満足度★★★
痛みを抱える人々
人がそれぞれ持つ心の闇の部分を一切の笑いを排してシリアスに描き、90分弱と比較的短い上演時間ながらヘビーな印象を与える作品でした。
小学生から医師まで様々な属性の人達が、いじめ、殺人、愛人、隠蔽、アルコール中毒、破産等といった負の要素で関連し合い、破滅に向かう救いの無い物語でした。静かな雰囲気で始まり、次第にテンションが高まって後半は感情が爆発するという振り幅の大きさを見せたかったのだと思いますが、ちょっとペースが早過ぎる様に思いました。
基本的に2人の会話が組み合わせを変えながら次々と続く構成で、同じ様なやりとりが異なるペアで行われる後半が面白かったです。
次のシーンに変わる前から次のシーンの登場人物が現れることによって行われるスムーズな切り替えとオーソドックスな暗転での切り替えの使い分けがはっきりしていて、見通しの良い形式感がありました。
初日の為、台詞を噛んだり間違いかけたりしていましたが、演技に関しては日常的なリアリズムのスタイルなので、間違いもリアルな会話に見えて、あまり気になりませんでした。