最新の観てきた!クチコミ一覧

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『もしドラ焼きよりケバブが好きになったら』

『もしドラ焼きよりケバブが好きになったら』

劇団コラソン

I LOVE TOKYO(東京都)

2016/06/13 (月) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★

ドラ焼きと言えば!
70分という短めの時間ながら、何度も笑える濃い公演だったと思います♪
少し前の時事ネタや、某マンガを絡めたネタになっているので、知っている人はかなりウケると思います!
内容は文句ないですが、狭い中、持ちにくいドリンクがあるのはちょっと不便さを感じました(^-^;

あの日々の話

あの日々の話

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2016/07/07 (木) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★

聖戦
面白い。95分。

ネタバレBOX

石川(前原瑞樹)…1年。高校で童貞卒業済。
斉藤(野田慈伸)…次期副会長。22歳童貞。文のことが好き。
浅井(木下崇祥)…DJ研究会と兼務。コンドーム持参。
細川(山科圭太)…OB。前会長。関西弁。洋子は彼女。
小川(近藤強)…社会人学生。離婚暦有。
麻央(菊池真琴)…1年。バッグにコンドームを忍ばせる。
沙織(高田郁恵)…次期副会長。洋子と文の仲立ちに四苦八苦する。
文(長井短)…1年。麻央の親友。トンがってるファッション。
洋子(森岡望)…OG。麻央が細川にベタベタしていることが気に入らない。
店員(玉田真也)…カラオケ屋店員。高卒。

とあるサークルの選挙後の飲み。男だけでの悪ノリ、バカ騒ぎなシーンと、女だけのジットリしたシーンの後、男が女のバッグを漁っていたことが発覚し、テンションだだ下がりになるという話。

洋子の文とのバトルシーンの沙織が、いじらしくて面白い。
歳童貞の斉藤は、メリハリのあるキャラクター(と演技)でいいアクセントだった。その斉藤が童貞とわかった際の石川のやや上から目線もいい。

バカな感じと微妙な人間模様を堪能できる、単純にいい作品だった。
第三回小さいSF演劇祭in阿佐ヶ谷アルシェ

第三回小さいSF演劇祭in阿佐ヶ谷アルシェ

札幌ハムプロジェクト

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/07/13 (水) ~ 2016/07/17 (日)公演終了

満足度★★★★

第1回から第2回、そして第3回と回数を重ねながら良くなってきた『小さいSF演劇祭』
観客が10人程度で、しかもほとんどが身内ではないかと思われた第1回から比べると、観客の数も増え、なによりも個々の作品の内容が確実にアップしている。

G 劇団回転磁石『ことづて』・D いぶくろ『宇宙人、争奪』・B モーレツカンパニー『トアル会議』を観た。

ネタバレBOX

前回のあまりにも酷すぎる、冒頭やセットチェンジに流す団体紹介のVTRの出来も良くなり、毎回のセットチェンジに同じVTRを流すという拷問も解消された。
さらに全員にスタンプカードを渡すことで、全作品を観て、投票することに促す仕掛けも出来た。
もちろん問題がないわけではないが、こうなると次回が楽しみになってくる。


G 劇団回転磁石『ことづて』★★★★
とても熱い。熱いのに鬱陶しくはならないのは、3人のバランスが良いことと、演出できちんと演技などがコントロールされているからだろう。
熱さがやや一本調子ではあるが、短い時間の作品であるのと、役者がいい感じなので引き込まれていく。
ぐいぐいスピードを増していきつつ、時間を猛スピードで突っ走って到達するラストの感じもなかなかいい。
普段の公演ではどんな感じなのか気になった。


D いぶくろ『宇宙人、争奪』★
いかにも、お芝居してますという演技。
ものすごく学芸会。
突っ込みがことごとく効いていない。
それは突っ込み役の女性が悪いのではなく、突っ込むための相手の台詞(脚本の台詞自体)が面白くないからでもある。
ある程度面白さがなければ、突っ込んでも面白くないし、突っ込むことで観客に面白さが伝わるような仕掛けが脚本になければならない。
ストーリーも面白くない。

B モーレツカンパニー『トアル会議』★★★★
非常に手慣れた感じ。とっても面白い。
登場人物たちが、きちんその役になり切っているので、とても自然に観ることができた。新人AD役の女性の初々しさと声のトーンと、他の人のトーンとの違いが良く、作品内の設定とぴったりだった。
もし、全員が配役を入れ替わっても、どの役者さんもぴったりとあてはまることができるのではないかと思わせる上手さを、役者さんたちに感じた。
ただし、ラストが弱い。ラストに爆笑したかった。多くの観客はそう思ったに違いない。
舞台上に「人」が出てこないから爆笑にはなりにくい。出ないのならば、もっと短く爆発的な何かがほしい。
この劇団は、本公演も観たいと思った。
母と惑星について、および自転する女たちの記録

母と惑星について、および自転する女たちの記録

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2016/07/07 (木) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/07/18 (月)

7月18日海の日。うだるような暑さの中、渋谷駅前では都知事候補の鳥越氏と応援の森進一氏の登場で大混雑。渋谷パルコも閉店セールの真っ只中で大混雑。自分は渋谷ではないがパルコ常連なので、この時期、冷房の効いた店内で新作レザージャケットを試着するのが恒例。余談はそのくらいにして、実は数日前、ぴあを検索していたら座席選択で2列目が1枚残っていたので観に行く事に。斉藤由貴、田畑智子、鈴木杏、志田未来と実力派女優4名が揃ったパルコクライマックスステージ。泣けるほど感動的なストーリーでは無かったけれど、三女の志田未来を軸として展開して行く流れは時間が過ぎるのを忘れさせる素晴らしい内容でした。31日までなので、もう1回観に行きたいなと思ったりしてます。

殺人者J

殺人者J

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

breaking newsのような舞台
現代日本の社会事情が濃厚凝縮した話だった。今の日本で生活の糧をスムーズに得るのは、どこで仕事してどこで暮らすのが一番いいんだろう。硬直した思考から今回も考えまくり。

ともすれば仮想敵国が多い今の世界各国、緩やかにやってくる畏怖が植え付けられてる身の回りの時勢、その倫理感の語弊からくる衝突に遭遇しやすい昨今、それらの感覚を徹底的に打ちのめされるエンディングだった。
あの締め方、個人的には好み。

ネタバレBOX

終演後、中津留さんと劇団チョコレートケーキの作家古川さんとのアフタートークあり。
今回の戯曲は、海外で事業活躍している日本人が現地でテロ等に巻き込まれたら…(意訳)なことを書いていたそうだが、執筆中に、レストラン襲撃事件が発生し、現実とリンクするような展開が起きたため、大幅に改訂した模様。

アフタートークを聞いたから、というわけではないが、今作に限らず、今後も腹の底から「面白い!」と思えるような舞台がたくさん上演される日本の演劇界であってほしいかな。
天守物語

天守物語

劇団¥おやのすねかじり

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2016/07/15 (金) ~ 2016/07/17 (日)公演終了

満足度★★★★

難しい作品の世界観を表現していました!
泉鏡花さんの脚本の昔の難しい作品を
皆さん上手く演じて世界観を創っていたと思います!

台詞も昔の言葉だったので理解しにくい所もありましたが
役者さんもその難しい言葉を丁寧に発していたので
ストーリーも分かりやすく表現されていたと思います

姫役を男の人が演じるのも最初はちょっと違和感がありましたが
後半には気にならなくなって後半は2人の哀しい恋を魅入っていました♪
多分、最初は皆さん違和感があったと思うので
最初にちょっと「綺麗な女だと思って創造力を膨らませて観てね的に」
突っ込んで笑わせた方がすんなりと感情移入しやすかったのではないでしょうか
ダンスを交えた女優さんの殺陣も動きが新鮮で見応えありました!

SHOPPING MOLE 1&2

SHOPPING MOLE 1&2

Cooch

テアトルBONBON(東京都)

2016/07/12 (火) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★

引き込んで伝える力に脱帽です
エピソード2は、1よりもグッと医療色が強くなったお話。そこに、幽霊というオカルト要素も加わったちょっぴりダークなファンタジー&ミステリー調のお話でした。だけどサボテンと中心とした、ちょいちょい笑いを突っ込んでくるノリは前作通りの面白さです。単なる小ネタキャラかと思った「テンパーくん」が、後半の重要な場面のキーになる話の繋がりは、ビックリさせられました。
ただ、エピソード1が過去作の再演だったせいか、非常に作り込み・練り込まれた感があった一方で、2の方は途中で少し繋がりがぎこちなさげな印象もあったかな。こちらは話の展開に乗っていたので、それほど気にはなりませんでしたけど。ラスト近く、主役となる患者の主治医が思いを語るくだりは、演劇のスゴみを感じた印象的なシーンです。
いずれにせよ、シンプルではない(から面白い)ストーリーを、散漫にならずにこれほどに観客を引き込んで伝える劇団の力には、ホントに感心させられた公演でした。

SHOPPING MOLE 1&2

SHOPPING MOLE 1&2

Cooch

テアトルBONBON(東京都)

2016/07/12 (火) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

重いテーマ、だけど最後まで笑える傑作
エピソード1と2を続けて観劇。それぞれ2時間弱×2の長さを全く感じない、楽しい時間でした。
この団体は役者さんの上手さもそうですが、こちらを引き込む物語の観せ方がホント絶妙なのですが、今回も期待を裏切らない舞台で、「連休の最後にいいモノ観た」感を持って帰路につくことがききました。
エピソード1は、代理母出産や不法滞在・人身売買などをテーマにしたお話。話の根幹はとてもシリアスで、かつ、中心となる夫婦の演技がスゴく熱を感じて印象的だったため、ところどころで涙腺が緩むんですが...主人公の医師・サボテン役の道井さん怪演や他の出演者のキャラが笑わせてくれるので、とても軽快にストーリーは進んでいきました(個人的には、ヤク中の「みくりーさん」の小ネタがやたらとヒットしました)。
ラストの展開が意外で秀逸。本作コピーの「さぁ、目を開けて進め。そして、最後まで笑え。」って、こんな背景で語られるんだと、スゴくグッときた傑作です。

stroll

stroll

創作集団Alea

シアターシャイン(東京都)

2016/07/07 (木) ~ 2016/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★

よかったです
これは青春群像劇なのですね。ちょっと盛り込み過ぎたのか、ダイジェストな感じもしましたが、なかなかに唸らされました。

「マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス~舞台・『新撰組』連続殺人事件」、「ダンパチ14・学」

「マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス~舞台・『新撰組』連続殺人事件」、「ダンパチ14・学」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑い疲れた
ダンパチの初日を見て来ました。
もう全編、大爆笑でした。
さすがです。
笑い疲れました。
笑い死ぬかと思いました。
最高な奴らでした。

「マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス~舞台・『新撰組』連続殺人事件」、「ダンパチ14・学」

「マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス~舞台・『新撰組』連続殺人事件」、「ダンパチ14・学」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかった
初日、見て来ました。
この男女入れ替え劇、前作も見ているだけに、
色々と楽しめました。
エンタメ性の高い作品で、色々な見せ方をしてくれるので、
凄く面白かったです。

ヘヤノゾキ

ヘヤノゾキ

アフリカ座

TACCS1179(東京都)

2016/07/15 (金) ~ 2016/07/19 (火)公演終了

満足度★★★★

ツボった
女性だけのシェアハウスを覗き見しているような舞台でした。
劇中、國崎さん演じる女性のド変態っぷりが、
個人的にメッチャ、ツボでした。
面白かったです。

天草のマリア

天草のマリア

シアター風姿花伝(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/19 (火)公演終了

満足度★★★

熱量の魅力
エンタメ殺陣活劇、に括れると思います。島原の乱のお芝居だと思って観に行きましたが、その意味では期待と違いました。
むしろ史実に即した部分(例えばポルトガルとオランダの関係など)は説明が目立ち、ストーリーをいたずらに複雑にしていた印象です。オリジナルの、活劇が活きる脚本を上演された方がいいのでは、と思いました。
殺陣については、できる人も何人か含まれているように見えましたが、いかんせん舞台が狭そうで、そのためか刀も短く軽そうな木製で、もったいないなぁと思って観ていましたが・・・次第に気にならなくなりました。それが、役者さんをはじめ、お芝居全体から立ち昇る「熱量」でした。カロリーの消費が激しそうな気合と運動量。魅力でした。
チラシに「魂を削り」「生命力」とありましたから、ここは看板に偽り無しでした。
脚本、演出の方は本格的な作演はこれが初めてとのこと。長所をどんどん伸ばして、芝居作りをしてほしいなぁと期待を持ちました。
ただ、初公演から3500円という値段設定だったので、作品が成長したらいくらになるんだろう…と、ちょっと懸念しました。

ネタバレBOX

オリジナルの方が良さそうなのは、もう一つ理由があります。
実在の人物を扱うには、人物像が全体に薄く感じました。
これが創作上の人物(キャラクター)であったなら劇団さんの世界観として観られるのですが・・・歴史上名を遺す人物にはそれなりの人間性があったはずで、わかりやすいエンタメにするために漫画的な人物像として描いたのか・・・
いっそ「歴史”ネタ”エンタメ活劇」と宣伝されていたら、島原の乱のお芝居を観るぞ、という期待を持たず、素直に観られたと思いました。
変調・三人吉三巴白浪

変調・三人吉三巴白浪

カン劇cockpit

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2016/07/02 (土) ~ 2016/07/04 (月)公演終了

満足度★★★★

歌舞伎「三人吉三」楽日拝見!因果応報、凄く良くできた演目でした。
歌舞伎「三人吉三」全く知らなかったですが十分楽しめました。
因果応報、輪廻と言いましょうか…、歌舞伎の演目、凄く良くできた内容で、日本の古典芸能恐るべし…、日本凄い。

義理兄弟の契りの重さ、兄妹の成らざる恋路、親の代から受け継がれし因果応報。
そんな中、未来ある若いカップル・十三郎とおとせは可哀想でした。
やはり業でしょうか…。

役者さんでは、お嬢吉三・西村さんは華がありました。おとせ・吉崎さんもチャーミングでした。

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

劇団鹿殺し

サンシャイン劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ロックオペラ
ロックオペラって言っちゃってもいいんじゃないでしょうか。15周年記念のステージ。大迫力。さすが。

よくありがちな戦国の有名武将の頂上決戦ていうより、農民や農民あがりの足軽といった底辺の人間の悲哀を描いているところが鹿殺しらしい。

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

劇団鹿殺し

サンシャイン劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★

現代音楽と時代劇の融合...次代劇として期待大!
映画「7人の侍」(黒澤明監督・1954年)を思い出す。もちろん、モチーフもストーリーも関係ないが、物語の骨太さ、斬新さという点で似ているような気がする。また観せ方のイメージは絢爛豪華というよりは、地を這うような血・汗・泥という言葉が似つかわしいところも同じような。

乱世...戦国孤児が生きることに汲々とした暮らしから、いつの間にか野望に魅せられた人間へ変貌していく。その生き様をダイナミックに描く。
また、芝居としての観せ方も大胆であった。その1つが舞台セットの妙である。劇団鹿殺しは、 こまばアゴラ劇場、青山円形劇場、紀伊國屋ホールと劇場規模が大きくなってきている。
今回はサンシャイン劇場であり、どの客席からでもしっかり観えるよう工夫している。そして劇団の管楽器隊と現役ミュージシャンでバンドを編成し生演奏で聴かせる。そのため上手側に大きく演奏スペースを確保している。芝居の舞台面は斜めになっており、1階最前列や2階席からも観やすいような、いわゆる八百屋舞台の作りである。

もう1つ感心したところ...演出の格調の高さである。現世・来世を往還する姿に有名な文学作品を思わせるシーンが...
(上演時間2時間5分)

ネタバレBOX

7人の侍...乱世、貧しい農村では野武士たちの襲来に苦しんでいた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、作物を盗られれば飢え死にする。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことにする。そして7人の侍と野武士と戦うことに...。

この物語も乱世...日本史の教科書に記されたような武将の名が出てくるが、物語の主人公は孤児集団。その子供たちを預かり剣術を教えている道場。そこに今川、徳川と織田の有名な桶狭間の戦いの場面へ誘われる。説明にある、月見草のように闇に咲く名も無き侍たちとはこの孤児たちのこと。しかし時は下克上...名を馳せた武将に成りすまし...という本・贋者が入れ替わり、そのうち人格まで変わり権力の権化へ...。野望と友情の挟間に揺れる思い、抗いきれない運命に翻弄される姿が痛々しい。その人となりの心情をしっかり体現させており、観応え十分であった。もちろん演技としての殺陣(泥臭い)や剣舞(優雅さ)、演奏の楽器隊という夫々のパートで楽しませてもらった。

その変幻自在の演出は巧み。舞台には卒塔婆が何回も持ち込まれる。そして現世と来世の境界...三途の川の渡し場での笑いネタ。時に慟哭、そしてコミカルにという硬軟の描き分け。そして何度も境界から往還するが、その件に太綱に摑まる。このシーン...芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い出してしまう。「生きたい」という強い思念そのものが生命力になっている(仏法説話の意ではなく、観せる感覚)。

この脚本の底流にある「生命への讃歌」、「権力への揶揄」そして平和への希求(「7人の侍」時は自衛隊法、本公演では安保法が関係...偶然か)がしっかり観てとれる秀作。怒パンクで観(魅)せる時代劇。ここに「7人の侍」に通じる斬新さを感じる。生「音楽」を芝居という生身の人間が演じる舞台で融合させ、独自のステージを作り上げているようだ。

次回公演を楽しみにしております。
雁次と吾雲

雁次と吾雲

護送撃団方式

萬劇場(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★

虚実混濁の世界...盛りだくさんのようで
物語の場所・時代やその内容は架空・仮想という前提であるが、その描きからは日本の大正期...デモクラシーという自由民権をイメージさせることは間違いない。その一見史実に即した描きでありながら、実は虚実混濁という設定のズレに面白さを感じる。その情景・状況の錯覚、作・演出の藤森俊介氏の術中(語彙は相応しくないが好意的)に誘い込まれるようだ。

内容的にはメインストーリーとサブストーリー、さらに挿話があり盛りだくさんになったようで、主張(印象)が暈けてしまうようで勿体無い。
テーマ性の強い公演であり、その主張を中心に展開したほうが分かり易いと思う。
(上演時間2時間20分)

ネタバレBOX

セットは階段舞台...正面上部に張り壁に架空の絵画街角(庵や珈琲店の看板)が描かれている。周りはレンガを模した張り壁。その全体的な雰囲気は少し敢えて野暮ったくした造作のように感じた。そこに大正のような時代感を漂わす。「自由の塔 凌空楼」が見えるが、浅草にあった凌雲閣がモデルであろう。この姿は空中楼閣かも...。

梗概...暴動した中、兄・吾雲(一内侑サン)は弟・雁次(關根史明サン)との別れ際、「生きろ」と叫ぶ。以降2人は会うこともなく、雁次は兄は死んだものと思っていた。そして「生きろ」は兄の人生まで背負わされたような重み。この言葉が呪縛になって自由に生きられない。この心情の件も理解し難いところ。ところが偶然にも再会し...吾雲は自由に生き、親友・宝月(神谷未来紘サン)と「自由」を求める運動をしていた。そして自由を勝ち得た先にあったものは...。

この「自由を謳歌」することは人民が暴力的になり、その先は軍靴の足音が高くなるというもの。この帰結が説明不足、短絡的に思えた。自由という抽象的なことに対し、人それぞれが選択し責任を負う、という過程が観られない。自由の果てにあるのが戦争である、というのは史実を見た場合であろう。この公演では虚実混濁ということからすれば、もう少し多角的な観せ方があってもよかったのではないか。またラスト...自由を空(カラ)に準えているが、突き放して観客(自分)に考えさせるということだろうか...。

この公演ではラジオ(高校野球・駅伝放送)を用いているが、一方的に瞬時・広範囲に情報提供できる便利なもの。一方、情報の鵜呑みという思考停止という怖い面も裏腹にある。現代で言えばインターネットの普及が該当するか。その情報の真偽・正否は自由に利用と同時に責任も伴う、という主張も垣間見える。この壮大風の物語はメインであるが、この兄弟に親友の妹・白乃(本間理紗サン)との恋愛話がサイドとして絡み、さらに華族という戦前の「家制度」、「流民」に対する差別(人民が国民に代わった時、自分より弱者をいたぶる)などの問題も盛り込む。

その演出にダンスシーンが入り華やかさが出たが、そのイメージする意図は何か。自由の謳歌を身体表現で表したのだろうか。物語は面白く考えさせるものがあるが、もう少し観せる焦点を絞っても良かったと思う。

役者陣の演技は安定しておりバランスも良かった。ダンス・アンサンブルも高い身体表現で素晴らしかった。劇中での意味付けなり必然性を考え芝居・ダンスを調和できれば印象深い。

次回公演を楽しみにしております。
名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

名なしの侍 (28日より大阪公演開幕!直前予約受付中!)

劇団鹿殺し

サンシャイン劇場(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★

荒唐無稽(褒め言葉)
裏切り、仇討ち、影武者と、戦に翻弄される合戦孤児。関西出身の劇団って、時代劇×ロック(生バンド)ってスタイル好きだよね。

音楽劇「三月兎の会」

音楽劇「三月兎の会」

ミュージカルグループMono-Musica

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

よくできてる
モノムジカの三月兎の会、観劇。それぞれの個性が醸し出す味のある空気感、重厚でドラマチックな音楽の世界観。何層にも仕掛けられたストーリーの面白さ。兎にも角にも見応えのある3人劇で凄かった。
この劇団、歌も上手い、演技も上手い、ストーリーも音楽もいい、それに美形の役者さんばかり。そんな理由で毎回、楽しみにしています。

JAM vol.5『はい、こちら久米新十郎探偵事務所』

JAM vol.5『はい、こちら久米新十郎探偵事務所』

ThreeQuarter

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2016/07/17 (日) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★

よかった
素直にとてもおもしろかった。

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