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なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

劇団東京イボンヌ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2016/06/07 (火) ~ 2016/06/10 (金)公演終了

満足度★★★★★

テーマ性が強く感じられる
劇団東京イボンヌは、「クラコメ!」という新しい演劇の形を掲げる。誰もがクラシック音楽を楽しめるよう創られた新しいジャンルである。そういえば、小中学校の音楽教室は、楽聖たちの肖像画が飾られ少し堅苦しかった。そして教養として教えられる知識、沈黙して鑑賞する名曲は正直心に響かなかった。その意味でこの「クラコメ!」...本公演は面白かった。と同時に強いテーマ性を感じた。緩い笑いに包んだ鋭い問いかけは、今までの公演とは少し違うようだ。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

舞台は、この劇団らしくオーケストラはピットではなく舞台上に配置している。そして今回はマイク集音なしで、まさしく楽器の生演奏であった。それだけに機器に頼らず楽器の特徴がしっかり聴き取れる。また曲選定であるが、今までの公演は、物語の情景・状況イメージに合わせていたようであったが、本作では、音楽・曲(交響曲第9番_新世界)誕生までのエピソードに則した選曲のようである。それだけにストーリーと選曲が合致し、その心象形成は深く強く感じた。

ドヴォルザーク(なだぎ武サン)は1892年9月にニューヨークに到着したところから物語が始まる。ニューヨーク・ナショナル音楽院のサーバー夫人(伊達裕子サン)に高給で招かれ渡米し、その間に作曲した交響曲第9番ホ短調<新世界>作曲のエピソードを中心に物語は進む。この当時のアメリカは人種差別が激しく、黒人への蔑視は相当あったようだ。その黒人以上に迫害されていたのが原住民インディアンである。舞台ではその迫害を手引きするのが、英国人の父とインディアンの母の混血児サラ(山田菜々サン)であり、その心中が複雑に描かれる。アメリカ...新しい国ゆえに文化がないと言われ、先住民の制圧を通して文化を葬り新しい文明を築くような光景が悲惨でならない。

物語の底流には人種差別、その作曲姿勢はインディアンの音楽と母国チェコへの郷愁が結びついて出来ている。その演出は、舞台上手上方から半円形の太陽を模したオブジェが...。アメリカの大自然の壮観に感動させているが、一方故郷ボヘミヤへの想いが募るようでもあった。

その観(魅)せる、いや聴かせる演奏は、例えばドヴォルザークが客席に向きながら、両腕を広げ上下に振っているが、それに合わせオーケストラが演奏しており、まるで なだぎ武サンが指揮をしているようだ。普通の演奏会では指揮者・演奏者が向き合い呼吸を合わせるのだが、劇中の役者が指揮者として溶け込ませており演出の妙。
この舞台は衆寡(しゅうか)のメリハリがあり、群集として観せる(例えば郡舞、殺戮シーンなど)と2人の会話(ドヴォルザークとサラ)など、場面演出も印象的である。

ラスト...交響曲第9番第2楽章...日本では「家路」という歌で親しまれている旋律が少し乱れたのが残念であった。

次回公演も楽しみにしております。
水棲のアリア s.v.

水棲のアリア s.v.

salty rock

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/06 (月)公演終了

満足度★★★★

無題1838(16-128)
19:00の回(曇)

18:31受付、開場。白い衣装の6人が舞台に、背を向けている。「HELP!」の構図に似ている...と思う。

此処は、以前、「みどり人」の公演を観に来たとき、隣に立夏さんがいらして次の公演は「オセロ」です...とおっしゃるのでAPOCへ「獣の仕業」2公演目を観に行きました。

そういうきっかけがなければシェイクスピア作品を気に留めることはなかったはず。という思い出があるこの会場、土日のどこかで、という予定が整わず最終日に。

個人的には、ますます特異(個性的、前衛的、観念的)なフォーマットによる上演(その分、一般的な芝居からはずっと離れてゆく)が好みになっているので、本公演は自分のインスピレーションとの攻防のようなドライブ感があり、よい刺激だったようです。

先日、テルプシコールでみた舞踏(ソロ)のダンサーときえるさんとはどこか似ています。ダンサーは何も語らず、動き/動かず、身体だけが空気を揺らしていました。

本作、「私」のセリフのすべてが他者に共感、理解できなくていいのだろう、観ているシーンの小さな断片をいくつか握り締め、最後に手に残ったものを持ち帰る、そういうものではないかと思うのでした。

現すことの地平が拡がるようなものを観たい…

追記:アンサンブル・プラネタ「愛のロマンス」収録の「カノン(アカペラ)」は秀逸です。

レドモン

レドモン

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★

現代のSF
地球外知的生命体<レドモン>と地球人とその混血<マジリ>の物語に、人種差別やヘイト問題や難民問題が透けてくる……現代的なテーマ性ある壮大なSFを演劇で、という意欲を感じる舞台でした。とはいえ、肝になっている家族のドラマが薄く感じられ「これが散りじりになっていく家族だろうか?」という印象のまま終わってしまいました。座った席が寒く、途中で一番後ろに移動したのですが(スミマセン)、上から全体を見渡したほうが、地下まで使った舞台美術がよく見え、ロープで境界線をあらわしていく演出が面白く感じました。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★

ライブ感覚
音響と照明を駆使した演出がライブのようで、パントマイムで「SQUARE AREA(四角い空間)」が様々な意味合いを帯びていく、その趣向に演劇的な楽しさが詰まっていて、シンプルに楽しさや驚きを感じられる作品でした。観客の想像力を信じてテンポよく展開する物語も周到。ゲームやアニメに親しむ世代にもドンピシャなのではないかと思います。

この声

この声

オイスターズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/02/19 (金) ~ 2016/02/23 (火)公演終了

満足度★★★

不条理劇の可能性
美術教師と無邪気な少女たちのやりとりが、不気味になっていく、会話だけで展開する実にシンプルな芝居なのに、こちらの想像力を刺激しつつ、先を読ませない。不条理劇を書き続けている作家・平塚直隆の才能にはずっと注目して見続けていますし、今回もその持ち味をたっぷりと楽しみました。ただこれまでの作品群と比べて今回は、劇団の中心俳優ではなく若手を起用したキャスト構成もあり、小品の印象が残りました。生徒を演じる女優たちの演技が一本調子だったのも気になります。
 ますます複雑になる現代社会ですが、不条理劇こそが、この現状を鮮やかにオソロシク、リアルに描けると思っています。平塚さん、ならびにオイスターズの皆さん、期待しています。

キダリダ→

キダリダ→

wonder×works

俳優座劇場(東京都)

2016/06/02 (木) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

内容と凄みが、より重厚に
6月3日土曜日、2回公演の夜の部。会場は9割近い入りだったか。
5年前に新宿で見た劇の再演。(実際は再再演とか)
とはいえ当時の作品からは大幅に手が入っていた。
「在日問題」という、ともすればタブー視されがちなテーマがモチーフ。しかし現実を見据え、矛盾を抱えながら前を向いて生きる登場人物の姿。その基本線にぶれはなかった。
キダリタとは「待つ」の意味とか。
今回はその「待つ」が直接的にも、そして間接的にも、演技の間も含めて、何度も主題として繰り返されている…その分、5年前より内容も凄みも大幅に厚みを増しているように感じた。
面白かった、だけではない、深みのある内容。
鋭い刃を突きつけられ、声が出せなくなる、そういう感覚を味わった。

なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

劇団東京イボンヌ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2016/06/07 (火) ~ 2016/06/10 (金)公演終了

満足度★★★★

アメリカの黒歴史
この音楽劇シリーズ、ちょっとばかりシリアスの入ったコメディとして楽しんできましたが、今回はシリアス度が増して、かなり社会啓蒙的内容になってました。ドヴォルザークがアメリカに出稼ぎに行ってた頃は、ネイティブアメリカンに対してこんな惨いことをやっていたんですね。改めてアメリカの黒歴史を考えてしまいました。

なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」

劇団東京イボンヌ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2016/06/07 (火) ~ 2016/06/10 (金)公演終了

満足度★★★★★

WASP VS ネイティブ

 ローンレンジャーというTV番組があった。無論アメリカ製である。ローンレンジャーはWASPで連れにトントという名のネイティブアメリカンが出てくるのだがトントとはスペイン語で馬鹿・間抜けという意味である。(追記後送)

ネタバレBOX

ところで日本でも名を知られるNYのメトロポリタン美術館には、アメリカ開拓史(ネイティブアメリカンに対するジェノサイド史というのが正しかろうが)に纏わる展示がある。これを具に見るとアメリカに植民した所謂ピルグリムファーザーズが如何にレベルの低い文化しか持っていなかったかが本当に良く分かる。それに比してネイティブアメリカンの文化のレベルの際立つ高さが目を惹くのだ。実際、現在の日本にもうようよ居る、史実を述べられるとその史実をプロパガンダと名付けて排斥したがる愚か者たちと同様、反知性主義に毒され洗脳されていることにすら気付けないアホそのものであるアメリカの愚衆共が盲信している、頭の皮を剥ぐからインディアンは残虐だというレッテル貼りなどはとんでもない事実誤認である。
どりょく

どりょく

かわいいコンビニ店員 飯田さん

北池袋 新生館シアター(東京都)

2016/06/02 (木) ~ 2016/06/12 (日)公演終了

満足度★★★

新作
タイトルに反して、というか予想通りでしたが、“報われない”人たちの物語。ちょっと予定調和すぎるのかなぁ。客入れ時のラジオから、いまひとつはまらなかったのよね、今回。旗揚げ公演は好きだったんですけど…。

『the game』

『the game』

崖淵五次元

天満天六・音太小屋(大阪府)

2016/05/28 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

まさに『the game』♪張り巡らされた伏線、いや、お見事♪
「ギリゴジらしくないギリゴジ作品をしてみたいと思い考えた脚本」との事。
今回、とってもミステリーで、張り巡らされた伏線が、謎を呼び、そして最後、見事に回収され、思わぬ結末が…。
い~や、本当に、気持ちがよい伏線回収♪
素晴らしかったです!

ネタバレBOX

大財閥の御曹司・亨と婚約した詩織だが…。
詩織が気に入らない、亨の兄・裕と継母・麗子は、詩織を陥れ、破談に!
そのとばっちりを受け、濡れ衣で服役する事になった画家の桐原。

破談になり、大財閥から疎遠となった詩織の実家の会社は火の車になるが、必死で会社をもり立てる詩織!
兄や継母の言われるがまま、詩織と別れた亨は、別の女性と結婚するが、詩織を忘れられず、やけを起こし、女性関係がだらしなくなる。
そこで、桐原の恋人・成美は桐原の恨みを晴らすため、亨に近づくが…。
そして、亨の友人・記者の藪内は桐原のえん罪について取材を進める。

そして、あの事件から2年、桐原が脱獄し、御曹司・亨、兄・裕、継母・麗子、元婚約者・詩織、友人・藪内が拉致され、恋人・成美が監視する中、生死を賭けた(飲まされた毒薬の解毒薬を賭けた)「game」が始まる!

「game」の結末は…、「game」の後に迎えるエンディングとは…、迎えたエンディングに隠された最大の謎とは…、い~や、しびれます!
ケムリ少年、挿し絵の怪人【全公演終了いたしました!誠にありがとうございました!】

ケムリ少年、挿し絵の怪人【全公演終了いたしました!誠にありがとうございました!】

くちびるの会

吉祥寺シアター(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/07 (火)公演終了

満足度★★★

ケムリ少年
HPにあったような何も無い舞台ではなくてちょっと安心して見ていましたが、お話はこんがらがってよく分からないままに終わってしまいました。シザーハンズの仕立屋も冷蔵庫で巨大マンモスを飼っている氷屋も出て来なくて残念。コロさんの小林少年はかわいかったし、ケムリさんの動きがとても素敵でした。

平成28年6月歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」

平成28年6月歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」

国立劇場

国立劇場 大劇場(東京都)

2016/06/02 (木) ~ 2016/06/24 (金)公演終了

中村志のぶのおなぎ
魚屋宗五郎のおはまを中村梅枝がやるというので、どうしても観たくて…。以前「暗闇の丑松」のお米を拝見。とても驚いた。上手い!芝居がとても上手いのです。まだ若いのに、長谷川伸作の世話物を演じられるなんて…。今回は、魚屋の女房おはま。若くして中々やれるお役ではありません。自然に演じておりました。なにかと注目して観ておりますが…これからが、楽しみです。
そして驚いたのは、中村志のぶです。彼は国立養成所の卒業生。梨園ではありません。おなぎと言う大役でありながら、チラシに名前も出ていません。以前、野村萬斎の芝居「Hamuiet」オフィーリアで出演。その可憐で美しく、確かな演技力には眼をみはりました。それ以降、歌舞伎を観る度、注目しておりますが…。お女中役で一言三事の台詞。今回、懸命に演じている謙虚な姿勢に心打たれました。

厄病神とジレンマ

厄病神とジレンマ

ジョナサンズ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

旗揚げ公演なので・・・
前半のテンポの悪さと全体的な間が気になって 消化不良気味。

ネタバレBOX

冒頭に出てくるカップル。女性はゾッコンのようだが相手の男性は冷めている。その為の間のズラし方なのかもしれないが 個人的にはそうとも取れず気になった。後半は核が明確になるにつれてその違和感がやっと気にならなくなったがそれまでが長く感じた。 

そして自らを厄病神と称する矢澤、それを演じるむらさきしゅう氏の演技は逸脱であったので 彼の出番をもっと増やして矢澤を中心とする探偵事務所の物語として見たかったというのが個人的な見解です。
ケムリ少年、挿し絵の怪人【全公演終了いたしました!誠にありがとうございました!】

ケムリ少年、挿し絵の怪人【全公演終了いたしました!誠にありがとうございました!】

くちびるの会

吉祥寺シアター(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/07 (火)公演終了

満足度★★

演劇らしい演劇
この作品が好みかと聞かれたら そうでもないのだけれど、演劇らしいファンタジー的な要素を逆手に取って それを笑いに見せてきたところは面白かった。
あとはケムリ役の傅川さんの動きがすばらしい。

「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」

「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」

あやめ十八番

サンモールスタジオ(東京都)

2016/05/27 (金) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

「和」とロックンロールと、せかちゅー
花組芝居ってこういう感じだろうな・・想像していた姿がお目見えしたので、そうか、とすぐ納得した。大衆演劇の佇まいに通じるものあり。内面演技よりは所作・抑揚で意味を伝える能・歌舞伎のエッセンスが、冒頭などに溢れており、一方生演奏の存在感でもって50~60年代の懐メロ(ロカビリーやR&R)が割と大音量で流れ、演奏者は「演奏者」として舞台に登場して何かやってる、という芝居に見せている。素と役の切り替えなど一連の「形」として作られた序幕に、この舞台が「自由にやらせてもらう」空間である事を客に納得させる事に成功する。
以降は、「物語」の世界が、最良の形でオチを迎えるために書き手が凝らした工夫(多くを説明せず周りから囲い込む)に沿って展開される。この「物語」のディテイルに突っ込めば色々あるが、つづめてこの物語は「君が好きだ」の物語。好きになってからのあれこれはまァ見なくてよい。純粋に抽出され得る愛というものが存在する事の実証がドラマの叙述の目的となっている、そう見た。

ネタバレBOX

好みの問題だが、音楽は私の好みでなく、ただ二度使われることがなければ、許容できたと思う。テーマ曲的に選ばれた二曲ほどが二度流れ、少々うんざりした。二人が結ばれる、という意味で「お嫁においで」の安易な当て曲が、二回はないだろうという。。
正しい時間

正しい時間

遊劇社ねこ印工務店

小劇場 楽園(東京都)

2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

面白かったです
相関図があって、分かりやすく面白かったです。発明家夫婦のとぼけた感じ、好きです。
でも最初に思ったのは、定刻には始まらないんだなぁ~、でした。

熱海五郎一座 ヒミツの仲居と曲者たち

熱海五郎一座 ヒミツの仲居と曲者たち

松竹

新橋演舞場(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/27 (月)公演終了

満足度★★★★

いいねえ
熱海五郎一座は毎回見ているが、毎度笑かしてくれる。今作もメンバーの絡み合いも、予想にたがわず、松下由樹もメンバーのごとく溶け込んでいた。
時事のネタも随所にいれて笑いを取っている。
まさに大爆笑エンターテインメント作品であった。

カタロゴス-「洗」についての短編集-

カタロゴス-「洗」についての短編集-

劇団5454

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/05/25 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

前作の
「数」についての短編集とは違って、どういう訳かひとつの立派な物語。(勿論、前作も素敵な仕上がりだけど。)5つの背景がオムニバスとして物語を構成している。

九(板橋康平)が愛する、望まぬ過去を消してくれる洗濯機を軸に展開していくのだが、ストレートに笑えるのは一美(榊木並)、千尋(佐瀬恭代)、二葉(森島縁)の3人の会話。一美の迷走行動に、千尋の自虐的返し、二葉のシャープな突っ込み。
見事な連携だった。
またダークな雰囲気の八木(高野アツシオ)も、ゲスな七海(関幸治)も味わい深かった。
百合(染谷敬子)のセレブ感もいい感じ。
それにしても、この脚本を書いた春陽漁介という人は才能ある人だと思う。
次回作も期待している。

内容に関係ないかもしれないけど、あえて「四」は外しているの?

ネタバレBOX

人によっては、アフタートークには参加しない主義という方がいるけど、観客からすると見終わった後に、演出の意図や制作秘話、あるいはスタッフのネタを聴けるのは凄く嬉しいし、ありがたいこと。今以上に、その劇団や役者や制作に関わる全ての人が好きになるはず。(内容がつまらなければ、あまり意味は無いかもしれない…)
例えば、出演者の中で五樹と二葉だけ手が汚れていないという理由も解説を入れてもらうと、より理解が深まるし、演出に感心するもの。
まぁ出演した後に、また板の上に出るのは役者にとってはやっぱり負担になるでしょうね。
5454はもっと大きな舞台やホールで、沢山の人に観て欲しい気持ちもあるけど、小劇場のこの距離感はあまり壊してほしくないって矛盾も感じさせてくれた舞台でした。
渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 「四谷怪談」

渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 「四谷怪談」

松竹/Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/06/06 (月) ~ 2016/06/29 (水)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

串田和美の【東海道四谷怪談】を観劇。

故・中村勘三郎から20年来続いているコクーン歌舞伎である。
今作は通し上演を前提に作られた北番である。

誰もが知っている東海道四谷怪談は、お岩と伊右衛問との呪い?呪われた?という話に終始しがちだが、
本来は、江戸城・松の廊下で、浅野内匠頭(塩治判官)が吉良上野介(高師直)に起こした刃傷事件が発端になっていて、
その背景を知らずに、今作を観てしまうと面白さが半減してしまうというカラクリがある。

当時は今作と仮名手本忠心蔵を二日間かけて上演して、
一日目~忠臣蔵(前半)~四谷怪談(前半)
二日目~忠臣蔵(後半)~四谷怪談(後半)~忠臣蔵(最後)
という形態で上演していたらしく、そこに大いなる意味があり、表の仮名手本忠臣蔵、
裏の東海道四谷怪談という事がテーマになっており、表と裏の意味を知ってこそ、面白さが更に増していくのである。
そして刃傷事件でお家断絶になってしまった浅野内匠頭(塩治判官)が吉良上野介(高師直)を討ち入る日までの約二年間の物語である。

今作を観て始めて知ったお岩と伊右衛問の関係、お岩は伊右衛問に殺されたんではなく、偶然死んでしまったという事実、
伊右衛問は根っからの悪い奴ではなく、元々はお岩を愛していたという事実、
そして直助というもう一人の主人公で出てくる事によって見えてくる吉良上野介(高師直)への討ち入り計画、
直助が惚れた女はお岩の妹?などなど驚愕の事実が満載の作品である。
まさしく今作こそが鶴屋南北の戯曲の面白さを垣間見れる作品ではあるが、
そこに串田和美という演出家が手を加える事によって、更に奥深く迷宮な世界が見えてくるのである。
そしてこの因果応報の因を探る事が今作の最高の面白さであろう。

大傑作である。

改訂の巻「秘密の花園」

改訂の巻「秘密の花園」

劇団唐組

雑司ヶ谷鬼子母神(東京都)

2016/05/28 (土) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

秘密の花園
説明にある通りにお話は進んで行ってるはずなのに、いつの間にかなんだか分からなくなってました。こんなアパートはそのうち無くなっても、こんな二人はどこかにいるんでしょうか。いろんな水しぶき(?)が飛んで来て、刺激的な舞台はあのラストシーンのためにはソワレ公演しかないんでしょうね。鬼子母神の境内に吹く風と緑の匂い。ほかの場所なら、また違う感じになるのかな。

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