七月大歌舞伎 公演情報 松竹「七月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夜の部を観てきました
    『悪太郎』『修禅寺物語』『天守物語』の3本。

    ネタバレBOX

    『修禅寺物語』
    将軍源頼家は、面作師の夜叉王に自分の顔の面を作るように依頼されたが、なかなか出来上がってこない。業を煮やして夜叉王のところに行くと、納得のいくものができないと言う。それに怒った頼家は夜叉王を成敗しようとすると、夜叉王の娘が、頼家に「実は出来ている」と面を差し出す。面は頼家にそっくりなのだが、夜叉王は、その面は生きた顔ではない、死に顔だ、と言い、渡すつもりはない。しかし、頼家はその面を持って帰るのだが……。
    というストーリー。岡本綺堂の作品。

    夜叉王を演じるのは、市川中車、つまり香川照之。
    そういう見方をしてしまうせいか、力が入りすぎの印象。歌舞伎役者とは発声が違うようだ。歌舞伎役者さんたちは、もっと軽く声を出しているのに、通りが良い。

    ラストは芥川龍之介『地獄変』を思わせる。面作り一筋で、それしか頭にない名人と言われる人の凄まじさ、怖さ。


    『天守物語』
    泉鏡花作、姫路の白鷺城天守閣に住む美しい富姫に妹分の亀姫が遊びにやってくる。
    彼女たちは、人ではない。
    亀姫は、自分の住んでいる城の殿様の首を土産に持ってくる。
    生首は、人ではない彼女たちの好物。
    富姫は、亀姫に白鷺城城主の白い鷹を与える。
    亀姫が帰ったあと、天守閣に登ってくる人の姿があった。
    天守閣に登った者は生きて帰れないと言われているのに……。
    というストーリー。

    『天守物語』と言えば、玉三郎。
    歌舞伎ではない玉三郎主演の『天守物語』も観たことがある。
    とにかく、玉三郎さんの美しさ、立ち姿は見事。
    すっと立ち、それがまったくぶれない。
    表情、客席に見せる姿、形をきちんとして見せる。

    玉三郎が演じる富姫が心を寄せる、図書之助役の海老蔵も美しい姿であった。
    背景は映像を使っていたが、セットは歌舞伎にしてはとてもシンプル。
    舞台の上の役者を見てくれ、ということだろう。

    富姫と、その妹分である亀姫(尾上右近)との姉妹のやり取りは、女学生のような明るさと華やかさ、若さまで感じるような演技だった。
    姉妹2人が、互いの顔がつくぐらいに近づけてこちらを見る姿には、観客は思わず、きゃーっとなってしまうようだった(笑)。

    人ではな異界の者たちの話なので、不気味な中にユーモアもあるし、耽美的な美しさもある。
    冒頭、女中たちは、天守閣から、露を餌に、花を釣る、なんていうシーンから始まるのだ。
    「えーっ」というラストではあるけど。

    この舞台で驚いたのは、「カーテンコール」があったことだ。
    歌舞伎座でカーテンコールは初めて見たと思う。
    しかも、ダブル。
    観客は大いに湧いた。

    夜の部には、もう1本『悪太郎』があったが、見てない。

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    2014/07/24 04:40

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