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桜姫東文章

桜姫東文章

木ノ下歌舞伎

あうるすぽっと(東京都)

2023/02/02 (木) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/11 (土) 18:00

開演前、当パンを見ると人物相関図が載っていてありがたいけど、込み入ってる上にキャストが皆さん複数の役で登場するらしい。ちゃんとついていけるか、やや不安になる。

ステージ上に廃墟となった劇場があり、そこで演じられる桜姫の物語。棒読み調の台詞や寝転がる出演者に最初は戸惑ったけど、なんていうかその外から見ている感じと激動の展開との温度差が面白く感じられて。結局は怒涛の物語性と俳優陣の魅力が印象に残る舞台となった。

上演中、キャストはずっと出ずっぱりであった。(舞台上の)廃劇場のステージを降りるとその周囲に座ったり寝転んだりしつつ他の人の芝居を観て、水を飲んだり風船ガムを膨らませたりしながら大向こうをかけたりする。その大向こうがタイミングよく、ときに面白くて笑いを誘ったりもした。

禁断の恋から始まった桜姫の物語は、巡る因果と濃厚な人間関係を平坦な現代語訳で綴りながらさまざまな仕掛けによって古典のあり方を揺るがしたりなぞったりしつつ進んでいく。平坦さの中に浮かび上がる様式美と運命に翻弄された人々の悲哀が観終わってからも胸に残った。

白眉濛濛

白眉濛濛

海ねこ症候群

インディペンデントシアターOji(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/21 (水) 19:00

座席1階1列5番

海ねこ症候群 第3回本公演。初日ソワレ、2日目マチネを観劇。
脚本を担当する坪田実澪が演じる、絵を描くことが好きな主人公ミソラが、ツキシロという人物にオークションへの参加を誘われるところから物語は動きだす。好きなことをすることと才能の有無という、きっと誰もが悩みぶつかることをミソラやその周囲の人間との出会いの中で問いかける。現実とファンタジーが入り交じる「リアルファンタジー」というキャッチフレーズがとてもしっくりくる話だった。演出担当の作井茉紘が13人の女優の個性を生かしながら、作品に彩りと陰影を与え一級のエンタメへと昇華させていた。全ての登場人物に背景がありそこにドラマが生まれ、その心情や言葉に共感できた。次回、令和5年12月に下北沢で行われる予定の第4回本公演にも期待する。

ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」

ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」

明治座

明治座(東京都)

2023/01/07 (土) ~ 2023/02/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/04 (土) 12:00

とても贅沢な舞台だった。生のオーケストラ、魅力的な登場人物、迫力ある歌声、豪華な美術や衣装などを楽しんだ。勢い余って(?)原作マンガを一気読み。こちらも読み応えのある作品で舞台との比較も面白い。15世紀末のイタリアにどっぷり浸る週末となった。

ジョン マイ ラブ2023  -ジョン万次郎と鉄の7年-

ジョン マイ ラブ2023 -ジョン万次郎と鉄の7年-

坊っちゃん劇場

サンシャイン劇場(東京都)

2023/01/26 (木) ~ 2023/01/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/01/28 (土) 11:00

坊っちゃん劇場で観た後も何度か配信で観てるけど、やはり劇場で観るのが似合う舞台。5期キャストはこの日が初見だったのでとても新鮮でした。加藤さんの万次郎はやんちゃな印象と頼もしさのバランスが素敵。ホームである坊っちゃん劇場を離れても頼もしいファンがいるらしく拍手や手拍子はもちろんABCや漂流ダンスを完璧に踊る方もいて心強かった。

(いつもながら)五十嵐さん佐藤さんの歌声が圧巻。梶さんの泣きの芝居に毎度もらい泣く。鉄が東一郎を「ほーら、白菜だよぉ!」とあやしていて思わずニッコリ。

ラスト、暗くなっていく舞台に浮かび上がる2人の姿が美しかった。

朝焼けとハミング

朝焼けとハミング

route.©️

王子スタジオ1(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/07/21 (金) 12:30

座席1階1列

大内真佑花主演。「ユニットバスの人魚姫」の8年後を描く。
男の血肉を食べて生きる人魚姫の伝説が残る離島が舞台。元アイドルの美月が島に戻ってくるところから物語が始まる。大内さんの演技の幅広さ、かわいさから妖艶な美しさに変化していく表情に心を奪われる。同級生の美月への言動一つ一つに意味が込められ、最後に全てのパズルのピースが埋まるようなエンディングに鳥肌が立つ。映像美ともいえる舞台演出と美しい悲劇に心が震える作品。

ネタバレBOX

主演の大内真佑花さんの演技と表情がとにかくすごい。最初はいたって普通の女の子。そこから同級生や島の閉塞した雰囲気や人間関係に辟易する様子。お酒を飲んで口調が荒くなるシーン。島外からきた男性のストレートな行為に戸惑いながらも喜ぶ感情。そして、飲み物(血?)を飲んだあとの妖艶な、まさに人を虜にする人魚が乗り移ったかのような表情と動きは見るもの全てを虜にしていた。「ユニットバス人魚姫」では、人魚が女性を虜にして殺人をさせていた。今作では人魚は登場しないが、人魚伝説とそれになぞらえた祭りと習わしのために、島民みんなで男性を殺し生け贄とし、きれいな女性を人魚役にしたてあげる。集団心理や自衛のために人を犠牲にする人間の怖さというものが作品全体に落とし込まれていて、明るいシーンでも同級生の言動ひとつひとつに2面性が感じられ不穏な空気が流れる。最後は種明かしのような説明はなく、観るものの推測しかないが、きっとこれはこの先も繰り返される止めることができない物語である。
灰色の街

灰色の街

Project JUVENILE

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/07/20 (木) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
サスペンスドラマのような雰囲気で、どんどん惹き込まれました。
シリアスな部分と笑いの部分のバランスが良くて、とても楽しめる内容でいた。
役者さん達の熱演も良かったです。
特に朝倉を演じた役者さん、愛嬌たっぷりで表情も良かったです。
他の役者さんも皆、それぞれのキャラクターを好演していて好印象でした。
音楽も良かったです。満足の舞台でした!

ユニットバスの人魚姫

ユニットバスの人魚姫

route.©️

王子スタジオ1(東京都)

2023/07/20 (木) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/07/20 (木) 16:00

座席1階1列

全体的にホラーでエグい場面もありながら、芸術的演出と役者やmove actorの表現力によって美しさを感じる作品。主演の中村透子さんの鬼気迫る熱演や、人魚役のまひたんさんの妖艶さが光る。愛情の美しさと恐ろしさが心にささる。劇場に入った瞬間からroute©︎の世界観に包まれる。

ネタバレBOX

ある離島の話。そこには男の血肉を食べる人魚の伝説が残っていた。主人公の女子高生 朝陽は自宅のユニットバスに人魚姫を飼っている。正確にいえば朝陽は人魚を愛していた。
人魚は男の血肉を食べないと生きられない。朝陽は最初は自分の父親を殺害。次は見知らぬ男を部屋に誘い込み殺害する。それでも定期的にやってくる人魚の空腹。
朝陽はクラスでは本が好きな目立たない存在。それでも話しかけてくれる美月や晴には心を許していく。晴は朝陽に好意を寄せ、また朝陽も好みが同じ晴を嬉しく思う。「晴くんならあの子のために血を分けてくれって言えばきっと理解してくれるはず」朝陽は部屋に晴をつれていき嬉しそうに人魚を見せる。驚きと恐怖で逃げる晴。朝陽は晴を撲殺する。直後に美月から電話がかかる。美月が好きだったのは晴だったことを知り朝陽は号泣する。
刑事の取り調べ。人を殺すことは許されないと詰め寄る女性刑事。彼女には夫と子どもがいる。「旦那さんや子どもがお腹を空いたって言ったらあなたは見殺しにするんですか?」と言う朝陽。その目に迷いはない。
その後、朝陽宅のユニットバスを調べるが、残っていたのは綺麗な鱗のみだった。


朝陽の人魚への愛情は歪んでいながらも、人魚に抱きしめられた時の多幸感は何ものにも変えがたいものだったのだろう。殺人が悪いこととわかっていても人魚への愛情が全てにおいて優先する。リアルな同級生との友情や恋愛などを絡めることで、ファンタジーの人魚への愛情が引き立っていた。人魚は美月への愛情は特になかったのだろう。自分の食料を運んできてくれるいいやつという程度。そこにまた、まひたんさんの悪魔的な魅力、妖艶さが光っていた。
常にmove actorという表現者が3人舞台にいて、その場面の雰囲気や心の声を動きやセリフで表現していた。紙吹雪や風船など細かい小道具も使い、全てが作品を色鮮やかにする演出になっていた。もうひとつの作品「朝焼けとハミング」はこの話の8年後の世界。大内真佑花さん演じる美月が主人公の話。こちらもぜひ合わせて観るとより両作品を楽しめる。
スペーストラベロイド

スペーストラベロイド

collaboLab

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

体裁を取り繕うにも程がある、誤魔化しの限界突破か(笑)
嘘と勘違いと本気がこれでもか!と混ざり合って、どこか懐かしさを感じるくらいコッテコテのコメディー作品でした
それでも役者さん達が素晴らしく爽やかに演じられているのでコッテコテ感はかなり軽減されていたかも

馬鹿馬鹿しい状況と宇宙圏内にいるという危機感、有り得ないコントラストを如何にテンポ良く熱く演じられているかが作品の肝(きも)
誰がどんな勘違いをしているのか混沌としてきても、そこをわかりやすく見せてくれるテクニックに感心しました

PILLOW VELVETTIE

PILLOW VELVETTIE

流山児★事務所

スペース早稲田(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「お前も沈むのね。そして夜が来る。」
太陽に向かってそう語り掛けた女は毒を呷る。

チケットにワンドリンク付いていて、BARトワイライトのマスターはアダムスファミリー調の甲津拓平氏。前説も担当。

登場するのはピロウ・ヴェルヴェッティ(ヴェルベット〈光沢のある柔らかな肌触りの生地〉の枕)を名乗る女優。どうやらここは警察署の取調室。彼女は事情聴取をする刑事のことを大好きな俳優から取って、ジョルジオと呼ぶことにする。語り出すのは母親が好きだった歌。昔の映画のワンシーンで印象的だったハミング。そしてシャルル・ペローの童話『青髭』について。次々と娶った妻が行方不明になってしまう恐怖の権力者の言い伝え。彼女は天才演出家、サイモンこそが現代の青髭だと告げる。そして自分が彼を殺したことを。

伊藤弘子さんデビュー37年、出演作155本目の記念公演は初の一人芝居。客席後方でキーボードとエレキ・ギターのa_kira氏、コントラバスの伊藤啓太氏が生演奏。何曲も歌い上げる。『When a Man Loves a Woman』の間奏のギター・ソロが布袋っぽかった。a_kira氏は小室哲哉っぽい。

電気スタンド(デスクライト)をハンドマイクのように握り締めて歌い、自らの顔を下から照らす。上から垂れ下がる7本の首吊りロープのダンス。流山児事務所名物の背景への投影。線描画のアニメみたいな奴が凄かった。退屈させない工夫に充ちている。デイヴィッド・リンチ作品を連想させる世界観。
伊藤弘子さんのファンならずとも、是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

脚本がイマイチ。親友マリアの復讐の為に、サイモンに取り入ったピロウ。映画界を追放された彼と共に舞台の世界で活躍する。どんどんどんどん彼の才能に夢中になっていくピロウ。この辺の詳細を端折ってしまっているので話が盛り上がらない。復讐相手を本当に愛してしまう女の性。そしてコスモ(コロナ)ウイルスが蔓延して演劇界も興行を打てなくなる。失意の彼の死と共に精神を病んでしまって入院。自室で一人芝居を公演している。(字幕で篠井という名前が出るが、看護婦の声だとタカイではなかったか?)。その一人芝居が今回の作品だという枠組なのだが中途半端。『ユージュアル・サスペクツ』ぐらいぶっ飛んで欲しかった。

愛情も憎しみも人に対する強いエネルギーであることに変わりはない。
灰色の街

灰色の街

Project JUVENILE

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/07/20 (木) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

けた外れにおもしろい。
おもしろ過ぎる。
もらったパンフレットによると、演出の富樫さんが、二十数年前、富樫さんが初めて観劇し心を奪われ、夢中になって芝居作りに励むキッカケになった思い入れのある作品とあった。
そんなにいい作品なのか、と気合いを入れて観た。
正直なところ、最初の30分くらいは、普通のどこにでもあるお芝居ですが、半分を過ぎたあたりから、おもしろくて夢中になる。
最初もおもしろくないわけではなく、朝倉健太郎役の役者さんが、一途な好青年を演じていて、私は、彼の演技がとても可愛く好感が持てて、楽しんでしまった。

途中からは、ピストルをふんだんに使うスリルある展開になり、目が離せなくなった。
やくざ風な展開を期待して行ったので、超満足でした。

もっと書きたいのだが、ネタバレ厳禁と念を押されているので書けない。

印象に残ったのが、竜造寺役の富樫さんの演技だ。
味があり渋くて、スゴかった。
迫力も貫禄も半端ではない。(ここのところ必見です。)
衣装もバッチリ決まっていた。


飯原優さんのひたむきな演技もとても良かったです。



スペーストラベロイド

スペーストラベロイド

collaboLab

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

こんないい加減な管理の宇宙船には絶対乗りたくないが、そのいい加減さが上手く活かされたストーリー。嘘に勘違いの連続の笑いはあまり好きではないのだが、ついつい笑いに惹き込まれた。くどさを感じることはあったが、泥臭さがないので嫌味にはならずに観れたと思う。初日のせいか、キャスト間に少し距離を感じはしたが、これからどんどん仕上がっていくのではと思う。楽日観劇は相当良い仕上がりでは?

エゴイズムでつくる本当の弟

エゴイズムでつくる本当の弟

Stokes/Park

小劇場B1(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/20 (木) 19:00

座席1階

札幌出身の劇作家白鳥雄介による演劇ユニット。今作は自身の生い立ちや家族の実話を基にした作品という。
自分の物語を書くのはどんな気持ちなのだろうか。パンフレットによると、家族にはいいイメージを持っておらず、長年悩まされてきたというが、その悩みに全力でぶつかり、けじめをつけたいとしてこの作品をつくったのだという。「いいイメージでない」エピソードは満載だ。エステティシャンの母は子どもたちとの会話の端々でギャグをかます底抜けに明るい性格だが、兄弟が幼いころに離婚。新たな恋人も離婚していて男の子がおり、連れ子同士で同居をする(結婚はしていない)という展開だった。こういう性格の母親だからだろうか、血のつながっていない息子に対しても兄弟同様の愛情を注いだが、事態は悪い方へ悪い方へと展開していく。

次男(原作者)の結婚式前夜の場面から始まる舞台。軽妙な会話劇で進行していく。兄と弟の関係、さらに連れ子の弟との関係。親が勝手に同居しても、その連れ子たちが家族、すなわち「3兄弟」になれるかというのは別問題である。あえて入籍しないという親の選択が、東日本大震災の緊急避難時に長兄と血のつながっていない末弟との兄弟関係の証明ができず、不利益をこうむるというエピソードがあった。名字が違うままの連れ子同士の兄弟に対する、世間の冷たさも描かれる。

演出はシンプルで好感が持てる。擬人化された飼い猫が登場するが、今ひとつ効果的ではなかったようだ。タイトルの「エゴイズムでつくる本当の弟」は筆者の胸の内をさらけ出した本音だとは思うが、タイトルとしては分かりにくくインパクトに欠けたのではないか。

若者中心の家族劇として、新たな姿を提示しようという意欲作であることには違いない。

シュガシュガ・YAYA

シュガシュガ・YAYA

東京にこにこちゃん

OFF・OFFシアター(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/07/19 (水) 18:00

価格3,500円

初日及び楽を観劇。
ハッピーエンド路線を確立、公言する東京にこにこちゃんが描く大学生活のモラトリアム、そしてそこからの一歩を描く物語。
和光大学...をモチーフにした大学に入学した春瀬舞笑(大畑優衣)が演劇研究会に入部。様々な経験を重ねつつ成長も迷走もし、最後には周囲に力強く背中を押されて自分の意志で「ドア」を閉める。
団体側で不定期で過去作を無料配信している(本作も期待!)ので、以下ネタバレBOXへ。

ネタバレBOX

冒頭はサザンオールスターズになりたいと演劇研究会を訪れた新入生・豊丸光(四柳智惟)が2年生の大池奈々(菊池明明)、三町景(髙畑遊)に弄られるところから。豊丸は浪人して入学しているので2年生の両名と同い年なのだが、大学の上下関係は学年が基準なのだから敬語を使えと。こうしたちょっとしたネタでも笑いのギアが一気に入り、場内はドッカンドッカン沸いていた。この辺りの笑いの空気作りは本団体の得手だ。独特のリズムととぼけた持ち味の特撮サークルの里秋穂奈(立川がじら)、明らかに住み着いている感のフォークソング連合の中森悟(尾形悟)、出番は少し後だが、8年生から後に再入学の離れ業を行う奇人の鍛冶宮樹(武藤心平)が醸し出す雰囲気がにこにこちゃんらしさであり、1980~90年代の漫画的でもあり、(モデルの大学の特異な実態は知らないが)大学生活あるある感、こんなだったら面白いな感で何層にも面白い。
前述の彼らはにこにこちゃんへの出演がお馴染みのメンバーであったり、あるいは大変な個性を放つ芸達者達。そんな中に主役の舞笑に抜擢されたのは舞台出演が2作目の大畑優衣。どこか自信無さげで、何なら迎合する為の嘘も付いてしまう、舞台の演劇研究会への居着き方もふわっとなし崩し(入部自体はヘンなタイミングで決心している)と、万事何となくの等身大な揺れる若者像と言える。一方で好奇心旺盛で人当たりが良くてチャーミング。そんな両面を見事に体現していた。

時間軸は白幕の上げ下げと豊丸らの「〇月~」のような宣言で進行していく。舞笑は舞台の脚本を書いたり、音響を務めたりとサークルに勤しみつつ、初めての恋と失恋(相手はなんと鍛冶宮)のような経験も。愉快な先輩達にも可愛がられ、大学生活に居場所を見付ける。そして依存してしまう。日に日に目標を増やして部室の壁に貼り付けていく(友達を作る、授業を休まない、資格を取る、海外に行く...etc)。そんな前向きさと楽しみに溺れていく両面。どちらも極端に振り切ってはいないのが舞笑の在り方だ。前向きと言いつつも目標を叶えられていない焦燥、サークル活動を満喫しながらも先輩の卒業や新入生が居着いてくれない現実。バックボーン的なものは特に描写、説明は無いのだが、舞笑自身は元から自分に自信があるでもなく、序盤の振る舞いからしても強い意志を持った人物でもない。楽しみみに溺れつつ不安からの現実逃避。結果として部室で怠惰に過ごして昔話をするばかりのお荷物になってしまう。大学生活のモラトリアムは理解の無い人から見たら「楽しそうだね、甘えてるね」と切って捨てられるのだろうが、負の意識を自覚していないわけではないし、現実は直視出来ないが薄目で見えてはいて、きっかけや背中を押してくれる人や物事をうっすらと渇望しているのだ。甘えと言われたらそれまでだが。
さて、世知辛い現実とは違うので、舞笑は周りに恵まれていた。優しくそっと諭してくれる奈々、憎まれ口と力業でと強引さの景、一足先に現実に目覚めていた豊丸ら。景らは一緒に部室に住んで、昔話をしながら楽しく過ごそうと提案、そして舞笑がほったらかしにしている目標の全否定。感情的反発と大立ち回り。吹っ切れた舞笑は部室のドアを力強く閉めて出て行く。部室からの、モラトリアムからの卒業。終幕。

お馴染みのキャストも多い中で、今回は主演に抜擢した大畑優衣の働きも作風へのアクセント、新風として実に機能していた。役と存在感がマッチしていたという話だけではなく、細やかな部分の芝居も丁寧に取り組まれていた。奈々や豊丸がドアを閉めて去って行く時の「待って」はその人物への呼びかけの言葉であり、時間の経過と取り残される自分自身に対する心の悲鳴でもあり、静かな場面ながら作品の象徴的な部分と思う。その際の表情や声色には心を打たれた。鍛冶宮が「ここを出る」と言い出した時の、彼だけはいつまでもいると思っていたのにという驚きと残念さと取り残されてしまったという一瞬の表情、卒業した奈々が部室に来た時のバツの悪そうな負い目ある表情(普段なら嬉しそうなのに)。序盤の子供っぽい可愛らしさ、様々な試練でいじけてる様、景の好きな男を奪った件の感情の吐露など、振れ幅の点でも大変な見応え。抜擢に応える見事な芝居。

笑いの台風のようだった豊丸(舞笑を取り押さえる姿は寄り添う姿にも映って素敵)、お母さんのような優しさ、柔らかさの奈々(切ないラブコメ要素も!)、暴君だけれども一番力強く背中を押した景(風早くん...)、文科系サークルの先輩像で場を和ませた里秋(何たる朴念仁!)、ウザさ炸裂ながら本作最高の表現(飲み会~)の鍛冶宮、奴隷、盗聴、ワニワニパニックと要素多過ぎな中森。どの登場人物も面白く、人間臭く、愛くるしい。役者陣も流石。

ほろ苦さと苦難、終盤も笑いをてんこ盛り、笑顔と少し涙のハッピーエンド。象徴的な「ドア」の使い方。
本作も傑作だった。にこにこちゃんのアベレージは凄まじい。
ハートランド

ハートランド

ゆうめい

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/04/20 (木) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

なんだか思っていたものと違っていました。今回は今まで違ったものだったみたいで、それででしょうか?相島さん見たさもあっての観劇でしたが予想以上に出演されていなくて残念でした。

デンジャラス・ドア

デンジャラス・ドア

爍綽と

浅草九劇(東京都)

2023/04/26 (水) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。ただ、面白い前に笑ってしまうファンのような方が多く、笑いたいところでハズされてしまいました。女性版山内ケンジ感が強かったです。

明けない夜明け

明けない夜明け

演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/07/14 (金) ~ 2023/07/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ヘビーなはずのテーマが日常空間に溶け込んで、演劇という形でそこにあったのが印象的でした。
クライマックスは圧巻でした。

スペーストラベロイド

スペーストラベロイド

collaboLab

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2回公演観ましたが、何回みても笑える。要所要所に置かれている伏線を最後できれいに回収して、温かい気持ちになれました。土田が宇宙遊泳しているところは、本人いないけど、舞台上の演者の息ぴったりで本当に泳いでるんじゃないか?と後ろを振り返ってしまったくらいリアルでした。

スペーストラベロイド

スペーストラベロイド

collaboLab

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

イケオジ!イケメン!美人さん!ストーリーもめっちゃ良くて、期待以上!笑った〜

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)

ムシラセ

駅前劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/16 (日) 18:00

115分。休憩なし。

ストレイト・ライン・クレイジー

ストレイト・ライン・クレイジー

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2023/07/14 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 日時によって星組、花組Wキャスト上演である、どの役を誰が演ずるかテイストの違いを楽しむこともできる。(花組を拝見)
2部構成、休憩なしの2時間25分程。一瞬たりとも目が離せない。

ネタバレBOX

 今作は燐光群が演じるデイヴィッド・ヘア第5作目の作品であるが、1929の世界大恐慌に重なるような時代、1926年が起点だ。当時は未だ一般的ではなかった都市開発計画を立ち上げ現在のN.Y.で見られる都市景観の大本を作った実在の男・ロバート・モーゼスの前半生(マンハッタンから近く資産家が好環境の現地を好み多くの地域を私有化していた合衆国本土では最長最大の自然豊かな島・ロングアイランドを一般市民が通い使えるようにする為の開発、海浜公園&公園へ通じるノーザン・ステート・パークウェイやサザン・ステート・パークウェイ建設等)を前半第1部で、
29年後の1955年代に入り世の多くの人々の意識やジェンダー感覚が大きく変わるとワシントン・スクエア・パークに高速道路を通そうとするモーゼスの計画はビレッジ住人の市民運動と対立、激しく批判されるようになって以降を第2部で。ヴァイタリティーと信念を持ち実践したさしもの男は、変転することこそ唯一の自然な世界の姿であることに置いてきぼりを喰らいつつ尚一種のアメリカ流ダンディズムを貫こうとした。そして彼をその事業の開始からサポートし仕事で無理をした結果障碍者となった現在も未だ現役の男性社員の覚めた意識に出会い、秘書を務め続けた女性社員の「辞めます」宣言迄叩きつけられたモーゼス、また仕事一途な余り妻をアルコールに走らせ剰え暖かい言葉一つ掛けてやったわけではなかった鈍感が遂には妻の精神を破壊、精神科病棟で薬漬けの生活を送っていることへの遅過ぎた気付きなどの経緯を描いて、仕事最優先で成功を収めた男のそれ以外の価値観や柔らかくしなやかな感性に対する鈍感や差別意識がそれらに無意識であることから生まれるが故に鈍感差別者自身に気付かれ難く更に仮に気付いたにしても為す術を知らぬことによって鈍感・差別を永続化してしまう状況が描かれる。現在の人権意識から観ればこれは余りに特異な事象にも見えよう。だがモーゼスは決して卑怯者でもなければ非紳士的な訳でもない。単に現在の我々から観て具体的に街の活動家の抗議の背景にあったもろもろの価値観や本源的に彼ら彼女らに湧き上がってくるパッションの根っこ、妻の現状を一人の人間としてケアできるだけのヒトとしての常識を欠いているように思われるに過ぎまい。また、白人内でもカソリック系やアイリッシュ、イタリア系などに対する差別があったとはいえ、ネイティブアメリカン、黒人、プエルトリカン、イエロー、中南米諸国民に対する人権蔑視に比べれば遥かにマシなものであったから、モーゼス自身も市民活動家、女性や有色人種に対する根源的な差別・蔑視が克服されていた訳ではなさそうである。こういった偏見をベーシックなレベルで持っていたことこそ、彼が遂には孤独に追い込まれた原因であろう。それにしてもラストに集約された彼の纏う侘しさは堪らない。
 一方、このがむしゃらな個性は、アメリカが生み出した一つのキャラクターでもあるように思われる。ヨーロッパ、殊にフランス等の現在にも残る優れた思想家、科学者、芸術家等は基本的に命懸けで己の思想や論理を実現し現在に迄伝えた者が多い。アメリカの場合は、それが個々人の破天荒な行為と性格をベースにした一種のフロンティアスピリットとして顕現するケースが多かったように思われる

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