「廃墟の鯨」
椿組
花園神社(東京都)
2014/07/12 (土) ~ 2014/07/23 (水)公演終了
満足度★★★★
花園の鯨
29年目となる夏の恒例イベントは、桟敷童子の東憲司さん作・演出という
観る前から相性よさげな今年の野外劇。
ダイナミックな創りは、粗さも含めて芝居の原点を見せてくれる。
主人公の内面に迫るシーンがもうひとつ欲しかったけれど
相変わらず“人生意気に感ず”みたいな展開がシンプルに心を揺さぶってくる。
ネタバレBOX
「ここ花園神社は新宿区の避難所に指定されております、
皆様は最初から避難所にいらっしゃるわけです!」という
定番の前説を聞くと、今年も野外劇が始まる前のわくわくした気分になる。
戦後のスラムを舞台に“肉の防波堤”と言われた娼婦たち、
彼女らを束ねGHQと繋がろうと抗争に明け暮れるやくざ、
娼婦もやくざも忌み嫌いながら社会の底辺でもがく人々…。
そこへ満州帰りのひとりの女が現われる。
金とピストルを持ち、冷たい目をして人助けをしようとする謎の女番場渡(ばんばわたり)。
彼女の出現は周囲に波紋を呼び、それは次第に広がって行く。
そして渡の意外な素性が明らかになる…。
徹底的に弱者の視点から時代を見つめる設定、
“桜”や“鯨”が象徴的に使われる演出など
ストーリーの運びは安心して観ていられる。
そこへせっかく超異分子的な番場渡(松本紀保)が投入されながら
彼女の内面がバックグラウンドを語るだけで終わってしまった感じが残念。
先の短い命と知りながら誰かのために闘う孤独な心情を、もっと吐露してほしかった。
受け手となり得る八幡(山本亨)、能嶋(恒松敦巳)、早乙女(鈴木幸二)がいるのだから
強い渡がいっとき崩れて弱さがこぼれ出るような場面があったら、と思った。
今年は“鯨”だけに、上手・下手にひとつずつプールを設け、水を使った演出が新鮮。
冒頭の大勢がうごめくところや、エネルギッシュな群舞の面白さは
振り付けのスズキ拓朗さんのセンスを感じさせて秀逸。
ラストの白鯨の張りぼてがまた、もう少し早く出て来ても良かった気がするが
たっぷり待たせて泳いできた時はやっぱり嬉しかったなあ。
渡役の松本紀保さんはさすがの立ち姿で、寡黙で孤高の人を魅力的に演じる。
親分に可愛がられながらも敵対するやくざに寝返る
日和見的な嵯峨野を演じた粟野史浩さんが素晴らしかった。
昨年鄭義信さんの「秋の蛍」でも、時代を感じさせるいでたちと台詞に魅了されたが
今回も汗臭い群れの中で、ひとり風呂上がりのような清々しい風貌と口跡の鮮やかさが
自信たっぷりにのし上がっていく新しいタイプのやくざをリアルに見せた。
“自分が組に引き入れた新人やくざに刺されて死ぬ”
という最期に説得力を持たせるキャラが見事。
飲んだくれのヘエボウを演じた椎名りおさん、飛び道具的な役ながら
振り切れた演技が素晴らしく、群像劇にメリハリがついた。
当日パンフに外波山文明さんの書かれている通り
“いまだ戦後であり、いつの日か戦前とならないことを祈る日々。
きな臭い政治の世界に怒りを抱きつつこの芝居をお送りする!“
そんな気持ちをいっそう強くさせる力のある作品だった。
猫のサロン~家族のはなし~
猫の会
ひつじ座(東京都)
2014/07/17 (木) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
「クツシタの夜」を鑑賞
作家の言う“寄る辺なさ”を充分感じられた。「ひつじ座」という劇場もこの芝居の世界を表現するのにピッタリの空間だった。
ネタバレBOX
颯子を演じる菊池佳南がいい。彼女の表情やセリフ回しが“寄る辺なさ”を物語る。
冒頭、室内に散乱した彼女の衣類が最後はすっかり片づけられて空虚感に満ちた部屋が現出する。当初、虚ろで混沌としていた颯子の心情(それはどっちつかずで真情を消して見せない夫、文男への苛立ちか)が最後には全てを捨てて新たな旅立ちをする彼女の真っ新な心境への変化を表しているようにも見える。
何度か家出を繰り返しながら、文雄とやり直したいと思っていたようだが、野良猫の保護活動に夢中で颯子の話は上の空の文雄。「嘘だけはつかないでほしい」と言いながら禁煙の誓いを破って陰でタバコを吸っていた文雄。もはや颯子は文雄と暮らし続けることはできなかった。ラストの「バッーカ!」に全ての思いが込められている。(でもどこか未練を残しているようにも見えた。)
元々猫好きで惹かれあった二人だと思うが(夫婦寄り添ってマーガレットやクツシタを見守る時の幸せそうな顔といったらない。)猫のことが元で別れることになるとは皮肉なものだ
真夏の少年
『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』
ザ・ポケット(東京都)
2014/07/22 (火) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
元気いっぱい!
熱ら(劇団名の略)らしい少年のころの熱い思い出を語るに相応しい公演でした。
ダンスや太鼓なしの太鼓表現、遠泳の見せ方楽しめます。
観客には子供さんたちも多く楽しめる芝居でした。
しかし、初日ということもあり、台詞忘れに代表されるようにミスが目立つ。
さらに方言を使う為、大きな声でのイントネーションは聞き取りにくい(会話の時はOK!)後半には、精度をあげてほしい。
ネタバレBOX
キク役のMIKO最高です。顔の表情、仕草、喋り、おまけにダンスまで魅せてくれます
。サトシの祖母役福田さんも面白い!
ヒマワリ役の井坂さんは歌も聞かせてくれます(マイクなしでいいんじゃないの)
おっぱいおばけの虹子もバレー部なのに卓球経験者?のフォームはカッコいい!サトシはホシ岩から飛び込んだら、離れ離れになっても一生の友達(イットウ、エジソン、ビリケン)だという約束思い出せて良かった。
旅人と門【全公演終了いたしました!ご来場ありがとうございました!」
くちびるの会
ギャラリーLE DECO(東京都)
2014/07/23 (水) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
言葉遊びと知を求める旅
壮大なファンタジーで分かりづらい面もありましたが、面白かったです。
ネタバレBOX
プラトンとかマルクスと言った登場人物がいるのでどれだけ難解になるのかと心配しましたが、ダーウィンが進化とか退化、アインシュタインが相対的にと言うくらいの特徴をちょっと強調した程度で安心しました。そして、哲という少年はいつの間にか青年になっていましたが、実はソクラテスでした。
河童は醤油ちゅるちゅるを使って少年の夢を吸い上げドラム缶に詰め込みますが、夢ですから理屈が通るものもあれば通らないものもあるのでしょう。理屈の通らないものは屁理屈で、屁を分離して河童社会のエネルギーとして利用し、理屈はレンガにして積み上げていくそうです。屁理屈と理屈、面白い発想の言葉遊びは素敵でした。
ダーウィンやアインシュタインよりも偉そうにしていたフロイトが主導して積み上げてきた高い高い理屈の壁が崩れ、ソクラテスが知、あるいは未知を求めて旅立つという壮大なファンタジーでした。
後付け心理学をコケにしたところに痛快さを覚えました。
哲の少年らしさを始め、役者さんたちはキビキビしていて好感が持てました。
わたしの焦げた眼球/遠視
下鴨車窓
JMSアステールプラザ 多目的スタジオ(広島県)
2014/07/09 (水) ~ 2014/07/10 (木)公演終了
満足度★★★★
日常と夢幻の狭間で…。
「建築家M」で感じた、不条理性の強い物語なんだろうな…
と、身構えて行ったら、出だしは然にあらず…。
緊張感を後ろに無意識に感じながらも、
意外にカップルの和やかな雰囲気で、
リラックスしながら楽しく見ていると…。
手のひらにじんわり汗でもかくような、
なんか良くわからない
日常と夢幻の狭間の世界に入り込んでるというかぁ。
いやぁ、これは面白かった。
ネタバレBOX
アフタートークで作家のひとが固定はしてない…
と言われてたけど、
あの「ともだち」をどう捉えるかで、
この舞台の見え方も変わってくるのだろうし、
見てる方も、どっちなんだろう?
と揺れ動きながら見てるので、
その分からなさ、不安定さが楽しかったかなぁ。
キリコの諷景
clickclock
金毘羅 FreeStyleStudio(大阪府)
2014/07/12 (土) ~ 2014/07/13 (日)公演終了
満足度★★★★
☆★心地いいリズムで繋いでいく★☆
心地いいお芝居ですね~♪
ずっと歌い続けるのかなぁ~と
勝手に思い込んでたけどそうでもないんですね…(^^;;
リズムに合わせたお芝居って言う感じでしゃうか⁈
いつもながら勝山さんの言葉は情緒を感じる
そして何もない所に空想の世界が見えてくる♪
小さな空間だから音も響いて鼓動に響きます♪
こういう世界が見えてくるのは役者さんの力と音楽と演出の妙でしょうか⁈
リズムに合わせて台詞や音を繋いでいく
米山真理さん(彗星マジック)を始め皆さんいいんですよね~
ボーカル担当?の有元はるかさん
(はちきれることのないブラウスの会)の歌声がいいなぁ~~♪
STORYはちょっと整理出来ない部分もありましたが
60分だけ雑踏の世界から違う世界へ導いてくれる素敵なお芝居♪
☆印象に残った役者さん
歌声もラストの熱演も印象的だった有本さん♪
☆印象的なシーン
過去と現実の狭間で揺れ動く主人公の姿
真夏の少年
『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』
ザ・ポケット(東京都)
2014/07/22 (火) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
歌とダンス
内容も非常に濃く、笑い、感動し、とても素晴らしかった。
場面、場面で歌とダンスを織り交ぜた演習は絶品です。
何度でも見たくなる本当に素敵な舞台でした。
おむすび
劇団サミシガリヤ
シアター711(東京都)
2014/07/17 (木) ~ 2014/07/22 (火)公演終了
満足度★★★★★
やっぱりなあ。
立場的に、いずれ喪主になる可能性のある身としては、
そんなことを考えつつ観ているうちに涙腺が緩み。
いいお葬式でした。
ネタバレBOX
父母が、本当に実年代の役者さんだったらどう感じたのかなあ。
母の「女」発言が、
リアルな台詞になり過ぎて逆に共感できなかったり、だったかなあ。
夕-ゆう-
タクフェス
サンシャイン劇場(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
2度目
同じ芝居を2回観ると,2度目は細部にわたって気づくことがある。良くも悪くも,作り込んでいるなぁ,感心です。あと,2度目だと展開がわかっているだけに,その前から涙腺が刺激されて,1回目以上に涙を流してしまった^^;芝居後のダンスも,振り付けを覚えたのでノリノリ。ダンスのアンコールがあったけど,ノリノリの二乗で最高!
「廃墟の鯨」
椿組
花園神社(東京都)
2014/07/12 (土) ~ 2014/07/23 (水)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
水飛沫を大量に浴び泥塗れになりながら戦後直後のヤクザ、娼婦、耳つんぼ、市井の人々の地獄絵図から熱気と生命力に溢れた、ダイナミックでロマンチアングラ劇でした。
配役の設定に多少の荒さのようなものも感じたけど、面白かった。
平日千秋楽で飲み会参加なんて無理、なので大人しく帰宅せねばならないのは残念w
ネタバレBOX
冒頭から強烈な眼力を発揮させ歌い、踊り、台詞を発する役者たち。一瞬でも目をそらしたら負けな気がして、ついこちらも見つめすぎてしまったw。
ワタリさんのピストル持った姿かっこ良くてサマになっていたけど、もう少し「女」の要素の場面があってもよかったような。能嶋、早乙女の繋がりに最後まで生きていてほしいな、と思ったり。ほか、撃たれてもなかなか死なない八幡の亨さんwとか、扉座の公演時とはまたひと味違う野性味ある馬野伊の松本さん、途中まで狂言回しの出落ちかと思った梶原の辻さん、面白くて印象に残った。
それにしても劇中「人間まんま」の台詞を、一体何回聞いた事かw。
生き抜いて死んで、またどこかで新たな命として復活して、を繰り返す人生の切なさと希望みたいなものが、ごちゃまぜに熱く感じらさせられた芝居だった。
ラストスクラム
03-ゴールデン劇場
劇場MOMO(東京都)
2013/10/30 (水) ~ 2013/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
メチャ面白かった
近年では稀に面白かった。
緻密な演出とパワフルなラグビーシーン。
アカペラの歌唱力もびっくりでした。
永遠の一瞬 -Time Stands Still-
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/07/08 (火) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
今もどこかで起こっている戦争、そして人生の選択
「永遠の一瞬」を止めておけるのは写真だ。
人の気持ちは一瞬ごとに変わってしまう。
「永遠」というものは存在しない。
ネタバレBOX
女性の戦争カメラマン・サラと、男性の戦場ジャーナリスト・ジェームズのカップルがいる。
サラは、戦場取材中に一時意識不明になったほどの大怪我を負ってしまう。
彼女が負傷したときにその場にいなかったジェームズは、彼女を迎えに行き、2人が生活しているアパートに戻って来た。
実はジェームズは、やはり戦場取材中に心に深手を負っていたのだ。
帰国した2人の前に共通の友人であるリチャードが訪れる。
マンディーという、若く新しい恋人を連れて。
身体と心に深手を負ってしまったということによる、サラとジェームズの関係、さらにマンディーという恋人を手にした、リチャードとの関係など、久しぶり会う彼らの状況の変化が、さまざまな気持ちの動きになってくる。
そんなストーリー。
この物語には2つのテーマがある。
ひとつは、戦場ジャーナリスト(カメラマン)についてで、もうひとつは女性の生き方(と男性との関係)についてだ。
戦場ジャーナリストはなぜ戦場を取材するのか、戦場カメラマンはなぜ戦場の悲惨な姿にレンズを向けるのか、ということだ。
それは「強い使命感」にあるからだ。
マンディーがサラに問う。「レンズを向けている怪我をして死にそうな子どもにシャッターを切るのではなく、なぜ助けてあげないのか」と。
サラはそれ答える。「自分たちが伝えなければ、その悲惨さは誰も知ることがない。自分が助けようとしてもその子どもは助からなかった」。
伝えることで世界が知り、レンズの向こうにある悲惨な出来事が少しでもなくなるのではないかと思っているのだ。
しかし、マンディーにはそれが理解できない。目の前にいる子どもを助けることが先であると。
2人の間は、絶対に埋まることはない。
サラの側に立っていたパートナーのジェームズは、戦場で受けた心の傷は完全に癒えていないのだろう。さらに自分の記事が雑誌に絶対に掲載されないことを知り、心が折れてしまう。
「自分たちが何をしても戦争はなくならない」と言う。
つまり、使命感が折れてしまったのだ。
それが彼らの仕事の根幹であるのだが。
ジェームズの心動き、葛藤はよくわかる。それはた私が男だからかもしれない。
自分の精神が傷つき、最愛の人が死線を彷徨ったのだから、「普通」になりたい、と思うのは当然だろう。
しかし、サラは違った。
死線を彷徨ったのが自分だから、最愛の人が生きるの死ぬのかという不安にあったわけではないし、体験からさらに自分の意思を固めてしまったのだろう。
それは女性と男性の違いなのかもしれない。
女性にはそういう強さがある。
子どもを産み、育てるマンディーにも同じ強さがある。
ただし、それは「やりがいのある仕事を捨てても、自分の子どもを育てる」という強さだ。
サラの設定は女性戦場カメラマンなのだが、それを単に「仕事」と置き換えてもいい。
女性は「仕事」と「家庭」の選択を迫られる。
戦場カメラマンという設定にしたのは、その両立が非常に難しいからだろう。
安全な場所で幸福な妻になり、母になるのか、使命感とやりがいで、文字どおり命をかけた仕事を続けるのか、ということなのだ。
マンディーが現れたときに、サラはジェームズに聞く。「ああいうのが好みなのか」と。
サラの嗅覚が、ジェームズの変化を嗅ぎ取った一瞬だ。
彼らの友人リチャードは、言い訳のように、マンディーについて語る。
使命感を持ち、鋭さを失っていないサラを前にして、申し訳なさのようなものを感じてしまったのだろう。
しかし、リチャードはマンディーを選び、普通の幸せを選んだ。
ジェームズも、彼らを見て、心が揺らいだのではないだろうか。
サラの立場から言えば、「結局この男も、あの男もみんな同じだ」ということなのかもしれない。
男が女性に求めるのは、そういう生活なのだから。
リチャードからのプロポーズを受け、いったんは結婚する2人だったが、やはりすでに価値観が違っている2人は別れしか方法はなかったのだ。
別れた後、リチャードは新しい恋人をつくっていた。
サラは1人、また戦場に向かう。
男の視線から見てしまうと、サラの頑なさは、マンディーへの当てつけのように見えてしまう。
「私はあなた(たち)とは違う」「使命があるのだ」ということで、仕事に向かうことに頑なになってしまったのではないだろうか。
女性が仕事を続けるということは、戦場のような場所をかいくぐらなくてはならない。
決死の覚悟が必要であり、その姿は悲壮感さえある、というラストではなかったのではないだろうか。
「仕事か家庭か」という選択を迫られている女性たちは、この作品どう見たのだろう。
とても辛いラストであったのではないだろうか。
「永遠の一瞬」を止めておけるのは写真だ。
しかし、人の気持ちは一瞬ごとに変わってしまう。
「永遠」というものは存在しない。
サラを演じたのは、中越典子さん。キリリとしていて、対峙する者は正論でねじ伏せられてしまうような強さを感じた。
男性はそれを感じ取り、申し訳なさげに対応する。例えば、サラの目を正面から見ることができないような。
マンディーを演じたのは、森田彩華さん。屈託がなく、何でも思ったことは言ってしまう。しかし、悪気はなさそう。ただし、ひょっとすると強く使命感と仕事に燃えるサラに対して、誰もが言い辛いことを、わざと言ってるのではないか(言わば挑発している)と思ってしまうような、雰囲気がいい。
サラのパートナー・ジェームズを演じたのは瀬川亮さん。線の細さ、簡単に折れてしまいそうな雰囲気がよく出ていた。自分の記事が掲載されないことへの怒りや、気持ちの変化など。
友人のリチャードを演じたのは大河内浩さん。俗物のように見えるが、それはサラがいるせいであり、あれが普通のおじさんなのだ。
舞台の上手後方に舞台サイズと比べて小さなモニターがあり、戦場らしき写真が時折、映し出される。何が写っているのかは、ぼんやりとしかわからない。
つまり、世界のどこかでは、こうしている今も、悲惨な出来事が起きているということであり、サラの頭の中と、ジェームズの頭の中には、消し去れないそういう記憶が残っているということなのだろう。
残っていることは同じであっても、その影響は180度変わってしまったのだが。
七月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2014/07/05 (土) ~ 2014/07/29 (火)公演終了
満足度★★★★
夜の部を観てきました
『悪太郎』『修禅寺物語』『天守物語』の3本。
ネタバレBOX
『修禅寺物語』
将軍源頼家は、面作師の夜叉王に自分の顔の面を作るように依頼されたが、なかなか出来上がってこない。業を煮やして夜叉王のところに行くと、納得のいくものができないと言う。それに怒った頼家は夜叉王を成敗しようとすると、夜叉王の娘が、頼家に「実は出来ている」と面を差し出す。面は頼家にそっくりなのだが、夜叉王は、その面は生きた顔ではない、死に顔だ、と言い、渡すつもりはない。しかし、頼家はその面を持って帰るのだが……。
というストーリー。岡本綺堂の作品。
夜叉王を演じるのは、市川中車、つまり香川照之。
そういう見方をしてしまうせいか、力が入りすぎの印象。歌舞伎役者とは発声が違うようだ。歌舞伎役者さんたちは、もっと軽く声を出しているのに、通りが良い。
ラストは芥川龍之介『地獄変』を思わせる。面作り一筋で、それしか頭にない名人と言われる人の凄まじさ、怖さ。
『天守物語』
泉鏡花作、姫路の白鷺城天守閣に住む美しい富姫に妹分の亀姫が遊びにやってくる。
彼女たちは、人ではない。
亀姫は、自分の住んでいる城の殿様の首を土産に持ってくる。
生首は、人ではない彼女たちの好物。
富姫は、亀姫に白鷺城城主の白い鷹を与える。
亀姫が帰ったあと、天守閣に登ってくる人の姿があった。
天守閣に登った者は生きて帰れないと言われているのに……。
というストーリー。
『天守物語』と言えば、玉三郎。
歌舞伎ではない玉三郎主演の『天守物語』も観たことがある。
とにかく、玉三郎さんの美しさ、立ち姿は見事。
すっと立ち、それがまったくぶれない。
表情、客席に見せる姿、形をきちんとして見せる。
玉三郎が演じる富姫が心を寄せる、図書之助役の海老蔵も美しい姿であった。
背景は映像を使っていたが、セットは歌舞伎にしてはとてもシンプル。
舞台の上の役者を見てくれ、ということだろう。
富姫と、その妹分である亀姫(尾上右近)との姉妹のやり取りは、女学生のような明るさと華やかさ、若さまで感じるような演技だった。
姉妹2人が、互いの顔がつくぐらいに近づけてこちらを見る姿には、観客は思わず、きゃーっとなってしまうようだった(笑)。
人ではな異界の者たちの話なので、不気味な中にユーモアもあるし、耽美的な美しさもある。
冒頭、女中たちは、天守閣から、露を餌に、花を釣る、なんていうシーンから始まるのだ。
「えーっ」というラストではあるけど。
この舞台で驚いたのは、「カーテンコール」があったことだ。
歌舞伎座でカーテンコールは初めて見たと思う。
しかも、ダブル。
観客は大いに湧いた。
夜の部には、もう1本『悪太郎』があったが、見てない。
鎌塚氏、振り下ろす
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2014/07/04 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
バタバタしないコメディ
脚本、演出、台詞の間、ともさかさんの可憐さ、どれもが上質で、期待以上のコメディでした。
ダンスがみたい!16
「ダンスがみたい!」実行委員会
d-倉庫(東京都)
2014/07/23 (水) ~ 2014/08/25 (月)公演終了
満足度★★★
遠江愛
上演時間60分。前半の足に根が生えたようなところは気に入ったが、全体的に間延びを感じた。短編向きと思う。
舞台『鬼ヶ島』
ヒート•スピリット
萬劇場(東京都)
2014/07/17 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★
頑張って
旗揚げ公演おめでとうございます。
さて、公演であるが、「和ノ国」と「斉ノ国」の抗争が始まって久しい。そして「和ノ国」=「善」、「斉ノ国」=「悪」という明確な設定である。そういう意味では勧善懲悪の様相を呈すところであるが、完全にそうならない結末…。
(ネタバレBOX)
ネタバレBOX
国の争いと書いたが、そこは芝居の世界。経国するそれぞれの長のキャラクターが善悪のイメージを作り上げる。本公演では、悪が善を凌駕し人が持つダークな面…嫉妬、怨恨、嫌悪などを強調し、その心奥、心魂を描こうと腐心していたようだ。そして人の心にスルッと醜悪な面、弱い面に忍び込む「妖気」の怖さ。深層暗部を抉ろうとしていたと思う。その努力と熱意は伝わった。しかし、それを芝居にして見せるとなると、上手く表現出来ていない。脚本・演出など色々な課題があると思うが、一番気になったのは演技力である。特に役者間の力量差が大きいこと。稽古を積んで解消することを期待している。総じて若い役者が多いようなので、伸びしろはあると思う。
今後の公演を期待しております。
夕-ゆう-
タクフェス
サンシャイン劇場(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
爽やかで、しんみりする涙
法被を着れば、マッシュール・ヘアーの外国人も「にっぽん人」になっている。
1966年、英国の人気5人組バンド-ザ・ビートルズが、【JAL】ロゴ入り法被をまとい、羽田空港へ上陸した。初来日だった。そのハイライトは計5万人を動員した日本武道館におけるコンサートだろう。
あの熱狂から48年後。解散したビートルズの元リーダーにして、ロンドン五輪開会式にも美声を披露した歌手ポール・マッカートニーさんが、再び「法被」をまとい成田空港のタラップへ降り立った。 しかし、「感染症」で喉を痛めてしまったポール・マッカートニーさんは、チケット販売価格10万円という武道館コンサートを断念せざるをえなかった。
「法被」は1966年を象徴するファッションでもある。金髪ヘアーすらサーカス小屋のように珍しかった時代。ところが彼らの爆発的エネルギーと開放的なパフォーマンスは「岸和田だんじり祭り」の参加者だった。
問題なのは「法被」を着ると「熱病」まで発症してしまう点だ。「お祭り会場」の事故も頻繁に聞く。ポール・マッカートニーさんは今回の「ジャパン・ツアー」をリハーサルより熱心に取り組んでいたそうだが、出演者・ファン共々、「熱病」で健康管理が怠らないようにしたい。
さて、宅間孝行「タクフェス」第二段は『夕-ゆう-』である。前身「東京セレソン・デラックス」の再演ともいえる舞台で、内山理名、上原多香子ら実力派若手女優の他、南海キャンディーズ山崎静代など、バラエティ豊かな顔が揃った。
宅間孝行はアドリブ達人だ。上原多香子が男性俳優の局所に球を当ててしまい、あろうことか客席に背を向ける事態が。そこで宅間孝行はフォローする。「小さい声で“すいません”とか止めて」。
毎回の「お決まり」かもしれないが、 役者が窮地に、追い詰められていく「素の笑い」をショー化する達人だと思った。
また、「タモリ」とか、「矢沢永吉」とか、「愛川欣也・内海みどり」などの芸能人の名がやたらと登場するが、これは「業界的」だ。
そういえば徳井義実の脚本も「阿藤快」ワードを50以上 使っていた。ご本人が観劇したら「なんだかなあ~」だろう。
『夕-ゆう-』は「笑い」と「涙」がマーブルになっており、万人受けしそうだ。
あの町から遠く離れて
A級MissingLink
ウイングフィールド(大阪府)
2014/05/31 (土) ~ 2014/06/03 (火)公演終了
満足度★★★★★
白いプラスチックの椅子
前回 見た あの町から 今回も 面白かった 傘を忘れて 取りに行き 次も楽しみ、 会話を思い出す。
セットがいい 梯子の様な階段 白いプラスチックの椅子 舞台奥の吊ったカーテン 船です 上手いセット 過去の話 作り話 多くの物語ガ重なって進む ゴジラ アトム 戦争 原発 面白かった。
ネタバレBOX
前回 見た あの町から 今回も 面白かった 傘を忘れて 取りに行き 次も楽しみ、 会話を思い出す。
セットがいい 梯子の様な階段 白いプラスチックの椅子 舞台奥の吊ったカーテン 船です 上手いセット 過去の話 作り話 多くの物語ガ重なって進む ゴジラ アトム 戦争 原発 面白かった。
// パンの耳 それ! クルックー おはようございます ハトに餌 法事 伊豆 ここ出会おう 九段坂の上で ここ 8段坂です 道理で 伊豆へは? 船はいい 昔船に乗っていた大勢死んだ 船は怖い こわい 昔 船のモデル作っていた 船はいい いいですよ 汽笛がいい ぼー ぼー // ただいま・・・ あのさ 靴下脱いでいい リラックスしたい どうぞ // 有希ありがとう お父さんにはお世話になったし これハンコ押しといたから ただいま 麻実さん 着替えた これ渡すまでは親戚 後3時間 着替えるか、 //アトムちゃん 元気 子はか
すがい // 犬見掛けませんでしたか 私 船長 ・・・・ // 映画の プロット 麻実さん 東京へ帰ったら 食事でも 良いですよ 良かった よろこぶ 英二 //さあ もう行こう ゴドウゴジラを待つんだ さっ もう 行こう だめだよ もう来てもいい頃 明日 土曜日 なにやってる? 稽古 ゴトウは何 ・・・ // ドーン と 聞えた 停電きたのかも・・・ // おー 軍医殿 手 動く様になるかな 模型作ってる 手大切 あの嫌な予感 もう少しここに 敵機 ジジジジ・・・ 救助3名 600名死亡 ウワー 夢、 ハトに餌をやってるおじさん モデル作っていた 英二さん どうしたんですか どうしょう どうしょう ただいま だいぶ 落ち着いて来た // 重症者 ヘリで救助 うみざる クジラ 水 もう
売り切れ 英二事故で頭にケガ 飲料水の買い占めは止めて下さい さあもう行こう ダメだよ ゴドーを待つんだ 停電 冷凍食品 だめ // 藤原さん 何か 警察 停電 事故 ドライバー靴を片方 犯人? // この船流されてる 座礁 隠している あの時みたいに
放射線はこわい もう一回聞いていい 大阪で暮らさない // 指輪拾った 麻実さんに プロポーズ // 東京タワーが火の海 // 夢見てた 医者 魚雷 思い出した 乙姫 ここ海のそこ 亀の亀次郎 故郷へ これ お土産てきな 海上に光と衝撃波 亀次郎 死ぬ マグロ漁船 帰らん 70年経ってた // ゴトウジラ 誘導失敗 アトムやめろ あー~ 僕はゴトージラに負けた 止められるのは僕だけ スペックが違う 弱点はチャックを下ろす // 横領 もうすぐばれる 海へ一緒に行きます? // ・・・プロットに使った 火のうになった無かった 良かった 車の事故 水もらっていって 全て持ちますよ はーい これ 忘れない内に返しとく 東京着いた 大阪で暮らさない ムリ なんで 仕事がある 何回もした やりとり 最後にしょう 分かった そのまま東京に着かなければと
思った 早く 上で待ってる 行くか
//コドウジラの進軍 アトム 分らない 帰る所が 待っている1人がいる だれが待っていたのか分らない 探しましょうか ゴドウシラさんもう止めましょう ギャアー // 佐々木さん 今から 出勤 // ロボット 足 おはよう// さ もう行こう だめだよ ゴトウを待つんだ もう待たなくていい。
舞台『カッコーの巣の上で』
ホリプロ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/07/05 (土) ~ 2014/08/03 (日)公演終了
満足度★★★
少し長いかも
ホリプロだからなのか、綺麗にまとまってる作品だったかな。もう少し弾けても良いかな…
妹の歌
ガレキの太鼓
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/07/16 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
ガレキの太鼓初観劇。。。
回想シーンがメインに展開されて行く中盤あたりまでは、とても楽しめました。舞台の使い方もユニークで面白いし。
ただ、ホワイトボードの件あたりからは、話の主題に関心が持てなくなって、集中力が途切れがちになってしまった。基本的に女性主体の物語なので、登場人物たちと自分との接点(共感出来る部分)があまりなかったせいなのかなぁ。。。