はさみ男のカルテ
もざいく人間
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2011/12/22 (木) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしかった
もざいく人間初観劇がこれの初演でした。
(今回4回目くらい?)
もう初演のストーリーを忘れていたけど、
ラストに向かうにつれ盛り上がっていく感じ、
今回も楽しませてもらいました。
当時は映画のシザーハンズを見ていない状態で見たのですが、
その後DVDで映画を見たので、
今回は音楽やシーンなどが映画とかぶるところがより楽しめました。
Weekly4【PAIN(ペイン)】
アヴァンセ プロデュース
シアター711(東京都)
2011/12/22 (木) ~ 2011/12/28 (水)公演終了
満足度★★★
痛みを抱える人々
人がそれぞれ持つ心の闇の部分を一切の笑いを排してシリアスに描き、90分弱と比較的短い上演時間ながらヘビーな印象を与える作品でした。
小学生から医師まで様々な属性の人達が、いじめ、殺人、愛人、隠蔽、アルコール中毒、破産等といった負の要素で関連し合い、破滅に向かう救いの無い物語でした。静かな雰囲気で始まり、次第にテンションが高まって後半は感情が爆発するという振り幅の大きさを見せたかったのだと思いますが、ちょっとペースが早過ぎる様に思いました。
基本的に2人の会話が組み合わせを変えながら次々と続く構成で、同じ様なやりとりが異なるペアで行われる後半が面白かったです。
次のシーンに変わる前から次のシーンの登場人物が現れることによって行われるスムーズな切り替えとオーソドックスな暗転での切り替えの使い分けがはっきりしていて、見通しの良い形式感がありました。
初日の為、台詞を噛んだり間違いかけたりしていましたが、演技に関しては日常的なリアリズムのスタイルなので、間違いもリアルな会話に見えて、あまり気になりませんでした。
STRIKE BACK 先輩
芝居流通センターデス電所
ザ・ポケット(東京都)
2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
そしてみんな死ぬ
ミュージカル仕立ての死体解体シーンが目に焼きついた。とっこがセクシーで可愛い。舌足らずのセリフもキュート。残酷なシーンが多いけれどコミカルな舞台に仕上がっており楽しかった。
“Nice Kitchen No.9”
JAM BAL JAN JAN パイレート
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2011/12/22 (木) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
星の結び目
時間堂
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/12/22 (木) ~ 2012/01/02 (月)公演終了
満足度★★★★
氷屋を舞台にした
回想録。時の流れとともに廃れて行く、はかなさを感じつつも星の明かりは微かながら輝き続けるのだ!・・・などど考えた。
学生版日本の問題
日本の問題
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
B班観劇
三者三様。
大人版より好きだな(全部観てる訳じゃないけど)。
ネタバレBOX
思出横丁『鼻曲りの残像』
初見の劇団。
繋がれた白装束の女性3人、届かない手紙など、
現実の何かに置き換えて観る事は容易いけど、
なかなか伝わり難い表現を選択している。
いつもこうなのかな?
ポエジーな台詞に光るものがある。
荒川チョモランマ『独り、だなんて言わせない』
リア充とは程遠いクリスマスを過ごす女性たちの生態を、
宇宙人が調査するというシニカルでファンタジックな一編。
孤独死がテーマらしいがちょっと無理があるかなぁ。
最後の一行が静かな余韻を残す。
タイプの違う女優4人が実に華やか。
劇団けったマシーン『喫茶しののめ』
初見の劇団。
外国人労働者が住む町の問題を一軒の喫茶店を舞台に描いたストレートプレイ。
短い時間の中で確かな情感を生み出している。
かなり好みだ。本公演も観てみたい。
六本木姦姦娘★☆★純情乙女の陵辱Xデー!!!!!
バナナ学園純情乙女組
新世界(六本木)(東京都)
2011/12/17 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
破壊力ある
演劇なのかどうかは、議論があるかもしれない。
自分は演劇だと思うし、最高に楽しんだ。度肝を抜かれた。
まったくすごかった。
お目出たい人
劇団だるま座
アトリエだるま座(東京都)
2011/12/20 (火) ~ 2012/01/27 (金)公演終了
満足度★★★★
渋い!
そうなんですよね~。お通夜って悲しい中にも雑務や決まり事、また思いがけないことが出来したりで、けっこう忙しかったりする。でも最終的には個人を偲んで・・・・・ということになるのだけれど、なかなかそこまでたどり着けない。そんなもどかしい哀しみみたいなのがよく出ていた。他劇団とのコラボ、どういう感じかなと楽しみでしたが、あまりに違和感なく配役が決まっており、男性ばかりのこの劇に渋さを添えていました。律儀に挨拶を繰り返す剣持氏のやくざがはまりすぎ。他の役者さんもいぶし銀の演技でした。1月の別キャストも見たいな~。
歯に衣着せない
劇団あおきりみかん
新宿シアターモリエール(東京都)
2011/12/17 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
気軽見れて、笑えそう
気軽に芝居を見れる。のストライクの芝居。
主人公の人のセリフ量は、すごいだろうなぁ。
学生版日本の問題
日本の問題
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
総括すると
『日本の問題』というお題を掲げて公演を打っているにもかかわらず、
現実的な問題を取り上げたのは6団体中2団体。あとの団体はいずれも精神的な問題を取り上げていて、やっぱり若い人は現実に失望していて精神世界にその生き場所を探しているんだなぁと感じました。
現実とガチンコで戦う劇団も逃げ延びて自分の世界を追求する劇団もどちらも演劇としてあって欲しいと思います。
その意味では良かったと思います。是非沢山の大人と子供に見て欲しい。
学生版日本の問題
日本の問題
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★
B級グルメの楽しさ
Bチームだけに、B級グルメというわけでもないが、レストランでは味わえないマニアックでちょっと危険だったり、ファンタジックだったり、シチュエーションホラー的だったりいやぁ、学生団体結構見ているつもりだけれど、まだまだ面白い劇団てあるんだてあるんだなぁと思った。
今回は鉄パイプの足場席で見ましたが、これもまたオツです。
ネタバレBOX
Aチームから見ないで、Bチームから見た方が良かったかも。
火を燃すのはいいけどあの狭い空間でもしすぎじゃないかと心配した『思い出横丁』。斬新というか、なんというかへその緒を南京錠のロープでつながれた3体の女子が延々この世に見れんを馳せる。6団体中一番の大道具。残念ながら物珍しさしか印象が残りませんでした。
『荒チョモ』現実から段階的にファンタジックに持っていく展開は面白かった。ただ、孤独死のメッセージは読み取れず。おまけに、クリスマスプレゼントの封筒も入ってませんでした。
『けった』は、本格的で正直ホッとしたところもあります。
外国人労働者の問題を取り上げ、学生版日本の問題をちゃんと取り入れた貴重な2つ目の団体。生活苦に悩む外国人労働者が強盗に入った喫茶店で亡き女店主の願いが叶う『美味しいコーヒーを飲む時は、ナイフを置くんじゃないかと』これはいいね。もう少し、掘り下げられれば良かったと思う。2日間楽しめました。
星の結び目
時間堂
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/12/22 (木) ~ 2012/01/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
重厚なヒューマンドラマ。
プレビュー公演を見てきました。
ネタバレBOX
戦後、和菓子屋を開いた女中さんが、お勤めしていたお店で出会った人やおこった出来事を回顧する形でストーリーが展開していきます。
時代背景があるお話で上演時間が2時間あるので、少し難しいお話なのかと思っていたのですが、役者さんの演技がお客さんに対してとても優しく、すっとお話に入っていけました。
また、劇中でたくさんの年月が移動しますし、役者さんも1人2役などをされているのですが、違和感なく楽しめたのもよかったと思います。
着物の所作については少し気になりました。ですが、登場人物がそれぞれにコンプレックスを抱えていて、また最も大切にしているものが違っていて・・・それがぶつかる瞬間が何度もあり、見ごたえがありました。戦争をモチーフにした重厚なヒューマンドラマでした。
また特に、女性の方がご覧になると、生き方にほとんど決定権がなかった女性達が懸命に生きる姿に、よりせつなさが増すかもしれません。
優しいお芝居を観れてとても良かったです。
夏祭浪花鑑
木ノ下歌舞伎
STスポット(神奈川県)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/19 (月)公演終了
満足度★★★★
いやさぁ、えんたてぃめんとやなぁ~・・・
入場したとたんに
作り手の世界にどっぷりとはめられて・・・。
本編はざっくりとダイジェスト、
それでもひとつずつのシーンがおもしろく、
当日パンフレットで流れを確認するような部分もあったけれど
十分に楽しめた。
最後の「泥場」の表現は圧巻、ここはもう芸術の粋でありました。
ネタバレBOX
入場すると、
いきなりそこはわくわくするような夏祭りの世界。
上方落語の「遊山船」で一気に世界が広がるときのような驚きがあって。
やぐらが組まれ、提灯がつられて
外の師走の風情や寒さなど
あっという間にどこかに消し飛んでしまう・・・。
作・演出や舞台美術までが
総動員という感じが観る側にわくわく感を作り出してくれる。
瓦版(パンフレット)もそこで購入して。
場のあったまりがあるから、
前半の物語の語り口の軽質さが
とても心地よく思えて・・・
マンガちっくな薄っぺらい表現から、
しっかりと見栄をきる態、
さらには役者達の身体を使ったニュアンスの作り方までが
心地よく受け入れられる・・・。
白神さんの人を喰ったような黒子ぶりなども
歌舞伎の世界を密室から
もっと広がりをもった位置まで解き放つ力になっていて。
そうしてみる側が
舞台に慣れてくると、
今度は舞台の文法が力を持ち始め
どこか上滑りに感じていた表現の切っ先までが
しっかりと観る側を引き込むようになってくる。
シーンごとの面白さが
物語の面白さへとランクアップしていく感じ。
前半・中盤・後半と
同じトーンで描くのではなく
遊び心と物語を紡ぐ志の比率が絶妙にコントロールされていて。
観る側としては歌舞伎の世界に対して身構えることなく、
無意識に物語に引き込まれていく感じ。
しかも、歌舞伎が場ごとに見せ場を作るように
この作品にも、
観る側を釘づけにするような
見せ場がいくつも作られていて・・・。
中でも終盤の「泥場」と呼ばれている部分の表現に
目を瞠る。
そこには、演出・振付・演じ手それぞれの
大向こうを唸らせるような
才のあふれ方を感じて・・・。
そりゃね、これを歌舞伎かって直球で問われると
ちょっと言葉に詰まったりもするのですが、
でも、単に、物語があってその筋書きが語られるのではなく
表現の手練を駆使して
その幹にたくさんの果実をつけて
観る側を楽しませる・・・。
そのスピリットには
おっかなびっくり初めて歌舞伎座に足を踏み入れたときに感じたのと
同じ肌触りがあって。
歌舞伎の技法は良いとこどりだけれど
それよりも
歌舞伎の豊かさが
この作品には取り込まれているような気がする。
いろんな部分でもっと洗練されていくべき余白はあるのでしょうけれど、
いたずらに歌舞伎の枠に縛られず
一方で歌舞伎の世界の広がりをしたたかにかもし出していく
理屈抜きでの楽しさが会場全体に満ちて、
しかも、ここ一番での光物もあって、
しっかりと観る側を凌駕する。
劇場に入ってから出て行くまで
あれやこれやで観る側をそらすことのない舞台は
とても魅力的に思えたことでした。
ゴーストライター
劇団After6
シアター風姿花伝(東京都)
2011/12/08 (木) ~ 2011/12/11 (日)公演終了
満足度★★
感情移入できない
登場人物がテンション高すぎて、突っ走りすぎて、今なんの話をしているんだろ…ってところがいっぱいあった。
まぁそれは私の理解力の無さゆえということでいいや。
ネタバレBOX
神代には恋人の幽霊が本当に見えてるから、別にそんなことしなくてもいるものはいるものとして扱えばいいんじゃないのかなー。
周りに認められないと嫌なの?
自分だけ見えてる方がよくない?
設定的だけ見るとよくあるラブコメみたいな。
死んじゃったけどずっとそばに憑いてるよ☆みたいな。
小説で勝った負けたの話をすることがもう違和感を感じてしまって。
文章には個性があるから面白いのであって、村上春樹が好きな人もいれば夏目漱石が好きな人もいるじゃないの。
どっちも好きな人もいるじゃないの。
どっちが勝ってるとか個人の価値観でしかないのに。
だからあなたの才能に勝てないとか負けて悔しいとかいう気持ちがわからない。
そういうのも相まって登場人物に感情移入できなかった。
紀恵が神代を死なせたくないと奮闘するのも、文芸部後輩たちの常軌を逸した行動もすべて、天才と評される神代の才能ゆえなのだが
こっちとしては神代がどれだけの文章を書くのかさっぱりわからないのでまったく共感できないのだ。
もっと人間的にいい奴だ!っていうエピソードがあったらまだよかったのに。
だから役者さんは最高に気持ちよさそうに演じてくれているのだけど、私としてはクライマックスでも「…ほう」という感じ。
ところどころに差し込まれるキャストの実年齢ネタや、テンションの高いボケツッコミのやりとりも、好きな人は好きなのかなー。
まぁ好みだから仕方ないよね。
衣装は凝ってたなー。
milk
ウィルチンソン
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/09 (金) ~ 2011/12/11 (日)公演終了
満足度★★★★
星空
事前の用事が延びてしまい、残念ながら途中からの観劇になってしまいましたが、最後の話の星空、素敵でした。ラストの歌も良かったです。
あきざくら
シアターはるこば
タイニイアリス(東京都)
2011/12/07 (水) ~ 2011/12/11 (日)公演終了
満足度★★
うーん
あまり好みではなかった。
ネタバレBOX
リアル芝居なのだがものすごーく間が長い。リアルな間ではなくつくられた間という印象を受けた。
会話にいちいち余談が多い。
リアルさを追求すればあちこちに話が飛ぶことは正しいのだろうけど、客に見せるものとしてその展開が必要なのか?と疑問に思う。
そしていちいち暗転を挟むので気持ちがぶつ切れてしまう。
肝心の客の見たいものが省かれる。
1組の夫婦の離婚問題がどうなったか、その解決手段は見られず、ラストシーンではなんとなく元鞘状態にいる。
結局解決したの?結果だけ見せられてもなんだか釈然としない…。
ラストシーンは実現することのなかったA嫁と父親の会話。
そのわりには会話の内容が具体的。タイトルのあきざくらはここでしか出てこなかったし、タイトルの整合性をつけるために無理やり用意したかのような印象をうけた。
鳥は飛びながら夢をみる
シアターノーチラス
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2011/12/02 (金) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★
遅ればせながら
病院の待合室。
危篤状態の父の病室に子供やその家族が集まってくる。
3年前の火事を境にバラバラになった家族。
病気の父の面倒を見ていたのは若い愛人だった。
火事の真相。
カナリヤを逃がしたのは誰なのか。
そして今夜死ぬのは。
ネタバレBOX
今村さんの本は、いつも話題の中心となっている人が登場しないことが多い。
いなくなってしまった人だったり、これからいなくなろうとしてる人だったり。
その人物がちょっとした不可解な行動や疑問が残るような言葉を発してたりして、残された人間がそのことについて考えを巡らせるパターン。
そして正解らしき答えが提示されるものの、本人に確認できないのでいつも真相は闇の中。
このもやっと感。
手に入りそうで入らない感じ。
手に入ったものが正解でないかもしれない感覚。
ちょっと「感」って言葉使いすぎだけどwまさに「感」なんだよな。
推理小説みたいに答えはこうでした!って明かされる舞台もあるけど、残された側の「この答えで納得するしかない」っていう気持ち。
これが今村さんだよなー。
おもしろかった。
しかし役者さんがなー。
力量にばらつきあるのと、癖が色濃く出ちゃってて気になる。
キャラクターが二次元寄りになってるっていうか。
この話をするのであれば圧倒的リアリティが必要かと。
岡本より子さんの演技はすごく好き。
Bonehead -ボーンヘッド[失策]- 【再演】
演劇レーベルBo″-tanz
d-倉庫(東京都)
2011/12/01 (木) ~ 2011/12/05 (月)公演終了
満足度★
ん
舞台美術はよかった。
ネタバレBOX
好きなのはわかるんだけど趣味を押し付けすぎで私には何が何だかでした。
開始5分で飽きてしまい、全然単語が頭に入ってこなくてとにかく客にたいして不親切な印象で即帰りたくなりました。
でもみなさん面白かったって言ってるのでこれは私の理解力のなさですかね。
ハードボイルドのお約束感がお約束すぎて笑えてしまう私の好みには合いませんでした。
あと前説のイラッと感はどうにかしていただきたい。
「ていうか」や「~とかぁ」って前説で言っていい言葉でしょうか?
口語体で喋るのは礼儀としてどうなんでしょう。
うつくしい世界
こゆび侍
サンモールスタジオ(東京都)
2011/12/14 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
伝えたい
泣いた。3年ぶりに芝居見て泣いた。
鼻すすったり手でぬぐったりすると周りの集中切らすから流れるままに垂れ流しにしてたんだけどそしたらもうなんか声だして号泣したくなってきてこんなに泣きたい欲求を刺激されたのは初めてだ。堪えたけど。
ネタバレBOX
浅野千鶴さんが本当に良い。
純粋でさー、本当に透き通ってて、すごく自然で迫力あって素敵だった。可愛かった。
もう一人のお目当て佐藤みゆきさんが今回乞食の役。
あんなに可愛いのに…そんな汚い格好を!と最初ショックだったんだけど(笑)目を奪われるほどに今まで見たことない佐藤みゆきさんがいた。
その声どこから出してるのー。
脚本も良かったわー。
オリジナルファンタジーの世界観の確立。
説明くさくなくてちゃんとそこに暮らしてる人々がいて。
れきしの勉強が歌を歌うことだったり、ふうせんにんげん=バラって呼称も綺麗。
本当汚いけれど美しい世界。
セットも素敵だった。
あの狭いサンモールのなかにあそこまできちんとした壁や家や世界を作り出せるものなのか。
クライマックスの「好きだ」の連続にぶわっと泣けてしまって。
でもピコとニカロは出会って数日だから、もしこれが長年付き合ってきた恋人同士とか、夫婦だったらもっと感極まったと思うの。
長年罵声の言葉しか掛けられなかった相手に初めて気持ちのままの愛の言葉を伝えられる。
(たとえばニカロの両親がその役目でもよかったと思う)
バッドエンドスキーとしては最後はやっぱりニカロがいなくなってほしかったな。
でもすごく素敵なお話でした。
旦那に「愛してる」と伝えたいと思いました。
『三月の5日間』100回公演記念ツアー
チェルフィッチュ
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/23 (金)公演終了
満足度★★★★★
人や世界(社会)との微妙な距離感
出来事や人間関係に全方位的で、かつ微妙な距離感を保っている人たちの話。
「三月の5日間」の出来事が、「物語」となっていく、ある種の「ぶゆうでん、かっこわらい」な物語。
素晴らしい戯曲と役者たち。
1時間30分+休憩15分。
ネタバレBOX
2003年3月のイラク空爆を挟んだ5日間の話。
イラクの戦争なんてまったく関係ないや、と思っているような若者たちなのだが、やはり気にはなっている。
ラブホに長逗留していても、「家に帰ったら終わっていたりして」のように、どこか頭の片隅で意識している。
反戦デモに参加している2人組も、もちろんそうなのだが、過激系なデモの先頭にいたり、警官を挑発したりしている人たちとは、距離を置いている。
イラクは気になるし、戦争は嫌だけど、ほどほどの距離感でいたい。
それは、「戦争」という、遠い海の向こうの出来事に限らず、彼らにとっての、隣にいる友人との距離感も微妙なのだ。
ラブホで朝起きたら隣に寝ていた知らない女や、映画館で出会ったアズマとミッフィーの距離感の微妙さは当然としても、ライブにわざわざ誘って出かけたミノベとアズマ、デモに一緒に出かけたヤスイとイシハラの距離感も、友人であろうが、かなり微妙なのだ。
相手を気遣っているようで、その実、相手の話をきちんと聞いておらず、「あ、そうなんだ」と、上の空の同じ返事を繰り返していたり、自分の話たいことを、例えば、アンミラの制服話を無理矢理ねじ込んでみたり、なんだか「自分に好都合な距離感」ともいえる。
友人関係を壊すことなく、かといって、踏み込むでもなく、「丁度いい塩梅の距離感」だ。
「戦争」との距離感も、戦争そのものは、反対だし、もちろん、巻き込まれるのは絶対にイヤ。「反対」はしておきたいし、でもハードにかかわるのも、ちょっとな…というところ。「関心」があっても深くのめり込まない。
「評論家的」には、世界とかかわることができる。
そしてそれは、傷つきやすく、だけど傷つきたくない。つまり、自分を守るために、全方位的な関係でもある。
そうした若者たちを巡るストーリーは、すでに「物語になっている」。
「語られる対象」となっている、あるいは「過去の話」になっている、と言ったほうがいいか。
つまり、「あの2003年3月のイラク空爆を挟んだ5日間に、渋谷のラブホに居続けたんだぜ」という「伝説」のような「物語」になっているのだ。
それをミノベから聞いたアズマは、ほかの友人に話すし、そのとき自分はどうしていたのか、も加えて「語る」わけだ。
「じゃ、それをやりまーす」と言って始まるのは、その物語を「語っている(再現している)」わけであり、すでに「過去の物語」になっているということ。
過去の物語だから、何度も同じことを繰り返しているようであり、本人であり、第三者的でもある。つまり、自分の記憶を語るのは「第三者的」な視点が入り、「盛ったり」もする。
コンドームの話とか、どちらが先に「ここだけの関係にしよう」と言い出したのか、なんて微妙なことは、曖昧にしておく。
ラブホにいたミノベは、最初はチャラい感じなのだが、後半は、 オラオラ系な前に出るタイプになっていく(語る役者が変わっていく)。
全体的に、傷つきやすい系の中の、オラオラ系とも言えるキャラは、「伝説の象徴」と言ってもいいのではないだろうか。
つまり、語られていくことで、「ぶゆうでん、かっこわらい」になっていっているということ。
出来事や人間関係に全方位的で、かつ微妙な距離感を保っている、という今の人たちの微妙なバランスを観たということだ。
独特の長台詞と台詞回しが素晴らしいと思った。
役者としては、メガネのミッフィー(青柳いづみさん)が、戯画化されすぎてはいるが、面白いと思った。
で、スズキはどうした?