ビルのゲーツ
ヨーロッパ企画
本多劇場(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い!!!
初ヨーロッパ、おしゃれ、洗練されていて大満足。徹底振りが素晴らしい!!!
ネタバレBOX
とあるビルのオーナーから呼ばれたIT関連企業の社員たちがオーナーに会うためにIDカードをかざしながら1階ごとにビルのゲートを開け続け、ひたすら上の階を目指す話。
とにかく徹底振りが凄まじく、同じようなシーンになりがちのはずですが、ちょっと長いかなと思うこともありましたが、2時間超をほぼ飽きることなく笑い続けました。
途中何度か映像による省略はありましたが、最初はただ開けて登るだけ、途中からクイズを解いて答えをインプットして正解だと開くようになり、さらには罰ゲーム付きになり、最初はスマートに解いていたのがその内他社の人たちとも協力し合いながらなりふり構わずになり、凶暴な動物と戦うようなサバイバルの様相も呈し、ギブアップボタンの誘惑や強要を耐え抜いたたった一人が約200階のビルを登り切りました。
194階あたりにいた人が何年も正解できなかった理由は皮肉でした。
かつてゴドーを待ち続けた人がいましたが、彼らはオーナーに会うために登り続けました。道は永遠に続きますがビルには最上階があります。
朝焼けか夕焼けのような幻想的な屋上の世界、これが何を意味しているのかは分かりません。もう当初の目的も何も忘れてしまっていますがそんなことはどうでもいいという気持ちになります。
舞台上には階段が数段だけ見えるようになっていましたが、それでも繰り返し繰り返し登っていると太った役者さんなどは汗びっしょりになっていました。千秋楽まで登り続けることができるのか少し心配です。
小堺クンのおすましでSHOW 29 A GANG IS HARD! ~ギャングはつらいよ~
浅井企画
東京グローブ座(東京都)
2014/08/22 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
これは楽しい!オススメ!!
一部は芝居、二部は歌とトークバラエティ。
今公演で29回目(年1公演)という長寿エンターテイメントショー。
いやいや、小堺一機さんは、凄い芸達者だ!!
松尾伴内さんもいい味出してたなあ。
特に二部は大笑いした!
アンコールも良かった!
上演時間約2時間50分(休憩15分含む)。
場内アナウンスでは約2時間30分~3時間と流れていた。
アドリブ等で時間が読めないのだろう(笑)
ネタバレBOX
まず生演奏(バンド)の公演で、価格と劇場の大きさから考えて、とても贅沢な公演と思えた。
一部の芝居はフツ-かな。完全なコント芝居でニヤリと笑えるシーンが続出。
バンドメンバーも芝居に巻き込まれ、お気の毒(笑)。
そうそう、公演が29回目なので、主人公の名前がニック。
毎年公演回数で主人公名称を決めると言っていた。
見どころはなんといっても二部。
小堺さんの爆笑トーク。芸能界の裏話を物まねをしながらトークするのだが、
物まねもスゲー似てたし、トーク自体が笑えた笑えた!
「皆さん、ツイッターやfacebookで外部に漏らさないように」なんて言っていた(笑)。
アンコールでは、出演者全員によるタップバンスが披露されたが、これがまた良かった!
全員の息があっていて堪能できた!
満足度の高い公演で来年の30回公演、絶対観に行く!
安部公房の冒険
アロッタファジャイナ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
役者陣に魅了された
役者陣に魅了された作品でした。特に縄田智子さんが良かった。すごく魅力的な演技でドキドキさせられました。
安部公房の冒険
アロッタファジャイナ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
いくつもの対比を紡ぎ束ねる
戯曲が描こうとするものの要素が、演出の手法とあいまって、舞台上に明確に伝わってきました、さらには、骨組の明確さを支える戯曲と舞台の仕掛けに、役者の描き出すものが、淡々と奥行きをもった生々しさをかもし出す舞台でした。
ネタバレBOX
小さいところでのお芝居を観ることが多いので、小劇場PITの空間はかなり広く感じる。
特に前方の席だと高さに圧倒されたりも。でも、舞台が始まると、でも、その広さだからこそ4人芝居が描くものがすっとはまる。道化が綴っていく男の評伝的な部分も、ノーベル賞云々とすら言われた男の才のほどばしる姿も、家庭でのありようも、狡さとも感じられる男の姿も、その舞台の広さとともに混濁することなく研がれ、したたかに切り分けられて、舞台に置かれていく。前半には一人の男のパブリックな部分とプライベートな部分が、それぞれに羽を広げるスペースが舞台にあって、そのどちらの側面も、彼の一面として他の側面を浸食することなく舞台に置かれていく。
舞台に彼を多面的に織り上げていく仕掛けがいろいろになされていました。まず道化が物語の輪郭を軽妙にくっきりと描き出す。主人公の外面というかパブリックな部分が紡がれる上手のリビングダイニングを思わせる舞台には光があり、静謐な中に内なる熱を育む研究室や書斎の押さえられた色調との対比が生まれる。鮮やかな赤と生成りの質感を持った白に色分けされた二人の女性の衣装の色がそれぞれに印象を刻む。消えものや小道具の有無なども観る側にとっての暗示になっていて、たとえば上手の食卓に並んだ朝食や手に取る新聞などが男の外面を導き、小道具をなにも持たず女性とある下手の空間には舫いを解かれた彼の内面の想いが広がる。
それらの仕掛けの中に、緩急としなやかさをもって、男の姿が編み上げられていきます。舞台の表の部分の見せ場でもある、彼のあふれ出すような才気とその果実が熱と高揚とともに語られるとその裏側には、妻と、教え子の女学生との間を行き交う男の姿が置かれ、男の幼くすら思える姿が観る側を捉える。役者が語る台詞や所作にさまざまな一面を纏う男の感触が立体的に観る側の腑に落ちる。しかも、それらの束ねる役者が醸すものには、単に整合性をもって人物を組み上げるのではなく、少しずつ揺らぎが差し入れられて、生まれる密度の細微なほつれにキャラクターの実存感や内に抱くものの肌触りが育まれていく。
終盤、かつて小道具をもたなかった女性が本を持ち舞台上の対比が崩れ、妻との別居も語られて、彼からエッジの効いた表裏が薄れ消える。その中での、二人の女性のそれぞれに彼を受け入れようとする姿も異なる光となり老境の彼を照らす。それは、主人公を一面にとどまらず引き出す表裏とは別に若い彼と老境の彼を浮かび上がらせる対比ともなって。幾重にも置かれたと作劇の企てと、そこに血を通わせていく役者達のお芝居の洗練に時間を忘れて見入ってしまいました。
まあ、正直なところ阿部公房の著作自体や舞台については知識があまりなく、私的には主人公の姿をより満ちたものとして受け取るための自らの素養が欠けていたように感じ、むしろそのことで、役者達がそれぞれに描き出す人物の貫きや揺らぎにより捉われたりも。一人ずつの役者の空間を纏って舞台にある強さと、その広さを力として戯曲の骨格の中に血を通わせていく刹那の繊細な紡ぎ方、なかでも男が老境に足を踏み入れる中での其々のロールに編まれた色の移ろいが印象に残りました。
妥協点P
劇団うりんこ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
視座がドライ
この感覚が気に入った。ドライにアイロニカルに突き放した視線が良い。
(追記後送)
ネタバレBOX
高校の文化祭でクラスのダシモノとして演劇を選んだクラスがあった。「ロミオとジュリエット」を下敷きにした恋愛物であるが、設定は、教師と女子高生になっていた。これにいちゃもんをつけた教師があり、そのいちゃもんをおちょくる作者(高校演劇で賞の受賞歴あり)がいる。周囲の教師を巻き込んで侃々諤々の議論が展開されるが、話が煮詰まると妥協点を見出そうとする意見が優勢になりがちだ。然し、原則はどうするのだ?
脱衣する蛹(さなぎ)
ポーラは嘘をついた―Paralyzed Paula―
早稲田大学大隈記念講堂(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/08/29 (金)公演終了
満足度★★★★
境界
今作は、早稲田大学と美濃加茂市文化交流事業の学生演劇公演として、早稲田で教鞭をとった坪内 逍遥の出身地、美濃加茂市の“みのかも文化の森/美濃加茂市民ミュージアム芝生広場(雨天エントランスホール)で9月6・7日の18時半から上演される作品の東京プレ公演と銘打って上演された。今回は大隈講堂で上演されたが、本番は、雨天以外は屋外での上演になる。美濃加茂市は名古屋からJR美濃太田駅迄特急で約40分。北口から、徒歩約17分で現地に着く。無料公演、予約不要の自由席だ。興味のある方は小旅行を兼ねて行ってみたら如何だろうか?
ネタバレBOX
さて、本題に入ろう。登場人物は男女各々1人の2人芝居である。
若い夫婦だが、子供は居ない。妻が、恐れているもの・或いは状況があり、彼女は、部屋に閉じ籠ったきりである。夫が、必要のあることはしている。無論、家内で出来ることをするつもりは妻にもあるが、どういうわけか、最後の夕日を眺めている。この夕日を限りに、夜の世界へ移行してしまうのだ。而も、妻は完全な闇には耐えられない。従ってランタンなり何なりの灯りは、常に夫の準備すべきものであり、燃料補給も彼の責任である。屋外が闇に包まれて以来暫くは、妻の精神状態も安定していた、かに見えた。だが、虫が増えている。夜ばかりになった世界で人工の火は、蛾を吸い寄せる。この部屋、ガラス窓にも、蛾が当たって潰れる様が見え、音が聞こえる。だんだん、それは繁くなる。女は、自らの体に、虫が入り込み、皮膚の下で成長し、内臓を喰われたり、脳を喰われたりする気配を感じる。現に、夫は、一度、脳に虫の幼虫が入り込み、彼の脳を喰らって大変なことになりかけたハズ。そのような虫が、地震後、至る所にできた罅割れを通して、キーバードの隙間から、人間には気付かれないあらゆる微小な隙間を通って人間の体に達し、その体の中を喰い散らげながら、成長して行く。女がこのように認識すると、女の外部たる夫は、ゴキブリのような虫に変容してゆく。元妻と元夫は、互いの真実を求めてか、追い掛け会うが、とどのつまり、この行為は2人の魂に何も齎さないどころか、反復行為しか意味しない。女は未来を失くした。そして、彼女おメンタリティーは透き通ってゆく。邸の外では、消防車のけたたましいサイレンの音、女の周りは業火の咆哮。それを女は、超絶した意識のように扱っている。最早、其処に生き残る為のなにがしかの行為、或いは知恵を働かせようとの意識も無い。唯、外界を対象化し、事態を正確に把握仕様との意識のみが屹立している。
By the way,くどいようであるが念の為、今公演は屋内で上演されているから、女は密封状態の建物に、自意識の壁を守られている形をとるが、本公演では、森が実在しており、意識の世界は、イメージの跋扈する世界である。この違いだけではなく、屋外での、役者の発声法や何より閉鎖系ではなく、開放系の空間内で女の持つ心理の閉鎖系を如何に描くかという点も大問題たらざるを得ないので、できれば、両公演を観たいものだとつくづく思う。作家のスタンスが、常に、今迄に無かった物の見方、局面を、極めて正確に言語によって規定しようとするように思われるので、尚更、基本的コンセプトは同一であるはず、或いは、傾向は変わらないハズの今作が如何様に演じられるのか、興味は尽きないのである。
間違いなく才能のある作家であるが、自意識のドラマのみならず、外界に出会うことを目指してみては如何だろうか? 無論、大きなリスクを伴う。然し、最高傑作になる可能性も大きいと思う。自分対世界の構図を世界の内なる自分にアダプトしてゆく作業だが、ある程度、アダプトした上で、自由を再確認したり、泥が泥をこねつつ明日を夢見る大衆の感覚に近いものは把握できるであろう。
痕跡 〈あとあと〉
KAKUTA
青山円形劇場(東京都)
2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了
満足度★★★★
2回目のKAKUTAさん
3月に『彼の地』を観劇してからの2回目の劇団様。
『彼の地』が白なら痕跡は黒な感じ。ぃゃグレーかなぁ?
人の気持ちや行動が紙一重でこんなに変わるのか!!
って思わされました。
馬鹿やろう、そこは掘るな
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
甘棠館show劇場(福岡県)
2014/08/26 (火) ~ 2014/09/04 (木)公演終了
満足度★★★★
面白かったけど。
この劇団は3作目の観劇だが、たとえば前作に比べるとドタバタ度が減った変わりに物語が加わった。しかしながら、登場人物が知らない事を観客は知っている、その辺りで笑いを取ろうとした様だが、その辺は難しい所だと思う。ちょっと、とっちらかった印象はいなめない。
シットアウト
tubbing
キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
とても素敵でした!
登場人物が魅力的で、とても人間らしく、愛さずにはいられません。
お芝居ということを忘れる距離と演技力のため、登場人物の激しい感情の動きがはっきりと届き、観ている方も苦しくなります。
けれど最後は温かい気持ちになれる、素敵なお話です。
観ないともったいない、たくさんの方に観てほしいと思える作品でした。
私もまた観にいきます。
シットアウト
tubbing
キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
軽いのに深い
極小空間で交わされる台詞がまるで“正確な矢”のように素晴らしい。
目指す相手にきちんと届く、それも無駄なく最短の距離で。
崖っぷちでそれぞれ切羽詰っている3人の会話はテンポ良く弾み、
三者三様の「ないものねだり」が丁寧に浮かび上がる。
脚本・演出、そしてキャスティングの妙を堪能した。
鮮やかな初日の充実ぶり、終演後の拍手がそれを端的に表している。
ネタバレBOX
ひとりの画家が死んで1年、一番弟子だった開人(大沼優記)のアトリエを
画家のマネジメントをしていた彩音(小玉久仁子)が訪れる。
画家の一人息子走(末原拓馬)もやって来て久々の再会をする。
だが実は3人とも、それぞれに追いつめられた状況にいた。
詐欺にあって大切な絵を失いそうな彩音は一発逆転を狙っている。
今や漫画家として順調な走はやはり絵を諦め切れずにいる。
そして開人は画家として致命的な症状に苦しんでいた。
画家が残した最後の絵を巡って、3人の思惑と過去が交差する…。
かつてアトリエでいつも一緒に過ごした3人は
それぞれ自分の才能と格闘しながら生きている。
誰かの才能を信じ、その才能を愛し、そしてどこかで妬んだりする。
人の才能より自分の才能を信じる方が難しいものだ。
だから誰かもう一人、一緒に信じてくれる人が欲しくなる。
その心細さやジレンマと闘い続ける芸術家の孤独が、普遍性を以て迫る。
亡くなった画家の、絵も人間性も全てを愛した彩音の独白に惹き込まれた。
小玉さんの台詞は抜群のタイミングで繰り出すテンポと勢いが魅力だが
中盤、亡き人を想って静かにくり返す「会いたい…」という台詞がひときわ光る。
毒を吐きつつ、大事なところでは素直になる彩音のキャラがはまり役。
大沼優記さん、“画家として決定的な欠落”を抱える男を淡々と演じて上手い。
元カノ彩音とのビミョーな会話も、小玉さんに上手く絡んでとても楽しい。
小玉久仁子が元カノって設定だけでもすごいのに、台詞で負けてないからまたすごい。
血筋も才能もあって、その気がなくても何だか上手くいっちゃうお坊ちゃま走。
彼の中に潜む“否定された故の執着”が首をもたげる様がリアル。
末原拓馬さんの“育ち良さ”と相まって生き生きとしたキャラがとても魅力的。
これはアテ書きだろうか、脚本の米内山陽子さんが生み出したキャラが
役者に素晴らしくハマっている。
小さな空間で3人それぞれの思いにスポットライトを当てる広瀬挌さんの演出も巧い。
軽妙な台詞の応酬で笑わせながら、人の心の深いところを突いて来る。
座組みの相性の良さも気持ちよく、忘れられない作品になった。
ニューシネマパラダイちゅ
合同会社シザーブリッツ
劇場HOPE(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
とっても大好きになりました!
Bチームは月曜以来観れてなくて、その後どう進化したのか気になってるんですが、平日のマチネーはなかなかなか行けないのでございます。そういう訳で本日もAチームだけってことになってしまいましたが、日曜にはBチームを観られることになってますので楽しみです。
今夜観たAチームは、回を重ねて役者さんたちが、持っている個性を存分に発揮するようになってきた感が強いです。それにしても今回の舞台は、出演者の皆さん全員、実力ある人達が集まってるなあ・・って思います。これは観る側には大切なことです。
で、いつものようにネタバレ無しで書かないといけないので、今日は役者さんごとに感じたことを書かせて頂きます。
岸田役の笠原賢人さん:何回か見ているうちに大好きになりました。自分の理想と与えられた現実の間を揺れ動く悩める青年の心を見事に表現されてます・・・って、シリアスな芝居の感想なら、こう書くんでしょうね・・・複数のシチュエーションを姿勢や声まで変えて実に見事に演じてますね~。笠原さん演じる「野○」に来週から会えなくなるのは、とっても寂しいです! 突っ伏して泣くところは、こちらも泣きそうです(?)。ところで本日は足につけてる茶色の小さな衣装の位置が上のほうになっていたのは何故ですか?
真宮寺役の高橋明日香さん:日々パワーアップする過酷な要求に良く応えてますよね!高橋さんの個性ある演技は客席全員の楽しみでもあります。週末も期待に応えてください!
黒沢役の伊藤さん:コミカルな演技上手いですね~この役が単なるお調子者ではなく強い意志を持った人物であることが良く判ります。
矢島役の和興さん:怖いけどホントはとっても、ひとのいい田舎の親○を、矢島さん以外には不可能なやりかたで演じられていました。今夜は客席最前列にも優しかったんですね~
田村役の伊藤さん:伊藤さんってチーム内に2名いるんですね・・・今日は表情に巾が出てきてワンステップ登ったようです。コミカルなシーンでもティピカルな表情表現から一歩進んで伊藤さんならではの表現が出てきました。ラスト近くでの、ヒロインの悲しく美しい表情と、泣き伏す「野○」を慰めに向かった時の一瞬の表情は、とても素晴しかったです!
この素晴しい舞台、あと2日しか無いなんて・・・
わたしの星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
キャン待ちして良かった
当日券で入れるだろうと油断して行ったらなんと、整理券番号32で相当焦りました…。スタッフの方々のご配慮を頂いて、なんとか観させて頂きました(ほんとすみませんでした…)。
いちばん印象に残ったのはやはり役者さんでした。全員現役の高校生とのことでしたので、どんなに元気な芝居をみせてくれることやらと期待して入ったのですが、期待以上のドタバタ具合。何度も笑わせて頂きました。とは言えど、それぞれがしっかりキャラ立ちしていて、魅せるところはしっかり魅せる。少し間を取る場面が多くて疲れましたが、そこが舞台上であることをはっきりと思い出させてくれる役者さんばかりでした。こんな若々しい元気な役者さんたちに、淡くて、少し切ない演出が相まって、不思議な清涼感を感じました。また観たいと思える芝居でした。
20世紀の伝言
サントリー芸術財団
サントリーホール 大ホール(東京都)
2014/08/28 (木) ~ 2014/08/28 (木)公演終了
満足度★★★
37年ぶりの再演
20世紀前衛音楽を代表的する作曲家、カールハインツ・シュトックハウゼンが雅楽の奏者と舞人の為に書いた作品で、初演が酷評に晒されて長らく再演されなかったのがある意味理解出来つつも、そこまで悪く言われる内容でもないと思いつつ楽しめました。
床に大きく1997(初演の年号)と書かれていて、4人の舞人がそれぞれの数字の上で舞うのに合わせて舞台奥に設置されたカウンターの数字が増えて行き1997に達するという基本構造に、悪魔の誘惑と天使の煽揚を描いた寸劇が4回挿入される展開でした。
進行役の能楽師が冒頭と最後で謡曲を引用したり、舞人の動きは舞楽のものをベースにしていて古典的な味わいがありつつ、音楽や全体の構成はアヴァンギャルドで、独特の儀式的雰囲気が漂っていました。
寸劇では被り物の猿、コック、バイク、裸の女といったキッチュな要素が現れて空気を一変させていました。、全体を統一するシステムの中に敢えてそれを壊す異物を挿入する手法がいかにもこの作曲家らしくて興味深かったものの、この悪趣味なユーモアセンスが不評に繋がったのが想像出来ました。
特に物語がある訳ではありませんが、悪魔の誘惑に負けずに時間を進む姿に人類の未来に対してのあっけらかんとした肯定が感じられ、現代音楽特有の小難しさが無いのが良かったです。
楽器は雅楽の標準的な編成で、極端な特殊奏法は用いてない様でしたが、古典曲とは全く異なる響きがして新鮮でした。
休憩後に一柳慧さんの新曲『時の佇い』が演奏されましたが、こちらはパフォーマンス的要素が無い、純粋な音楽作品でした。
のらん
TEAM 54 Produce
博品館劇場(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
大塩平八郎…
“のらん”、だそうだ。シャレたタイトルから推察できるように、ポップ調の楽しい演出である。30人の男優だけの歴史群像劇…時代は江戸・天保8年のこと。当時の大飢饉に際して庶民の側に立った大塩平八郎、その名は日本史教科書に必ず出てくる。
さて、本公演の平八郎はどちらかといえばカッコ悪いが、どこか愛嬌のある人間くさい描かれ方である。時代背景や“乱”を詳細に描くわけでもなく、さりとて人間性を深堀することもない。また、時代劇にある殺陣もない。しかし、しっかり2時間30分程観(魅)せてくれる。娯楽時代劇に徹底した制作だから、歌やダンスをふんだんに取り入れたエンターテイメント作品に仕上がっている。
フライヤーの「実話を元に描くアラフォー全力投球のヒストリック・コメディ!」はウソではない。
ネタバレBOX
主人公は、元・町奉行組与力という侍であるが、その人物像は優柔不断で頼りなく描かれている。しかし、その取り巻きの人々は平八郎を尊敬しており、何くれと世話を焼いている。
多分、実話と違うであろう人物像を前田耕陽が魅力的に演じていた。
フライヤーにある 「総勢30名の男だけで送るどうしようもない失敗ばかりの物語~前田耕陽芸能30周年記念公演」 を十分堪能した。
キスミー・イエローママ
ゲンパビ
OFF OFFシアター(東京都)
2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★
混沌としたモノ
色んなエピソードがごっちゃ煮になった感じ、ただいらないエピソードが多いように感じられた。演出以前に脚本の問題。
兄おとうと
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2014/08/17 (日) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
極めた舞台 時代の危機感鋭く
吉野作造と10歳年下の弟、吉野信次を中心に据え、その兄弟のそれぞれ妻である姉妹、先々で出会う人々を通して、明治、大正、昭和と23年に渡る激動の時代に生きたひとびとを描く。
大正デモクラシーの時代から関東大震災を経て、軍国主義の足音が聞こえてくる昭和初期を舞台にしているため、国家や法律、天皇と軍など、この芝居のもつテーマはたくさんある。議会の存在感の薄さ、憲法改憲や集団的自衛権の行使容認など、大震災を一つの契機として、「国家の暴走」を危惧させるような世の中になりつつある現在の日本。「普通の人々」が右傾化し、「常識」と言われてきたものが威勢のいいほうに流されていく社会。初演から11年、4回目の上演だが、今回ほどこの戯曲の抱える予言的な警告が、ストレートに観客の心を揺さぶる時代はないかもしれない。
ネタバレBOX
井上ひさしの戯曲は常に一種の「近代日本人論」であるともいえる。晩年は特にその色を鮮明にしていった作品が多い。2000年代以降、近代日本を扱った作品がほとんどを占め、この『兄おとうと』と遺作『組曲虐殺』が関東大震災前後、それ以外はすべて戦中戦後が舞台だ。どれも近代の「日本人」が形成されるうえで極めて重要な時期を、繰り返し扱っている。
われわれはどこからやってきて、どこに向かっているのか。それはとどのつまりわれわれは何者であるかを問うことを意味する。未来を展望するときに過去の過ちに目をつぶっていては同じ過ちを犯すに決まっている。演劇は、古よりひとびとが無意識に忘れ去ろうとしている記憶をつなぎとめる装置としての役割を果たしているのだ。
いま、単なる盲目的な護憲運動でも、日和見的な平和主義の擁護でもなく、この芝居がこうした社会装置としての演劇の役割を果たしているといえよう。それはなぜか。
そもそも「憲法」とは何か、なぜ必要なのか、「普通の人々」のしあわせとどうつながっているのか、という根本的な問いが発せられていて、それに誰にでもわかることばで明確な回答がなされているからである。「三度のごはん きちんと食べて 火の用心 元気で生きよう きっとね」という言葉にすべてが集約されている。国民主権の国家の役割は国民が「三度のごはん きちんと食べて」という最低限の人間的な生活の保障と、「火の用心」という、事件や事故によって命を奪われる危険を回避するための「法の下の秩序」を表している。この「国民の願い」を担保するものこそ「憲法」である。
重要な点は、幕切れ近い場面で、この真理に、民主主義学者の作造と、官僚主義者の信次が同時に気づくことである。同時に気づくがその解釈が正反対である。憲法は国民が国家に下した命令であるべきであると説く兄と、憲法に謳われた国民の生活を守るために、国家が法の網をめぐらせ、法律で管理するべきだと捉える弟。この決定的なズレと溝は埋まらないまま二人は最後に和解し、温泉の湯に浸かりに行くのだ。それはこの兄弟にとって最初で最後の機会だった。なんと愛しくも切ない場面であることか。
この戯曲で描かれる作造の弟信次は、実際に官僚から大臣や政府の高官を歴任した、いわば「国家」の代弁者でもある。この芝居においてはわかりやすいヒールを担っている。慈愛に満ちた兄のヒーローぶりを際立たせているのは、彼の国家の代弁者としての「正論」と、社会の「仕組み」を重視する「為政者」の論理だ。たびたび災難に見舞われるたびに頭をもたげる信次の論理「ごめんなさいで済めば警察はいらない」はまさに原理主義的な「法の下の秩序」であり、法が犯されることは近代国家の崩壊に直結する、とすぐ大騒ぎする滑稽で大げさな警戒感は、統治装置としての国家のメカニズムをよく表している。
対して終始飄々として、泰然自若の感がある作造が、憲法の原理を解く場面では、市川の青年会の前での演説練習の体をなして観客に直接講義がなされたり、終幕で直接的な軍国主義政策の危険性、議会制民主主義の危機への警鐘が叫ばれたりする場面では、リアリスティックな時空を超えた独白がなされるなど、ドラマウィズミュージックの軽快な作風の中に、伝えねばならないことは極めて鋭利な手法で際立たせている。演出と俳優の覚悟や決意が観客の胸を打つ。
ただやや気をつけねばならないことがある。それはこの芝居が、護憲運動のむなしいカタルシスのはけ口になってしまわないようにすることである。再演であるがゆえに、観客のこの芝居に対する改憲や憲法解釈変更、集団的自衛権の行使容認など、「議会の外で行われている横暴」に対する怒りや不安はいつにも増して一層強い。だから幕切れにはそれ相応の演出の変更がなされていた。過去と現代の危険な一致を、芝居のイメージとして抽出できる、演劇の力を信じる者にとっては、やや食傷気味。ただ、特に若い世代など、眼前の舞台と現実のリンクに努力のいる観客にとっては非常に有効な手段なのかもしれない。『木の上の軍隊』でのオスプレイのヘリの音に通じる、今回の時事的な用語の視覚的な登場は、作り手の危機感は理解できるが、(『木の上―は蓬莱竜太作だが)井上戯曲の普遍的な力を信じ切れていない気もして個人的には複雑だった。とはいえ、演出も音楽も、また俳優陣の演じ方も、井上ひさしの眼差しを受け継ぎながら、自分たちの受け継いだ財産をさらに磨きをかけて披露するがごとく、旅公演を重ねて完成された舞台からは、作品に新たな息吹を感じさせるような、熱気というよりも覇気のようなものすら感じた。憲法や国家を論じることは大切だ。しかし実感を伴わないような鷹揚なことばに踊らされることなく、若い世代にもっと劇場に足を運んでほしい。劇場に来て、芝居を観て、感じて、それから考えてほしい。足元のおぼつかない、非常に高齢化した平日マチネの客席に、一抹の不安を覚えたのは杞憂であってほしいのだが。
シットアウト
tubbing
キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
アトリエにお邪魔してきました。
と、思うくらいの密度と距離感で満喫の時間でした。
70分?80分?あっという間のひとときです。
良いもの観ました。
相変わらず米内山さんのお話はチクリときつつも爽快でやみつきになる味があるし、そこにまた味の違う3人の役者陣がひっかきまわしてそれはもう大変なことになって。…つまりとても楽しかったのです。
観に行ってよかった。
あと2日公演、まだ行こうか迷ってる方にはそっと背中を押して差し上げたい一本です。
安部公房の冒険
アロッタファジャイナ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
面白く観たけど複雑な気持ち
あの「壁」や「砂の女」の安部公房の晩年って、こんなだったのかなー。
と、面白く、そしてやや複雑な気持ちで見ました。
やや複雑なというのは、良識ある一般人の私としては、妻、夫、愛人といたら、フツーに妻目線で見ちゃうんですよ。笑。
最後まで、私は妻目線で観つつ、舞台は愛人目線で進む。
二人の女の大岡裁判(手を離したほうが本当のお母さん!)のような話でした。←ちがう。
ネタバレBOX
アメブロにもうちょっと長々書きました。
http://ameblo.jp/imacoco2010/entry-11917042237.html
6C×BCS ~夏のショートストーリーズ~
シアターKASSAIプロデュース
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2014/08/20 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
全コース観て・・・
全部観てきましたが、どのコースもおすすめ!6C・バンタムファン以外の方にもぜひ見ていただきたい。ほっこり涙したり、本気でお腹抱えて笑ったり、切なさに苦しくなったり。個人的には、あのセリフ量を魅せる土屋さんの演技が好き。目が離せない。ショートストーリーと侮るなかれ、すべての作品が「いい」です!
アムステルダムの朝は早い
劇団半開き
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
興味深い
留置場と拘置所の違いは漠然とわかっていたつもりだが、その施設の間には行政管轄の違いだけではなく、もっと大きな違いがあるようだ。学生の時、民事訴訟法、刑事訴訟法という講義があったが、民訴=眠訴、刑訴にいたっては履修したかも忘れてしまっている。しかし、この公演を観て”驚訴“または”恐訴“した思いだ。
さて、人間「魔が差す」ことはあるだろう。この公演は、普通に生活していた人間の透けた間が生んだ、取り返しのつかない話。そして「真が射す」こともなく、現代日本における法・制度の悪弊、しかし、そこでは常識や道理が通じない恐怖がよく描かれていた。
たぶん、細かい齟齬はあると思うが、先に記載した法制度、行政という枠構造への鋭い批判、一方、自己の曖昧な感覚に基づく道徳感や正義感は、法という枠内では意味を持たない。正義とは、その基準は何か(国によって違う)という主人公の叫びは考えさせられる。とても興味深い公演だった。
最後に、総じて若いキャストだが熱演で見せてくれた。
この公演は、劇団”半開き“以上の“八分開き”で、今後の公演が楽しみである。