乱反射ドロップ (出演劇団) こゆび侍・本田ライダーズ・てがみ座・シンクロ少女
みきかせworks
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
シンクロ少女が
ドキュメントかと思うとひく。
乱反射ドロップ (出演劇団) こゆび侍・本田ライダーズ・てがみ座・シンクロ少女
みきかせworks
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
シンクロ少女/てがみ座
どちらも男女の出会いと別れを描いている。
でも作風も言葉も違うから好みは分かれると思う。
シンクロ少女に星5つ。
てがみ座は星1つ。
後者はフジの月9みたいだった。
GOLDEN★HANDSHAKE
さるしげろっく
d-倉庫(東京都)
2010/03/31 (水) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★
熱い!
主宰者が特に熱い!
ネタバレBOX
親子関係の再構築の話、熱かったです。
子を亡くして立ち直れない親が新しい命に救われる…、博多の親子を思い出しました。
会社人間の男は…、家庭から捨てられ、退職後は無縁社会を漂うことになるという現代社会を先読みしたような内容でした。
イカロ・トライアル
劇団ノコリジルモ
ぽんプラザホール(福岡県)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しみな若手が出てきた。
客席はほぼ「身内のみ」。
でも、いいのか?あれだけのしっかりした舞台を作っているのに
身内しか観ていないなんて・・・。
若手に対するちょいと甘めの目線かもしれないが、
期待の若手が出てきたなという感じがする。
この劇団は初めて観るのだが、
仲良く演劇を楽しむだけでなく、楽しみながら、しかし、
しっかりとした芝居を創っているのが伝わってくる。
なにより戯曲がいい。
ややタイミングがもったいなかったり、
間延びしている時もあったが、
今後が楽しみな劇団が出てきた。
しっかし、いくら日程が合わなかったとはいえ
第一回と第二回公演を見逃したことが悔やまれる。
ネタバレBOX
舞台美術は装置や照明に女子高出身らしさがあり、
客入れ時の照明のフィルターが童話の世界に誘ってくれる。
内容は誰しもが知る「赤ずきんちゃん」のその後。
現代的に裁判をしながら物語は進んでいく。
あれっ?狼って悪者だったよな?
赤ずきんちゃんって・・・
最初と最後しかBGMがなく、役者を信じきった舞台だった。
明日もあるので、足を運んでみてください。
Neo・Voice ネオ・ヴォイス宣言
巻上公一
青山円形劇場(東京都)
2010/03/29 (月) ~ 2010/03/31 (水)公演終了
満足度★★★★★
おおたか静流にハズレなし
歌うことから作者と作品の自己同一性は取り除かれなければ。
Neo・Voice ネオ・ヴォイス宣言
巻上公一
青山円形劇場(東京都)
2010/03/29 (月) ~ 2010/03/31 (水)公演終了
満足度★★★★★
ボロット・バイルシェフ~アルタイの英雄叙事詩“カイ”
時と土地と血があやなした声・歌・ものがたり。
ことりとアサガオ【舞台写真UPしました】
三角フラスコ
エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)
2010/03/12 (金) ~ 2010/03/16 (火)公演終了
満足度★★★★★
じわじわ、くる
生田さんはいま仙台で一番の劇作家・演出家だと思います。前作の「星屑とボタン」が生田恵戯曲の一つの完成形だとすれば、今作はチラシにもあるようにまさに「チャレンジ」。これまでの、繊細で丁寧な作風に、不条理風味がプラスされて、迷宮のような出来上がりだったと思います。
見た直後の印象が、じわじわ熟成されて、時が経過するほど、どんどん味わいが深くなって来ています。
戯曲・演出にマジックをかけられたのでしょうか。日常の中でふっと思い出したときに、あー面白かったな。と思える。そんな「時間に消費されない強度」を持った作品ではないでしょうか。
そういえば、スタッフワークも抜群でした。洗練された抽象美術・美しい照明・ダイナミックで時にデリケートな音響効果。
私はこれからも、この作品を忘れないと思います。それってすごいことなんじゃないかなあって思うのです。
いつか失くした心のカケラ
ぱるエンタープライズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2010/03/30 (火) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★
「赤ちゃんポスト」という言葉を聞いて久しいが、
観客に配られたパンフにそんな内容のコメントが載っていた。その説明で、この劇に対する想いが伝わってなんとも感慨深い。
伝える事・・・それはパンフから既に始まっていたのだ。物語は水嶋が育った施設「あゆみ園」での事が大半。ワタクシはこういった物語に弱い。だからか・・、泣けた。特にワタクシが観た回は泣いてる方が多かった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
自暴自棄になっていた水嶋はもみ合いの末に中年男・大凪清一を割れたビール瓶で刺してしまう。驚いて逃げる水嶋、彼を追う刑事。そんな時にかつては水嶋と同じ施設で育った恋人・大凪悠貴の亡霊が現れる。そう、奥様は魔女だったのです!ってな感じのなんだか天使のような亡霊だ。彼女は交通事故で7年前に亡くなって、もうこの世のものではない。
しかし、この天使のような亡霊が水嶋を助け人生の大切さを気づかせるきっかけとなる。孤独の淵で彷徨いながら、社会での軋轢に挫けそうになりながらも、施設での仲間の存在や絆の大切さを再確認するストーリーだった。
かつての「あゆみ園」で水嶋は「どんなに遠く離れても、どんな事があろうとも俺たちの絆は変わらない。」と仲間と誓い合った光景を思い出す。またかつての中間達も水嶋の現在の状況を知りながらも、水嶋を助けようとする。ずっと話し続けていること、義務のように頻繁に会うのばかりが友達でないこと、それに気づく水嶋が感慨深かった。「あゆみ園」で築き上げた絆をずっと持ち続けていた仲間たち。
もう、この場面で泣けて、泣けて、この季節だから鼻水も出ちゃったりして、花粉なんだか感動なんだか、既に解らない涙の嵐!「どうぢでぐれんのよ!」なんつってぐちょぐちょ状態で、帰りの路上でポケットティッシュを貰いました。この季節、すんごく有難い!笑
追われる身となった水嶋を助けたのはもう一人の中年男・大凪清一だった。彼は水嶋に刺された傷を誤って自分で怪我をしたと主張する。そしてこの男こそが悠貴の父親だったのだ。施設での人間関係や親子の関係性を含ませながら心に響く内容だった。
大凪清一役の宮澤正の演技は流石!更に米田基、川添七美が実にいい。魅せる!一方で演技が硬いキャストも目立ったが、まあ、これだけ泣かせてもらったら、小さいことは相殺できるのだ。
unforgettable
BRUSH UP STAGE
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★
好感は持てたけど‥
旗揚げ公演でしかも初日ということもあるんだろうけど、いろいろと気になったことが‥。
以下ネタバレボックス
ネタバレBOX
3年前のいきさつの説明がないまま、3年後同級生たちが再び集まるところから唐突に始まるので、最初の再会のシーンの重要性があまり感じられない(非常に軽い印象)。まるで一ヶ月振りに会うくらいの感じ。演技面の問題なんだろうけどその場の空気感や臨場感をもっと表現して欲しかった(素舞台なだけになおさら演技での説明は必要)。あと「間」や「テンポ」「動きのキレ」もあまりなかった。ところどころ面白くなりそうな要素もあったけど、「間」や「台詞の言い出し」のタイミングが微妙に早かったり遅かったりで、面白さが生かせていない。
あと役者だけではなく、ストーリーにもかなり無理があったと思う(全体的に説明不足なところが多い‥)。とくに犯人に対する説明がなさすぎ。
でも一番気になったのは、やっぱり舞台にパンチを敷かず平台が剝き出しになっているところかなぁ。演出上の都合とはいえ、見た目も良くないし、役者が動くたびに平台がガタガタ動くのは観ていて非常に気になってしまう。足場が不安定だと演じる役者も動きづらいだろうしちょっと気の毒。
いろいろ厳しいことを書いたけど、スタッフの対応もとても良いし、お客さんもたくさん入って盛況で、全体的には好感が持てました。
ヒメ
チェリーブロッサムハイスクール
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★
なんとなくは。
セットや舞台の使い方が良かったです。あの劇場や芝居にとてもしっくりきました。
ベタな話な上に説明多いなと感じました。好みの問題でしょうが。
キャラクターや要素的に好みだったりはするのですが、特別光る役者さんがいなくて残念
はなよめのまち【ご来場誠にありがとうございました!】
キコ qui-co.
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/03/25 (木) ~ 2010/03/29 (月)公演終了
拝見させていただきました。
拝見させていただきました。
『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
劇場MOMO(東京都)
2010/03/16 (火) ~ 2010/03/22 (月)公演終了
拝見させていただきました。
拝見させていただきました。
謝罪の罪
ペンギンプルペイルパイルズ
ザ・スズナリ(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★
濃密で堅実
きちんとした大人がつくった、きちんとした大人のための作品。
膝までつかりながらも溺れず、人間を描く。
人がいかに、いつも「自分だと思っている自分」をつくって鏡を覗いているかよくわかる。
覚えていることなんて、覚えていたいことだけなのよね。
ネタバレBOX
白塗りは、だんだんあやふやになっていく自分の輪郭なのかも、とおもった。
不気味な仮面みたいで、そこはかとない恐ろしさがあってよかった。
乱反射ドロップ (出演劇団) こゆび侍・本田ライダーズ・てがみ座・シンクロ少女
みきかせworks
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
いままでなかった朗読劇
2本とも朗読劇(リーディング)を基本としながらも、身体表現も使うという新・朗読劇といえよう。とくに、シンクロ少女は、ラストに体や身につけものに「ことば」をつかった文字にびっくりしましたね。
くるめ演劇祭
石橋文化センター
石橋文化センター(福岡県)
2010/03/06 (土) ~ 2010/03/26 (金)公演終了
ごっこばざぁ~る
かぐや姫の話。
かぐや姫の方の光り方が良かった。
ファクトリィ工場
空転象
ぽんプラザホール(福岡県)
2010/03/27 (土) ~ 2010/03/28 (日)公演終了
後半シーンの
後半シーンの熱さがみどころだった。
徒手空拳のそれでも思いが何かを動かすというところに。
三人姉妹
あなざ事情団
ANDANTE3(福岡県)
2010/03/27 (土) ~ 2010/03/28 (日)公演終了
満足度★★★
舞台と客席の混交
舞台と客席という構図に徹底的に挑戦した芝居だった。
今回は笑い的なものをメインにしていたが、違ったテイストの芝居も見てみたいと思った。
エ キ ス ポ 【満員御礼!!】
トランジスタone
ザ・ポケット(東京都)
2010/03/31 (水) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
楽しめた!!
なんかものすごく面倒くさい奴ばっかり出てくるな~、という印象で始まったが・・・。考えてみれば実生活でもこれが現実なんだよね。これだけドタバタが次々と起きるものなのか・・・・・と首を捻ってしまうけど。
つまり、非凡こそ平凡ということなんだ。改めて自分の人生を振り返ってみても、些細なことから大きなことまで、変化の連続だったことを思い出す。
人生を客観的に観るには最適な、そして笑い飛ばすのにも最適の舞台といえる。素晴らしい、そして楽しめた舞台だった。最高です。
次回作にも期待!!
復讐回帰
劇団銀石
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/03/30 (火) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
言葉遊びで紡がれる。
シンプルでありながら目を引く舞台で描かれるのは、宇宙の始まりと混沌。復讐心はいつまでも褪せない原動力。
久々に観ましたがやりたい事は変わっていないのがすぐに分かりました。確かに野田秀樹的ではある。だからって気にして変に違いを生もうとしするのは得策ではない。この作風に小手先の調整は似合わない。まだ若いのだからひたすら全力で貫くべし。そして越えれば良い。
場面の移り変わりがもうちょっとスマートであってくれたら。役者の退場がちょっと雑に見えました。そこにも演出の手をしっかり入れて欲しかった。アフタートークで佐野木さんは「書いた後は自分でも意味が分からず公演中に気付いたりする」と言っていたので、恐らく出はけも台本の時点では頭になくて稽古場で後から演出しているはず。場面の繋ぎである出はけは綺麗に納めてくれたら。せっかく耳で聞いてリズムのある作風なのだから、目で見てもリズムがある進みであって欲しい。
ネタバレBOX
タイニイアリスで観た時のほうが熱量は受け取れたかも。低さと狭さが密にしてくれていたのか。少人数が入れ替わり立ち替わり登場して、場合によってはちょっと熱不足だった。場を埋め尽くすだけの熱量に達するだけの人数を一度に出してしまうべきだったか。
個人的にはラストも人数の多いほうが良かった。光になったのが姫様の友達だけだったので結局の締めが姫様寄りで終わってしまった印象。総動員であの空間を埋め尽くすくらいたくさんの星々が出ても良かったかも。伝えたかった雰囲気は察したものの、その為には圧倒的な見せ方が必要だった。繊細なものを繊細なまま伝えるにはあの時点での観客の心境を過信したか。自分は物足りなさを感じました。
劇場機構の問題だけど、スピーカーの位置が残念。天井に吊されていた為に、どうしても音響が上のほうの空間にだけ流れて感じられて。演技との一体感が損なわれていた気が。勿体ない。
ヒメ
チェリーブロッサムハイスクール
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★
サクラ・クロニクル
出会いと別れを見守るかのように咲き誇る春の風物詩、桜。満開の桜の樹の下には死体が埋まっているかどうかは定かではないものの、桜には何かしら不思議な力が隠されているような気がしてしまう。そんな素朴な疑問に寄り添うように展開されるこのドラマは桜の満開なこの季節にふさわしい、さわやかなペーソスに満ち溢れていた。
ネタバレBOX
サノ教授はどうして死んだのか?
教授が大切にしていたヒメザクラと呼ばれる一本の桜の樹と20年前をキーワードに迫るミステリーテイストの学園ドラマ。
俳優、脚本、音響、空間演出、舞台美術とどれをとってもまったく非の打ちどころがなく、特に両サイドの通路、6つの出入り口、中二階をくまなく用いた空間演出は過去、吉祥寺シアターで観劇した作品のなかで最も空間の奥行きと広がりを感じた。
そして照らす。ことを楽しんでいるかのような照明がすばらしく、あんなにも照明に対して躍動感を抱いたのははじめてだった。冒頭と中盤のダンスも圧巻であった。
しかし照明、ダンス、音響、空間演出のグルーヴ感に比べると、物語があらすじ通りに進んでいるというか、上手にまとまりすぎていてるというか、全体像がぼやけているような印象を持ってしまった。
これは多分、主役が不在という訳ではなくて、教授の謎とヒメザクラの謎を主軸にした人間ドラマのなかに解き明かされない心理的な謎や、心にひっかかるような余韻が希薄だったからのように思う。
校内における謎の大半が生徒らのくだらない噂話によってつくられるものだとしたら、20年前というキーワードは、そういった中から出てくるべき証拠であるはずで、ヒメザクラを切ろうとした時にユキの父親が交通事故に合ったのは、大変なスクープでそれこそ、ヒメの呪いだ!などと言って騒ぎ出す輩がいてもおかしくないような気がするのだけれど、舞台はとても淡々としていた。
要所要所に出てくる桜井くんという学祭で使うかぶりものが出てきたり、うっかりかぶってしまったためにカワイイキャラクターを演じなければならななくなったオモイガワとアリアケなどはコミカルで面白かったのだが、ユキ、ウコンなど、ぶっとんでるキャラクターが少々空回りしているような殺伐とした空気が場内に立ちこめていた感は否めない。
学校には必ずしもハメを外してしまうおバカさんがいるものだ、という固定観念がどうも私の頭の中から抜けていかないのだという物言いは安直かもしれないが、やはりどうしたって私はトキメキたかったのだ。サノ教授と奥さんのエピソードなど、もっと聞きたかったのだ。
(こう言う言い方は間違っているかもしれないが団体名の通り、ここはストレートに(?)桜高校を舞台にしたお話にしてもよかったのではないか、とさえ思ってしまった。)
そうは言っても物語の中でサノ教授の真相を代弁する役として登場するアンタは、オマエがヒメで20年前に死んだ奥さんの生き写しであり、品種改良に失敗した散らない、咲かない桜であるという、ヒメザクラの謎解きをするストーリーテラーとして上手に機能しており、ミュージシャンのチェリーの想いとヒメの記憶とがシンクロした時に起きた奇跡には目を見張るものがあった。3人の演技もすばらしかった。
ただ、サノ教授の謎に迫る学園内の設定や動きに関しては少々首をかしげるところがあった。それはあらすじに書いてある、どこにあるかは誰も分からないであろうヒメザクラが、生物学部の敷地内にあることが序盤であっさりわかってしまったこと。これには少々げんなりしてしまった。
それからサノ教授はオオシマ准教授が殺したのではないか。と疑うコトとフジカワのくだりは理解できるが、ヒメザクラを売って欲しいとやってくるOLのヤナギは、オオシマ准教授を学園外に連れ出すために配属されたようにしか見えなかった。彼女こそ、ヒメザクラの知られざる秘密の情報を握り、ヒメザクラの謎に迫る人物ではないか。と思われたのだが…。
また、カモイダについては冒頭、ひとひらの花びらを片手に桜を枯らしてしまった、世界の終わり、など詩的なセリフを述べるものの、何としてでも桜を咲かせようと奔走する熱意というか動きが見られなかったため、ラストでの彼女に桜が降り注ぐ場面には、あまり感傷的になれなかった。
カモイダが生物学部を訪ね、噂で聞いた散らないサクラを学園祭で何とか咲かせることはできないか交渉すべきだったのではないだろうか。
しかし20年前の事故によるサノ教授、オオシマ准教授、サノ教授の奥さん3人の因果関係と木を切ろうとしたユキの父親の事故の奇妙な関連性、20年前のカレンダーがサノ教授の遺品のなかから突然見つかるというエピソード、ヒメをエキスに作ったドラッグを使用したフジカワがあちらの世界へ身体を持って行かれそうになるところなどは、SF的要素の含まれたミステリードラマとして楽しめた。
あと、給食室をたまり場にしたのはすばらしいアイデアで、トオヤマさんのキャラクターもナイスであった。個人的にはトオヤマさんは勤続20年くらいのベテランさんであってもいいような気がしたけど、それだと色々と知りすぎてしまっているから若い女性ぐらいで丁度良いのかな、なんてぼんやりおもったりもした。
上述したように物語はとてもキレイにまとまっており、エンターテイメントとして気軽に楽しめる作品だったのだが、何かが物足りないように感じてしまったのは事実。非常に完成度が高い作品なのにどうしてなのだろう。と考えた末、ひょっとして説得力に尽きるのではないか。という結論に行きついた。
作品のなかでの説得力とは、本公演のキャッチコピーである”想い”の強さというものであるはずなのだが、上手に連携がとれていなかった箇所があったように思う。その想いというのは、生徒がサノ教授を想う気持ちであるような気がするのだが、生徒たちがあまりサノ教授に関心を寄せていないように見えてしまい、そこが物語にのめり込めなかった原因なのではないかな、と。
あるいは非の打ちどころがないことが、この団体のむしろ足かせになっているのではないか、という。
もちろん勢いだけがすべてだ、とは言えないが、ある程度の乱雑さはこの場合、少々あってもいいように思う。そういうくだけた乱雑さのなかから人間味がじわりと滲みだすような気がしたのだ。