
蒲田行進曲
インソムニア
Geki地下Liberty(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇場版『鎌田行進曲』は,映画版を忠実に舞台に再現している。
映画は良く観るが,演劇・ミュージカルは,ほとんど観ない。そういう人生もある。とりわけ,東京などの都会にいないと,交通費分だけ上乗せになる。また,チケットを取るのも面倒である。さらに,独身者には,デートやら,家族連れのいるところは,苦手だった。でも,小劇場で演劇を観る習慣がつくと,映画・TVに多少の違和感を覚えるようになる。
『鎌田行進曲』は,映画のものが有名である。内容は,児童劇団以来の,銀ちゃんとコナツが,映画全盛時代に入り,ぎくしゃくした関係になり,コナツが銀ちゃんに捨てられる話である。銀ちゃんが主役かというと,コナツに密かな憧れを抱いていた大部屋のヤスが,にわかにコナツの伴侶に浮上していく点で,むしろヤスとコナツの話といった方がいい。
『鎌田行進曲』は,最初,つかが,舞台用に作った作品らしい。それが,映画化され,大ヒットとなった。今回の舞台化は,もう一度舞台に戻したものだ。劇場は,きわめて小さい。最前列では,実際に,役者のつばも飛んで来る。大道具は,メインテーマである「巨大階段」であり,それ以外には小道具らしきものはなかった。
新撰組は,明治維新に向かう時期に幕府側の大応援団になった時代錯誤な集団である。銀ちゃん演じる「土方歳三」は,なんと会津戦争にも参加し,函館五稜郭までいっているから,「竜馬」よりは少し長く活動している。もともとは,八王子あたりの出身だ。この地域は,甲府などにも近く,幕府にとっても重要な土地であったのだ。
銀ちゃんは,しきりに,竜馬と張り合う。実際の「土方歳三」も,「竜馬」と並んで,女たらしでカッコイイ。銀ちゃんは,どうしても,階段落ちにこだわる。自分が,そこで,芝居を演出してやりたい。誰でもいい,階段から,勤皇の志なかばで死んでいく長州藩士を演じきって欲しい。切られて,後ろ向きに倒れる役を,大部屋の誰かにやらせたい。
『鎌田行進曲』は,俳優・役者の世界が,競争至上主義で貫かれ,頂点の銀幕スターの存在あって成立することを執拗に強調する。映画にしても,演劇にしても,当たって,観客をどれくらい動員できるか,そのことが一番大事であって,時には,強力なスポンサーがつけばなおさら良いと言える。
劇場版『鎌田行進曲』は,映画版を忠実に舞台に再現している。このような逆流をすると,失敗するのではないかと思ったが,むしろ,すっきりとまとまっていた。一番の問題は,大階段落ちのシーンでは,コナツをどう表現するのかと案じられたが,舞台横で,見事にコナツは演じていた。これが,まさに舞台である,といった演出だった。

ミュージカル南十字星
劇団四季
四季劇場 [秋](東京都)
2009/09/13 (日) ~ 2009/09/27 (日)公演終了
満足度★★★★
戦争が終わって,もう半世紀も過ぎてしまった。
私は,演劇の中に「政治性」を持ち込むのは好きではない。たまたま社会派のドラマがあっても,気がついたらその意識もなく観ていることが多い。さらに,社会の風俗などにドロドロとふれるようなミュージカルも好きではない。だから,意外と,子ども向けのミュージカルとか,チェーホフのようなものを選んでしまう。
戦争が終わって,もう半世紀も過ぎてしまった。われわれは,まさに,戦争を知らない子どもたちである。だから,BC戦争犯罪人などという物語を見ても,意識が明確にならない。そもそも軍人というのは,「お国のために」を送り出された立派な人たちだったはずだ。しかし,戦争に負けてしまったら,あの人たちは何をやっていたのか,と糾弾された。
軍人にも,格付けがあった。とりわけ偉いのは,海軍だった。しかし,米内光正やら,井上成美などの話をたくさん読んでも,よくわからない。家庭人としては,失格な人も多い。結局,国を守ることは尊いけれど,実戦になると,その本能は常に殺人未遂罪なのだ。「南十字星」の輝く南方で,一体日本軍人はどう思われていたのだろうか。
オランダという国は,日本には,なじみがある。日本人が,最初に西洋かぶれになり,西洋演劇などに夢中になっていく最初のきっかけは,オランダ語というものだった。そのオランダは,インドネシアで日本軍とぶつかった。オランダをけちらす。オランダ統制は,なんだか,映画『ゾロ』に出て来るスペイン本国なみだ。
この国に日本は,ポーズとして,オランダからの開放を支援する友好国を演じた。しかし,現地にいてなじむと,そこを完全に植民地化しようとする気運と,遠からず,自力で建国させようという同化との股裂き状態になった。「南十字星」の主人公の兄は,珍しい例だが,武器をアメリカ軍に渡さず,インドネシア独立に加担する。
主人公は,間の悪いことに,この裏切り行為の責任を一手に引き受け,絞首台に登ることになる。かつて,愛しあった恋人は,インドネシア人でもあったほど,彼は,インドネシアに友好的な人間だったのに。ミュージカルの前半は,民族音楽一色の世界。そして,後半は,子どもには何のことか良くわからない戦争裁判の顚末記だ。

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
めざせ!シアター・コクーン
池袋d倉庫は,本当に,倉庫のようなものだった。この劇団のチラシが,あんまり魅力的だったので,足を伸ばした。「ビョードロ」とは,何だろう。この物語では,「ジョウキゲン」が場面の途中で生れる。この「ジョウキゲン」は,何かを感染させるものらしい。ビョードロの血によって,ワクチンが作られるという。それによって,「ジョウキゲン」は撃退できるのだ。空気感染するほどの影響力を持つにいたって,ガス・マスクのようなものが用意される。これを,ビョードロたちが使う。ガス・マスク使用中の,ビョードロたちは区別がつかない。片方のビョードロには父親がいたようだ。この父親は,頑固オヤジで,救いがない。終盤にはいって,あやまって,自分の息子を殺害してしまう。あわれ!
細菌兵器の存在を擬人化したものなのだろうか。そういう説明をしている例もある。しかし,具体的な説明は十分にはされない。「ビョードロ」「ジョウキゲン」と,頑固オヤジが,狭い倉庫内を,強烈なコスチュームと,スピード感で動き回っている。座布団も持参しているような人はいたが,それ以上に,どこから観たのがいいか疑問。ぼくたちの劇団は,出会い系の劇団なので,まずもって,隣の人とのトラブルを嫌います。まず,隣の人と十分に仲良くなってください。お互いに目と目をあわせて,ことばをかわしましょう。そうすれば,劇が進行して,ひざがぶつかり,足がからんでも,許しあえるでしょう。なるほど,観客は,役者と一心同体みたいなものってことかしら。
劇中の動画・カメラはOKです。ご自由に,ブログにアップしてくださいね。劇団おぼんろ第10回本公演 『ビョードロ~月色の森で抱きよせて~ 』を一人でもいいから,多くの人に紹介してください。動員数が伸びて,いつか『シアター・コクーン』にいけたらなあ。そのために,みなさん応援してください。
なるほどなあ。そうか。がんばっているなあ。じゃ,ちょっと目立つかもしれないが,舞台を壊さない程度に,数枚写真を撮らせていただこう。応援しちゃおう。
ところが,後日,フラッシュをたいたばかがいた,という話になってしまった。げえー。だって,普通のカメラしかない場合,自動フラッシュなんですけど。まずかったすか!
たいへん非常識な行為で,あいた口がふさがらない。こういうばかは,二度と,この劇団を観にくるんじゃない!という手厳しい見解。たしかに,そういわれたら,がっかり。
でも,このコメント者も,少し変ですよね。高姿勢は,まあいいが,ありがちなミスをここぞとばかり鬼の首を取ったようにアゲアシ取りですね。ばかは,どっち,ばーか,というシーンを思い出しました。
象徴的な演劇は,現実逃避に陥るっていうから,演劇を観るときは,なるべく論理的にしっかりしたものを観ている。でも,ときには,感覚的で,感傷的で,美しい,詩的な作品にも引かれる。今回の『ビョードロ~月色の森で抱きよせて~ 』は,その点で,たいへん満足している。また,観たいと思う。しかし,もう来るな!という常連がいるようなので,もう行きません。あとは,がんばって,シアター・コクーンをめざしてください。たいへんご迷惑かけたようで,心からお詫びします。ジョウキゲンのような心優しい存在に,何度も舞台に足を運ぶ人の中には,人のアゲアシばかり取る人もいるのでしょうか。

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
ファンを1人増やしました!
小劇場初体験の知人を誘ってみて来ました。以前商業演劇を1万円ちかくのチケット代で見てから、すっかり演劇嫌いに成っていたのでそれを払拭すべくここしかないと選んだ劇団です。開場すぐのパフォーマンスには最初は戸惑いを見せたもののだんだんと温まり気分も上がりすんなり非日常に入り込めたようです。途中で笑い声も何度も上がり楽しんでいる様子が伝わってきました。という事はこの劇団の演っている演劇は、やりたい事を遣り徹しながらもウェルカムの姿勢をも守っているのだな、とても普通で有りながら見てくださっているお客様にきちんと伝える事を怠っていないな、まじめでやさしいと、思いました。(内容はちと過激でも) 何より出演者みんなが楽しんだり、1日1日と生ものである演劇を進化させられる力を持っている集団だと感じました。主催者の吹原さん本当に貴方には期待しちゃいます。スタッフの方にも拍手を送りたい公演でした。

奥村さんのお茄子
こねじ
大吉カフェ(東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
お茶の間KF
お茶の間SF(少し不思議な話)ならぬKF(かなり不思議な話)、3組それぞれに細部はもちろん作品全体を支配する空気も異なり、奥村・遠久田両人の力関係も皆違って見えてくるのが面白いと言うか何と言うか。

ケタ魂
MousePiece-ree
劇団そとばこまちアトリエ 十三 BlackBoxx(大阪府)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★
おもろい とにかく面白い
おもろい とにかく面白い マウスの力技から繊細なネタまで、てんこもり。 子供から高齢 誰が見ても面白いでしょう、客層のばらばらなもおそらく。 東京で公演を予定しているようです、そのままのマウスで良いと思います。 頑張ってくださいませ。

全長50メートルガール
踊れ場
RAFT(東京都)
2013/05/21 (火) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
覗き見のちメタフィクション
深夜の女子会覗き見的かと思いきや、「めんどくさいコ」の登場により一気にブッ跳び系に…(笑)
ナイロン100℃のナンセンスさを想起させたり(※)しながら着実に笑わせる会話と思いっきりの非現実の織り込み具合、それにメタフィクション(詳細はネタバレBOXへ)など巧み。
※ あーぽんの(主に会話における)ズレっぷり、素っ頓狂っぷりに大倉孝二に通ずるモノを感じるからかも?

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
テイストが固まりましたねー
朧らしさが決定されたなぁ、というのが第一声です。
この路線で観客を引っ張っていくのねっ!
<ダークファンタジー>ですよねー
舞台美術や基本姿勢で好き嫌いが分かれる万人向けではないと思うが、
自分は楽しめました。
<定番の主宰イントロを15分ほど入れての約2時間です>

【全日程終了!ありがとうございました。】天王寺:10王子
劇団東京ペンギン
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2013/05/28 (火) ~ 2013/05/29 (水)公演終了
満足度★★★★
存在だけで、意味はある。
王子(王女)の台詞 私の意味があるの、
何回か言われる台詞 存在の意味。
そこに有るから有るだけで意味がある。
すべて大まか そんな物のような気がします。
有る事で、その後、その結果、そこから出来るものが、
意味でしょうか、
自分では分からない内に、目には見えない出来た物も意味
面白かった。

スウィーニー・トッド
フジテレビジョン
青山劇場(東京都)
2013/05/16 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
怖かった…。
実は、原作をあまり知らず、気になったから観に行ったので
あまりのブラックさに、ちょっと引いてしまいました。
とはいえ、役者の皆様の鬼気迫る感じは、生ものならではで
とても勉強になりました。
あのパイのシーンは毎公演アドリブなのかしら?と気になったり。
ラストに向かうシーンでは、鳥肌と共に音にびくびくしてしまいました…。
大竹しのぶさんのテレビとは違う!っていうのが一番印象に残りました!

ミッション女・プロジェクト男
よしもとクリエイティブ・エージェンシー
駅前劇場(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/03 (月)公演終了

桜飛沫
阿佐ヶ谷スパイダース
世田谷パブリックシアター(東京都)
2006/02/10 (金) ~ 2006/02/19 (日)公演終了

コントンクラブ ~image 7~
K Dash Stage
博品館劇場(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★
あたりさわりのないコントの連続
そこそこ楽しめたが、コントはもっと厳選して、ダンスをもう少し増やして2時間ぐらいにしてほしかった。もう何年もやってるようなので、コントの題材に共通点を持たせるとか何か縛りをいれて進歩させるともっとよくなるのでは。それにしてもこの劇場は前の席に背の高い人が座るとチョーアンラッキー。何も見えない・・・大しておもしろくないコントにも馬鹿笑いしている若い女が多くてちょっと引く。

14日の土曜日
東京AZARASHI団
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/06/04 (火) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
感想
とても面白かったです。重くなりがちなテーマをとても分かり易く、かといって簡単にせずに表現していたと思いました。全国の学校とか回ってみるのも面白いと思いました。

ソウルドリームズ
ぱるエンタープライズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/05/28 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
結構楽しめました
確かにミュージカルにしては歌や踊りが少な過ぎるし、サスペンスという程の話でもないけど、ライティングやサウンドに凝ったスタイリッシュな舞台は結構楽しめました。

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★
チラシが挑戦状
「当てられるものなら当ててみろ」と言わんばかりのチラシが
前々から気になっていたのですが、意外と普通でした。
が!次はどんなの観られるのかな?と思わせるパワー有です。
純粋に娯楽な内容だったので観れて良かったなあと。
あと本番以外での制作のスペックに凄まじさを感じました。

帰還
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
観るべし
坂手演劇の特徴の一つに、その劇空間を通常あり得ない出会いの場として構築してゆく、ということがあろう。今回もその手法は健在である。メインストリームとしては川辺川ダム建設問題をモデルとし乍ら、GHQによる農地改革と積み残し、六全協以前の日本共産党の活動及び挫折を経た組織の自己批判や路線変更。組織とタイムラグのある、地下に潜った活動家及び家族の実態、支援者と活動家などの諸関係を通じ、組織的論理の援用で民衆を評価した活動家は、支援者に対する倫理的裏切り行為を為したのではないかなど、深く本質的な問題が、鏤められている。と同時に、第二次大戦敗戦以降、完全に実質宗主国となったアメリカと被植民国家、日本の間にある歪んだ関係等々が、緻密で重層化した織物として編まれている。

忍者桃丸伝 ~そのNINJA多少難あり~
劇団 EASTONES
ザ・ポケット(東京都)
2013/06/04 (火) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
文句なく楽しめる
岡林家若君、凛太郎、桃丸は大の仲良し。若君は、その優しい性格と、子供らしい好奇心からか、岡林家の忍び、赤目流忍群の下人に混じって忍術の修行に励んでいた。桃丸は、まるで駄目忍者で、皆から石ころ、役立たず、と罵られるのが常。赤目忍群の誰からも相手にされず、泣いてばかりいたのだが、若、凛太郎の二人だけは、桃丸のありのままを受け入れ、温かく接していた。

のぞき見公演♯4
ガレキの太鼓
都内某所。劇場ではない空間。(東京都)
2013/05/30 (木) ~ 2013/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
あやういカップル編~笠木さんちの場合
インパクトは薄まってしまったが面白かった。集合~待合室~入室~観劇~退室までの演出がトータルで素晴らしい。舘そらみ、おそるべし!