総員死ニ方用意 公演情報 タッタタ探検組合「総員死ニ方用意」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    覚めた目
    戦争という状況を直接「戦艦大和」に乗り組む(描く)のではなく、追航する練習特務艦「喜島」という距離を置いた視点から観せる。それもコミカルに描くことで、現したい本質を鋭く抉るのではなく、敢えて鈍らすことで観客に問いかけるようだ。笑いの下にある確固たる主張...見事な公演である。

    ネタバレBOX

    ラストシーンは山中博士の滅私奉公というよりは私利私欲(自分が発明した兵器の確認)という様相である。しかし、それを否定しきれない戦時中という特殊状況下の人間心理が怖い。少なくとも乗員は戦争という異常下における死生観、それが集団心理として共有せざるを得ないというアイロニーあるタイトル。
    戦争末期という異常情勢、海軍軍人という立場、戦友(大和乗組員)が死地に赴く緊迫した局面、そのような中で、悲劇の連鎖を断ち切る英断をするラストシーンは見事。
    演出のこだわりについて、男性キャスト(女性も1名)は坊主頭にするなど、外見から驚かされた。そしてキャスト個々の演技は確かであり、全体として調和力を感じる。

    現在、真剣に取り組まなければならない喫緊の問題...それだけに時節に合った内容であり、その慧眼には驚かされる。それを芝居という見た目の娯楽性とその底流にあるテーマ、骨太な主張を上手く融合させた秀逸な公演であった。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2015/05/21 17:57

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大