短編30分×3
小松台東
APOCシアター(東京都)
2013/10/03 (木) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
小松台東面白い
短編三作もおまけの寸劇もめっさ面白かったです。小松台東に行ってみたくなりました。特に、「ノリオの病室」は秀逸。
上野さんは、男女の微妙なやりとりを描くのが上手い。松本さんのお芝居は、ゲラゲラ笑いました。
レベッカが田舎の可愛い女性を演じていた。
平井志乃さんは、きれいな女優さんでした。
ネタバレBOX
印象に残ったセリフ。
「大空」地べたに時間が縫い付けられて、観測点が固定されない。
「町でいちばんの」自分が見つからないことと愛されないこと
「ノリオの病室」青木さんは野蛮よ!
もしも僕がイラク人だったら
カムヰヤッセン
東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)
2013/10/03 (木) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
演劇の根源と可能性を感じる傑作
脚本が素晴らしく、それを十二分に活かす演出・演技も素晴らしい。
これ以上ない程にシンプルでありながら、極めて本質的。
演劇の根源と可能性を共に強く感じた。
お金なんかかけなくても、大袈裟な舞台装置なんか使わなくても、
人間の力だけで(と言っても、映像と音楽は使われるが)、
これほどまでに素晴らしい舞台ができる。
演劇に限らず、表現の根源とはそういうものだったはずだ。
内容的な問いかけもとても強く、深い。
にもかかわらず、解釈は多様にできる。
素晴らしかった。
<ネタバレBOXは書きなぐってしまっているので、後で整理します>
ネタバレBOX
冒頭、演出家であり、出演者でもある北川大輔さんが舞台(と言っても、ギャラリーの壁の前の空間)に登場。
空間が小さいこともあり、観客一人一人に語りかけるように、「携帯電話の電源などを切ってください」というような内容から、雑談を始める。
誰もが前口上だと思っていると、そのまま場の照明が落とされていき、ピンスポットが当たり続けている北川氏だけが空間に浮かび上がる。
そこで観客は、舞台が既に始まっていたことに気づく。
そこからも、北川氏の自分語りが続く。舞台は始まっていても、これは北川氏自身の過去の独白なのだろうと思って聞いていると、どうやらこれは北川氏のことではなく、脚本の、つまり劇世界の登場人物の話なのだと気づいてくる。
(この作品の本家の初演では、この部分はどうなっていたのか、とても気になる。演出家がドキュメントとしてそこに存在している場合と、演出家という役者がそこに存在している芝居とでは、その意味あいが大きく違うからだ。と言っても、どちらがより良いという訳ではない。今回の演出はこれはこれで、どこまでがドキュメンタリーで、どこまでがフィクションかわからない感じが、面白かった。)
この演技と言っていいのか、話術の感じは、まるで噺家のようでもあった。
その話展開も絶妙で、携帯の話から、今話題のアプリ:ラインの話。そこで送られてきたメッセージを読むと、既読のマークが相手に通知されてしまい、返信しなければならないという脅迫にも似たものを迫られる。それが嫌で、ラインを見ないという本末転倒な人まで現れるというという話。
そして、中学時に女子の家に電話をするという例を出して、携帯などのホットラインがない時代は、人と繋がるのは大変だったという話になり、そこでは、繋がれなったことで、他者のことを想像する時間があったという話にもなっていく。
そこから、東京に状況したての頃のアパートでの話。新聞はとらずに、スポーツ紙を買っていた。スポーツ紙には、政治も社会も経済の話題もすべてが2面の中に書き込まれていて、ここには日本人の関心のすべてが凝縮されている。そこにイラク戦争の問題は、本当に小さくしか載っていない。
ネットの情報を見ても、そこには匿名の死の記事ばかりが載っていて、
実際の名前のあるイラク人のことは出てこない。やっとの思いで探したイラク人の固有名から、そのイラク人の日常のことを想像しようとする。
いくら想像しても、自分をベースに考えている限り、イラク人の生活は想像できない。そこで情報を集め再度想像してみる。
そこから完全なフィクションの物語が始まる。
ここで、もう一人の役者:辻貴大さんの演技に移る。
・・・・ここからも様々なテーマが出てくるのだが、全てを網羅しようとしたら、長くなりすぎるので、ここから先は省略・・・
タイトル通りイラク人だった自分を想像した物語であり、
イラク人の主人公を、悪意があったか無かったか不明だが、利用するイギリス人女性が出てきたり、アメリカ人ジャーナリストらしき者も出てきたり、他人事の日本人も出てきたり、、、とかなりある種の権力的なものを批評的に描いているようにも見えるが、主人公自身も、最後にほんのりと我欲も入っているのではないか、、、と感じる部分もあったり(←この点は、おそらく脚本上のものではなく、演技・演出で、絶妙にどちらとも取れるように見せているのだろう。脚本上は、石油を堀りまくって金儲けしようと一見我欲かと思わせておいて、そうすることで石油が枯渇すればアメリカは用済みだと言ってここから立ち去ってくれるだろうという自暴自棄とも・反骨ともとれるオチのつけ方になっていて、両義性を示しているという感じでもなさそうなので。)、、、だが、それを想像しているのはそもそも日本人だという、、、複雑な構造になっている。
オールラストでは、想像から現実に戻ってきた北川大輔さんが現れ、
途中で伏線も張られていたブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」
の歌詞を読み上げて、幕。以下歌詞。
「バトンを回しながら 彼は前庭の芝生の上に立っていた
私と彼女はドライブに行き 10人の関係のない人間を殺した
先を切りつめた41口径のショットガンを持ち
ネブラスカ、リンカーンの町から ワイオミングの不毛地帯まで
行く手に現れるすべてのものを殺した
俺達がしたことに対して 後悔なんかしていない
少なくともしばらくの間 楽しい思いをしたんだから
陪審員は有罪の判決を下し 裁判長は死刑が宣言した
真夜中の拘置所 俺の胸は革ひもで縛られている
保安官、死刑執行人があのスイッチを入れ
俺の頭がガクンと後ろへ折れ曲がるとき
あの娘が俺の膝の上にのってるようにお願いしますよ
やつらは俺は生きるに値しないと断言し
俺の魂は地獄に投げ込まれると言った
やつらは何故俺がこんなことをしたのか知りたがった
この世には、理由もなくただ卑劣な行為というものがあるんだよ」
(訳詞:三浦久)<ネットから拾ってきました。裏とってません。>
この最後の問いかけによって、それまで、うっすらとこの作品が批評しよとしている対象は見えていたのに、その姿が煙に巻かれる。
他者を想像することは可能かというテーマは、他者を取り巻く環境や、そこで生じる力学のすべてを想像すること、因果関係を説明づけることは可能かというところまで突き詰められる。
それでも、それでも、想像しようとすることからしか始まらないということを問うている作品なのだろう。
暗転セクロス
井関友香プロデュース公演
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2013/10/02 (水) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★
良くも悪くも軽快
セックスに向かう男女の悲喜こもごもを描いたオムニバス。題名と題材から男性客多めと思いきや女性客の多さに驚き。
子作りに関して考えさせられる場面もありましたが基本はコメディタッチなので観やすかったです。
ネガティブな意見はネタバレ欄で。
ネタバレBOX
軽快なのはよいですが、セックスを題材にして、濃密な空気や肌の温かさ、“触感”が感じられないのはいかがなものか。セックスの話ではなくセックスに「向かう」話だと言われればそれまでですが、正直、物足りないです。
例えばこれを漫画で読む分には構わないですが、生身の人間が演じる演劇としては肌の温度が足りない気がします。暗転後、登場人物たちがセックスをしたとは思えないのです。
コメディとして割り切ればよいのでしょうが、子供っぽさと喰い足りなさの感は拭い切れませんでした。
505号室のような濃い話を序盤に持ってきて、劇場の空気を、笑いがありつつも濃密な空間にして欲しかったです。
★評価は限りなく2に近い3、おまけで3、が本音です。
『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!
劇団チョコレートケーキ
サンモールスタジオ(東京都)
2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
観応えのある作品
緊張感と重厚感に満ちたガツンと観応えのある作品。実際の浅間山荘事件をベースにしたフィクションだが精緻でリアル。当時の時代背景や思想の流れ、人間持つ矛盾や歪みが生々しく表現されていて、観ている者の心を揺さぶってくる。
ネタバレBOX
岡本篤演じる坂上が非常に印象深い。理想に食い潰されたインテリの葛藤や苦悩、諦めなどがよく出てた。西尾友樹演じる江藤倫路が既に組織が矛盾を抱え内部崩壊していることを看破して復讐に向かって行く流れも好み。
対面座席の場合どうしても半分弱ぐらい役者の表情が見えない。二度観ないと全てが分からないという感覚が残って辛い。普通の舞台だったら、全然違うものになってしまうのだろうか。いつも思う事。
素面 【全日完売御礼!!!】
劇団イノコリ
RAFT(東京都)
2013/10/01 (火) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★
家族
敗戦で父権は完全に失墜した。いわば、それまで続いてきた、この国の家族制度の権威部分が完全に堕ちたのである。このことは、人々の人間関係にも変化を齎した。(追記2013.10.7)
ネタバレBOX
それ迄、優勢であった父権に対して、母権が台頭したのが、結局は、戦後という時代であったのだろう。少なくとも家族の中心として母的なものを考えている点に、戦後68年を経た、この「被植民国家」の在り様が透けて見える。更に、父の家に、現在居るのは、同居人のあゆ。母ではなく占い師である。つまり、戦後、父権の失墜の後、長く続いた母権も今や怪しい。家族の要を失った登場人物達は、謂わばエパーヴとして漂っているだけだ。苦いスープのような世界の中を。
物語は、兄、里の借りているワンルームでDVDを見ながら料理番をしている妊婦、桃子のシーンから始まる。桃子は、里の彼女、梨恵の友人である。梨恵は、店長をしているので、客からのクレームがあると休日でも謝りに行かなければならないことがある。休日に里の部屋へ来て手料理を作っていたのだが、クレームをつけて来た客が「店長を呼べ」と食い下がるので店へ行った訳だ。
だが、これは嘘である。梨恵に桃子の作るようなおいしい手料理は作れないのだが、彼女は梨恵の彼をとった、として梨恵から脅迫され、こんなことをしているのである。梨恵は、兎に角、完璧な彼女を演じたいのだ。
ところで、里の所へは、人が集まる。友人の幸助は、毎日採れたての野菜を持ってくるし、桃子も梨恵の嘘がバレナイように頻繁に彼の部屋、おいしい野菜を求めて幸助の畑を訪れる。
おまけに妹の亜美迄、家出をして来た。彼女の手下格の同居人、雄二とエキセントリックで革命的な事に憧れ、ハネているが、少し足りない千陽も一緒である。地方の大学へは、彼らの車で往復しているのだ。亜美の家出には、無論、訳がある。彼女は浮気相手の娘なのだが、成長するにつれて母に似てくる自分自身の肉体から自分自身を追い出したいような地獄に捉えられており、兄が実家を出てからは、ショックアブソーバーを失った父とどのように向き合ったらよいか分からないのである。
亜美が兄の部屋へ移って来てから、ベッドの下に寝そべっている所へ梨恵と桃子が入って来て彼らの秘密を話している。亜美は、総てを知ることになったが、梨恵が近いうちに、里と同棲を始めたがっていること。結婚も視野に入れていることも知って、梨恵を脅迫。策を弄して父や、最近、同居している占い師、あゆらと一堂に会し食事会を設定させた。無論、梨恵の手料理である。里にとっても、彼女を父とその同居人に紹介するチャンス。おまけに関係者全員揃うとなれば、渡りに船だ。
だが、この席で、亜美は桃子の作った料理にお茶を混ぜ、味を変えて梨恵に皆の前で作り直しを迫り、彼女の嘘を暴いてゆく。
シリアスな会食となったこの会で里の性格が空虚に過ぎない、などとシビアな事までが出てくるが。何も空虚なのは里ばかりではない。我ら総てが空虚なのだ、とのメッセージも聞こえてきそうだ。無論、主体性を奪われているからである。
風 -ふう-
劇団ZAPPA
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/09/28 (土) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
興味深い演出☆
新選組が好きで、興味を持ったのですが、もともとこの劇団も気になっておりました。史実にオリジナルのストーリーを絡め、スピード感ある熱い舞台で、大満足でした。動きが激しいので、舞台が狭かった。もっと広ければ、もっと大きな動きが出来たのでは・・と思ったが、縦横無尽に舞台上を使い、狭い舞台でも見応えある演出がなされてたのは、さすがの演出ですね^^
ただ、私的には、アサギの羽織が、デニムジャケットに見えて、違和感があったのがちょっと残念・・。
【全公演終了】「じょにぃ怪談 壱」【ご来場感謝!】
JOHNNY TIME
エビス駅前バー(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/13 (火)公演終了
満足度★★★★
らしさ+α
怪談と謳ってたので行くのやめようかと思っていたが、行ってよかった。
短編集なので、いつもと少し違う話や雰囲気も感じられるが、JOHNNY TIMEらしさは失わす健在、いつもと変わらずでした。面白かった。
桜の園
時間堂
日本基督教団 巣鴨教会(東京都)
2013/08/04 (日) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
大胆な手法
三人だけで「桜の園」どう演じるかと思っていたが、なかなか大胆な手法を取ってました。ただ、この手法だとある程度物語を知ってないとついて行けなくなるかもと思いつつも、なかなかに面白かったです。
紅の翼
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
オマージュ
メインはあの作 品を、その他いろいろとパ・・、いやオマージュした物語。なかなか に笑わせてもらいましたし、空中戦のシーンはSE とのシンクロもバッチリで見応えありました。面白かったです。
ホント公演数が少ないのがもったいない舞台だなあ。
兄帰る
ニ兎社
所沢市民文化センターMUSE マーキーホール(中ホール)(埼玉県)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/04 (金)公演終了
満足度★★★★★
笑いつつも実は怖い
二兎社公演38『兄帰る』大千秋楽を観劇。初演は未見。
永井愛さんの練られた脚本、丁寧な演出、一体感のある上手い役者陣で安心して観ていられた。
クスクスと笑いながら、最後にどん!と闇がやってくる。
本音と正論、家族と親族、厄介だけど避けられない現実の関係性。正論の象徴であるミニバラが哀しい。
保健体育
20歳の国
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/10/03 (木) ~ 2013/10/08 (火)公演終了
満足度★★★★
魅力的な演技・演出
役者の在り方がとても魅力的だ。
(特に中心の女子5人:異儀田夏葉さん、川田智美さん、長井短さん、湯口光穂さん、田村優依さん)。
最近、いつくかの若い劇団を観ていて感じることがある。
新劇的な演技力でも、アングラ的な身体でも、現代口語的な自然さとも違う、新しい役者の在り方(強度)が提示されていると。
この作品にもそれを強く感じた。
当日販売していた『「保健体育」国王指定教科書』を読むと、作・演出の竜史氏は、理屈によってそれを方法論化している訳ではなく、役者でもある自身の感覚を基に、その方法論を見出していっているようだ。
竜史氏の良い意味でガツガツしている、責めている感じが、舞台からも伝わってきて、とてもよかった。
ネタバレBOX
冒頭のカラオケのシーンから惹き込まれる。舞台の最上段にあるブースで行われている。
芝居直前の前口上と出し物を兼ねたものかと思って軽い気持ちで見ていると、もはやそこから舞台は始まっている。
そのカラオケも、どこまで演出したものかわからないのだが、ヘタではないが上手いとも言えない絶妙な感じこそが、とても魅力的なのだ。若いありのままのエネルギーを放出しているようなそれが。
(『「保健体育」国王指定教科書』によると「ブースの中でアクトするっていうのが、王子小劇場創設以来初めてらしくて」らしい。この責めた演出も素晴らしい)
このカラオケのシーンの面白さが、舞台全体の面白さとも重なっている。
歌手が歌を上手く歌いあげるのとも違う、かと言ってヘタウマの魅力とも違う何か。
役者が役を演じきることで生まれているものでもなく、素人が舞台に立つ魅力とも違う何か。
『「保健体育」国王指定教科書』を読むと、「今回は本当に一緒にやってみたい人、自分的にワクワクする人を集め」たらしい。その基準も「器用な人とか、上手い人は集めたくない」というもだったようだ。これは竜史氏へのインタビュー記事からの引用だが、司会者の「演技がですか?人生がですか?」との突っ込みに、竜史氏は「演技演技。いや、まあ人生もかなぁ。」と答えている。
いずれにせよ、このような基準で集められた役者さんの魅力は、所謂演技力とは違う在り方・魅力として舞台に現れる。その役も「基本的には、意外な役っていうのは振ったことがなくて」ということらしく、役者の実人生から漂うもありながら、本人自身のドキュメントではなく、演技したものでありながらも、どこか役者本人の手垢が残っているような、そんな絶妙の質感が生まれている。
『「保健体育」国王指定教科書』では、女優陣の座談会も掲載されており、そこでは、まさにこの点に触れられている。生山サナエ役:異儀田夏葉さんは「あたしの役、まんまあたしだわ。」と語っている。神崎チホ役:長井短さんは「わたし、恥ずかしくてしょうがない。」「別にセリフとかは、そんなこと言わないっていうセリフは別にもちろんあるんですけど、なんかあの、いざやってみるとなんか、あまりにもそのまま過ごしている気がして。」と、二村ノブコ役:川田智美さんは「なんか、あ、私を見てから書いた本って感じは、する。」と語っている。
この、役者さん本人のドキュメントのような質感と、演技をしている本人とのズレのようなものの中に、この作品の、この作品に出演している役者さんの魅力があるのだと思う。それを見事に竜史氏は演出している。
これらの点は本当に素晴らしかったが、物語の内容的には物足りなさも残った。
孤独や寂しさを紛らわすために、恋愛にその救いを求めようとし、それが性的な欲望と相まって、その依存関係は深まる。だが、そこで満たされているのは、刹那的な快楽でしかなく、根本的な部分にある孤独感や寂しさは満たされることがない。だから、簡単にその対象となる相手を替えて性行為に走る。それでも、本当はどこかで、身体的な快楽ではなくて、心が充足することを求めている。
それは、実際に性の快楽に溺れるかどうかは置くとしても、
その感覚は少なからず誰もが抱えている苦しみではある。
だが、それが、より深いもの、普遍的な人間の孤独感や人間関係の空虚感、または依存の問題などと繋がり、私の人生に突きつけられるような感覚は起こらなかった。
また、少し長く感じた。
と不満も残ったが、面白かった。
演劇の中で、ダンスシーンが出てくる作品は苦手なものが多いが、
なぜかこの作品のダンスシーンはとても魅力的に見えた。
女子がとても魅力的に描かれていたと思う。
『「保健体育」国王指定教科書』によると、
「挑戦的な意味合いで、ま、男の子を書くのはもう、結構得意だから、ちょっと今回は、裏テーマが、チャレンジだから、なんか、今までどおりのことをやっていると今までどおりの評価しか得られないから、自分的に難しい道を歩いていかないと思って。ちょっと女の子を書くっていうのはテンション上がるんじゃないかと思って、女の子を書こうと思って。」ということらしい。
竜史氏のこの挑戦的な姿勢にとても共感する。このようなチャレンジによって舞台に躍動感が生まれているのだろう。
役者としての竜史氏の演技もとてもよかった。
イッヒ リーベ ディッヒ【全公演完売の為、当日券の発売を中止いたします】
劇団東京イボンヌ
ワーサルシアター(東京都)
2013/10/01 (火) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★
人間が描かれていない。
脚本・演出に難がある。愛を表現しているはずの女性側の心理が全く理解できなかった。男性目線の話だからか、非常にご都合主義的で・・人間の心理として理解出来ない飛躍があちこちに見られた。感情移入しようにも、あまりに平面的な描写。女性キャストがこんなにも多いのに、彼女達は脚本上のキャラ以上に何も人間が描かれていない。脚本上の必要に迫られて泣いたり許したりする場面にしか見えなかった。脚本家の貧困な人間観・表現力、演出の合理的に割り切れないウェトな感情を表現するセンスの欠落を感じた。
役者は良い役者が沢山出ている。ベートーベン、マリア、看護婦、犬飼は好演している。楽曲も良し悪しは分からないが生で演奏を聞けるお得感はあった。だが、それだけだ。もしかしたら現代の描写は丸ごと要らないかもしれない。ベートーベンの時代はそれなりに出来ていたので・・
私が来た日、見覚えのある有名劇団の団長などの顔をみかけた。内容とコネの強さは比例しないのだと思った。受付・場内周りのスタッフは見事。超満員にも関わらず全くストレスが無かった。作品を除けば☆4.5。スタッフと役者が可哀想な舞台だった。
ネタバレBOX
ありえないこと。児童虐待を見てみぬふりした母親が、マリアに「大変な男を愛して、大変でしたねえ」と呼びかけるシーン。母親の心理としてありえない。まともじゃない母親だったとして、でも彼女は子どものために旦那を追い出している。母親の子供に対する感情がまず理解できない。変化したのなら、その描写が必要だがそれも無い。
主人公が捨てた父を理解し受け入れるまでが早すぎる。研究の意義を理解したから、それまでの10年、義父に虐待されて母親に見て見ぬ振りされた悲惨な日々を忘れて暖かく受け入れるのがわからない。
他にも沢山あったが、長くなるのでこのへんで。
音楽朗読劇『宮沢賢治のイーハトーボ』
シアターオルト Theatre Ort
洗足学園音楽大学 シルバーマウンテン(東京都)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/04 (金)公演終了
満足度★★★★
新しい空間で見られた宮沢賢治の世界
パーカッションとピアノと朗読と演技。新しい空間でみられた宮沢賢治さんの3本の短編の世界観を感じましたし。いかにも大人のための朗読と音楽とのコラポだなあと感じました。
ゴドーを待ちながらを待ちながら
トツゲキ倶楽部
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
原作ゴドーを知らない人にも楽しめる内容でした。
原作のゴドーを元ネタにはしていますが、原作をまったく知らない人にもちゃんと楽しめる内容となってました◎
また、役者さんひとりひとりが、場の空気を変えるだけの力をちゃんと持っており、話全体でも楽しめましたし、特定の役者さんにフォーカスしながら観てもちゃんと楽しめました。
ネタバレBOX
ラスト近く、結婚祝いで場が盛り上がっているところに、検閲官が、敢えて場の空気をよまずに「僕はねぇ、こういうなぁなぁな空気がキライなんですよ!!」と空気を変えたところの流れは個人的に好みだった。最後はちゃんと「いい舞台をつくろう」という流れに持っていったのは良かったと思います。
晩餐
タクフェス
サンシャイン劇場(東京都)
2013/10/03 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
涙で滲んで・・・
待ちに待った旗揚げ公演。やっぱ,泣ける芝居を作るよなぁ。途中,何度か切なくて,涙が出てきて,指で拭っていました。とはいえ,涙ばかりじゃなく,笑いどころも満載,観ていて楽しい舞台です。飲食自由,最後の踊りは健在。帰路は爽快感で,足取りも軽いです。タオル持参は必要。また,途中,携帯撮影OKの時間もあります。チケット代は高く,時間も2時間20分と長いですが,それだけ満足できる舞台です。
LOOP
都市魅力研究室
大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所 都市魅力研究室(グランフロント大阪北館 タワーC713)(大阪府)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/05 (土)公演終了
満足度★★★★★
ミナミの歴史を知る
会場がグランフロントのオフィスの一室なので行くのに緊張しました。お二人の表情がよく分かるので、まるで日限萬里子さんとその周りの仲間から直接お話を伺っているような気がしてきました。
ash children(アッシュ・チルドレン=灰の子供たち)
星の女子さん
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ)(愛知県)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★
レベルは高いです。
脚本と役者はレベルが高いです。
私は楽しめましたが、一緒に観た友人は楽しめなかったそうです。
(観る人によって、評価がずいぶんわかれる舞台なのだろうなぁと思いました。)
ネタバレBOX
動きが少なめなので、時間は長く感じます。
メッセージは、共感できる部分と出来ない部分がありました。(基本、著名作品の抜粋が多いです)
「幕末千本桜」
劇団アニマル王子
ブディストホール(東京都)
2013/10/02 (水) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★
これぞアニマル王子
10周年にふさわしい、これぞアニマル王子!な、ステージでした。
絢爛豪華な衣装、パワフルなダンス、スピーディーな殺陣。
ザッツ・エンターテイメント。
チケット代がいつもよりお高い。
会場がいつもより遠い。
いろいろあるでしょうが、その差額分、価値のある舞台だったと思います。
ぜひたくさんの方にみていただけますように。
悪夢六号室【東京大阪2都市開催】
ニコルソンズ
TORII HALL(大阪府)
2013/10/04 (金) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
楽しかった。
タイトルしか知らなかったので、ホラーだったら、どうしようと思ったけれどコメディーでした。テンポが良くて、ダンスも素敵でとっても楽しい2時間でした。
天変斯止嵐后晴
花組芝居
東京グローブ座(東京都)
2000/02/02 (水) ~ 2000/02/18 (金)公演終了
満足度★★★★
グローブ座で観ました
※実際の公演期間は1996年2月2日(金)〜2月18日(日)です。こりっちさんでは1999年以前の公演情報は登録できないので現在できる一番古い日付にしました。
ネタバレBOX
で、実際観たのは1996年2月6日。
ちょっと長く感じたような。何でだろう。チラシにはシェイクスピアの似顔絵が出ている。何でかと思ったらシェイクスピアの「テンペスト」を日本の中世に置き換えた文楽がもとになっていたからだった。妖怪とか色々出てきて楽しいのですがたまに置いてかれそうになりました。