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楽屋

楽屋

π

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

迫真! かつ質のとても高い演技
場内は満席で、それに節電のためか少々蒸し暑かったが、
90分の公演時間中、舞台を注視し続けてしまった。
笑いあり、迫力あり、人生への省察あり、そして体当たりの演技ありで、
台本も、そして役者の質も高く、素晴らしい内容であった。
私の「今年ベスト5」に入るかも・・・。

また、観終わった後で感じたことは、単なる引用ではなく、
「チェーホフ」的な雰囲気のある演劇であると感じた。
つまり、色々の出来事の後、余韻の中に「何か」を観る者に
考えさせる…というような点で。

なお、以下ネタバレだが、これから観劇予定の方は、ネタバレを読まず、
内容を知らずに観劇されることを強くお勧めする。
ですので、以上に結論的なことを先に申して置いた次第である。

ネタバレBOX

楽屋内では、年かさながらヒロイン役を続けているベテラン女優と、
もう2人、念入りに化粧し続けている黒地の服装で地味な女優
(演じているのは男優)がいる…こちらも決して若くない。
ベテラン女優は、「かもめ」の台詞を口にして練習したり、
「いつもここで間違えるのよね」などと言っている。

この辺でもう、ヒロイン役の気迫で、舞台上はピーンとした雰囲気、
そして、観客も皆、舞台上を注視…。

やがて、ベテラン女優は、2人のいる辺りについて
「淀んでいる…」などと雰囲気を貶しながら、
しかし、彼女が劇中劇のステージに上がるため楽屋を去っていく…。
すると、残った2人は昔話にふけり出す…。
彼女らも、主役の座を射止めることを夢見ながらも、
ついに願いはかなわず、万年端役、万年プロンプターに甘んじていたのだ。

そして、「マクベス」、博徒物、「かもめ」の一場面を演じて見せたりする。
(初日と言うことで、少々噛んでいたところもあったが)
この場面も結構長くて、そしてこちらも中々気迫のある名演であった。

さて、そこにもう1人、若い娘が楽屋に登場。
そして、ベテラン女優が楽屋に戻ってくると、親しげに話しかけるので、
若い娘は知り合いであることが分かる。

そして娘は(しばらく病気入院していたのだが)
「私健康になりました」というので、
ベテラン女優は「じゃあ私のプロンプター、明日からやって!」と言う。
しかし、娘は「私は健康になった。だから私の役を返して」(?)と言う。
「かもめ」のヒロインは、元々自分の役だった、だからそれが当然!
と言うように。しかも、冷静かつにこやかに…。

さらには、「お疲れだろうから、あなたの入院の予約までしてある」
とまで言う。
さらに加えて、ベテラン女優が経験の大切さや
女優の苦労を説き、「私だって、いずれはババアになる…」
など説いたところ、その言葉に対し、「あなたは、今、もうババアよ」
とまで言ってしまう。もちろんこれも、冷静かつにこやか、当然のように。

さて、ここまでは、ある意味頓珍漢なやり取りであり、
笑いも多くコミカルな雰囲気であったのだが、
この言葉に激怒したベテラン女優は、近くにあったビール瓶で、
娘の頭部を殴りつける……瓶の破片が飛び散る……娘は倒れる。
我に返ったベテランは娘を介抱する…
(黒い2人が破片を掃除している。)
やがて娘は起き上がって楽屋から去っていく…。
ベテランも悔しい思いを胸にしながら去っていく。

さて、例の2人だけになって、今の出来事に一しきり話していると、
また娘が戻ってくる。そして2人に話掛ける。
2人は驚き「私達が見えるのか?」と訊く。「ええ」という娘。
そう、この人はすでに死んでいて、しかし女優の夢を捨てきれないため、
楽屋に毎日現れて、出番がもらえないかとメイクに励むのである。
そして、この2人が見えた、と言うことは、
娘もすでにこの世の者ではない…。

そして仲間となった3人は、人生論(死者の人生論と言うのも変だが)や
演劇論についてまた話をし始める。
あの世の住人になっても演劇への意欲は失わない。
それは死霊の執着のようなものではなく、さらに向上して行こう、という
もので、何となく平和な気分となった中、幕となる。

まあ2つだけ注文を付ければ、まず1点は、
生きている者は、黒服の2人は見えないのだが、
しかし2人からは生きているものが見えるし、
生きている人間の言動に対して、批判めいたことなどを言うのである。
ただ、そうすると、生きているものからは見えていないという設定が、
観客には分かりにくい。

しかも、初めはこの2人がすでに死んでいることさえ分からないのだから。
この辺をうまく処理できれば、より良いものになると思われる。

もう1点は、お笑いの時事ネタで、「原発事故」をも扱っていたが、
これはさすがに笑えなかった…。
さすがに、これは、お笑いには不適切なのではないか?

ただ、冒頭に記した通りで、この芝居、
大変素晴らしい内容であったことは間違いない。
一見の価値あり!と私は思う。
HELLO!

HELLO!

表参道ベースメントシアター

表参道GROUND(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

HELLO!
80分程度。

なんだか淡々としすぎな印象になってしまった。競泳水着は過去2回ほどしか見てないけども、淡々の中にちょっと胸にくるような感じがあったような気がした記憶がある。競泳水着の公演でないから違うのが当たり前なんだけど。

表参道GROUNDは初めて訪れたが、平土間客席はちょっと鑑賞しにくい。あと、客席案内の兄さんが元気(というかやる気)ないなと(ベースメントシアターの合言葉が『表参道から日本を元気に!」なのに)。細かいけど、終演後、客席照明upから終演告知の間があった。ゆるい対応だなと思った。

ネタバレBOX

ザンヨウコ、黒木絵美花目当てで鑑賞。ザンヨウコの母演技は流石だなと思った。黒木絵美花はコメディタッチの演技の方が好みかもしれない。別に悪かったワケじゃないけど。好みとしてね。

猛(白又)はサッカーで挫折を味わい、ななみ(三宅)は芸能界のプレッシャーに押しつぶされそうになり、絵里子(黒木)は仕事と恋愛でつまずき、史子(ザン)は子供らと再婚の話に揺れる。皆それぞれが等身大の悩みを抱え、前向きに生きていく様子が自然に描写された舞台。
クロムモリブデン・武子と競泳水着・大川がコメディ部分でも貢献していた。クスっと笑える箇所は結構あった。
創作劇シリーズ「楽屋/息子」

創作劇シリーズ「楽屋/息子」

劇団演奏舞台

門仲天井ホール<アート・キッチン>(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

息子/音楽とのコラボ良かったです!
生演奏の音楽と効果音を売りにしているだけあって、いい相乗効果が出ていたと思います。「息子」のほうはテーマサウンドもぴったりだったなぁ。楽屋/う~ん、4人の女優さんの声が野太くて一本調子。これ、蓮出家の好みなんだろうか、それとも効果音に負けないように声を出しているうちにこうなってしまったんだろうか。小さな劇場なので、あんな声必要ないと思いますが・・・・・。

ネタバレBOX

楽屋/第一声からうんざり。劇中劇のニーナの声も博徒の声もみんな同じように野太くて大げさでテンポが遅い。おまけに4人とも同じような台詞回し。理解に苦しみます・・・・。息子のほうは男声のみなので、それほど目立たなかった声の質の悪さも、楽屋のほうではひどく目立ちました。小さな声をきれいに響かせる工夫をしてもらいたいです。
(59)6189990111

(59)6189990111

mimimal

新宿眼科画廊(東京都)

2011/08/26 (金) ~ 2011/08/31 (水)公演終了

満足度★★★★

意外とスゴイ
おちゃらけで、シュールなオタク話かなーと思いきや、結構フカミのある内容に驚き。身につまされながらも、なんか得した気分。しかし桟敷席は腰が痛い。次回作にも期待します。

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

monophonic orchestra

百想(re:tail別館)(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

遠く
遠くに居ても、想うと つながったり するんだったっけ とか
いろいろと 思い出します。

家へ帰る道を ボーと歩いていたらば、
とても久しぶりに友人と会ったりしてしまいました。

そういう1日 に 観た このお芝居の空気感も 忘れられなそうな気がします。

「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

女優たちの競演
ああ、見事でしたね。美術、衣装(フライヤーの白い衣装とはうって変わって黒い喪服で物語りがスタートするなど心憎いばかりです)音楽、照明、そhして演技、すべて一級品でした。不合理な因習と厳格な母親のもと、抑圧される娘達とその性を描いて、見応えありました。紗の布で三つに仕切られた舞台もよく考えられていた。女性しか出てこないこの舞台にさらに濃密度を加えていました。息詰まるばかりの女臭い舞台に花を添えるのは、生演奏のピアノとパーカッション。しかもほとんど効果音としてしか使わない、という贅沢さ。そして清涼剤として時折聞こえてくる小鳥の鳴き声。舞台全体が確固としたデザイン性を持っており、しかもそれが女優達のよく磨かれた演技を活かしていました。ただ、こうした因習のバックグラウンドと母親の強権の存在理由などがいまひとつ分り難く、何となくもやもやしたのも事実。翻訳物の難しいところだと思いますが、何か一つ理解のためのエピソードなど入れて欲しかったです。

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/05 (月)公演終了

満足度★★★★

演出が素晴らしい!!
劇団初見であるが、個人的には、とても楽しめた!
とにかく演出の数々がどれも素晴らしかった!!
教科書を読むような「ジャンヌダルクの物語」であるが、
観客を飽きさせない工夫があちこちに。
役者陣も芝居が安定しており好感がもてた。
それから劇団所有の劇場が、気に入った。
こんなに観劇しやすい舞台も珍しい。
きっと劇団が観劇しやすいように、考えて造ったのだろうと推測。
とにかく私の中では、良い劇団に出会えたという印象である。
次回公演もぜひ観劇したい!
あとはネタばれで。

ネタバレBOX

「人形劇」や「照明をうまく使用した影ごしの芝居」、
また、出演者がそんなに多いわけではないのに、大群衆に囲まれているような雰囲気ある演出。
ジャンヌダルクが火炙りに処刑される様を、見事に演出していた。

劇場は舞台奥行きがあるが、役者が全く遠くに感じない。
また、小劇場にありがちな舞台前方での芝居が、観客席後方だと観えない
ということもなく、とにかく観劇しやすかった。
臨場感を楽しみたいなら、前方の席がオススメだろうが、どこの席からでも
観劇しやすいと思えた。


ハネムーン

ハネムーン

バカバッドギター

劇場MOMO(東京都)

2011/08/27 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★

honeymoon
前半が退屈な気がしたけども、中盤過ぎからはなかなか魅せてくれた。
ただ、笑い部分惜しいように感じてしまったのが残念。前向きなラストは良かった。

ネタバレBOX

重光摩美と佐藤ホームランの恋愛を軸にした場面はやはり良かった。過去に観た「魔女は定時に~」の中でも二人の恋愛シーン?があったけど、暖かくなるシーンの描き方は上手と思う。
あと、呉屋希美は安定した演技で○。

座り演技が多くて、前方でないと見えにくい箇所が多々あった。作演が前が良いですよと案内してたけども、舞台自体を高目に設置できないのかな。そもそもMOMOがあんま好きじゃない気がする。あと、冷房が寒かった。
LUCK BANK

LUCK BANK

プロデュースユニット四方八方

ザ・ポケット(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★

なんか理屈っぽい・・・
LUCK BANKのシステムがいまひとつ理解できず、理屈っぽい話に終始しているカンジで、楽しめませんでした。個々のエピソードの中には面白いものもありましたが。正直ちょっと残念。

レジデント

レジデント

Gooday Co.

戸野廣浩司記念劇場(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

楽しめました
オープニングでコメディタッチなのかなと思いきや、結構しみじみとした切ないコイバナでした。ファンタジーも入ってるし。みんな素直になれなくて、意地の張り合いだけど、最後に踏み出せてよかったね。楽しめました。

なぞり虫しりきれ蜻蛉

なぞり虫しりきれ蜻蛉

しずくまち♭[フラット]

d-倉庫(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了

満足度★★★★

不思議な世界感
とても変わった劇。哲学的であり芸術的であり、日常を超えた感覚を研ぎ澄ましながら、観る劇とでも・・・台詞も美しいし、台詞まわしも美しい。劇団員は実力者揃いとみました。それに生演奏がまた美しくぴったりとマッチ!
(大音響の舞台は苦手なのです)

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

monophonic orchestra

百想(re:tail別館)(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/12 (月)公演終了

満足度★★★★

素敵
1週目『ファーファーファーファー,ファーラウェイ』他、観劇。
あの空間、誰かの日常を切り取ったようなお話たちが素敵でした。
2週目も楽しみです。

ネタバレBOX

『ファーファーファーファー,ファーラウェイ』・・・2人の電話でのやり取りだけを切り取ってるんだけど、ずーっとつながってる。周りの環境や気持ちは変わっていくけど、それでも時々思い出したようにその人の事を想うんだろうなぁって考えたら、他人事なのに切なくなった。
『僕の兄の幸福な結婚』 ・・・兄思いな弟のお話かと思っていたけど、それだけではなかった。笑えるところもあるんだけど、終盤ぐさっとやられる。誰かを想うって事は、その人に向けられるいろんなものに気付いちゃうんだろうなぁ。

『今日のおわりに』・・・配役は毎回くじ引き?ものまねは今回だけだったのかしら。台詞がしりとりみたいに続くのもおもしろかったし、お話自体もほっこりさせられる素敵なもの・・・なのに、ものまねで笑いすぎて話が半分くらいしか頭にはいってこなかった。。。
鉄割あっ!

鉄割あっ!

鉄割アルバトロスケット

ザ・スズナリ(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

36の小作品群で120分駆け抜ける。
初鉄割。どんな舞台かちょっと予習してから観劇。
2~4分程度のコントをテンポ良く繰り出す。玉石混交。

ネタバレBOX

パンフのタイトルを観ても思い出せないのも多々あるけども、面白かったものを以下に。
「鳥の餌を売る」「火炎放射器」「アマリリス」「モンキーパークワーク」「死んだカナリア」「ごくつぶしのどじまん」「JAZZJAZZフェ」「馬鹿舞伎」

「アマリリス」とか「馬鹿舞伎」は、芝居仕立てな感じでとっつきやすかった。「JAZZJAZZフェ」は馬鹿らしくもカッコよい。
腹の出た中島教知のキャラは笑える。
準決勝

準決勝

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了

満足度★★★★

良質なコメディ(*^▽^*)
テンポもよく面白かったです
欲を言えば
ラストにもうひとひねり!

夏も

夏も

ロロ

SNAC(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

夏の日の妄想
男と女の心が入れ替わるという映画やマンガで非常にありがちな設定の物語でした。最初はパロディ的なムードなのが次第に熱を帯びてエモーショナルなシーンに変貌するロロの特色が良く出ている作品で、シュールでキュートな独特の魅力に引き込まれました。

前半はサブカルを引用した小ネタで笑いを取るところが多く、軽い気持ちで観ていたのですが、後半は風変わりでカオス的ながらも感情が伝わってくるシーンが連発され、圧巻でした。
特にマイクを手に持ち相槌を打ち続ける女性がマイクをオフにしてモノローグを語るシーンに不思議な切なさがあって素晴らしかったです。最後の1人での対話のシーンも身体表現が印象的で美しかったです。

一般的な意味での上手い演技というわけではないのですが、狭い空間の中を駆け巡り、ちょっと下品なことにも体を張り、照明も自らの手で操作するエネルギッシュな役者達の姿が魅力的でした。

今回はビジュアル的な仕掛けを用いた見立て的な演出があまりなかったのが残念でした。

馬と妖精や、時折出てくる朗唱的台詞回しなど、シェイクスピアの『夏の夜の夢』にインスパイアされた作品に感じられました。今後、古典戯曲にも挑んで欲しいです。

夏も

夏も

ロロ

SNAC(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

楽しめはしましたが・・
今回は直球勝負な感じが好印象だった。けど、やっぱ散らかった感じを受けたり、「その部分、必要なのかな?」というシーンがあったり。それはそれでロロやロロファンにとっては楽しみどころなのかもしれないなぁ、とは知りつつも、残念ながら僕は深い部分での共有はできなかった。ある種のマンガを読んでいる人同士なら判ったり共感できたりしたのだろうか?

ネタバレBOX

「加速!」とか「もっと早く!」の部分、明らかにままごと「わが星」の影響を感じたけど、引用?それとも偶然?・・・偶然ってことはないよねぇ。
『線香宙』/『BLACK BOX GIRL』

『線香宙』/『BLACK BOX GIRL』

獣珍

ワーサルシアター(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

壮大な物語
地上が滅亡して、だけど、人類は地下に潜っていた、そして、再び。。。 完全にSFで漫画的な世界感。 それ自体はすごくわくわくするように思えるんですけど。。。 こういう物語は、その世界を役者が生きなくては成立しないんじゃないかなって思います。パントマイムを使っての表現もそうだけど、役を演じる、パントマイム、ダンス、アクションを魅せるという、豪華なはずのエンターテイメントになるはずなのに、そう成りきらないのは、役者の力量なのか、演出の力量なのか。 とても惜しいなって思いました。
おぼんろにも出演している倫平さんは、おぼんろにはない(可愛い蚕、ヒットラー似の保健所職員)カッコイイ役で、わぁ~ こんな役もできるんだ~と楽しんでしまいました。それに、パントマイムのレベルが高すぎてびっくり。おぼんろでもその片鱗はみることができますが、肉体表現を魅せるような作品に出演している倫平さんも見てみたいなと思いました。

『線香宙』/『BLACK BOX GIRL』

『線香宙』/『BLACK BOX GIRL』

獣珍

ワーサルシアター(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

私の印象とは逆
説明を読んだ限りでは『線香宙』のほうが好みだろうと思っていましたが、実際に見たら逆でした。

『線香宙』は難解。絵的に美しいシーンがステージ上で繰り広げられているのに、ストーリーが頭の中で繋がっていかない自分に嫌気がさし、次の『BLACK BOX GIRL』は逃亡しようかと思いましたが、会場に戻って良かったです。人類再生の壮大なストーリーを堪能しました。

「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

禁じられた反動
お見事!の一言。キャストらの演技力といい、舞台装置といい、衣装、音楽、籠の中の文鳥、演出、どれもがまさに芸術の域。物語は名家、ベルナルダ・アルバ家を舞台に、そこに暮らす女たちの逃れられない悲劇を濃密なダイアローグ劇で成り立たせていた。人間が閉鎖的な土地に根ざして生きる矛盾や、それに立ち向かう力強さ、あるいは流されるさまを巧みに描写していた。物語は重い。しかし見事な演技力で観客を魅了した。お勧めの舞台だ。公演時間2時間30分。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

川のない、井戸水を頼りにする小さな集落というプライバシーもへったくれもない村社会で名家の誇りを捨てることが出来ない女主人・ベルナルダがいた。閉鎖的な社会の中で自分達の誇りや伝統を守る為にベルナルダは夫の死後、五人の娘に八年間の喪に服することを言い渡す。その間、外出やおしゃれは許されず、まるで監獄のような暮らしぶりだった。年頃の娘たちは抗えない抑圧にしぶしぶ従う。

そんなおり、長女のアングスティアス(39歳)に縁談がもちあがる。姉妹の中で一番くすんだ、しかも父親にそっくりの女にだ。しかし長女だけには遺産が相続されるのだ。(今でもスペインの遺産相続順位は妻ではなく子供)
夜ごと長女の部屋を訪れる若い男・ぺぺの存在に色めきだつ姉妹達。なかでも末娘アデーラ(20歳)はぺぺと逢瀬を繰り返し、陶酔と絶望を受け入れていくようになる。一方でそんな二人を羨望の眼差しで見つめる四女・マルティリオ(24歳)の執拗な嫉妬。

母親に逆らうことを抑制され因習の中に生きる女たちが、にわかにどよめきだし、鬱屈した性が吹き出しはじめ、外の情景にも恋焦がれるようになり男に飢える。そして麦刈りの男たちにも色めきだってしまう。自由を奪われた女達の飢えた描写だ。その屈折さがぺぺに集中し姉妹達はぺぺを好きになってしまい、挙句、抱かれたいと思うのであった。

これらを見て見ぬふりを決め込むベルナルダ。しかし、ここで逃れられない悲劇がベルナルダの家に訪れる。密通を交わしていたぺぺを銃で撃ったベルナルダを見て、ぺぺが死んだと勘違いをしたアデーラは絶望のあまり自害してしまうのであった。それでもベルナルダは「いいかい、アデーラ生娘のまま死んだんだ。決して外に漏らすんじゃないよ。」と口封じをする。荒れ狂う姉妹達の屈折した恋と体裁を重んじるアルバ家の物語。

「極道の妻」顔負けのド迫力、新井純の演技が神がかりだ。そして家の女中頭を演じた坪井美香、アデーラ役の薬師寺尚子も素晴らしい。彼女は「サルとピストル」で観ていたが、あの時よりも今回の方が実力を発揮出来たといえる。勿論、どのキャストの演技力は秀逸だった。美しく鳴り響く生演奏が舞台を崇高にさせ、籠の中の文鳥はまさに彼女らの象徴だった。
レジデント

レジデント

Gooday Co.

戸野廣浩司記念劇場(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

なんだかなんだか
みんなすぐ傍らに幸せがあるのになかなか気づかないのね、ちょっとじれったい。未練?下心?男性のドライな態度に、ラストがただの理想でしかないように見えた。いい話なのにもったいない!

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