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「その先の闇と光」

「その先の闇と光」

ISAWO BOOKSTORE

雑遊(東京都)

2023/06/03 (土) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

AとCの回を拝見しました。特にAの保険金殺人方は両方の気持が伝わってくるような素晴らしい演技で胸が苦しくなりながら拝見しました。Cの世田谷一家殺人事件の方は未だ解決していない事件ですよね。本当に忘れてはいけないと思いました。事件と向き合う前向きなラスト良かったです。脚本、演技ともにとても素晴らしかったと思います。

初老の血

初老の血

劇団 枕返し

北池袋 新生館シアター(東京都)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

昭和時代に流行った任侠映画、その美学(義理 人情)と妖怪を絡めた物語であろうか。今一つ 何を描き伝えようとしているのか分からない。自分の感性が初老を超えて枯渇したか?

登場人物のキャラクターは濃く楽しめるが、ヤクザの抗争というよりは昔馴染みの諍い。それを何故だか定食屋内には持ち込まない不文律のようなものがある。コメディだから細かいことは気にせず楽しめば良いのだろうが…。
一方 劇団のコンセプト?妖怪(作品には必ず登場)…今回は「ぬりかべ」で、一般的に知られる形とは異なる。その異形の存在と舞台美術という両面で巧く活用している。一種の被り物で、ずっと舞台上にいるという 体力的に厳しい役柄だ。

「ぬりかべ」の役割は 「何か」若しくは「誰か」を守りたい、という<思い>であり、時を遡行し戦時中へ。個人的にはこの場面をもう少し掘り下げ、任侠の世界と絡ませて観(魅)せてほしいところ。先のヤクザと ぬりかべの話がラストに少し絡む程度で…。表層的にドタバタしただけのコメディ、それなりの繋がりで もう少し心に響くものがほしい。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、上手(阿過組)と下手(死路組)は非対称、しかしどちらもビールケース(サッポロVSアサヒ)で居酒屋の雰囲気を漂わす。中央に壁(ぬりかべ)があり仕切っている。中央(客席寄り)は、別のビールケース(キリン)が置かれ 立場の違いを表す。下手に別空間を表すカウンター席。

長年諍いの絶えない2つのヤクザ組織ー阿過組と死路組だが、それぞれ世代交代の時期を迎えている。阿過組では二代目が引退をし、三代目に孫娘を考えている。一方 死路組は末娘が四代目の跡目を継いだばかり。暴対法の影響で組員も減少し、といった昨今の事情が描かれる。諍いの原因は シノギ にあるらしい。第三者(牽制 中立?)的な立場として地元警察を絡ませる。冒頭 先輩刑事が新人刑事に、地元ヤクザの実態を教えるという構図でこの店に来る。それぞれの組の事情を親分と幹部組員の会話で紡いでいく。

物語が動くのは、阿過組の組員が死路組の組員に向かって発砲したこと。双方が負傷しどう修羅場を収めるか。阿過組の跡目を渋っていた孫娘が、「誰一人欠けてもいけない 」といった啖呵を切る。二代目も ヤクザは「誰にも相手にされなくなった者の駆け込み寺のような世界」と言う。一見 昭和の義理人情の世界が観えるが、深みがない。ちなみに二代目が引退したいのは、刑事に惚れという自分都合。そのため孫娘を呼び返す我儘ぶりである。孫娘(35歳)は、若い時(25歳)に流産し子が産めないよう。嫁ぎ先では辛い思いをしていた。

この孫娘の「命」の話…誰一人欠けてもいけない、発砲騒ぎを起こした若い組員を赤ん坊の時から面倒を見ている、そして妖怪「ぬりかべ」の守(護)りたい者(モノ)のため、戦時中へ遡行したい思い。それらの場面を縦横無尽に紡ぎ、もう少し広がりと深みのある物語にしてほしい。
表層的なドタバタコメディ(先輩刑事を投げる等)に止めておくには惜しい。
次回公演も楽しみにしております。
スイートホーム

スイートホーム

制作「山口ちはる」プロデュース

シアター711(東京都)

2023/06/07 (水) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

三軒茶屋ミワさんの歌謡ショーは残念ながらなかったのですが、それを補って余りある面白さ!カーテンコールまで目が離せませんでした。
それにしてもあの血溜まりはいつからあったのか。気づかないうちにああなってましたねえ。これからご覧になる方はご注目。
そして冒頭の劇中台本の台詞も・・・

コンテナ

コンテナ

極東退屈道場

山本能楽堂(大阪府)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

満足度★★★

大阪の過去(未来?)を、歌舞伎の舞台を使って演じるのだが、歌舞伎舞台を使って演じる理由が…
けっこういろんな場所や変わった手法を用いている劇団だが…
大阪万博で、舞洲 咲洲等々は復活する?しない?
結局税金だから…

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

高校生5人組の卒業旅行を描くロードームービー的舞台。

ネタバレBOX

劇団の母体となる演劇部が高校の全国大会で準優勝した時の作品を15年ぶりにリメイクした上演。テキストはテアトロ新人戯曲賞佳作を受賞している。この高校の大会で上演したのが2008年とのことなので、自分とはほぼ同世代ということになる。舞台は卒業旅行中のアメリカで、道中様々なトラブルが起き、それぞれの少年達が抱える葛藤や問題を乗り越えたり抱きしめたりしながら物語は進んでいく。
物語としては映画「スタンド・バイ・ミー」よろしく、ある種の伝統と形式に則ったプロットで描かれ、斬新さの代わりに安心感を得ている。役者の演技は情熱的で、20人程のキャパの会場において熱気が伝わってきた。一歩外に出ると西成の商店街に位置しているということを意識する観客もいただろう。
ここまで書いてきて思うのは、自分は本作の本来の没入感を捉え切れていない気がする。これは、自分が“高校演劇”というジャンルを捉え切れていないことにもつながる気がしている。大人になってから“高校演劇”というものを知った自分は、それが単に「高校生の演劇」であるだけではなく、“高校演劇”自体を愛好する人々がいることを知った。例えだが野球であってもプロ野球の方がレベルが高いことは承知の上で、それとは別に甲子園球児を応援する人々の気持ちと言うべきか。ある種の熱狂は、それを知るものにしか共有出来ないものがあるのかもしれない。その時人々は、技術やクオリティを見ているわけではないのだ。
これは、何も高校演劇が特異なものであると言及したいのではなく、特定の人々が理解できるある種の文脈がその作品にとって重要な場合、そうでない人々はどう観たら良いのか、という他の作品にもつながる課題であるように感じる。
ロケット・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・シガレット

ロケット・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・シガレット

無限のネコ定理

北千住BUoY(東京都)

2023/06/07 (水) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ちょっと廃墟感のある地下のスペースを目一杯使った意欲作。休憩10分を挟んだ約140分。前半終了時のワクワク感を後半で上回るとまではいかなかったが、チケ代以上に楽しませてもらった。今後にも期待。

ホテル・ミラクルThe Final

ホテル・ミラクルThe Final

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【STAY Ver.】
どすけべ前説 「ホンバンの前に」 寺園七海さん 今井未定さん
①「THE WORLD IS YONCHAN's」 河西凜氏 森下凜央(りお)さん
②「噛痕と飛べ」 今井未定さん 秋山拓海氏 寺園七海さん
③「愛(がない)と平和 -Bagism by Love&Peace.-」 岡村梨加さん 藤本康平氏
〈5分休憩〉
④「スーパーアニマル」 金田一央紀氏 小練(こねり)ネコさん
⑤「最後の奇蹟 最終形」 環幸乃さん 坂本七秋氏

①チェリ男こと河西凜氏は全世界のもてない童貞男の象徴とも言うべきピープルズ・チャンピオン。この役をやる為にこの世に生を受けたのでは。ヨンちゃんこと森下凜央さんは凄かった。こりゃ人気ある訳だ。童貞男のパンパンに膨れ上がったエロ妄想が具現化したようなルックス。今作を世界中の(精神的)童貞男に捧ぐ。面白かった。
④最高傑作。金田一央紀氏が全作品の中の間違いなくMVP。この作家は天才だ。現代の“あしながおじさん”の織り成す街角のささやかなメルヘン。都会でささくれだった心を潤してくれるようなひとときの安らぎ。小練ネコさんがまた素晴らしい。客席がドッカンドッカン沸いてうねった。凄く文学性も高い。これが観れただけで何の文句もない。
⑤「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」ならぬ「さようなら、全てのシアター(ホテル)・ミラクル」。『シン・シアター(ホテル)・ミラクル』のようなラスト。環幸乃さん&坂本七秋氏のキャスティングこそ最期にふさわしい。

帰りには隣の「レイスケバブ」でケバブラップ中辛(500円)を噛じれば満腹。なかなかこれからは行くこともなくなる。

ネタバレBOX

前説の今井未定さんがエロエロ。

①高校時代の憧れの女の子(森下凜央さん)と飲みに行った冴えない童貞男(河西凜氏)、目覚めるとそこはラブホで二人共半裸。酔っ払って何の記憶もないまま、興奮してパニクる。
森下凜央さんの佇まいや受け答えの感じが巧い。後半、無理筋の展開が残念。

②女漫才師(今井未定さん)がネタを書く為にラブホに籠もり、後輩のピン芸人(秋山拓海氏)に自分が怠けないよう監視させる。
無理筋の設定を成立させる為の論法が強引、イマイチのれない。

③金が媒介する男女の純愛。リアルを追求してボソボソ喋る二人。殆ど聞こえない、何とも言えない空間。地獄の底の御通夜みたいなムード。この退屈さの正体はナルシシズム。作家と役者が自分に酔っている。他人のナルシシズムを本能的に人間は嫌う。『出会って4秒で合体』ネタも空振り。
だが、この沈滞が次の作品の大爆発に繋がるという面白さ。

④援交に手を出して十年のベテランエロ紳士(金田一央紀氏)が一番のお気に入りのJK(小練ネコさん)に贈る人生応援歌。
言語への過剰な拘り、myルールに対する信仰にも似た敬虔な姿勢。快楽主義者だからこその理路整然と生きる男の哲学の揺れ。田山花袋の『蒲団』さえ思わせるラスト。昔、風俗に通いまくっていた知り合いのことを思い出した。自己分析的で理知的な駄目人間の詩。金田一央紀氏の乱雑に脱ぎ捨てられたセーラー服や靴下に対する愛情のこもった畳み方が美しい。フェティシズムへの畏敬。それに対する小練ネコさんの在り方が美しい。

⑤地球最期の日をラブホで過ごす見知らぬ二人。
ブルーハーツの『月の爆撃機』が主旋律。もっとレイ・ブラッドベリの『刺青の男』みたいにやらなきゃ駄目なネタ。設定がブレブレ。とは言え、「僕達を縛り付けて一人ぼっちにさせようとした、この世の全てに感謝します。2023年小劇場代表シアター・ミラクル!」みたいな気持ちにさせてくれた。
どうも有難うございました。
海の木馬

海の木馬

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/05/30 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あらゆる面でクオリティが高く満足度も高いが、扱うモチーフが戦時中・史実であったりと展開・演出にも広がりも少なく一貫して堅苦しい空気が終始支配していた。個人的にはおとぎ話的なフィクションの方が好み。

コンテナ

コンテナ

極東退屈道場

山本能楽堂(大阪府)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

なんでしょうかね?未来の夢洲はこうはなって欲しくありませんね。狂言の動きとかあって、クスッとは楽しめましたね。笑
お芝居観られてありがとう。

初老の血

初老の血

劇団 枕返し

北池袋 新生館シアター(東京都)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

期待通り、おもしろかったです。
笑いがふんだんにあり、笑いました。
本当にところどころ、考えてつくられていて、上手い。
やはり、やーさんコメディーは迫力があり、観ていてスカッとした。

[ぬりかべ]が、観ていて、いろいろ表情が変わり楽しい。
顔ひとつなのに、演じている役者さんはスゴいと感激した。
これは[目玉]のひとつかな、と思う。

(あかぐみ) の組長役の役者さんがインパクトがあり、最高におもしろい。
とても良いキャラで、だれにでも好かれそうです。

個人的に私が好きだったのは、関口ミッシェルさん。
白の衣装がよく似合い、完璧なやーさんで良かったです。

ノリ役の役者さん、何度も投げられて痛そうで、かわいそうに思いました。

観てよかったです。満足でした。

あなたがわたしにくれるもの(がたり)

あなたがわたしにくれるもの(がたり)

やみ・あがりシアター

王子小劇場(東京都)

2023/06/07 (水) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

実験公演と銘打っての104分。面白い。
 amazonの欲しいものリストに出演者(と照明・音楽スタッフ)がリストを載せ、プレゼントしてくださる「モノ」を小道具に舞台を作る。ベースの物語は同じだが、日々増えるモノで展開が微妙に変わり、おそらく徐々に長くなるんだろうなぁ…。企画もさることながら、ベースの物語が面白く、企画をユッタリ楽しむことができる。録音・撮影・録画OKというのも太っ腹だが、衣類のプレゼントは実際に着る、アルコールのプレゼントは実際に呑む、というシバリも興味深い。
 先日の猿博打でも思ったが、笠浦は天才だ!

「その先の闇と光」

「その先の闇と光」

ISAWO BOOKSTORE

雑遊(東京都)

2023/06/03 (土) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。【A・B】観劇

濃厚な骨太作品…内容的には全国的に知られた刑事事件をフィクションとして描いているが、そこには(刑事)司法への警告も込められている。物語を虚実綯交ぜにすること、その客観化によって興味・関心を持たせる上手さ。背景や状況を被害者・加害者側という(対決)構図とは一歩引いた立場の人物を絡ませることで、どちら側にも偏ることなく観せる。刑事事件という性質上、笑う要素を排除し冷徹に描き切った秀作。

勿論 俳優陣の熱演、その演技力に負うところが大きい。同時に A「壁の向こうの友人ー名古屋保険金殺人事件ー」は、シンプルだが 被害者(遺族)・加害者そして刑務官という3者三様の立場が一目瞭然の舞台美術が見事。一方、B「明日は運動会ー和歌山毒物カレー事件ー」は加害者の子供たちという残された家族の辛苦。刑事事件としては動機不明、状況証拠のみという曖昧な捜査に照らしてみれば納得のいかない判決、そこに問題を投げかける。事件が世間の注目から遠のき、穏やかな暮らしが…あえて波風立てる行動を起こす必要があるのだろうか。その選択を自らしよう 「もう逃げない」と…。

基本的に 両作品とも心情劇。Aは、決して許せない<心>とは別のところで疼く<思い>のようなもの、その揺れる気持があるのも事実。Bは加害者(母)の子供であり、決定的な物的証拠がない以上 信じたいが、しかし長女の「(母)眞須美を信じられない、娘だから言え(分か)ること」には驚愕する。ちなみに、Bはいつ時点での話であろうか。

A「壁の向こうの友人ー名古屋保険金殺人事件ー」
B「明日は運動会ー和歌山毒物カレー事件ー」
(上演時間1時間45分 途中休憩なし 舞台転換5分)

ネタバレBOX

A「壁の向こうの友人ー名古屋保険金殺人事件」
拘置所 面会室…中央にアクリル版越しに面会する椅子2つ、上手に刑務官が座る場所があるだけ。冒頭、刑務官・岡本(江刺家伸雄サン)が拘置所と刑務所の違い、分り難い法律用語・制度等を説明。

被害者親族(被害者の実兄)・原口(虎玉大介サン)と加害者・長谷(幸将司サン)が面会し、何となく情を交わすことはないと思うが、ここでは加害者の〈死刑判決〉を巡るドラマという観点で描いているようだ。加害者の自己利益(会社経営)のために弟を殺された兄が減刑嘆願をする。仮に弟に妻や子がいたら、その家族は加害者を許せるだろうか。確かに兄も加害者に向かって「絶対許さない」と叫ぶが…。

しかし、理性という建前の扉に隠された、人の奥底に潜む 剥き出しの本性が引きずり出されるのではないか。その意味では 一歩引いた立場、そこに真のエゴイズムが見えなかった。理論の「死刑廃止論」…その賛否は色々あろうが、どちらにしても その理屈は被害者家族の悲しみを超えることは出来ない。そこにあるのは理論 理屈ではなく激情・滂沱という心だから。この物語で物足りないとすればキレイごとのようで<心>が迫ってこないこと。

B「明日は運動会ー和歌山毒物カレー事件」
加害者の子供たちが集まり、母の冤罪を晴らそうと相談する。そのため長女の家へ。中央にソファ、ローテーブル・椅子が置かれた一般的なリビング、それゆえリアルでもある。

長女・森田真子(丹下真寿美サン)は結婚し子もいる。勿論 夫・清水(阿紋太郎サン)は妻の母が殺人を犯し死刑囚であることは知っており、それを承知で結婚している。長男・高史(二神光サン)は、母の事件が動機・物的証拠なし、さらに自供もしていないことから冤罪の可能性を疑っている。二女・裕子(永池南津子サン)はプロポーズされ 近々結婚する予定だが、相手には母の事件のことは伝えていない。三女・由梨香(福井花耶サン)は幼い頃のことで良く分からないが、長男が言う金になるなら…。子には子の夫々の生活があり、今の状況を語り合う。

世間から忘れ去られたであろう事件、それを今更蒸し返したくない、というのが本音。しかし、もし冤罪であればという肉親(子)であるがゆえに揺れる心情が痛いほど伝わる。一方 母のことを忘れることによって自分の小さな幸せを掴むことが出来る。その天秤の傾きの如きあちこちに漂流するような濃密な会話。そんな中で放った長女の言葉が衝撃的だ。

フィクションとノンフィクションの絶妙な境界をなぞった秀作。
次回公演も楽しみにしております。
楽園

楽園

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/08 (木) 19:00

□字ックの山田佳奈が新国立に初めて書き下ろし。面白い。106分。
 沖縄らしき村の祭事に集まる女性7人の物語。古くから行なわれている祭祀だが、事情を良く知らない若い移住者(豊原江理佳)も交えなければ実行できないという事情や、村長選の最終盤で対立する陣営が一緒にいることなど、問題が噴出する材料は多い。「区長」が認めた「東京の人」(土居志央梨)が取材に入ろうとするのを「村長」の娘(清水直子)が止める、や、親子(中原三千代・西尾まり)の生々しい出戻り論争、など、あるある、な展開が続くが……。祭司である「司さま」(増子倭文江)だけが世俗から離れて祭祀を実行しようとする様子が興味深かったのだが、何と言っても余所者である豊原が正論をブチかますところが見事。名前でなく役割で呼ばれる女性達だが、最後に名乗ろうとするところで終わるシーンが美しい。

「その先の闇と光」

「その先の闇と光」

ISAWO BOOKSTORE

雑遊(東京都)

2023/06/03 (土) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ACを観劇。それぞれの事件の側面を創作した物語ではあるが,実際にあったのではと思ってしまうほどの力のある作品。いずれも考えなければならない内容の芝居であり,気楽には観ていられない。しかし,観劇後には見て良かったと思うほどの訴える力はあった。おススメしたい芝居である。個人的には,お目当ての役者さんを久々に観れてとても嬉しい。

R.P.G. ロール・プレーイング・ゲーム

R.P.G. ロール・プレーイング・ゲーム

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一人の男が二つの家庭のお父さんを交代交代せわしなく演じる。そんなカオスなオープニングでつかみは十分。理想の家庭とほころびのある家庭、お父さんもなかなか大変だ。そして突然お父さんは殺されてしまう。

犯人は誰かとあまり考えずに舞台に集中しよう。テンポの良い展開でそれは容易だ。そうすれば大きなカタルシスを得ることができるだろう。まあしかし、いつものことではあるけれど、犯人の動機は1ミリも私の心に入ってこない。

初日だったせいか登場人物が多いせいか、俳優さんたちの演技が融合していなかった。同じく恒例のmoveダンスも劇団員抜きで行われたため似て非なる何かになっていた。どちらもしばらく寝かせておけば自然と熟成して行くものと期待している。

ネタバレBOX

劇団の看板俳優が演じる二人の刑事は宮部みゆきの別の作品の主人公であって宮部ファンには嬉しいものらしい。しかし他作品の設定をここで語られてもこの作品には何の関係もなく余計な思考を強いられるだけだ。そういうセリフはカットしても良かったと思うが作者が認めなかったのだろうか。
「その先の闇と光」

「その先の闇と光」

ISAWO BOOKSTORE

雑遊(東京都)

2023/06/03 (土) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ACを見ました。A:被害者遺族と加害者、それを見守る(いや、監視か?)刑務官。初めて知ることもいろいろありました。被害者遺族はもちろん、加害者の家族も不幸にしてしまう罪は大きいと思いました。
C:遺された遺族の悲しみはいかばかりか。早く解決して欲しいものです。
どちらもビターなテイストで、私が最近避けがちな内容でしたが見て良かったです。

楽園

楽園

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新国で久しぶりにほのぼのと楽しめる舞台を観た。ほのぼのと観すぎて、結局何を言いたい芝居だったのかを聴き損ねてしまったが、些事で心を悩ませ右往左往する現実の人間の姿と、長いあいだ受け継がれてほぼ変わらずに粛々と続く伝統行事の祈りとの対比が印象的。

海の木馬

海の木馬

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/05/30 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

生き残った元特攻兵(小野武彦)の現在から、戦争末期の振洋特攻隊の生活へとワープする。部隊長演じる原口健太郎の厳しい鬼上官でありながら、手綱の緩め方も知っている(本部から特攻兵は大事な武器だから大切にしろと言われているからだが)老練さが、心憎いばかりに見事。

4人の若い特攻兵(小野もこの一人)と二人の上官、二人の整備兵という軍人たち。それに対する勤労奉仕隊の村人たちはいわばコロスである。軍人たちとコロスが一体となった、繰り返される出撃命令と解除の緊張感と愚劣さが見ごたえがあった(こうした誤情報による出撃命令と解除が終戦までに51回も繰り返されたそうだ)。同じく悲劇のクライマックスと事後の混乱ぶりもダイナミックであった。

ネタバレBOX

爆発事故のあと、生き残って一人呆然とする兵(小野武彦)と、そのまわりで、地元の婦人たちが戦争で失った愛する人を思いながら泣き崩れる。そこまでは冷静に見ていたのに、そこにきて急に目頭が熱くなった。ごく平凡なシーンなのに、我ながら驚いた。一種の「ツボにはまった」というものだろう。

今回は桟敷童子得意の屋台崩しの美術はない。その分、舞台が広く使えてよかった。最後の仕掛けとしては、天井からいくつも砂が落ちてきて、何本もの砂の柱が現れる。
楽園

楽園

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作者の山田佳奈はコンプレックスを抱えた痛い女性たちを描くのがうまい。今回は沖縄らしき南の島の祭祀に集まった7人の女性たち。保守派の村長の娘(清水直子)の尊大さと焦り、反対候補として村長選に立った区長の妻(深谷美歩)の肩身の狭さなど、いくつかの対立・衝突が絡みあう。女たちのいがみ合いと厚かましさがヒートアップし、祭祀そっちのけで暴露と開き直りのバトルが繰り広げられる。

旅館の若い嫁(豊原江理佳)のはつらつさとアンニュイさのまじりあった雰囲気が独特。どろどろした閉鎖的人間関係をよく知るからこそ嫌気をさした若者のいら立ちを示して印象的だった。テレビの取材に来た東京の人(土居志央梨)も、新鮮な好奇心と、コンプラさえ破る「面白い絵作り」優先の仕事に時に自省する素直さが好感持てた。出戻りの娘(西尾まり)と、「孫の顔を見られんつらさがわかるか」などと古い頭の母親(中原三千代)の痴話げんかが、「あるある」で舞台を活気づけていた。司さま(増子倭文江)ひとりが、俗人たちの泥仕合に超越して祭祀に責任を持って孤高だった。。

旅館のタジキスタン人の従業員というのが、一度も登場しないのに、笑いをとるうえでも(土居の変な突込みに、あきれぶりといぶかし気をたっぷり示す豊原の表情が見事)、秘密の暴露の上でもカギになる展開も面白かった。

「その先の闇と光」

「その先の闇と光」

ISAWO BOOKSTORE

雑遊(東京都)

2023/06/03 (土) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

A+Cの回を観劇。実際に起こった犯罪事件を題材にした連作集だという前情報のみで観たので、正直なところ、胸糞が悪くなるような内容だったらどうしようという不安もあったのだが、予想とは全く違う舞台。素晴らしかった。

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