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人形の家〜neo TOKIO DOLLS〜

人形の家〜neo TOKIO DOLLS〜

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2018/02/16 (金) ~ 2018/02/25 (日)公演終了

満足度★★★★

家出女房はノラならぬオラ。流れ着いたは錦糸町、その名も人形の家なる踊り子キャバレー。ここに流れてくる奴は、皆心に傷持つ者。オラも無論例外ではない。然しながらその傷口が決してその痛みによって焦点を形作らないのも、ここが中心性を喪失しているからだ。華4つ☆(第1次追記2018.2.20第2次追記2.24)

ネタバレBOX

   
 武家社会になって以来、実権は都の遥か東の地に在りながら都は千年以上西に在り続けたという近代以前の長い地域史も関わるかも知れない。この雅な都市に於ける中心性の喪失は、都市と農村という対比の中にも現れているが、二項対立だけで片付くほど単純ではないのは、更に農村部を侵食する空虚を象徴するもの・こととしてノラの借金の原因・パチンコが機能していることをみても明らかである。
 ではこの地域に根付いた空虚を実体化させる為にどのような解決策が、伏線として張られているかについてだ。
 先ずは想像妊娠する才能が、探偵という職業のアンテナとして機能している有明が登場すること。女性であること、即ち子を孕み、産む可能性を通して、未だ定かならぬ未来に対する想像力を否応なく負わされる立場であることが、この空虚を埋め得るものとして提示されていることが大変重要である。
 但し、同じ探偵事務所に所属する助手でレスビアン的傾向を持つ常盤のキャラクター及び、彼女が探偵見習いの蟹蔵というアンチキリスト(ヴァンパイア)に血を吸われる存在である点も見逃せない。而も蟹蔵の自己認識は“死んで埋められてやがて来る甦りを待って、遂に永遠の生を持つに至るだけなら救世主と変わらない存在だが、時折血を啜らなければならないマイノリティー”だ。だからヴァンパイアではありながら、噛まれた人間が総てヴァンパイアになる訳ではなく、実際常盤は永遠の命を授からない。(これには中心性の喪失という命題も関わってこようが)
 無論ノラの新たな恋人として浮上する鞠男が、キリストを暗示し、彼との新たな恋を通してノラの新生をも示唆している点も、空虚に対するアンチテーゼとしての人々の念を集約する結節点を構成している。
 同時に錦糸町の全生物体系の頂点に立つ、No.1ホスト生島と人形の家No.1絵島が、仇花世界の住人同士であるに関わらず“マブな恋”をしていることも。この意味する所を正確に理解し支える人形の家のママ、ローズが存在していることも極めて重要である。
また、非人間性の極北たる大銀行の突撃隊長であったサラ金大手・武不死メンバーが、法改正の煽りを喰らった為とはいえクライアントに対して軟化した態度で接している点にも注意したい。無論、不死の文字が社名に入っている以上表層の変化をそのまま受け取る訳にはゆかないが、社長の不死丸がコートの下は裸同然の姿で登場する点、探偵達のクライアントである点には、人情という被膜が貼られて目くらましの役割を果たしていることも見逃せまい。
 即ち、錦糸町という街が空虚の入れ物として機能する都市であり、この空虚を埋める為にこそ踊り子キャバレー“人形の家”の面々、錦糸卵のホスト達、武不死メンバー、そして実体である地方を象徴する、オラの元亭主・兵米が登場するのである。
 今作が、小劇場演劇としては極めて珍しく二幕物である点も示唆的ではないか。一幕での空虚は、蟹蔵に血を吸われた一夫は永生を得ること、新たに街を仕切ろうとする輝彦や牡丹がスマホを用いSNSを機能させて集まる理由を純血などでは無く、不安だとその真を抉り出して見せていること、更に頂点に立つ者が時として実際に用いる支配術“気まぐれ”と“見せしめ”によって恐怖を植え付け、怯えさせることによって縛りを掛ける術といった誰にも分かるリアルが嵌め込まれている点も見逃せない。無論、有明が想像妊娠ならぬ想像出産までして虚を実数化している点も見逃すことはできまい。(数学に出てきた虚数を考えてみること)

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/02/14 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★

何度も上演されているというこの作品を初めて観劇しました。朝ドラをダイジェストで一気に駆け足で見たような感覚です。2時間半の力作でしたが、実のところ深い展開に感情がついていけませんでした。特にエンディングのあたりは駆け足感が強くハッピーエンドでもないので残念ながら好みではなかったです。感動して号泣するのかなーと思い込みをしてしまったからかもしれません。あの時代を颯爽と駆け抜けようとした女性の爽快感で締めくくってくれてたらなあーと。私には見終わって辛く心が痛む作品でした。

沈黙の音

沈黙の音

演劇企画アクタージュ

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧巻の一言です。今回の演劇企画アクタージュさんは80分間の中で濃密なストーリーが組まれててあっという間でした。役者の皆さんの演技も素晴らしくて大満足です。セットや小道具も凝っていて劇場に入った時から期待度MAXで見させていただきました。あと2日間頑張ってください!

『タバコの害について』ほか1篇

『タバコの害について』ほか1篇

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2018/02/13 (火) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇通のファンが多いのでしょうね。
一人芝居には圧倒されてしまいました。
良い経験が出来ましたが・・・(楽しめましたが客席の入り口の行燈?に行き帰りで
2度も頭をぶつけてしまいました)ショック!!!

スモール・フリーク・ショー

スモール・フリーク・ショー

ひねもすほろすけ

シアターシャイン(東京都)

2018/02/16 (金) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度

鑑賞日2018/02/16 (金) 19:30

 よく練習しているとは思う。何がやりたいのか分からないのが勿体ない。

未明かばんをとじた

未明かばんをとじた

らまのだ

小劇場 楽園(東京都)

2018/02/14 (水) ~ 2018/02/20 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/02/15 (木) 19:30

 昨日に引き続き、同じ作品のR40(平均40歳)バージョンを見る。セリフはほぼ同じだが、様々な役割を演じる女が出ず、完全な4人芝居。役者の年代もあるのだろうが、切実感というかリアリティみたいなものをより強く感じる芝居だった。その分、昨日は何回もあった笑いのシーンが少なくなっていたように思う。個人的には、こちらの方が好き。

未明かばんをとじた

未明かばんをとじた

らまのだ

小劇場 楽園(東京都)

2018/02/14 (水) ~ 2018/02/20 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/02/14 (水) 19:30

 R25(平均25歳)バージョンを見た。喫茶店でカバンをなくした女、そこに居合わせたフリーライターの男、そのフリーライターにチラシ作成を依頼する教員の男、そしてネイリストの女の4人芝居が基本だが、そこに様々な役割を演じる女を含めた5人芝居で、4人の男女が好きになったり別れたり、等のさまざまを演じる。会話劇だが、会話の途中に別の会話が割り込んで場面転換するのが南出の特徴と言えようか。物語の流れが分かりにくくなるギリギリの線で巧く作られており、なんだか不思議な感触が残る芝居だった。

-サテライト仮想劇-いつか、その日に、

-サテライト仮想劇-いつか、その日に、

福島県立相馬農業高校飯舘校

アトリエ春風舎(東京都)

2018/02/11 (日) ~ 2018/02/12 (月)公演終了

満足度★★★★

東日本震災の被災県から高校演劇の作品が招待される。幾つか目にしたが実に多様で(その中に飴屋氏の「ブルーシート」も位置づけられるのだろう)、興味深い。
本作はサテライト校という我々には耳慣れない呼び名で呼ばれる学校の内、元の場所(避難勧告解除となった原発周辺の地域)にこの3月に「戻らなかった」唯一の高校の演劇部が、僅かな部員で作り上げた「その日」を仮想した作品。
原発事故から既に7年、十代の学齢期にとってこれは長く、サテライト校に元あった場所の避難民が通う率は低く、殆どが地元(福島市)から通う生徒、しかも他校に行けない受験生の滑り止め校となっている。たとえプレハブ作りでも、こうして地元に「根付いた」学校が元あった飯館に、実際に戻る学校の生徒が作る演劇であればまた別の意味合いを持つが、この作品は「仮想」して作られた事により逆に観客の想像力を刺激し、単に学校の移転の問題にとどまらない視点へと導く。
演じるのは4名の高校3年生、下の年代は居らず、今期で演劇部は廃部となるという。キャスト4名の内役者として所属していたのは二人、他の二人はスタッフ志望だったのを舞台に立たせた。脚本は2016年赴任してきた顧問により、早速部員に提案され、その時点から作り始めたものだという。決して上手とは言えない彼らが丁寧に、必死で演じて紡がれる物語が次第に、和紙をすく時に厚みを持ち始めるように、確かなものになり、涙しないでいられない場所に連れて行かれる。全国大会にも出る事になった・・最初は予想もしなかった事になったと、トークで生徒が述べていたが、無欲な彼らと「演劇」との関係が恐らく優れた「伝達」をもたらしたと、実感を裏打ちする証言だった。「終わっていない」事故、「これからも続く」社会、人生。

テンペスト

テンペスト

劇団つばめ組

シアター風姿花伝(東京都)

2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★

ご自由に

ネタバレBOX

テンペストには嵐という意味と馬鹿騒ぎという意味があるとのことで、自分を陥れたナポリ王たちの乗った船を難破させ復讐しようとする話のようでいて、歌って踊って大団円で終わる話。

活舌がちょっとという感じでした。
ヒッキー・ソトニデテミターノ

ヒッキー・ソトニデテミターノ

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2018/02/09 (金) ~ 2018/02/22 (木)公演終了

満足度★★★★★

ヒッキー・カンクーン・トルネード再演を遠方まで観に行きホクホクだったのを思い出しつつ、必見枠の本作(これも再演)を観る。俳優に恵まれた、とのパンフでの言に同感。古館寛治も楽しみだったが体調不良でこの日まで降板、代わりに登板した松井周について岩井氏が冒頭で説明し、2日で台詞を覚えるなど「我々のレベルになれば」訳ない、が、敢えて逆に「台本をもってやる」という風にしてみた、と言う。いきなりドッと笑いを取っていたが、実際そうなのではないか、と疑ってしまう瞬間があった程、「台本持ち」が芝居上邪魔になる事は凡そ無く、最終的にキーとなる役を「彼の方がハマり役だったかも」と思えるまでに松井氏は演じていた。という一事も感動に拍車をかけたかも知れない。
岩井秀人らしい、繊細な問題の中に人間の公平や共生や互酬や、関係の根源を問い、それが人間が「今存在する」ための全てと言って過言でないのではないかと考え始めさせる芝居。役者それぞれの演技の面白さを追求した方向性が部分を担って全体を魅力的に仕上げている。
岩井演じる引きこもり支援施設で働き始めた男性の物語上の位置取りがズルい(「ある女」に通じる)感もあるが、フェリーニ「道」以来普遍的なテーゼでもある。
笑いと深刻、情緒が別々に存在せず互いが表裏に密着している。

虚構の劇団 第13回公演「もうひとつの地球の歩き方 〜How to walk on another Earth.〜」

虚構の劇団 第13回公演「もうひとつの地球の歩き方 〜How to walk on another Earth.〜」

虚構の劇団

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度

ALの会いに行くよが、流れた瞬間から、つまんなそう、って思ったけどやっぱり。
メッセージはわかりやすいけど、面白みがない。入り込めない。そのメッセージを受け取ることはできませんでした。プロジェクションマッピングぽいのもおしゃれでしたが、それだけ。期待して楽しみにしていった分だけがっくり。俳優も最初の方早口で何言ってるかわかりませんでした。シンギュラリティ、って聞こえなかった。ダンス、音楽、映像でおしゃれな演出で、時々笑えて、若い俳優さん達が楽しそうにやってれば楽しめる人にはいいと思います。私には時間とお金の無駄でした。

喜歌劇『天国と地獄』

喜歌劇『天国と地獄』

オペラシアターこんにゃく座

俳優座劇場(東京都)

2018/02/08 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

「天国と地獄」はオッフェンバックによるオペラで、スタッフ欄をよく見れば「編曲」寺嶋陸生・萩京子とあった。
原曲のある作品。音楽が作品性を決定する、と言って間違いでない芝居(こんにゃく座も)があるが、これはこんにゃく座のでなくオッフェンバックのオペラにこんにゃく座スパイスをふったもの、と言うべきもの。
山田うん振付、杉山至美術と、先鋭的な舞台を期待させるスタッフ陣が目を引いたが、私の目では、この振付、美術、こんにゃく座従来の色、その他の(加藤直の?)色が主張しあってツゴツとぶつかっている。新作に久々に取り組んだ構成演出の加藤直は原作の「何でもあり」の徹底した喜劇力を頼みに包み込もうと考えたのか。ドリフの寸劇の混乱のラストや、滑稽も極まれりのタイミングで終える落語のような、ダイナミックなオチのない場合の「着地」が最大の課題で、そこがうまく行かなかったために心からの拍手にならなかったように思った。 
色々引っ掛かる事の多い舞台だったが、無時代のありきたりなドタバタに終らせないための手を尽くした実験舞台と言えるか。ただ「現代」に響かせたかったとしたら何がポイントだったか。楽曲は既にある。勝手気儘な意見を許されるなら・・、知られた楽曲以外は脚色でなく新たに詞・曲を付ける。また杉山至の地獄の美術はどう曲げてもデスメタルを誘引する。パロディ的にでも挿入する手は無かったものか。
天国地獄に共通するのが意匠としての巨大な額縁で、天国では正面に「絵に描いたような」清潔さ、悪く言えば四角四面で面白みがない・・(もっとも前半の現世場面でもこの額縁はズデンとあるのだが)、休憩中に組み替えた地獄の装置は、この額縁がひん曲がった状態で横たわっている。そして最後には地獄からの道行に使うための台状の橋が、額縁の反りあがった部分を潜って、下手奥から上手手前と置かれる。凡そ50cm位か、低ければ置く意味がなく、高すぎると額縁が歩行の邪魔をするので已む無くその間を取った寸法と見える。この装置が色んな面で失敗に思えてならなかったが、橋を「上を歩く」と「下を歩く」という物理的機能に狭めず、この台が地獄を象徴する大事なアイテム、くらいに祀り上げる効果、役者の動きとしては装置と絡めたムーブなりが欲しかった気がした。「後ろを振り向いてはならぬ」の道行きに至って、ああそのためのものかと理解するが、途中で切れた道では結果バレバレ(「後ろを振り向かずに」渡りきれるかどうかを見守る場面は「夫婦とは添い遂げるもの」かどうか、即ち芝居のテーマに関わる趣向であるのに、渡り切れない事が判ってしまうのは興ざめ)。

オペラ楽曲を歌うユリディス役のハイトーンボイス(ベルカント唱法?)を聴くに及び、この一座が基礎力に裏付けられた人間の集団である事を思い出す。普段のこんにゃく座の舞台では中々披露されないこの声が響けば一芸披露の趣き、拍手もので、お得感あり、となる。祝祭性と皮肉と、後者を狙ったが前者のベースが堅固で、完成には一歩届かず。もっとも「完成」とは何か、という話もあるが・・

ネタバレBOX

互いに別の良人を持つ熟年?夫婦の末期的関係を、修復する使命をおびた天界の者(狂言回し=セロンとヨロン)が、その使命を言明して劇は始まる。夫人が思う羊飼いは実は地獄のプルートーで、騙され命を差し出してしまう。何だかだで天国の場面、ところが夫人が居ない。議論の末、退屈な天国をおさらば、地獄へ行こう!と気勢を上げて列を組み、賑々しく退場して幕。
休憩後に地獄の場面、どうやら幽閉されているが鍵が掛かって開かない。夫人の心を目覚めさせるには、、鞭の音でなくキスの音。そこは天界のジュピターの変身術に期待、任せておれと蠅に化けて鍵穴から侵入し、スキンシップを図ると夫人は何かに打たれたよう。「可愛い蠅」を発見すると、惹かれ合い思い合って抱き合うまでに至る(サイズがどうなっているかは不明)。そして夫人が表に現れると、音楽教師の夫の弾く忌まわしいヴァイオリンの音。
だが、結局の所最後に夫婦は修復「しない」のだ。
このオチを面白く迎えるには、修復する風向きがあったり、物語上のモチベーションを持ちたいが、それは希薄。物語の定型をも茶化した原作の展開だが、「予想を裏切る」「引っくり返す」と認識されるだけの「別の予想」がくっきりと示されないので、今一つ意外性を味わう事ができない。今、「自由」を唱えるだけの「不自由」、それも男女間の恋愛の不自由があれば一つのモチベーションだし、関係修復しないと困る事があるのであれば、修復へのモチベーションになるがその点が希薄。それがこの演目の弱点。
見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/02/14 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

最初に戯曲を読み、後に青年座公演を観、そして今回。三つの体験の差異について考えてしまうのも、秀作戯曲である故か。青年座のは男の演出家、今回は酒井若菜という名からすれば女性に思われるが、性差のためかどうかは分からないが実は随分違う所があった。
青年座は広い舞台で喜劇タッチに描き、ベルエポックと呼ばれる大正の「良き時代」を振り返るノスタルジーの背景の上に、暗鬱な時代の予兆という色の線が引かれる感じがあった。二兎社じたい大人の喜劇色がある。
だが今回の小劇場での上演には、台詞の一つの活かし方としての日常性が相対的に減退し、全寮制女学校の生徒にむしろ相応しい緊張感が漂う。逼迫した物言いが「劇的」を増すありがちな様態とも言えるが、それぞれのエピソードがそのドラマ性を凝縮して提示されている印象だ。それは「時代」の色彩にも及び、女教師が芝居後半で取る行動がそれを余す事なく伝える。(大逆事件とその時代背景が脳裏をかすめる自分特有の見え方なのか、歴史をそれほど知らない者にも届いたのかは、判らないが。)
喜劇タッチは経験を重ねた役者が演じるのに力量的にも合致するとすれば、この作品の中心である女学生を演じるに相応しいのは彼ら年輩ではない。一々、激情の迸るのがこの作品に相応しい光景で、私は今回最も戯曲世界を具現した舞台に最後には思われた。
初見の劇団だが、秀作戯曲をきちんと舞台化する、という自分の中の予想に違わず。
プロデュース公演の常、来歴異なる人らが集う人間交差点の様相を終演後のロビーは呈しており、良い舞台なればこそ。だが一期一会の淋しさも。

『タバコの害について』ほか1篇

『タバコの害について』ほか1篇

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2018/02/13 (火) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

決して難解な内容ではないし、むしろアトラクション的な要素まであったりするのですが、何となく演劇通の方々が好んで集まってきそうなテイスト。

何故だか間違って、変な人の講演会に紛れ込んでしまった様な感覚が楽しい。
時々、自身のトークに熱が入り前へ前へと出てくる度にドキッとしてしまうのがスリリングで楽しい。
もう人生の巻き返しに出る事も叶わなそうな「こんなはずじゃなかった」感が哀しい。

柄本明氏が何度も再演されている演目だという事は知っていましたが、なるほど!と大きく頷ける作品。(いかにも狡猾な感じで演じられていそう)
加藤健一氏も演っていそうなイメージだけれど、どうなんでしょう。
益田喜晴氏のバージョンは、情緒不安定で滑稽に病んだ感じが強く出ていたのではないかと想像(見比べたわけでは無いですが)

入場時、前回公演「あぁ、自殺生活。」では秘密クラブの様な怪しげな雰囲気(もしや今回も無人受付?)だったので、恐る恐る受付けをのぞいたら180度イメージが変わってすごくアットホームな 雰囲気でした。

ネタバレBOX

ロシアの戯曲ではありますが、しゃべり言葉に地方の訛りが入ると、より味わい深くなるのではないかと(東北弁や四国訛りが似合いそう)
あとスタッフ役の高橋正樹氏はもうちょっと舞台よりの位置にいて、さりげなくウンザリしたり、さりげなく睨みつけたりとリアルで静かなる演技を目の片隅で観られる様にすると面白いのではないかと思えました。

袋とじ「根本宗子」

袋とじ「根本宗子」

東葛スポーツ

3331アーツ千代田/スーパーデラックス(東京都)

2018/02/16 (金) ~ 2018/02/27 (火)公演終了

満足度★★★★

■65分強■
この内容ならスーパーデラックスで観たほうが楽しめたかも。

ダニーと紺碧の海【フルムーンリリー】

ダニーと紺碧の海【フルムーンリリー】

フルムーンリリー

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2018/02/16 (金) ~ 2018/02/17 (土)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/02/16 (金) 19:00

価格3,500円

男と女の二人芝居。不器用な二人が分かりすぎるし理解されにくいことも分かりすぎる。嘘と暴力と傷と欲と罪と罰と告白と許しと愛!内に響いてくるように自分自身との対話が深くなるような舞台でした。ありがとうございました。

葵上~源氏物語より~

葵上~源氏物語より~

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2018/02/14 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/02/16 (金) 14:00

座席H列5番

価格3,800円

源氏物語の「葵上」に「野宮」のエピソードも加味した「カジュアル古典」。
光源氏は自業自得どころか殺人罪ではないか?とまで思ってしまう内容は、昭和の昼のメロドラマかイマの金曜ナイトドラマか?はたまた昭和の婦人雑誌の連載小説か?みたいな。(笑)
そんな風に感じてしまうほどワカり易くそれでいて古典のオモムキを失わない……どころか古典情緒も満載なのはいつもながら、それに去年あたりから顕著な照明の技(影を使った効果と牛車の表現が良かった)も光り満足。
また、基本は笛と鼓ながらピアノ(あれはいわば「光源氏・愛のテーマ」では?(笑))を使った場も良かった。

ダンス30s!!! シアターコレクション

ダンス30s!!! シアターコレクション

モモンガ・コンプレックス プロジェクト大山 MOKK

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/02/01 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

MOKK「f」(女性)を鑑賞。もっと淡い表現のほうが好みだが、この人は濃い目が似合う。

タマシイ

タマシイ

晩餐ヒロックス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/02/15 (木) ~ 2018/02/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

常日頃演劇部は文化部ではない体育会系だと思っているので、オリンピック種目になってもいいと思うのですが採点はフィギュアスケートより難しそうです。
新種目「タマシイ」の全容はよく分かりませんでしたが(それこそ某主宰の言うように“想像力”が必要なのかも・・・)演劇に対する熱さは伝わって来ました。
今度渡部氏に会えたら「タマシイ」のルールについて詳しく聞いてみたいものです。

ネタバレBOX

限られた出演者で、演じ分けがちゃんとできていました。
小劇場が盛んだってころって、みなさんまだ生まれてもいなかった訳ですね・・・
近松心中物語

近松心中物語

シス・カンパニー

新国立劇場 中劇場(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/02/16 (金) 18:30

セットの豪華さにびっくり。2階席だったのでセリフはよく聞こえないし(でも徐々に耳は慣れる)、役者の表情は見えないしという点を差し引いても、巨大なセットにびっくり。大プロダクションの作品は違う! たまにはこういうのもいいか。

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