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【東京千秋楽!!】ブリッジしたのはカンガルー(※当日券若干枚!!)

【東京千秋楽!!】ブリッジしたのはカンガルー(※当日券若干枚!!)

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2015/09/09 (水) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

ほっこり♪/約90分(前説トーク+終演後あいさつ込み)
 この劇団らしいアットホームなコメディ。 客席に幸せそうな笑顔が並ぶ、和やかで楽しい公演でした。

 終演後の役者面会タイムもとてもあったかい雰囲気で、好感。
 観に来たお知り合いの方々とキャストさんとが、にこにこと楽しそうに語らっておられました。
 
 好きだなぁ~、この劇団。

ネタバレBOX

 本編とリンクした漫才が随所に挟み込まれていたりと、サービス精神に満ち溢れた楽しいコメディでした。
 ただし、結末に物足りなさ。
 しんみりしすぎないライトな幕切れはコメディにふさわしいが、本作はただのコメディではなく、同時に腐れ縁夫婦のハートウォーミングストーリーでもあるわけで、夫婦の愛情物語の結末としてはやや弱い気がしてしまった。
 ひょんなきっかけで再同居した夫婦が、復縁しそうな予兆をぼんやりと漂わせて話は終わるが、復縁の兆しを「ぼんやりと」ではなく「はっきりと」示して終わったほうが、より大きな感動を与えられたはず。
 もうひと押しで泣きそうになったところでスルッと終わってしまったので、客としては拍子抜け。
 泣くことを目的に芝居を観ることがまったくない私ではあるが、目がウルウルし始めていただけに、もうちょっとだけラストを引っ張ってしんみりムードを高め、涙腺を決壊させて欲しかった。
 私も人間、泣ける時には泣いておきたいので。
あの日はライオンが咲いていた

あの日はライオンが咲いていた

PocketSheepS

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

プロジェクトEDEL
 今作のタイトルはエーデルワイスの学名Leontopodium alpinumから採られている。

ネタバレBOX

 物語は、EDELと名付けられたプロジェクト開発に纏わる治験と記憶の意味する所についてが話の中心になるが、科学技術の齎すもの(利便性や効率化)とその暗部(環境破壊や生命への脅威、武器・大量破壊兵器創出等)問題が、被治験者の精神状態との関係で浮き彫りにされ、キチンと問題化されている点で、再演されるだけの中身を具えた作品であるということが、良くわかる。
 因みに官僚の中でも優秀でないことで有名な、文科省の官僚共の短絡が話題を呼んでいるが、文系不要論を抜かす前に、うぬらの哲学的教養の無さを嘆くがよい。
 また、EDELの被治験者は、自分がどんな記憶を失ったのかを思い出すこともできないのだが、いざ、記憶を抜かれた後、何を失ったか深層心理レベルで不安に思ってプロジェクトチームに問い質しても答えてもらえない状態が描かれるが、この辺り秘密情報保護法に関する裁判にそっくりなところも怖いようである。
【ご来場誠にありがとうございました!】ギンノキヲク FINAL

【ご来場誠にありがとうございました!】ギンノキヲク FINAL

ラビット番長

南大塚ホール(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演...やはり素晴らしい。
公演は特別養護老人ホーム「紀陽の里」で、そこで働く人々と利用者および家族の方々の心温まる内容である。「ギンノキヲク」シリーズは全四作あり、すべてを観させていただいた。それぞれの公演は一話完結になっているので、どの公演からでも楽しめる。

本「ギンノキヲク FINAL」は、昨年も池袋演劇祭参加作品として観劇し、その素晴らしさに感激したことを思い出す。昨年は別の観点で観ていたが、本年は純粋にその優秀賞作(再演)を楽しんだ。

ネタバレBOX

この公演で一番関心しているのが、井保三兎 氏の当日パンフに書かれている序文「家族が倒れて実家で24時間体制の介護を1年半体験しました。再び東京に戻って来た時…以前と同じように介護の仕事をしようと思って出来なくなりました」という箇所である。
介護…それは高齢化社会において行政はもちろん個人の生活においても大きな課題である。それは、芝居の中でも家族を介護することは、仕事以上に大変であったと悲哀をもって語ったことに凝縮されている。
自分も両親の介護を...自宅での介護の限界は十分承知しているつもりである。しかし、施設へという選択をするまでは相当の勇気というか覚悟を要したことを覚えている。

本公演の素晴らしいところは、単に人間味・人情味を描くだけではなく、そこで働く職員の労働環境もさりげなく問題提起している。昼夜の交代勤務、仮眠室のベットの不足、事務机での仮眠...。
最近は介護ロボットの開発も進んでいるようだが、最後は人間的な絆が大切になろう。

公演全体を通して、その人に対する思いやり、優しい気持ち...それが溢れんばかりに感じる。コメディな作風であるが、その底流にある問題提起は鋭く、大変見応えのある公演であった。
【ご来場誠にありがとうございました!】ギンノキヲク FINAL

【ご来場誠にありがとうございました!】ギンノキヲク FINAL

ラビット番長

南大塚ホール(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

何度観ても!
1年前に観た時と自分の感じかたに変化がないかが楽しみでした。
読み返しながら、このコメント書いてますが、池田ヘルパーの”身内はきつい”という言葉がぐさりと刺さったまま頭から離れません。。
最近の事件に2か月で老人ホームのベランダから3名落下して死亡なんていうニュースを聞くと、誰を信じていいやら・・・どう見ても事件性を感じます。
そしてやっぱり可能な限り面倒を看たい気になります。ただし深刻にならずに適当に!介護の世界を知るいい作品です。

ネタバレBOX

すみません、見逃したのかもしれませんが、西川ヘルパーの倶利伽羅紋々露出のシーンありました?(笑)
MEIDO IN HEAVEN

MEIDO IN HEAVEN

合同会社シザーブリッツ

劇場MOMO(東京都)

2015/09/08 (火) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

Aチームの皆様
Aチームの皆様、楽しかったです。ありがとうございました!

このお芝居はスタートすると最終場面まで一気に進んでいきます。もう止められ推進力です。今回は出だしのマフィアの飛び道具には驚きましたが....
それはともかく、本日はずっと座りたかった席で観られたので思う存分楽しめました。迫力凄かったです!
クライマックスに向けて様々な布石が準備されていくストーリー展開はお見事です。

今回はチームA最終回で、もう山内さん雛子に会えないのは寂しい限りです。これ以上はない山内さんの絶望顔と自己判断スイッチ切った操り人形状態演技は、あまりにもお見事でした! またどこかの劇場でお会いできればとお思います。

おかしな二人〈女性版〉

おかしな二人〈女性版〉

東京ジャンケン

シアターサンモール(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

性格正反対でも友人!
原作は男性だが、女性に置き換えての演出。
違和感なく、観られました。
自分を曲げないマイペース性格や仕草そして台詞と相手の性格を皮肉る台詞がとても面白かったです。翻訳劇ならではでした。

Unbreakable -アンブレイカブル- 第二章

Unbreakable -アンブレイカブル- 第二章

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★

序盤から
中盤まで専門用語多めの早口説明調の台詞が多いため、理解するのがやっとだった。途中睡魔に襲われつつ中盤~後半ではグッとくるシーンがあり泣きそうになるのをこらえ・・・
神話、聖書等が好きな人ははまりそうな内容です。

DADDY WHO?

DADDY WHO?

天才劇団バカバッカ

テアトルBONBON(東京都)

2015/08/26 (水) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

木村演出!
熱演の中、ギャグに対しての一歩突っ込んだ台詞がとても良かった、受けました!

ネタバレBOX

死んだ父親が天涯孤独になった息子に残したものは…?
相続の話し合いには見知らぬ人たちが集まる。
存命中に繰り返していた結婚、離婚で父親の隠し子と思われる人間の経緯が相続にどう拘わって行くのかが見どころ。
そぞろの民

そぞろの民

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

時流への抵抗
現代社会にある政治的諸問題を舞台にぶちまけて、ごった煮にしたような作品。それで幕の内弁当で終わらない腕力が凄い。

手放しで評価できない部分もあるけれど(詳しくはネタバレに)、
表現者として「問わなければいけないこと」を問うている姿勢に感服。

ネタバレBOX

そもそも観客を想定する表現において「作品は作者から自立できるのか」という前提問題がある。つまり、作品は作者が観客に発する問いかけなのか、それとも作者からは自立した世界の提示なのかという問題。別の言い方をすれば、作品は作者に支配されるものかどうか。

私個人は、作品は作者から切り離された自立した世界像の提示でありながら、その全体が同時に作者の問いになっている状態が望ましいと思っている。またその問いは決してメッセージであってはいけない。それではツマラナイとも思っている。

この『そぞろの民』は、その辺りがどっちつかずだという印象。
だが全否定できない部分もある。具体的に見ていく。

まず気になったのは、現代の政治の問題点を登場人物に解説的に語らせている点。説明的で劇作術としてはうまいとは言えないけれど、複雑な政治問題を前提状況さえ知らない観客に提示するにはこういう方法をとるしかなかったのかもしれない。それに、良かれ悪しかれ、学者とその息子や関係者たちというインテリたちが中心の物語のため、固い話もギリギリで不自然とまでは言えない形にはなっている。ただ学者の父の教え子が今日のジャーナリズムの状況に無知すぎるのは、劇を語りやすくするためにそいう設定にしたのではないかと思えてならなかった。

そのようにどうしても作者がこの作品を支配しているという印象はぬぐえない。すると、逆に、作者の認識または描写が甘い点が、妙に目立ってしまう。作者があまり意識されない作品ならば「そういう認識の登場人物なんだ」で済ませられるところが、登場人物の言葉は作者の言葉だと思えてしまうために、「その認識または描写は甘いでしょ」と作者に対して反発をもってしまう。

具体的に私が気になったのは、韓国や中国の立場の描写。「日本は韓国や中国に賠償金も払い、謝罪も続けているのに、許してもらえない。その理由は教育の問題もあるが、被害を受けた傷がいつまでも癒えないからではないか。」というようなやり取りが長兄と三男の恋人との間でなされるが、それだけで終わってしまう。そもそも日本は両国に「賠償金」という形では賠償をしていない。経済援助や技術援助の形をとった賠償。(勿論、そこには韓国側も中国側も経済的メリットを優先した背景があり、日本側も謝罪という形をとらずに問題を解消したかったことや日本企業のメリットも考慮した結果、両者の思惑が釣りあっての合意ということだが。)謝罪についても表面的なものが多く、村山談話など心からの謝罪もあったものの、少なくとも現政権などは謝罪の気持ちはない。そのような背景を「賠償金も払って、謝っているのに、、、」でまとめられてしまうと、どうも居心地が悪い。これが自立した作品世界で展開しているのならば、日本人一般はそう思っている人が事実多いのだから、そういう認識の登場人物なのねで済まされるのだが。

もう一点はラストのオチ。これは否定的に私が語ってきた部分が突き抜けて良い効果になっていた、と私には思えた。

自分の意見を他人にぶつけながら、ある部分では暴力的であり、もう一方ではうまく世渡りをしている長兄(武器を売る企業に勤める)。自分の意見を曲げずに会社を辞めた(自分が開発したレーザーが武器に転用されることに反対して)三男。次男は、新聞社に勤めながらも協調性を一番の是として生きている。
三人の父は、沖縄出身の学者。老年で施設に入っていたが、そこを抜け出して家に帰り自殺した。その自殺の原因を探るため、三兄弟はそれぞれへのそれまでの不満も含めて気持ちをぶつけ合う。最終的には、父がノートに書いた紙きれが出てきて(施設の人がこんなことを書くべきではないと、父から破り取ったもの)、最大の理由かと思われるものが示される。実際にそれが父の自殺の原因かは断定できないが、それを読んだ次男は絶望する。もっとも父に尽してきたと自身でも思い、周りからもそう思われていた次男が頻繁に見舞いにくることが、何より父には負担だったというのだ。次男の良さだと本人も周りも思っていた協調性をこそ、父は快く思っていなかった。ここには父の学者としての思想が重ねられている。協調性をこそ是とし、常に日和見的であろうとする日本人の在り方への批判が。

同時にこれは作者の日本への批評でもある。更に、父の本音を知り、今まで信じていた価値観が崩壊した次男の姿を、戦争を信じて突き進みながらすべての価値観がひっくり返ってしまった敗戦時の日本国民の状況とも重ねている。

ここまでならば、作品を使って作者が暗にメッセージを発しているということで終わる。

作品では、更に、この次男は父と同じ場所でその夜自殺する。もはや作品を使って暗にメッセージを発しているというレベルではない。もっと露骨な作者の叫び。このまま行ったらみずから自分を殺すことになるぞというような。

不思議なのは、メッセージを超えて作者の悲痛な叫びのようになったラストシーンこそが、もっともメッセージ的ではない演劇性をも有していたということ。この点はうまく説明できない。役者の力が大きいのだと思う。

オールラストの次男の妻と長男の眼がとても印象に残っている。

役者さんは皆よかったが、特に長男役の髙橋洋介さんの威厳たっぷりの演技がよかった。

蛇足1:物語内で自殺して死んだはずの次男:星野卓誠さんが、カーテンコールで出てきて挨拶している姿はとても不思議な感じがした。

蛇足2:沖縄という問題が重ねられているのも良かったが、その中で、学者の父の教え子が沖縄問題を語った後に、叔父が「沖縄のことを本土の人間に語ってほしくなかった」ということを問う部分がとても印象に残っている。それは、一方で琉球人が虐げられ続けてきた時間の重みを感じられる反面、そこに生じてしまう排他性も同時に感じられたからだ。この言葉の意味の両義性がとても凄いと思った。
幕末太陽傳

幕末太陽傳

株式会社プラグマックス&エンタテインメント

本多劇場(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★

なにがしたいのか?
この芝居は、ある意味アメリカンドリームのちっちゃい版というか、スティングの日本版というか、そんな洒脱な原作(落語)で、無責任シリーズの原型みたいなものです。
それを何故今やる意義があるのか?制作者に問いたい。
役者も、田畑さん以外は、台詞も通らない素人役者って感じだし。
演出は野田劇のコピー。
何もかもが理解不能な作品でした。

MEIDO IN HEAVEN

MEIDO IN HEAVEN

合同会社シザーブリッツ

劇場MOMO(東京都)

2015/09/08 (火) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

何度でも観られる面白さ
両チームとも観させていただきましたが、チームによってカラーが全然違い、楽しめました。コメディの部分とシリアスな部分の両方のバランスが絶妙でした。本も演出も申し分なかったと思います。本日千秋楽とのこと。私は仕事で行けませんが、行ける方は是非観に行っていただきたい作品です。

MEIDO IN HEAVEN

MEIDO IN HEAVEN

合同会社シザーブリッツ

劇場MOMO(東京都)

2015/09/08 (火) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

はずれなし
去年に引き続いての鑑劇でしたが
役者が代わっても西九条家の世界観は変わりなかったです。

何度も見ても笑って感動出来る舞台と改めて実感しました。

ツキシカナイ

ツキシカナイ

満月動物園

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

感動した~☆★
今回も凄く素敵なお話しで、また感動の涙が溢れ出ました♪でも今回は『せつない』涙じゃなく、『心地良い』涙でした☆★家族を大事にしようっ!って改めて思うキッカケをいつも与えてくれて本当に感謝しますm(__)mこのシリーズ最後の12月公演も予約しました🎵めっちゃ楽しみにしてます☆★

その頬、熱線に焼かれ

その頬、熱線に焼かれ

On7

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

原爆乙女の会話が照らし出すヒロシマ/約120分
 ドタドタとして騒々しかった前作『痒み』から一転、今作は派手な動きがほとんどない会話劇。
 ケロイドの手術のため渡米したいわゆる「原爆乙女」たちの、自分たちの身の上にまつわる緊迫したやり取りが細やかに描かれる。
 被曝による容姿の損傷が男以上に痛手となる女性同士の会話から成るだけに、セリフの一つ一つが切実味に満ち、心がザワザワしっ放しでした。

 これから観られる方のために言っておくと、置きチラシの束の中に作品への理解を助ける資料が入っている上、会話を通じて物語の背景が分かるよう、脚本がとても丁寧に書かれているので、ヒロシマのことに明るくなくても、おそらく話は分かると思います。

島 The Island

島 The Island

キダハシワークス

芸能花伝舎(東京都)

2015/09/06 (日) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

力強く、素朴に。丁寧に戯曲を奏でることの面白さ
アパルトヘイト下(1973年初演)の南アフリカ。ケープタウン沖のロベン島にある政治犯刑務所には、人種隔離政策に抵抗した黒人たちも収監されている。ジョン(窪田壮史)は懲役10年、ウィンストン(野坂弘)は終身刑に服している。白人の看守たちによる非人道的な扱いに苦しみながら、数日後に控えた演芸会で『アンティゴネー』を演じ、白人支配に対する抵抗を示そうとするジョン。ウィンストンも渋々協力する。牢の中での奇妙な稽古が始まった――。

日本人が一般的に最も理解しにくい人種差別をめぐるテーマにどれだけ踏み込めるか、と身構える観客もいたはずだ。しかし、根幹にあるのは、どん底の極限状態における人間の尊厳をめぐるドラマに相違ない。

ネタバレBOX

「塀の外」、故郷の人々に電話する「ごっこ」をはじめ、牢の中で2人は幾度も「演劇」を繰り返す。人間は演じることで、困難な空間や環境を飛び越え、自らの精神の安寧を計る手立てを創出しうる。それは実に人間的な行為として演じられている。

『アンティゴネー』の構造(プロット)が頭に入らないウィンストンのために繰り返し説明するくだりは秀悦である。国家(ここでは為政者クレオン)と法、それに対峙する形での人道主義的な行動の正当性を、自由を叫んで収監されている2人が、どちらが正しいかを議論するのではなく、ひたすら「覚えられない」という芝居作りのプロセスとして滑稽に演じられることで、つまり第三者として客観視出来る立場である観客は、苦いユーモアを味わうのだ。完璧な閉塞感の中での笑いは、どことなくストッパード『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』のような不条理の演劇を想起させる。

事態が急転するのは、ジョンが減刑され、残り7年近い懲役が3ヶ月に縮まり、「自由」が現実味を帯びた時である。ここに永遠に拘束されるウィンストンとの決定的な違いが露呈する。劇的には非常に使い古された対比ではあるが、ジョンの未来を自分のことのように喜んでいたウィンストンが、自分には叶わぬ希望だと気づくまでの過程が、丁寧に、かつ実に残酷に描かれる。芝居後半の見せどころだ。

ジョンとウィンストンは「政治犯」としての理知的な面はほとんど感じられないのだが、かえって2人が社会の理不尽を訴えた普通の市民であることが浮かび上がり、やりきれない。社会と隔絶した「島」に閉じ込められ強制労働を強いられた結果、救済を待ち望む個人としての姿を垣間見ることが出来る。

翻訳を担当した黒川陽子のパンフレットでの文によると、役名と同名の2人の俳優と、劇作家アソル・フガードが共同で作り上げた「現場密着型の劇作」である。黒川はこの種の芝居は、初演俳優の手を離れ、フガードの言う作品固有の"the pure experience"(純粋なる演劇体験)に匹敵する異国の言語による再演は困難が伴なうと述べている。裸電球に照らされた真っ黒ながらんどうの空間に、2人の俳優だけが放り込まれたような演出は、俳優が文字通り裸で芝居にぶつかっていくことを自然と促した。その結果、2人が背伸びをし過ぎず、肌の感覚を大切にしながら演じているのに好感が持てる。観客は、素朴に純粋に、作り手が組み上げてきた芝居をじっくりと見つめることが出来る。

何もしない、のは照明や音響、演出にはなかなか難しいことなのだが、現代の観客の理解度を推し量るのは難しい。心理描写を追う明かりの明暗、黒人の化粧が汗で落ち、次第に俳優が「日本人」になり、最初は異国の言葉で行進していたのが最後には日本語になっていたりする。ややあざとく感じたが、これくらいはしたくなるのはご愛嬌。多少親切すぎるきらいはあったにせよ、「戯曲をきちんと奏でる」ことがこうした芝居の醍醐味をきちんと伝える唯一の手段だろう。劇作過程に倣ったような、戯曲と演出(田中圭介)と俳優たちのセッションに乾杯したい。
MEIDO IN HEAVEN

MEIDO IN HEAVEN

合同会社シザーブリッツ

劇場MOMO(東京都)

2015/09/08 (火) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです!
1人1人のキャラも良く、とても楽しめました!笑えます!

その頬、熱線に焼かれ

その頬、熱線に焼かれ

On7

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

【その頬、熱線に焼かれを観劇】

劇団チョコレートケーキの史実に基づいた話である。

広島原爆でケロイド状になった女性達が、ニューヨークの病院で皮膚の再生手術を受けたヒロシマガールズの話。

今作は実話をもとに描いている。

ヒロシマガールズに選ばれた女性たちは国家の勧めもあって、ニューヨークで手術を受ける決意をするのだが、選ばれた人数はわずか25名で、その中での彼女達の葛藤、敵対国アメリカに対する様々な思いが交差していく。
とても静かな会話劇だけで構成されているのだが、彼女達の複雑に抱えている心情が時には大きく爆発していき、非常に熱い物語になっている。
その中で炙り出されていく国家同士が争う意味、そして戦争体験がない観客達、その隙間を埋めていくような語り口に、今の我々は一体何が出来るのだろうか?という重たい荷物を戦争体験者から受け取って、今作を見終えるのである。

良作である。
果てまでの旅

果てまでの旅

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2015/09/05 (土) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

玉田企画の【果てまでの旅】を観劇。

再演で、二度目の観劇である。

中学生の修学 旅行の 宿泊先で、異性に興味深々な男子生徒が女子部屋を訪ねにいくかどうかの話である。
どうでも良い内容なのだが、玉田企画の上手さが存分に出ている芝居である。今作の面白さは、クラスでもあまり目立たない存在の男子生徒達で、女性には奥手で、ツッパリと呼ばれている仲間にはお調子者を演じてしまう地味な男性生徒達を中心に描いている点だ。
誰もが経験した事がある少年期の淡い思いを堪能出来る芝居である。
そして玉田企画こそ平田オリザの口語演劇の真の後継者ではないか?
と思わせる演出力は抜群である。

そしてもう一度言おう!

可笑しさは抜群だが、全くどうでも良い内容な演劇であるのは間違いない。
でも必ず毎回観てしまう玉田企画である。

くだらないけど傑作である。




あの日はライオンが咲いていた

あの日はライオンが咲いていた

PocketSheepS

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

泣きました
辛く厳しい現実を、楽しく優しく切なく表現した、とても素敵な舞台でした。最初、キャラクター全員が、どこかに花を付けているんだなぁと思って観ていましたが、ラストには、花を付けている意味が分かりました。そして、ライオンが咲いていたというタイトルの意味が分かった時は、切なくて胸が締め付けられました。ラストは本当に切なくて堪りませんでした。月島先生役の役者さんの表情が、私の涙腺のツボに嵌ってしまい涙が止まらず・・。素敵な舞台で、大満足でした!

僕の私の空耳城の

僕の私の空耳城の

劇団milquetoast+

APOCシアター(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度

私には合わなかったなぁ・・と感想・・
設定は、いろいろと弄れて捻りが加えられそうな感じではあったのですが。
いつまで続くのかと時間経過が気になった約2時間強の話でした。

(チャーミングVerを観劇です)

ネタバレBOX

子供用の避難シェルターを自分の善意のみで活動を続けたらという「もし」の話の展開です。チャーミングVerは一応ハッピーエンド?自宅を提供していたオーナーの死亡でシェルターは閉鎖を決めて、過去にあった存続危機の話を回想風に再現して展開していたのですが。無許可・無認可での活動に反旗を翻したスタッフの暴走ともとれたし。なんで行政の許可を求めなかったのか?とか、現状況の説明とか背景を観客に説得する要因が少なく感じられたです。また劇場に比して俳優さんの声の張り上げが大き過ぎてたなぁとも感想=劇場の大きさから考えても観客静かだったんで、囁き声でも聞き取れるでしょうし。金切り声よりも明瞭な台詞を聞き取りやすい発声に努めて欲しかったなぁとも思ったデス。

子供用の避難シェルター=空耳城の一室を舞台に、過去に起きた活動最大の危機的状況を回想という形で再現されます。ここの活動を警察や救急に知らしめて活動の方向性を捻じ曲げようとしたらしいのですが、結局思いとどまって無事活動は継続したのですが。オーナーの兄の幽霊=チャーミングさん(役者さんは長身でカッコよかったですな(^^)も絡んでの進行になるのですが。扱った話のテーマもあいまって、簡略に出来なかったのか。奥歯に物の挟まったような話の進行が残念な感じでした。簡素でテンポ良く話を進めてみて欲しかったです。

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