最新の観てきた!クチコミ一覧

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黴菌(ばいきん)

黴菌(ばいきん)

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/12/04 (土) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

いいものはいい
やはり二度観ると違った感情移入をしてみたりで、倍以上楽しめた。というより約1カ月の公演だと前半後半でも違いがあると思う。それぞれが抱えたドラマが素直に観る側にぶつかってきてすごく刺激的でした。

愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

ワークインプログレス参戦
稽古着の役者さんが、床に白いテープで印をつけただけの舞台で熱演。音響は少しありましたが照明は稽古場の明かりのみ。役者さんの演技はもちろん、脚本もこれから大きく変わりそうですね。

終演後のトークでは観客からのするどい質問や感想もあり、人気劇団と常連の観客との厚みのある関係が培われているのだなと思いました。私は柿喰う客の公演で毎度思うことと、今回の通し稽古について感じたことをアンケートに書かせていただきました。

ワークインプログレスを観ると、本番が観たくなりますね。ガラっと変わっていることを期待します。特に脚本(笑)。

ロボと暮らせば【ご来場ありがとうございました】

ロボと暮らせば【ご来場ありがとうございました】

青春事情

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/12/15 (水) ~ 2010/12/19 (日)公演終了

満足度★★★

冷たいのかなあ
俺って

ネタバレBOX

客席には涙を流す人が結構いましたが、??でした。

心の機微なんか全くなく、何パターンかの反応をすることしかできないお父さんロボットに対して感情移入なんかできませんでした。
スイッチ【公演終了】

スイッチ【公演終了】

東京アシンメトリー舘【閉舘】

渋谷 夜カフェLAX(東京都)

2010/12/17 (金) ~ 2010/12/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

それぞれの観方
よかったです、観にいけて。2人で観劇したんですが、結末のとらえ方がお互いにまったく違っていて、物語というのは人それぞれに受け取るものが違うんだなと感じました。それにしても贅沢な空間でした。もっと客席を増やせばいいのにと思いました。好き嫌いはたしかにでそうな作品ですが、とても丁寧に仕上がっていたので、ご興味のある方は是非!

ネタバレBOX

どう感じ方が違ったかというと、おそらく私は結末を素直に受け入れたのですが、友人は“むくわれない話”というネガティブな発言をしていました。SORAの力を使って誤魔化しながら生活することにもだし、イズミの弟の存在を消すという意味でも。
獣従承知(じゅうじゅうしょうち)

獣従承知(じゅうじゅうしょうち)

角角ストロガのフ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/20 (月)公演終了

満足度★★★★

ああ疲れた、
って愚痴をこぼせるぐらいの社会が丁度いいのです。

ネタバレBOX

「マイナスイメージ撤去法」が施行されている中、真にネガティブな人間を探す国家組織の話、とでも言うような話。

何でそういう人間を求めているのかちょっと分かりませんでしたが、迎合することが分かると殺されてしまうところなどは、ネタが尽きると殺されてしまうアラビアンナイトと同じでした。

ネガティブといえば、前日のBONBONとこの日の王子で隣りが全く同じ人だったことでした。前日は指定席、この日はわざわざ私の隣に座ってきました。

幅の広い男で肩は触れるは、前かがみになるので見切れてしまうはで、本当にテンションが下がりました!

映像を映すならスクリーンはもう少しピンと張っていないと何のことやら分かりませんでした。

アラビアンナイト風おとぎ話はとっても美人のお嬢さんで良かったですが、同じような話が延々と続き、全体でも2時間超、少し長すぎるように感じました。

ああ疲れた!
スイッチ【公演終了】

スイッチ【公演終了】

東京アシンメトリー舘【閉舘】

渋谷 夜カフェLAX(東京都)

2010/12/17 (金) ~ 2010/12/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

おもしろかったーー!
SORAくんにやられた。母性本能をくすぐられるとはこのこと!ボニーちゃんの元気っぷりも可愛く、ドコゾノさんも上手だった!頭に紙貼ってのオープニングは笑いたかったけど、周りが静かだったから遠慮しちゃった。でもたくさん楽しませてもらいました。

あなたの部品 リライト

あなたの部品 リライト

北京蝶々

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/12/14 (火) ~ 2010/12/19 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な心地良さ
幻肢痛にも通ずる身体の一部を喪った哀しみや艶笑風(ではあるが切実?)な部分など複数の角度から「広角」的に取り上げながらも全体をふんわりとした優しさ・あたたかさが包み込んでいるようで、不思議な心地良さあり。

The Lifemaker【WEBサイトにて舞台写真公開中!】

The Lifemaker【WEBサイトにて舞台写真公開中!】

DART’S

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/12/07 (火) ~ 2010/12/19 (日)公演終了

満足度★★★★

観客もその一環に取り込むよう
こういうストーリーを思い付いたら普通は映像化するであろうところ、舞台で演ってしまうとはなんとクレイジーな!(笑)

また、多層をなす構造をクラインの壷の如くシームレスに繋ぐスタイルに眩惑され、自分自身がその一環に取り込まれたようにも感じる。

フランスの女たち

フランスの女たち

トレモロ

急な坂スタジオ(神奈川県)

2010/12/14 (火) ~ 2010/12/15 (水)公演終了

満足度★★★★

原典+そのエッセンス
ワイルダーの短編戯曲『フランスの女王たち』を一旦ほぼ本来のカタチで上演してから早回しとダンスを経て現代の「あるシーン」を見せて終わる形式。
まさに原典のエッセンスを抽出してその普遍性を示すそのアイデアやよし。
また、世田谷シルクに通じるテイストも感ずる。

バッドマザーカップ

バッドマザーカップ

QUEENS' LEAGUE

d-倉庫(東京都)

2010/12/13 (月) ~ 2010/12/15 (水)公演終了

満足度★★★★

平日3日間だけとはもったいない
光る臍帯とおナカ(の中の胎児)が光る妊婦たちの幻想的なプロローグに導かれて始まる女性だけのパフォーマンス集団による母と娘をテーマにした寸劇(コント?)、ダンス、歌、楽器演奏にサイコロトークや歌劇(!)まである22のシーン。

全体でも95分なので個々の「出し物」は短いが、乳児たちがオムツがとれたとれないだとかつかまり立ちができたとかそんなことを女子高生っぽい口調で語り合ったり、観客全員参加型の「お遊戯会」があったり、ピアニカの両手弾き(低音担当の左手は通常と逆の側から弾くのだ)があったり、こらされたアイデア、パフォーマンスともクオリティは高く、平日3日間5ステージだけというのはもったいない。

国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)

国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)

国道五十八号戦線

サンモールスタジオ(東京都)

2010/12/08 (水) ~ 2010/12/13 (月)公演終了

満足度★★★★

気持ちのいい「卒業公演」
まずは同じ装置なのに「ナシ」でのとっちらかりぶりがウソののようにスッキリした舞台にビックリ。

そうして始まる「さっき終わったはずの世界」は、15 Minutes Made の vol.8 で上演したものの再演ながら演出と配役の違いによりオモムキが大きく異なる。共通のキャストが1人いるものの、役が異なるというのにも「あ、そっちか!」的な。

続く「テンパってる奴」と一人芝居「三鷹の女」(いずれも既発表作ながら初演は未見)は、前者で散らかした装置内でそのまま後者が上演されるほか、かすかな太宰ネタに勝手にリンクなど感じてしまう。

ラストの「三鷹の男」(書き下ろし一人芝居)は天井の蛍光灯まで点けた状態での上演であることにハマカワフミエの自然な語り口が加わり、まるで芝居ではなく素の語りのよう。
で、解散公演ということもあって、「実はワタシ、結婚するんですよぉ」なんてコトバから始まる内容を真実と受け取ったお客さんもいたとかいなかったとか。(笑)

気持ちのいい「卒業公演」(むしろそう感じた)だったなぁ。

国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)

国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)

国道五十八号戦線

サンモールスタジオ(東京都)

2010/12/08 (水) ~ 2010/12/13 (月)公演終了

満足度★★★★

異状ナシ
設定上は2008年だが、近い将来にあるかもしれない…いややっぱりないかな?な事態を戯画化した、ほぼ空回りした青年団によるオキナワ独立宣言後の顛末を描いたストーリーもさることながら、女優として出演した風琴工房の詩森主宰が何とも印象的。

ユタであり、青年団のリーダー…というよりは精神的支柱という役どころで、その存在感と言うか泰然自若かつ飄々としたたたずまいと言うか、に「あーなるほどー」と大いに納得。ナイスキャスティング!

また、ラストの開放感と言うか突き抜けた感覚と言うか、が格別。まさにオキナワの風が吹き抜けた、みたいな?
これ、もしも舞台が沖縄でなかったら、印象もかなり異なるだろうな…ってか、設定上沖縄以外は無理か?

『共犯者』公演終了 ご来場ありがとうございました。

『共犯者』公演終了 ご来場ありがとうございました。

津田記念日

OFF OFFシアター(東京都)

2010/12/10 (金) ~ 2010/12/12 (日)公演終了

満足度★★★★

緊迫の90分
気が付くと内部から閉ざされた部屋に監禁された4人…その施錠のしかたからすると犯人は4人のうちの1人しか思われず…なサスペンス。

そんな出だしによって観客を「何故自分が?犯人はどいつだ?」という被害者の心境に追い込んでの緊迫の90分。その上演時間は「人間の集中力が持続するのは90分が限界」というのを意識したんだろうか?

で、舞台の下手側3分の2あるいは4分の3くらいがその監禁された部屋(いかにも堅牢そうな金属製の扉や切り口が赤い壁などが印象的)で、上手側に取調室があり、男が尋問されているシーンが挟まれるスタイル、事前情報もあり、その2つの場面の関連性についても含めて、観ながらあれこれ様々な可能性を思い巡らすも、その大半は考え過ぎ…(爆)

2つの異なる場所を表現した装置を、1度だけ照明によってさらに別の空間に「切り取る」ワザにも瞠目。

ところで後から入った情報によるとこの回の後半はトラブルが発生して即興によって切り抜けたとのことなのだけれど、本来のカタチとどのくらい違ったんだろう?

リア王 4カ国語版

リア王 4カ国語版

SCOT

吉祥寺シアター(東京都)

2010/12/15 (水) ~ 2010/12/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

違和感が違和感を包み込み、それは様式美にさえなっていた
台詞の最初の一声が発せられるまで、「4カ国語版」という表記がなされていたことを忘れていた。
そう、ドイツ語、英語、韓国語、そして日本語の4カ国語での上演だったのだ。
それらの4カ国語が、歌うように朗々と発せられ、あるときは唾を飛ばすほど熱を帯び、着々と悲劇へと向かっていくのだ。

ネタバレBOX

4カ国語という言葉への違和感は、すぐになくなった。不思議なことだけど。もちろん字幕の手助けは必要なのだが、「それぞれの役がその言語である」ことの意味すら見えてくるのだ。

主な配役で言えば、リア王がドイツ語、長女が英語、次女が韓国語、三女が日本語だ。
これは、それぞれの言語が持つ、音の響きとイメージがそれぞれの配役に膨らみを持たせているのではないか。
例えば、絶対的な王であったリア王は、老いてもまだ強権的であり、ドイツ語の響きが似合うのだ。終盤になるあたりでは、その台詞が過剰になり、狂気すら見えてくる。まるで狂気を帯びたようなリア王の末路は、こうであった、ということが理解しやすい。
そして、長女の夫の韓国語には、妻の父親(リア王)を敬う気持ちが表れ、儒教的な色合いが感じられてくる。
それらの4カ国語が、歌うように朗々と発せられ、あるときは唾を飛ばすほど熱を帯び、そして、何の違和感もなく相互に会話を結んでいくのだ。特に外国語を話す役者たちの声の通りと響きは抜群であった。
その声に導かれ、悲劇へ着々と進んでいく。


また、ナースが多数出てくる。その中には男性も混じる。看護師ではなく看護婦としてである。長女も男性が演じている。そういう違和感も投げ入れてくるのだ。

構成はとてもスタイリッシュ。衣装は和洋折衷の重厚さがある。舞台セットは、黒を基調しとて、引き戸が後方に並ぶだけ。これをピシャリと閉める音が、断絶などの意味合いを示していた。
背筋を伸ばして立ち並ぶ姿を含め、観客に正面を常に向いていて、どのシーンも一瞬一瞬が「画」になっている。

いろいろな違和感の塊であるはずなのだが、受ける印象は、「型」が決まるとでも言うおうか「様式美」であった。
違和感同士がぶつかり合うわけでもなく、そこに平然とした姿ですべてが存在しているのだ。
これは、ちょっとした感動だ。

ただし、個人的にはナースだけは、最後まで違和感を感じてしまった。どうやら、それには大いなる意味が込められていたようなのだが。白い衣装(ナース服)に違和感を感じてしまったのだろう。それこそが意図でもあったのだろうが。
原野のささめき

原野のささめき

NPO法人 魁文舎

スパイラルホール(東京都)

2010/12/21 (火) ~ 2010/12/23 (木)公演終了

満足度★★★★★

音の渦。死と死者と、生者のためのオペラ。
スパイラルホールという会場、そして演奏の編成からも考えて、いわゆる、朗々と歌い上げるオペラではないと思っていたら、やはりそうだった。
四方のスピーカーから音が渦巻くステージ。
素晴らしい組曲とそのライブ。

ネタバレBOX

ストーリーは説明文にあるとおり。
物語は、ボソボソとしたモノローグと会話によって紡がれていく。また、字幕だけのシーンさえある。「歌」が直接的に物語を語るわけではない(台詞という点において)。

「歌」は、死者と生者の「嘆き」と「唸り」であり、それらが観客を延々取り巻く。そしてそれが物語である。しかし、ストーリーを追う物語ではない。

メキシコには有名な「死者の日」という祭りがある。骸骨の衣装を着たり、骸骨の飾り付けがされたりする。「死」や「死者」との距離がそういうお国柄ということもあるとは思う。
「死者」が「生者」と紙一重にいて、その差が微妙な関係にある。
「家」のイメージである扉が徐々に降りてきて、窓に蓋がされ「棺」となる。この感覚なのだろう。

全体的に暗く、緊張感が漂う。演奏家たちも自由に舞台と客席の間を動く。麦の束を持って、風の音を執拗に鳴らす、あるいは、シューシューと口から息を吐く音を響かせたりもする。コントラバスやいろいろなモノが立てる「音」が美しい。音響の強弱と繊細さが見事であり、また、四方から聞こえてくる音も精緻に組み立てられていた。

「死」もしくは「死者」の組曲と言っていいだろう。それをライブで演奏しているのだ。
トロンボーンは、その楽器自体の輝きとともに生命を鳴らしていた。石川高さんの笙は、あるときは風であり、あるときは宗教であった。

田中泯さんは死の気配を振り撒き、独舞では壮大さすら感じた。

濃密な100分であったと言っていいと思う。
ただし、現代音楽が苦手な人には100分の苦行であったかもしれない。

もっとも、この内容のチラシ等を見て、いわゆる朗々と歌い上げるオペラを想像して来た観客はわずかではないだろうか。なんと言っても会場が、スパイラルホールであるわけだし。

一点だけ気になったのは、数人の少女たちが出てくることだ。他の出演者が指の先まで、意味として観客に晒している(演奏者も歌い手も踊り手もすべて)のにもかかわらず、彼女たちの緊張感のなさは、全体を弛ませてしまっていた。
イノセントなアイコンとして(天使的)の活用だったのだろうと思われるが、歩き方も不安げで、表情もシーンごとに定まらず、さまざますぎていた。きちんと意味と理由を説明して演出していたのだろうか、とちょっと思った。あるいは、それを含めての演出なのかもしれないのだが。
モーツァルト!

モーツァルト!

東宝

帝国劇場(東京都)

2010/11/06 (土) ~ 2010/12/24 (金)公演終了

小学生以来
脚本家M.Kunzeと作曲家S.Levayのコンビは僕の中で不動の地位である。「モーツァルト!」も大好きなミュージカル。小学生の頃に観て以来だが、CDをダブルキャストの両方持っていて、ほとんどの曲を歌詞も曲調もソラで歌えるほど聴き込んでいる。

ヴォルフガング役の井上芳雄はさすがに安定感が素晴らしい。初演CDでは所々危うかったのが、何度もの再演を経て完全に地に足の立った心地よい歌声を聴かせてくれるようになった。
妻コンスタンツェ役の島袋寛子(SPEED)は目立つことこそないものの、安心して観られた。
姉ナンネール(高橋由美子)の調子がいまいち優れない。綺麗な歌声ではあるが以前はもっと伸びがあった。
大司教コロレド(山口祐一郎)は相変わらず歌い上げてくださる。山口さんはこの役やってるときが一番不自然じゃない気がする(まあ結局何やってても同じなんだけど)。

今回特筆すべきは、父レオポルト役の市村正親だろう。役作りが変化していた。父親の役柄上、市村さんご自身が子供を授かったことが大きく関係しているはず。
以前は息子に厳しく辛く当たる印象の強かったレオポルトが、息子への愛情に満ち溢れているのが見て取れた。息子の幸せを考えるゆえに、心ならずも息子と仲違いしていくレオポルト。その際に見せる、これ以上ないほど寂しげな彼の背中は、だからこそ観客の胸を強く打つ。
一転、カーテンコールでの市村さんはステップを踏みながら飛び出してきた。思わず吹き出してしまうほどに陽気な姿であった。

小池修一郎の演出について。床下に描かれた五線譜、舞台上に踊る幾つもの音符が良い。音楽の中での物語と感じさせる。
ただしここが小池演出の良さだと特筆出来る点がない。またビジュアル面で「このシーンは美しい!」と感じることがない。大劇場だから可能な美術は必ずあるはずである。
もう一押し舞台セットを豪華に立て込んで、美術としての綺麗さがあれば文句ないのだが。背後に浮かぶ風景の映像演出は余分ではないものの、プラスにも働かない。抽象の演出は小池さんに向かないのではないか。
初演から続く演出から、そろそろ新演出を打ち出してほしい。山田和也は絶対嫌だけど。

ネタバレBOX

この作品において、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは二人一役である。神童と呼ばれた頃からの天性の才能を子役アマデが具現化し、対して青年としての苦悩や喜びを知っていくのが主演ヴォルフガング役だ。アマデは常にヴォルフと共に存在し、曲を書き続ける。一方ヴォルフは破天荒を生きる。

次第にあまりにも大きすぎる才能が、一人の人間の器を超過していく。それはモーツァルトの身の破滅を意味することになる。一幕終わりで「影を逃れて」を歌いながら、ヴォルフはアマデに羽根ペンで腕を刺される。アマデは表情一つ崩すことなく、ヴォルフの腕の血を使って曲を書き始める。

ヴォルフは自分の影であり、同時に過去の栄光である才能アマデから逃れることを望み、「お前すらいなければ」と己の運命を呪う。しかしアマデもまたヴォルフ自身なのだ。引き裂けるものではない。父の与える幸せを捨て自由を勝ち取った今、ヴォルフは自分の足で歩くしかない。青年期からの脱出である。

二幕終盤、父の亡霊からレクイエム作曲を頼まれて、初めてヴォルフ自らがペンを持ちピアノへと向かうが、結局曲を完成させることは出来ない。アマデが作曲するために必要なヴォルフの血は最早残っていないからだ。最後の手段として残った、未だ血の通っている心臓に羽根ペンを突き刺して、彼は死ぬ。

芸術家は己の苦悩よりも先行する社会や世界の苦悩を背負い、芸術に昇華して表出する。モーツァルトやシューベルトのように若い頃にその全てを費やして身を破滅させる人もいれば、ベートーベンのように積み重ねていく人もいる。共通するのは常人には計り知れない才能と、才能を支える人間としての器だ。

ミュージカル「モーツァルト!」は才能と人間を二人一役で表した。一方は歌い踊り悩み恋する奔放な青年。また一方は一言も台詞がなく、表情の変化もまるでない子供。モーツァルトを演じるために完全に正反対の二人の姿形を使った。正にここにこの作品の偉大さがあると思う。
姫子と7人のマモル

姫子と7人のマモル

ネルケプランニング

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2010/12/18 (土) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★★

イケメン娯楽作
若手俳優7人と小劇場系の中堅4人によるコメディーで、客席は9割以上が女性でした。

同じマモルという名の7人がヒロイン・姫子の危機を助けるという話で、歌あり踊りありの分かりやすいエンターテインメントに仕上がっていました。少女時代やKARAのパロディや、ポプラ社の文学賞2000万円ネタ(個人的には一番ウケたギャグでしたが、笑っている人がほとんどいませんでした…)など時事ネタを所々に入れていて、深く考えずに楽しめました。
物語としては他愛のないものですが、若手のイキイキとした演技と中堅勢の臨機応変さで2時間20分の間、飽きることもなく観ることが出来ました。

振付がBATIKの黒田育世さんなので観に行ったのですが、黒田さんらしさが感じられるダンスがあまりなかったのが残念でした。

晦

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/23 (木)公演終了

満足度★★★★

こゆい
こゆい。

舞台 蒼穹のファフナー

舞台 蒼穹のファフナー

アフリカ座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

まいったね、こりゃ。。。
いわゆる「アニメ」は食わず嫌いなところがあって。。。

中学生の頃、同級生がハマっていた『AKIRA』というアニメが全く理解できず・・・

高校生の頃、彼女の部屋で観た『風の谷のナウシカ』。
冒頭の巨大な虫みたいなのがモゾモゾしてる間に熟睡(たぶんビデオが始まって10分もたってなかった)・・・。

それ以来、「アニメの世界観ってのは、合わない!」と思ってた。

で、今回の『蒼穹のファフナー』。

冒頭の山元さん演じる役の台詞が・・・思いっきり「アニメ世界」っぽい。

この時点で、「うっ!ヤバいかも」って感じ。

「がんばって(我慢して)観たらイイことあるかもしんないっ!」と思い続けて10数分後・・・

前のめりで、芝居に夢中になってやした。。。

きっと、原作者や演出家が狙う「感動」はしなかったんだと思う。。。

ラスト近く、隣や後ろで「すすり泣き」が聞かれたけど、その時は「ホッ」とすらしてたし(←ボクノニンゲンセイガ、ウタガワレルネ)。

純粋に「戦争物」「娯楽作品」として、楽しみました!

「ガンダム的」な世界なのに(←こう言ったら怒られるか?)、メカや戦闘機は一切出てこない。
メカ(←この表現も怒られそうだ)での闘いは、役者さんの身体で表現されるのだが・・・全く違和感が無い!

女性のほうの主人公のラストなど・・・彼女のカラダが「メカ」に見えたもんなぁ。。。

台詞の明確さ、役者さんの熱演、秀逸な配役(←演技力・活舌はイマイチでも、見た目だけで強引にもっていかれた感じ)、、、いろんな要素があるんだろうけど・・・この芝居は、かなりおもしろかったです!!!

あまりのおもしろさに、原作アニメを見たくなっちゃって・・・たまたまテレビ放映をやってたので見ました。。。


・・・舞台のほうが、ずっとず~っとヨカッタ!

アニメのほうも、見続けたらハマるのでしょうか?笑



ネタバレBOX

松来未祐さんの声は強烈だった!

この世のものとは思えない声・・・笑

あと、、、

「アニメ声」という言葉は、時たま聞きますが・・・

役者さんたち・・・すごく「アニメ顔」でした!

戦闘服(?)も着こなしていて・・・コスプレっぽさが無かった!

すごいっす!
抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2010/12/18 (土) ~ 2010/12/31 (金)公演終了

満足度★★★★★

年の瀬最後に「懐広い」作品
これは…素直に良い作品ですね。。。
観終わった後、明日とその先の未来に前向きになれ、希望が見えると思います。
そして、自分の傍にいる人間に、好き嫌いはひとまず置いておいて
じわじわとした関心と優しさが湧いてくる。 

パルコ劇場の広さに負けないような、外向きで懐の広い作品で、
作者前川氏が大きく成長したターニングポイントのように思えました。
そのことも含めて、今後の展開に大きく期待が持てます。
やっぱり、前川氏は一番「外さない」人だな。

ネタバレBOX

本で一杯の、岩窟の様な部屋に二人の男。
どうやら、彼等は前世での生を終え、次の生を迎える為の準備期間として
いわば「生」と「死」の境目のこの空間に来ているらしい。

記憶を無くしている彼等は「自身が誰であったか」を知る為、自分達の
過去を記録した書物を探っていく…

互いを知ることの無かった二人が、書物を通じて1973年のある親子、
2005年の靴屋で出逢った二人の男、2011年の環境が変わったところで
再会した彼ら、という三つの時空を追体験していく。
そこで彼等は、互いに全くの他人と感じていたのが、実は二つの生、
前々世と前世とを共に身近なところで共に生きてきたことを知る。

その中で、ある時は取り返しのつかない事も、命を救うような善幸も
あったけど、それは既に過ぎ去ってしまった過去の事。
しかし、彼等は転生の前に結果的に知ることになる。

人間は互いにどこかで関わり合い、連関し合い、終わることの無い生を
生きている。

なら、憎しみより、感謝で迎えた方がはるかに良い、という事に。

時にユーモラスに、シリアスに、そしてどこか哲学的な前川氏の
筆致はどこまでも温かく、追求・告発、というより、共感を目指しての
ものであることは自明と感じます。

二人の名優もそれに応え、等身大の、私達に近しい男を
演じ切ったと思います。

二人が最後、赦し合い、固い握手を交わすシーンはこの作品の
ハイライトであり、私は涙しましたね。 

作品の構造は「図書館的人生」第三章の時間軸を行き来しながら、
自分を探求していく、というもので、恐らく同時期に構想された作品と
思うのですが、こっちは温かさが段違いですね。

この冬、自分の「これまで」と「これから」、「自分」と「周りの人」を
ふと考えるのに最高の作品です!

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