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『ウツセミウツラ』ご来場ありがとうございました!!

『ウツセミウツラ』ご来場ありがとうございました!!

タテヨコ企画

ザ・スズナリ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

抜群の安定感。
いつも安心して観られる安定した劇団。自然な演技、自然な日常の描写の中に突然、異物が飛び込んでくるという面白さを見せてくれる劇団。

今回もお坊さんの修行の場に、さまざまなハプニングが起こる。ひとつひとつをとりあげるとちょっとありえないような設定なのだが、それまでの描写がていねいなので、ついつい楽しんでしまう。

今回は客演の郷志郎さんが坊主姿もよく似合い、素敵だった。 中心的役者の舘智子さんが、少し喉を痛めているようで、かわいそうだった。

大海原の小さなイェイ!

大海原の小さなイェイ!

カリフォルニアバカンス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/14 (水)公演終了

満足度

チラシかわいいのに
チラシのアイデアなど、観る前はとても好印象だった分残念。エンターテイメント的になる要素はあるのに、見事にずれてました。あの狭い劇場で、あの芝居を観せつけられるのは辛かったです。何が言いたいのかさっぱりわかりません。役者さんも何も考えていない印象。台詞を覚えただけ?観ていて恥ずかしくなりました・・・

シューマンに関すること

シューマンに関すること

劇団東京イボンヌ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/03/09 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

作品、楽しませて頂きました。
勝手な想像ですが、四次元に挑まれた作品なのかなぁと思いました。
これは私のイメージですが、四次元とは走っている列車に似ておりまして、
車輌の中が三次元、列車の外も含めますと四次元になります。

今回の作品は、例えるならばカメラが、
大自然の中を疾走する列車の遠景を捉え、
車輌の中で繰り広げられる乗客たちの様子を収め、
車窓から流れる風景を映している、といった感じです。
私は、過ぎ去った場所やこれから向かう先に思いを馳せながら景色を楽しんでいるような、そんな体験をさせて頂きました。

大海原の小さなイェイ!

大海原の小さなイェイ!

カリフォルニアバカンス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/14 (水)公演終了

満足度★★

チラシ負け
自分にとって心底どうでもいい演劇だった。正直言うと学生演劇にしか見えない。あるいは若手お笑い芸人のコントか。
思いついたネタをそのままに書いてしまったかのような小ネタやストーリー、笑わせる段階にまで達していない直接的な演技、無闇な暗転や一同棒立ちの演出。
要所要所の謎の超展開には悪くないくだらなさを感じたものの、それを笑いにつなげていこうとしている風にはどうにもみえない。

後半テンポが若干よくなったことと、観ていて面白いなと思える演技をしていた人が2人いたのが救いだったが、それだけで2時間はあまりにも辛かった。

戯伝写楽

戯伝写楽

フジテレビジョン

青山劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/17 (土)公演終了

満足度★★★

2日目観劇
橋本さとし さん、大和悠河 さんが登場しても、なんかピンとこなくて・・・
大和悠河 さんの声と容姿はとても美しいけど、音程が???んん???
中島かずき さん作のストーリーは、凄く面白いものだった。

大海原の小さなイェイ!

大海原の小さなイェイ!

カリフォルニアバカンス

OFF OFFシアター(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/14 (水)公演終了

満足度★★★★★

笑わせながらも...
要所要所でくっだらね〜ものを持ち出して笑いを取るものの、人間のコミュニケーションや愛を育むために必要なものとは何か、ラブ&ピースを実現するためにはどうすればいいか、ということに関するヒントが満載のポジティヴ精神に溢れた快作!

ネタバレBOX

海賊の衣装がカワイかったな。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

前作と同様のレシピエント編
当劇団は前作の「ブロークン・セッション」に引き続いて2回目の観劇。
いい意味でも悪い意味でも、前作とよく似た構造の作品であった。

臓器移植法の改正により、ドナーは自由にレシピエントを選べる時代となる。
その結果、生まれる悲劇を描く。

ORGANとは、、、

ネタバレBOX

英語で「臓器」の意味。

前作同様、登場人物はどこか精神を病んでいるかのよう。

ドナーの親族は、レシピエントに対して、年1回、移植手術が行われた日に開催される食事会への参加を強要する。
レシピエントは年々、食事会への参加が重荷になりつつも、なかなか不参加を言い出せずに来た。

ところが、今年の食事会は違った。
移植を受けた3人のうち、2人が次年度以降の参加が確約できないと言う。

一方、自らの不注意で、ドナーを植物状態にしてしまった友人は、ドナーの親族の下僕のように仕えている。

ドナーの遺族は、レシピエントたちを引きとめようと、説得を試みようとするも、それがかなわないと知ると、下僕であるドナーの友人を使って、レシピエントからドナーが提供した臓器を取り返そうと・・・

前作、同様のグロさ、満載の舞台であった。
テーマ、着眼点は面白く、もう少しメッセージ性があるとより楽しめる舞台となったのではないか。

是非、ドナー編も見てみたい。
ラスト・ファイヴ・イヤーズ

ラスト・ファイヴ・イヤーズ

シーエイティプロデュース

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

村川絵梨さん、一皮剥けた!
今回で3回目の山本耕史さんと、初ミュージカルの村川絵梨さん、とても良かった!
村川絵梨さん、本当に努力したと思う。心から認めてあげたい

ネタバレBOX

今夜は、アフタートーク付でした。
明日は休演日と言う事で、皆さんとてもリラックスした雰囲気で
話の内容もとてもよかった。
ミュージカルで、かつ、歌がほぼ100%のお芝居だから、今回難しい役に
チャレンジした村川絵梨さんの安堵と緊張の顔が、満足感を物語って
いるようでした。こうやって、女優は大成していくのかなとも思った。
夢の裂け目

夢の裂け目

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

深いことを面白くの真髄
初日観劇。
クルトヴァイルの音楽がJPOPに聞こえるマジック。
2幕が初演よりブラッシュアップされていた。
井上音楽劇の原点にして最高作だと思う。
少女役藤谷美紀さんの透明な歌声が素敵。

戯伝写楽

戯伝写楽

フジテレビジョン

青山劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/17 (土)公演終了

満足度★★★

初日観劇
大和悠河さん宝塚退団後、初主演ミュージカル。
実は宝塚時代に直接観た事がなかったので、どんな感じの演技をするのか分からなかったのですが、歌はあんまりだったけど、演技は良かった。とにかく、美しい!と言う言葉がぴったり。

ネタバレBOX

橋本さとしさんの魅力は、あまり生きてなかった。
それに、ソニンちゃんは演技上手くなったけど、
大和悠河さんの相手役で花魁役だとちょっと似合わないな。
演技は良いだけに、キャスティングミスかな。もったいない。
それと、ストーリはあまりいただけない。はっきり言ってつまらない。
脇役陣もあまりよくない。
ハル大学『カガクするココロ』

ハル大学『カガクするココロ』

青年団国際演劇交流プロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

演じることで見える文化交流
勝手にイングランド独自の口語表現みたいなものを想定して行ったので、がっつり「翻訳劇」という位置づけだったのは少し戸惑った。
日本版の「カガクするココロ」は未見だが、仕草や動作の背景が異なることによる感覚的な違和感、またアフタートークで役者が感じていた違和感を再確認する中で、「日本の身体」の特異性がくっきり見えてきたように思う。その他日本作品の翻訳劇という分野の展開、そして自分の語学力について、色々と考えさせられる公演だった。
ところで度々取り上げられた「岐阜」問題。岐阜に抱くイメージが全くなかったので最後までいまいちピンとこなかったのだけれど・・・あれはなんだったんだろ?

銀幕迷宮 -キネマラビリンス-

銀幕迷宮 -キネマラビリンス-

d’Theater

明石スタジオ(東京都)

2010/03/17 (水) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

細部の努力に感激!
知り合いが出てたので突発的に見に行った。こちらの劇団は2回目の観劇。
開演前の客入れから始まってる演出に感動。さらに劇場をフル活用してるわ、ちょい役の役者たちからも全力で感じる熱意。
深い部分はよくわからなかったが、受けた衝撃は最高だった。

とりあえず寝る女

とりあえず寝る女

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2010/04/02 (金) ~ 2010/04/06 (火)公演終了

私は、コレ、ダメ。合わなかった
ネタバレ、読んでね。厳しいよ。

ネタバレBOX

別にウーマンリブでもなんでもない一般人だが、過去はどうでも、「公衆便所」になってるのを「もててる」と勘違いしてる女なんて、不愉快。もっと自尊心持てよ!「しょうがないじゃん。」じゃないだろ。出てくる男たちも女性を物みたいに見てるし。今時こんな男尊女卑の話は、好きじゃない!
作者の意図が見ている人を怒らせることにあったのなら、お見事。
ドラキュラ伝説~千年愛~

ドラキュラ伝説~千年愛~

ドラキュラ製作委員会

新国立劇場 中劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/13 (火)公演終了

満足度★★★★

真実の愛
人間に生まれてきたなら誰もが欲しがる一途な愛。この物語には永遠の愛と本当の愛、究極の愛・・・と、とにかく愛満載なのだ。これだもの・・・、誰もが感動して涙なんか流しちゃって、あたかも自分自身がドラキュラになったり、アマンダになったつもりになっちゃうわけよね。
久しぶりに大舞台を観て別世界を体験しました。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


人の習性とは恐ろしいもんです。新国立劇場といえば、小劇場みたいな考えがべったりと頭に張り付いていたものだから、小劇場に行っちゃったわさ。苦笑)

物語はドラキュラがメフィストと取引した事から吸血鬼になってしまったのだけれど、アマンダにいつか再会出来るという希望を胸に400年の月日が流れてしまった。その間、ドラキュラは浮気もせず、若い女子にウツツをぬかす事もなく真面目にアマンダだけを想い焦がれていたわけさ。ここがツボ。観客のツボ。

そんでもって、純白の大輪の薔薇が吊り降りてくるセット。ベルバラかと間違えるくらいの大輪さ。思わずフェルぜーん!!!と叫びそうになっちゃったよ。ああ、なのに・・・フェルゼンもオスカルもおりませぬ。勿論、「お菓子を食べればいいじゃないの!」の声も聞こえません。

客層は松平健のファンなのか、それなりの年齢層のご婦人が多く、健さまが歌えば拍手、踊れば拍手、クレーンの上に乗って今にも落ちそうな危なっかしいシーンでも拍手!いあいあ、思わずワタクシだって、手から血が出るほど拍手しちゃいました。だって世の中の流に乗り遅れたくないから・・。

しかーし、健さまよりド迫力満点だったのは教授役の今井清隆!彼は魔的な魅力のある俳優でした。目力満点!更に慄いたのは、メフィスト役の園岡伸太郎。ヅラがすんごいです!まるでビーバップハイスクールに登場するガクランを来て軒下で雨宿りしてます!みたいなヒサシのようなヅラのメフィスト。既に悪魔なんだか、それとも閣下なんだかワカランようなナリ。

そんなキャラクターを登場させちゃってるから、ワタクシ的には楽しい訳よね。コミカルな部分とシリアスな部分を織り交ぜながらも、後半はミーナの記憶はアマンダと重なります。全てを知ったミーナは自分の胸を一刺しして死を選びドラキュラと永遠の愛を誓ってこの世から二人は消えるのでした。

ああ、ロマンだな~。1000年愛というよりも400年愛だったけれど、それでも一人の女性に恋焦がれて愛を求めて吸血鬼になるって、素晴らしいでしょ?真実の愛が手に入るなら、吸血鬼だって悪魔だって神にだってなっちゃう訳よ。そんくらい渇望してます!たぶん、みんなもそう・・。笑)

かたりの椅子

かたりの椅子

ニ兎社

世田谷パブリックシアター(東京都)

2010/04/02 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

わたしはわたしでなくなった
という言葉が、ずしんと心にくる。
重い。

ネタバレBOX

3階席だったのですが、開演10分ぐらい役者さんの声が小さくて?聞こえずらかったです。
こっちが集中しきれてないのもあるんでしょうけれど。
とりあえず寝る女

とりあえず寝る女

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2010/04/02 (金) ~ 2010/04/06 (火)公演終了

満足度★★★★

割り切らないあけすけさ
ソワレを観ました。

物語が進む中で、
キャラクターそれぞれの持ち合わせているものが
あけすけに観る側にやってくる。

登場人物それぞれに
個々の描き方を丸めないというか、
観る側にきっちりと色づけさせない強さがあって、
それが、結果的に舞台全体の広がりを大きくしていく。

互いがそれぞれに触媒のような役割を果たして、
キャラクターの枠の面白さに加えて
内側にある想いやわだかまり
小数点どおしの掛け算から浮かび上がるような
端数のついた個性に
時間を忘れて見入ってしまいました。


ネタバレBOX

冒頭、ちょっとへたれな前説があって、
場内の雰囲気が緩みます。
それが、本編冒頭の暗示的なシーンの
テンションを微妙に変えていく。
終演後思い出してみると
そのべたさとたよりなさが
キャラクターたちの
どこか緩慢な時間と
それそれが持つシリアスな内面の乖離が
暗示されているようで・・・。

物語は団地の立ち退きを縦軸に、
その家の姉妹や彼女たちを取り巻く人々を横軸に
進んでいきます。
冒頭からキャラクター間の距離感に、
微妙に割り切れない余りのようなニュアンスがあって。
それが、舞台に不思議な饒舌さを与えていく。
なんだろ、上手く表現できないのですが
それぞれの関係性が観る側にそのまま入り込んでこない。
表面的には収まりきっても
役者たちの内側にあるブランクの部分や
出っ張った部分が伝わってくる・・・。

でも、それがあざとく感じられないのは
個々の内側にあるものが
他者との関係の中でしっかりと描かれているから。
それぞれが、絶妙に他者の内側を照らし出していくのです。

特に赤澤ムックと井上みなみの親子が居候を始めてからがすごい。
二人が触媒になったがごとく、いろんなものが浮かんでくる

役者もくせものぞろい。(褒め言葉です)

観終わって、2時間20分という時間を全く感じなかった。

最後のシーンもすごくきれい。
舞台で描かれた時間が観る側にも戻って・・・。

古川演劇がもつ奥の深さのようなものに
しっかりとやられてしまいました。

☆☆
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

しばし呆然
初日、ドナー編。

淡々とした空気がつながっていく中に、
様々な想いの機微が重なって、
終盤に一気に降りてくる。

その感触に圧倒されて、
観終わって客電がついても少しの間動けませんでした。
そのあともしばし呆然としておりました。

ネタバレBOX

ネタバレボックスとはいえ、
もし、この作品をご覧になる予定があるのなら、
ここからの文章はお読みにならない方がよいかと思います。
通常の舞台にも増して、
作り手側が提示する以上の作品の姿を知ることなく
舞台の空気に触れたほうがよいと思われる、
そういうタイプの作品だったので・・・。


物語はそれほど複雑なものではありません。

とある連続殺人事件で死刑を待つ男、
臓器提供のコーディネーターに
自らの心臓を被害者の家族に提供したいと告げる。

そこに端を発して、
死刑囚、看守、自らの子どもを殺した男から心臓提供を申し出られた家族、
その親戚や友人、さらには死刑囚の妹や他の被害者の、
死刑執行の二日前からの
いくつかも風景が連なっていきます。

オーバーラップするシーンからやってくる質感。
あるいは光の変化。
クロスワードパズルの使い方などもうまいと思う。

一つずつのシーンは、
研ぎ澄まされていても
どこか淡々とした空気に満たされていて。
にもかかわらず、シームレスにつながったシーンから
次第に登場人物たちの想いが積み上がっていく。

死刑囚の想いや看守の気遣い。
被害者の家族の犯人の心臓をもらうことへの嫌悪感と、
妻に生きてほしいと願う夫の気持ち。
その命をパーツにして受け渡す
実務にたけたコーディネーターがむきあう
臓器移植では修復できない母親の病の質感。
さんざん迷惑をかけられた死刑囚の妹の次第に溢れるような愛憎・・・。
さらには死刑囚のつぐないが他の被害者に与えられることを知った
別の被害者の想いの揺らぎまで。

登場人物から伝わってくる想いにはそれぞれに理があって、
しかも不思議に均質な質感に閉じ込められていて。
キャラクターたちの事情や思いが封じられた箱が
シームレスに展開していく舞台上に
一つずつ積み上げられていく感じ。

そして箱が積み上がる感覚の先で
死刑が執行されて・・・。
一つの命の滅失して
物語が収束しようとする刹那に、
ひとつの箱が押し潰されて
全ての中味が崩れ落ちてくる・・・。

舞台上でしなやかに表現されていたキャラクター達の想い、
淡々と舞台上にあったものが
ラストシーンですべて観る側になだれ込み
決してステレオタイプなものではない
いくつもの質感や重さが
観る側を愕然とさせるのです。

キャラクターたちの真摯な想いに浸潤される一方で、
コーディネーターの母親の姿や、
妹に対する死刑囚の受け応え、
さらにはレシピエントの妻に夫が渡す懸賞の商品などからやってくる
事実や時間に対する不確かさのリアリティにもぞくっとくる。

死刑囚が自らの時間を切り捨てるように昇華していく中で
看守や観る側が感じる命の軽重と、
移植された心臓にまで因果を染み付ける
犯罪者の業。
同じ命の果てから伝わってくる表裏の、
つかみ所のない薄っぺらさも深く心に残って。

結果、
マキタワールドとでもいうべき
行き場のない突き抜け感のようなものが
終演後の観る側に醸成されていくのです。

舞台美術や照明も秀逸。
舞台全体を包み込むような格子上の造詣は、
照明の変化とともに、
時にその場に監獄の冷たさを醸成しながら、
真逆の居酒屋や家庭の日常感をも生み出していきます。
重ならない二つの曲線には
観る側の内側に
ひとつずつのシーンを閉じ込める力があって。
また、一番奥に見える木々が
その世界に観る側を繋ぐような
実存感を与えていました。

1H15mとそれほど長い作品ではなかったし、
観ているときには何も感じなかったのですが、
帰り道、良い意味でがっちり消耗していることに気づいて。

この舞台の観る側を引き込む力の強さに改めて瞠目したことでした。
☆☆
ドラキュラ伝説~千年愛~

ドラキュラ伝説~千年愛~

ドラキュラ製作委員会

新国立劇場 中劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/13 (火)公演終了

満足度★★★★

純愛ロマンス、想像以上に感動的!
舞台や衣装も美しく、ヴァンパイヤ3人娘も良かったです。

ネタバレBOX

愛ゆえに過ちを犯してしまうことは、少なくとも不動産を買うときのような冷徹な目で婚約者を選ぶよりはましだと。うん、そうだ!!

愛ゆえの過ちを二人で清算する純愛ドラマでした。

松平健さんの低音で軽やかな歌声も良かったのですが、今井清隆さんの歌唱力が格の違いを見せ付けるほど抜きん出ていました。

それに対抗するには、やはり山口祐一郎さんがドラキュラ伯爵をやるか、あるいは、いっそのこと宝塚の舞台で観てみたいと思いました。

無頼の女房

無頼の女房

劇団東京ヴォードヴィルショー

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★

初見
劇団東京ヴォードヴィルショーを観るのは初めて。佐藤B作さんはテレビではよく観ますが、舞台でもパワーあふれる演技をなさっていました。あめくみちこさんは無頼の亭主にたいして控えめであるがしっかり支えていく奥さんをうまくなさっていました。ただ、構成が平板だったような気がしました。

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

‘想像力をかきたてる’とはこういう事か
「なぜ今そうなったのか」
「その時、果たしてなにがおこったのか」
登場人物それぞれの、いわゆるバックグラウンド―そういった説明が全くと言っていいほどない作品でしたが、「よくわからないな」と思う自分よりも「そこに何がおきたんだろう」「なぜなんだろう」と積極的に頭をはたらかせた、そんな自分がいました。
舞台空間の演出にしても、抽象舞台を素晴らしくうまく使われていたと思います。そもそもの美術プランも絶妙でしたが、照明、役者の芝居によって、“そこにあるであろう見えないモノ”をうまく浮き立たせてくれたと思います。

…ここまで想像力をかきたててくれた舞台は久々でした。
とりあえず何より、2本立てのもう一方には何が描かれているのか、とりあえずそれが気になってなりません。

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