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家の内臓【作・演出 前田司郎】

家の内臓【作・演出 前田司郎】

アル☆カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

必見のめんどうくささ
もっと淡々とした感じの作品と思いきや、
つぼにズボズボとはいって
笑ってしまった・・・。

詰まった距離感と温度に
やられました

ネタバレBOX

温泉宿の一部屋、
眠れない男二人の会話が
そこはかとなくおかしい・・・。

そこに目覚めた他の女性たちが絡まりながら、
笑いが少しずつ舞台を支配していきます。

派手さやびっくりするような仕掛けはないのですが、
登場人物のめんどうくささが
そのまま笑いにつながっていく感じ。

繰り返されたり掛け違ったりが馬鹿におかしくて、
作り手の腕を感じる。
単純にネタで見る側をひきつけるというよりは
空気でタイミングのスイートスポットを作って
そこに笑いをもってくるような感じ・・・。
役者どおしの会話がすれ違う間や、
投げっぱになる話題までが
いちいちおかしいのです。

後半、登場人物たちの関係があきらかになり、
親子の会話が生まれて、
前半の馬鹿馬鹿しい感じまでが
すっと小さな内装会社の日々の雰囲気や
そこに勤める家族の物語にまで収斂していく・・・。

そのちょっと詰まった感覚に、
市井を生きる感覚がすっと浮かんで・・・。
なにか面倒くさいけどおもしろうみえる
日々の感覚にたっぷりと浸されてしまいました。

この空気を雑遊の大きさの小屋で感じるのは
とても贅沢だと思ったり・・・。

お勧めの一品かと思います。

☆☆★


『妖怪レストラン 2D』

『妖怪レストラン 2D』

THE 黒帯

アイピット目白(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★

幼児向き
学芸会みたいな妖怪芝居。構成が散漫過ぎるのと、ストーリーとキャストらの演技もぐだぐだで緩い。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は「泣いた赤鬼」を主軸に、「ぐりとぐら」「ウオーリーを探せ」「あらしの夜に」などから拾った内容を取り入れながら、絵本の世界で妖怪レストランで失くしたアイテムを取り返していく。という構成。

まあ、妖怪という設定なのだけれど、そういったおどろおどろしさはなく、ファンタジー的な想像は愚か、幻想的なシーンでもって観客を魅了する設定が稀薄だった。

この芝居に料金を払って観た観客を尊敬する。そんなレベル。

めぐるめく

めぐるめく

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

今後にも注目
カンパニー初見。
高低差のあるセットを活かしきった演出が楽しい。
ほかにも演出のアイデアが盛りだくさんで、
そのホンの描こうとした繊細さが
希薄になってしまったかもしれない。
客演ブラジルの辰巳氏の味のある演技が印象的。

Do!太宰

Do!太宰

ブルドッキングヘッドロック

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

やっとこさ・・・!
初ブルです!ようやく観劇することができました。
この作品でヨカッタ。舞台、物語の構成力に唸りました。
空間いっぱいに役者たち。それぞれの人物たちの個々の物語が
縦横無尽に連なってひとつの大きな絵になり、等身大のドラマを描いてました。太宰知らなくても、十分楽しめます。
途中、若干、長さを感じる部分もありましたが笑、トータル的にセンスよいですよね★
その昔、知りえた懐かしい人々の姿も目にし、感慨ひとしおです。
ともあれ、今後もぜひ頑張ってほしいです!!

どこまでもゆける

どこまでもゆける

水写

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度

疲れた
でだしから高校の演劇部員が必死に・・・・みたいな印象が強かった。

出演者、あるいは作・演出側は満足しているかもしれないが、見ている側はちょっと疲れてしまった。
3部めはなんとか観られましたが、全体に力が入りすぎ、かな。

ま、好みの問題なので、否定する気はありません。

プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

その時空
他の人の言うように、恐ろしく簡素な舞台がどんどん転換していく。

ある時は東京のオフィス、ある時は地方都市の開店間際のお店、
喫茶店 etc etc... 回転ドア式に展開する仕切りを挟んでどんどん
展開していく。 その有様がなんかすんごくスマートだった。

スマートといえば、役者達。 なんか皆恐ろしく役柄に合っていて
見事としか。 安井順平の、相当引きこもり入った兄と、伊勢佳世の、
妹とのすっ飛んだやり取りに何度笑ったことか…。 

このようにコメディ要素も魅せる要素も高く、初心者から玄人まで楽しめる
高レベルな作品だと思います。

ネタバレBOX

兄に背を向けシゲル3人目を必死で抱きしめるカナメに、兄テルオが
「忘れられんのかよ?」カナメ「忘れられるよ」

…あの辺り、この劇の中で瞬間最高風速じゃないかと思いました。
それだけに、最終場で誰も3人目シゲルに触れなかったのがもう、
気になって気になって…。 でも、多分、カナメの様子をみると
もうシゲルとの事は過去になりつつあるようだったので…遅かれ早かれ
消えてしまうの…かな??

シゲルはなんか…如才無い感じだけど、要領良さそうだけど、
最後まで勘違いしたまんまで終わるタイプなんだろうなぁ。。。

次回公演も楽しみです。
暴くな

暴くな

INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2010/05/15 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★

不知火チームを観劇
2時間てんこ盛りのバカ騒ぎ。
犬と串、初めて観たが面白いと思うことは何でも
詰め込むサービス精神は確かに感じられた。
背もたれのないベンチシートに蒸し暑い場内は、
人生の半ばを過ぎた腰痛持ちには辛かった。
が、心地良い疲労感で家路に着けた。
雲龍チームも観たいが、体がついていかないかな。

ネタバレBOX

狭いアパートからの場面転換は爽快。
男優、女優ともに露出過多。下品ではあっても猥褻ではない。
物語、演出、笑いのネタなどに新しさは感じなかった。
1400円の価値は充分にあるが、値段が倍になった時は疑問。
露出狂

露出狂

柿喰う客

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

女だらけ!
劇団初の女性ばかりの舞台。
色めかしい乙女たちが蠢く約100分は圧巻です。

友達とは何かを考えさせられる舞台でした。

ネタバレBOX

熊川ふみさんの少年のような空気がたまらなくよかったです。
聖火の献立

聖火の献立

タッタタ探検組合

劇場MOMO(東京都)

2010/05/13 (木) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★

( ・∇・) !!
ファンタジーな感じは良かったです。舞台はとてもかわいかった。
よくトンカツ屋で,豚がかわいく笑ってる看板を見て・・・「食べられてしまうのになぜ愛想よくするの?」と思っていたのを思い出しました。そんな感じですか?
見てその場で楽しむお芝居ですね。

「柵の中の鬼ごっこ」「熱海殺人事件~友よ、いま君は風に吹かれて」「売春捜査官」

「柵の中の鬼ごっこ」「熱海殺人事件~友よ、いま君は風に吹かれて」「売春捜査官」

北区つかこうへい劇団

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2010/05/15 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

熱海殺人事件
机が2つといすのシンプルな舞台で,こんな濃い物語が展開できるんだ!・・・とびっくりしてから,何回か,熱海は見させていただいてます。どのバージョンも大好きです!今回は,木村伝兵衛部長刑事がよかった・・・哀愁漂う感じ出てました!また川端さんの木村伝兵衛部長刑事で違うバージョンで見てみたいです。

Do!太宰

Do!太宰

ブルドッキングヘッドロック

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★

やはり良作
なかなか難しい構成の作品ですが、ブルドッキングヘッドロックの良さを堪能できます。

寸劇役者に花道を

寸劇役者に花道を

LIVES(ライヴズ)

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★

集大成なのか?
[Dear My Hero][ROPPOHGI NIGHTS]と重なる部分はあるものの、全体的に楽しめた。LIVESの公演は殆ど観続けてきたものだから、過去に公演した作品を一部でも再演されると、ワタクシとしては興味が削がれてしまうのは否めない。石橋のかちゅぜつが問題。会場は大入り満員でパイプ椅子が出るほどでした。

以下はネタばれBOXにて。

ネタバレBOX

「不知火」
映画「メモリー~失いたくない記憶~」の長澤まさみの恋人役オーディション会場にやってきたおっさん!履歴書もイケメンの写真も偽っての面接だった。面接官ははなから「こいつはダメだ」と思ってそれを言葉にしているのに、食い下がる己を知らぬおっさん。


「ファイナルラウンド」
Dear My Heroと殆ど似ている。引退試合をする弱そうなアマゾン長崎選手の為に、アマゾンが好きだというみさちゃんを会場に招待したが、当のみさちゃんが来られなくなってしまった。会長は、アマゾンのファイトを気落ちさせない為にそのことをひた隠しに隠して嘘で塗り固めるも、結果ばれてしまう。今度はアマゾンにガウンをプレゼントしたものの、バックのロゴが「長崎チャンピオン」ではなく「長崎CHANPON」と美味しい名前にミスってあった。もう最後には戦う気力を失くしたアマゾン長崎を担いで会場入りさせるというブラックコメディ。


「宴」
今日で閉店するというナイトクラブのホステスらの生き様を描いた作品。ここでのウエイターが小澤真悟。頭のてっぺんを剃りあげての意気込み。笑
その剃り方がサゴジョウのごとく縦剃りなもんだから、気合は入ってるものの、哀れというよりおっさん化現象!笑


「エンジェルデビル」
閣下のような悪魔のなりしたトウのたったロッカーが引退を決意するも、賑やかな女子ファンにもてはやされて己の実力を忘れて引退を取りやめる。しかし、一人のロッカーの恋人の両親が公演を観に来たから、さあ大変。そこから始まるどたばた騒ぎ。夢と現実の葛藤。笑


「寸劇役者に花道を」
前回の「寸劇役者に花道を」のガン病棟での再演。これは何度観ても涙が流れるが相変わらず、山田のクソ爺ぶりがドウに入ってる。山田ほどに爺役をやらせたら右にでるものは居ないと思う。



下北沢でたまに会う山田は腰の低い好人物だ。大浜も素で見るとひじょうにカッコイイ。しかし、彼らは舞台に上がると汚い爺に変身しちゃタリ、イカレタおっさんに変身しちゃうのだから、役者というのはつくづく面白いと思う。役者の醍醐味はこうして様々な人物に化けられるということだと思う。きっと普通の人の何倍も苦労はあるのだろうけれど、何倍も楽しんでるんだろうなー。とも思う。
全体的に前作の「寸劇役者に花道を」よりは笑いは少ない。前作があまりにも最高傑作過ぎたのだ。
修学旅行

修学旅行

渡辺源四郎商店

リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)(青森県)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/21 (金)公演終了

満足度★★★★★

また観られてラッキー
年輪を重ねて、高校生から実年齢は離れていくキャストたちだが、経験も上乗せされているから、より巧く、より面白くなったと痛感。
この作品の深さは相変わらず。無料公演の観客論はまた別の問題かと思う。いい時間だった。

「ユー・アー・マイン」

「ユー・アー・マイン」

クロカミショウネン18 (2012年に解散致しました。応援して下さった方々、本当にありがとうございました。)

駅前劇場(東京都)

2010/05/12 (水) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

楽しんだ
嘘が嘘を
呼ぶ状況
えーー

なったりもするけど
それも含めて
楽しく

プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしいギミック
そのアイデアと展開に、いつも唸ってしまうイキウメ。前川さんの作品を観るのは3本目ですが、今回も炸裂してました!
練られたストーリーに小気味よいセリフ、想像力をかき立てる舞台演出とどれをとっても本当に素晴らしい。
補助席まで出ていましたが、納得の作品です。

「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

ハイバイ

アトリエヘリコプター(東京都)

2010/05/16 (日) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★

経験組鑑賞
去年、ハイバイでやった「て」も岩井さんの実体験を元にした作品で
傑作だったが、それに比べると。。。

確かに笑える所も多くて面白いけど
岩井さん自身で自分の役を自ら演じていることへの違和感なのかな?
どうもいま1つ話に入っていけなかった。
「て」では家族間に流れる微妙な空気が観ててたまらなく面白かったが、
今回はそういうのをあんま感じなかった。

次回に期待というか
前売り券買っていたで初めて組もう一回観にいく予定。

めぐるめく

めぐるめく

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

初KAKUTA
名前は前から知っていたけど、観る機会がなかったKAKUTAをやっと観ることができました。
ウェルメイドな作品で、物語も演出もわかりやすく、役者の演技も良くて楽しめました。
立体的に作られたセットを活かした、スピーディーな場面転換が良かったです。
個人的にはもっと実験的なこともやって欲しく思いました(今回が初だったので、他の作品ではそういうのもやっているのかも知れませんが…)。

めぐるめく

めぐるめく

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

‘素敵’に‘絶妙’なKAKUTAの演劇!
KAKUTAさんを観て劇場を後にする時、「いい芝居を観たなぁ」って、とにかく素直にそう思わされます。「やられた」「そうきたか」「今のセリフいいな」そんな細かい感想よりもとにかく「いい芝居だった」そう思わせてくれます。こんな純粋な感想を持たせてくれる劇団さん、なかなかないのではないでしょうか?ド派手な演出や流行りの構成、そういうものに頼らないくても‘素敵’です、‘絶妙’です。安心して舞台と向き合えます。そこから生まれる優しい安定感が、こんなストレートな感想を引き出してくれるのかもわかりません。…うまく書けませんが(苦笑)。

今回も思いっきり「いい芝居」観させて頂きました。
役者さんも皆さん、存在感・説得力・愛らしさ…バッチリ揃って魅力的でらっしゃいました。中でも今回はブラジルの辰巳さんが必見。辰巳さん、久々に拝見しましたが、その魅力にますます磨きがかかってきたように思います。

KAKUTAさん、良い劇団さんです。おススメです。

2人の夫とわたしの事情

2人の夫とわたしの事情

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★

これで9000円は高いなー
ケラさんの舞台好きだから
最近は欠かさずに観ているし、今回もキャスト豪華で魅力的なので
高いチケット代払って行ってきました。

確かに舞台美術も豪華だし、
役者さんも主役の3人も脇を固める人たちも良かった。
特に段田さん、いいなあー。 さすが元・夢の遊眠社!

話も笑いどころ多いんだけど
いつものケラさんの舞台に比べると
クセがないというか、毒が足りない気が。。。
原作が別の人だから当然といえば当然だけど。

Do!太宰

Do!太宰

ブルドッキングヘッドロック

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

細かいエピソードがうねり、大きな物語を作り上げた
様々なエピソードは、物語の縦糸や横糸で、ちょっとだけ視線を離すと、そこには俳優たちや舞台装置などがきらきら輝く、大きなタペストリーが出来上がっていた。
そんな舞台だった。

大人数の出演者がいて、さらに彼らが何役も、役名のある登場人物を演じる。
そして、ダイナミックで奥行きのある舞台装置と、その転換、さらに物語の構成と演出は素晴らしい。

息の飲んで見入ってしまった。
激しい台詞のやり取りはない。むしろ、柔軟さのようなものを感じた。
ユーモアもあるし。

そして、この舞台は、10周年を迎えた、劇団、というより、そこにうごめく個々人の「表現者」としての宣言でもあったように思えた

ネタバレBOX

女の間を行き来し、それを題材として、最後には自らの命を絶つ男。派遣会社の御曹司で、脚本家、小説家として名前が売れてきた男。売れない役者の男。小説を書くと言っては挫折し、映画を撮ると言っては挫折し、舞台の台本を書くと言っては挫折する男。路上ライブをする売れない男。そんな男たちのエピソードが、太宰の作品からの引用と、ブルドッキングヘッドロック自体の過去の作品の引用を散りばめながら進んで行く。

その根幹にある太い幹は、「表現者」だ。
「表現すること」とは、食べて排泄することと同じであり、極めて自然なことであり、やめることもできない。
食べるのは自分の人生であったり、自分とかかわってきた者たちの人生でもある。そして、排泄される表現物は、強い臭いを放ち、ときには自らも傷つける。

「なぜやるのか」との問いに対しては「やりたいから」というシンプルな答えしかなく、それはストレートな真実である。それ以上のものは存在しない。

彼ら表現者たちの苦悩は、「表現することの苦悩」と言ってしまえば、それまでである。
しかし、その「苦悩」は、彼らの「夢」でもある。夢の中に苦悩があり、苦悩と夢は一体でもある。その夢と苦悩の中で、永遠にもがくのだ。

表現することは、その排泄物が残るにせよ、残らないにせよ、無間地獄でもある。どこにも到達できる安住の地はない。
だから、結局何も「表現物」として、生み出す(というより排泄する)ことがなかったとしても、排泄することに苦悩する限り「表現者」である。


表現者としてのレベルはどんな者も同じだ。苦悩の意味が違っていても。
それは例えば、「それをやっていても食えない」ということでも「ネタがない」ということでも「自分の思い通りにならない」ということでも同じだ。
単に、現時点での社会の評価が違うだけだ。


その点、舞台に現れる女たちは違う。
とても魅力的に見えてくる。どの女性も魅力的だ。
女性は強い。そして、優しい。根を大地に張っている。
包み込むような慈愛がある。

男たちは、その女性に求め、女性はそれに応えてくれる。
応え方は、いろいろだ。
従順に従うだけでなく、責めたり、なじったりもする。しかし、それは愛でもある。

どうも、男女間の関係や、その「役割」のようなものに、作者の気持ちが表れているようにしか思えない。「夢を追うのは男」で、それを「見守るのが女」というような。それは、願望なのか、夢なのか、希望なのか。

ラストに戦争が起こり、自分以外の表現者たちが死んでしまえばいいのに、と思う醜い心もさらけ出す。これはある意味本音だろう。でも現実ではない。それももちろん理解している。
テストの前の日に、学校が火事になってしまえばいいのに、と思ったとしても現実にはそんなことが起こらないようにだ。

自分の夢を諦めず進んで行く姿は美しくはないかもしれない。そして、彼らを励ます舞台ではないかもしれない。
ただし、「今、そのまっただ中にある」自分たちの10年とこれから先の「表現者」としての未来を見据え、それでも、だからこそ「排泄するように」そして、「やりたいからやる」という自然で、当然な行為を、終わりのない(死んでからも終わりのない)無間地獄の中で、続けていくという宣言が込められているのだろうと受け取った。

1つだけ注文をつけるとしたら、ブルドッキングヘッドロックの過去の作品に関するエピソードの紹介についてである。
これは、劇団と一緒に歴史を歩んできたファンにとっては、とても面白いものだっただろうと思う。
私のように歴史の浅い者にとっては、さほどの感動も感傷もなく、ただ見ただけ。
10周年ということで、是非ともそんなことも盛り込みたかったという、自己満足、自己愛(劇団LOVE)は理解できるが、引用は太宰だけで十分だったのではないだろうか。そんな気がした。

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