長の取り乱しぶりが対照的で「ああいうコトになった場合の男性と女性の肝の据わり方の違い」に大いに納得。(爆)
    で、結末を知っていながらも、終盤で「コイツが殺しても成立するな」な人物が複数いるのも面白い。
    この日のアフタートーク(※)で「いくつかの結末を考えていた」という話も出たが、その名残りか?
    ※ テーマが「初めての競泳水着」で出席者は上野主宰と今回初参戦となる岡田あがさ、松崎みゆきのお二方
    また、オファーの段階では「涼子が山荘に隠れ住むハナシ」と告げられたとか…(笑)
    終盤と言えば、第4幕で明らかにされる「トライアングル」はむしろ「トライアングラー・ピラミッド(三角錐)」に近い。
    しかし考えてみると、主な作中人物の行動の原点になっているモノはいつもの作品と変わらないワケで、今回はそれがすべて裏になった「黒上野」(爆)満載といったところ?(笑)
    あと、それまで見せていた複数の場面や台詞を終盤で組み合わせて再度見せ真相を浮き上がらせるのは、部品だけ見たら何ができるのかわからなかったのに組み上がったら非常にリアルだったプラモデル、みたいな?(笑)

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    2010/02/24 20:34

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