最新の観てきた!クチコミ一覧

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リーゼント総理

リーゼント総理

カラスカ

上野ストアハウス(東京都)

2017/07/20 (木) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★

 疾走感が半端なく、上演2時間があっという間であった。また、けっして広くはない舞台上での格闘シーンは迫力があった。不良が何となく正義(庶民)の味方になっていく…映画、TVドラマでありそうなシチュエーションであるが、ある意味王道の公演は観応えがあった。
(上演時間2時間5分)

ネタバレBOX

セットは中央にアーチ型(レンガで出来ているイメージ)の出入り口、その左右に段差を設けた板。左右はほぼ対称で2~3段の段差がある。その上下の動きが躍動感を生み、心地よいテンポで進む。
梗概…2万人の暴走族を率いる宮ノ内タカシ(大野清志サン)は、国会議員である父親と確執があったが、父の非業な死により後継することを決意する。父の死は地元の利権絡みによる敵対する国会議員とその手下の暴力団の仕業によるもの。
父の選挙事務所の秘書等の助けを借り、どうにか当選することが出来た。しかし、相手陣営、暴力団の魔の手は、暴走族の仲間へ及ぶ。

ところで、脚本・演出の江戸川崇氏は関西出身だろうか。劇中の設定、地元はヤマトということであり、そこに流れる川にまた蛍が集まってくるようにしたい。そんな澄むような川の清掃活動が描かれる。以前、奈良県を流れる一級河川・大和川の水質がワースト2、3になり、近隣住民が清掃し蛍が棲めるようになった記事を読んだことがある。実話を連想させるが、物語はあくまでフィクション。ストーリーにあまり意外性はないが、テンポの良さと登場人物のキャラクターの面白味で十分楽しめる。特に、2つの格闘シーンは見どころ。まず特攻隊長が暴力団を壊滅させる所。次に主人公と腹心・特攻隊長のどちらが強いのか決める所。

通称:暴対法施行、反社会的勢力(暴力団)壊滅、政権・利害争いへのメス、環境保護など色々な要素を盛り込み、いつの間にか暴走族総長が国会議員になり、住民のための活動をし、世論の支持を得るという滑稽痛快な物語。
この男が惚れた女性は暴力嫌い。まだ一国会議員であるが、惚れた弱みで暴力を封印し、さらに人徳が増せば総理大臣も夢ではないかもしれない。それでも髪型はリーゼントのままでくあろうが…。そんな洒落っ気が笑いを誘う。

次回公演を楽しみにしております。
Dark Orchid

Dark Orchid

DANCETERIA-ANNEX

初台Doors(東京都)

2017/07/25 (火) ~ 2017/07/26 (水)公演終了

満足度★★★

フライヤーの美しさに惹かれて観たはじめての劇団。音楽劇なれど歌は少なめでお上手とは言えない。バンドの音量と声量のバランスが悪くてちょっと聞きづらかった。ストーリーは「夏の世の夢」がベース?と思わせる風でした。キャストのお衣裳は良かったです。

還刻門奇譚〜リローデッド・ゲート ゼロ〜

還刻門奇譚〜リローデッド・ゲート ゼロ〜

ZERO Frontier

萬劇場(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

美しいフライヤーから想像していたセットがちょっと残念。門の場所が何故置屋の中なのかを疑問に思いながら見ていたが置屋ならもう少し華美であったほうが良かった。ストーリーとしては面白かったです。

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2017/07/27 (木) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/02 (水) 13:30

REVIVERを観劇しました。歌もダンスも観応えがあり、正にミュージカルでした。笑いもあり面白いストーリーと思いきや、実は怖いストーリーだなぁと感じ、ラスト近辺ではぞわっとしました。役者さん達の演技も良く、本当に芸達者な方達でした。面白かったです!

グランディ氏の穏やかな遺言

グランディ氏の穏やかな遺言

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/02 (水)

2日初日のソワレ(110分)を拝見。

電動夏子安置システムさんらしい、きちんと作り込まれた・練りに練ったストーリー。
演じ手も、劇団員・客演の別を問わず、きっちり役柄を好演。
観劇後の「嗚呼、芝居、観たぞぉ~~~!」の充足感、今回もしっかり味わうことが出来ました。

ネタバレBOX

役者陣。
キーパースンな役柄を、(変顔もできるが、今回はそれを封印されて、笑)クールビューティ!に徹して演じられた、犬井のぞみさん
昨年秋の劇26.25団さん『ひずむ月』とは打って変わって、神がかった?役柄を好演の、林佳代さん
そして、今回イチバンの美味しい役柄、「孫娘を名乗る女」役の志賀聖子さん
個人的には、このお三方が印象に残りました。

あと、ただ一点、気になったこと。
終演後の会場や、下北沢駅までの帰路、たまたま耳に入って来たところによると、志賀さんの後に登場した、犬井さん演じる「孫娘1号」に絡むオチ、理解が及ばなかった観客、少なからずおられたようです。
再三再四、孔亮老人の口から、「孫娘に似ている」と、「天国?での係官」役での犬井さんに対して言わせて、伏線は充分張っていたんですが…なかなか難しいもんですね。
「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2017/07/27 (木) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★

男5人が基本的なキャストだが、そのほかに2人の男性俳優と3人の女優による、ほぼコント形式のショート・ショート。花三つ☆

ネタバレBOX

どういう訳か舞台奥の四分の一ほどが坂になっている。実際の演技でこの傾斜を使うのはほんの少しだけ。而も余り必然性はない。これも受け狙い、ということはできるかも知れないが。自分が一番面白く感じたのは“忖度”を売りにしている引っ越し業者とその顧客を描いたショート・ショートで、これは抱腹絶倒。忖度の行き過ぎが齎すグロテスクなまでの滑稽が、晋三如きを忖度して右往左往している、この「国」の亡者というよりは、下司犬共を”国民議会”風におちょくる感じ。雇主と、雇主を「忖度」によってドンドン追い詰めてゆく民間業者の間に生まれるチグハグは実に面白い。いくつかのショート・ショートの中で、これが白眉である。このレベルの作品で全部、出来ていたら、花5つ☆なのだが。自分には、他の作品はそれほど面白いとは思えなかった。
こちら、なかまがり署特捜一係

こちら、なかまがり署特捜一係

劇団カンタービレ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/07 (月)公演終了

満足度★★★★

先読みしてミステリーの謎解きに頭を使いながら観るよりも、まずは目の前のシーンのひとつひとつを思いっきり楽しんで観るのが正しい鑑賞法の作品だと思いました。
そして伏線が色々と散らばっていたので、リピートして再度それらを確認しながら楽しむのがMAXな楽しみ方かも。

シリーズ組、なかまがり署の面々が創り出す仕事投げやり系なオモシロの流れと、
城南大学サークル員が創り出す青春ミステリーな流れがストーリーの2大主流となりますが、他にもサイドストーリーが二つあるので結構な多重構造。
やがてそれぞれが合流していくわけですが、なかまがり署と城南大学の合流シーンには大爆笑でした!
なかまがり署の面々は、台詞を喋っていない人達もそれぞれ独自に演技している事もあるので目が忙しいのですが、それもまた楽し。
突然パンチの効いた笑いが襲ってくるのでので油断なりません。

舞台セットが早変わりで見事に入れ替わるので視覚的にも分かりやすく、観やすい工夫がされていました。

ネタバレBOX

結局誰も殺されないのですね(笑)
とは言えラストシーンがオモシロとホラーが同居していてゾワッときました。
印象に残る良いラストシーンでした。
「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2017/07/27 (木) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/02 (水) 19:30

ダンパチ、いや〜、面白かった!一度観たら、なんか癖になりそう。女性陣のゲストとの絡みも良かったなぁ〜。この世界は、マジ、癖になる。危険!

『火曜日との遭遇 × The Stone Ageヘンドリックス』

『火曜日との遭遇 × The Stone Ageヘンドリックス』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2017/05/02 (火) ~ 2017/05/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

◆『火曜日との遭遇』
「おさがりだとは気づくまいっ!−2017−」
専業主婦だけど夫と上手く行っていない長女、全く売れない役者の次女、アブノーマルなマンガで売れっ子の三女…。
笑いを挟みつつ、3姉妹の仲の良さ、睦まじさが心地好い。

次女の気持ちのままのプロポーズの台詞、雀野チュンさんに合ってて良かった。

血の繋がった3姉妹と、それぞれの連れ合いへの想い…。
観劇後、最期の連れ合いは奥さんだなと実感する今日この頃です。
観て良かった。

◆『The Stone Ageヘンドリックス』
フルーツケイクさんの「おしゃべりはやめて」の再演。
フルーツケイクさんが優勝した3年前の30GP。
(確か)準決勝で強敵STAGE TIGER さんを(僅差で)破った演目!

オープニングアクトからストーンエイジワールド炸裂の大爆笑。
フルーツケイク版の初演も好きだが、ストーンエイジ版も良かった。
ただオープニングアクトで、折角なので西原さんの歌も聞きたかった!

追伸、30GP当時、STAGE TIGER さんの演目を拝見するのが3回目…、
一方、フルーツケイクさんの新作がハチャメチャで新鮮だったので、
フルーツケイクさんに一票入れさせて頂きました。

この私の一票が左右するほどの僅差でした(フルーツケイクさん、私に感謝して下さい)!

今回、再演を拝見しつつ、フルーツケイクさんのハチャメチャな「おしゃべりはやめて」をもう一度拝見したいと思いました。

ワンマン・ショー

ワンマン・ショー

やっせそ企画

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

■125分強■
これだけ地に足のつかない芝居も珍しい。面白かったぁ〜♪
…と書くつもりでいたのだが、甘く見ていた。ヤケドした。

舞台版うしおととら 第47弾 第49章「雷鳴の海-後編-」第50章「獣の槍破壊」

舞台版うしおととら 第47弾 第49章「雷鳴の海-後編-」第50章「獣の槍破壊」

シアターOM

シアターOM(大阪府)

2017/04/27 (木) ~ 2017/05/03 (水)公演終了

満足度★★★★★

いよいよ終盤に向けて盛り上がってきています。

毎回楽しい前説、盛り沢山な本編、3連続チェンジのチェキ、とっても楽しかった。
今回は、前説35分+本編90分+アフターイベント35分、計160分間。3時間覚悟してたので後の予定余裕!

山本誠子様、ありがとうございました。
とても良い公演でした。
感謝、感謝、感謝、感謝、感動、感動、感動、感動!
→ネタバレBOXに続く…

ネタバレBOX

病気をおしてご出演された山本誠子さんの役者魂に感動!

山本さんの全快を祈念し、
元気なお姿でまた劇場でお会い出来ると思っていましたが…。

今公演が、元気な山本さんのお姿を拝見する最後の公演になろうとは…。
非常に残念です。

キリオは山本さん以外は考えられない!
私の中では、キリオは山本誠子が唯一無二な存在です。

ご冥福をお祈りしております。

きっと、山本さんも「うしとら」の大団円を天国から観ておられると思います。
見守っていて下さい。
ロックンロール

ロックンロール

劇団冷凍うさぎ

OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)

2017/04/28 (金) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★

いつ観ても、役者さんが上手くて心地良い。

冷凍うさぎワールド炸裂な感じです。
前々回の We are lucky friends にテイストや世界観が似てて、この感じ好き。

電電さんの感情のない感じ、
浦長瀬さん、石川さんなどなどのキレ具合、
良い感じでした。

追伸、次回作は3年前の(不毛な)怪作を再演されるとの事。
鈴木さんの切れ具合、
奈津川さん(今回は円井さん?)と浦長瀬さんの危ない感じ、楽しみです。

すべての風景の中にあなたがいます

すべての風景の中にあなたがいます

演劇集団関奈月

SPACE9(大阪府)

2017/04/28 (金) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★

関奈月さん、毎回楽しみに拝見させて頂いています。

白鳥山で出会った滝水と沙穂流…。
たった一度きりの出逢い…で
恋に落ちた二人は、時空を超え、奇跡を呼ぶ事ができるのか?

関奈月さんお得意の、
キャラメルボックスさんの純愛SFファンタジー!
今回はハーフ&ハーフの作品を90分にて公演。

役者さんの演技から、
登場人物全員の優しさが滲み出て、
心暖かくなります。

にじのはし

にじのはし

劇団ミネット

自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)

2017/04/22 (土) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

過去公演はいつも予約完売で
今まで拝見できず。
今回、念願かなって観劇。

それぞれの役者さんの役所が
「にじのはし」の意味が
明かされる時…、

会場中から、沢山のすすり泣く声が…。

ペ○トに思い入れの強い方程、ボロ泣きかも。
余りにも切ないファンタジーでした。
とても良かったです。

ネタバレBOX

公演終了されてるので追加コメント。
飼い主とペット観点からペットロスを扱った公演。
飼い主とペットの愛情が堪らない。
泣きます。
DVD千円はお薦め!
動物好きの方は是非!
CAT MOON

CAT MOON

POWERPROJECTクーデター

荻窪小劇場(東京都)

2017/07/28 (金) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★

ストーリーは良いと思うし、
梅本さん演じる五月の語りもよく、物凄く愛おしくなる。
猫から見る世界というのも斬新だ。
ただ残念なのはドタバタの演出が過剰に感じること。
主宰は無茶をすることが好きそうだが、ハートフルな作品なだけに
もう少し落ち着いた演出でもよかったように思えた。

かけおち

かけおち

TOKISHIRAZ

ザ・ポケット(東京都)

2017/08/01 (火) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

 舞台版『かけおち』は、デフォルメされた人物設定や強引とも言える展開など
つか作品の特色が色濃く残っていて、9PROJECT 第3回公演で初めて観劇、
今回で二度目。

 大量のセリフを早口でまくしたて熱く激しい口調でがなり立てるだけが、
つか作品を引き立たせるすべではなく、台本構成と演出の工夫次第でそれとは
また違った切り口で作品のおもしろさや魅力を際立たせられることをみせて
くれる舞台。
 また、舞台面の高さを十分高くとっていて、座り芝居が多くなる後半でも
役者さんの演技がみやすくなっているところも観客の目線に立っていて好印象。

ネタバレBOX

 客席中央通路の活用などザ・ポケットの劇場空間の特性を活かした演出もよく、
中でも、舞台上のせつこ と客席後方踊り場の早乙女との、客席をまたいだロングレンジ
でのセリフの応酬は見応えあり。

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」「ダンパチ15・獣」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2017/07/27 (木) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★

「REVIVER・リバイバー 〜15老人漂流記〜」を観劇
劇場座席は長いすに座布団で満席でした=芝居小屋感が強かった(^-^)

無人島に漂流した老人たちが歌い繰り広げる人間模様
2時間強=なかなかに楽しい作品でありましたわ~♪

ネタバレBOX

マイクを付けてる人といない人がいたけど
本当にマイク使ってたのかしらねぇ(^。^;)

衣食住が保障されての無人島生活なんで
いろいろと老いらくの恋話が巻き起こるうえに
老人たちが若返るんですよ=心象表現かなぁ=すべて誰かの夢だったかも・・と
ラストはオープンエンドでした

食事の栄養で炭水化物とビタミンはいいとして・・と
蛋白質を要求する台詞は笑えたですよ

また幽霊さんが登場するのですが
なかなかにユニークな登場シーンで
驚かされました(^-^)
真夏のカーニバル

真夏のカーニバル

制作「山口ちはる」プロデュース

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2017/07/31 (月) ~ 2017/08/03 (木)公演終了

満足度★★★★★

楽しかった。
若手は若手なりに様々なものを抱え、オバサンはオバサンなりに多くのものを背負いながら、なぜか同じ稽古場にいて、同じ舞台に向かって頑張っている。
そのエピソードが、あまりに「あるある」で、芝居と現実の境目がわからなくなってしまうほど。

切ないけど、たまらなく愛おしい彼女たちへの、
カーテンコールの拍手が、すごくあたたかく聞こえたのは私だけだろうか。

人本のデストピア

人本のデストピア

バカバッドギター

上野ストアハウス(東京都)

2017/07/15 (土) ~ 2017/07/17 (月)公演終了

満足度★★★★

冒頭は環境問題に関する批判もしくは警鐘するようだが、一転、民族(移民)問題を思わせるような骨太いテーマ、寓意性が観えてくる。全編を貫くブラックユーモア、その観せ方はポップ調で堅苦しくない。チラシ説明によれば、奇病によって人口減の一途。そして本の中(世界)に閉じ込められてしまう。
奇病はアジアの小国で発症しているが、タイトル「人本(ニンホン)デストピア」から日本(ニホン)のように思える。この公演は劇団最後の公演、「ン」の字は五十音順で最後の字、そんな関連付けをさせたか?
(上演時間は2時間)

ネタバレBOX

セットは、本棚が幾重にも重なるトリックアートのようだ。普通に考えれば知の源である本は、ここでは人を閉じ込めてしまう治(ち)のような存在に変質している。本の中の世界観…。
梗概...未来世界におけるアジアの小国。 バラックで生活する少女と老人、そして河童。
身体が「本(=BOOK)」になる奇妙な流行病が世界中を席巻し、地上の人口は減少。
人類は皆、大地にへばりつくようにして黄昏の世界を生きている。人はもちろん、すべての生命は「本」へと帰す。

本になった祖父を助けるために過去へ遡行する。そこで待ち受けているのは祖母であり、この奇病に対処できるとされる魔女でもあった。その街は城壁が囲われ街内と街外では環境が違う。世界的な課題である移民のことを想起する。
理屈では移民・難民(定義は違うであろう)の受入容認と思いつつ、感情的には微妙な思いを巡らすこともある。排他的な思いは、テロ行為との関係を無視することが出来ない。もちろん直結するわけではない。だからこそ、フーコーの振り子のように「理」と「情」の間で考えが揺れ動くのである。なお公演でも軍服を着た大佐が登場する。

奇病=本の中(人本)は死の世界であろうか.死は自然や現実とは違う世界に住むこと。もしかしたら、あの世は永遠平和のユートピア、そう考えれば現世はデストピアと言える。その倒錯を過去への遡行として描く。

物語は、独自用語(当日パンフに説明あり)が使用されストレートに理解できない、人間関係が錯綜している感じ。この2つが少し分かり難かったのが残念だ。しかし、現代的テーマを据えており、演出は軽妙洒脱で観客を飽きさせない。そして役者がその世界観をしっかり体現しているところが素晴らしい。

「環境問題」や「移民・難民」はどちらも“共生”が重要であろう。寛容が肝要というお題目だけではなく、問題解決に向けた努力が必要であろう。考えさせる最終公演は、小ネタも仕込んだ笑いの中、とても観応えがあった。
いろいろな事情があるにせよ、いつの日か劇団が復活することを期待しております。
ばらの騎士

ばらの騎士

東京二期会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/30 (日) 14:00

座席1階

価格14,000円

最終日にS席で観覧させてもらいました。マリーテレーズの歌声が圧巻でした。そしてオーケストラを指揮した方のタクトが優雅で見惚れました。素敵なオペラをありがとうございました。

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