実演鑑賞
満足度★★★
昭和時代に流行った任侠映画、その美学(義理 人情)と妖怪を絡めた物語であろうか。今一つ 何を描き伝えようとしているのか分からない。自分の感性が初老を超えて枯渇したか?
登場人物のキャラクターは濃く楽しめるが、ヤクザの抗争というよりは昔馴染みの諍い。それを何故だか定食屋内には持ち込まない不文律のようなものがある。コメディだから細かいことは気にせず楽しめば良いのだろうが…。
一方 劇団のコンセプト?妖怪(作品には必ず登場)…今回は「ぬりかべ」で、一般的に知られる形とは異なる。その異形の存在と舞台美術という両面で巧く活用している。一種の被り物で、ずっと舞台上にいるという 体力的に厳しい役柄だ。
「ぬりかべ」の役割は 「何か」若しくは「誰か」を守りたい、という<思い>であり、時を遡行し戦時中へ。個人的にはこの場面をもう少し掘り下げ、任侠の世界と絡ませて観(魅)せてほしいところ。先のヤクザと ぬりかべの話がラストに少し絡む程度で…。表層的にドタバタしただけのコメディ、それなりの繋がりで もう少し心に響くものがほしい。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)