最新の観てきた!クチコミ一覧

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夢幻能劇Ⅲ 夢の淵  

夢幻能劇Ⅲ 夢の淵  

劇団グスタフ

梅若能楽学院会館(東京都)

2018/03/17 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

えぇーッ、ここで終わりですかー?ここから先が面白くなりそうなのに。
当然続きあるんですよね?今回はエピソード1ということで。
続きを是非見たいと思いました。

真説・春琴抄

真説・春琴抄

あかね色

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日!観劇させて頂きました!
最初から最後まで鳥肌が立ちっぱなしです。1時間の中に凝縮された濃い世界。贅沢極まりない舞台です。気になる方は是非是非。ほんとーにおすすめ致します。

江戸は燃えているか

江戸は燃えているか

パルコ・プロデュース

新橋演舞場(東京都)

2018/03/03 (土) ~ 2018/03/26 (月)公演終了

満足度★★★★★

テンポが良くて終始楽しくて笑いが止まらなかった。歴史の話で堅苦しいかなと思ったけど、分かりやすくて良かったです。

隣の芝生も。

隣の芝生も。

MONO

座・高円寺1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★★★

定評のある京都の劇団と聞いて、初観劇しました。よく練れた脚本で、人物像が全員しっかりしているので、安心して観れました。ラストの謎の残し方もよかったです。観劇三昧で配信している、他の作品も観てみようと思いました。

第10回公演『オールド・フランケンシュタイン』

第10回公演『オールド・フランケンシュタイン』

唐沢俊一ユニット

小劇場 楽園(東京都)

2018/03/14 (水) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★

もう一本と比べるとまだましでした。

ネタバレBOX

フランケンシュタイン島の秘密が明らかになる話。2009年が初演。

受けない小ネタを仕込んだり、身内受けや自己満足的な役者いじりがあったりのグダグダコメディでした。

理想的な人間を作り出そうと実験を重ねてきたフランケンシュタイン博士でしたが、最終的に完璧な人間はいないという結論に達したそうです。

唐沢俊一さんが後説で今回は2本立て公演で10年前と同じような作風で進歩がないとおっしゃっていましたが、10年前の本作は、完璧な人間はいないというテーマがあったのに対して、新作の『CHAЯLY』の方は、自己満足的グダグダはそのままに、メインテーマである実験の方向性もグダグダになってしまい、進歩がないどころか逆に後退したとしか思えませんでした。
プープーソング

プープーソング

劇団きらら

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

人生色々ありますね。

ネタバレBOX

結婚式の友人などを演じる代行業の男が、もう一人の同業者と共に、実家と疎遠になり帰りづらくなったアラフォー女性に頼まれ一緒に行き、色々揉め事に絡む話。

田舎における近所付き合いの煩わしさ、実家の不動産が逆に迷惑になること等興味深く、一つひとつのエピソードが笑え、また考えさせられました。

ただし、罪の意識的なことは分かりますが、何かをしたりしなかったりで宝くじが当たったわけではないように、何かをしたりしなかったりでバチが当たるということはありません。
逃げる男

逃げる男

すこやかクラブ

王子スタジオ1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

クソメン振りが存分に発揮されていました。

ネタバレBOX

好きな女性に声が掛けられず、悶々としているクソメンたちの生き様を描いた結構激しいダンスパフォーマンス。

クソメンのクソメンたる消極的悲観的生き方を一生懸命積極的に生きている男子の姿が表現されていて好感が持てました。

中村理さんのダンスは群を抜いていました。見得の切り方など、歌舞伎俳優のように基本ができていると思いました。

ポテチの袋を集めていたのはSNSで知っていましたが、あのような鎧のような衣装になっていたとは驚きました。胸の春の文字が印象的でした。
第9回公演『CHAЯLY』

第9回公演『CHAЯLY』

唐沢俊一ユニット

小劇場 楽園(東京都)

2018/03/14 (水) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★

期待した方がバカでした。

ネタバレBOX

猿のチャーリーを始めとして、知能を与える処置をされた動物たちの話。

処置を施して知能が高くなるというSF的設定が大前提であるはずなのに、そして、その動物の使い方の是非を問うのが重要なテーマだと考えていたのですが、秀でた才能を持つ人の影響を受けて周囲の人も変化する感応などという概念も取り込んだために、じゃあ、今のように人間とペットが暮らしていたら人間がバカになるのか、ペットがしゃべり始めるのかどちらなのか、少なくとも飼育員は知能が下がりましたが本筋がグダグダになりました。

研究所の所長は、楽屋話みたいな話をしたり役者いじりみたいな行為をしたりして自分だけ喜んでお芝居の進行を妨げるだけがお仕事、興醒めしました。こんな配役必要ありません。

昆虫までは動物虐待に当たらないということを聞いたこともあり、賢くなった動物を危険な場所に送り込もうとする政府の計画がどうなるのか興味がありましたが、全てがグダグダになり本当にがっかりしました。
廃墟

廃墟

ハツビロコウ

シアターシャイン(東京都)

2018/03/13 (火) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/03/18 (日) 18:00

座席1階1列

演劇ユニット ハツビロコウ『廃墟』シアターシャイン

敗戦後の日本での普通の人たちの生活がリアルに感じられました。
こんな感じに国の未来や戦争について真剣に討論したことが無かったので、
こういう時代もあったのかと新鮮な感じでした。

照明効果や階下から聞こえる喧噪など、
リアルな演出の数々も素晴らしかった。

後半の白熱の論争劇は圧倒的な熱量で面白かったけど
大声でがなり立てる演技は5~10分が限界かなぁと思いました。
あまり長すぎると観ていて「まだ続くのか…」みたいに疲れてきます。

隣の芝生も。

隣の芝生も。

MONO

座・高円寺1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/03/18 (日) 14:00

座席1階E列

MONO『隣の芝生も。』座・高円寺1

タイトルやフライヤーから受けたイメージとは少し違っていたけど面白かったです。
脱力系のゆるめの掛け合いが楽しかった。
奇をてらった感じはなくオーソドックスな作品作りをされている印象を受けました。
回転舞台をはじめ舞台セットが精巧でした。

ネタバレBOX

元やくざの4人組のどこか抜けている掛け合いが面白かった
変な造語を使うビビバ(ビビる)ってばかりのボスが可愛かった
ロスト花婿

ロスト花婿

ENG

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/03/16 (金) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/17 (土) 18:00

座席1階D列

ENG『ロスト花婿』シアターグリーン BIG TREE THEATER

面白かったー!
終演後には会場中が幸せな雰囲気に包まれていて素敵な観劇後感でした。

ネタバレBOX

登場人物では
・プロ意識の高い料理長代理のアルバイト
・話し出すと止まらない店長
が特にお気に入り
カメラマンの撮影するしないのくだりも大好き。

両親のエピソードにからめたピアノ演奏のシーンが泣けました。
そして、カーテンコールからのバージンロードの演出が最高だった。
ダブルコールをちょっとためらったくらい。

結婚前に全てを知ってしまうことは逆効果なのでは?と思っていたら
主人公もこれからお互いに知っていけばいいという旨のセリフがあって共感を持てました。
dear others

dear others

木村愛子

STスポット(神奈川県)

2018/03/17 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/17 (土) 19:30

価格3,000円

19:30の回(晴)。

19:24前説(60分)、19:30開演~20:28終演。
入るとL字の客席(2列ずつ)。
木村さんは「UTSUSU」 移-映-写 三人展(2017/9)以来、後藤さんは初めて観に行った「ぴちぴちちゃぷちゃぷ(2011/5@アートスクエア)」にお名前がありました。

不思議な色の薄地の衣装、ゆったりとした動きから始まり、ノイズ、フラッシュなどを織り交ぜた、対流や地殻変動をイメージするような神秘的で無慈悲にも見えるシーンもありました。

スラッシュ

スラッシュ

POWERPROJECTクーデター

荻窪小劇場(東京都)

2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/03/17 (土) 13:00

座席1階1列

POWERPROJECTクーデター『スラッシュ』荻窪小劇場

ダンボールを使った舞台美術、BC(黒子)によるアクロバティックな身体表現、直球の説明ゼリフ、
人間の想像力を存分に使ったアナログな演出の数々が楽しかったです。
映画のようなカット割りや視点移動も特徴的ですね。
他ではあまり見られないタイプの作品だと思います。

登場人物では
アウトローな雰囲気と渋い声が素敵だったファトマス
威厳があるんだかないんだかのトールマン将軍
が特にお気に入り

お水はいかがですか。

お水はいかがですか。

日本女子体育大学ダンスプロデュース研究部

DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/10 (土)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/10 (土) 18:00

価格1,500円

18:00の回(晴)
17:30受付、開場。17:59前説(60分)、18:03開演~19:03終演。
物販で「水」を売っていました。

日本女子体育大学のダンス公演では、昨年、第16回卒業公演「Pile」を府中の森芸術劇場まで観に行きました。舞台下にひっそりとビニールを用意しているので「水」が飛んでくるのかと思いましたがなんとか大丈夫でした。「水」の紹介、ビールかけのような大混乱等々、メニュー豊富な演目でした。

今年の「ぴちぴちちゃぷちゃぷ~」は5/19(土)と20(日)、@あうるすぽっと。


or NEVER

or NEVER

関東大学学生ダンス連盟Σ

戸田市文化会館(埼玉県)

2018/03/17 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/17 (土) 13:00

価格2,500円

3/17(土)、3/18(日) 13:00の回、晴。
今年は列ができるのが遅く、3/17は11:30頃に階段から並び、途中から戸外に。3/18は始めから戸外に列(11:00くらいから並んでいたのかも)。

今年で3回目、座席は10-18と11-22とやや前方席、1~4列目までの部分は使われていませんでした。
ちょっとしたストーリーがあるものの、全編煌びやかでスピードと響く低音のビートと溢れんばかりのライト、400人?、舞台いっぱいのダンサーたちのキレのよいダンス。

舞台は「ハ」のように客席方向に拡がりを持ち、奥は2階建て。踊れるところがあればどこでも踊っています。直線、曲線が滑らかに形を変えつつ、客席からのコールに応えていました。

終演後のロビーはダンサーとお客さんとで前に進めないほど。

今年も会場から戸田駅までの道にはスタッフが配置されていました。

パタリロ!

パタリロ!

ネルケプランニング/キューブ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/20 (火) 19:00

楽しい時間はあっと言う間に過ぎていく、その典型的ステージ。ナンセンスと倒錯、そして昭和50年代的レトロの2時間。タマネギのカツラとメガネを取るとイケメンになるタマネギ部隊は、原作以上の完成度。

『財団法人親父倶楽部』~死んだと思って生きてみる~

『財団法人親父倶楽部』~死んだと思って生きてみる~

工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10

小劇場B1(東京都)

2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

手練親父4人に思いっきり笑かされました~若手2人の七変化も見所です。藤本陽子の声が特に好きです。1月に観た源八橋西詰再演は、大王が20代の脚本で、もっとダーク寄りでした。今回の新作は、テーマ重いのに楽しかった~こんなメンバーの、こんなに面白いお芝居が、こんなに小さな劇場で観れるなんて、とってもぜいたくです。25日(日)までなので、ぜひ見に行って下さい!

赤道の下のマクベス

赤道の下のマクベス

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

戦争は大多数の「普通の人」が行ってきた。
なぜ彼らはそれを実行したのか、誰が、何が、彼らをそうさせたのか、観客は考えなくてはならない。答えが出なくても。
それが次の戦争につながらないためにも必要なのではないか。

(以下ネタバレBOXに書いています)

ネタバレBOX

1947年、刑の執行を待つBC戦犯の死刑囚が収監されているシンガポール・チャンギ刑務所。
そこには泰緬鉄道建設のためにイギリス兵捕虜を収容していた収容所の看守だった朝鮮人軍属と日本兵、彼らのかつての上官、ニューギニアで戦っていた下士官がいる。

彼らがなぜ死刑囚になってしまったのか、の問いかけは重い。
観た者はそれを考えなくてはならない。

この作品の優れているところは、「誰かのせいにしない」ところではないだろうか。
つまり戦争責任がどこに(誰に)あるのか、というところに向かいがちな物語を「個人の問題」として示したことにあると思う。

彼らが死刑囚になったことの理由には、当然「戦争」があるのだが、その戦争はどうして始まってしまったのか、の答えは「自分が自分にとっての最悪の選択をしてしまった」という朝鮮人軍属・ナムソンの台詞に重なる。
マクベスは3人の魔女にそそのかされたが、戦争をそそのかした魔女はどこにいるのか、外にいるのか自分の内にいるのか。両方にいるのか。マクベスのように。
観客はナムソンの言葉をそのままにしてしまってはいけないのではないか。

すべての登場人物がそれぞれの背景を持っている。
朝鮮人軍属たちも家族のために志願した者や半ば強制的に連れて来られた者もいる。
日本兵も朝鮮人軍属たちに暴力を振るっていた大尉もいれば、文字の読み書きもできないような兵隊もいるし、ニューギニアで過酷な撤退をしてきた下士官もいる。彼らの想いはさまざまであり、そのさまざまさが、日本が行ってきた戦争の一面を見せる。

無実を主張する日本兵は実は凄まじい拷問を「見ていただけ」だと言う。それは無実なのか。
上官に命令されてやったことであるという朝鮮人の軍属には罪があるのか。
はずみで村長を切りつけて殺害してしまった下士官の男はどうなのか。

戦犯の1人ひとりが悪人ということではない。普通の市井にいる人たちである。親もいれば妻も子どももいたりする。
その大多数の「普通の人」の彼らがしてきたこと、なぜ彼らはそれを実行したのか、誰が、何が、彼らをそうさせたのか、観客は考えなくてはならない。答えが出なくても。
「誰が」「どうして」「なぜ」「なぜ」「なぜ」の問いは続く。その問いを考えることが次の戦争につながらないためにも必要なのではないか。
したがって、とても苦しい作品である。

この作品ではチャンギ刑務所の様子もきちんと描かれている。
日中は雨だろうが、太陽が照りつけていようが独房の外に出される。食事は2回。朝はビスケット2枚とお茶。夜はおかゆのようなものだけ。しがって収容者は常に飢えている。
連合軍看守による刑務所収容者への暴行は日常茶飯事。しかも弱い少年兵のみを夜中に集中的に暴行するという陰湿さ。

最も驚いたのは、セットの仕様かと思っていた、独房と死刑台の近さ。
実際に処刑執行される音が収容者たちにしっかりと聞こえたほどの近さだったらしい。

こうしたことが勝者である連合軍看守たちの「報復」として行われていたという。
こうなると「誰が」「何を裁いた」のかがわからなくなってしまう(そもそも「戦犯」とは「何なのか」ということもあるのだが)。

そのあたりも単なる戦争責任を追及するだけの作品とは違うところではないか。
人を殺すことが正当化される戦争はそもそもが歪んでおり、そこには正義はまったくない。戦争が終わっても。

作・演出の鄭義信さんの父親は旧日本軍の憲兵だったことで、戦後「対日協力者」として村八分にされたこともあるという。その鄭さんが描く朝鮮人軍属への想いはまた特別のものがあったに違いない。

この作品は韓国で初演され、中国でも公演が行われ、今回、新国立劇場で上演をするのにあたり大幅に改訂されたという。
オリジナルの形でも観てみたいと思った。

朝鮮人戦犯の1人を演じた池内博之さんは熱演だったが、先に書いたとおりに食事は生きるために最低限しか与えられていないので、カラ元気があったとしても、その後でぐったりする、などという様子が必要だったように思う。ずっと元気なので。
元大尉役の浅野雅博さんは、きちっとしていて日本兵の部下に慕われていたが、実は朝鮮人軍属を蔑み体罰をしていたことがわかるという展開にふさわしい雰囲気が出ていた。つまり軍服をまとっている=建前のみでしか生きられない男が、だ。
大駱駝艦・天賦典式「罪と罰」

大駱駝艦・天賦典式「罪と罰」

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2018/03/17 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

「生きていること自体が罪であり、あるいは罰である」のか?
「罪と罰」を背負いながら、それを超越しようともがき苦しみながら、身体と心を動かしていくことが「舞踏」である。

ネタバレBOX

今までは毎回オリジナルの曲だったのだが、今回は全編にクラシック音楽が流れ驚く。
なかなかの大ゲサ感がタマラナイ。
テンションが上がる曲が多い。

アフタートークで「なぜオリジナルの曲にせずクラシック音楽に?」の問いに対する麿さんの答えにはのけぞってしまった(笑)。ここには書かないけど(笑)。

この数年の過去作品に比べるといろいろそぎ落としソリッドな印象。
「生きていること自体が罪であり、あるいは罰である」という根源的なテーマに収斂されていくようだ。
この数年のテーマにも関連し、ここにたどり着いてくる。

今までの作品に溢れていた猥雑さやユーモアは少しだけになった。
新境地なのかもしれない。

全編の底流にあるのはドストエフスキーの『罪と罰』らしいが、それはあくまでも舞台上の入口にすぎない。
麿さん曰く「我々がこの世に生を受けたということは、精子のときに1億の生命を押しのけてきたことである」「ジェノサイドを経てきた」。それは罪なのか、あるいは生を受けたことは逆に罰なのか、そうした答えのない問いが舞台の上で繰り返される。

新国立劇場・中劇場の、広い舞台が無駄なく使われた。
回り舞台が延々回るのを初めて観たのではないか。
あらゆる角度が「画」になり、シーンの切り替えに効果的。
延々と回る舞台は地球そのものと人の営みだ。時間が流れ罪や罰が今も続く。

「身体的には止まっている」シーンが多く、舞踏は単に踊るだけではないことを示した。

白・麿赤兒に紐付けられた黒・麿赤兒。どちらがどちらを操っているのか。
舞台には1人悩む青年がいて、銃を社会に向けて構える。
引き金は引けない。自分の頭に銃口を向けても引き金は引けない。
罪や罰はそんなことではないのだ、と言っているようだ。
白&黒・麿赤兒はそうした諸々の苦悩をすべて背負っているようだ。
罪も罰も背負いながら、それとは超越したところにいる。

麿さんは、シンプルな動きなのに求心力がある。歳を重ねることで昔のような動きができないのだが、それは当然のことである。しかし今の老人の身体も「舞踏」のひとつの姿だ。
黒&白の麿赤兒さんを中心に大駱駝艦のメンバーがそれを囲んでいる様子は、しぶとく生き続けてる舞踏を称えているようであり、宗教的でもある。「罪と罰」を背負いながら、それを超越しようともがき苦しみながら、身体と心を動かしていくことが「舞踏」である、と言っているようだ。

鉾久奈緒美さんの壊れた人形のようなエロチックさ。
我妻恵美子さんと高桑晶子さんとのコンビは健在。やはり良い。
さらに1人で大駱駝艦の猥雑さを象徴した、我妻恵美子さんの強い存在感。ご本人は小柄なはずなのに舞台の上ではひときわ大きく見えた。
地上10センチ

地上10センチ

ガレキの太鼓

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/03/08 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

自分の葬式をいかにショーアップするか。そのために身内や友人を巻き込んでリハーサを行う話し。笑いどころはあるんだけど、身につまされるからか、イマイチ笑えない

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