ホテル・ミラクルThe Final 公演情報 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクルThe Final」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【STAY Ver.】
    どすけべ前説 「ホンバンの前に」 寺園七海さん 今井未定さん
    ①「THE WORLD IS YONCHAN's」 河西凜氏 森下凜央(りお)さん
    ②「噛痕と飛べ」 今井未定さん 秋山拓海氏 寺園七海さん
    ③「愛(がない)と平和 -Bagism by Love&Peace.-」 岡村梨加さん 藤本康平氏
    〈5分休憩〉
    ④「スーパーアニマル」 金田一央紀氏 小練(こねり)ネコさん
    ⑤「最後の奇蹟 最終形」 環幸乃さん 坂本七秋氏

    ①チェリ男こと河西凜氏は全世界のもてない童貞男の象徴とも言うべきピープルズ・チャンピオン。この役をやる為にこの世に生を受けたのでは。ヨンちゃんこと森下凜央さんは凄かった。こりゃ人気ある訳だ。童貞男のパンパンに膨れ上がったエロ妄想が具現化したようなルックス。今作を世界中の(精神的)童貞男に捧ぐ。面白かった。
    ④最高傑作。金田一央紀氏が全作品の中の間違いなくMVP。この作家は天才だ。現代の“あしながおじさん”の織り成す街角のささやかなメルヘン。都会でささくれだった心を潤してくれるようなひとときの安らぎ。小練ネコさんがまた素晴らしい。客席がドッカンドッカン沸いてうねった。凄く文学性も高い。これが観れただけで何の文句もない。
    ⑤「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」ならぬ「さようなら、全てのシアター(ホテル)・ミラクル」。『シン・シアター(ホテル)・ミラクル』のようなラスト。環幸乃さん&坂本七秋氏のキャスティングこそ最期にふさわしい。

    帰りには隣の「レイスケバブ」でケバブラップ中辛(500円)を噛じれば満腹。なかなかこれからは行くこともなくなる。

    ネタバレBOX

    前説の今井未定さんがエロエロ。

    ①高校時代の憧れの女の子(森下凜央さん)と飲みに行った冴えない童貞男(河西凜氏)、目覚めるとそこはラブホで二人共半裸。酔っ払って何の記憶もないまま、興奮してパニクる。
    森下凜央さんの佇まいや受け答えの感じが巧い。後半、無理筋の展開が残念。

    ②女漫才師(今井未定さん)がネタを書く為にラブホに籠もり、後輩のピン芸人(秋山拓海氏)に自分が怠けないよう監視させる。
    無理筋の設定を成立させる為の論法が強引、イマイチのれない。

    ③金が媒介する男女の純愛。リアルを追求してボソボソ喋る二人。殆ど聞こえない、何とも言えない空間。地獄の底の御通夜みたいなムード。この退屈さの正体はナルシシズム。作家と役者が自分に酔っている。他人のナルシシズムを本能的に人間は嫌う。『出会って4秒で合体』ネタも空振り。
    だが、この沈滞が次の作品の大爆発に繋がるという面白さ。

    ④援交に手を出して十年のベテランエロ紳士(金田一央紀氏)が一番のお気に入りのJK(小練ネコさん)に贈る人生応援歌。
    言語への過剰な拘り、myルールに対する信仰にも似た敬虔な姿勢。快楽主義者だからこその理路整然と生きる男の哲学の揺れ。田山花袋の『蒲団』さえ思わせるラスト。昔、風俗に通いまくっていた知り合いのことを思い出した。自己分析的で理知的な駄目人間の詩。金田一央紀氏の乱雑に脱ぎ捨てられたセーラー服や靴下に対する愛情のこもった畳み方が美しい。フェティシズムへの畏敬。それに対する小練ネコさんの在り方が美しい。

    ⑤地球最期の日をラブホで過ごす見知らぬ二人。
    ブルーハーツの『月の爆撃機』が主旋律。もっとレイ・ブラッドベリの『刺青の男』みたいにやらなきゃ駄目なネタ。設定がブレブレ。とは言え、「僕達を縛り付けて一人ぼっちにさせようとした、この世の全てに感謝します。2023年小劇場代表シアター・ミラクル!」みたいな気持ちにさせてくれた。
    どうも有難うございました。

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    2023/06/10 18:03

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