ユニットバスの人魚姫 公演情報 route.©️「ユニットバスの人魚姫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/07/20 (木) 16:00

    座席1階1列

    全体的にホラーでエグい場面もありながら、芸術的演出と役者やmove actorの表現力によって美しさを感じる作品。主演の中村透子さんの鬼気迫る熱演や、人魚役のまひたんさんの妖艶さが光る。愛情の美しさと恐ろしさが心にささる。劇場に入った瞬間からroute©︎の世界観に包まれる。

    ネタバレBOX

    ある離島の話。そこには男の血肉を食べる人魚の伝説が残っていた。主人公の女子高生 朝陽は自宅のユニットバスに人魚姫を飼っている。正確にいえば朝陽は人魚を愛していた。
    人魚は男の血肉を食べないと生きられない。朝陽は最初は自分の父親を殺害。次は見知らぬ男を部屋に誘い込み殺害する。それでも定期的にやってくる人魚の空腹。
    朝陽はクラスでは本が好きな目立たない存在。それでも話しかけてくれる美月や晴には心を許していく。晴は朝陽に好意を寄せ、また朝陽も好みが同じ晴を嬉しく思う。「晴くんならあの子のために血を分けてくれって言えばきっと理解してくれるはず」朝陽は部屋に晴をつれていき嬉しそうに人魚を見せる。驚きと恐怖で逃げる晴。朝陽は晴を撲殺する。直後に美月から電話がかかる。美月が好きだったのは晴だったことを知り朝陽は号泣する。
    刑事の取り調べ。人を殺すことは許されないと詰め寄る女性刑事。彼女には夫と子どもがいる。「旦那さんや子どもがお腹を空いたって言ったらあなたは見殺しにするんですか?」と言う朝陽。その目に迷いはない。
    その後、朝陽宅のユニットバスを調べるが、残っていたのは綺麗な鱗のみだった。


    朝陽の人魚への愛情は歪んでいながらも、人魚に抱きしめられた時の多幸感は何ものにも変えがたいものだったのだろう。殺人が悪いこととわかっていても人魚への愛情が全てにおいて優先する。リアルな同級生との友情や恋愛などを絡めることで、ファンタジーの人魚への愛情が引き立っていた。人魚は美月への愛情は特になかったのだろう。自分の食料を運んできてくれるいいやつという程度。そこにまた、まひたんさんの悪魔的な魅力、妖艶さが光っていた。
    常にmove actorという表現者が3人舞台にいて、その場面の雰囲気や心の声を動きやセリフで表現していた。紙吹雪や風船など細かい小道具も使い、全てが作品を色鮮やかにする演出になっていた。もうひとつの作品「朝焼けとハミング」はこの話の8年後の世界。大内真佑花さん演じる美月が主人公の話。こちらもぜひ合わせて観るとより両作品を楽しめる。

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    2023/07/22 07:10

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