なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」 公演情報 劇団東京イボンヌ「なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    テーマ性が強く感じられる
    劇団東京イボンヌは、「クラコメ!」という新しい演劇の形を掲げる。誰もがクラシック音楽を楽しめるよう創られた新しいジャンルである。そういえば、小中学校の音楽教室は、楽聖たちの肖像画が飾られ少し堅苦しかった。そして教養として教えられる知識、沈黙して鑑賞する名曲は正直心に響かなかった。その意味でこの「クラコメ!」...本公演は面白かった。と同時に強いテーマ性を感じた。緩い笑いに包んだ鋭い問いかけは、今までの公演とは少し違うようだ。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台は、この劇団らしくオーケストラはピットではなく舞台上に配置している。そして今回はマイク集音なしで、まさしく楽器の生演奏であった。それだけに機器に頼らず楽器の特徴がしっかり聴き取れる。また曲選定であるが、今までの公演は、物語の情景・状況イメージに合わせていたようであったが、本作では、音楽・曲(交響曲第9番_新世界)誕生までのエピソードに則した選曲のようである。それだけにストーリーと選曲が合致し、その心象形成は深く強く感じた。

    ドヴォルザーク(なだぎ武サン)は1892年9月にニューヨークに到着したところから物語が始まる。ニューヨーク・ナショナル音楽院のサーバー夫人(伊達裕子サン)に高給で招かれ渡米し、その間に作曲した交響曲第9番ホ短調<新世界>作曲のエピソードを中心に物語は進む。この当時のアメリカは人種差別が激しく、黒人への蔑視は相当あったようだ。その黒人以上に迫害されていたのが原住民インディアンである。舞台ではその迫害を手引きするのが、英国人の父とインディアンの母の混血児サラ(山田菜々サン)であり、その心中が複雑に描かれる。アメリカ...新しい国ゆえに文化がないと言われ、先住民の制圧を通して文化を葬り新しい文明を築くような光景が悲惨でならない。

    物語の底流には人種差別、その作曲姿勢はインディアンの音楽と母国チェコへの郷愁が結びついて出来ている。その演出は、舞台上手上方から半円形の太陽を模したオブジェが...。アメリカの大自然の壮観に感動させているが、一方故郷ボヘミヤへの想いが募るようでもあった。

    その観(魅)せる、いや聴かせる演奏は、例えばドヴォルザークが客席に向きながら、両腕を広げ上下に振っているが、それに合わせオーケストラが演奏しており、まるで なだぎ武サンが指揮をしているようだ。普通の演奏会では指揮者・演奏者が向き合い呼吸を合わせるのだが、劇中の役者が指揮者として溶け込ませており演出の妙。
    この舞台は衆寡(しゅうか)のメリハリがあり、群集として観せる(例えば郡舞、殺戮シーンなど)と2人の会話(ドヴォルザークとサラ)など、場面演出も印象的である。

    ラスト...交響曲第9番第2楽章...日本では「家路」という歌で親しまれている旋律が少し乱れたのが残念であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/06/08 11:46

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