最新の観てきた!クチコミ一覧

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我が労働

我が労働

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2017/07/12 (水) ~ 2017/07/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/14 (金) 14:00

価格3,000円

新人編集部員対超人見知りのベテラン漫画家という既視感のある題材がベースながら「何でもアリ」っぷりが楽しい劇中マンガ案と「もう一つの劇中作品」の対比が良くテーマの問いかけも含む締め括り方も巧みだった。
若干の説教臭は親子ネタと相殺か?(笑)

ノー・サイド NO SIDE

ノー・サイド NO SIDE

トツゲキ倶楽部

小劇場 楽園(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/13 (水) 19:30

価格3,800円

無題2134(17-137)

19:30の回(晴)

18:30受付、受付順に整理番号、19:00開場。いつものように入って右。

椅子(箱)が数個だけの舞台、上演時間105~110分という案内。

9:25前説(アナウンス、静かに飴玉くらいなら可)、ハワイアンが流れ、波の音。

開演前、ふらりと仲澤さんが白衣姿、新聞片手に登場、その穏やかな語りとは逆にどんどん期待が膨らむ、前説、横森さんも顔をみせて開演~21:21終演。

相対論、ルール、サプライズ。三つのピースがひとつに揃ったときに見えるもの。

あ~、なんておもしろいのでしょう。ひとつずつ完結しつつ、それでも物語りは、自転と公転、終着点のない物語として廻っている。

役者さん13名、懐かしい映画のエピソードあり、トロピカルな明るさ、ちょっとしたしっとり度合い、ゆっくりと溶け合ってゆくお話に身をゆだねる。が、しょっちゅう笑いの刺激が襲ってくるので油断はできません。

単なるドタバタだけではなく、実は細かいシチュエーションの組み合わせが本作をこんなに面白くしているのだろうと思いながら。

小森健彰さんは「teafortwo」の公演をずっと観ていて「ヒットパレードvol.10(2013/6@キッド)」「人数の足りない三角関係の結末(2013/10@「劇」小)」「持続可能な恋(2015/5)」「瞳を閉じて、られるか(2016/2)」
「10の銃と10の自由(2016/11))」「世界の終わりはCメロを待ちながら(2017/5@Blue-T)」とたくさん。

木所真帆さんは「音速アキレス(2015/8@BASE)」--田久保さんとですね?

タイムトラベルの問題点ってどうやって気がついたのでしょう。SF小説か映画にでもあったのか...、自然科学、相対論、星と星座などの本を読むと星にからめてでてくることがあり、、宇宙を飛ぶ竹輪という絶対の違和感とともに感心してしまいました。
※月をみるものが「骨」ではなく「竹輪」を放り上げるシーンまで想像。

余談
2話と3話との間にかかった曲(はじめのストローク1発でピンとくる)Bad Company"Can't Get Enough"。
だれの選曲だろう。

アンネの日

アンネの日

風琴工房

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

初潮との出会いは人それぞれですが、だれかしら自分と近い人がいるものですね。体験を言い合える仲間がいるっていいなと思いました。

SHERLOCKIAN Aの項目

SHERLOCKIAN Aの項目

Project S.H

ワーサルシアター(東京都)

2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★

これは正統派の古典的推理劇である。
笑いやアクションは一切なく、提示された謎はすべて回収される。
中高年男性ミステリーファンにも安心しておすすめできるものである。

年をとって一番困るのは目の衰えである。
小さな活字は追って行けず、すっかり読書量が減ったと嘆く声も多い。
大画面の4Kテレビで電子書籍を読む人もいるという。
そういう点ではこういうセリフの多い、朗読劇に近い芝居は案外市場が大きいかもしれない。

こんなことを書いたのは観客にお年を召した方が多かったからである。
前の方は半分以上が60歳以上ではなかっただろうか。
出演者のお父さんかお爺さんかもしれないが、上で書いたような事情もあるのかと想像してしまった。

内容を少しでも書くとネタバレになるので、些末な感想だけにしておこう。
初回なのでセリフを噛むのは許容範囲だが、声の調子がバラバラなのが気になった。
常にビブラートがかかる人、口だけで発声している人、腹から出しすぎてオペラか浪曲になっている人、なんでも絶叫調の人…
録音を聞けばまずいことは誰でも分かるだろうが、いろいろな団体の寄り合い所帯なので調整は難しいのかも。
誰もが一目置く先輩のような人はいないのだろうか。

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

キ上の空論

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/02 (土) 13:00

座席I列7番

価格5,000円

場あるいはスキットを重ねて創り上げ、終盤でそれらが収束して行く「キ上手法」(特に今回は水面に浮かんでいたり次第に浮かび上がってきたりなあれこれがゆっくりと流れながらまとまってゆくイメージ)が効果的で、常連組・年長組のサポートがさすが。そうして初見となるガキさんの名演に舌を巻く。

ネタバレBOX

二度も「見送る」ことしかできず自責の念にかられ続けている葵が「あったかもしれない日常」を想うシーンが切なく、それまで出てきたいくつかの場面に葵が「かけたかもしれない声」をかけるというその「想いの見せ方」もイイ。そしてそういった経験をした相手に対して「もういいんだよ」などと安易に慰めてはいけないのではないか、とも思う。
わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/08/17 (木) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

観てから約1ヶ月経ちますが今でも心の中を占めていて、「あの場にいられて本当によかった」と思う舞台です。
舞台稽古に必死だったであろう役者さんの夏も勝手に重ねて観てしまうからか、「舞台を観た」というより「高校生が一度しかない夏を過ごしているのを目撃した」という気持ち。
自分が高校生だった時のことを思い出したり、高校生に戻ったような気持ちで観たり。
10人の、相手を見つめるまっすぐな視線と、いきいきとしたダンスが印象的。
舞台美術も音楽も素敵でした。
幸せな時間をありがとうございました。

10th Anniversary Tour

10th Anniversary Tour

マームとジプシー

AI・HALL(兵庫県)

2017/09/13 (水) ~ 2017/09/17 (日)公演終了

10周年にして初めてのマームとジプシー。「あっこのはなし」。
最初は、この動きは、この繰り返しは何を意味しているのだろう、ちゃんと理解できるだろうかと不安もありました。
でも、少し強調されてはいるけれど実際にありそうな会話を聞いているのは楽しいし、あっこと世代が近いこともあり身につまされたりしながら、笑ったりなぜか泣きそうになったりしながら集中して観ました。
観終わった後は、あっこ達女性3人がとても身近に、そして少し愛しく感じられました。
ようやく観に来られてよかった!
関西で観られるのは2作品だけなのが少し残念ですが、もう1作品も楽しみです。

「班女 HANJO」

「班女 HANJO」

劇団アニマル王子

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2017/09/13 (水) ~ 2017/09/17 (日)公演終了

満足度★★★★

アニマル王子の番外公演というと、少人数の役者だけで小さい劇場を使って演じるものが多いのですが、今回は出演者が多いので舞台が暑いです(物理)。オープニングは帰ってきた谷口さんが頑張ってます皆さん子を見守るような温かい気持ちで観てあげてください。
パッと見オープニングが二回あるように思えるので少し得した気持ちになりました。人数多いからタイトルコールはカッコイイです。
あと所々でシーン切り替えによく使うシャッターという技法が入るのですが絶対難しい!!よくぶつからないであんなに速く歩けるなと感心させられます。
班女をベースに綴られたこの作品
そう持ってきたか!と心が震えました。
三面舞台なので、見る位置によって感じる印象も違って来ると思います。何度か観るのがお薦めです。

アンネの日

アンネの日

風琴工房

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

終始漂う柔らかい雰囲気がたまらない。

売春捜査官

売春捜査官

稲村梓プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2017/09/05 (火) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

サンモールスタジオで上演された、稲村梓プロデュースのつかこうへい作『売春捜査官』を観てきた。声優であり女優である稲村梓はこの作品を「心の支え」としており、既に何度か上演していることを今回初めて知った。つかの作品のいくつかは非シス人という劇団で観ることが常だったのだが、今回の稲村の舞台を演出したのがその非シス人で演出を手がける間天憑であったことと、まだこの作品を舞台として観たことが無かったのが今回出かけようと思った直接の理由であった。


作品としては有名であり、改めて粗筋を書く必要もあるまいが、大雑把に書くなら、女なのに木村伝兵衛(稲村梓)という名の部長刑事と彼女の下に八王子から転任してきた熊田刑事(内谷正文)、ホモの戸田刑事(村手龍太)の3人が、熱海で起こった山口アイコという女性の殺人事件の謎を犯人大山(渡辺敬介)を回して解いていく。特に、前半の刑事室での刑事達のドタバタと、後半刑事役と犯人役が演ずる事件の再現シーンの対比がこの作品の見所であろう。ちなみに、今回の舞台では稲村の演ずる木村部長刑事以外はダブルキャストであり、自分が観たのはKチームであった。

演出的にはウィキペディアでも「大音量の「白鳥の湖」をBGMに木村が電話でがなりたてるオープニングや、新任の刑事に渡す書類を地面にわざと落とし、木村が「拾ってください」というやり取り、木村が成長した犯人を花束で何度も打ち据えるシーンなど、この作品の名物となっている部分は、形は変わりつつも、どのバージョンにも数多く残っている。」と指摘されている部分はそれを踏襲していた。しかしながら、実は全体で2時間ほどの上演の中でスタート30分ほどは演出の質というか役者の集中力というのが散漫で、これはどうなるかと心配しながら観ていたのも事実。しかし、舞台後半の事件再現シーンに入ってからの役者の緊張感が一変しように素晴らしい台詞のやりとりに観る者の神経が研ぎ澄まされた。そのきっかけは恐らく役者・村手の力であり、それに応じて好演を見せた主演・稲村のなせる技だろう。良い舞台を見せてもらった。

AQUAVITY

AQUAVITY

劇団Bケイカク

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★

初めての劇団だったのでよくわからず観覧、お芝居と思いきや、映像とセルフの朗読がメインで唖然としたといのが率直な感想。
内容そのものとても面白かったです。
現実と夢と瞑想ところころ変化していいですね。

1000年の恋

1000年の恋

劇団「劇団」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

以前同じ内容の舞台を、上映会として映像で観たんですが、その時よりも舞台セットがカッコ良くなってたり、役者さんがパワーアップしてたり・・・そもそもその時のストーリーもほとんど忘れてる状態だったので、かなり新鮮な感じで魅入っちゃいました!

バラバラに見えた幾つものお話が、どんどん一つに繋がっていく感じ。それに伴ってどんどん涙腺がユルユルになっていきました。
こんなお話を、大切な人と一緒に観られたのが最高でした!

大阪公演も観に行きますっ!!大切な人とネ♪

屈曲:75時

屈曲:75時

不定深度3200

SPACE EDGE(東京都)

2017/09/09 (土) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/09 (土) 11:00

価格1,500円

無題2133(17-136)

11:00の回(晴)。

10:30受付、開場。靴を脱ぎ、バッグなどを預けて中へ。一見、迷路のような造作。

2段~3段のコンクリートベンチがそこかしこに。外国語で何か書いてあり、色は少々毒々しい。

会場に入って正面に映像(渋谷の街のようです)。役者(6人)はすでに思い思いの場所に座り、手にはスマホ。観客も好きなところに座ります。

客入れ中、会話もなくとても静か。

こちらは初めて。「東大」の2文字を目にし、これは凝った(捻った)ものではないかと感じ取りやってきました。

田口桃子さんは「大人生(2017/3@小空間)」「不忍池にて(2017/6)」を観ていました。
中西麻梨子さんも「大人生」。

10:48/10:56前説(撮影あり、上演中の移動可)、役者は靴をはいて、観客は脱いで。それ以外では判別が難しい。

11:02開演~12:03終演。

昼夜の渋谷で24時を超えての(ループする日々の)できごと(らしい)。

渋谷である必要はないような気もしたのは渋谷を(よく)知らない観客はどうとらえたらいいのかな、とそっちのほうに関心が行ってしまったためかもしれません。

箱庭のようなたまり場で交わされる会話は漏れ続ける空気のようで、ちょっとだけ面白いけれど、とても(渋谷らしくない)安全で温い感じの内側ところいう印象だけが残りました。

コトバはもっと刺激的で、危ういものでもいいのではないかと思いました。

幻の国

幻の国

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇団昴ザ・サード・ステージ公演の舞台であるにもかかわらず、脚本・演出が古川健
日澤雄介のコンビということで、劇団チョコレートケーキの色濃い骨太な舞台。このコンビは、時代を切り取らせると本当にうまい。宿命に流されず、運命に偏らず、それでいて時代の中でもがく人間描写がいつも胸を打つ。
ドイツを扱った舞台ということで、青年座の「旗を高く掲げよ」をすぐ思い出したけれど、あちらも脚本は古川健氏だったよなあ。そうして観るとこれは後日譚と言えなくもない。
金華玉条のように奉ったナチズムから社会主義に、嬉々として思想的な転換を図ったあの夫婦。彼らが観たその40年後のドイツがここにある。「幻の国」の夫婦の健気さと贖罪意識を、「旗を高く掲げよ」の夫婦は遂に持つことはできたのだろうか。
この2作の関連性を、一度古川氏から聞いてみたいものだ。

ネタバレBOX

最近、★5つが多すぎるかな。でも、それは幸せということだから良いことか。
ノー・サイド NO SIDE

ノー・サイド NO SIDE

トツゲキ倶楽部

小劇場 楽園(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/12 (火) 19:30

座席2列

隔てている何かを無くしていく、というテーマを持つ3つの短編からなるオムニバス作品。ラグビーとはあまり関係ありません。
 前説を受け持った桜井が、そのまま第1話に導入し、また第3話の最後の台詞も受け持つという構成も見事でした。
 アンケートを書いた人の中から抽選で次回公演の割引券がもらえるということでしたが、筆記具を持っていなかったので、泣く泣くそのまま帰ることになりました。

ネタバレBOX

「それでも地球は廻っている」
 壁が無くなったのは、桜井と鈴川の関係だけだったのでしょうか。まあ、財津のおかげで登場人物間の隠し事は無くなったのかも知れませんが。
 タイムマシンネタなのに、タイムマシンの装置は出てこず、観客の頭の中で想像させるのは巧いと思います。また、その原理を人間で説明するのもわかりやすくて良かったです。
 また3話を通じて唯一のラガーマンである古谷がボーダーを着ていたのも、在学中のプレーヤーを髣髴とさせ、良かったです。

「ハヴァナイストリップ!」
 前話の古谷の恋人はアサマだったのでしょうか。
 頑ななナンバの心が解けていく様子は感動的でさえありました。
 時間経過を示すのに、マサルとアサマはほぼ動かさず、ユウキだけいじるというのには笑わせられました。

「NO SIDE」
 前話のマサルとユウキが、この話の登場人物がいない間に舞台をちょろちょろするという展開が面白かったです。また、どちらがいづみの父であるか、というのは、三宅ならずとも観客が惑わされたと思います。
 しかし、なんといっても面白かったのは、いづみの妄想のショックを示す照明と音楽でした。
帰郷

帰郷

劇団普通

スタジオ空洞(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/12 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/08 (金)

9月8日ソワレ(75分)を拝見。

ネタバレBOX

文庫本をイメージしたらしい当日パンフに書かれた
「姉妹の住む一軒家に、姉妹の子供時代からの友人・咲紀やら、姉の幼馴染やら、次々と同居人が増えていき…」の「あらすじ」
(実際に芝居には出て来ない咲紀を除いて)「女1」「男2」と抽象化された登場人物たちの「相関図」
そして、一軒家の「間取り」。
これだけが観客が知り得る、本作品のアウトライン。
でっ、実際、芝居が始まってみても、登場人物たちは、会話…というより、ほぼワンウェイな語りかけや、相手がいるのかどうかもわからない独白に終始します。
観客にとって、不親切この上ない(苦笑)、「おはなしの具体的な説明」を削ぎ取った作品です。

しかしながら、アクティングエリアの背後に展開された鏡面に映し出される姿との二重写しや、意思疎通に欠ける「会話」がもたらす、ヒリヒリした空気感は、観客の神経に常ならぬ集中を強いるのです。

何か重篤な事情が女1(姉妹の妹の方)に生じた後、周囲の同居人たちも(いつの間にか、ごく自然に)感情を殺して互いに接するようになった…そんなシチュエーションを勝手に想像しながら、拝見させてもらいました。

芝居という虚構の空間に居ながら、とってもリアルな居心地の悪さを感じ続ける「日常」に放り込まれたような75分…作者の意図、理解は遠く及ばぬまでも、どことなく癖になりそうな芝居でした、とさ♪
ノー・サイド NO SIDE

ノー・サイド NO SIDE

トツゲキ倶楽部

小劇場 楽園(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

ノー・サイドとは無論ラグビー用語だ。通常は試合終了の意味で用いられるという。唯試合後は敵味方と分かれていた面々が、もう陣地の境も分からなくなって互いの栄誉を称え合うか否かは兎も角、健闘を祝すなんてことができたら素敵には違いない。こんな意が籠った今作、結果として所期の目的を果たせているのではないか。

ネタバレBOX

 内容は3つの短篇を組み合わせその一部を関連させて全体を纏める構成を取っている。第1話が、タイムマシン発明とその余波の顛末。第2話は、入管で別室に連れて来られた2人の日本人壮年男性を襲う入国管理法違反容疑の顛末、ラストがハワイで明日挙式という新郎・新婦を巡る愛の危機とその克服譚。ということになろうか。全体として落ち着いた大人の演技がベースになっているのだが、その重みを軽減するような様々な笑いが芝居全体に軽味を持たせ男と女が協力し合えば、憂き世も何とか乗り越えられるという希望を持たせてくれる作品に仕上がっている。笑いに関して少し例を挙げておくと、桁外しは無論のこと、初心な人間をちょっとからかうような悪戯心に発する意地悪、オーバーな物言いや所作、そぐわない所作で笑わす、間の伸縮のおかしみで笑わす等々様々なバラエティーに富み、決して派手ではないものの手練れのテクニックがそれとなく用いられ効果を上げている。更に、1か所だけ、肝を上げておくなら、子供だった新婦を置いてふらっと居なくなってしまった父親が、実は記憶を喪失しており、訳も分からず失踪していたのが、新郎の計らいで再開することができたシーンなど心底胸を撃つ。初日が終わったばかりなのでネタバレは此処まで。人生、昏いことばかりのように見えても、男と女がキチンと協力すれば、様々な難題も何とか乗り越えることができる、そんなメッセージを感じ取ることができる作品であるのは先ほども記したとおり。
イマジネーション・レコード

イマジネーション・レコード

Nibroll

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/08/29 (火) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

nibrollは矢内原美邦を含む異ジャンルのアーティストが集うユニット。ミクニ・ヤナイハラ・プロジェクトは矢内原主宰の「演劇」をやるプロデュースユニットで岸田戯曲賞をとったのはこちら。
・・なのだが素人には二つの区別は曖昧で、よくよく思い出せば、ミクニの方は機関銃のように台詞を吐き出し合う形態だが、nibrollの今作、出演者らが絶えず動き、走り、喋りもする「舞踊」系パフォーマンスも、表現形態の差ほどには、本質的な違いはないように感じたりする。
姿形の美より、行為の質から組み立てられた一連のシーンは、これを踊っている若者たちへ「innocentであれ」と願いを込める演出=師匠の影が浮かぶような、従順な弟子の姿が印象的なパフォーマンスだ。
中央に相撲の土俵位だろうか、照明によって円形にくり抜かれた部分があり、全体の照らし方を場面により塩梅し、計8人だったか、その円を出入りしたり通過したり、最初の衣裳は一枚ずつ脱がれて行き、不可逆な時間を刻む。声を掛け合ったり、グループに分かれて歩を進めたり、孤立でなく共同して何かに取り組んでいる様がある。これに何をイメージしたか・・逼迫した事態に手をこまねいている余裕はなく、とにかく何かしなければならない・・頭を働かせよ、動け、そこに人が居る、手を組め、前に進ませよ・・。人の皮を一枚剥げば、孤立ではなく、この「実態」がある、との説か・・?分子が絶えず振動している様?眼球も人の心理も同じく動き回り、とどまる事がない・・事実の描写か願望か。
何かを感じたがはっきりコレ、というものに着床せず、ふわりとした感触のままを持ち帰った。

ネタバレBOX

冒頭は闇の中から1(右足を前へ=強く)、2(左足を後ろ=弱く)とリズムを刻む集団の足音が響き、ようやく上がってきた照明が正面(客席側)を向いて歩く踊り手達を照らす。
紆余曲折?あって終演に近い事を知らせるMが鳴ると、照明が落ち始め、円の上で彼らは冒頭と同じ歩を刻み出すが、リタルダンドで照明のアウトに合わせて止まる、という演出だった。私としてはまた暗闇に戻り、同じく力強い足音が響く、と行きたかったが・・そうしなかった理由を考えながら劇場を後にした。大した考えは浮かばないが、〆メに拘る自分とは?
オカダスファミリーの一族

オカダスファミリーの一族

東京AZARASHI団

サンモールスタジオ(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

清々しい程の欲望剥き出し遺産相続バトルに圧倒されながら、押し寄せてくる面白味っ。
美人5姉妹の振り切った演技、もうスゴいです。
笑いの火に油を注ぐが如く「犬神家の一族」を絶妙にトランスフォームした因縁模様が、容赦なく面白味を倍増させていました。
コメディー作品としても一級品でしたが、ドラマ部分もしっかり創り込まれており、一粒で何度も美味しい作品でした。

幸福な動物

幸福な動物

温泉ドラゴン

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/28 (月)

「君は即ち春を吸ひこんだのだ」観劇(シライケイタ出演)、その少し前に劇作家協会新人戯曲賞受賞で、名を知っていた原田ゆう。「君は即ち・・」はもう一歩という印象だったが、一度観たきりで見逃している温泉ドラゴンの分業体制公演(作と演出が別)を観たさに出かけた。
架空の国、時代の設定でテーマは戦争。戦火は及ばない地方ではあるが、政治は否応なく入り込む。
藤井由紀(唐組)の客演も気になる所、ホームとはまるで印象のかけ離れた役柄で、スッピン(多分)で通した潔さとも相俟って記憶に刻印される視覚体験だった。
架空の国や時代を設定した芝居は、リアルで通せば破綻が起きやすく「笑」に逃げたくなるところ、(気になる部分は多々あったが)ストレート勝負でぶつける演出が、やはり正しいと思える締めくくりになっていた。
時折流れるラジオ番組(放送室の風景も再現)、反政府運動、違法な手段で難民を亡命させる商売に手を染める女、劇中で夫を失う女・・。リアルなフィクションである演劇の図面引きに、作家が注いだ汗の跡が見えるような気がして、拳を握った。

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