とりあえず寝る女 公演情報 箱庭円舞曲「とりあえず寝る女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    割り切らないあけすけさ
    ソワレを観ました。

    物語が進む中で、
    キャラクターそれぞれの持ち合わせているものが
    あけすけに観る側にやってくる。

    登場人物それぞれに
    個々の描き方を丸めないというか、
    観る側にきっちりと色づけさせない強さがあって、
    それが、結果的に舞台全体の広がりを大きくしていく。

    互いがそれぞれに触媒のような役割を果たして、
    キャラクターの枠の面白さに加えて
    内側にある想いやわだかまり
    小数点どおしの掛け算から浮かび上がるような
    端数のついた個性に
    時間を忘れて見入ってしまいました。


    ネタバレBOX

    冒頭、ちょっとへたれな前説があって、
    場内の雰囲気が緩みます。
    それが、本編冒頭の暗示的なシーンの
    テンションを微妙に変えていく。
    終演後思い出してみると
    そのべたさとたよりなさが
    キャラクターたちの
    どこか緩慢な時間と
    それそれが持つシリアスな内面の乖離が
    暗示されているようで・・・。

    物語は団地の立ち退きを縦軸に、
    その家の姉妹や彼女たちを取り巻く人々を横軸に
    進んでいきます。
    冒頭からキャラクター間の距離感に、
    微妙に割り切れない余りのようなニュアンスがあって。
    それが、舞台に不思議な饒舌さを与えていく。
    なんだろ、上手く表現できないのですが
    それぞれの関係性が観る側にそのまま入り込んでこない。
    表面的には収まりきっても
    役者たちの内側にあるブランクの部分や
    出っ張った部分が伝わってくる・・・。

    でも、それがあざとく感じられないのは
    個々の内側にあるものが
    他者との関係の中でしっかりと描かれているから。
    それぞれが、絶妙に他者の内側を照らし出していくのです。

    特に赤澤ムックと井上みなみの親子が居候を始めてからがすごい。
    二人が触媒になったがごとく、いろんなものが浮かんでくる

    役者もくせものぞろい。(褒め言葉です)

    観終わって、2時間20分という時間を全く感じなかった。

    最後のシーンもすごくきれい。
    舞台で描かれた時間が観る側にも戻って・・・。

    古川演劇がもつ奥の深さのようなものに
    しっかりとやられてしまいました。

    ☆☆

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    2010/04/08 15:57

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