最新の観てきた!クチコミ一覧

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傘と花火

傘と花火

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2015/05/21 (木) ~ 2015/05/25 (月)公演終了

満足度★★

セットは文句無しだけど・・・
話の筋はわかった。子を思う母の気持ち・・・これは如何なものか?子を持つ母としては、どうにも納得がいかない。もしもこれが成立するとしたら、子供はずっと重すぎる十字架を背負って生きなくてはならない。何をどう言おうと罪ではない罪は一生ついて廻ると、それが子供を苦しめ続けると、私は思うのだが・・・・。また、みんながみんな自分の不幸を前に出すような芝居、もっとナチュラルに出来ないものか?その方が真実の重さが迫ってくるような気がするが・・・。唯一文句無しはセット!風情があり、機能的!更に話の説得力をしっかり上げている。前作を観た時はもう少し面白みのある劇団かと思ったのだが・・・。

「ままごとの次第。」

「ままごとの次第。」

インプロカンパニーPlatform

小劇場 楽園(東京都)

2015/05/12 (火) ~ 2015/05/16 (土)公演終了

満足度★★★★

機転の連続
2014年にも観劇しているが、今回も観客とともに作り上げていくというインプロの醍醐味、面白さを十分現した公演であった。観客も自分達が物語の設定に参加しているという意識があり、その場の役者が機転を利かせなければならないという、時限状況を承知している。それゆえ、ある程度ストーリーが展開できれば満足するところであるが、本公演はその欲求を超えたレベルにあったと思う。
ただし、前年の公演と比較するとラストのシャープさは劣っていた。

ネタバレBOX

初日ソワレで拝見した。登場人物は祖父母、両親(父親)、娘、愛犬と隣人のお兄さん(本来役者ではなく、音楽担当)とストーリーテラーの6名+1匹。このストーリーテラーが状況に応じて、母親、隣人お兄さんの友人を演じる。個々の役者の力量が試される観(魅)せる演技ができるか...それが公演の成功の鍵になっている。
そのストーリーの構成力と役者の機転ある演技は面白く、観応えがあった。しかし、公演全体を通じて”ままごと”であったというラストシーンはインパクトに欠けた。その狙った意外さは、もっとストレートに伝わらないと面白さが半減する。ラストの重要なシーンだけに残念に思った。
ちなみに、前年に観た時は、俯瞰した立場の父親(インプロとして観客から指名された父親ではない)が、帰宅してくるという動作があった。しかし、今回は客席にずっと座ったままで、ラストに立ち上がり舞台上に登場するだけ。その意外性(劇中劇)を印象付ける動作があまりに単純・単調であった。

次回公演も楽しみにしております。
総員死ニ方用意

総員死ニ方用意

タッタタ探検組合

ザ・ポケット(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

覚めた目
戦争という状況を直接「戦艦大和」に乗り組む(描く)のではなく、追航する練習特務艦「喜島」という距離を置いた視点から観せる。それもコミカルに描くことで、現したい本質を鋭く抉るのではなく、敢えて鈍らすことで観客に問いかけるようだ。笑いの下にある確固たる主張...見事な公演である。

ネタバレBOX

ラストシーンは山中博士の滅私奉公というよりは私利私欲(自分が発明した兵器の確認)という様相である。しかし、それを否定しきれない戦時中という特殊状況下の人間心理が怖い。少なくとも乗員は戦争という異常下における死生観、それが集団心理として共有せざるを得ないというアイロニーあるタイトル。
戦争末期という異常情勢、海軍軍人という立場、戦友(大和乗組員)が死地に赴く緊迫した局面、そのような中で、悲劇の連鎖を断ち切る英断をするラストシーンは見事。
演出のこだわりについて、男性キャスト(女性も1名)は坊主頭にするなど、外見から驚かされた。そしてキャスト個々の演技は確かであり、全体として調和力を感じる。

現在、真剣に取り組まなければならない喫緊の問題...それだけに時節に合った内容であり、その慧眼には驚かされる。それを芝居という見た目の娯楽性とその底流にあるテーマ、骨太な主張を上手く融合させた秀逸な公演であった。

次回公演も楽しみにしております。
聖地 X

聖地 X

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2015/05/10 (日) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

熱量が緩和した印象
事前情報をチェックしていなかったので、すっかり新作を観るつもりで、劇場に入りました。

しばらくして、あーこれは、「プランクトンの踊場」なんだと気づきました。

個人的には、ずっと初演舞台の方が好みです。

笑いは増えたけれど、役者さんの演技も、そつがなくなったけれど、何だか、イキウメが普通の劇団になってしまった印象。

伊勢さん演じる要と、浜田さん演じる滋に、以前の熱量が感じられないのがやや残念でした。

一方、森下さんの島には、役としての存在感が増しました。

演出や装置の工夫も、初演の舞台の方が、無機質感があり、この作品の世界観にはマッチしていたと思います。

ネタバレBOX

会社人間の滋と、妻との思い出だけしか記憶にない、第二の滋。

以前の舞台のセットは、簡易的で、スチールの壁か何かをスライドさせるだけで、居場所の具現化を成功させていましたが、今回の舞台では、結構リアルな小道具や家具を使用していて、二人の滋の居場所を、はっきりと分別させていました。

そのため、前川さんが創造した、SFのような世界観が希薄になった印象を受けました。

輝夫が常に通販で購入しているamazonの箱を裏返すと、野菜の段ボールになっているという、喜劇なら絶好の奇抜なアイデアも、この摩訶不思議な世界観の構築には、そぐわない印象でした。

ドッベルゲンガー現象の解決策として、故意に出現させた、第三の滋の処分を巡って、要と輝夫の兄妹が、対峙する場面、妻との再生に意欲を示す第二の滋の必死さの体現など、初演の舞台の方が、役者さんの役の心情を吐露する台詞に熱量があって、心を鷲掴みされた記憶があるので、今回の舞台の、全体的な「そつのなさ」が、イキウメファンの私にとっては、何だか薄味めいて感じられ、やや残念な食感でした。

第三の滋出現からの、浜田さんの早替りは、歌舞伎役者も顔負けの早業で、感心したのですが、どこまでも、不可思議な空気を醸し出すイキウメであってほしいと思うファン心理からすれば、ちょっと不安を感じる観劇体験となりました。
“ … In The Attic ”

“ … In The Attic ”

まごころ18番勝負

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

私たちも
そうでした。

ネタバレBOX

わー、私も失踪した作家の脳内の構成員の一人でした。

失踪した原因を探るために文学好きの読者4人が集まって、作家の思考や嗜好について話し合いを始めました。途中、多重人格者を治療する精神科医の話かなと思いましたがそうではなく、次に精神科医自身が病んでいるのかなとも思いましたが決してそうでもなく、4人は怪奇好きとかSF好き、分析好きとかいった作家の脳内の構成要因の一部でした。

真ん中に小さい舞台があり、黒い膜で仕切られた客席が二段、三段となって周囲を囲んでいました。

話し合いをした彼らが普段は脳内の仕切りの中に存在しているように、私たち観客もそれぞれの仕切りの中に収まっていたわけで、観客も彼らと同列でした。ですから、役者が退出したとき、一緒に退出しようかなと思いましたが、主宰らしき人が入ってきて挨拶を始めたので果たせませんでした。

その主宰らしき人がスタート時にテーマは恐怖だとおっしゃっていましたが、全く恐怖は感じませんでした。
ワンマン・ショー

ワンマン・ショー

崖淵五次元

天満天六・音太小屋(大阪府)

2015/05/10 (日) ~ 2015/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★

妄想と捏造された人格たち…
前回の超エンタメ系とは打って変わって、今回はシュールな感じになってました。
3つの家族と市の何でも係りさんが登場し、物語は進んでいきます。
が、誰かが誰かの妄想で、誰かは既に死んでいて、…。
過去と未来の場面を行き来しながら、次第に状況が明らかに…。
最後、?な部分は残りますが、テンポよく、面白く拝見できました。

次回は、また超エンタメ系との事。
こちらも楽しみです。

盗賊と花嫁【公演終了しました!ご来場誠にありがとうございました!】

盗賊と花嫁【公演終了しました!ご来場誠にありがとうございました!】

くちびるの会

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごく面白かった
とても躍動感のある舞台で、役者さん達全てが動けない人が全くいない。台詞の間やリズムも小気味よく、見る側聞く側を楽しませてくれます。演出もこういう演出があるんだなととても感心しました。観に行くことが出来て本当に良かったです。

トウキョウの家族

トウキョウの家族

Theatre劇団子

駅前劇場(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

この劇団好き!
休止明けの復活公演で、劇団員も入れ替わり初見に近い状態ですが、親近感の湧く出演者が揃ってすんなり入り込めました。、素直に笑えるホームドラマ感は健在で、なおかつ訴えたい物はしっかり伝わって来ました。
いい劇団見つけちゃった…という感じです。次も観たい。

かべぎわのカレンダリオ

かべぎわのカレンダリオ

バンタムクラスステージ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/05/14 (木) ~ 2015/05/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

無駄のない造り、でも他人行儀でない距離感
Aはシリアスで100分、Bはラブコメ的な70分。

ただ、Bは日替わりゲストなので多少前後するようです。
開演前に制作さんが「ゲストの具合で多少前後します」と。
具合…観てみると確かに具合だな、と(笑


一つの言葉に複数の意味を持たせたり、
センスのよい言い回しで構築された会話は
映画を見ている気分になります。

それを目の前で生身の役者さんが演じているので、
ライブならではの温度や息づかいが感じられて、
作り込まれているのに「他人事」にならず、
のめり込めました。

登場人物たちは過剰に過去を描かれたりすることはないのに
彼らの仕草や話し方から
今までの人生や、他人への感情が透けて見えるのも見事でした。

場面転換が多めですが、暗転ではなく
薄暗がりのまま人物を中心に背景が転換するので、
集中力が削がれることがなくて良かったです。

でも小難しい訳じゃなく、1回観劇で満足できるつくり。
(回数を重ねるごとに新たなる発見があって、
 それも楽しい要素ですが
 本筋は初見でキレイに落ち着きました)


ABセット券で観劇したとき、
A観劇時に、チケットとは違う「B引換券」が一緒に渡されて、
もう片方の時もお金は払わないけど受付に行くんだなというのが
説明されなくてもわかって良かったです。
(整理番号のもらい忘れ防止)

チケットだけ2枚渡されて、
「これってもう一度受付通すのですか?」と
受付のスタッフさんに尋ねてしまう公演が多い中、
いいシステムだと思いました。
引換券にも
「もうひとつの公演の予約はお済みですか」などと書いてあり
親切な心遣いだなぁと。

ネタバレBOX

自分がAから観たからかもしれませんが
「この人にはこんなシリアスな事情が…」よりも
「この人にはこんなお茶目な面が!」のほうが好きだったので
A→Bで観てよかったかなと思いました。


Aでカレンダーをかくまっていた神父の
「7日間で外の世界はずいぶん変わった」という言葉が
旧約聖書を下敷きにしているようで、
彼の職業と相まって格好よかったです。

Bでの崖の表現は、
舞台ならではで「こういう演出が観たかった!」と興奮しました。
あとAの、「実際に戦う侵入者」と
「脳裏に浮かんだ映像」がリンクするような演出も好きでした。

地名が出てきますが、
「○○なんてすぐ近くじゃないか!」などと使われるので
地理に詳しくなくても全く問題ないのが親しみやすかったです。

Bもただのコメディで終わらせず、
ほろりとさせたり教育的だったりで胸に響きました。

もっと超越した所へ。

もっと超越した所へ。

月刊「根本宗子」

ザ・スズナリ(東京都)

2015/05/09 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしかった
今回もダメ男ぷっりの描き方というか、リアルに居そうな感じに見せておき、それでいてそこまで嫌悪に感じさせないのはお見事。また女性側のダメ男の引き具合はこちらもいつもながら(笑)、ホンネはそうだよなあよあとつい思ってしまう。
面白かった。
しかし、終わりと見せかけて、まさかの展開はビックリしたが、さらにラスト、あれをやり切ったのはもう潔かった(笑)

遺産遊戯!

遺産遊戯!

team☆G-VA

小劇場 楽園(東京都)

2015/04/01 (水) ~ 2015/04/05 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっと詰め込みすぎか
物語のテンポはいいと思うが、詰め込み過ぎ感があったかな。(まあ、だいたい読める展開だったのも影響してると思うが)
また、相続の知識が出てくるなら、何で祖母が全て相続してる?という話は入れて欲しかったかな。

少年は銃を抱く(満員御礼で終了しました。御感想お待ちしています)

少年は銃を抱く(満員御礼で終了しました。御感想お待ちしています)

MU

駅前劇場(東京都)

2015/03/27 (金) ~ 2015/04/01 (水)公演終了

満足度★★★★

突き刺さる
そこまで尖った人々は出てこないが、心には突き刺さった。
少年達が御守りと言う名の銃を手に入れた事により、きちんと回ってなかった歯車が回りだすが、磨耗して空回りする感じかな。学校で人撃ったら大事になるだろうとか、それからどうなるが気になる的な部分はあったが、面白かった。

ペレアスとメリザンド

ペレアスとメリザンド

KARAS

KARAS APPARATUS(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

無題1488(15-176)
20:00の回(曇)。19:45会場着、受付、19:51開場、20:09開演~21:10終演~21:26トーク終了。2回目(最終日)です。

佐東さんは、トークで「体の中の感覚」がまだ残っている、とお話していました。「戯曲」「オペラ」「歌と演奏」「ノイズ」と「APPARATUS」という装置、そして意思を持っているのかと思うほどの「照明」、闇と同色の「黒い衣装」、これらが、今、この一夜だけ、不思議な力によってダンサーの身体というカタチ(姿)に生まれたのではないかと、観ていてそう思いました。

動きの変化、指先に至るまでの緊張感、オペラの歌のシーン、強い照明の下で今にも歌いだしそう。

あらゆるものを飲み込もうとする「闇」の広がり、それは「APPARATUS」が姿を変えているかのようでした。

Journey ~ジャーニー~

Journey ~ジャーニー~

Voice Project

座・高円寺2(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/21 (木)公演終了

満足度★★★★


105分、休憩1回。全14作品。コンテンポラリーとかリズム系とかの枠組みではなく、純粋に作品と踊りを見せる公演で、舞台も客席もダンスを楽しむ雰囲気に包まれていた。

BARに灯ともるころ

BARに灯ともるころ

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

BARを舞台に
BARを舞台に、いくつかのドラマがあり、また、笑いもあり、とても面白い内容でした。非現実な設定だったけれど、それを違和感なく、観ていて、すんなりと受け入れられるのは、脚本と演出がいいからだと思います。

ネタバレBOX

店員に恋する男、常連客同士の再婚話、そして、それらが、うまく絡み合っている、特に強く感じたのは、役者それぞれ一人一人に個性があり、その個性を大切にしながらもうまく全体としてまとまっているということです。最後の結末は、やや急展開すぎる感じがしました。もう少し続きを観たかった気がします。さまざまな人生が交錯し、感動があり、コメディでもある、本当にすばらしい内容だと感じました。
1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』

1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』

浅見臣樹1人企画

風みどり(新中野)(東京都)

2015/05/16 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

対照的な2編のカップリングを堪能
往年のアナログレコードの17cmシングル盤のように対照的な2編。
前半の「くちびるの夜」は帰宅したサラリーマン1人の台詞だけで構成するスタイルだが対話の相手がミソで、フェチと言おうか江戸川乱歩風味と言おうか独特のアヤしさアリ。
5分ほどの「お召し換え」を挟んでの「とみこのむすこ」は「ある報告」で帰省した男の台詞に客への語りかけや質問も交えて進み、意外(むしろ真っ当なのにそう思わせるのが巧い)なオチまでユーモラス。
ところでこれ、かなり事実に基づいているとのツイートを見た気がするが、ホンマかいな?(笑)

ミュージカル『レ・ミゼラブル』

ミュージカル『レ・ミゼラブル』

東宝

帝国劇場(東京都)

2015/04/13 (月) ~ 2015/06/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

熱かった~!!!
ものすごい一体感を感じた舞台で、とても素晴らしかったです。

プレでとても良いなと思った松本涼真ガブが、只者じゃないぞ!と、思いました。気持ちの入り方、声の出し方、この子は大物になりますぞ。未来のアンジョルラスです。大事に育ってくださいね!

KENTAROさんのティナがとてもいい灰汁が出てました。
年月を経て身につけた悪党振りが、最後にきっちりと感じられて、ブラボーでした。

「ままごとの次第。」

「ままごとの次第。」

インプロカンパニーPlatform

小劇場 楽園(東京都)

2015/05/12 (火) ~ 2015/05/16 (土)公演終了

満足度★★★

自分は合わなかった。
面白かったところはあるが、自分が観た回は、正式な開演は13分は押したと思う。それを気にしていないような周囲は寛容なのか慣れていないのか。
応用力は高いです。ですがある程度の筋書などあるはずだけど、演劇的に見るとどうしても深みが足りない。それは即興である以上限界なのかもしれない。インプロへの好みかもしれないです。活かして欲しい。

バルタン

バルタン

studio salt

神奈川県立青少年センター(神奈川県)

2015/05/14 (木) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

独特の世界観と筆致
「バルタン」神奈川県立青少年センター 多目的プラザ 70分

ワークショップの成果発表というのが大元のコンセプトのようだが、これはその成果発表のレベルではなく、番外公演と銘打つ気持ちもわかる。

会場に入るなり目につく机と椅子。そして美しい照明。
この作られた空間が美しくもあり、ある種異様な雰囲気を感じさせもする。
非常にシンプルな舞台装置なのに物凄く丁寧に世界観を作っている印象だった。

照明が付くとそこには何かを作っている男たちが数名。
男たちの関係性は見え隠れするものの物語の本筋が見えてこない。
しかしながらそれをずっと見ていられたのは役者の集中力と細かな演出のなせるわざなのではないだろうか。
感情の機微やそこに至る過程を緻密に見せていたように思う。


一人の男を煽るように話をしていく4人の男。そこから、この空間が捕えられている者達によって構成されていることがわかる。
そしてこの不透明な異様さは唐突に表れた二人の女子高生によって明かされる。男たちが捕えられ、逃げられなくなっていること。
この場を支配しているのが女子高生であること。
そして女子高生の機嫌によって「バルタンゲーム」が行われ、それに負けたものは死を迎えなくてはならない。
そこから逃げ出せないがそれでも生きていたい男たち、死を与える立場だが、同時にそこに少しの疑問を抱く女子高生。
この大枠の2つのラインから外の世界を見せていくことはなく、あくまでこれを個人の問題として落とし込んでいるような印象を受ける。
近年でのイスラムの問題等に絡めていると感じる。

私がとても好ましく思ったのは、この状況説明や関係性を殊更に語るようなことをしていない脚本に対してだ。
役者、演出家は想像力を最大限に駆使せねばならず、なおかつ本の意図も組んでいかなくてはならない。
とても大変な作業を強いられることになるが、それを表現できた時、フィクションでありながら強いリアリティを感じさせる作品が出来上がるのではないだろうか。

私は当団体は初見であるが、作家 椎名泉水の描く世界観というものをより深く理解したい、という衝動に駆られた。
社会的なテーマを扱いながらも、ある種の虚構性を持った世界として描こうという姿勢が好きだった。
そして驚くのは当日パンフレットの文章だ。舞台を見たあとにもう一度読み返すとその世界観がしっかりと伝わってくる。
もちろんすべてが100点の舞台など存在するはずもなく、全てが素晴らしいというわけではない。
個人的にはあとほんの少しだけ、結末に向かう各々の関係性が見られる部分があってもよかったとは思うが、これは本当に私の好みでしかない。
この世界観を野暮ったく語りすぎることで作品の精度が落ちることは間違いなく、そのバランスが非常に難しい脚本であると感じた。

こういった少し重めのテーマを扱う作家は個人的には大好きだ。恐らく今後も通う団体になるだろう。きっと私は椎名泉水の世界観の片鱗しか見ていない。

もうすぐ、お家に帰ります。

もうすぐ、お家に帰ります。

劇団前方公演墳

小劇場B1(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

チラシと事件を結びつけると悲しい
第一印象は軽快で面白いが、その底流には重たいテーマが流れており観応えがあった。チラシの説明は興味を惹きつける内容、写真は殺風景な中に少女の憂い優しい表情...その意味で制作の思惑は見事に当たった。
また、舞台は豪奢な居間をしっかり作り上げ、その現場を俯瞰するような感じであった。そこで繰り広げられるコメディもしくはシリアス(トラジディではない)シーン...しかし、その事件はまぎれもなく事実(描かれた内容はフィクション)であり、自分の記憶に鮮明に残っている。

ネタバレBOX

ペルー日本大使館人質事件をモチーフにしたヒューマンドラマといったところ。本劇団の公演は何回か観させて頂いているが、コメディタッチにすることで本質を直截的に描くのではなく、婉曲であるが本質に迫るという劇風のようだ。決して底が浅いわけではなく考えさせる。芝居という娯楽の中にもしっかり主張してくる強かさがあり好感が持てる。またキャスト配役の妙が良い。自分の中では、日本(男性キャストのみ)、武装集団(リーダ-以外はすべて女性)という当時の経済力(ペルー国内の「村町」の「貧富」も含め)をイメージさせ、さらにその女性キャストが年端もゆかない子供の姿に重なる。そして、感動的なラストシーンを演出するため、大使館員と武装集団の心的交流の場面が微笑ましい。

若干の苦言であるが、演出がくどいと思う場面もいくつかある。例えば、ピアノ演奏の競いなどは1回にするなど、重複場面はカットしてもよい。その面白さは十分伝わるし、一層スムーズな展開が期待できると思う。キャストの演技は安定しており、しっかり観(魅)せてくれた。

次回公演も楽しみにしております。

追記
公演前日、上田奈々さんが稽古休憩中のため劇場外におり、忙しいにも関わらず話をさせていただいた。本当にありがとうございました。

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