
K.U.N
月刊「根本宗子」
BAR 夢(東京都)
2015/12/29 (火) ~ 2015/12/30 (水)公演終了
満足度★★★★★
ペラペラな重さを表現する作り手の力量
公演の大楽を。実は大楽にイベントがついていることを知らずに予約した罰あたりなのですが、トークを聴くことができたのもよかったです。
まあ、見方によっては非生産的で軽い世界でもあるのですが、キャラクターたちにとっては人生を賭するほどに重大なことであることが、舞台からガッツリと伝わってくる。そこには、作り手と彼女とともに世界を紡ぐことに長けてきた役者達ならではの個性や底力を感じました。
こういう軽重のギャップというかペラペラな重さが牽引するビビッドさはこの作り手しか描きえないものだと思う。
大きなハコでの公演などをみるまでもなく、、このベクトルは作り手の作劇の引出しの一つに過ぎないことは十分に理解しているそのうえで、作り手のこの語り口の先におとずれる世界をぜひに観たいとも思いました。

ただいま
劇団こふく劇場
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/12/19 (土) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
様々な表現のこなれた使い方
様々な表現がさりげなく使われて、でも気取ることなく、登場人物の日常が描かれていくことがとても興味深かった。
その日常がとてもよくこなれていて、だからこそ、人生の非日常が大上段に振りかぶることなく、その歩みの一歩として訪れるような感触もあって。
やんわりと深くとりこまれてしまいました。

大逆走
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/10/09 (金) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
これまでの
これまでの赤堀作品とは違う気がした。もっと緻密に編み込まれたドラマを描けるはず。演出は能舞台に寄せているのだろう。あの枠 がそれを表し、霊が語っているのだから。

十一ぴきのネコ
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2015/10/01 (木) ~ 2015/10/17 (土)公演終了
満足度★★★★★
野良
野良ネコたちの冒険と良い国の建国。仲間とコトを成す素晴らしさを伝える。しかし、立場や財が思いやりの心を蝕み、強欲を生み出し、陰謀が蔓延る。さぁ、我々はこの時代をどう生きれば良いのか。大人が子供たちの未来に希望を示さねば。岐路に立っていると自覚せねば。ヤンチャなおっちゃんたちが全身で若さを発散させている。開演直前に、客席にいた猫のホテルの佐藤真弓さんに絡む(驚く)中村まことさんが可笑しかった。「力を付けよう。力を合わせよう。」が、一番響いた。終演後のエレベーターで、小学生の女の子が🎵十一ぴきのネコ🎵と歌い出し、可愛くて空気が和む。むさ苦しいネコたちと一緒に紅一点の荻野清子さん。演奏者で、演技者で、観客だった。大堀さんの「何でそういうことすんの?」にリアルに吹き出してて可愛い。視線が素敵

人間とカマキリ(『キンダガートン・コップ』改め)
ナカゴー
ART THEATER 上野小劇場(東京都)
2015/10/22 (木) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
なんと
陳腐でエロバカバカしいオトナの学芸会だった。その学芸会を大真面目にやる大人が愛おしい。エマ王女の田島ゆみかさんのキラッキラの百面相とキラッキラの唇に釘付けになった。幼児もおバカも悪代官も、何でもござれだな。芸達者ぶりに呆れるほどに感服。開演の挨拶で、この人はいったい何を言っているんだ?と思ったのだが、なんとまぁ、そういうことなのかと、奇想天外な展開に呆れながらも大笑いして楽しんでしまう自分がいる。子供たちに与える未来への希望や夢は、そんな風に伝えちゃダメですよ。子供喜び過ぎ。

従軍中のウィトゲンシュタインが(略)
Théâtre des Annales
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/10/15 (木) ~ 2015/10/27 (火)公演終了
闇
場面転換ではなく演出としての闇。視覚を奪われ、聴覚が研ぎ澄まされる。言葉からの情報と、その語気から伝わる感情が、より効力を発揮する。これは戦争の舞台ではなく、人間が人間たる言葉の意味と可能性の舞台だ。あの闇の中で、あれだけのことをやってのける俳優って、やっぱスゲーなぁ。あの闇、シアタートラムの『モリー・スウィーニー』のラストに仕掛けたものと同義だな。あの時は南果歩さんが客席を手探りで練り歩いて…。それにしても、初演の時と全く違う舞台を観ている気分だった。初演の方がダークで、今回の方がポップに感じたのはなぜなのか・・を、じっくり反芻しながら思考を楽しもう。くじ引きの持つ意味や価値は興味深いなぁ。

新国立劇場演劇研修所9期生試演会「血の婚礼」
新国立劇場演劇研修所
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★★
これまでの
これまでの試演会の中で最も歌の多い公演ではなかろうか。しかもその歌がフラメンコ。あまりに日本人の血の中には無い歌だ。だから舌に乗らない。しっくりこない。なのに気持ち悪くはない。それは紛れもなく、歌の力と、歌い手のポテンシャルの高さによるものだ。民族の問題は根強い国だと理解はしていても、結婚に対する考え方に恐ろしささえ覚える。本来魅力的に映る花嫁に、こんなにも気持ちが寄り添えないことに驚いた。演じた八幡みゆきさんが好演していたからこその嫌悪感だと思う。女性の二面性に驚愕する。母親役の岡崎さつきさんは、怨念の凄みを、恵まれた上背に見事に纏っていた。最も印象的だったのは女中の竹内香織さん。誠意と愛情と時折見せる皮肉めいた振る舞いもしなやかに存在していた。小柄ながらも存在感がある。観ていて楽しい。今後の活躍を確信した。

CHAiroiPLIN 踊る戯曲3『三文オペラ』
CHAiroiPLIN
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2015/10/24 (土) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
楽しい
楽しいダンス。あの激しさで110分はヤバイ。スズキ拓朗さんが出ずっぱりって初めて観た。清水ゆりさんの呆れた顔で眺める表情がたまらなく好き。もちろんオリジナルの歌は最高。田中美甫さんは相変わらず、可笑し可愛キレイだった。冒頭の警官ダンスでヤられた。清水ゆりさんのダンスも観たかったなぁ。

地を渡る舟 ―1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち―
てがみ座
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
震えた
重厚な作品だった。世界の渦に抗いながらも飲み込まれて行く人たち。望む道を捨て、望まない道へと囚われて行く。人が羨む地位や名声であっても、自分の望みでなければ地獄だ。ましてそれを妻や家族が望んでいるならなおさら。俵木さんが哀愁たっぷりに好演された。その時々の時代で、欲望は常に渦巻いている。金、名誉、出世を…それが戦争へ。そんなものはしたくないと思っているのに 、ある者は兵士として、ある者は国家権力の中枢として「戦争の真ん中へ」意志に反して飲み込まれる。「僕が恐れる」と言う優しさが時代との軋みを生む。自由とは何だったのだろうか。妻という肩書きを捨てても、財閥令嬢という肩書きは捨てられない妻。「この生き方しか知りません。」という台詞に『細雪』で仙波の大店のプライドを捨てられない鶴子を思い出した。父と夫の狭間で苦しんだ後、二人に「いつか」は来たのだろうか。最も涙腺が崩壊したのは、川面千晶さん演じるかつらの健気さ。出生地差別により、愛しい人の戸籍を汚せないと考える姿が、底抜けの明るさ故に切なさを増す。「帰ってくんなアホー!」と夫を解放して義母と生きる、福田温子さんが演じた宮本常一の妻も、その愛の深さは同じだ。開戦に向かって突き進む日本を「列島が発酵する」と言わしめた長田育恵さんに脱帽。あの発酵は発光にも思えた。「日本人が死を恐れないのは、大切な人のところへ帰れると思うからだ」には目から鱗が落ちた気分だった。とにかく、俳優陣が素晴らしい。みんなそこに確かに生きていた。西山水木さんと今泉舞さんの女中二人、農夫の中村シユンさんが見事。ラストの混沌とした現代の中で天を仰ぐあの男の目には、希望が映っているだろうか。わたしが手にしている自由について、見つめ直そうと思う。思っていることを正直に言ったら喧嘩になることもある。ましてや「あんたが嫌い」でその理由をあけすけにぶつけたら尚更だ。なのに常一に向けた女中の言葉は、バッサリ切られグサリと刺さっているのに、何故か温かい。聞きながら不思議な気分だった。ある種のトリップだった。かつてダイナマイトがそうであったように、学問が幸福な未来にではなく、学者や研究者の意図に反して誰かの欲望に利用されようとするときの恐怖と焦燥に息苦しくなった。まるで津波のように押し寄せてくる悪意の言葉を耳にする渋沢の苦悶の表情が痛々しかった。戦争を感じた。

海の五線譜
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
新しい血の力
作り手の紡ぐ時間の透明感は今回も健在で、それゆえに浮かび上がる心の揺らぎや因果の係りのようなものにも強く惹き込まれました。
その一方で客演の役者が新たな血を流し込んだような印象も残る舞台でした

楡の木陰の欲望 ~E.オニール「楡の木陰の欲望」より~
F³
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/10/28 (水) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
今作も
今作も船岩祐太さんらしい美しい演出だった。特に照明。全体的な暗さ、扉の向こうの眩しさ、どれも船岩さんらしいライティングだった。そして特筆すべきは、テーブルの隙間から俳優に当たるキャッチライト。横目で睨むエビンの両目、野望を潜ませるアビーの左目。見事に捉えた。

GS近松商店
新歌舞伎座
大阪新歌舞伎座(大阪府)
2015/09/27 (日) ~ 2015/10/14 (水)公演終了
満足度★★★★
油地獄だからガソリンスタンドなのね・・・
ブラックコメディですやね
じっとりとしたどん詰まりの閉塞感が、
軽トラまで走り回る広い舞台で表現されてました。
3時間越えの長丁場舞台でしたが眠気は出なかったなぁと感想
(動画見たですよ)

ごはんと宇宙
ごはん部
駅前劇場(東京都)
2015/08/15 (土) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
満足度★★★
お腹空かせて行くとちょっと辛いかも
ブラジルのブラジリィー・アン・山田さん、MCRの櫻井智也さん、風琴工房の詩森ろばさんが脚本提供してると聞き、迷うことなく観劇を決めた謎のユニットごはん部。
期待に違わずとても面白かったです。
なんと、2日間4公演しかないというレアさ!
誰がどのパートを書いたのか当パンを見ずに観劇したのですが、
やっぱりすぐに分かりました。個性違いすぎますものね(笑)
4編の作品(ゲスト作家3人+ごはん部部長、保坂萌さん)を幕間劇で繋いだ約140分。全く長さは感じませんでした。

わかれ道のリテラシー
9-States
小劇場B1(東京都)
2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

時をかける少女
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2015/07/28 (火) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★
夏休みにピッタリな作品
予習で83年の映画を観てからの観劇でしたが、
これは原作ものというよりは原案と言えるのでは?続編的な感じ。
それでも細かい設定は、「あっ、これは!」的に映画観ておいて良かった。
年齢的には昭和な感じの和子さんに感情移入。
坂口さん、知世ちゃんのおっとり加減がちゃんと出てた。
脇は安定のキャラメルボックス的キャラ満載。安心ホッコリ。

彼らの敵
ミナモザ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/07/25 (土) ~ 2015/08/04 (火)公演終了
満足度★★★
安定の瀬戸山クオリティ
瀬戸山さんの作品はいつも観客に預けるところが大きい。
その大きい物を渡されたわたしは大概は途方に暮れるのです。
そして、今回も安定の瀬戸山クオリティでした。
元になった出来事は、そんな事あったっけくらいの記憶しかありません。
ただ、作品中に描かれた出来事は予想はしていてもやはり衝撃的でした。
ネットが普及する前は広く情報を集めるのは中々手間で、
大きな媒体を盲目的に信じていたように思います。
目の前に差し出されたものだけを信じていれば楽だけど、
それが信用できるかどうかは別問題だということ。
それを自分の中だけで納めるのではなく、批判や中傷を安易にできる環境も怖いなと思いました。
真実ではなく何を信じたいのかが重要なファクターになりつつあるんだなと。
個人的な事情で若干集中を欠いた観劇になってしまいましたが、
俳優陣は素晴らしい熱演でした。
ただし、劇場の座席の段差が少なく、
前の人の頭で座った場面が非常に観辛かったです。
パキスタン兵士とのエピソードが秀逸でしたが、
全体のどのくらいがフィクションなのか気になります。

外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/07/31 (金) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
青年座初観劇
今回、贔屓にさせてもらっているパラドックス定数の野木萌葱主宰が脚本提供という事で初観劇です。
青年座の役者さんのクオリティがすごい。
小劇場の若い役者さんでは出ない重厚さでした。
野木さんのイメージはどこまでいかされたのだろうか。
老舗劇団の厚みを感じた公演でした。
重厚な会話劇。瞬きも忘れるくらいの緊迫した空気感の中、あっという間の2時間35分。
青年座劇場は天井が高く気持ちの良い観やすい劇場でした。
パラドックスファンとしては、野木さんのキャスティング、演出でも観たいところです。

舞台版うしおととら 第42弾第45章「雨に現れ、雨に消え」
シアターOM
シアターOM(大阪府)
2015/12/17 (木) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
怒濤の3時間!いいですね!いいですね!…
いいですね!いいですね!いいですね!いいですね!…
怒濤の3時間!
一つのエピソードに、次のエピソードが重なりながら、怒濤の勢いで話が展開していきます!
超面白いです!
アニメも必見!
マンガとアニメと劇場、3度美味しい!

旅人食堂
少年社中
劇場MOMO(東京都)
2015/07/22 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★
ちっちゃい劇場で中身がギュギュッと
RPGに出てくるような食堂が舞台のワンシチュエーションの会話劇でした。
この設定って衣装が素敵な少年社中にはうってつけですね。
最近は大きな規模の公演が多い人気劇団ですが、
今回は小さな劇場での公演。ファンにとっては至近距離で観劇できるチャンス!
と濃密な作品を期待していたのですが、薄味さっぱりめなのがちょっぴり物足りませんでした。

リーディング公演『乱暴と待機』
ナッポス・ユナイテッド
赤坂RED/THEATER(東京都)
2015/07/10 (金) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★
初、本谷有希子
本谷作品のイメージ通りにドロドロな設定。
もうちょっと若かったら嵌っていたかもと思いつつ今のわたしには重たすぎる内容でした。
タイトルも意味が分からなかった・・・。
歪な関係ほど純粋に見えてしまうのか、ただの共依存なのか。
ざわざわとした感覚が残る作品でした。