プルーフ/証明(谷 演出ver.)
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
満足度★★★
proof
何度観ても面白い戯曲です。キャストが変われば関係性も変わるので、退屈もせず。
ネタバレBOX
谷さんがサンモールスタジオで上演した時も客席中央通路を出ハケに使ってました。爆音が鳴るのも同じですが、選曲が全然違いました。下手奥の穴は今回が初めて。
笑うゼットン
トツゲキ倶楽部
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
初見の劇団でしたが、
すごく練られた脚本、役者陣ひとりひとりの演技力も良かったし、本当にいい作品でした。(お金があれば)リピートでもう一回観たい。
磁界
浮世企画
新宿眼科画廊(東京都)
2013/05/17 (金) ~ 2013/05/22 (水)公演終了
満足度★★★
「うわぁ、いるいる!」系の人たちの物語
浮世企画は、主宰の方がカムヰヤッセン『やわらかいヒビ』の
初演に客演した時から気になっていました。今回観ることが
出来て本当に良かった。というか、いちいち爆笑してしまった。。
ネタバレBOX
とにかくダメダメな男たちばかり出てくるのがいいです(笑
一番笑ったのは、登場人物の一人が勤めている町工場の、
二代目若社長。どうせ俺なんて…系の、なにかすごい勢いで
こじらせている、かなり面倒くさい人なのに、アイドル(しかも
14歳!)にだけは熱くなる、という、相当なアレっぷりに笑った。
でも、この作品、一番すごいのは、中盤の山脇唯でしょう。
「人間AIBO」からはじまって、恋人の浮気相手がマンションを
訪れた時の、ハイな飛ばしぶりは、客席のほとんどの人の記憶を
一気に奪い去ったと思う(笑 すごい勢いで笑いが起こり、正直
他のシーンの記憶が。。。
最前列だったので、「この泥棒猫がっ!」って叫んだ時、耳が
すごいことになりました。あと、「一軒目はハワイアン~」
すっごく笑いました、ナイス。
チケットが連日完売した本作品。後味もよく、上演時間もちょうどよく
佳品といってもいい話だと思います。
磁界
浮世企画
新宿眼科画廊(東京都)
2013/05/17 (金) ~ 2013/05/22 (水)公演終了
満足度★★★★
得難い経験
村上航がとにかく存在感抜群。冒頭シーンから無茶苦茶引き込まれる。クセが強いのにクドくない。普通に考えればいるはずないのに、存在を受け入れさせる演技が素晴らしい。新宿眼科画廊で間近に観れたのはホントに得難い経験。
ネタバレBOX
鈴木アメリも良かった。分かり易いベタな演技が下手に見えないのはやはり上手さだろうと思う。あと、椅子からスッと立ち上がった際の立ち姿が綺麗で感心した。何かオーラに近いものを感じてしまった。
山脇唯と榊菜津美と岩田裕耳の修羅場は見応えあり。特に山脇唯がちょっと錯乱気味にセリフ吐き続ける場面は出色。あれは気魄に圧されてゾクっとする程で正に修羅場。
全体では出てこない主人公の周辺描写を通じて、駄目な人間像を浮き彫りにされていくという流れだが、実態は周りの人間の強烈な個性を楽しむ群像劇か?終盤のシーンで劇中劇と捉えて良かったのかな?75分と短めなのにちょっと構成が掴みづらかったのは残念。
獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
「異質なモノ」が「当たり前のもの」になる過程
見る者を幸福の渦中に突き落としてしまう、謎の柱をめぐる
人々の物語。というより、寓話に近いと思います。
百年前と現在とで、人々の柱のとらえ方がまったく
違っていることに、今自分が生きている現在でも
同じことってあるんだろうな、とふと感じていました。
ネタバレBOX
なかなかに考えさせられるテーマを持つ作品でした。
天から、神話の世界よろしく、人々に刹那の幸福を与える柱が
落ちてからというもの、目にするだけでマトモな日常生活を
送れなくなるような幸福感に包まれ続けるため、それまでの
文明社会は崩壊、
人々はそれこそ神話の世界のように都市部から田舎へ群れを
成して逃げていくが、ある程度の人口が確保されると同時に、
柱はそこにも落ちてくる。まるで「天の目」によって監視されて
いるかのように…。
百年前は災いを呼ぶ存在であったはずの柱が、現在では
人々の悩みを解消させる神として、「ミハシラサマ」として
信仰の対象にまでなっている皮肉、
百年前、それを見越した、田舎の村の代表者が、逃げてきた
研究者に柱を分析させる中で言い放った言葉、「悪い予感が
する。今、君たちがやっていることは意味のあることだ。柱の
存在についてはこれからの未来、何かイヤな感じがする。
ヘンに特別な存在として認識されるのはよくないよな」。
はたまた、柱が降る前に、同じ効力を持った隕石や変化した
看板などの登場で警告がなされていたにもかかわらず、
数少ない警告は無視され、黙殺されていた事実。
そして、百年後の現在、「柱は人々に幸福を与えてくれる、
尊い存在だ」という考え、というより思い込みが主流となり、
誰もそれを疑わない、昔に村の代表者が懸念したことが
事実となり、柱を見ることができる人、柱の神性を疑う人は
村八分にされること。
逆に、柱を乗り越えることが人類の発展と信じてやまない人も
立場が反対なだけで、実は柱を信仰している人と変わらない、
ということ。
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なんか、今の日本を深く考えてしまいそうな、そんな内容でした。
ラスト、柱を見ることが出来る子たちが、自分たちを利用しようと
している大人たちの手を離れて、新しい世界に踏み出していこう
とする姿は、
この日本で、ひそかに芽生えつつある、新しい視野や考えを持った
世代の台頭をひそかに感じたような気がして興味深かったです。
けつあごのゴメス【全公演終演しました!!たくさんのご来場ありがとうございました!!!!】
劇団鋼鉄村松
ザ・ポケット(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
こ、これは!?
不思議な化学反応を観た。ポケットで、2800円で、こんなにたくさんの人が出ていて、別に有名ではないけれど熱量を帯びた若者がいて、いい年のオッサンもいて・・・でも、そのそれぞれがいい味を出していました。
ネタバレBOX
スタイリッシュなセットや、スペインを感じさせる音楽が鋼鉄らしからぬでしたがそれもまたいい化学反応。
ちょいネタが古いのは初演のままだからでしょうかね?気にはなりませんでいたけど。
山本タカ・・・ちょっとこれからも気にしておいた方がいい演出家なのか?
Poporon・Ainsworth(ポポロン・エインズワース)
SORAism company
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
結構
盗賊、犯人、探偵、背景、真相、様々考え抜かれた脚本だと思いました。
ネタバレBOX
産業革命で大金持ちになったものの環境汚染をもたらしたことへの憎悪を抱く一族の末裔の鬱屈した気持ちと、素行の悪かった当主に対する恨みを持つ者たちの殺意が絡んだ事件に、盗賊が付け入った事件。
『ぽぽろんの憂鬱』の中で、客演さんにスティングのことを重要な役どころですとか、茶色と白のスーツを用意していますとか言っていましたが、実際のスティングは銀色の毛並みの長い犬で、作演さんが大阪弁でツッコミを入れながら演じていました。それならば、時代も現代で良かったのではないかと思いました。その方が続編も作り易いのではないかと思うからです。
スティングがワンと吠える度に犬語を理解するポポロンが翻訳してしゃべり、事件を解決に導くという二者の関係はまるで毛利小五郎とコナンのようでした。時折、僕もほとんど同じようなことを考えていたよと負け惜しみを言うポポロンのキャラも憎めなくて、スティングがもう少し可愛ければシリーズ化もありだと思います。
刑事が新聞記者の頭を小突くシーンが多く見受けられましたが、作演さんの普段のDV生活が現れているようで嫌でした。
ハッピークイーンとイバラの姫
カラスカ
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★
チャレンジ公演と銘打つのがずるい
初日をみました。見た感想として、劇団員とそれ以外の芝居が違い過ぎて不自然でした。チャレンジとは上手く言ったもので、要は技術が足りないってことですよね。キャラの演じ分けや感情の切り替えがぎこちなくて、話に入れなかったです。あと、鼻声?な子が。滑舌どうにかしましょう。
チャレンジの割に、年齢は高め?ですよね。結構20代半ば以降な感じ。結構年齢いってそうな割に芝居が下手なので、何をもってチャレンジなんだろう。。とか色々考えてるしまいました。脚本は良く出来てたと思いますが、途中で筋が何と無く読めてしまいました。
仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
客入れから圧倒的なエンタテイメント
ここまで全力で客入れから楽しませてくれる団体を私は知らない。本編も終始楽しませてくれるだけでなく、最後には不覚にもグッときた。妖怪やアルカイダが出てきて、それでこのまとめ方。発想の飛び方含め、似ている団体が他に無い。唯一無二の存在だと思う。今回もお見事でした。
focus. 神話
ミームの心臓
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了
満足度★★★★
熱意に圧倒されました
拝見してみたら想像以上の勢いに圧倒されました。
しばしば置いてけぼりにされつつも、
はっとさせられるシーンが鏤められており、
それぞれの団体が単独ではどのような芝居を作られているのか
興味を抱かせられました。
けつあごのゴメス【全公演終演しました!!たくさんのご来場ありがとうございました!!!!】
劇団鋼鉄村松
ザ・ポケット(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
情熱と哀愁と
役者の年齢幅がとても広く、いいオッサンから若者までが一つになっていて、ポケットの客席までを上手に使っている演出が冴えていた。
ただの冗談の応酬のようなシーンの連続ではありましたが、気が付くと感動してしまう不思議な体験をさせてもらいました。
ネタバレBOX
弁護士役の方がとても誠実な印象でした。これからも期待したいです。
貴族の方、意外とカッコ良かったです。惚れちゃうかもね。
ものすごいオジさん
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
祝20周年
20年続くだけあって,さすがにこの劇団はいい芝居をします。安心感でしょうか,気楽に観劇できました。今回はど定番のコメディ人情ものでしたね。ただ,残念なことに笑いの好みが自分にはちょっと合わなかったかなぁ。面白かったんですよ,もちろん。でも,ありえへんやろ,って感じで,ちょっと乗り遅れたっていうか,嘘はその場しのぎのものではなくて,誠心誠意嘘をついてほしいものです。
ぼくはにんじゃのあやし丸
劇団うりんこ
名古屋市名東文化小劇場(愛知県)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/24 (金)公演終了
満足度★★★★
うりんこ「ぼくはにんじゃのあやし丸」観ました
うりんこの、新しい学校公演用演目。
お盆に帰省した家族の子供と祖父の、虚実がレイヤーのように重なる、少し変わった交流。家族、土地、信念…わが身にも引き寄せていろいろ考えさせられる。
ラストの別れはちょっと尻切れ感があるけれど、それもまた佃さん的か(笑)
ドリフ的な笑いあり、歌や踊り、殺陣も楽しめる情操エンタテインメント。子供達には、ぜひ夏休み前に観てほしい。
獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
イキウメの公演を見るのは震災後に観た『散歩する侵略者』以来だが、そこでは垣間見えなかった意識があるように思われた。
イキウメのメンバーもよかったが、客演の池田成志さんがとてもよかった。
ネタバレBOX
これまでイキウメで観たのは話としてはウルトラマンで言うと実相寺(ウルトラセブン)ぽい感じで、宇宙人とか異能者がいて、それが既存の社会におかれてどうなるのかというのをとても整合的に考えているように見えた。今回の作品は謎の柱によって諸都市が崩壊した経緯と、そのあとに人々が形成した共同体が交互に描かれていた。異常な状況に適応した共同体から次の社会への萌芽がありつつ、様々な相克があって、そうした考察が現今の日本の姿とも重なって見えた。そうした意識において、これまでのイキウメの作品から「進化」(cf じべ。さんの観た)したものになっているように思われる。
ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演
劇団四季
四季劇場[夏](東京都)
2013/04/07 (日) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
結果的には、ほぼ満足
映画を観ているので、ストーリーの展開の速度が緩やかな点に、最初は戸惑いました。
「ライオンキング」や「美女と野獣」や「アイーダ」に比べると、ダイナミズムではかなり劣る気はします。
でも、相変わらず、お元気な飯野おさみさんのステージワークは魅力的だったし、ヒロイン、ヒーローが、四季の公演には珍しく、観目麗しいキャスティングだった点も、嬉しく感じました。
海の中の人魚の動きが素晴らしい。
客席の子供達も喜んでいたし、これは観られて良かったと思える公演でした。
もっと、印象に残る曲がたくさんあれば、尚良かったのですが…。
ネタバレBOX
映画のように、いきなり魔女が出て来るわけでもなく、人魚のアリエルとエリック王子の出会いまでも、なかなか時間を要して、回りくどい枝葉末節なストーリー展開の遅さに、最初は少し、退屈しました。
客席の子供達のことを考えても、もう少し、起伏に富んだストーリー展開の速度アップが必要に感じました。
大人の恋愛指南的な台詞にも、少し戸惑いを覚えた部分があります。
シェフが、魚を捌くシーンは、ともすると、ちょっとブラックな雰囲気で、子供達にどういう印象を与えるかと気になる瞬間もありました。
楽曲がそれほど印象に残らない分、かもめや蟹のダンスが愉快で、目を惹きました。
蟹のセバスチャン役の飯野さんが、縦横無尽に、舞台を飛び回り、その若々しさに、彼の初舞台から拝見してる自分の老いを忘れ、元気を頂きました。
かもめが、アリエルに歩き方を教えるダンスが、殊の外、愉快で印象深いシーンでした。
アリエル役の谷原さんは、容姿も声も美しく、可愛らしさもあって、役にピッタリ。王子役の上川さんも、歌声の伸びは弱いものの、如何にも王子の気品と美しさがあり、物語の設定を崩さない、主役お二人の容姿端麗さには、感謝したくなりました。
魔女アースラの衣装は、もう少し、紅白の小林幸子さん並に大袈裟だった方が良かったかも。
もっと、ブラッシュアップして、人魚姫と王子の心模様に焦点を当てた再演を期待したいけれど、それは無理な話ですよね?
て
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/05/21 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
まったく何という芝居なんだろう
おとうさん指とおかあさん指、おにいさん指、おねえさん指、そしてボク。
アフタートークで岩井さんが語ったように
5本の指が例えどれほど「こいつの隣はいやだ」と思っても
どうしようもなくつながって、離れ難い「て」のような存在、それが家族だ。
「て」を観るのはユースケ・サンタマリア出演のプロデュース公演を含めて3回目だが
いつも笑いながら泣き、泣きながら笑ってしまう。
ネタバレBOX
舞台を挟んで向かい合うように客席が設けられており、
中央には棺が置かれている。
喪服のお母さん(岩井秀人)が出て来て前説。
そしていつものように「では始めます」のひとことで
おばあちゃん(永井若葉)の葬儀の場面から始まる。
父(猪俣俊明)と母(岩井秀人)がおばあちゃんと暮らす家に
久しぶりに子どもたちが集合するが
父親からの壮絶な暴力を浴びて育った4人の子どもたちは
顔を合わせれば早くも軋み始める。
何を言っても無駄だと距離を置いて眺めるだけの長男(平原テツ)、
父親も許せないが、そんな兄の態度も許せない次男(富川一人)、
仲の良い家族として少しでも変化が起こればと今回企画した長女(佐久間麻由)、
ひとり暴力を受けずに育った次女(上田遥)。
彼らそれぞれの父親に対するこわばったような態度と
それを受け止めながら間に入る母。
認知症で孫がわかったりわからなかったりのおばあちゃん。
傍若無人な父が「リバーサイドホテル」をひとりフルコーラスで熱唱する間
子どもたちがわいわい話しながらビールを注ぎ合い
盆か正月のようにごく普通の家族の図が繰り広げられる。
この“父の好きな歌”をバックにした図が
過去の壮絶な歴史を忘れさせるほど自然で、観ていて泣けてしまう。
お母さんは部屋の外で号泣している。
理想と現実の埋めようのない乖離が浮び上って素晴らしい。
ここまでのストーリーは二度繰り返される。
一度目は子どもの視点で、二度目はお母さんの視点で
同じ台詞、同じ動きなのに微妙に違う。
役者さんも180度回転して演じるので
私たちはさっきの場面を反対側からも見ることになる。
この視点を変えて二度見せる演出が、一つの出来事の二面性を鮮やかに見せて秀逸。
「ハイバイドア」による空間の切り替えも上手い。
そして何と言ってもお母さんのキャラが魅力的だ。
岩井さんの実体験が元になっているこの話の中で、
「母親を疑似体験したくてこの役をやってみようと思った」という
もっとも思い入れのある大事なキャラクターである。
男岩井が演じることで、その母性が際立つから不思議だ。
強くて時に弱く、でもいつも温かいお母さんだ。
“渦中の人は必死だが、それを傍から見ると時に滑稽である”という
冷めた視点がベースにあって、その笑いが随所に光る。
“笑えない状況”ほど“笑える”という皮肉が、
葬儀屋やカラオケの場面で効いている。
平原テツさん、最もひどい暴力を受けた長男の
父親に対する距離の置き方が徹底していて素晴らしい。
この長男がブレないので、次男と激しく対立する場面では
観ていて心拍数が上がるほど緊張する。
岩井さんのたぶん永遠のテーマで、繰り返し上演される作品だろうと思うが
何度見てもボロ泣きしてしまう。
子どもたちの視点で泣き、お母さんの視点で泣く。
全く何という芝居なんだろうと思う。
プルーフ/証明(谷 演出ver.)
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
何カラードポップ?
「演出:谷賢一」って事は、普段通りにDULL-COLORED POPなんじゃないかと事前に想像していた。でも今回は「演出だけ」。普段なら彼が演出の他に担っている製作総指揮を、今回は団員がこなしている。つまりは稽古場を何処にするとか何回やるとか、スタッフを誰にするとか、小屋入りしてからの動きのプランニングも団員が決めている訳で。作風は確かに谷色が濃い。でも、何かが違った。これは可能性を生む、価値ある違い。
過去に上演されたこの演目を何度も観ているので、話は分かっている。でも先を考えずに新鮮な気持ちでいられた。先よりも今、目の前の出来事を観ていられたからだろう。求心力とでも言うか。
ネタバレBOX
初日とはいえ役者とテーブル・イスとの接触が多々あって、ふと場当たり・ゲネがどれだけ出来ていたのか気になった。もしや舞台監督がいないのでは?と思ってパンフレットのスタッフクレジットを確認したら、やはり記載がない。そういう事だったのか?
過去の上演バージョンと演出意図が変わっているところがふんだんにある中、結構リスキーに思えたのは冒頭。初見の観客であれば物語を理解する為に一番集中したいこの部分で、あえてしばらくBGMを流しっぱなしにして役者の演技で感情的に強くスイッチが入る所でカットアウト。で、父・ロバートが既に死んでいる事が明らかになる。聞こえにくい分もっと役者の台詞を注意深く聞こうと意識を増していた観客にとってはビックリ度合いが増す展開になるが、聞こえにくくて集中を欠いた観客にとっては『え?あ、そうなの?』くらいになる危険性があったと思う。こここそ役者の求心力が試される部分か。
あの空間が屋外である事。これにどの段階で気付くかによって、想像で埋めるべく見える風景を定めるタイミングが変わってくる。過去にも観た上で、今回はこれを気付かせる事がこれまでよりも微力だった印象。
父ロバートのめちゃくちゃな証明内容について、これまでと違う視点を持てた。これまでは廃人になって意味不明なめちゃくちゃなものとしか思えなかったものの、今回は意味があった様に思えた。気が触れて尚、彼の中には学生達との思い出や家族と過ごした季節の体感が残っていてその結晶があの証明内容。つまりは彼の人生。重度の認知症患者が常軌を逸した行動を取る様になってもふと思い入れのある記憶を垣間見せる瞬間みたいに。
今回の劇中曲の選定は誰が行ったのだろう? 正直、今まで観た谷作品の中では群を抜いてダサかった。
(三島由紀夫『近代能楽集』より)
アムリタ
Studio Do Deux Do(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/24 (金)公演終了
密会。
公演というよりも密会の雰囲気。いけないものを観てしまった様な、でも心地よい恍惚感。
観た回の時間帯によって印象も変わるであろう、その違いも楽しみどころ。
ネタバレBOX
双方ともに良い意味で役者を記号として使っている。見せ方、に関してはどちらも意識的。
・水道航路
PAMWで観て感想に困ったのを覚えている。面白かった気がしたのだけど何が面白かったのか自分でも分からず、その時は言葉で感想を語れなかった。それがようやく今回で分かった。何も起きていない様で常に何かが起き続けている。始まりが繰り返されているので目が離せなかったのだ。他にそういう感覚を何処かで得た事があるのを思い出して、sons wo:が浮かんだ。後から確かめてみたら作・演出の新上さんはsons wo:に出演経験あり。なるほど。
ベランダが見えない位置の席に座ってしまったのを初めは損したと思ったけれど、見えないからこそ想像が膨らんで、正面からは桜が本当に見えている気がした。
・アムリタ
水道航路が終わって転換の為にナースが入って来た時、一瞬で空気感を変えてくれて期待が高まった。惜しむべくはその転換に要する時間が思いのほか長くて、ナースが存在する事への違和感がその間に薄れてしまった点。
そのナースを複数出したのはもっと良い意味で遊べた気がする。ナースごとに性格の差があった様には思えたけど、明確に伝わっていたかというと微妙。メイン二人の演技が定まっているだけに、色味のある余白を作っても良かったかも。
23時の回に観たい演目でありつつ、17時に観ても真夜中である様な感覚を届けてくれた。
ノミの心臓
劇団サミシガリヤ
シアター711(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題714(13-139)
19:30の回(快晴)。いただいたメールに「受付は開演の30分前」とありましたが、それよりも前に始まっていたようです。時間になるのを待っていたのですがそのことに気がつきませんでしたし、窓口の方に声をかけていただけることもありませんでした。お客さんが一人でも劇場にきたら受け入れモード全開で対応すべきではないかと思っています。さて、19:00開場、舞台には白く薄いカーテンが引かれています。「ことこと」からで3作目です。本作、脚本/演出がはざわかこさん。すでに観てきた方々のコメントにあるように、私自身は、このサミシガリヤ、初めて見た1作目の(カフェ公演@同じ下北沢の西口)印象が強いのですが、今夜、作風は違ってパワフル、目のやり場に困ったり、思いっきり目線があったり。19:25前説(青木さん、110分)、アンケートにBGMクイズがあるのですが、邦楽には弱いので断念。19:34開演~21:25終演。ちゃんと調べてみると、武道館で最初にライヴをみたのは「Deep Purple(1985/5)」、(たぶん)最後は「COVERDALE・PAGE(1993/12)」。そのあとでも、イベントには2回行ったはずです。当パンをみると小口窓花さん「WORLD DANCE MIX2013」とあります。たしかに劇中の開脚具合は本格的でしたし、きっと脚を上げると頭より上なのでしょう。
ネタバレBOX
途中からどうやって武道館にたつのかあれこれ想像していました。ほんの数秒...おっー、このライヴ前のモヤッとくる音源は「LAST GIGS」ですね。終演後、青木さん、エハラさんにお訊きしてみる。邦楽は滅多に聴かないのにこのCD(旧盤)は持っているのでした。これは東京ドームのライヴだったと思いますが、一気にテンションがあがります。
そして舞台の奥、左右をみると大きな会場でみかけるヤグラ、そしてお揃いの衣装。
勅使河原と栗山、独り立ちするためには一度崖っぷちに立ってもがくことが必要だということ...怯むな栗山!、双方に、もう少し、そのあたりのニュアンスがでていたらよかったかなと思いました。
また次も行きましょう。
泥沼ちゃん
散歩道楽
OFF・OFFシアター(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
二律背反
友達によって泥沼に引きづりこまれ、
友達がいたから泥沼から救われた。
演出次第では緊迫感溢れる展開がいくつもあるのに、軽くコメディタッチで進むので気軽に見てたら、話が進むにつれ救い様のなさが浮き彫りになり、どうしてこうなってしまったんだろうと考えずにはいられない所に脚本・演出の妙があると思いました。
ネタバレBOX
オズの魔法使いが大好きな母親が、反対を押し切り娘にドロシーと名付けたことが始まりなのか。
小学生時代、名前のせいで苛められてたドロちゃんに唯一手を差し伸べた稲庭さん。
それから紆余曲折あり20数年。
稲庭さんの境遇を知り、助け舟を出してしまったドロちゃん。
引きとめなければ良かったと後悔するドロちゃんの独白が、観劇後に思い返してみると観劇中に思ったこととは正反対で、どちらが2人にとって良かったのかと思わずにはいられませんでした。
ドロちゃんが助けなかったら、稲庭さんは人に刃を向けることはなかったのかもしれない。
けれど、ドロちゃんが助けてくれたから、稲庭さんは救われたのかもしれない。
ドロシーについて行った案山子、ブリキ、ライオンが欲しいものを手に入れることができたように、友達が欲しかった人達はそれこそ生涯の友と呼べる人を得ることができたのではないかと思います。
「離れていても友達だよ」の台詞に胸を衝かれました。