最新の観てきた!クチコミ一覧

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目が明く藍色

目が明く藍色

くロひげ

BAR if(神奈川県)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★

きみのこえがききたいよ。
サカナクションの『目が明く藍色』からインスパイアーされたコンテンポラリーダンスを随所に散りばめながら、ある少女たちが大人になって目の当たりにした現実を、点描的に追想していく作品。
女の子のオトモダチ同士にしかわかり得ない、秘密めいたあそび。時にはケンカをしたりもするけれど、夕陽が沈むまで手を繋いで遊んだあの頃を思い出させてくれるような息づかいが心地よく、甘くて美味しいお菓子とほろ苦いカクテルも美味しくいただき、懐かしいお友だちとお喋りをしに来たような、ゆるりとした時間を過ごせました。

ネタバレBOX

サカナクションの『目が明く藍色』が収録されている、kikUUiki(汽空域)というアルバムタイトルは汽水域の造語で、空と海、とか善と悪とか、朝と夜とかそういう相対的なふたつがひかれ合い、混ざり合い、でも反発するような違和感を持つ言葉として用いられている。
また、この楽曲は『切なさ』『ジレンマ』『ぬくもり』の3つのパートに分類されている、と一般的には言われており、この公演では、それらをなぞらえるようにして2人の女の子が実演する。

冒頭は楽曲のイントロからはじまる。フライヤーのイラストに描かれている、両目を塞いだポーズ。ひとりの女の子はセーラー服で、もうひとりの女の子は淡いパステル色のカジュアルな服。ふたりのダンスは楽曲からインスピレーションを得て構成したというよりも、楽曲のPVに忠実なものであり、既視感が否めなかったが反面、演劇の方は、詩の世界からイマジネーションを膨らませたモノであり、こちらはなかなか見応えがあった。

舞台は7分の楽曲をこまめに中断させながら、演劇とダンスとを交互にみせていく。

第一パート『切ない』ふたりの演劇は、少女時代の女の子たちの儚さを連想させる。暗がりのなか、彼女たちは目をつむり”永遠のかくれんぼ”をしているらしい。夢のなかで交信しているのだろう。かくれんぼは、目が覚めたら、もうおしまい、だという。夢から覚めてしまわぬように、駆けまわったり、だるまさんがころんだをしたり、手遊びをしたり、糸電話でお話したりする。その所作がなんだかあどけなくて、私自身の子どもの頃の記憶がよみがえってくるようで、懐かしいような、それでいて新鮮な感覚だった。

第二パート『ジレンマ』は、大人じゃないけど子供でいたくもない、高校生くらいのお年頃の女の子たち。ひとりの女の子は、もうひとりの女の子を、首に鎖を繋いで監禁してしまった。そんな歪んだ友情をセンシティヴな青春として描き、はじめての恋心を盛り込みつつ、大人になることへの不安の色をにじませる。ミシェル・ゴンドリーの映画に出てきそうな浮遊感のある「行ってきます!」の時間の使い方がすき。このパートは私の一番のお気に入り。

第三パート『ぬくもり』は、母と娘のあれやこれ。
洗濯物をたたむ母と、そんな姿に苛立つ娘。田舎に住む彼女は自身のルーツを嫌い、東京へ行くから、と宣戦布告をするように言い散らす、娘の夢を受け入れる母とのやりとり。

この3つを通じて描かれるのは、あなたと私。というどうしたって相容れないふたり。はなればなれになってしまったふたりだから最後の「君の声を聞かせてよ」は、あまりにも切ない。
なんねんも会っていないあの子になんだか無性に会いたくなった。
恋女房達

恋女房達

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

極上のアラカルト料理でした
「発想の豊かさ」という、高級調味料で味付けされた、まさに極上のアラカルト料理、堪能させて頂きました。

以前、評判高い劇団の芝居を観に行った時、芝居そのものにはがっかりしたのですが、アフタートークで、初めて、生小夏さんを拝顔し、こんなに可愛い女性が、素敵な作劇もなさるなら、神は、何物お与えになったのかと、実は、半信半疑で、青☆組を初観劇しましたが、噂は本当でした。とっても、素敵な作品ばかりでした。観客の予想を上手に裏切る技量も大したものです。あんなに、若くて、可愛らしい感じの女性なのに…。御見逸れしました。こうして、若い才気に巡り合うチャンスがあるから、観劇はやめられないのですねえ。

何だか、最初から最後まで、心を前のめりにして、見入ってしまいました。
本公演も、今から、とても楽しみです。

ネタバレBOX

「恋女房」…保険外交員役の斉藤さんの演技が抜群でした。本当に、保険外交員の雰囲気!!驚くべき現実に、目を白黒させる様子が、実にお見事な表現力で、一目でファンになりました。大西さんのコメデイエンヌ振りも相変わらず。3人の妻のシュールさ加減も絶妙な匙加減で、おいしい前菜を頂きました。

「燃えないゴミ」…いるいる、こういうおばさん!年配女性役の羽場さんの演技が最高でした。それぞれの独白シーンは、台詞にもセンスが溢れ、ちょっとゾクっとしましたが、惜しむらくは、唯一男性出演の田村さんの目に、一瞬、物怖じめいた雰囲気を感じてしまったこと!女性陣に気圧されたのかな?登場人物、女性だけにした方が良かった気もしました。

「スープの味」…これは、実にお見事な、変化球劇でした。観客の予想を裏切る技量の小気味よさに唸り、最後は、大西さんの名演に、気付いたら、頬に涙が落ちて来ました。「スゴイよ!小夏さん」と、心で、突っ込みいれました。

「押しかけ女房」…これも、予想できない展開でした。最初、女房は、主人公の分身かと思いました。あんな幕切れになろうとは!
ただ、そうすると、主人公の好みをあそこまで女房が把握していることが、やや不思議な気はしましたが、まあ、いいかと、小夏さんの術中に、素直に嵌ってしまいました。
独り身の複雑な女心を、木下さんが、バッチリ魅せて下さいました。

「赤い糸」…何だか、とってもほっこりする、可愛らしい作品でした。イチゴ味の食休めの冷たいデザートみたい。台詞の随所に、個人的に受けてしまい、終始クスクス笑って観てしまいました。何か、この男性、私の身近にいるタイプなので…。

「末永い夜」…向田邦子さんの戯曲を彷彿としました。この作品が、一番王道かも。ストーリー展開は予想通りでしたが、キャスト陣の自然な演技の好演で、やはり、従来の作品にはない深みを感じました。三男役の芝さんが、中でも光っていました。

星新一や、清水義範や、向田邦子や、サキや、オー・ヘンリーや…、先人作家のエキスを入れつつ、独自の味付けで、よりおいしい手料理を御馳走して下さった、小夏さんに、本当に感謝です。
ここに、登場する、女房って、男性が思い描く女房像な気がしましたが、ひょっとして、小夏さんて、外見と違い、心は、男前なのかなと、想像してしまいました。


庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

中身の無い不条理グロか…
代表作の再演と聞き、劇場も良いし、生演奏も付いて期待していましたが、観客にアピールしたいものが何なのか、全く理解不能な空疎な展開。移入できるようなストーリー性も無く、演技力不要としか思えない内容で、出演者が気の毒に思われました。90分が恐ろしく長く感じられた後、2度と観ないだろうなということだけは確信して帰りました……。

真夜中の取調室

真夜中の取調室

演劇集団アーバンフォレスト

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

ミステリーとして一級に近い?
「事件編」は従来通りのパターンだが、「解決編」が秀逸。
「基本的なことだよワトソン君」な概要(よって想像に難くない)に肉付けを行い人間ドラマとして深い陰影を与え、さらに…(ネタバレ自粛)…とは。
ミステリーとして一級に近いか?

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

6月8日(火)S
驚愕の舞台。その挑戦に感服。

恋女房達

恋女房達

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

各編の完成度が高く構成も絶妙
全体にユーモアを漂わせながら、シュール、シニカルときてイイ話の3段重ねで締める構成が絶妙。
もちろん各編の完成度も高く、阿刀田高、筒井康隆など「短篇の名手」たちの作品群や漱石の「夢十夜」の切れ味を連想。
また、装置や各編の間の転換も面白く、満足度高し。

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★

こういったものは久々です
手術ショーとなっていますが、確かにショーでした。
お芝居でもあるのでしょうが、どちらかというと「ショー」。

ネタバレBOX

舞台の両サイドに音楽家を配置。
違和感のない音楽が奏でられる。
板の上には手術台と機器が置かれ、女性医師たちがあらわれる。

男性患者は手術台を持ち上げ中へ。
既に体はセットされ、観客には初めから本人と手術を受ける体は別物です、と分かりやすく行動で説明される。

医師は体を開き臓物を取り上げ、指揮者は音楽を指揮しながら臓物の名前を読み上げる。


不可思議な世界なのに、観客にはとても丁寧、というより、これはつくりものです、というわかりやすい説明は言葉以外でされていく。
ぐろさはあまりない。

やっていることはおどろおどろしいのに、なぜかコミカル。

前半音も少なくセリフもほとんどないので少々意識が遠のき、後半からじっくり観賞。


久しぶりにアバンギャルドなものを観たような気がします。
木をめぐる抽象

木をめぐる抽象

モナカ興業

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/06/02 (水) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★

みた
しんどい内容なのに、時間が経つとまた観たくなる不思議。
さりげない呟きが大きな意味を含んでいたりしてぼんやりしてられないのもいい。

僕のお父さんはヒーローの敵

僕のお父さんはヒーローの敵

試験管ベビー

千種文化小劇場(愛知県)

2010/06/05 (土) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★

ダメ!
レビュー書かなきゃ
と思いつつ
数日経っちゃいました

反省中(´-ω-`;)ゞ

ネタバレBOX

率直に言うと
今回の舞台はギクシャク感が目立ち
少々辛いものがありました


まず初めに題名ありきで無理やり仕上げたのでは?
とさえ思える内容に大きな違和感が…

極端な話、“お父さん”要らないでしょ

少年(と、その作文)もね

お父さん&少年は
最後どうなったの???

ヒロとサトコで進めればいいものを
中途半端に話を広げ
結局、流れを止めちゃったのはいただけない

バラバラに思えるピース(伏線)が
エンディングできっちりまとまるなら拍手

その逆じゃ辛いだけ


ぐだぐだの暗転
ブツ切れのテンポ
あまりに頼りないアクション
客の笑いにかぶり聞こえない台詞…

うん
ダメ!

ボクの目が肥えたってわけじゃなく
今回の舞台は明らかにクオリティーが低かった

試験管には大きな期待をしているからね
見事なくらい悪い意味での期待はずれ


次回作は素直に楽しませてくださ~い(*・∀-)☆



素人の分際で毒吐いちゃいました
ゴメンなさいm(_ _)m
庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★

観させていただきました!
観させていただきました!
いままでに観たことのない形のもので最初はなんだか緊張しましたが段々なれてみれました。リアルな箇所はありましたが楽しかったです。

わたしたちの白梅事変

わたしたちの白梅事変

黒ヰ乙姫団

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★

最後が良い
途中までの展開も悪いとは思わない。でも,最後の展開が良いし,その内容も考えさせられるものであるために,全体としてバランスを欠いた感じ。メッセージがあるだけに,ちょっと残念。

テンペスト

テンペスト

劇団俳小

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/06/05 (土) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★

[テンペスト」とは「嵐」の意
和解をテーマにしたロマン劇。入場するなり、既にキャンセル待ち続出。小劇場でこんなに観客が押し寄せた情景はかつて観たことがない。会場にはパイプ椅子が増設され、桟敷席も作り、更に立ち見まで出る始末。スタッフのアナウンスでは「外に並んでるお客様がまだ20名ほどおります。もしお客様の中で他の日にチェンジしても良い、という方がいらっしゃいましたら、他の方と交換して頂けますか?」なんてお願いする放送あり。そんなこんなでものすっごく良い芝居かも?なんて期待していたが軽く裏切られました。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオらを乗せた船が大嵐に遭い難破、一行は絶海の孤島に漂着する。その島には12年前に弟アントーニオによって大公の地位を追われ追放されたプロスペローと娘ミランダが魔法と学問を研究して暮らしていた。船を襲った嵐は、12年前の復讐をするために、プロスペローが手下の妖精アリエルに命じて用いた魔法の力によるものだった。

ここで難破の場面や嵐の音として壮大な音楽の導入があってもよさそうな情景なのに静か。せめてベートーヴェンのピアノソナタ第17番くらいは流してよ。と言いたかった。

王の一行と離れ離れになったナポリ王子ファーディナンドは、プロスペローの思惑どおりミランダに出会い、2人は一目で恋に落ちる。プロスペローに課された試練を勝ち抜いたファーディナンドはミランダとの結婚を許される。

ここでのファーディナンドの演技がいまいち。相変わらず音楽の導入はなく静か。更に「テンペスト」の舞台をされるならもうちょっと、それなりのセットが必要だと感じた。セットはグレーの壁のみでまるで収容所のような部屋を連想してしまう。

一方、更なる出世を目論むアントーニオは王の弟を唆して王殺害を計り、また、島に住む怪獣キャリバンは漂着した賄い方と道化を味方につけプロスペローを殺そうとする。しかし、いずれの計画もアリエルの力によって未遂に終わる。

序盤から登場の多いアリエルは風の妖精なのだから、衣装はもっと妖精らしいものが良かったとも思う。しかしながら今回のキャストの中では村松が一番の良い表情をしながら、演技は秀逸だった。アリエル(村松)のコミカルな演技力でもってこの芝居は生きたように思う。

魔法によって錯乱状態となるアロンゾー一行。だが、プロスペローは更なる復讐を思いとどまり、過去の罪を悔い改めさせ、赦すことを決意する。和解する一同。若い二人の婚礼を執り行った後に、ナポリに帰ることになる。

最後に、魔法の力を捨て、アリエルを自由の身にしたプロスペローは観客に語りかける。自分を島にとどめるのもナポリに帰すのも観客の気持ち次第。どうか拍手によっていましめを解き、自由にしてくれ、と。

しかし、ワタクシは拍手をしなかった。大抵、納得できない芝居には拍手をしたことがない。逆に素晴らしい舞台を見せてくれたときは感激のあまり涙ぐんで拍手を惜しまないし、満面の笑顔で手から血が出るほど拍手しちゃう。

つまり、この劇に不満だった理由は「テンペスト」の音楽導入がなかったこと。チャイコフスキーの「幻想序曲」の中の一曲『テンペスト』は必須条件だとも思うし、シェイクスピアを公演するなら、それなりのセットがないと観客はそっちの世界に入りきれないということ。そして肝心の衣装、照明、風のざわめき、それらが一体となってシュエキスピアは完成するのだとも思う。
舞台は微妙な静けさと独特の間があり、それが全体的に舞台を堕落させていた。
恋女房達

恋女房達

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい作品
初日と日曜マチネで観劇。初日もよかったけど、2回目の方が細かい部分を味わえてさらによかったです。観られなかった人も多いらしいので、もう少し大きい小屋での再演を希望します。

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★

リアルじゃない
臓物感がなく生々しさはありませんでした。笑い所もありましたが、全体的に退屈してしまった。音楽もいまいち。

恋女房達

恋女房達

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

大満足!!
それぞれに一捻り二捻りあり、その中にブラックユーモアやペーソスが潜んでいて引き込まれました。そして観終わった後に残る優しさ…… 

ネタバレBOX

 「恋女房」と並ぶ短編の代表作となるであろう「押しかけ女房」では、事実が暴かれた時の驚きと同時に、それぞれの心の内の哀しみが胸に迫る。羽場睦子、木下祐子の名演が光る。「スープの味」終盤、実は奥さんは亡霊だったと気づかされ、あの男の切なさがなんとも哀れで悲しかった。「末永い夜」は、、一番輝いていた頃に逆戻りした認知症の母親を演じた井上みなみの初々しさが心に残る。
 
 どの作品も、もう一度観たいと思わせる魅力的なものでした。
露出狂

露出狂

柿喰う客

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇マシンたちのまばゆい疾走
 某女子高サッカー部のあられもない痴態と猛スピードの栄枯盛衰。マシンガンのように打ち込まれる膨大なセリフで約100分を一気に駆け抜けます。

 サル山をイメージしたという美術は“お山の大将”“猿真似”といった文字通りの意味も連想させますが、私にはバベルの塔にも見えました。サッカー部の荒くれ女子部員たちが、高みを目指すが地に落ちることを繰り返し、それでもまた上を見上げ続ける人類をあらわしているとも受け取れました。
 そして「高天原女子高校」という名前もいいですね!高天原といえば日本神話ですが、ギリシア神話の神々の戯れや死闘とも重なりました。※高天原は中屋敷さんの脚本によく登場します。

 ラストシーンはさておき、よく計算された脚本だったと思います。登場人物の名前を連呼することで、14人の女子高生の顔と名前が素早く一致して、難なくストーリーについていけるようになります。名づけ(役名やキャッチコピーなど)のセンスも冴えており、鮮やかなひとことで役を輝かせました。
 ある脚本・演出家がおっしゃっていたのですが、本来ならト書きになるような情報が、全てセリフの中に書きこまれているのも中屋敷さんの脚本の特徴です。「誰が、何をして、どうなった」とはっきりセリフで説明してしまうのですが、それが単調な言葉の羅列で終わらず、ぐっと空間の厚みを増すように演出されているのが素晴らしいです。

 演技(発声)方法は好みが分かれるところかと思いますが、私は俳優の身体を、今作については女性らしさをあからさまに利用していることに、潔さというか、プロ意識を感じます。
 女優たちはある型に沿った、いわば振付どおりに動き語ります(そのように見えます)。決まった形と言えど切り替えが頻繁かつ早いので、なぞるだけでも難易度が高いです。体の動きだけでなく感情の揺れも小刻みですから、体と一緒に気持ちもパキパキとコントロールする必要があります。それらの技をこなしつつ、出演者全員がそれぞれの持ち味を発揮するという贅沢を味わえました。

 劇団員の3人をはじめ客演常連の方々のいつもながらの凄味と安定感が嬉しく、初出演(だと思われる)の方の今まで気づけなかった魅力も発見できました(例えば劇団競泳水着の細野今日子さん)。
 中でも「ブス」と言われ続けるウツボ役の七味まゆ味さんにはノックアウトされました。ウツボの人物紹介は「大胆不敵なサッカーサイボーグ!」でしたが、七味さんは演技サイボーグですね!

 制作面では1週間以上の公演を盛り上げるための工夫がいいですね。終演後に色んなイベントがあり、チケット価格もそれに合わせて数種類あります。物販コーナーも充実していました。
 全配役をシャッフルする「乱痴気」ステージは今や柿喰う客ではおなじみのイベントですが、2通りの稽古をしているのは単純に考えても大変でしょうし、観客へのサービスという面だけでなく、俳優養成の意味でも大いに役立っているのではないかと思います。

ネタバレBOX

 1期生、2期生、3期生それぞれのサッカーに賭けた青春を描き、最後は1期生のヒル(深谷由梨香)が舞台上に残ります。乱交でチームワークを保っていた同級生4人が卒業してバラバラになり、ヒルが悲しくたたずんでいると、ゴキ(熊川ふみ)が現れます。そこでなぜかサッカー部に入部する3年前の春へと場面転換。「これが終わりの場面ですよ」ということはわかりましたが、なぜその場面で終わることを選んだのか、すっきりと腑に落ちませんでした。
 回想シーンだと素直に受けとめると、「そして人はまた愚行を繰り返す」といった印象を与えるいわゆるリプライズの効果や、もしかしたら「すべてはヒルの空想だった」という夢落ち・・・などと色んな可能性を考えられたのは面白かったです。

 中屋敷さんの作品を観終わった時にいつも私の心に残るのは「中屋敷さんってなんて凄い人なんだろう!・・・でももっとできるはず」という不完全燃焼な後味。それは今回も同じでした。一観客のわがままにすぎませんが、いつか「とうとう100%以上のものをつぎ込んでしまった・・・!」「振りきれて一周回って帰って来て、また遠くに飛んで行っちゃった!」ぐらいの(笑)、とんでもない問題作を書いてくださることを期待します。
庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★

何と言っていいか。。。
手術場面が小さいのでちまちまなんかやってるって感じで、モニター画面をあまり大きくすると卒倒退場者が出そうだし。見にくい芝居でした。どうせ説明するなら取り出した臓器の名前だけじゃなくて、やってることを説明してほしい。素人には何してるのか全然わからない。

-初恋

-初恋

Cucumber

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

セットの作りこみと脚本に感動
初日に観劇してきました。セットがとてもステキで、また脚本もラスト、スッキリして帰宅できました。
途中途中、川原くんがオネエ言葉になるのが違和感感じましたが他はすんなり受け入れられました。

第一回○○の人東京大会『かっこいい宇宙人のぼく』

第一回○○の人東京大会『かっこいい宇宙人のぼく』

○○の人大会

タイニイアリス(東京都)

2010/05/18 (火) ~ 2010/05/24 (月)公演終了

満足度★★

公開稽古の延長線上。
ひとつの確固たる物語を稽古をしていくなかで意図的に崩していき、ライヴ感に重点を置くように補正していったような、そんな印象を持ったのですが、あまりよくない意味で公開稽古を観ているような感覚に陥りました。
客席と舞台の間の温度差があったことは、否めません。
誰が何を言おうとまずは楽しんでやるのだぞ!と率先しているように見受けられる意気込みは個人的には嫌いではないのですが…。
A.T.フィールド的な見えない壁にすべてが妨げられてしまったのでしょうか。
こちら側にはエネルギーもメッセージも届いてこず、得体の知れぬ疲労感だけが残るのでした。

ネタバレBOX

小学生の頃お昼の校内放送で『奇人変人大集合』というまぁ、その名の通り、一風変わった芸の持ち主や存在自体が奇特な人々がランダムに紹介されるという番組があったのですが、この作品タイトルとフライヤーを拝見した限りでは、そういうちょっとおバカでファンキーなテイストの作品を想像していたんです。が、これが予想だにせず・・・でした。苦笑

物語は、遠い銀河系の彼方から東京の夢の島の名を持つゴミ処理場に流れ着いた『ねぎ』という名の宇宙人の女の子の脳内から国家機密組織の研究員が脳内から抽出した、意識下に眠る20年前の記憶をもとに、『ねぎ』の家族の持つ秘密に迫っていく、というSF仕立て。

個人的に、こういう近未来的な陰謀モノは大好物なのですが、何というか全体的にサービス精神が旺盛過ぎると言いますか、1シーン1シーンが無駄に長く、本筋とズレたパフォーマンス的な要素が挿入されることが多かったためか、演者側も観客側も集中力の糸が途切れてしまう瞬間が度々あったように思われました。
脈抱くもなく「80年代っぽさがありますよね!と言われたりする」的な自虐ネタなんて、舞台で言う必要があったのでしょうか?疑問です。

話は前半で『ねぎ』の家族の食卓風景や、ねぎが兄弟たちと遊んだ記憶を中心に描写して後半、『ねぎ』という女の子のお父さんは実は北朝鮮のスパイであって、20年前に起きたある殺人事件の謎に迫るため、北と対立する本国の機密組織が動き、『ねぎ』を監禁していた模様…という、プロパガンダ色の強い物語に突然路線変更が施され、いよいよついて行けなくなりました…。

そもそも『宇宙人』と聞いて、ヒューマロイドタイプの銀々ギラギラの、2本の触角がアタマの先から突き出ているベタな『宇宙人像』しか毛頭ない私の貧困な想像力がノレないすべての原因だったとおもわれますが、こんなにもシリアスな物語になるのでしたら、観る側にそれなりの覚悟を強いることになるのではないでしょうか。公演目的だけではなくて、あらすじの触り程度のものは是非、明記して頂きたかったです。
吸血鬼

吸血鬼

ネルケプランニング

PARCO劇場(東京都)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

深い
とても深い作品で考えさせられました。
日曜日のお昼に見るにはちょっと重い作品かなぁ…。
山崎さんの演技に感動しました!

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