
パサージュ1
あごうさとし
カフェ・モンタージュ(京都府)
2012/11/23 (金) ~ 2012/11/25 (日)公演終了
満足度★★★
で、アウラは…
画像の中で役者と語らう字幕の上に存在するのだろうか。
あるいは役者と語らう本人の映像の中に存在するのだろうか。
舞台表現の中に画像(人間を含む)が登場することはもはやさほど珍しいことではないはず。問題はそれがどこまで複製可能か、ということであり、それが今回のパフォーマンスの意義だったのだろうと思うけれども…。
今日行われたことが明日も同様に「複製」のように行われるか、あるいはTPOが変わった場合でも全く同様な「複製」として提供できる質感を持つのか、という点については、正直曖昧でよくわからないままだった。

パパ・タラフマラの白雪姫
パパ・タラフマラ
北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)
2012/03/29 (木) ~ 2012/03/31 (土)公演終了
満足度★★★★★
打ち上げ花火の切なさ
「パパ・タラフマラの白雪姫」を観る。
初演よりナチュラルなトーンになった印象。そして、これがパパ・タラフマラとしての”大千秋楽”。この作品をオーラスに持ってきたことが、一つのメッセージなのだろう。一時期のケバケバしい祝祭感はなく、軽やかで穏やかなクロージング。打ち上げ花火の切なさ。

ポツドール『夢の城 -Castle of Dreams』
ポツドール
元・立誠小学校(京都府)
2012/10/25 (木) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
間接的体験として
70年代のあのような露骨な描写は、より直接的で観客を「煽る」ものであり、それ以上でも以下でもなかった気がする。
でもこの作品では、敢えてスクリーンで舞台までの距離を視覚でとらえる以上に強く仕切り、淡々と時刻をその上に刻むことによって、それがより現実的に、実際には見えていないどこかで営まれている行為であり、存在する状況であることを強く認識させてくれるような気がした。
どこかにいるであろう彼ら、食べて、寝て、まぐわって、放出し、排出し、次の一瞬のことすら考えていないような彼ら。そういう存在が「確かに」在り、それは自分たちのことでもあるのだと身体の深い内部を見せられたような気持ちになった。

うみの音が見える日
スパイラル
スパイラルホール(東京都)
2012/03/27 (火) ~ 2012/03/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
人の姿をした祈り
スパイラルでPOWER OF ART DANCE SERIES VOL.1「海の音(こえ)が見える日」を観る。
いきなりセーラー服でAKB48の「ヘビーローテーション」で踊りだす黒田育世、おいおい(笑)。
やがて、「古事記」の朗読〜詠唱で舞踏チックな動きになる(笠井叡振付なのでオイリュトミーの語彙か)。もはやダンスではない。シャーマンを思わせる境界な身体。やがて、自ら詠い始める。アマノウズメはこんな風だったのかと思う。
後半は穏やかなダンスっぽくはなるものの強度が下がる。やはり前半の迫力、いや凄みとおかしみ、に圧倒される。アンコールに立つのもギリギリまで、命を削るような踊り。人の姿をした祈り。

Tea for Two
劇団ソノノチ+トランポリンショップ
壱坪シアタースワン(京都府)
2012/11/06 (火) ~ 2012/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ソノノチ版
で、こちらはやっぱり若いせいか、質より量(失礼!)で女優の勢いの方が圧倒的に強かった。
アクースティック・ギターの応援も虚しく、男優(阿部潤)くんはちょっと圧されてしまった感がある(下手だったわけではないのよ)。というかそういうつくりになっていたのかしらん。
いずれにしても強く感じたのは田辺剛は「書く」人間だということ。何気ない会話を積み上げていき、最後にふわり、とそれをひっくり返してみせる(新しい展開を予想させながら終わる)という技はとても見ていて心地よい。

新春浅草歌舞伎
松竹
浅草公会堂(東京都)
2013/01/02 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
若手の初大役
新春の初歌舞伎はやっぱり「寿曽我対面」です。綺麗でおめでたい感じがとても好きです。
私的昼の部の目玉は、松也さんの五郎に壱太郎さんの十郎。歌舞伎座では観られない若々しい曽我兄弟でした。
正直、形を取るのが精一杯というのが透けて見えましたが、大役に挑戦する若い役者さんというのは、こちらも観ていて気持ちが引き締まりますし、この先の楽しみを思うとなおさら、今この時期を見てよかったと感じます。
海老蔵丈も夜の部の口上で「15年前、新之助時代にここでやらせてもらった武蔵坊弁慶が……」と、初大役の思い出を語っていました。
その海老蔵は幡随長兵衛が初役。
新春浅草歌舞伎は、これからもそういう場であってほしいですね。
(来年は梅枝に八ツ橋やらせて。個人的なお願い。)
予想どおりですが、会場は海老蔵ファンでいっぱいでした。
拍手の音が違うもの。昼も夜も海老蔵祭。
でも、隣の女性は夜の部「毛谷村」の杣斧右衛門が海老蔵だとは気付かなかった様子でした(笑)

Tea for Two
劇団ソノノチ+トランポリンショップ
壱坪シアタースワン(京都府)
2012/11/06 (火) ~ 2012/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★
トランポリンショップ版
こちらは店主の男性の比重が高い演出だったように思う。父が始めた喫茶店をそれほどの意図もなく継いで、それでも守っていこうとする息子。
幼なじみの父に対する憧憬をさりげなく交わし、かつての同僚の密かな想いにも気づいているようないないような…
でも、それでも父の店を守る、というひとつの価値観が彼を一人前に見せていて、『tea for two』の『二人』の意味は『父と息子』なのかなあ、と思わせる雰囲気だった。

go-on ~からだの森をゆく~
京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
京都芸術劇場(京都芸術大学) 春秋座(京都府)
2012/05/12 (土) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★
新作というより、改作か。
京都芸術劇場で「go-on からだの森をいく」を観る。
伊藤キムさん7年ぶりの新作というので楽しみにしていたが、ある意味想定通りな「on the map」のバリエーションか。あるいは「劇場遊園」? 個人的には「on the map」の再演の方が良かったかも。
今回はダンサーに学生も入っていて、半分文化祭風味。良くも悪くも。今回のダンサーは、元輝く未来の若手もいて、遠田誠、森下真樹、黒田育世、白井剛らの次の世代の広がりに驚く。中でも、梶原未由さんが、いい味出していた。
あと、iPadで撮影していた記録係?広報係?の方の踊るような、っていうか躍るステップが素敵でした。

サロメ
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2012/05/31 (木) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★
この解釈もあり。
宮本亜門「サロメ」を観る。
思春期の清純無垢なサロメ? 形容矛盾の感があるが、つまりは子どもなのだ。初恋の人に無下にされたから、カチンときて、首をちょん切っておしまい! っとハートのクイーンになったのだ。一人占めしたかったのだ。なるほど、その解釈もあるかもしれない。
従来の文語調では合わないが、平野啓一郎の現代口語訳、それも10代前半?であればしっくりする。しかし、阿部貞のような狂気ではなく、ヌイグルミを欲しがるようにヨカナーンの首を欲しがる。子どもの無邪気が狂気にまで昇華していないところが微妙。
衣装はヨージデザインではなく、ヨージのコレクションからコーディネートしましたって感じでがっかり。ああ、だから衣装協力なのか。音楽も控えめな演出のため、内橋和久ファンとしては物足りなく。
鏡を使って地下の水牢を見えようにした美術も、キチンと見えるのは前列だけで、中央でも見切れてしまい、後列では鏡の意味なし。むー。ラストの白い世界に赤い血が広がるシーンは、いかにもなダブルミーニングでやれやれといった感じ。
麻美れい、奥田瑛二の二人はもちろんだが、多部未華子が予想以上に良かった。振れ幅の大きいキャラクターを上手く演じた。もっとも、ダンスがぐたぐたの演出で残念。全般的に残念感があったが、多部未華子の演技の可能性が見られたので良しとする。

はだかの王様
地点
京都芸術センター(京都府)
2012/09/22 (土) ~ 2012/09/26 (水)公演終了
満足度★★★★★
コドモ向け
だとしたら、私もコドモになりたいっ!
コドモのうちからこういうパフォーマンスを見る機会に恵まれたら…それはスゴいことだと思う。
役者は当然として、最近は衣装がとても気になっているのだけれど、今回はコドモ向けでかつ「ハダカ」なのだからどういうものになるのかな?と思ったら、やはりいつものように面白い継ぎ接ぎアレンジのステキな衣装だったので、それにも楽しませていただいた。
総合的にはいつもの『地点』から、さほど新側面を切り出したとは思わないけれど(悪い意味ではありませぬ)地点の観劇者がちょっとでも増えればいいなぁ、というきっかけにはなったかな?

パブリック・リレーションズ
JACROW
OFF・OFFシアター(東京都)
2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了
満足度★★★★
初JACROW
以前より気になっていた劇団。今回チラシを目にし40割引をうれしく感じ、しかもPR会社とTV制作の話!??と内容も気になりました。「目指すは普通じゃない普通の物語。」なるほど。その通りでした。
![池田亮司『datamatics [ver.2.0]』](https://stage-image.corich.jp/img_stage/m/299/stage29996_1.jpg)
池田亮司『datamatics [ver.2.0]』
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭
京都芸術劇場(京都芸術大学) 春秋座(京都府)
2012/10/20 (土) ~ 2012/10/20 (土)公演終了
満足度★★★
今ひとつ…
画面自体はとても面白かったのだけれど、春秋座のような大きな会場で、一定時間おとなしく座って見るものではないな、と感じた。
で、先日東京現代美術館で開催されている『アートと音楽』において、この作品が小さいとはいえ複数のディスプレイを使い、通路のような部屋の壁面に並べられ、その前を自由に行き来しながら見ることができる状態で展示されていたので「やっぱりこれだよ!」と思った次第。

幸せはいつも小さくて東京はそれよりも大きい
アマヤドリ
STスポット(神奈川県)
2012/05/24 (木) ~ 2012/05/28 (月)公演終了
満足度★★★★
アマヤドリ、スタート。
(ひょっとこ乱舞改め)アマヤドリ「幸せはいつも小さくて東京はそれよりも大きい」を横浜STスポットで観る。
前回の公演「うれしい悲鳴」が大掛かりだったのでそのイメージでいたが、今回はシンプルでコンパクト。3年前の作品の改訂版とのこと。なぜか、FLIPLIP「オモイオモイ」を思い出す。トーンが似ているのかな。
仲良したちの小さな閉じた世界。マレビトと厄災。優しい善良な小市民が立ち上がるとき、不幸が始まる。ひっそりと暮らしたかったのに。ストーリーとしては、陰鬱にもなりかねないところを、軽めの動きと音楽で上手く中和している。やや時代な感じ?もあり。前回に比べると、若干物足りなさはあるかなぁ。

翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)
バナナ学園純情乙女組
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/05/24 (木) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
カオスの質量
バナナ学園純情乙女組「翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)」を観る。
一応、ロミジュリ、リヤ王、オセロー、夏の夜の夢など、シェイクスピア作品のキャラが溢れ出し、チェーホフ、ゴドー、マリオも参戦って感じのカオス。チップとデールが可愛いかった。
今回は、おはぎライブに、演劇的要素を加えた感じだが、爆音の中のセリフは聞き取りにくく、キチンと聞けたのは、長台詞のカモメのマーシャくらいかな。言葉にすると、熱量や疾走感が伝わりにくい。やはり、おはぎライブの方が動きに集中できるから、濃いイメージになる。
今回も、水、米、ワカメ、ボール、ゴミ、スカート、Tシャツ、チラシなどが、紙吹雪の中でばら撒かれ、繰り広げられる阿鼻叫喚。水だのわかめだのの飛び交う劇場は、さながら「テンペスト」。そこまで仕込んでる?
はっ! 瞳子さんがプロスペロー?!

ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ
劇団☆新感線
東急シアターオーブ(東京都)
2012/12/19 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了
満足度★★★
期待ほどではなかったというオチ
今年の初観劇、過去の2作品がとても面白かった「五右衛門ロック」ということで、かなり期待して行ったのが敗因でしょうか。
ストーリーは捻りがなく(捻ってみせているようで予想の範囲内)、長時間の芝居に途中退屈するところもたびたびありました。
歌とダンスも、前回よりインパクトがなかった気がします。
それでも、高田聖子さんは素敵だし、シャルル役の浦井くんも可愛いし、映像で登場するあのお方にも嬉しくなり、結局は楽しんだのですが。
役者を見る分には楽しいと思います。お祭りだし。
私が見たのは2階席前方中央だったのですが、1幕では音響が悪く、歌詞がよく聞き取れませんでした。2幕ではマシになっていたのですが、音響が幕間に改善されたのか、単に耳が慣れたのかはわかりません。
シアターオーヴが、新感線にあっていないのかも。
12,500円というチケット代を考えると、ちょっと残念。もう少し安かったら、満足度が高かったのかもしれません。

まだ踊る
黒沢美香
慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)
2012/06/17 (日) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
まだまだ踊るんですね。
黒沢輝夫・下田栄子・黒沢美香「まだ踊る」を観る。ある意味で石井漠の流れのモダンダンスの歴史。実質的には黒沢・下田門下の同窓会かと。意外に?キビキビ踊る黒沢美香さん、ここではいつまでも娘なんだなぁ、と思う。

絶交わる子、ポンッ
康本雅子
シアタートラム(東京都)
2012/06/28 (木) ~ 2012/07/01 (日)公演終了
満足度★★★
ポップなノリと勢い。
康本雅子「絶交わる子、ポンッ」を観る。
キレの良いダンサーを集めての、ポップなショートショート集の感じ。それぞれのシーンは、ダンサーの個性が出ていて面白い。
中でも、あらた真生さんは、シーンに合わせてくるくる変わる感じで、幅の広さを感じさせる。
小難しい話はなく、ポップなノリと勢いで、一気に駆け抜ける。ある意味で万人受けする、「今」っぽい作品。この世代の傾向なのかな。

夕顔のはなしろきゆふぐれ
維新派
デザイン・クリエイティブセンター神戸(旧神戸生糸検査所)(兵庫県)
2012/07/12 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
室内作品では一番雰囲気があった。
神戸で維新派「夕顔のはなしろきゆふぐれ」を観る。
大阪という街へのオマージュか。白い室内に椅子を使ったミニマルな感じ。パースを効かせた舞台装置が、不思議な空間のねじれを表す。ライティングも美しく、室内作品では一番雰囲気があった。

ピーター・ブルックの魔笛
彩の国さいたま芸術劇場
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(滋賀県)
2012/04/07 (土) ~ 2012/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
うふふふふ
進行役の二人が長い竹を両腕に持って、それをあちこちに突き立てることによって「場」が変化していく。
特に『魔笛』という作品はいろんなヒトがいろんな場所でいろんな状況のもとに動いていくのでブルックのようなミニマルな形式で演出する場合はどうなるのかとても興味があったのだけれど、この「竹方式」はすごく面白かった。
かつての『カルメン』の時は(見てるってことでそれなりの歳であることがロコツにわかるな)もっとオペラちっくにそれぞれのアリアが処理されていて、ある意味原作に忠実につくられていたという記憶がある。
でも今回は何と言うか、とてもピュアな「エロス」に焦点が当てられていたような感じ。「愛」があり、それは難関を越えて結ばれて、豊かな子孫に継がれていって、そしてそれは万世共通に行われるべきまさに「生命」の営みなのだという理念が、とても柔らかな美しいトーンで語られていたような気がする。
というか、ピーター・ブルックの作品を見た後はいつもこういう気分になったなぁ…ということを思い出しながら考えていたから、よけいにそう思うのかもしれないけれど。

伊藤千枝/珍しいキノコ舞踊団『3mmくらいズレてる部屋』
ダンストリエンナーレトーキョー
スパイラルホール(東京都)
2012/09/27 (木) ~ 2012/09/29 (土)公演終了
満足度★★★
成熟、なのかな。
なんだか、ルーチンを流しているような感じに見えました。
昔はもっと苦悩して、とまどいながら、ぎりぎりまで、でも真摯に踊っていたように思うけど。
なにやら、パターンを作り上げてしまったみたいで、かつてのような新鮮さは見えなくなってきました。
それは、成熟した、ということかもしれません。もう大御所ですね。