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深海のカンパネルラ

深海のカンパネルラ

空想組曲

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/04/15 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

前半の作りこみががっつり効いて・・
前半部分が
粘り強く豊かに描きこまれていて・・・。
戯曲の構造に加えて
その世界を飽きさせずに
観る側に刻み込んでいく役者たちの秀逸なお芝居が
後半解けていく世界にしなやかに結実して・・・。

その世界が束ねられて
向こう側に
生まれた俯瞰に強く浸潤されました

ネタバレBOX

比較的長めの作品なのですが、
その前半が
主人公が組み上げる内心での物語の
執拗なスクラップ&ビルドの表現に
費やされていきます。
少しずつ外側の枠組みを、組み込み、時には刺し入れながら
その心に浮かぶものを具象していく。

「銀河鉄道の夜」を土台にして
時には恣意的に、
あるいは、逃げ込むように浮かび、
時には道を外れ、広がり、ビターに染まり、行き詰まり、フラッシュ音とともに崩されてしまう内心の物語たち。
サザンクロスにまでまっすぐに至ることない
寄り道や逸脱までが生まれる物語に
様々な風景が交錯して・・・。
原作に忠実に描かれる刹那、
時には箍が外れて戯画的に広がる世界、
あるいは耽美に、または暴力的に描き、重なり、
行き詰まり、刹那に崩れていく・・。

役者たちが、
世界を塗りこめてしまうことなく、
しなやかに、
シーンやキャラクターたちの実存感やトーンの濃淡で
空気の質感をコントロールし
心風景のテイストを生みだしていきます。
そこには観る側が受けとる寓意の
平易さと深さのしたたかな組み上がりがあって、
絶妙に変化しながら何度も重ねられていく物語の顛末を
飽くことなく追い続けてしまうのです。

そうして、形作られたボリューム感があるからこそ
執拗な組み上げと崩壊自体が
コンテンツたちにとどまらないニュアンスを持ち始める。
やがては、物語で覆い隠していた彼の内心の枠組みが現れ
観る側にさらに向こう側にある現実を
さらけ出していく。
引きこもる彼の姿と
そこから彼を引き出そうとする姉や周囲の姿と・・・。
痛みと苛立ちが観る側にまで浸み入ってきたその先。
視座が逆転して現れたエピソードの
なんてナチュラルなこと・・・。
天空と深海の寓意がそのチケットに集約されて、
でも、チケットを巡るシンプルな誤解が
それまでのシーンたちから受け取ったものと共振し始めたとき、
思いもかけず涙が溢れた。

冒頭に物語の土台として語られる、
「銀河鉄道の夜」が
再び語られる時、
それは主人公が、さらには人が生きることの
普遍への俯瞰となって・・・。
そのなかで前半のシーンも解け、
役者たちの献身的な演技が
その景色のなかに具象するものを
しなやかに編み込んでいたことにも
改めて思い当たって・・・。

作り手が描きだす世界と
昔々読んだ「銀河鉄道の夜」のあやしい記憶に
凛とした空気と、
そのなかに歩む感覚と
偶然に重ねられていく刹那の
広がりが重なって・・。
ダブルコールの終演後
劇場を離れても、、
さらに広がり心満たされていくものが
いくつも巡り降りてくる・・。

とても深く心を捉えられた舞台でありました
「銀河英雄伝説」 =第二章 自由惑星同盟篇=

「銀河英雄伝説」 =第二章 自由惑星同盟篇=

舞台「銀河英雄伝説」実行委員会

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

まさか銀英伝で河村隆一×中川晃教が共演!河村=ヤン・ウェンリーは富山敬テイストで、魔術師ヤンの苦悩を演じた。馬渕英俚可さんジェシカ好演!
偉大なスペースオペラ「銀河英雄伝説」の第二章。
第一章 銀河帝国篇
外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編
外伝 オーベルシュタイン編
に続く、本編第二弾は、いよいよ「自由惑星同盟篇」、ヤン・ウェンリーが登場。
(ちなみに、中川晃教=ポプランによる「銀河英雄伝説 撃墜王篇」が、今年8月に上演。「天王洲銀河劇場」(銀河つながり))

まさか銀英伝で河村隆一×中川晃教が共演するとは思いませんでした。
河村=ヤン・ウェンリーは富山敬テイストで、魔術師ヤンの苦悩を演じ、ご本人も富山ヤンの雰囲気を意識されており、
また、DVDBOXを10回以上観たというだけあって、結構違和感がなく、観ることができました。
ところどころ、富山さんかと思うほど似ていたところもあり、別に真似がいいわけでは無いにしても、
イメージを壊さない努力に好感が持てて、物語にすんなり入ることができました。
中川晃教=ポプランは、こちらは中川さん個人のキャラを生かしたふざけぶりが御愛嬌。

まだ初日2公演目のためか、若いアンサンブルの男優は、「なんていうか忘れちまったぜ」とか言うし、
超ベテランの西岡徳馬さんですら、冒頭の戦争の歴史を語る部分で、結構何度か噛んでおられたりして、最初のうちは安心して観ることができませんでした。

物語のほうは、ヤンととジェシカの物語を軸に、もうアニメで何度も見た話「イゼルローン要塞の攻略」ですが、(話を知っていると)なかなか盛り上がっていて、面白く観れました。
(ちゃんと「ゼッフル粒子」が出てくるのもうれしい。)
特に、ヤンは和平交渉のためと思って味方の犠牲なしで、占領したことが、逆に、帝国への侵攻につながってしまうという皮肉。

「恒久平和なんて望みはしない。望んでいるのは、たかだか数十年の平和だ。」

ジェシカ役の私の大好きな馬渕英俚可さんは、いつもちょっときつめの役が多いので、今回もぴったりでしたが、
ジェシカは、もう少し大柄なイメージだったかも。(アニメの印象が強くて。)
歌も歌われ、好演でした。ぜひ、今後も同じ役で続投してほしいものです。

やはり、壮大なオーケストラ音楽がとても効果的で、感動的です。
エンディングで全員が主題歌を歌うのもいい。


さて、毎回問題になる、艦隊戦の表現ですが、こちらは図形で陣形を表すアニメーションを、舞台上スクリーンに投影。
また、一部、囮のニセ帝国軍宇宙艦は、CGアニメで表現。
その他大勢の戦艦は、光る点々に。

スパルタニアンの戦闘は、CGと、パイロットの俳優による格闘アクションで表現。
したがって、1隻のデザインが分かるのは、囮のニセ帝国軍宇宙艦と、スパルタニアンくらい。
スパルタニアンに撃たれるだけの帝国軍戦闘機(名前忘れました)も出てきたようですが、形が確認できなかったような…。
…という、何かちょっと中途半端な印象でした。

さて、どこまでも続きそうな『銀英伝』。
もう、ここまで来たら、本編、外伝、すべて完全舞台化しましょう。

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

「乱痴気」ヨカッタ。
オリジナル&「乱痴気」バージョンを。

17日にオリジナルを鑑賞。なんか「宝塚歌劇~庶民ver.~」のよう。

ストーリーよりも、宝塚では滅多に見られない「後ろの方でこちゃこちゃやってる小ネタ」が、すっごく良かった!すっごくおもしろかった!谷啓さんを思い出しちゃった(笑)

90分くらいの上演時間にかかわらず、速い展開&セリフ回しに、ボクはくったくた・・・連れは「時を忘れた」らしい。女の子は好きなんだなあ、こういう舞台。

とまあ、「やっぱ柿喰う客のテイストは、消化しきれんな」って感じだったのだが・・・。

19日の「乱痴気(←役をALLシャッフル)」を観て・・・ボクは、「やっぱ柿イイわぁ!!!」となっちまった。

ま、連れは「ダンカン(荻野友里さん)が、しょぼい貴族になっちゃった・・・」とセツなそうにしてたけど。 ま、ダンカンに一目惚れしてたから、これは仕方ない(笑)

ボクは、乱痴気を見て「アテ書きか?」と思うくらいに、役がハマってたと思う。

特に、「二の魔女」の渡邉安理さんと「マクベス妻」の新良エツ子さん。「門番」やらいろいろと演った岡田あがささん。この3人が、すっごく良かった。

岡田さんの門番は、「ん?股間がモッコリしてないか?」と目を凝らしちまった程、ハマりまくりのぶっ飛びまくりだった(笑)

深谷由梨香さん(オリジナル)、七味まゆ味さん(乱痴気)の2人のマクベスも、とっても良かった。
七味さんは、登場したとたん思わず笑っちまったけど(笑うシーンではない)。もう、昭和40年代の宝塚の男役っぽくて(←NHK-BSでしか観てないんだけど)。

音楽&照明のカッコよさは言わずもがな。

スパークリングワインでも一杯飲んでから観るとイイかもしんない(笑)

ネタバレBOX

でも、古典を今風に仕立てるのって、落語じゃ既にやってるわけで・・・。

そういう意味では、オリジナル脚本の作品を見たいかな。
エゴイズムエコロジー

エゴイズムエコロジー

Oi-SCALE

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

茜を軸に記憶を彷徨う物語
茜のキャラクターを4人の女優で演じる。

ネタバレBOX

これが茜という人物像を自分の好きな女優に置き換えることが出来てかえって良かった。男の妄想から茜に行き着き、茜の映画を撮ることになる。男は茜が好きなのに告白できない。

やがて男は茜の死を知るが、と同時に茜の嘘も暴かれ茜の本当の人格を垣間見る。鳥になりたいと言った茜は鳥になれたのだろうか。男と茜の物語。
コント遊園地(誘艶恥)始めました

コント遊園地(誘艶恥)始めました

『劇団 もより駅は轟です』

劇場バイタス(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★

失笑と苦笑
全体的にふつう。遊園地コントなのだからもっと爆発的なものを期待していたけれど瞬発的に笑えたり滑ったり。

時代劇「椿版・どん底」

時代劇「椿版・どん底」

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

哀しいほどにアツい。
スズナリの場内に入ると、もうそこは貧民窟(ま、スズナリの建物自体も相当なもんだが)。すごいセットだ。

席にバッグを置いて、軽めの夕食に、スズナリ&シアター711で観る時は「たいていココ」の四文屋なん八へ。黒ビールそして禁断の食べ物になりつつある一品等々を腹に流し込む。

席について(ベンチシート)、セットを見上げれば、自分がこの貧民窟の住人になったよう。舞台上で、江戸の女男が、語り生き死に笑い諦め怒り歌い踊り食べ呑み、また語り笑い怒り飲み食べ・・・。

ここの住人になったような気分になってるのに、その中に入れないのがもどかしいくらいに、それぞれの人が「濃ゆくて魅力ある、思わず話したくなっちまう人たち」なんだよなあ。

でもさ、ロレツのまわらない役者だって、落語『お直し』のカミさんのような遊女だって、紙屑ひろいのオバチャンだって、艱難辛苦乗り越えたイイ顔してるんだけど、あのなりのままで、山手線内で会ったら、同じように触れ合えるんだろうか・・・。 思わず「街に出る時ゃ、小奇麗にせい!」って説教しちまいそうだ(←なんかダメな気がする、人間として)。

結局のところ「ボクは、ココには絶対に染まらない」という感情があるからこその「イイ顔してるなあ」なのかなあ。

だからなのか、「俺は必ずここを出る」と言ってた磨き屋の男が、最後に踊り狂う場面・・・これにはグッときた。思いがあふれた。

どん底でも、力強く、したたかに、あたたかく、泣いて笑って生きて行く人たち。魅力的なんだけど、目先のことでいっぱいいっぱいになってる人たち。店賃がロハになったところで、どうなるものか。。。

なんか、いろんな思いが寄せてきたなあ。

スズナリからの帰り道。心の中は熱熱でした。

ネタバレBOX

やっぱ外波山文明さんはイイなあ。

「このヒト(←もちろん登場人物のこと)、まともっぽい感じだけど、昔は道楽してたんだろうなあ」という匂いがプンプンしてたもの。

『四畳半襖の下張』の禁断症状が出てきちゃった(笑)
カルテット! 4/25浦安公演

カルテット! 4/25浦安公演

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★★

素敵で贅沢なクラッシックミュージカル!
艶やかで輝きあるクラッシック演奏でのミュージカル!
とっても素敵で通常の演劇とはまた違う満足感・高揚感でした。

どんなにか贅沢な時間になるか楽しみながらも
クラッシックで歌うのは難しいだろうな~合うのかな~と僅かな疑問も。
そんな疑問が再度頭をよぎる場面も多少はありましたが
それを上回るほどの歌声・芝居・演出でした。

ブレがない落ち着いたクラッシクの演奏に、主人公の若さ・ハツラツさ。次男故の?天津爛漫さや、優柔不断な父・しっかり者の母・イマドキな長女と
ハッキリしたキャラクターが良く映えていたと思います。
エハラさんの登場やバイクのシーンなど、クラッシックとはかけ離れた演出も舞台を活かした演出も意外性があり私はとても楽しめました♪
開くんとお父さんが見ていた星空もとても綺麗でした。

私は息子を持つ母なので、秋元さん演じる母に共感しながらも感慨深いものがありました。ママへも是非是非お勧めの舞台です。

I was Light【終演いたしました。】

I was Light【終演いたしました。】

エムキチビート

シアターサンモール(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

見えない物語
生演奏がとにもかくにもカッコ良かったです。

見えないものと見えているものが交錯する不思議な物語。ただもう少し尺が短いよかったと思います。

ネタバレBOX

単純に色々詰め込みすぎた感は否めません。それ自体が悪いわけではなく、それを演出し切れていない(使い切れていない)のが残念です。全体がぶれて見えるのは、キャストのせいではなく演出の問題だと私は思います。


でも星五つ
カルテット! 4/25浦安公演

カルテット! 4/25浦安公演

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

クラシックは良い!
映画は観ていませんでしたので、今回初めて「カルテット!」の世界に触れました。
家族それぞれが胸に何かを抱え、それを互いに認め合い溶け合っていく様が観ていて心地よかったです。
幾度か歌のパートで役者さんが苦しそうだなぁと思うところもありましたし、4人がバラバラなことを歌う場面では何を言っているのかさっぱりでした。(家族の心がバラバラ…という演出でしたら流石です)
秋本さんはさすがの声量・迫力でしたね。圧倒されました。
他の家族もキャラクターがしっかりしていて好印象でした。
エハラマサヒロさんは一人で笑いのパートを全て持っていきましたね!
ボイパもまくし立てるような怒涛のネタも素晴らしかったです。すごいなあ。

しかし一番の見所は演奏の方々のパフォーマンスではないでしょうか!
對馬哲男さんのバイオリンや井上雅代さんのチェロが流れ出すと、途端に空気が艶やかになり、心地よかったです。

山根一仁さんのミニコンサートを聴く事もできましたし、満足です!

ネタバレBOX

気になったのが上記にもありますように、役者の声域です。
低すぎて苦しそうだったり、飛び跳ねるような高音が危なっかしかったり、一番気になったのは母と娘の声質がかなり似ていること。
2人で唄われると何がなんだか。

それから夫婦の離婚の危機はどうなったのでしょうか?
唯一複線が回収されておらず、一緒に行った友人と悶々としながら帰りました。
これは映画や原作を読みましょうということなのでしょうか。。。
深海のカンパネルラ

深海のカンパネルラ

空想組曲

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/04/15 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

初日
観てきました・・。

あとでもうちょっと書きます。

俺以上の無駄はない

俺以上の無駄はない

MCR

駅前劇場(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/17 (火)公演終了

満足度★★★★

可笑しさの奥に広がるもの
観る側を休ませない舞台の面白さが
様々に醸し出されて、
いろいろに笑って、
そのおかしさの瞬発力や
じわっとくる感じが霧散したあとに、
舞台にいつしか満ちている
この劇団のお芝居の肌触りに捉えられて・・・。

気が付けば、舞台を満たす
行き場のない諦観のようなものに
強く縛られておりました。

ネタバレBOX

姉弟喧嘩は
芸を超えて芸術の域かと・・・。

役者のにらみひとつで
舞台が観る側を凌駕して掌にのせてしまう。
物語の設定も奇抜といえば奇抜なのですが、
でもそれが、単に可笑しさだけではなく
観る側を共振させる、
生きることの原点に近い部分にある
想いを削ぎ出してくれる。

ある意味理想の姉の姿を
病状の悪化と表現する凄さ、
素でぶつかり合う不毛な中にある
不可思議な慰安、
その表現の切れ味に
観る側の不思議な居場所が生まれて
嵌りこんでしまう・・・。

どの役者をとっても
演じるキャラクターに
したたかなはみ出しがあって、
癖になるような笑いが生まれて・・・。
その中に、猥雑な日々のなかの
孤独のようなものが
次第に色を増し、
やがては舞台を浸し尽くすような空気となって
醸し出されて。

主人公たちの編み上げる刹那の想いが
楔のように刺さっていて
その世界から暫く抜け出ることができませんでした。
エゴイズムエコロジー

エゴイズムエコロジー

Oi-SCALE

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

ああそうなんだ
そうだったんだ。

ネタバレBOX

難病治療のために全国の病院を探しては通院していた茜(女性)がたまたまいた東北で津波に遭って死んだことを悔やむ緑(男性)が、思い出の場所でビデオを撮りますが当然彼女は写っていません。心を病んだ緑は、それを彼女が映像の中から抜け出して消えてしまったと思い込み、女優を雇って茜の思い出をもう一度ビデオに残そうとする話を縦糸に、緑の妄想のためか、茜にも虚言癖があったのか、真実とも虚構ともつかぬ茜の生活や属性が明かされていくという横糸が織り込まれた話。

茜のお姉さんからの一年間思い続けてくれてありがとうで全てが分かり、あれから一年が経ったことがひしひしと伝わってきました。もういいよ、ホント立ち直ってほしいと思います。

写り込むからどいてくれと言われた女性が亡くなった茜の本当の姿だったのかな。緑が一方的に好きだっただけかもしれない茜の。

ところで、茜の架空の弟のエピソードを聞きながらスギちゃんを思い浮かべていたぜぇ。コンビニでとあるバンドのCDを全種類万引きしたんだぜぇ。そしてそれを全部川に捨てちまったんだぜぇ、ワイルドだろぅ。つい先日の木曜JUNKおぎやはぎのメガネびいきでスギちゃん号泣していたんだぜぇ。
淋しいマグネット

淋しいマグネット

ワタナベエンターテインメント

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/04/08 (日) ~ 2012/04/28 (土)公演終了

満足度★★★

White
「淋しいマグネット」Whiteを観た。
美しいセットの中で4人の少年の成長と残酷な言葉、
そしてそれがもたらす悲劇・・・。
結果を受け止めるには余りに辛すぎるのか、若すぎるのか・・・。

ネタバレBOX

海を見下ろす崖。
切り抜いたような青空が見える。
荒い波の音が聞こえる。
このセットが美しい。

ここで出合った4人の少年が共に成長し、バンド仲間となる。
その中の1人がこの崖から身を躍らせて消える、という事件が起こる・・・。
その原因の一端は自分にあると3人の誰もが思いながら大人になっていく。

舞台は、9歳で出会った4人の少年たちの無邪気な時代と
19歳で、少年の独占欲や孤立、残酷な言葉によって1人が欠けた時の衝撃、
そして29歳になった彼らがあの事件をどう受け止めているかが描かれる。
3つの時代が交差する合間に、消えた少年リューベンが遺した
ファンタジーと呼ぶにはあまりに痛切な叫びを持った物語が繰り広げられる。

リューベンの物語は苦しい本心であり、切ない願いでもある。
”愛し合っているのにNとSが反発し合って一緒にいられない
”磁石=マグネットは、自分で自分を壊せば一緒にいられると考える・・・。
誰かと一緒にいるためには自分自身を壊すしかない、という
このマグネットが最後に下した決断を、リューベン自らも辿ることになる。

屈託のない9歳の少年を演じる時の方が不思議と無理が無いように見えた。
友人の死を引きずって生きるという“負の青春”を言葉にのせ切れなかったのか
再会した3人はずっと同じトーン、同じパターンで会話している。
最後にシオンが作った機械が動き出したとき
多分3人の心が堰を切ったように溢れ出すはずなのだろうけれど
「あれ?おしまい?」と唐突に終わってしまった感があるのは
そこへ辿り着くまでの葛藤が聴こえてこないから。

一番呑気に見えたシオンが、実は誰よりも壊れているのではないか、
トオルも自分を壊したくて、敢えてシオンを裏切り続けているのではないか、
ゴンゾだけが、後悔の気持ちに押しつぶされ、それをみっともなく晒しながら生きている、
誰よりもリューベンの近くにいようとして・・・。
それら全てが吹き出すように伝わってくるのを期待したのだがちょっと残念だった。

スコットランドの作家による原作は、乱暴な若さ故の悲劇を等身大で見せる
とても良い脚本だと思うが、消化しきれていない感じがした。
劇中のダンスが素晴らしく、マグネットをはじめとする「モノたち」の
失敗と哀しみが伝わってきた。

スコットランドの洗練されない町の泥臭さが似あわないほど
イケメンBOYSたちはスマートですっきりした若者であった。
演じる彼らが、ラストで一気に解放されて花びらの中で号泣するような
そんな芝居を見せてくれる日を心待ちにしている。



















オーシャンズ・カジノ

オーシャンズ・カジノ

北京蝶々

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

動きまわる
とにかく役者が動いていた!軽快だけど重厚なエンターテイメント。
スタッフワークにも◎

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

カオス
確かに「悩殺ハムレット」よりは混沌としていた。
でも、素直に入りこめるのはいつも通り。
楽しかった。

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★

メガネが似合う
以前、どっかのマクベスを観た(まっとうな)イメージがあったせいかな、舞台が掴めなかった。

ネタバレBOX

上司を暗殺するマクベス、殺した罪に怯えるマクベス、突っ走って結局殺されるマクベス…パンフにある、一労働者が権力を持った人間に牙をむくという構図がぼんやりとしてしまった感。90分の中で15人の女優を料理した手腕はよいが、物語における主演二人の魅力がぼやけたような気がして、期待した充実感がなかった。

夫人に引っ張られる小心者のマクベスを深谷が好演してた。ATで触れてた「おぼん(トレイ)」を使った殺陣?は確かにサマになってた。かっこいい。ラストの、舞台奥へ消えるような演出も○。
夫人を演じた内田亜希子も良かった。クールな顔立ちでコミカルで残忍(というか冷酷)かつセクシーという幅広い演技が素敵。もっといろいろできそうな気がしないでもない。
マルカム役の我妻三輪子も、とろんとした顔立ちと相まって、魅力的だった。
岡田あがさと渡邊安里は、舞台で埋没せず、いい主張ができてた。特に岡田の医者とマクダフのワイフは笑えた。

女優に焦点にピントが合ってて、その意味で楽しめた。
カルテット! 4/25浦安公演

カルテット! 4/25浦安公演

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

音楽の持つ純度の高さ
 ストーリーとタイス、カノン、ボレロ、G線上のアリアなどの名曲が並走することで、話の展開が境界を踏み外すことなく、同時に本質的な展開を可能にして、心の洗われるような大団円に持ってゆく、そんな舞台であった。楽しめる。

深海のカンパネルラ

深海のカンパネルラ

空想組曲

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/04/15 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

溢れる涙…
まさかこんなに涙が溢れるとは思いませんでした。心をぐわっと大きく掴まれました!観に行って、ほんとによかったなぁと思った作品です(^^)

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★

みた
ハムレットの方は見ていない。
音楽に乗せて古典のせりふを喋るというのが、かなりハードルの高い技なのかも知れないと思った。そんななか、バンクォー役の方は頭ひとつ抜けていた。また、マルカム役の方が独りであれこれ語る場面は無音で、そのためか気持ちのいいほど伸び伸びして見えた。魔女の場面にだけ音楽を使っていたら、もっと聞き取り易くてもっと悪ノリできていたのじゃないかと感じた。露出狂とは別物と分かっていても、ああした描き分けと悪ふざけを期待していたのだと観終わって気付いた。
好みの問題はもちろんあるけれども、柿食う客はもっと面白くて、マクベスももっと面白いと思う。

uni018 人間双六演劇 『神だのみ』【全ステージ終了しました!ご来場のお客様ありがとうございました】

uni018 人間双六演劇 『神だのみ』【全ステージ終了しました!ご来場のお客様ありがとうございました】

演劇活性化団体uni

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

うに、にかいめ
個人的に追っかけしている(←うわーなんて粘着質な!)
劇団さんの公演。前回公演「溶かせばいい」に続き二回目の観劇となった。

とにかく不思議なことをやり続ける集団だと、ありきたりな言葉でしか綴れないことがもどかしいが、そう感じた。
コーラとポップコーンを片手(両手か?)に抱えながら、
観客さながら(うん、観客であることに間違いは無いのだが)楽しんでしまった。楽しかった。本当に。

ネタバレを気にし始めると何も書けなくなるが、ハッピーになりつつ考えさせられる部分もあったと言えば間違っていないだろうか。
純粋に、双六演劇という銘の通りの博打感を楽しむだけでも意味のある公演だったと感じた。

ありがとうございました。

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