紫式部ダイアリー
パルコ・プロデュース
福岡国際会議場 メインホール(福岡県)
2014/12/09 (火) ~ 2014/12/09 (火)公演終了
満足度★★★★
聞きたい、聞きた~い
斉藤由貴さんのなんか自然な演技良かったです。
キーワードを知っていないと現代版にしていても厳しいところはありますが、掛け合いで楽しめる舞台です。
乱舞る
TEAM ゆうびんホスト
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
楽しい舞台でしたが・・
ストーリーは面白かったのですが、まとまりがないという印象で分かり難い感じがしました。ラストは、ほっこり温かくて良かったのですが、事件の詳細が分からず気になりました。必要かな?と思われる小ネタが多いのも気になりました。楽しい舞台ではありました。
ブレメン
THE 黒帯
池袋GEKIBA(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
THE 黒帯デビューしました☆
初めてだったので、始まる前はとってもドキドキしていました。
ドキドキ、ドキドキ・・・
その緊張は、始まってすぐとけてしまい、不思議な魔法にかけられたまま、
あっという間に終わってしまった感じでした。
初めて観る団体なのに、「1回だけじゃ絶対後悔する!」と直感。
2回観てしまいましたが、まだ観たいって思うほど、心地よい空間でした。
不思議なんですが、
男性だけのお芝居なのに、とても繊細に感じて。
こんなにもほっこりできるとは思っていませんでした。
(ごめんなさい…)
またひとつ、ステキな方々に出逢えました。
ネタバレBOX
それぞれ個性的なプロジェクトチームのメンバー。
バラバラなのかな?と思ったら、とても結束力が強い、ステキな集まり。
プロジェクトチーム=THE 黒帯 のように見えたり・・・
主人公の語りからの始まり。
意外でしたが、私は好きです。
まきすけさんの優しい声が、とても心地よかったです。
2度目に観た時は、主人公の性格を把握出来ていたので、
その語りを優しく「うんうん」と頷きながら聴いている客席の自分がいました。
仲間が主人公 黒場さんの性格をよくわかっていて、
わかっていた上で、自分たちの置かれた状況のためでもあったけれど、
黒場さんの一歩前へ進む後押しをしていて、やっとの想いで父親と交わることができた…
そこまでの過程が、とても可笑しくて・・・でも一生懸命で・・・
だからこそ、最後に「良かった~」とホッと出来たのだと思います。
客席にいた皆さんが、黒場さんの変わっていく姿を見守っていたような気がします。
個人的には、『父親』というキーワードがちょっと・・・
私は「お父さん」と呼んだことはありますが、24年前に父のもとを離れてから一度も会っていないので、もう交わることはないなぁ…という気持ちになってしまいました。
観終わった後、いろんなことを思い出して、少しだけ苦しくなってしまいました。
でも、そんな思いがあったから、黒場さんが父である社長といろんな話が出来たこと、思いを知ることが出来たこと、羨ましくもあり、良かった~と心から思いました。
頑なな思いが、少しだけ揺らいだ・・・そんなお話でした。
ありがとうございます。
体夢-TIME
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
無題1335(14-384)
13:00の回(晴、寒い)。12:15会場着、受付、12:28外で整列、(自由席)12:30整理番号順に入場、何時ものように暖かい対応。5作目、大手さんは「シャワー(2014/10@風姿花伝)」を観ました。座って舞台をみると、鬱蒼としたものではなく、無機質、冷たい美術。13:00前説(110分)、開演〜14:54終演、バックステージツアー。当パンの役名、元ネタがわかるものが多い。
終末SF的、未来の幻想物語、廃退、運命、少年だけが持つ力…ジュブナイル物の王道。
劇中、D.ボウイの曲が聴こえてくる…どの音源?「Ziggy Stardust」は1972年リリース、今でも聴いている人はどのくらいいるんだろう。
椎名さん…「アロマ(2015/1 予約済み)」に客演、ちょっと声をおかけする。
ネタバレBOX
以下、雑記
時間を遡るけどタイムパラドックスはあるようで、ないような設定。
絶滅しそうなわりには体制にこだわったり、自らのルールを守り通そうとする「ヒト」。
「ザルカス」というネーミングはなんだろう…タルカスではないだろう。
欲を喪失するという設定は考えてみると奥深いものを感じる。
太古のマグマが固まったような岩盤は紙で加工したそうで、近くで見てもよくできている。
次世代が新人類に進化するのは「Childhood's End」的。
黒と白の大波は前方で見ているとかなりの迫力。
ミッション・インポッシブル的な登場は巧かった。
欄外
劇団テアトルジュンヌ
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
現代社会の歪み。
とても興味深く考えさせられる舞台だった。今までに観たテアトルジュンヌの作品もどれも良作揃いだったけど、今回はその中でも集大成と呼べる傑作だったと思う。
これといった出来事もなくみんなが平和に暮らす架空の町が舞台。"現代の童話”のような非現実的な雰囲気なんだけど、描かれている内容はとっても現実的で、現代社会の”病み"や歪み”が見事に表現されていたと思う。
上演時間:100分
ネタバレBOX
物語は終始ディープで時にエグい展開が続くんだけど、登場人物たちはみんな明るく、それだけに狂気が更に際立って凄みすら感じられた。
特に印象的だった場面が、引きこもりの青年タダシが、何気なくモグラを殺してしまい「なぜモグラは殺してはいけないの?」という問いかけに母親が「蚊は小さいから殺しても良いけどモグラは大きいからダメ」とたしなめるエピソード。一方で命の大切さを説きながら、他方で命を奪うことでしか存在しえない”人間の性”。「蚊」も「モグラ」も「人間」も等しく同じ命であるならば、「人間(を殺す)=蚊(を殺す)」。一歩踏み間違えただけでタダシのように「蚊」を殺すように「モグラ」や「人」を容易く殺すことが出来る人間が生まれかねない。人が理性で生きるためには、この根源的なジレンマからは逃れることは出来ない。悩ましく考えさせられるエピソードだった。
また単管パイプと布で組まれた舞台美術についても、独特の無機質で冷たい感じが作品の世界観にとても合っていたと思う。
みえない雲
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/16 (火)公演終了
満足度★★★
観る側の立場で考えよ!
重いテーマ、あの暗がり、スローテンポの展開、素舞台で休憩なしの2時間30分強をイメージしながら集中して観ることは難しい。それゆえ照明に工夫されているは当然!そう考えるのは私だけだろうか!
安全性からみれば原発廃止は皆が認めるものだが、そこで生活をなす人・町にとっては現実問題を付きつけられるのは言うまでもない。放射能漏洩の影響を改めて考えさせられた。
上白石萌音さんは声もいいのですね、舞台を駆けまわるすばしっこさにも驚きました。
Familia -4月25日誕生の日-
TSミュージカルファンデーション
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/12/05 (金) ~ 2014/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★
どこかで見たことがあるような話
どこかで見たことがある話の違う国版。
そんな風に感じました。
といっても、ダンスが多く取り入れてあり、
見応えのある舞台でした。
坂元さんが、足を怪我していたけど、
それをネタにもしてたし、
動きに制限はあっても、歌は怪我とは関係なく素晴らしかったです!
花と魚(劇作家協会プログラム)
十七戦地
座・高円寺1(東京都)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
現代社会の写し絵
現代社会で一番問題となっていることを描いている。
漁村の話だが、どんな地方でも、いや都会でも同じような力学で世界は回っている。
人は自分の見たいように世界を見、そのためにあらゆる情報、手段、他者を利用する。それはどんな立場の者でも同様だ。右であれ、左であれ、上であれ、下であれ。この作品はそんな社会に蠢いている力学のことを描いている。
私は再演を観ているが、再再演の今回では見え方が変わった。
役者や演出、そして小屋が変わったこともあると思うが、
社会状況が変わったことも大きな要因だと思う。
その状況状況で、様々な捉えられ方のできる素晴らしい作品だと思う。
ネタバレBOX
今回改めて観て一番感激したのは、作家:柳井 祥緒氏の姿勢。
一般的に社会意識の高い作家は、単純な体制批判に陥りがちだ。
だが、社会はそんな単純な二項対立では成り立っていない。
体制批判の力学は一歩間違えば第三者への暴力にもなりかねない。
また根拠のない陰謀論をまくし立てるだけでは、批判をしているという話者のストレス解消にはなっても、本当の意味での問題解決には何ら近づけない。
そのことは震災を契機として社会の前景となり、それらの暴力を様々な場面で私は見てきた。
本当の批評性とは、そこで発動している力学を注視すること。
そこからしか問題の解決に至る端緒は見いだせない。
柳井 祥緒氏はそういう意味で極めて理知的で批評性を持った作家だと思う。
その点にとにかく感服した。
<再再演を観て>
私は再演を観ていたこともあってか、再演の時ほど作品内のスペクタクルにのめり込めなかった。というのは、第一に物語を知っていたから。第二に小屋が大きかったから。どちらの要素が私にとってより大きかったのかは判別がつかない。どちらかというと後者のような気がしているが、「大きい舞台でも充分よかった」という評も多いので、前者が理由かもしれない。
これは批判ではなく、向き不向きという話だが、柳井作品を充分に活かすにはやはり密室的空間で観客の集中力を最大限に高めるという方が良いような気がする。広い空間は、観客の意識も拡散してしまう。すると、どうしても柳井氏の知的な台詞の意味を充分には理解できずに、次のシーンに移ってしまうという場面が多かった。(私の頭が悪いだけかもしれないが。)
ただ、これだけ力があり素晴らしい劇団は、もっともっと評価され、多くの人に観られてしかるべきだと思うので、座・高円寺のような大きなところ、更にもっと大きいところでもやって欲しいとも思っているので複雑だが。
(私が問題にしているのは、「観客の意識」の問題であって、空間演出のことではない。空間演出については素晴らしかった。難しいテキストを聞き、理解する観客の集中力が劇場空間の大きさにも左右されてしまうと言っているだけだ。勿論、影響を受けない観客もいるだろうが。)
また、役者さんが素晴らしかった。
皆、素晴らしかったけれど、なんと言っても須田日出子役の関根信一さんが凄い存在感だった。『獣のための倫理学』での演技も凄いと思ったが、パワーアップしている感があって、見入ってしまった。
鶴町憲さんも地味によかったな。
いや、皆さん本当によかったんですけど、特に。
柳井作品、次回作も楽しみです。
Truth of the snowstorm -トゥルース オブ スノーストーム-
SORAism company
d-倉庫(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
一強他弱
前回と同じような印象を受けました。
ネタバレBOX
とある映画監督が、妹が自殺した原因となった女性を撮影中の事故に見せかけて殺そうと画策したものの、山の神の出現もあって最悪の事態が避けられ、まーるく収まった話。
話の展開は面白かったのですが、登場人物が多く、誰々さんと誰々さんが席を外していたと言われてもピンと来ませんでした。時々写真家の誰々さんとか言ってもらえると助かります。
そのくせ、塩澤さんのツッコミが説明し過ぎだと感じたのは前回と同じです。演目が変わっても同じ印象なのは、この劇団における塩澤剛史さんの存在が大き過ぎるのが敗因なのではないかと思ってしまいます。
山ちゃん似の俳優さんは面白くて実力があってさすがの演技ですが、准教授の俳優さんと少しキャラがかぶりました。
山の神が妹の口伝えをしたところなどは安直な幽霊物そのもので、大嫌いな手法でした。
朝劇 下北沢「リブ・リブ・リブ」
朝劇
VIZZ (ヴィズ) (東京都世田谷区北沢2-23-12 Mビル1F)(東京都)
2014/05/25 (日) ~ 2015/07/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
心もお腹も
楽しくて、おもしろくて、それに、ちょっとうるっと来る所もあり、さらに、朝食付。
ハートもお腹も満足できるお公演。
また、キャストの方との距離感も近く、劇場とは違う雰囲気も味わえる、貴重な公演。
ボスがイエスマン
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
なんかハッピーエンド
本当は、現実は厳しいのでは。
ネタバレBOX
カネゴン社長と袂を分かち、新しい芸能プロダクションを立ち上げたタレントたちが、紆余曲折を経てもう一度気持ちを一つにする話。
ヒーローショーの途中で骨折し、現業を諦めた男の手腕にかかっています。頑張ってほしいですが、そんなに甘いものでもありません。
1F部分とB1部分を設定し、B1から1Fに上がるのに苦労させたりするなど王子小劇場の構造を上手く利用していました。ただ、ケンタウロスは分かりますが、フツーならテーブルに椅子を乗せますけどね。
自分探しの旅のような感じの人を雇えるほどの余裕があるはずもなく、そもそもそんなに簡単に所属事務所から独立できるのかも良く分からず、全体として想定が少し甘いかなと思いました。
35丁目にも奇蹟
東京AZARASHI団
銀座みゆき館劇場(東京都)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/21 (日)公演終了
満足度★★★★
超オススメ!これは観て欲しい作品!!
個人的には今年一番楽しめた作品!!
私は「面白い、感動した」という理由だけでは評価しない。
加えて、「値段に見合った内容であるか」、ここを重視する。
この作品はコストパフォーマンスは最高である!
本当に観劇して良かった、幸せな気持ちになれた!
普段、「映画等、他のエンターテイメント中心に楽しんでいる、観劇初心者にこそオススメしたい作品」である!
笑って、泣けて、感動できる、とても良い作品。役者陣のレベルも高い。
ちょいちょい出る、時事ネタも笑えた。
クオリティが高い上、会場は銀座&3500円であり、デート、友人との遊び、どちらにもオススメできる。
クリスマスシーズンの今だからこそ、最高に楽しめると思う。
唯一残念だったのは、終演後の物販説明。もう少し物語の世界に浸りたかった。。物販の価格は、とても良心的だったが。
上演時間120分。
ネタバレBOX
細かいネタばれはしない。
逆「佐村河内」のような設定で物語が始まる。
始まってすぐに面白い作品と確信できた。
閻魔大王、悪魔も登場するファンタジー。
果たしてサンタクロースはいるのか!?
体夢-TIME
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
引き裂かれた夢
まさに夢のように中心の物語から逸脱し様々に広がっていくイメージが面白かった。
私は古くからの桟敷童子のファンではないので、昔の作風は知らないが、近年の作風からすると少しテイストが違う。
平たく言えば、幻想奇譚というか、シュールレアリスム的世界。
そのチャレンジ精神が素晴らしいと思う反面、強度としてはいつもより弱い印象。
と言っても、このどのようにでも解釈できる世界を、そして多義的に張り巡らされたコードを、観劇後に色々と思い出し、考え直したら、観劇中にはわからなかった発見もたくさんあった。まるで夢解釈のような作業。
解釈に頭を悩ませるという二次的体験も含めて、珍しい体験ができた。
何より、今まで採用してきた方法と違う試みをするという姿勢が素晴らしいと思う。そして実際に新たな表現が見出されていたと思う。
※12/15:ネタバレの最後に追記しました。
ネタバレBOX
極めて多義的な作品なので、物語として一義的解釈しようとすることを作品自体が拒む。また、それを無理やり行うことは世界を矮小化することにしかならない。
と言っても、それでは語りようもないので、敢えてその愚を犯し、ある一面から物語化し、私が考えたことを書く。
世界に謎の疫病が流行し、終末の刻が近づく。
その疫病は人間からあらゆる欲望を奪い、人を無気力にし、知性や感情すらも奪ってしまう。つまり抜け殻にしてしまうのだ。(と言っても、微かな感情は残っているようでもあるのだが。)
それを食い止めるべく体夢がすべての疫病を呑み込むことで、世界はまた平静を取り戻すという未来が待っている。だが、元に戻ると再度人間は奪われていた欲望や利己心、悪意の限りを尽くすようになる。そんな世界を見るのに耐えられなくなった体夢は、再度疫病を野に放ってしまう。すると、またその疫病が大流行し、それは体夢が愛する妻にも襲いかかる。体夢はなんとか妻を救おうと試みるが、その時にはもはや疫病を抑える能力は失われている。そして妻を救うことはできないことに絶望し、記憶を失い狂人と化していく。
自分(体夢)が疫病を呑み込んで世界が平静を取り戻した段階で自分(体夢)を殺せば、妻は疫病にかからなくてすむと思った体夢は、過去の自分を殺そうとする。それは自分の命、自分と妻との出会いも失われるが、それでも妻を生かしたいと体夢は望む。
(その未来の体夢は「青二才」、記憶を無くし狂ってしまった体夢は「狂人」と呼ばれ、劇中に3人の体夢が存在するのだが。そこには、タイム、つまり「時間」という意味も付与されている。)
これは物語の一部を取り出したものだが、この作品に描かれた「疫病」とは何なのか。
作品内では、必ずしも悪いものというだけではないように描かれている。勿論、悪いものにも見えるが。それは、その核にある人間の「欲望」そのものが、「気力」という良い側面と、「我欲に満ちたもの」という側面の両方を有しているのと同様である。「無気力」である反面、「ある純粋性を有している」と。
この構造の複雑さは、この二つの対立概念自体が、社会状況などと重ねて解釈しようとした場合にも、オセロのように二転三転してしまうことだ。
国民は総白痴化しているということか?批評性も主体性もなくし、ただただ従順に振る舞う。もはやこの社会は疫病にかかっている?だが、純粋であることは悪いことなのか?むしろこの世界を支配している欲望が世界を滅ぼすのであり、疫病にかかっている者こそがむしろ世界を救うのではないか?いやいや、純粋無垢こそ我欲に溺れた者の慣れの果ての姿だろう、、、というように。
(私が観たのは衆議院選挙前日、そういう意味でもとても感慨深い。)
東憲司作品の本質はそのアンビバレントにあると前々から思っていたが、
この作品ほどその対極にあるものが引き裂かれたまま提示されているものもないのではないか。そういう点でも、とても興味深かった。
唖(に周りの人には見える)の体夢がしゃべろうとすればするほど、誤解しかされないというのも、現代の社会状況を象徴している。また、痛みを負った少年二人の間では、その言葉が通じ合えるというのも。
また、人が良く、損しかしてないゲノリ一等兵が、ひょんなことから権力を持ち、ヨギ議長に「お前は権力を持っただけで、偉くなった訳ではない」という主旨の台詞を言われ、さらにその権力からも引きずり降ろされ、手足をもぎ取られ、最終的には殺されるなども印象的だった。
共に東憲司氏の声なき者、弱き者への視線を示していると同時に、それも必ずしも一義的ではないというのも素晴らしいと思った。
蛇足だが、デビッド・ボウイやクラウス・ノミなど、ありものの曲を使うというのも妙に新鮮だった。(私も中学生の頃、よくそういう音楽を聴いていたので(今でも好きだけれど)、妙に青年期の感覚を刺激された部分もある。)
ボウイの「タイム」がテーマ曲のように使われているが、
どちらかというと、同性愛者であり、エイズにより39歳の若さでこの世を去ったクラウス・ノミの「The Cold Song」の方がこの作品の真のテーマ曲なのかと思う。
体夢も基本的には同性愛者という設定であり、唯一愛した異性が妻だったということなので。この性に対しても引き裂かれている点も興味深い。
また、その流れで言うと、
集団強姦によって母の体に宿ったのが体夢であり、そして母は殺された。その母の恨みを晴らすことが体夢の生きる目的だった。恨みを晴らす敵が自分の父でもある。しかし、その父は疫病を畏れて自殺してしまう。体夢は幼少にして生きる目的を奪われてしまう。このような引き裂かれ方も凄いものがある。
夢を思い出すように、色々と芋づるで出てきてしまうので、この辺で、、、。
いずれにしても、とても面白い演劇体験だった。
<追記:12.15>
この疫病について、ふと最近の「さとり世代」に代表される現象と重なっているようにも思った。欲望(性欲、出世欲、物欲、、、)を失っている若い世代の現象と。古い考え方の者からは、批判されることも多いこの「さとり世代」(草食系なども近い概念)。だが、果たして本当に悪いことばかりなのか、、、。勿論、全肯定できる訳でもない。この微妙な感覚、まさにこの劇の中の疫病とそっくりである。
花と魚(劇作家協会プログラム)
十七戦地
座・高円寺1(東京都)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇場の大きさと世界観がハマッてくるのが圧巻
狭い空間の会話劇を2作観てるので、
大きな空間ではどうなるのかな、とドキドキしての観劇。
舞台美術を効果的に使っていて、
前半と後半の様相が変わるときや
小道具の使い方が巧いなと思いました。
一つの小道具を起点に場面が切り替わり、
別のものとして扱われる演出など、
雑多に見える舞台装置なのに演出はごちゃごちゃしてなくて好き。
一つの言葉で
周りの人々が思い思いの反応を見せるのが
相変わらず細かクテ見ごたえがあります。
賛成か反対か、肯定か否定か、
次の言葉を待たずとも観るだけでわかるのが楽しかったです。
言葉で説明しているのに、
その内容がダイレクトに脳内で映像に浮かぶ
脚本・役者の説得力に感激しました。
半数以上の人間が宮崎弁で喋るのですが、
初見でも大体のニュアンスは理解できました。
(まくし立てる系のセリフはほぼ聞き取れなかったので、
前後の様子で言わんとしてることを類推する感じ…)
人物関係図・補足情報、とても助かります。
観てればわかるのですが、
登場人物の名前に振り仮名がほしいなぁと思いました。
(大次=ひろつぐ が最初ピンと来なかったです。
あと見た目でわかってたけど猟師さんの苗字がいまいち認識できず)
上演時間は2時間だったけど、あっという間に感じられて
体感時間は1時間、
でも内容的の濃さ的には3時間レベルだと思いました。
ネタバレBOX
「坂根」が「さかな」と発音が似ているのが
大きな伏線になっているということに後半の展開で気づき、
「人間には止められない、でも抗うべき力」のいろいろに
思いをはせました。
小さな場所の問題が、大きな現象に広がっていく展開、
この座・高円寺という劇場で観れてよかったと思いました。
初演が2011年7月ということで、
震災や原発などに通じる部分もありましたが、
ダイレクトにそれをメインに語るんじゃなくて
(阿藤所長がちょっと口に出してましたが)
実際に詳細な描写が出てくるのが別の事件なのも
巧いな、と思いました。
繰り返してるんだな…というやるせなさを感じつつ。
あと、「靴を脱ぐ」という単純な動作なのに、
彼らがどうなったのかがこちらに伝わってきて、
その後の彼らの動きとともに
次の場面の七生の突飛なセリフに真実味を持たせていて
すごいなと思いました。
いいわけジェイソン
KAMAYAN
OFF OFFシアター(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
初観劇
全体的な感想としてはサイドストーリーがごちゃごちゃしていて
観ていて疲れた。
が、それ自体を笑いどころにしていること、部分的には面白かったため評価が難しい。
それよりも一番気になったのは
説明口調のツッコミが不自然でスッと入ってこないこと。
ただ中盤からドタバタ展開が増えテンポが良くなり楽しめた。
実際、凝ったツッコミより展開の方で笑いが起きていたと思います。
役者さんは泣きの演技をしていた女性スタッフの方がハマってて良かったです。
ネタバレBOX
異空間の扉が出てきてからすごく引き込まれました。
ああいう超展開は好き嫌いが分かれそうですが私は好きです。
異世界が気になり過ぎて浮気がどうでも良くなってしまいました。
それくらい本筋が霞むほどのインパクトがありました。
あとプロデューサーにモラルが無さ過ぎて違和感ありました。
ツッコミをする人間はせめて常人でいてほしいです。
ボスがイエスマン
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
福岡公演の写真を見て・・
セット凄いなぁ・・と思ってて、でも王子にこれは持ってこれないだろう、どうするんだ?と思ってたら・・
ネタバレBOX
そのままもってきていたんで割と衝撃を受けた。
なるほど、セットの仕組みを考えても、これはアゴラより王子の方が組みやすいように見える。アゴラでもできなくはないが王子の方が観客の動線含め考えてもよさそうだ、と。
セットの使い方を考えるだけだけでも完成度が高い。
福岡公演のセットの組み方をアフタートークで聞いても、
壱劇屋が大阪公演でやってたみたいな使い方で、
これは東京の劇団ではとてもまねできない、
逆に地方で大物の箱があるところでしかできないんだなとちょっと納得もしてみたり。
・・いや、本当はいつもはセットなんかどうでも、役者さえいればくらいのスタンスなんだけど、今回はセットを見るだけで力のある劇団というのがよくわかった。
役者も脚本にうまくはまった、役ばかりで、でもそれが安定しているという落ち着きというよりか、爆発するところでは突発的に爆発できる感じというか。
小劇場というか、ほとんど大御所みたいな感じで。
からここアンソロジー
からここたち、
ギャラリー神戸天昇堂(兵庫県)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
至近距離の劇世界
階段や入り口の扉など、会場の環境を上手く利用できているなあ、と思いました。近距離で芝居を観るのは、良いものですね。
First Contact
ハム・トンクス
シアター711(東京都)
2014/12/04 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
う~ん、普通に笑えたかな
ここのレビューをみて観劇しようと決めたけど、爆笑はしなかった。。
そういう意味では期待はずれ。
期待度を上げすぎた。。普通に楽しめたかな。
1970年代のヒット曲や人形劇の話が出てきたりと、この辺りをよく知る人にはツボにはまる内容だったのかな??
声を出して笑う人は一部の人のように感じたけど。
人形劇団の人たちの演技が楽しめた!
上演時間120分。
ネタバレBOX
地元茨城を愛する女性陣の役柄について。
茨城でやんちゃしていた女性陣の迫力ある演技は楽しめたが、
ちょっとしつこくて煩い感じだったかな。
地元をこんなに愛しているのに、東京の大学に入学っていうくだりは。
加えて、こんなにやんちゃしていた高校生が東女に入るという設定は・・・。
自撮り部
劇団森
早稲田大学学生会館B202(東京都)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
凄い久しぶりに・・
B202に行ったら死ぬほど暑くて、「あれ、こんなん(気温)だっけ?」
とか思った。きょう行く人は半袖とか持って行った方が良いかも。
若くない人はフラフラになってしまうから(苦笑
それはともかくタイトルに惹かれて自分は行ってみた。
たしかにずいぶん前から自分の周りに氾濫している「自撮り」
自分は全くやらないんだが、
なんでこんな溢れかえってるのか、不思議には思っていた。
自分で撮った「自撮り」もあれば、他人に撮ってもらったのかさえよくわからないアングルの「自撮り」もある。
当日パンフにも書いてあったんだけど、
主宰のひとが「自分がいちばん見たい芝居」
と書いてあったんだけどなるほどなぁと思った。
舞台作品で言うなら「そんなこと」くらいなのかもしれないけれど、
たぶん10~20代前半の人にとっては死活問題かもしれない。
「カワイイ」と言われたいのか、そういうんではないのか。
ネタバレBOX
媚びないアイドル斬斬F(だっけ)「私カワイイなんて言われたくないんです。そんな媚じゃない。カッコいいといわれたいんです」
でも何故か肩パッド入れた自撮り部の女部長(にして唯一の部員)にはわかってしまう。
「ほんとうは心の中では『カワイイ』って言われたいって思ってる子は可愛い」
「カワイイ」って言われたい女の子は多い。でも気づけば上には上がいる。
小さいころはみんなカワイイカワイイ言われてたとしても、ネットを見れば果てがない。
雲の上みたいな女子連が(整形・加工含め)カワイイオーラをネット上で放って不特定多数の「カワイイ」コメントを吸収しまくってるのに、その同じ画面で足元にも及ばない「カワイイ」を発信することは、フェラーリの横でミニ四駆走らせるようなもの・・に思えなくもない。自分にしてみれば。
でも、ネット上の弱肉強食はさておき、
「私カワイイなんて言われたくないんです。そんな媚じゃない。カッコいいといわれたいんです」
=「本当は可愛いといわれたい」という心の叫びでそれはとてもかわいい。
という肩パッド部長の読み替え。
「キモい」すらも「キモカワイイ」、愛しにくいだけ、という
読み替え、前向きの姿勢。
それって、大学生になった昔女子で今も女子な、ちょっとだけ男らしくなったガイ(≒肩パッド入れた)から、今「カワイイ」という宗教にようやく縛られ始めた高校生の女子たちに贈るアレなのかなあとも思ったりもして。
観ていて思ったのは、女部長がカッコ良かった分だけ、本当はこれが男優がやっていればもっと良かったのかな、という。
そうすればみんな「カワイイ」って言われたいように見える女子だけじゃなく、カワイイなんて関係ないってカッコいいオーラを出す女子たちもかわいいって言われたいんだって、そんな自分が小学六年生のころにはとっくにわかっていたことに男子大学生も気づくはず・・だと思うんだがな。
男のナルシストも出てくるところはバランスが取れていて良いなと思った。
でも自分は大した顔じゃなくても生きてきて今まで不都合が全くなかったんで、いまだに男のナルシストの気持ちはわからんがな(苦笑
デブの気持ちはわかった!なんとなく。
あと、天才ハッカー(という言い方って古いのかな?)のウイルス?が女性というあたりも。
なかなかこういう作品って年取ってからは作りにくいと思うだけに今作れてよかったね、と思ったりした(笑
みえない雲
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★★
忘れないで欲しい
泣かされました。原発事故、重いテーマでしたが、瀬戸山美咲(ミナモザ)独特の芝居を真実にする数々のトラップ、斬新な表現に心をもっていかれました。マリオネット、帯、拳、スコップ....
上白石萌音さん、さすが東宝シンデレラ。看板通りキラキラ光り輝く宝石のような存在でした。繊細で必然を体現したリアリティは秀逸。大先輩 大森美紀子さんとのやりとりも見もの。アカペラでの魅惑的な歌声。いっぺんでファンになりました。